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執行猶予なら前科はつかない?初犯なら執行猶予がつく?前科との関係を解説!

ニュース等で「懲役●年、執行猶予●年」という表現が使われたところを耳や目にされたことも少なくないかと思われます。

ただ、その具体的な意味についてまで、正確に認識されている方の方が少数かもしれません。

「執行猶予ってことは、刑務所には入らなくていいんだ」くらいの認識の方が多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では、「執行猶予とは何か」、「執行猶予の期限が終わったら無罪として取り扱われるのか」等について解説していきます。

執行猶予とは

そもそも、「執行猶予」とは、その名のとおり、刑の執行を猶予されることを意味します(刑法25条)。そして、その執行猶予期間の間、罪を犯すことなく、まじめに生活できれば、その後、刑が執行されることは無くなります。「刑の執行」とは、裁判官による判決に基づいて刑務所に服役することです。

つまり、執行猶予が言い渡された場合、刑務所で服役するのではなく、日常の社会生活の中で、更生の機会が与えられることになります。

執行猶予でも前科は付く

ただ、勘違いしてはいけないのは、執行猶予付判決であったとしても、刑務所に入れられないだけであり、判決自体は有罪判決には変わりありません。有罪判決を受けた以上、前科が付きます。仮に執行猶予期間を満了したとしても、無罪として取り扱われることにはならず、有罪判決を受けた事実が消えることはありません。

なぜ執行猶予という制度ができたのか

被害者やその関係者の感情としては、しっかりと処罰をしてほしいと望むことが多いと思われます。では、なぜ執行猶予という制度ができたのでしょうか。

これは、前記の刑の執行と関連します。すなわち、犯罪者に対し、刑の執行をする趣旨は、犯罪者を刑務所内で服役させることにより、更生をさせる点にあります。

そして、犯罪が軽微かつ、本人も反省しているような場合にまで、一律に刑務所で服役させることとなれば、逆に社会復帰を困難にしてしまうおそれがあります。

そこで、犯罪者が更生し、社会復帰する機会を奪わないために、執行猶予という制度が誕生しました。

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「初犯だから執行猶予がつく」は正しいか

初犯であるからといって、必ずしも執行猶予が付くとは限りません。執行猶予が付くかどうかは、犯行の悪質性(計画性、被害の程度等)、本人の反省の度合い(被害弁償や示談の有無等)、被害者の処罰感情等によって決定されます。

執行猶予がつく犯罪とは

執行猶予が付くがどうかは前記のとおり、事案により異なりますが、どのような犯罪にも執行猶予が付く可能性があるわけではありません。

執行猶予が付くには、以下の条件を満たす必要があります(刑法25条1項)。

①ⅰ禁錮以上の刑に処せられたことがない者、又は、ⅱ禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終えた日から5年以上が経た者に対して

②ⅰ3年以下の懲役・禁錮、又は、ⅱ50万円以下の罰金を言い渡す場合

執行猶予がつかない、一発で実刑になる犯罪にはどんなものがある?

前記のとおり、執行猶予が付く可能性があるのは、「3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金を言い渡す場合」に限られます。

そのため、懲役の下限が3年を超える殺人罪、強盗罪、不同意性交等罪等の犯罪には執行猶予を付けることができないのではないか、とも考えられます。

しかし、裁判官が、犯罪として成立するものの、情状酌量すべき点があるとして、その刑を裁量によって減刑すれば、執行猶予が付く対象となります。

このように、執行猶予は、理論上、ほとんどの犯罪につけることができます。

前科があると執行猶予がつかない?

同種の前科が存在すれば、裁判にて不利な情状として扱われるため、初犯のケースと比較すると執行猶予が付きにくいといえます。

結局は、前記の初犯でも実刑になる可能性があることと同様に、犯行の悪質性(計画性、被害の程度等)、本人の反省の度合い(被害弁償や示談の有無等)、被害者の処罰感情等によって、前科がある場合でも執行猶予が付く可能性があります。

前科があっても執行猶予が認められるケース

前科があっても執行猶予が認められるには、当然ながら、前記執行猶予の条件を満たす必要があります。まずは、「禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に該当するか否か、つまり刑務所に行ったことがあるか否かを判断します(なお、刑の重さは、死刑>懲役>禁固>罰金>拘留及び科料の順となります。)。

仮に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終えた日から5年以上が経過している場合や、特に情状酌量すべき事情がある場合には、執行猶予付判決を受けることが可能です。

執行猶予期間を終えても前科は前科

繰り返しになりますが、執行猶予期間を終え、刑務所で服役をしなくとも、前科が付くことに変わりはありません。そして、現在の日本では、起訴された場合、その有罪率は99.9%にも及びます。そのため、万が一、刑事事件に発展した場合には、起訴されないことが最優先事項となります。

刑事事件はスピードが命ですので、お一人で抱え込まず、早めに弁護士にご相談ください。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長弁護士 辻 正裕
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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