横領の損害賠償や示談金の相場は?支払いの際に注意するポイントや会社との示談交渉について
会社のお金を横領してしまい、損害賠償や示談金の支払いを求められている方向けに、示談金の相場や、支払いの際に気を付けるポイント、会社との示談交渉の進め方について解説します。
目次
- 1 会社のお金を横領すると業務上横領が成立する可能性がある。
- 2 横領すると民事上、刑事上の責任を負うことになる
- 3 会社に与えた損害により懲戒処分になる可能性もある
- 4 重い処罰を回避するために損害賠償をしておくことは非常に重要
- 5 損害賠償金を支払っておくことは事件化した際に量刑を与える可能性がある
- 6 横領の損害賠償金(示談金)の相場
- 7 横領したお金は使ってしまった。分割で支払うことは可能なの?
- 8 自分が支払えない場合、親や家族に損害賠償請求がいくことはあるの?
- 9 自己破産すれば損害賠償金を支払わなくていいの?
- 10 損害賠償を支払う際のポイント
- 11 横領の損害賠償請求が来た方や示談交渉をお考えの方は弁護士にご相談ください
会社のお金を横領すると業務上横領が成立する可能性がある。
経理担当者が会社の売上金を私的に使用するなど、業務上で管理している金銭を横領してしまった場合、横領罪の中でも、業務上横領罪が成立する可能性があります。
この場合、損害賠償責任を負うことになります。
業務上横領とは
業務上横領罪は、他人の物を取り扱う業務に従事している者が、その業務に関して自己の占有する他人の物を横領することで成立する犯罪です。法定刑は10年以下の懲役と定められています。
業務上横領罪について、詳しくは以下の記事で解説します。
業務上横領は必ず逮捕される?横領額と刑の重さは関係あるのか横領罪とは
横領罪は、自己の占有する他人の物を不法に領得した場合に成立する犯罪です。業務上横領罪は、横領罪よりも重い刑罰が科せられる犯罪です。
横領罪について、詳しくは以下の記事で解説します。
横領罪の初犯は執行猶予がつく?背任罪とのちがい横領すると民事上、刑事上の責任を負うことになる
会社のお金を横領した場合、法的には、刑事上と民事上の責任を問われることになります。
刑事上の責任は、横領罪または業務上横領罪に該当し、刑事罰を課されることになります。
一方で、民事上の責任は、不法行為に基づく損害賠償請求を受けることになります。
民事上の責任
横領という不法行為によって会社に損害を与えた者は、民法第709条に基づく損害賠償責任を負うことになります。
この損害賠償責任は、横領された金銭の返還のみならず、会社の信用失墜によって生じた損害や、横領行為によって会社が被った調査費用なども含まれることがあります。
また、不法行為があった時点から返済が完了するまでの遅延損害金も請求される可能性があります。
刑事上の責任
業務上横領罪で有罪が確定した場合、刑事罰として懲役刑が科せられることになります。
刑法第253条は、業務上横領罪の法定刑を「10年以下の懲役」と定めています。
実際に科される刑罰は、横領金額の多寡、動機、被害弁済の有無、並びに示談が成立しているか等、様々な事情を考慮して決定されます。
会社に与えた損害により懲戒処分になる可能性もある
会社のお金を横領した場合は、会社に損害を与えたことにより、懲戒処分される可能性があります。懲戒処分の段階は様々ですが、横領行為は非常に悪質と判断されるため、懲戒解雇とされる可能性が高いです。
過去の裁判例では、被害金額の大小に関わらず懲戒解雇処分を有効と判断しているケースが多く存在します。
重い処罰を回避するために損害賠償をしておくことは非常に重要
損害賠償をしたからといって、必ずしも懲戒処分を免れたり、事件化が回避されたりするわけではありません。しかし、横領罪は相手からの被害申告がなければ事件化しないことが多いため、被害額が少なく、会社が大事にしたくないケースなどにおいては、損害賠償をしておくことが重要です。
横領罪は会社からの被害者申告(告訴)がなければ事件化しないことが多い
業務上横領が事件化するには、被害者である会社側からの告訴が必要となるケースが多いです。必ずしも必要ではなく、被害者からの通報がなくても、第三者からの通報で事件化することがあります。
しかし、実務上は被害者からの被害申告がきっかけで事件化することが多いです。
示談交渉を弁護士に依頼するメリット
横領の示談交渉を弁護士に依頼するメリットは、当事者同士の交渉では、感情的な対立により話がこじれてしまう危険性があるためです。
