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国選弁護人と私選弁護人とは?それぞれの違いとメリットについて

刑事事件の被疑者・被告人となってしまった場合、頼れる専門家が弁護士です。

弁護士に刑事事件の弁護を依頼する場合、私選弁護人、国選弁護人という2つの形式があります。

私選弁護人と国選弁護人は何が違うのか、ご説明します。

国選弁護人と私選弁護人の違い

私選弁護人 国選弁護人
選任者 被疑者・被告人(本人)
本人の配偶者、兄弟姉妹、直系の親族、保佐人
国(裁判所)
選任方法 自由に選ぶことができる 国選弁護人として登録された弁護士の中から選ばれる。
選任条件 弁護士との自由な契約による 貧困その他の事由により弁護士を選任できないとき。
具体的には、資力(現金と預金の合計)が50万円に満たない場合
選任時期 起訴前の捜査段階から可能 勾留後
弁護人の権限 変わることはない 変わることはない

弁護士がつくタイミングについて

私選弁護人は、ご依頼者様の自由な契約によって選任できますから、基本的にどのタイミングでつけることも可能です。逮捕されるよりも前、逮捕されるかもしれないと思った段階で契約を行うこともできます。

国選弁護人は、資力の乏しい人にも最低限の権利を保障するため、公的なお金を使って弁護人をつけるものです。そのため、勾留された後にしかつけることができません。つまり、逮捕されただけの段階では、国選弁護人をつけることができません。

早期の弁護活動の重要性

一度勾留の決定が出ると、それから10日間は、検察が裁判官の審査を経ることなく、被疑者の身体拘束を続けられるようになってしまいます。

勾留中は外部との自由な連絡ができません。会社員であれば欠勤、学生であれば欠席することになります。

また、本人が直接欠勤の連絡を行うこともできません。そのような状況下における10日間という期間は、社会生活へ非常に大きな影響を与えるものです。

勾留が決定する前に、勾留決定を防ぐための弁護活動を行うことが望ましいのです。

逮捕の流れについて

弁護士を入れるタイミングが結果を大きく左右します。

早い段階で弁護活動を始めることは、結果に大きな影響を与えます。

捜査機関は、取り調べの中で捜査機関に有利な供述を得ようとします。

そして、捜査機関は「疑惑を晴らしたいなら素直に話して欲しい」などと言って、供述を行うように誘導してきます。

しかし、捜査機関が供述調書などの証拠に残す供述は、基本的に、捜査機関が証拠に残したいと考える内容の供述です。

つまり、話せば話すほど、捜査機関にとって有利な証拠が増えていくことに繋がります。

そのため、早い段階で弁護士と話し、どのようなことを伝えて良いのか、どのようなことを伝えてはいけないのか、味方である専門家の意見を聞くことで、不利な方向へ進むことを防げます。

