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迷惑防止条例違反にあたる犯罪や逮捕された場合について

迷惑防止条例違反
6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
(東京都の場合)

以下では、迷惑防止条例とは何か、迷惑防止条例に違反した場合にどのようになるのかなどについて説明します。

迷惑防止条例とは

迷惑防止条例とは、粗暴な行為や卑猥な行為を規律する各都道府県の条例を意味し、その名称は各都道府県によって異なります。例えば、刃物を振り回したりする粗暴な行為や、痴漢や盗撮などが禁止されていることが一般的です。

各都道府県の迷惑防止条例

都道府県 条例
北海道 北海道迷惑行為防止条例
青森県 青森県迷惑行為等防止条例
秋田県 秋田県迷惑行為防止条例
岩手県 公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例
宮城県 迷惑行為防止条例
山形県 山形県迷惑行為防止条例
福島県 福島県迷惑行為等防止条例
茨城県 茨城県迷惑行為防止条例
栃木県 栃木県公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例
群馬県 群馬県迷惑行為防止条例
埼玉県 埼玉県迷惑行為防止条例
千葉県 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
東京都 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
神奈川県 神奈川県迷惑行為防止条例
新潟県 新潟県迷惑行為等防止条例
長野県 長野県迷惑行為等防止条例
山梨県 山梨県迷惑行為防止条例
静岡県 静岡県迷惑行為等防止条例
愛知県 愛知県迷惑行為防止条例
岐阜県 岐阜県迷惑行為防止条例
富山県 富山県迷惑行為等防止条例
石川県 石川県迷惑行為等防止条例
福井県 福井県迷惑行為等の防止に関する条例
三重県 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
滋賀県 滋賀県迷惑行為等防止条例
京都府 京都府迷惑行為等防止条例
奈良県 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
大阪府 大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
兵庫県 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
和歌山県 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
岡山県 岡山県迷惑行為防止条例
広島県 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
山口県 山口県迷惑行為防止条例
鳥取県 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
島根県 島根県迷惑行為防止条例
愛媛県 愛媛県迷惑行為防止条例
香川県 香川県迷惑行為等防止条例
高知県 高知県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
徳島県 徳島県迷惑行為防止条例
福岡県 福岡県迷惑行為防止条例
佐賀県 佐賀県迷惑行為防止条例
長崎県 長崎県迷惑行為等防止条例
大分県 大分県迷惑行為防止条例
熊本県 熊本県迷惑行為等防止条例
宮崎県 宮崎県迷惑行為防止条例
鹿児島県 公衆に不安等を覚えさせる行為の防止に関する条例
沖縄県 沖縄県迷惑行為防止条例

刑罰について

迷惑防止条例違反の罰則は、各行為や都道府県によって多少異なりますが、数か月から2年程度の懲役刑と数十万円から百万円程度の罰金刑が中心となっています。罪が軽いものについては、科料という少額の罰金刑が科されることもあります。

時効について

迷惑防止条例違反の公訴時効は、3年となるものがほとんどです。
法律では、長期5年未満の懲役もしくは禁固または罰金に当たる罪の公訴時効は3年と定められているため、迷惑防止条例違反の罪はほとんどこの中に入ります。

迷惑防止条例と不同意わいせつ

迷惑防止条例では痴漢や盗撮などが禁止されているのが一般的です。このうち、痴漢については、不同意わいせつ罪にも当たる可能性があります。両者の違いですが、行為が行われた場所や行為の態様、程度等によって異なります。
例えば、暴行や脅迫を用いて行われた場合などには不同意わいせつ罪になると考えられます。また、迷惑防止条例違反の痴漢は公共の場で行われた場合に該当しますが、密室で行われた場合などには該当しないと考えられます。

迷惑防止条例違反となる主な犯罪

迷惑防止条例違反となる犯罪には、主に、痴漢、盗撮、つきまとい等の行為があります。

痴漢

痴漢は、公共の場で、服の上から又は直接身体に触れる行為をいいます。電車の中で前に立っている人の臀部を服の上から触るような行為が典型的な痴漢です。

痴漢について詳しく見る

盗撮

盗撮は、公共の場で、通常衣服で覆われている下着や身体を写真やビデオで撮影することをいいます。エスカレーターなどで前に立っている人のスカートの中をスマートフォンなどで撮影する行為が典型的な盗撮行為です。

盗撮について詳しく見る

つきまとい等

つきまとい等とは、正当な理由なく、つきまとったり待ち伏せしたりするなどして、他人に対して不安を覚えさせるような行為をすることをいいます。

その他

迷惑防止条例違反には、以上の行為の他に、粗暴行為や入場券の転売行為、不当な客引き行為、迷惑ビラの配布行為等様々な行為が禁止されており、違反した場合には懲役刑や罰金刑に科される可能性があります。

