新型コロナウイルス感染拡大に伴い、企業が行うべき感染拡大防止措置及び従業員に感染者が生じた場合の対応(安全配慮義務の実現について)

公開日:2020年10月8日
  • 新型コロナウイルス関連

はじめに

「うちの会社はコロナの感染拡大に何もしてくれない」「テレワークにもしてくれないんだ」「コロナが怖いので、休業してくれませんか」

従業員から、このように言われたとき、自分の会社では感染拡大防止措置を取っているから大丈夫だと答えられるでしょうか。

「高熱が出て、咳が止まらないんです。」「病院にいってPCR検査をしたら・・・」

ある日、従業員からこのような連絡が入ったとしたら、自分の会社ではどのように対応するのでしょうか。

新型コロナウイルスの感染拡大は、とどまるところを知りません。世間では自粛などによって感染拡大に努めていますが、それでも感染を完全に食い止めることは難しいでしょう。

ついに、令和2年4月7日には、七つの都府県に緊急事態宣言も出される事態となりました。また、同月16日には、全国まで対象地域を拡大していくことも表明されました。

自社の社員が感染してしまうことは、会社にとって、もはや避けられない問題です。

ですが、新型コロナウイルス感染症に対して、どのような対応を取るべきか、決めきれていない会社も多いのではないでしょうか。

新型コロナウイルスについて、気になる問題について、ご説明いたします。

新型コロナウイルス感染拡大防止措置について

新型コロナウイルスの特徴について

新型コロナウイルスとは

令和元年12月に中国武漢で原因不明の重篤な肺炎が発生し、この原因として新しいコロナウイルスが検出されました。これが、世にいう新型コロナウイルスです。

世間では、コロナと略されてることが非常に多いですが、WHOは令和2年2月11日にCOVID-19と命名しました。

インフルエンザと同じというのは本当なの?

世間では、当初、インフルエンザと似ているといったような風潮がありました。

インフルエンザは、3~4日までの症状が重く、その後は改善に向かうといわれますが、新型コロナウイルス感染症では、症状が一週間前後続くことが特徴であるといわれています。

そのため、4日を過ぎても発熱が続くようなケースは、インフルエンザではなくて、新型コロナウイルス感染症を疑うことになります。

また、潜伏期間は最長14日程度あるともされています。

重症例での死亡率は、新型インフルエンザと比べると高いとの報告もなされています。

感染の仕方について

新型コロナウイルスは、物を介する感染と飛沫感染が考えられるといわれています。

物を介する感染は、例えば、感染している人が、鼻をかむなどした場合、ウイルスが手につきますが、この手で、ドアノブなどを触ったりすれば、そこにもウイルスが付着します。このドアノブを他人が触ることで、その人の手にもウイルスがつき、その手で口や鼻、目などを触っていくことで感染するという感染の仕方です。現在のデータによれば、乾燥したプラスチック表面であれば72時間程度はウイルスの感染力があるとも言われます。

飛沫感染は、感染している人が咳やくしゃみをする際に飛び散る飛沫の中にウイルス含まれており、それが他人の口や鼻等に入ることで感染するという感染の仕方です。一般、飛沫感染は2m離れれば感染しないとされています。

特徴を踏まえた予防策

感染の仕方から考えれば、多くの人が触れる物に自分が触れる機会を減らすことや、こまめな消毒作業、人との距離を2m以上保つといったことが有効になってきます。

また、症状が長引くことが特徴とされていることから、1~2日の体調不良はともかく、4日以上体調不良が続く社員がいた場合には、注意しておく必要があります。

潜伏期間も最大14日と長いといわれていますから、仮に感染者が出た場合などは、この期間を目安に、他の従業員の感染を防止していくことが必要となっていくでしょう。

予防策の実例

以上の特徴に鑑みて、様々な予防策が考えられます。中には、実際に町で見たことがあるという予防策もあるかと思います。

政府が言うように、基本的には三つの密(①密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、②密集場所(多くの人が密集している)、③密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる))を避けることが肝要です。

以下に述べる全てを併用していなければ安全配慮義務に反する、等とされないでしょうし、その他の予防策もあるでしょうが、自社の社員を守るために、参考にしてみてください。