また、実際には何もやってない方にとっては、早期段階で弁護人に依頼し、何もやっていない証拠を取得することが非常に重要となります。

人の記憶は時間の経過と共に薄れますから、証拠を取得するために動くのであれば、なるべく早期に行動を始めるべきなのです。

私選弁護人について

私選弁護人とは、ご依頼者様が自由に選んで契約し、弁護を依頼する弁護士のことです。

どのような弁護士を選ぶことも自由ですし、依頼のタイミングに制限はありません。

国選弁護人と比較すると、公的な補助がない分、費用が高くなる傾向があります。

私選弁護人へ依頼する要件

私選弁護人へ依頼するために必要な用件は、特にありません。ご依頼者様と弁護士が納得して契約を締結すれば、依頼をすることができます。

私選弁護人に依頼するメリット

私選弁護人をつける場合、自由なタイミングで依頼をすることができます。

刑事事件、特に逮捕によって身体拘束がなされている事件では、一刻も早く弁護活動を始め、身体拘束を解くことが非常に大切になります。

身体拘束を解くには、被害者との示談成立や、身元引受人を見つけてその証拠を作成することなど、多くの手段があります。

このような対応を早く始められるということは、私選弁護人に依頼する大きなメリットです。

また、私選弁護人をつける場合、その弁護士がどのようなことをしてくれるのか確認した上で選ぶことができます。

基本的に、被害者との示談交渉などの行為は、国選弁護人も行います。

しかし、ペットの面倒を見るための業者の手配など、弁護に直接必要でないことについては、国選弁護人に対応してもらえるとは限りません。

国選弁護人を自由に選ぶことはできませんので、付加的なサービスをどこまで受けられるかは、運次第です。

しかし、私選弁護人に依頼する場合は、どのように報酬を決めるかが自由ですので、弁護に直接必要でないことも内容に含めて契約することができます。

私選弁護人に依頼するデメリット

私選弁護人へ依頼する際には、公的な補助がありませんので、国選弁護人に依頼する場合よりも費用が高くなる傾向があります。

経済的な面以外に私選弁護人に依頼するデメリットは特にありません。

もちろん、被疑者が冤罪だと言っているのに有罪だと決めつけてくるような、方針が合わない私選弁護人に依頼してしまうなどすると、不利になってしまいます。

しかし、私選弁護人は自由に選ぶことができますので、納得いく弁護人に依頼をすることができます。

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国選弁護人について

国選弁護人とは、検察という国家的組織にくらべて無力な被疑者・被告人に対し、弁護を受ける権利を保障するため、選任される弁護士のことです。

弁護を受ける権利を保障するといっても、財源が無尽蔵にあるわけではありませんから、国選弁護人に依頼を行える場面は限られています。

その反面、資力に乏しい人の弁護を受けられることを目的とする制度ですので、費用負担は非常に少ないです。

国選弁護人へ依頼する要件

国選弁護人へ依頼するには、犯罪を犯したと疑われている人が勾留されているか、起訴されている必要があります。

ただ逮捕されただけの段階では、依頼をすることができません。

また、一部の重い犯罪についての裁判が行われる場合を除き、国選弁護人に依頼する場合には、原則、現金や預金等の資産の合計額が50万円であることを申告する書面を提出しなければなりません。