弁護士は会社との間に立ち、客観的な第三者として冷静に交渉を進め、適正な賠償額の算定や支払方法の交渉をサポートします。これにより、事件化の回避や穏便な解決を目指します。
損害賠償金を支払っておくことは事件化した際に量刑を与える可能性がある
万が一事件化した場合、損害賠償の有無や金額は、量刑を決定する上で非常に重要な要素となります。
被害者への弁済が完了している場合や、示談が成立している場合は、その事実が裁判官に反省の態度として評価され、刑が軽くなる可能性があります。
一方で、被害弁済が全くされていない場合は、そのことが量刑に悪影響を及ぼす可能性があります。
その他の量刑に影響を与える要素
業務上横領罪の量刑は、被害弁済の有無だけでなく、様々な要素によって影響を受けます。
例えば、横領の動機(生活苦によるものか、遊興費のためか等)、横領した期間、横領の回数、横領金額の多寡、及び前科の有無等が考慮されます。
これらの要素は、裁判官が被告人の反省度合いや再犯の可能性を判断する上で重要な材料となります。
業務上横領罪の詳細については、以下の記事で解説します。
業務上横領は必ず逮捕される?横領額と刑の重さは関係あるのか横領の損害賠償金(示談金)の相場
横領の損害賠償金や示談金には、明確な相場はありません。
しかし、以下の要素が含まれるのが一般的です。
- (1)横領した金額全額:当然のことながら、横領した金額の全額を返済する必要があります。
- (2)遅延損害金:横領したときから時間が経っている場合は、遅延損害金を上乗せした金額となります。
- (3)迷惑料:当事者間の取り決めなので、迷惑料を上乗せした金額を支払うケースもあります。
最終的な金額は、当事者間の話し合いで決定されます。
横領したお金は使ってしまった。分割で支払うことは可能なの?
横領したお金をすでに使ってしまったり、金額が大きすぎて一括での返済が難しかったりする場合、分割払いを認めてくれることもあります。ただし、これはあくまで会社の承諾があってのことです。
会社との分割払いの交渉も弁護士にお任せください
横領した金銭を既に使ってしまい、手元にない場合や、横領額が大きく一括での返済が困難な場合があります。このような状況でも、会社側は被害金額の回収を最優先に考えるため、分割払いを認めてくれることがあります。
ただし、分割払いが認められるかどうかは会社の判断次第であり、必ずしも応じてもらえるわけではないことに注意が必要です。
自分が支払えない場合、親や家族に損害賠償請求がいくことはあるの?
原則として、賠償責任は横領した本人にあります。しかし、入社の際に身元保証人になっていたり、会社と返済契約を交わす際に保証人になっていたりすると、請求がいく可能性があります。
自己破産すれば損害賠償金を支払わなくていいの?
横領行為によって発生した損害賠償金は、自己破産をしても支払いを免れることはできません。
破産法第253条1項2号は、破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権を非免責債権として定めているためです。
損害賠償を支払う際のポイント
損害賠償責任を支払う際には、後のトラブルを避けるためにいくつかの注意点があります。
公正証書を作成しておく
後のトラブルを避けるため、支払額や分割払いの回数などの取り決めを公正証書として残しておくようにしましょう。公正証書は、公証人が作成する公文書であり、強い証拠力を持つため、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
領収書を必ずもらい保管しておく
返済した際には、トラブルを避けるため領収書を必ずもらうようにしましょう。
分割払いの際はその都度もらうようにしてください。領収書は、支払いが完了したことを証明する重要な書類であり、将来的なトラブルが発生した場合の証拠となります。
支払い期限は必ず守る
大前提として、会社と決めた返済期日は必ず守るようにしましょう。返済が遅れた場合、遅延損害金を支払う可能性があります。
横領の損害賠償請求が来た方や示談交渉をお考えの方は弁護士にご相談ください
分割払いの交渉や示談交渉は、横領した当事者では話がこじれてしまい難しいこともあります。
横領してしまい損害賠償をお考えの際は、お早めに弁護士にご相談ください。
この記事の監修

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埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。