監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士
- 企業で発生するハラスメント問題について
目次
ハラスメント防止を怠ることのリスク
世の中には多くの類型のハラスメント行為がありますが、その中でも代表的なものとしてセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントがあります。
このようなハラスメント行為に関しては、事業主に対して雇用管理上講ずべき措置が義務付けられていることもあり、企業経営のうえで放置しておくことは出来ません。
ハラスメントは、会社が賠償責任を負いかねないというリスクのみならず、多種多様な悪影響を会社に生じかねない行為です。
今回は、企業経営に及ぼす悪影響をご説明させていただき、会社としてハラスメント対策に真剣に取り組んでいただくきっかけとなれば幸いです。
損害賠償責任を負い得ること
行為者だけでなく、行為者を使用していた会社にも使用者責任として、損害賠償責任が生じることがあり得ます。
また、労働契約上の付随義務としての安全配慮義務違反(労働契約法5条)も負うことにもなります。
ハラスメントに対処しないことで、会社自体が賠償責任を負うことになってしまいます。
労働者の退職
ハラスメントが生じた場合には、会社内の労働者が退職してしまうというリスクがあります。
人材不足が叫ばれる中で、ハラスメントを原因として社内の労働者が退職してしまうことは会社にとってデメリットしかありません。
被害者の退職
まずは、被害を受けた労働者が、会社を辞めてしまうことがあり得ます。辞め方は様々で、メンタルヘルスからの休職、退職や、そこまで行かない事案でも、会社に対する信頼を失ったことで退職してしまうケースがあります。
行為者の退職
また、行為者の退職もあります。加害者である行為者の退職は、事案によっては懲戒解雇といったケースもあるでしょうから、会社にとってデメリットとまで言えない場合もあります。
ただ、セクシュアルハラスメントと異なり、パワーハラスメントなどは、業務上の必要性に伴って行われることもあり、仕事に情熱を持っている労働者がやりすぎてしまう、といった事案もあり得ます。
会社が、そのような行為を抑制する措置を取っていれば、そのような社員を退職に至らしめることもなかったかもしれないのであって、やはり会社にとってデメリットといえる場合があります。
周囲の労働者の退職
ハラスメントが会社に顕在化していない間に、よくあることですが、職場でハラスメントが行われている場合、被害者だけでなく、周囲の労働者が退職に至ってしまう場合があります。
いつ自分がハラスメントの被害者となるかはわかりませんし、会社がハラスメントに適切に対処していないことを見て、会社に対する信頼感を失って退職に至る場合があります。
これも企業経営にとって悪影響しかありません。
企業のイメージダウン
会社内でハラスメントが生じたことは、今の世の中では、SNSなどによって、すぐに拡散してしまう恐れがあります。
また、労働審判や訴訟に至った場合、日本の労働判例では、事件に会社名がつけられることが非常に多いため、将来にわたってイメージダウンとなる判例が紹介され続けてしまう恐れがあります。
このようなイメージダウンも、企業にとって無視できないハラスメントによる悪影響です。
企業にとってメリットは一つもないため、ハラスメントを防ぐことが重要です。
以上に述べてきたように、法的損害賠償責任のみならず、労働者の退職や、企業のイメージダウンなど、ハラスメントが企業経営に与える悪影響は、多岐にわたります。
ハラスメントが生じる背景や風土に対処しないことは、企業にとって何らのメリットもなく、デメリットしかありません。
埼玉県内でハラスメントの防止についてお悩みの企業の方は、ぜひ一度弁護士法人ALG&Associates埼玉法律事務所にご相談ください。
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