横領で告訴された場合の対応方法。告訴の取り下げや示談交渉は可能なの?
刑事告訴の手続きや、横領で告訴された場合の基本的な対応を分かりやすく解説します。
横領事件は被害の立証や事情聴取の結果によって捜査が進むため、告訴の方法や警察対応、逮捕後の流れを理解しておくことが重要です。
本記事では、横領罪の基礎、告訴と被害届の違い、実務上の注意点まで具体的に説明します。
目次
横領罪とは
横領罪は、他人の物を預かった立場にある者が、その物を自己のものとして処分する行為を処罰する犯罪です。
会社の経理担当者が現金を着服するケースや、預かった物品を無断で売却するケースなどが典型例です。
横領は被害者が法人であっても成立し、犯意の有無や行為の継続性が争点になることがあります。
また、罪名は異なるものの、横領罪は遺失物や漂流物等、他者の占有から離れた物に対しても成立します。
詳しい要件や量刑、類型ごとの違いについてはこちらで詳しく解説しています。
横領罪について詳しく見る横領罪に時効はあるの?
刑事事件の時効は、各犯罪の法定刑の重さに応じて定められています(刑事訴訟法第250条2項各号)。
「単純横領罪」の時効は5年、「業務上横領罪」の時効は7年、「遺失物等横領罪」の時効は3年です。
横領は告訴されなければ逮捕されない?
横領罪は、親告罪ではないため、被害者の告訴が無ければ捜査を開始できないという犯罪ではありません(親族間の特例を除く。)。
もっとも、横領罪は知人間で発生することが大半を占める犯罪であることから、その多くは被害者からの被害申告がきっかけで事件化することがほとんどです。
そのため、被害者が被害申告をしなければ、刑事事件として捜査され、逮捕などされることは少ないのが実情です。したがって被害者の対応や証拠保全が重要です。
刑事告訴とは
刑事告訴は、被害者などが刑事事件として処罰を求める意思を公的に表明する手続きで、通常は告訴状を検察庁や警察署に提出して行います。
告訴が受理されると、捜査機関は事実関係の調査を開始することが一般的です。
ただし告訴が必ずしも起訴に直結するわけではなく、証拠不十分や違法性阻却が認められれば不起訴となることもあります。
告訴状の作成や証拠添付は手続上の有効性に影響するため、弁護士に相談して準備することが望ましいです。
親告罪とは
親告罪とは、被害者の告訴がなければ公訴(検察による起訴)できない犯罪を指します。代表例には名誉毀損罪や侮辱罪などがあり、告訴がない限り刑事手続きが進行しません。
前述のとおり、横領罪は親告罪ではありませんが、親族間での特殊事情が関与する場合には取り扱いが変わることがあるため注意が必要です。
告訴と被害届のちがい
告訴と被害届は似て非なる手続です。被害届は被害事実を警察に知らせるための通報であり、捜査の端緒となりますが、被害者の処罰意思の有無にかかわらず受理され得ます。
一方、告訴は処罰を求める意思表示であり、告訴が提出されれば捜査機関はその意思を重視して捜査を進めます。
被害届のみで捜査が開始されることもありますが、告訴の有無は捜査の方向性や検察の判断に影響を与える可能性があります。
刑事告訴するのにリミットはあるの?告訴期間とは
告訴期間とは、被害者が告訴できる期間のことで、親告罪では被害発覚から一定期間内に告訴しなければならない規定があります。
非親告罪では告訴期間の制約は問題にならないことが多いですが、公訴時効(検察が起訴できる期間)は別途適用され、時効を超えると刑事責任の追及ができなくなります。具体的な期間は罪名により異なります。
刑事告訴の流れ
一般的な流れは、告訴状の提出→受理→捜査(事情聴取、証拠収集)→逮捕→起訴です。
告訴状が提出されると警察や検察が受理し、被疑者の聴取や証拠の押収・鑑定を行います。
捜査段階で逮捕が必要と判断されれば身柄を拘束し、勾留や起訴に向けた手続きが進みます。
逮捕後の詳細な手続(勾留、起訴・不起訴の分岐など)についてはこちらで詳しく解説しています。
逮捕された時の流れについて詳しく見る刑事告訴は取り下げてもらうことは可能なの?
