代襲相続とは|代襲相続人になれる人と相続割合

コラム

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕

監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士

相続は人の死亡により開始します。相続が開始した場合、誰が相続人となるか、遺産の範囲の問題など、難しい問題が多く生じます。特に誰が相続人となるかという問題については、代襲相続という難しい問題が生じることもあります。 そこで、今回は、代襲相続について解説をします。

代襲相続とは

代襲相続とは、被相続人が死亡する前に、相続人になるはずだった人が死亡するなどの理由で相続できなくなった場合に、その相続人の子どもが代わりに相続することをいいます。この相続人の子どものことを代襲相続人といいます。

代襲相続が起きるのはどんな時?

相続人が先に亡くなった場合

代襲相続が起きる代表的な例として、被相続人が死亡する前に、相続人が死亡し、その相続人の子どもが代わりに相続する場合が挙げられます。
具体的には、親よりも先に子どもが亡くなった場合、親の財産は孫に相続されるということになります。

相続人の資格を失った場合

その他、代襲相続が起きる代表的な例として、相続人が廃除された場合と相続人に相続欠格事由が生じた場合が挙げられます。

相続人排除

相続人の廃除とは、被相続人が生前に特定の相続人を相続から排除することを家庭裁判所に申し立てることで、その相続人の相続権をはく奪する手続きです。
また、遺言書によっても、相続人の廃除を指定することができます。

相続欠格

相続欠格とは、遺産を得るなどの目的で、被相続人を死亡させようとしたり、被相続人を脅迫して遺言書を作成させた場合に、その相続人の相続権が喪失することをいいます。相続人の廃除と異なり、家庭裁判所への申立ては不要となります。
また、被相続人をしぼうさせようとしたことを知って、告発または告訴しないような場合も相続欠格事由に該当します。

代襲相続人になるのは誰?

代襲相続人には、被相続人から見て、直系卑属であればどこまででもなることができます。例えば、被相続人よりも先に、被相続人の子が死亡した場合は、孫が代襲相続人となり、孫が先に死亡した場合は、ひ孫が代襲相続人となります。
他方で、被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合は、その兄弟姉妹の子どもは代襲相続人となれますが、被相続人の甥または姪の子どもは代襲相続人となることはできません。

代襲相続するために必要な手続きはあるの?

代襲相続をするためには、法律上特別な手続きは必要ありません。
ただし、実際上、代襲相続人が被相続人の預金を相続する場合や、被相続人の土地を相続する場合などは、金融機関や登記所に対して、自身が被相続人の代襲相続人であることを戸籍などで証明する必要があります。

代襲相続人の相続割合(法定相続分)

代襲相続では、相続人の相続割合を、代襲相続人が引き継ぐことになります。
代襲相続人が複数いる場合には、相続人の相続割合を各代襲相続人に均等に割り当てることになります。

孫が代襲相続する場合

孫が代襲相続する場合

上記の例の場合、相続人は、配偶者、子A、孫B1、孫B2になります。 それぞれの相続分は、配偶者が2分の1、子Aが4分の1(子A及び子Bが残りの2分の1を均等に割るため)となります。 そして、子Bの4分の1の相続分を、孫B1と孫B2が均等に割るため、孫B1と孫B2の相続分は、それぞれ8分の1となります。 なお、その他の人は、代襲相続人になりません。

甥姪が代襲相続する場合

甥姪が代襲相続する場合

上記の例の場合、相続人は、兄、甥、姪となります。 それぞれの相続分は、兄が2分の1、姉の2分の1の相続分を甥と姪が均等に割ることになります。 そのため、甥と姪の相続分は、それぞれ4分の1となります。 なお、姉夫は、代襲相続人になりません。

養子の子の場合

被相続人が養子縁組をした場合、その養子は、被相続人の子としての身分を取得するため、相続人となります。
もっとも養子の子が、被相続人の代襲相続人となるかは、2つの場合に分けることができます。
一つ目は、被相続人が養子縁組をした後に、養子に子が生まれた場合です。この場合は、その子は被相続人の孫になるため、代襲相続人になります。
二つ目は、被相続人が養子縁組をする前に、養子に子が生まれていた場合です。この場合は、その子は被相続人の孫にあたらないため、代襲相続人にはなれません。

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代襲相続の代襲相続もある(再代襲)

