勾留とは?勾留の流れや期間、対応策について
勾留の意義・要件等を説明した上で、万が一、逮捕に引き続き勾留されてしまった場合に知っておいてほしいこと及び弁護士ができる弁護活動について、解説します。
目次
勾留とは
勾留とは、被疑者又は被告人の身体を継続的に拘束する手続きのことをいいます。
勾留される要件
被疑者勾留の要件には、「勾留の理由」と「必要性」があります。
「勾留の理由」とは、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(相当の嫌疑)があることに加え、①被疑者が住居不定のとき、②被疑者に罪証隠滅の恐れがあるとき、③被疑者に逃亡のおそれがあるときのいずれかに該当する場合をいいます。
「必要性」とは、起訴の可能性、捜査の進展の程度、被疑者の個人的事情などから判断される勾留の相当性のことをいいます。
罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある
「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」とは、通常逮捕を行うよりも高度の嫌疑が必要とされています。
住居不定である
「住居不定である」とは、定まった住所や居所を有しない場合に限らず、住居が明らかでないときやわからないときも含まれます。
証拠隠滅のおそれがある
「証拠隠滅のおそれがある」とは、証拠を隠したり、共犯者と口裏合わせをしたりするおそれがあることが典型的な具体例ですが、捜査や公判に影響を与えるおそれがある場合も含まれることがあります。
逃亡のおそれがある
「逃亡のおそれがある」とは、文字通り、逃げるおそれがあることを意味しますが、捜査機関の出頭要請に応じないおそれが高い場合も、当該要件を満たすと判断されることが多いです。
勾留と拘留の違い
「勾留」は、被疑者又は被告人の身体を継続的に拘束することを意味しますが、「拘留」とは、刑法に定められた刑罰の一種であり、1日以上30日未満の間、刑事施設に収容されることを意味します。
勾留までの流れ
検察官は、警察から被疑者の身柄の送致を受けたときは24時間以内に、勾留請求を行います。
その後、勾留請求を受けた裁判官による勾留決定がなされると、勾留されることになります。
逆に、裁判官によって勾留の要件を満たしていないと判断された場合には、釈放されることになります。
勾留請求
勾留請求とは、検察官が、勾留請求書を裁判官に提出する方法で、被疑者の勾留を求める手続きです。
勾留質問
勾留質問とは、検察官から勾留請求を受けた裁判官が、被疑者を勾留するかどうかを判断するために、被疑者に対し、弁解の機会を与える手続きのことをいいます。
勾留後の処分
勾留状による身体拘束の効力が継続する期間を勾留期間といいますが、被疑者勾留のまま起訴された被告人の勾留期間は、公訴提起があった日から2ヶ月です。
2ヶ月が満了しても、特に継続の必要がある場合には、裁判所は、1回のみ更新ができますが、①被告人が死刑、無期…に当たる罪で起訴されているとき、②被告人が常習として長期3年以上の自由刑に当たる罪で起訴されているとき、③罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき、④被告人の氏名または住所がわからないとき、などの場合には、制限の適用はなく、勾留が続きます。
釈放と保釈
「釈放」とは、逮捕・勾留といった身柄拘束から解放されることをいい、「保釈」とは、被告人のみに認められた一定額の保証金の納付を条件に勾留の執行が停止され、身体拘束が解かれることをいいます。
勾留の期間
起訴前の勾留・勾留延長
被疑者の勾留期間は、原則として勾留の請求をした日から10日間です。
そして、裁判官が、「やむを得ない事情」があると判断した場合に限り、検察官の請求により、通算して10日を超えない範囲で期間の延長が可能です。
起訴後の勾留
起訴後の勾留は、公訴提起があった日から2ヶ月です。
勾留期間が満了しても、特に継続する必要がある場合には、1ヶ月ごとに更新が可能です。
起訴後勾留では、保釈が認められると、身体拘束が解かれます。
勾留の延長
勾留期間は、「やむを得ない事情がある場合」に限り、延長が認められています。
延長を阻止したい場合には、準抗告が認められており、準抗告が認められると、身体の拘束が解かれることになります。
勾留延長の「やむを得ない事由」
「やむを得ない事由」とは、事件の困難性、あるいは、証拠収集の遅延もしくは困難により勾留期間を延長して更に調べるのでなければ起訴もしくは不起訴の決定をすることが困難な場合を意味します。
勾留中の面会
接見禁止処分、すなわち、弁護士以外の者が被疑者・被告人と接することを禁止する処分がなされていない場合には、家族等による面会や衣類、書籍、雑誌、お金等を差し入れることができますが、なされている場合には、弁護士しか、接見することは叶いません。
勾留を回避するためには
法律上、逮捕されてから遅くとも72時間以内に検察官による勾留請求がなされ、次いで、裁判官が勾留決定を出すことが予定されています。
勾留の理由または勾留の必要性がなくなったことを主張することで、身体の拘束を解くことができますので、勾留決定を阻止するために弁護士に早めのご相談をお願いいたします。
勾留決定に納得がいかない場合の対応
勾留決定に納得ができない場合には、「準抗告」と「勾留取消請求」ができます。
「準抗告」とは、裁判所に、決定の取消しを請求することを意味し、「勾留取消請求」とは、勾留の理由または必要性がなくなったことを主張して、勾留の取消しを求めることを意味します。
勾留された場合の弁護活動について
勾留されたとしても、不起訴になった場合や在宅取調べに切り替えられた場合には、釈放され、身柄拘束が解かれることになります。
そこで、起訴前には不起訴を目指す示談成立に向けた弁護活動を、起訴後には保釈に向けた弁護活動を弁護士は行うことができます。
勾留を回避したい、釈放・保釈してほしい場合は、早急に弁護士へ相談を
万が一逮捕されてしまった場合、勾留を阻止し、身柄解放を目指すには、時間との勝負です。
早期に身柄解放をご希望するのであれば、早急に是非弁護士にご相談ください。
この記事の監修
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埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。