盗撮は住居侵入罪・建造物侵入罪に問われる?逮捕された場合の対処法
盗撮目的で他人の住居や建物に侵入すると、撮影行為とは別に「住居侵入罪」などの重い罪が成立する可能性があります。
住居侵入罪とは、正当な理由なく他人の住居に無断で立ち入る犯罪です。
この記事では、盗撮目的の侵入で問われる刑事責任や、逮捕された場合の法的な手続きの流れ、前科を避けるための具体的な対処法について、弁護士が分かりやすく解説します。
盗撮では住居侵入罪・建造物侵入罪が成立する
他人のプライベートな姿を撮影する目的で、民家の敷地や建物の内部に無断で立ち入る行為は、刑法上の「住居侵入罪」または「建造物侵入罪」に該当します。
当然ながら、盗撮やのぞき目的での立ち入りは法律上の「正当な理由」に当たらないため、これらの罪が成立します。
本罪の法定刑は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」と定められています(刑法130条前段)。
重要な点として、これらの犯罪には未遂規定が設けられているため、実際の撮影を行う前であっても、あるいはカメラを設置する前に対象者に気づかれて敷地外へ逃げ出したとしても、盗撮目的で敷地内に足を踏み入れた(あるいは侵入を試みた)時点で未遂罪として処罰される対象となります。
住居侵入罪と建造物侵入罪の違い
住居侵入罪と建造物侵入罪の主な違いは、無断で立ち入った「対象となる場所」の性質にあります。
住居侵入罪は、個人や家族が日常的に寝起きし、私生活を営んでいる空間(一戸建ての民家や、アパート・マンションの各部屋など)に侵入した場合に適用されます。建物そのものだけでなく、門扉や塀で囲まれた庭などの敷地に無断で入った場合も同様です。
これに対して建造物侵入罪は、住居以外の建物全般を指し、主に管理者がいて人が出入りする公共性の高い施設や商業空間が対象となります。
具体的には、学校、駅舎、デパートやコンビニなどの店舗、オフィスのビルなどがこれに該当します。
盗撮事件においては、公衆トイレや更衣室に隠しカメラを仕掛けるために立ち入る行為が建造物侵入罪にあたります。
盗撮ではその他の刑罰を受ける可能性もある
盗撮目的で他人の建物に侵入した場合、侵入の罪だけでなく、撮影行為やそのデータの内容に応じて、さらに別の重大な犯罪として処罰を受けるおそれがあります。
これらは「併合罪」として扱われ、刑罰が加重されます。
まず、性的な部位や下着などを撮影する行為には、2023年に施行された「性的姿態撮影等処罰法(撮影罪)」が原則として適用され、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されます。
また、犯行の具体的な状況によっては、各都道府県の「迷惑防止条例違反」や、のぞき見行為を取り締まる「軽犯罪法違反」に問われる可能性もあります。
さらに、被写体が18歳未満の児童であった場合には、「児童ポルノ禁止法違反」が加わり、より重い刑罰が科される可能性があります。
住居侵入罪・建造物侵入罪は緊急逮捕が認められている
盗撮事件に伴って発生しやすい住居侵入罪や建造物侵入罪は、法律上「緊急逮捕」を行うことが認められている犯罪です。
緊急逮捕とは、長期3年以上の懲役・禁錮にあたる重大な犯罪について、犯行を疑うに足りる十分な理由があり、かつ急速を要するため裁判官の逮捕状を待っていられない場合に、令状なしで身柄を拘束する手続きです。
住居侵入罪などの法定刑の上限は「懲役3年」であるため、この緊急逮捕の要件を満たしています。
現場で一般人でも拘束できる現行犯逮捕とは異なり、緊急逮捕は警察官などの捜査機関のみが実施できる手続きであり、身柄を拘束した直後に裁判官へ逮捕状の発付を請求しなければならないという違いがあります。
容疑が固まれば後日突然逮捕されるリスクがあるため、心当たりがある場合はなるべく早く弁護士に相談すべきです。
盗撮で住居侵入罪・建造物侵入罪で逮捕された後の流れ
盗撮および住居侵入・建造物侵入の容疑で警察に身柄を拘束されると、法律によって定められた非常に厳格な時間制限のもとで刑事手続きが進行していきます。
逮捕後の各段階における手続きの具体的な内容を知り、見通しを立てておくことが極めて重要です。
①逮捕後72時間は面会禁止
警察に逮捕されてから検察官に身柄が送致され、裁判所が勾留の可否を判断するまでの最大72時間(3日間)は、たとえ同居している最愛の家族であっても被いる本人と面会することは法律上認められません。
外部との連絡を遮断され、強い精神的プレッシャーを受ける時期です。
しかし、法律上の特権を持つ弁護士に限っては、この逮捕直後の72時間以内であっても、警察官の立ち会いなしでいつでも本人と自由に面会(接見)を行うことができます。
この初動段階で弁護士から取調べのアドバイスを受けることが、その後の身体拘束の長さを大きく左右します。
②勾留10日間(最大20日間)
逮捕から48時間以内に警察から検察へ事件が引き継がれ、検察官が「さらに身柄を拘束して捜査を続ける必要がある」と判断した場合、裁判所に対して勾留の請求が行われます。
裁判所がこの請求を認めると勾留決定が下され、原則として10日間の身柄拘束が追加されます。
さらに、捜査やデータの解析に時間がかかるなど、やむを得ない事由があると検察官が判断した場合は、裁判所の許可を得てさらに最大10日間まで勾留が延長されます。