迷惑防止条例違反で逮捕されたら

迷惑防止条例違反で逮捕されてしまった場合には、取調べを受けた上で起訴されるかどうかが決まります。
逮捕されてから48時間以内に検察に事件が送致され、検察は送致を受けてから24時間以内勾留請求するかどうかを決定します。勾留請求が認められると最大20日間身柄が拘束される可能性があります。

逮捕の流れについて詳しく見る

被害者の供述が有利になりがち

例えば、痴漢事件の場合、客観的な証拠が乏しいため、証拠が被害者の供述のみということも少なくありません。このような場合、被害者の供述がとても重視されることになります。

どのような対応をすべきか

逮捕されてしまった場合に、どのように対応すべきは各事件によって異なります。早めに弁護士と相談してどのように対応すべきかを相談することが重要となります。当番弁護を利用するのがおすすめです。

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迷惑防止条例違反の裁判例

痴漢のケース

さいたま地方裁判所平成30年11月21日判決をご紹介します。
この事件は、電車に乗っていた男性が事件当時14歳の女性に対して、女性の陰部を着衣の上から触ったかどうかが争われたという事案です。男性が痴漢行為をしていたという客観的な証拠は全くなく、被害者の証言が唯一の証拠となっている事案でした。

裁判所は、事件当時電車内がある程度空いていて被害者の周りには数人立っているだけで、周りから痴漢行為が発見されやすいという状況で痴漢行為に及ぶとは考え難いこと、被害者が痴漢被害から逃れるための行動をとっていないこと、被害者の供述に一貫しない部分があること、被害者の供述は実際に痴漢行為に遭った者でなければ供述できない程の具体性や迫真性のある内容となっていないことなどの理由から、被害者の証言は必ずしも信用しきれないとして、被告人に対し無罪判決を言い渡しました。

盗撮のケース

福岡地方裁判所平成30年9月7日判決をご紹介します。
この事件は、とある店舗内にいたワンピースを着た女性の下に動画撮影機能を起動した二つ折りの携帯電話機を差し入れたかどうかが争われたものです。
この事件も核心的な客観証拠がなく、被害者の証言と被告人の自白のみが証拠となっていました(撮影した動画は内容が判然としないものであり、下着が写っているわけではありませんでした。)。

裁判所は、被害者の供述は具体的で、供述態度も紳士であり、内容も客観的な証拠とも矛盾していないことから信用できるとした上で、被害者は携帯電話で下着を撮影されているところまでは見ていないので、被害者の供述だけでは盗撮の事実は認定できないとしました。
また、被告人の盗撮したという自白については不自然なところが多く信用できないとしました。結局、携帯電話をワンピースを着た女性の下に差し入れたということの証拠がないため、無罪となりました。

迷惑防止条例違反でよくある質問

カーテンが開いており隣家の住人が下着姿でいるところを覗いてしまいました。

カーテンが空いていて、例えば道路から見えるような状況であったとすれば、そのような姿を見ても迷惑防止条例違反になることはありません。
迷惑防止条例違反となるのぞきというのは、駅は商業施設などの公共の場所でスカートの中をのぞき込むような行為です。隣家は公共の場所とはいえませんので、迷惑防止条例違反にはなりません。

電車内でつり革を掴もうとしたところ誤って女性の胸に手が当たってしまいました。

電車内で女性の胸を故意に触った場合には、いわゆる痴漢ですので、迷惑防止条例違反となります。しかし、つり革をつかもうとして偶然手が女性の胸に当たってしまったということであれば、犯罪の故意がないので、迷惑防止条例違反にはなりません。

旦那の浮気相手に何度も電話をしましたが迷惑防止条例に違反するのでしょうか。

相手に拒まれているにもかかわらず電話を連続してかけ続けると迷惑防止条例違反になります。ただし、電話をかけることに正当な理由がある場合には、迷惑防止条例違反にはなりません。浮気相手に対して、例えば慰謝料請求をする目的であれば、多少連続して電話をかけたとしても、正当な理由があるため、迷惑防止条例違反にはならないと考えられます。

迷惑防止条例違反を犯した場合、すぐに弁護士へご相談下さい。

迷惑防止条例違反は、犯罪の中では比較的軽いものではありますが、逮捕・勾留されることによって仕事や日常生活に大きな影響が出ることになります。
このような悪影響を最小限に抑えるためには、迅速に被害者と示談をするなど身柄解放及び不起訴処分の獲得に向けた弁護活動をすることが重要となります。
迷惑防止条例に違反してしまったり、違反の疑いをかけられてしまった場合には、すぐに弁護士にご相談下さい。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長弁護士 辻 正裕
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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