整理解雇について

公開日:2020年10月8日
  • 問題社員の解雇・雇い止め

整理解雇について

事業を経営している場合、売上の減少や経営状況悪化に伴い、固定経費を削減しないといけない場面が出てくることが有ります。会社内の人員の整理もその一つです。

今回は、人員整理の方法として、整理解雇についてご説明させていただきます。

普通の解雇と整理解雇は何が違うのか

解雇とは

解雇とは、会社の一方的な意思表示によって、従業員との間の労働契約を終了させるものです。会社と従業員との間には、力関係に明確な差があることから、日本では、会社からの一方的な解雇に対する法的な規制がなされています。

労働契約法第十六条において、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」されています。

整理解雇とは?

経営不振などの経営上の理由により人員削減の手段として行われる解雇を整理解雇といいます。すなわち、整理解雇とは解雇に求められる合理的な理由のうち、経営上の必要性との理由によって行われるものです。

整理解雇4要件と整理解雇の流れ

整理解雇に求められる要件

整理解雇は、例えば労働者の義務違反等、労働者側の事情に基づくものではなく、会社の事情に基づく解雇であることから、その他の理由に基づく解雇よりも厳しい制約が課されています。

いわゆる整理解雇4要件(①人員削減の必要性、②解雇回避努力、③人選の合理性、④手続きの妥当性)が要求されることになります。

人員削減の必要性

解雇の理由として、人員を整理=削減する必要を掲げている以上、当然かもしれませんが、経営上の理由により、人員削減する必要性があることが要件とされています。

実務上は、企業の経営実態を詳細に審査して人員削減の必要性を認定しているわけではなく、会社の経営判断を基本的に尊重する方向にあります。

但し、財政状況に全く問題が無い場合や、整理解雇を行いながらも新規採用を行っているなどといった事案では、人員削減の必要性が無かったと評価されてしまうことはあります。

以下に述べる手続きの妥当性ともかかわってきますが、実際に整理解雇に踏み切る前には、経営状態の悪化について説明会を実施するなどして従業員にも人員削減の必要性を理解してもらえるように勤めることになります。

解雇回避努力

また、人員を削減する必要性が認められるとしても、解雇以外の人員削減手段を模索し、解雇をできる限り回避することが求められます。

どういうことかといえば、残業の削減、新規採用の手控え、余剰人員の配転・出向、非正規従業員の雇止め・解雇、一時休業、希望退職者の募集などの手段を取ることが求められています。

そうはいっても、各会社によって事情が異なりますので機械的・画一的にこの処理のすべてを求められるわけではありません。抽象的にはなってしまいますが、当該企業において可能な限りの措置を取って解雇を回避するよう努力を尽くすことが必要です。

例えば、小規模な法人で、余剰人員を配転・出向させる余地がなかったという会社で、退職勧奨を行いながら話合いによる解決を目指したという事案では、解雇回避に向けて一応の努力を肯定しています(財団法院市川房枝記念会事件)。

実際に整理解雇を行う際には、まずは希望退職者を募集することが一般的です。この際、有能な従業員に退職されることを防ぐために、対象者は会社が承認した者という限定をつけておく方がよろしいです。

希望退職者の募集を行ったあと、役員報酬の減額や余剰人員の配転・出向、派遣社員やパート社員など非正規従業員の雇止めなどを検討すべきことになります。ただ、雇止め等においても、解雇権濫用法理と同等の保護がなされていますので、簡単に雇止めができるとはお考えいただかない方が無難です。

人選の合理性

解雇回避努力を尽くしたとしても、なお余剰な人員がいるという場合には、余剰人員数を確定したうえで、合理的な人選基準を定めて、その基準を運用し、解雇する従業員を決定することが求められます。

例えば、勤務成績や勤続年数、労働者の生活上の打撃(扶養家族の有無・数等)が、人選基準において考慮される要素といわれます。

恣意的な基準であると、整理解雇が無効となってしまうため、できる限り客観的な基準を用意することをお勧めします。

例えば、欠勤日数が合計何日以上あるものとか、懲戒処分歴があるもの、人事考課による評価がある基準以下であったもの等、後で恣意的な判断であると疑われないようにしておくと良いでしょう。

手続きの妥当性

労働協約や就業規則に解雇協議約款がある場合はもちろん、そうでなかったとしても整理解雇を行うにあたっては、人員整理の必要性や解雇回避の方法等について説明し、誠意をもって協議しなければなりません。 ある裁判例では、労働組合と協議し合意を得ていても、解雇される労働者本人から意見聴取の手続きを取っていなかったことを指摘して解雇手続きは十分な相当性を備えていないとしたものもあります(ジャパンエナジー事件)。

従業員に対して、十分な説明・周知を行うことが肝要です。

不意打ち的な整理解雇は手続の妥当性を欠くものとされる恐れが高いです。

まとめ

以上に述べた4要件を満たすかどうかを判断して整理解雇が有効かどうかを判断することになります。

もちろん、各会社によって実情・実態が異なりますから、それぞれの要件をどの程度満たすべきかどうかは、会社の実情・実態に応じて変わることになります。近年の裁判例では、4要件ではなく4「要素」(整理解雇が有効であるためには、全てを満たす必要がないという意味です。)であるとして、総合的に整理解雇の合理性・相当性を判断しているものもあるほどです。

自社に即した整理解雇の流れや具体的な要件の充足、整理解雇の有効性については、弁護士にご相談いただいた方がよろしいです。

埼玉県内で整理解雇についてお悩みの企業は、弁護士へご相談ください

以上に述べたとおり、整理解雇は、会社の都合によって解雇を請求していくものであることから要件を充足しない限り無効となりかねません。

会社としても従業員を解雇することは最終手段だとご理解いただいているとは思います。しかしながら、急激な経済状況の悪化から、会社としてやむなく整理解雇に踏み切らざるを得ないというケースもどうしてもあります。全員で倒れるのではなく、会社で働く従業員のうち、一人でも多くの生活を守る手段として、整理解雇という選択肢があるのだと思います。

整理解雇には、法的に難しいところがありますので、自社のみで手続を進めたり、判断されずに専門家である弁護士にご相談されることを強くお勧めいたします。

弁護士法人ALG&Associates埼玉法律事務所では、整理解雇を行うにあたって、会社の実情から整理解雇の要件を満たしうるかの精査や、従業員に対する説明への立ち合いなど、整理解雇を行う段階で様々なサポートが可能です。

また、整理解雇を行った後、従業員から解雇無効を主張された場合の交渉や、労働審判等の紛争対応にもサポート可能です。

埼玉県内で整理解雇についてお悩みの企業は、ぜひ一度、弁護士法人ALG&Associates埼玉法律事務所にご相談ください。

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