刑事告訴は、被害者が捜査機関に対して「犯罪を処罰してほしい」と意思表示する手続きですが、提出後でも取り下げることは可能です。
ただし、告訴を取り下げたからといって事件そのものが自動的に終了するわけではありません。
捜査機関は告訴とは独立して捜査を続行し、証拠の内容に基づき逮捕や起訴を判断します。
告訴取り下げは、あくまで「処罰を求めない」という意思表示に過ぎません。
ただ、告訴取り下げがあると検察官が量刑判断や起訴不起訴を判断する際に考慮されることが多く、実務的には不起訴処分や早期解決につながることがあります。
横領の刑事告訴を取り下げてもらうには
横領の刑事告訴を取り下げてもらうためには、被害者との示談成立が最も重要なポイントです。
横領で争われる中心は「被害回復」ですので、被害額全額の弁済、または支払い計画を説明し誠実に交渉する姿勢が求められます。
ただし、横領罪は原則として非親告罪(告訴がなくても捜査や逮捕が可能)であるため、告訴が取り下げられても捜査が継続され、逮捕される可能性は残ります。
とはいえ、示談成立や告訴取り下げは、検察官に「被害者が処罰感情を持っていない」という事情を示す有力な材料であり、不起訴処分や執行猶予の獲得につながる可能性があります。
示談交渉は専門的な対応が必要なため、早期に弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士による横領の示談交渉のメリット
横領事件では、示談交渉を誤ると被害者の感情を刺激し、刑事手続きが厳しく進むリスクがあります。
弁護士が介入することで、感情的な対立を避けながら、適切な条件で示談を進めることができます。
また、弁護士は捜査機関との対応方法にも精通しており、逮捕回避や不起訴の可能性を高める資料の提出など、刑事弁護を総合的に行うことができます。
示談や損害賠償の相場は
横領事件における示談金の相場は、被害額の全額に加え、迷惑料(慰謝料)を加算した金額が一般的です。
迷惑料は事件の性質や被害者の処罰感情によって増減しますが、被害者が法人の場合でも迷惑料が請求されるケースは多く見られます。
示談成立は検察官の処分判断に大きく影響するため、無理のない弁済計画と誠意ある対応が重要です。
告訴を取り下げたあと再告訴されることはあるの?
親告罪の場合、いったん告訴を取り下げると再度告訴することができません(刑事訴訟法237条2項)。
一方、横領罪のように非親告罪の場合は、告訴取り下げ後に再度告訴することを禁止する規定はありません。そのため、法的には再告訴は可能です。
ただし、実務では取り下げ後の再告訴は受理されにくく、捜査機関が再度動くためには新しい証拠などの事情が必要になります。
横領の被害者から告訴されたら
横領で告訴された場合、最も重要なのは早期の対応です。
警察の事情聴取を軽く考えて対応すると、不利な供述調書が作成され、逮捕や起訴につながるリスクがあります。
まずは、被害者との示談交渉や弁済の方向性を検討し、捜査対応について弁護士の助言を受けてください。
弁護士は警察とのやり取り、示談交渉、返済計画の調整などを総合的にサポートします。
早期に相談することで、逮捕回避や不起訴の可能性を高めることができます。
返済意思はあるけど横領した金額が大きく一括では難しい。分割払いは可能?
横領事件では、分割払いで示談が成立するケースもあります。
しかし、分割払いは被害者の理解がなければ成立せず、交渉力が重要になります。
弁護士が介入することで、返済計画の提示や担保設定など、被害者が納得できる提案が可能となります。
分割払いについて詳しくはこちらで解説しています。
返済にお困りの場合は弁護士にご相談ください。
横領で逮捕された場合でも弁護士が減刑に向けて活動します
横領で逮捕された場合、弁護士はすぐに接見し、取り調べへの助言や供述内容の整理を行います。
また、被害者との示談交渉や弁済のサポートを行い、検察官に対して反省と被害回復ができていることを示す資料を提出します。
身柄拘束が続いている場合には、勾留の回避や釈放に向けた準抗告などの手続きも行います。
弁護士が速やかに動くことで、不起訴や執行猶予、減刑を目指すことが可能です。
会社から告訴すると言われている場合はお早めに弁護士にご相談ください
横領は、捜査開始後に対応を誤ると逮捕や有罪につながる可能性があります。
早期に弁護士へ相談することで、示談交渉や返済計画の提案、警察対応のアドバイスなど、最善の対策を取ることができます。ひとりで抱え込まず、まずはご相談ください。
この記事の監修

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埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。