児童ポルノとは?所持でも罪になる?児童ポルノの禁止行為と罰則
児童買春・児童ポルノに関するニュースを耳にしたことがある方も少なくないと思われます。児童買春・児童ポルノは罰則が重いだけではなく、児童買春・児童ポルノの被疑者・被告人になった者のご家族にとっては、非常に精神的ショックが大きい犯罪といえます。
本稿では、主に、児童買春・児童ポルノ禁止法について解説します。
目次
児童ポルノとは
「児童ポルノ」とは、写真、磁気的記録にかかる記録媒体その他のもので、児童の性交や性交類似行為、衣服の全部又は一部を着けない児童の容態で特に性器などが露出され、性欲を興奮刺激させるもののことをいいます。
ここで、児童ポルノの対象となる「児童」とは、十八歳に満たない者をいいます。そのため、アニメや漫画に描写されたものは、原則として、児童ポルノには該当しません。
ただし、実在した児童を基に作成された写真から、CGにより描写されたものに関して、児童ポルノに該当すると判断した最高裁判例があることに注意が必要です(最高裁判所令和2年1月27日 第一小法廷決定)。CG等の場合でも、一切児童ポルノに当たらないわけではありません。
児童ポルノに関する法令
児童買春・児童ポルノ禁止法
児童買春・児童ポルノ禁止法は、18歳未満の未成年者を性犯罪から保護し、未成年者を健全に育成させるための法律で、児童ポルノの要件や罰則などが規定されています。
平成26年の法改正により、児童ポルノを自己の性的好奇心を満たす目的で所持・保管していた場合にも処罰されることとなりました。
自治体の青少年健全育成条例
児童買春・児童ポルノに関しては、自治体の青少年健全育成条例でも規制されています。
罰則や条文の規定ぶりについては各自治体によって異なりますが、児童との性交、性交類似行為、その他わいせつな行為を行うことを処罰の対象としていることが多いです。
児童ポルノの禁止行為と罰則
単純所持
単純所持は、以前は刑罰の対象となっていませんでした。しかし、これを禁止しなければ児童ポルノの拡散が止まらないと考えられたことなどから、平成26年の改正により、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持・保管していた場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることとなりました(児童買春・児童ポルノ禁止法7条1項)。
例えば、自己のパソコンに児童ポルノに関する映像等を保管していた場合等です。
製造・提供
児童ポルノを製造・提供した場合には、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されることとなります(児童買春・児童ポルノ禁止法7条2項ないし4項)。
例えば、動画撮影等の方法により、児童ポルノを製造したり、第三者に提供した場合等です。
不特定多数への提供・公然と陳列
児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した場合には、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処されることになります(児童買春・児童ポルノ禁止法7条6項ないし8項)。
例えば、インターネットに児童ポルノをアップロードし、第三者がダウンロードすることを可能にする状態にした場合等です。
こちらは他の行為態様と比べて比較的重いものとなっています。これは、児童ポルノを拡散させることで、児童の被害を拡大させることから重く処罰されているものと解されます。
児童ポルノの製造目的の買春
児童ポルノを製造する目的で、児童と買春行為をした場合、1年以上10年以下の懲役に処せられることになります(児童買春・児童ポルノ禁止法8条)。罰金刑がないという点において、児童買春罪(5年以下の懲役又は300万円以下の罰金)よりも重い罪となっています。
児童ポルノの製造目的の盗撮
児童ポルノを製造する目的で、児童の裸等を盗撮した場合には、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されることとなります(児童買春・児童ポルノ禁止法7条5項、2項)。 この犯罪が成立するためには、対象児童に知られることなく撮影していることが要件となります。
児童ポルノ事件の時効
刑事訴訟法上、時効の期間を過ぎると検察官が公訴を提起することができなくなります。
具体的には、
- 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持・保管、他人に製造・提供する行為は3年
- 不特定若しくは多数の者に児童ポルノを提供し、又は公然と陳列した行為は5年
となります。
児童ポルノ事件の捜査
児童ポルノ所持の容疑で捜査が行われる場合、自宅に家宅捜索が行われる可能性が高いといえます。なぜなら、一般的にパソコンやスマートフォン等の電子媒体に児童ポルノを保存している可能性が高いと予測されているからです。
家宅捜索によりパソコン等が押収され、捜査された結果、余罪が判明することも少なくありません。
家宅捜査について詳しく見る逮捕後の流れ
児童ポルノを単純に所持しているだけであっても検挙される場合があります。これは多くの場合、児童ポルノを販売・公開している業者やサイトが捜査機関により摘発されることにより、芋づる式で購入者等まで特定することができるからです。
逮捕後の流れについて詳しく見る児童ポルノで逮捕された場合の弁護活動について
一般的に、逮捕された場合には、まず勾留回避を目指す弁護活動(検察官や裁判官に対する意見書の提出等)をします。
次に、勾留を回避できなかったとしても、身柄の早期解放を働きかける弁護活動(勾留を認めた判断は誤りであると主張する書面の提出、被害者との示談交渉等)をします。
いずれにしても、早期に弁護人を選任することが望ましいといえます。
児童ポルノの禁止行為をしてしまったら、早期に弁護士へ相談を
児童ポルノの禁止行為については、逮捕段階であれば勾留阻止に向けた弁護活動、勾留されてしまった場合には不起訴処分に向けた弁護活動をすることが必要です。
また、警察・検察の捜査を受ける前でも、児童買春・児童ポルノの犯罪に心当たりがある場合には、自首等をしておくことが望ましいこともあります。
決してお一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修
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埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。