検温の実施と報告の徹底

新型コロナウイルス感染症の症状は、咳と発熱であるとされています。

毎朝検温し、会社に報告を求めるといった対応が考えられます。

また、発熱がある場合には、上司など決裁権のある人間にまで報告するルートを確立しておくことも重要です。

これをすることで、37.5℃以上の発熱が継続するようであれば、出社を停止する、保健所に相談するなど、素早い初期対応を行うことができるようになります。

これにより、他者への拡散を防ぐなとの感染予防につながります。

マスク着用

咳エチケットの徹底などともいわれていますが、他人と接するときは、マスクを着用するようにしておくことで、飛沫感染予防になります。

飛沫感染を防ぐことはもちろん、物を介する感染は、ウイルスが付着した手で、口や鼻、目を触ることで起きるのですから、口や鼻への接触を防ぐという意味でもマスクは有用です。手を消毒するまで、マスクは原則外さないというようにしておくことで、物を介する感染予防につながります。

この一環か、一部の小売業の店舗では、マスクのみならず、レジ前に透明なフィルムをぶら下げることで客との飛沫感染を防ごうとしているところも見受けられます。

手や、良く触れる場所の消毒

新型コロナウイルス感染症の感染の仕方には、物を介する感染があります。

これは、例えば、感染している人が、鼻をかむなどした場合、ウイルスが手につきますが、この手で、ドアノブなどを触ったりすれば、そこにもウイルスが付着します。このドアノブを他人が触ることで、その人の手にもウイルスがつき、その手で口や鼻、目などを触っていくことで感染するという感染の仕方です。

そのため、従業員の手の消毒を徹底させるということや、人が手を触れる部分をこまめに消毒することで、物を介する感染予防につながります。

人の集まりを避け、移動を減らす

新型コロナウイルス感染症は、無症候又は症状の明確でない者からも感染するとも言われています。そのため、明確に症状が現れていない人からも感染する恐れがあります。

だからこそ、人と人との距離をとること(social distance:社会的距離)が感染予防には重要とされています。

具体的には、対面での会議を減らす、イベント毎は中止しwebでの配信などに切り替えられないか検討する等が考えられます。

また、出張や、出向などは、できる限り控えることをお勧めします。

テレワークの実施

新型コロナウイルス感染症の感染の仕方に照らせば、物を介する感染を予防することで、感染予防をすることができます。すなわち、人と人が接触する機会、人が物に触れる機会、人が触れた物に触れる機会を減らすことで、物を介した感染を予防することができます。

そのため、そもそも従業員を同一の場所に集めないテレワーク・在宅勤務を用いることで、感染予防策を実施することができます。

※テレワークに伴う労務問題は別記事参照

テレワークの態様

テレワークの方法としては、何パターンか考えることができます。

完全にテレワークとする方法と、テレワークを併用するという方法があり得ます。

完全にテレワークしてしまう方法は、わかりやすいです。従業員全てに在宅や所属オフィス外での勤務を命じるということで、物を介した感染(もちろん飛沫感染もですが)を予防することができます。

他方で、テレワークの設備が整っていない会社も多く、設備面から実現ができない問題や、どうしても会社内の設備を用いなければ仕事ができないといった場合も考えれます(郵便対応など)。

その場合には、テレワーク社員と、通常勤務を併用することが考えられます。

2日交替制にするとか、1週間交替制にするなど、シフトをどのように組むかといった問題はありますが、接触する人間を限定することで、物を介した感染や飛沫感染の予防に一定の効果が認められると考えます。

テレワーク併用時の注意点

気を付けたいのは、物を介した感染は、例えばプラスチック表面上であれば72時間の間ウイルスに感染力が残存するとも言われている点です。

単に交代制にしたのみならず、入り口での手の消毒や、ドアノブなど人が良く手を触れるところの消毒作業を徹底することで、シフトが異なる集団の物を介する感染予防に注意しておく必要があります。