国選弁護人は、公的なお金を使って被疑者・被告人の権利を保障するものだからです。

国選弁護人に依頼するメリット

国選弁護人に依頼するメリットは、費用が安いことです。国選弁護人となる人は、法テラスという組織と契約していて、一定額の報酬を法テラスから受け取ります。

国選弁護人という制度は、資力がない人のためのものなので、例外的な場面を除き、法テラスが弁護士費用を全て立て替えます。

そのため、原則、被疑者・被告人が負担する金額はありません。

国選弁護人に依頼するデメリット

国選弁護人に依頼する大きなデメリットとして、勾留後にしか活動をしてもらえないことがあります。

一刻も早い弁護活動が必要な刑事事件において、活動開始時期が遅れてしまうことは、大きな影響があります。

また、国選弁護人に依頼する際のデメリットの1つには、弁護士を自由に選べないことがあります。

国選弁護人は弁護士なので、最低限の弁護活動を行うことには問題ないはずです。しかし、弁護に必要ない付加的な活動を行ってくれるとは限りません。

当番弁護士との違い

当番弁護士とは、逮捕された人が弁護士会に依頼し、無料で1回だけ相談できる弁護士のことです。

当番弁護士は、逮捕された人であれば誰でも1回呼ぶことができます。つまり、資力のある人でも、呼ぶことが可能です。

しかし、無料で相談できるのは1回に限られています。この2点が、国選弁護人と異なるポイントです。

なお、当番弁護士に対して弁護の依頼を行うことも可能です。

私選弁護人を選ぶポイント

私選弁護人を選ぼうと思っても、どのように選べば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。

私選弁護人を選ぶポイントについてご説明します。

刑事事件を専門に取り扱う部署がある

刑事事件の弁護活動をする際は、民事事件とは全く異なった活動をする必要があります。

民事事件では事件の相手方は一般の人や会社などですが、刑事事件で相手となるのは検察であり、国家権力です。

そのため、弁護活動を万全に行うには、刑事事件に特化したノウハウが必要です。

刑事事件を専門に扱う部署がある事務所であれば、ノウハウが蓄積されている可能性が高く、安定した弁護活動を行ってもらえると考えられます。

刑事事件を専門に扱う弁護士

しっかりとしたキャリアがある

刑事弁護は、専門性の高い分野です。長期にわたって刑事事件の実績を積み上げてきたキャリアのある事務所であれば、不測の事態への対応がスムーズに行えると考えられます。

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素早い対応が行える

逮捕の72時間後には、勾留の判断が行われてしまいます。

示談を成立させたり、身元引受人を見つけて証拠を作成することによって、勾留を防ぐための活動が行えるのは、逮捕後の72時間以内限られます。

そのため、素早い対応を受けられることは、非常に大切です。

刑事事件は72時間が勝負です

私選弁護人もきちんと選ばなければ満足のいく結果は得られません。

上記では私選弁護人のメリットについてお伝えしましたが、全ての弁護士が質の高い弁護活動を提供できるとは言い切れません。

私選弁護人に依頼する場合でも、普段刑事事件を扱っていないなど、ノウハウのない弁護士に依頼してしまうと、せっかくの私選弁護人のメリットを生かしきれないことになります。

そのため、私選弁護人を選ぶ際は、納得のいく弁護活動をしてくれそうな弁護士かどうか、しっかり判断することが重要です。

よくある質問

私選弁護人を雇いたいのですが、費用面で不安があります。

勾留前の段階であっても、資力がない人は公的な援助を受けて弁護士に依頼することができる場合があります。
この制度は、刑事被疑者弁護援助制度といいます。刑事被疑者弁護援助制度を使いたい場合には、当番弁護士を呼ぶのが一番良いでしょう。

国選から私選へ弁護士を変えることはできますか。

本人に当初資力がなくて国選弁護人を依頼した場合でも、親族からの援助などにより、後から私選弁護人に依頼をすることは可能です。
その際、特別な手続きは必要ありません。私選弁護人に依頼を行えば、国選弁護人は役割を終えることになります。

国選弁護人が保釈手続きをしてくれません。

国選弁護人も、弁護活動を行うという点では私選弁護人と変わりません。そのため、保釈が可能な場合、国選弁護人は、保釈の手続きを行うべきです。
しかし、保釈させるためには、必要な要件を満たしている必要があります。たとえば、そもそも、起訴された後でなければ、保釈されることはありません。
また、保釈には、保釈保証金というお金や身元保証人の準備が求められるケースが多いです。
国選弁護人がただ怠けて保釈の手続きをしていないのか、保釈が認められないケースであるから保釈の手続きをしていないのか、判断する必要があります。

恋人が逮捕されたので私選弁護人に依頼したいのですが…

弁護人を選任する権利は、被疑者・被告人やその血縁者等に限られています。そのため、逮捕された方の恋人が直接弁護士に依頼をすることはできません。
このような場合、まずは弁護士が逮捕された方へ接見に行き、ご本人の意思を確認してご本人と契約を締結するという流れになります。

信頼出来る弁護士かどうかが、事件の明暗を左右します。

刑事事件の被疑者・被告人として扱われるということは、人生の中でそうあることではありません。

逮捕された後に捜査機関を介在させずに会うことができるのは、弁護士しかいません。

被疑者・被告人として扱われてしまうという非常事態のなか、弁護人は頼れる味方であるべきです。

弁護人が信頼できる弁護士かどうかは、問題の終わり方に対して、強い影響を及ぼします。

弁護士法人ALG&Associatesでは、これまでの長年の刑事事件のノウハウを生かし、品質の高い弁護活動を迅速に提供させていただきます。

私選弁護人をお探しの方は、ぜひ、当法人へご連絡ください。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長弁護士 辻 正裕
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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