つまり、逮捕から数えると合計で最大23日間もの長期間、留置場から出られなくなるおそれがあります。
③起訴・不起訴の決定
最大20日間の勾留期間満了日までに、検察官は集まった証拠を考慮し、事件を刑事裁判にかける(起訴する)か、裁判にせず事件を終了させる(不起訴処分とする)かの最終決定を下します。
もし検察官に起訴されてしまうと、日本の刑事裁判における有罪率は「99.9%」と極めて高いため、ほぼ確実に有罪判決が下され、前科がついてしまいます。
一方で、検察官から不起訴処分を勝ち取ることができれば、刑事裁判は開かれず、前科も一切つきません。
身柄はその日のうちに直ちに解放され、元の平穏な日常生活に戻ることができます。
住居侵入罪や初犯の盗撮事件においては、被害者との間で示談が成立していることなどを条件として、不起訴処分を受けることも少なくありません。
④略式起訴
被疑者本人が犯罪の事実を全面的に認めており、事案が比較的軽微で、100万円以下の罰金刑や科料が相当であると検察官が判断した場合、通常の正式な裁判ではなく「略式起訴」という簡易的なルートが選択されることがあります。
正式起訴の場合は、公開の法廷に出廷して裁判を受ける必要がありますが、略式起訴であれば、裁判所に出向く必要はなく、裁判官が提出された書面だけを審理して速やかに罰金刑の略式命令を下します。
正式な裁判を待つよりも圧倒的に早く身柄が解放されて事件が終了するため、住居侵入罪では略式起訴となるケースも多く見られます。
住居侵入罪・建造物侵入罪で逮捕された場合の対処法
盗撮と併せて住居侵入罪や建造物侵入罪の容疑で逮捕されてしまった場合、前科がつく事態を回避し、一刻も早く社会復帰を果たすためには、逮捕直後から的確な防御策を講じる必要があります。
刑事処分を軽減させるために取るべき具体的な対処法について解説します。
被害者と示談する
刑事手続きにおいて最も効果的であり、処分を決定づける重要な鍵となるのが、被害者に対する謝罪と「示談」の成立です。
住居侵入や盗撮は被害者が存在する犯罪であるため、被害者の処罰感情が検察官の処分の判断に大きな影響を及ぼします。
弁護士を通じて真摯な謝罪と適切な示談金を支払い、被害届や告訴を取り下げるという合意を取り付けることができれば、不起訴処分となる可能性が跳ね上がります。
ただし、被害者は加害者側に強い拒絶感を抱いているため、加害者本人やその家族が直接連絡を取ることは困難であり、冷静かつ法的に適切な示談交渉を進めるためには弁護士の介入が不可欠です。
住居侵入罪・建造物侵入罪の被害者とは?
示談交渉を確実に進めるためには、自分が侵入した場所において、被害者が誰になるのかを正確に特定し、正しい相手と交渉を行う必要があります。
侵入した場所のパターンごとの具体的な被害者は以下の通りに分類されます。
| 戸建て住宅の場合 |
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|---|---|
| 集合住宅の場合 |
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| コンビニや会社の事務所などの場合 |
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弁護士に相談する
少しでも有利な条件で刑事手続きを終わらせ、前科がつくのを防ぐためには、刑事事件の経験が豊富な弁護士への相談・依頼が不可欠です。
住居侵入罪では他の犯罪が絡んでいることも多いため、状況に応じた対応や早期解決のために弁護士に相談するメリットは極めて大きいといえます。
弁護士であれば、家族すら会えない逮捕直後の72時間以内であっても制限なく面会(接見)ができ、不利な調書を作られないためのアドバイスが可能です。また、加害者側との接触を拒む被害者に対しても、窓口として冷静かつスムーズな示談交渉を任せられます。
さらに、検察官や裁判所に働きかけることで早期釈放や不起訴の獲得が期待でき、勾留を阻止する方法を講じるなど、刑罰や処分を軽減して今後の最適な対応をアドバイスしてもらうことができます。
盗撮で住居侵入罪にあたる可能性がある場合はすぐに弁護士法人ALGにご相談ください
盗撮を行う目的で他人の自宅の敷地や建造物に無断で立ち入る行為は、悪質な犯罪として捜査機関から厳しく見られます。
一度逮捕されて身柄拘束の長期化や前科がつく事態になれば、仕事を失うなど人生に深刻な影響を及ぼします。最悪の事態を回避し、穏便な早期解決と社会復帰を目指すためには、初動のスピードがすべてを決定づけます。
弁護活動に着手する時間が早ければ早いほど、不起訴処分を獲得できる可能性が格段に高まります。
弁護士法人ALGでは、刑事弁護の豊富な解決実績を持つ弁護士が迅速に留置場へと接見に赴き、被害者の心情に寄り添った的確な示談交渉や身柄解放に向けた強力な弁護活動を展開いたします。
お悩みの方は、今すぐ弁護士法人ALGへご相談ください。
この記事の監修

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埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。