完全に人と人の接触(物を介しても。)をなくすテレワークができないのであれば、併せて消毒作業も行うようにしましょう。

感染者が出た場合、事業所は閉鎖すべきか

感染予防策を実施したものの、感染者が生じた場合、事業所を閉鎖すべきかは悩ましい問題です。

これについては、結論から申し上げますと、ケースバイケースと言わざるを得ません。

ただし、消毒作業や、濃厚接触者の待機は必ずすべきである

感染の仕方に物を介する感染があるといわれていることから、感染者が出た場合には、消毒作業が不可欠の対応となります。

仮に消毒作業をしないとすると、他の従業員に対する感染症予防策が不十分であるとして、安全配慮義務に反する可能性が出てくるため、消毒作業中は、新たな物を介する感染を防ぐため、最低限閉鎖せざるを得ません。

また、濃厚接触者については、潜伏期間が最長14日間というデータがあることから、その間は自宅待機を命じることになります。

しかしながら、消毒作業が終わった後、濃厚接触者以外の従業員も出社させず、事業所を閉鎖し続けるべきかどうかは悩ましい問題です。

中小企業であれば、1~2週間の事業所の閉鎖によって、売上がなくなれば、そのまま倒産ということも考えられなくはないからです。

法律上、閉鎖を命じられることがあるのか。

いわゆる感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)によると、第32条において、都道府県知事が建物の立ち入りを制限又は禁止、封鎖することができるとされています。しかしながら、同条は、エボラ出血熱など致死率が非常に高い一類感染症に限定されたものであり、新型コロナウイルスにおいても直ちに適用があるとは言えません。

また緊急事態宣言においても、原則として自粛要請ですから、閉鎖を命じられることはありません。

そのため、法律上、罰則をもって閉鎖を命じられることは、今のところは考え難いです。

もっとも、行政からの強い自粛要請はあり得るでしょうし、それによる事実上の閉鎖をしなければならなくなるといった事態は考えられます。

安全配慮義務の履行としての閉鎖

他方で、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」(労契法5条)とされています。

事業所内から、新型コロナウイルス感染症に罹患した従業員が出たというのに、何らの措置を取らないというのは安全配慮義務に反する可能性があります。

初めにも触れましたが、感染の仕方には物を介する感染もあります。そのため、消毒作業が必要不可欠となるでしょう。

また、完ぺきな消毒作業ができるかはわかりませんから、ウイルスの感染力を低下させるために一定時間以上、事業所の出入りを制限しておいた方が物を介する感染の予防にはつながります(その間も換気はし続けた方がよいでしょう。)。

そういった意味で、全く閉鎖しないということは、安全配慮義務に反するとされるリスクがあります。

なお、潜伏期間中の従業員がいるかもしれませんから、感染者と14日以内に濃厚接触した者がいる場合には閉鎖を解除するとしても、その期間中は出社制限を行う必要があるでしょう。出社させてしまった場合には、消毒の意味も、閉鎖の意味も失ってしまう恐れがあります。

閉鎖すべき期間は?

ウイルスの特徴などを踏まえると、消毒後72時間以上閉鎖し、かつ、濃厚接触者を14日間出勤停止にしたうえで、事業所を閉鎖し続けることが感染予防にとって効果が非常に高いとは言い難いとも考えられます。

そういった意味で、閉鎖、休業の期間は、ケースバイケースということになるでしょう。

埼玉県内で新型コロナウイルス感染症に関する安全配慮義務でお悩みの企業の方は弁護士にご相談ください。

新型コロナウイルス感染症は、世界中に感染が拡大しており、日本においても予断を許さない状況が継続し続けています。感染予防拡大のために、また従業員への安全配慮義務を果たすために、会社として、できることをしていく必要があります。

ただ、事業所の閉鎖や休業に関しては、経営に大打撃を与える可能性もあり、簡単に決断できるものではありません。また、今回は触れていませんが、休業した場合に休業手当を支払うべきかといった賃金に関する問題や、テレワーク導入時の労働時間管理の問題など、様々な労務問題があり、実際の対策には、弁護士など労働法に詳しい専門家の協力は不可欠です。

専門家の協力を得ることで、この困難を乗り越えて、企業活動を継続し、自社の社員を雇用し続けることができるようにしていくことができるはずです。

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