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逮捕・監禁罪が成立する場合と逮捕後の対処法

逮捕・監禁とは、直接的に身体に働きかけ一定時間以上その自由を奪うことや、一定の場所からの移動を困難にすることをいいます。本記事では、どのような場合に、逮捕・監禁罪が成立するのかについて解説していきます。

逮捕・監禁罪とは

刑法220条には、「不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する」と定められています。これは、直接的に身体に働きかけ一定時間以上その自由を奪うことや、一定の場所からの移動を困難にすることを禁ずることで、個人の自由な行動を保障するための規定です。

逮捕・監禁罪の成立要件

逮捕・監禁罪における「逮捕」はどのような行為か

刑法220条にいう「逮捕」とは、人の身体に対し直接的な働きかけを行い、その人の行動の自由を奪いことをいいます。例えば、手錠で拘束したり、紐で縛って動けなくしたりすることがこれにあたります。

逮捕・監禁罪における「監禁」はどのような行為か

刑法220条にいう「監禁」とは、人が一定の場所から移動する余地を奪ったり、あるいは著しく困難にしたりするなどして行動の自由を奪うことをいいます。例えば、特定の部屋や建物の中に閉じ込めて脱出できなくしたり、見張りを置いて一定区域からの脱出を困難にしたりする場合などがこれにあたります。

「不法」であること

刑法220条にいう「不法」とは、逮捕行為や監禁行為に正当な理由がないことを意味します。警察官が、裁判所からの令状に基づき、適法な手続きに則り逮捕することは、「不法」であることの要件を欠くため、逮捕の罪に該当しません。

継続犯

逮捕・監禁罪が成立するためには、行動の自由の侵害が一定時間以上続いていたと言える必要があります。たとえば、手錠やロープで拘束したりした場合でも、それがほんの数秒の間だけ行われたものについては、逮捕行為や監禁行為に該当しません。同罪は、あくまでも個人の行動の自由を保護法益としているからです。

移動の能力を有する者が客体

では、移動能力を有しない者が客体のケースでは、逮捕・監禁罪は成立し得るのでしょうか。典型的なのが、生まれたての赤子や、泥酔している者、眠っている者が客体となるケースです。

判例や通説では、被害者側が行動の自由を制限されていることの認識までは不要とされていますが、潜在的な意味で行動し得る者である必要があるとされています。

したがって、生まれたての赤子は、潜在的な意味での行動能力を欠き、そもそも逮捕・監禁の客体とはなり得ないと考えられますが、泥酔している者や眠っている者など、一時的に行動能力を失っている者は、逮捕・監禁の客体になり得ると考えられています。

逮捕・監禁罪の刑罰

刑法220条は逮捕監禁の刑罰について、以下のように定めています。「不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する」

逮捕・監禁罪に問われるケース

逮捕・監禁罪で誤解されがちなのが、相手方に非難すべき点がある時に逮捕・監禁罪が成立しないというものです。しかし、同罪は、借金を返さない者や不倫をした配偶者など、相手に非難すべき点がある場合であっても成立し得るので、注意が必要です。

誘拐

略取や誘拐行為については、通常、略取・誘拐罪(刑法224条~229条)が成立しますが、その過程で逮捕行為や監禁行為が行われた場合には、別途、逮捕・監禁罪が成立し得ます。このような場合には、より重い刑罰を科されることがあります。

いじめ・虐待

いじめや虐待として行われた場合についても、行為の程度によりますが、逮捕・監禁罪が成立し得ます。遊びで行われたことや、教育という名のもとで行われたことなどから、直ちに逮捕・監禁罪が成立しないということにはなりません。

私人逮捕

私人逮捕も、法律上認められた逮捕行為(刑事訴訟法214条)ですので、「不法」要件を欠き、逮捕・監禁罪は成立しないとされています。

ただし、私人逮捕は、逮捕後直ちに検察官や警察官に引き渡さなければならないなどの規定があり、逮捕行為は、こうした要件を満たす形で適法に行われる必要があります。無制限に適法となるわけではありませんので、注意が必要です。

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逮捕・監禁によって被害者が怪我や死亡した場合

逮捕行為や監禁行為によって人を死傷させた場合には、逮捕・監禁致死傷罪が成立します(221条)。同罪の法定刑は以下のとおりです。「前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」

逮捕・監禁罪で逮捕された場合の対処法

逮捕・監禁罪で逮捕された場合には、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。特に、刑事事件は、初動の動きや対応が極めて重要であり、後から修正がきかないことが数多くあります。

逮捕・監禁事件を起こしてしまったら、早急に弁護士にご相談ください

刑事事件は、手続き自体に時間的な制限が設けられていますので、スピードが命です。専門家である弁護士へ早急に相談し、適切な助言を受けることが何よりも大事になります。ご自身で悩まれるのではなく、まずは弁護士にご相談ください。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長弁護士 辻 正裕
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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