円満に内定取消を行う方法

公開日:2020年10月8日
  • 問題社員の解雇・雇い止め

内定取り消しを行う時に留意するべきポイント

そもそも内定とは?

内定とは、人材を募集したことに対して、応募してきた人物を選考して、社員とすることを仮約束している状態だと理解している方はおおいのではないでしょうか。

まだ、雇用契約書を取り交わしていないのだから・・・と思われるかもしれませんが、この考え方は少し間違っています。

《内定を契約の予約だと判断するのは非常に危険》

人材募集は、労働契約申し込みの誘因となり、希望者が応募してくることは労働契約の申込みということになります。この申込みに対して、企業側が選考した結果、採用を内定することで申込みに対する承諾をしたということになります。この段階で契約が締結されていることになります。

この契約は、一般に、始期付であり解約権留保付とされます。

解約権の留保

内定を出すことで契約締結は完了しているといっても、採用内定通知書等に記載されている採用内定取消事由が生じた場合や、大学卒業見込みの段階で就職活動を行っている新卒者が、大学を卒業できなかった場合などには解約できるとされています。

このように採用する側の企業は一定の場合に労働契約を解約することができる解約権を有することになります。

《内定取消事由に該当する事例》

  • ・入社日までに在籍校を卒業できないとき(令和○年○月○日までに卒業と日付は明記する)
  • ・健康状態が内定段階よりも著しく低下、就労が不可能になったと会社が判断したとき
  • ・履歴書や申告した事実に虚偽の事実があるなど経歴詐称の事実が判明した場合
  • ・刑事処分(逮捕または有罪判決など)
  • ・会社の名誉、信用を毀損(きそん)するような行為を行った事実が判明した
  • ・会社の経営状況が悪化した場合
  • ・その他前各号に準ずる事由が存することにより、入社することが適さないと会社が判断した場合

内定取消に対する法的制約

《内定取消しは解雇と同様の性質》

ただ、採用内定も労働契約の成立であることから、採用内定の取消しは、この留保解約権の行使の適法性の問題として「解雇権濫用法理」に準じた制約を受けます。もっとも、未だ就労を開始していない内定者であることから、一般の解雇と比べてより緩やかな基準で適法性が認められる傾向にあります。

《内定取り消しには合理的、客観的な社会通念上妥当だという理由が必要》

なお、営悪化を理由とした採用内定の取消しについても、整理解雇に準じた検討が必要となります。

内定取消を行う際のポイント

会社側が解約権を有しているといっても、行使するには法的制約が加わるということをご理解いただけたと思います。ですからできるだけ協議(話し合い)によって進めていく必要があり、内定辞退、合意により取消してもらうように交渉を進めなくてはいけません。

次にあげる5つのポイントに注意する必要があります。

①内定取消を行うなら早めに申し出る

他企業への就職活動の機会を与えるためにも、内定を取消せなければならない事態になったらその旨を性急に伝えるようにしましょう。

②必ず該当者と直接協議する

書面で内定取り消しを通達する必要はもちろんありますが、書面だけではあまりにも誠意、謝罪の気持ちが伝わりません。ましてや電話やメールだけなどは論外です。とくに会社側の都合であればもちろんですが、内定者に帰責性がある場合であったとしても、直接会う場を設けて、内定取消理由を伝えてください。

③誠意をもって理由を説明する

内定者がこの理由なら仕方ないと納得してもらうためにも、内定取消にいたった根拠資料と照らし合わせて経緯を説明しなければいけません。

④金銭補償を提示することも必要

特に入社日まで間がないような場合には、新たな就職先がすぐに見つかるとは限りません。入社予定だった対象の不利益や、精神的苦痛への配慮の趣旨も含めていくらかの金銭補償をすることも検討すべきかと思います。

⑤合意書を作成する

内定者から内定取消しについて同意が得られたら必ず書面で合意の意思を明確にしておきます。

SNSで自由に発言できる風潮ですから、同意は得られたものの内定者の怒りが収まっていない場合には、誹謗中傷等を禁止する旨の条項も定めておく必要もあります。

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