孫が代襲相続人となる場合で、その孫が被相続人の死亡以前に相続権を失ったときは(孫が被相続人の死亡前に死亡した場合、孫が相続人廃除された場合、孫に相続欠格事由が生じた場合など)、孫の子であるひ孫が再代襲相続人となります。
このような代襲相続の代襲相続を、再代襲相続といいます。

甥・姪の子は再代襲しない

被相続人のひ孫が再代襲相続人になれるのに対し、被相続人の甥や姪の子は再代襲相続人にはなれません。
甥や姪の子や甥や姪の孫に、再代襲相続や再々代襲相続を認めてしまうと、被相続人から縁遠くなってしまい、相続人の人数が無限に増える可能性があるため、相続財産が散逸してしまうおそれがあるためです。

代襲相続で税金が安くなることも

相続税には、基礎控除額というものがあります。
基礎控除額は、まず3000万円まで認められており、その3000万円に相続人1人あたり600万円が加算されます。
具体的には、相続人が1人であれば、基礎控除額は、3600万円ということになります。
そして、その相続人が被相続人よりも先に死亡し、相続人に子が3人いた場合は、子らが代襲相続人となります。
そうすると、相続人が1人から3人に増えるため、3000万円に1800万円(600万円×3)を加算した4800万円が基礎控除額となります。
相続財産から基礎控除額を引いた額に対して、相続税が生じるため、代襲相続により税金が安くなることもあるということになります。

税金の2割加算について

被相続人の配偶者、両親、子、孫(代襲相続人)以外の人が、相続または遺贈などにより相続財産を取得した場合には、その人の相続税が2割加算されます。
したがって、兄弟姉妹や姪・甥(代襲相続人)が、相続により相続財産を取得した場合には、その人の相続税が2割加算されることになります。

相続放棄後の代襲相続に注意

例えば、一人っ子のあなたの父親が多額の借金を残したまま死亡したケースを想像してみてください(すでに母親は死亡)。あなたが、相続放棄をすれば、借金を背負わなくて済みます。しかし、あなたが相続放棄をしたことで、相続人となったあなたの祖父母が相続放棄をしなかったとします。そうすると、あなたの祖父母は、あなたの父親の借金を背負うことになります。そして、あなたの祖父母が死亡した場合、あなたの父親は既に死亡しているため、あなたが父親の代襲相続人として、祖父母の背負った借金を代襲相続することになります。
このように、父親の借金を相続放棄したにもかかわらず、最終的に父親の借金を背負うことがあるため、相続放棄後の代襲相続には注意が必要です。

代襲相続人に遺留分は認められているか

遺留分とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことをいいます。
一定の相続人とは、被相続人の配偶者、子、両親を指します。子に遺留分が認められる以上、被相続人の孫が代襲相続人となった場合でも、孫に遺留分が認められることになります。
他方で、兄弟姉妹には遺留分が認められないため、甥や姪が代襲相続人となった場合でも、甥や姪には遺留分は認められないことになります。

代襲相続と数次相続の違い

数次相続とは、被相続人の死亡後、相続人らが遺産分割をする前に、相続人のうちの一人が死亡するような場合をいいます。
被相続人が死亡する前に相続人が死亡する場合が代襲相続で、被相続人が死亡した後に相続人が死亡する場合が数次相続という点で、代襲相続と数次相続は異なります。 また、代襲相続は、相続人の子が代襲相続人として遺産分割に参加しますが、数次相続だと、相続人の子だけでなく配偶者も(相続人の法定相続人であるため)、被相続人の遺産分割に参加することになります。

代襲相続でお困りでしたらご相談ください

現代の日本では、高齢化社会が進んでいるため、親より先に子が亡くなることは少なくありません。その意味において、代襲相続は起こりやすいものであるといえます。
他方で、代襲相続については、正確な理解はあまりされておらず、手続きも煩雑なものとなります。
そのため、代襲相続が発生した場合には、手続きを正確に進めていくためにも、一度弁護士に相談されることをおすすめします。

交通事故の被害者になった場合、弁護士に相談・依頼することで、慰謝料が高額になったケースを耳にしたことがあると思います。
そこで悩ましいのが、交通事故に遭った後、どのタイミングで弁護士に相談・依頼すれば良いのか分からないという点です。
そこで、今回は、交通事故の被害者になった場合、どのタイミングで弁護士に相談・依頼するべきかということについて解説します。

交通事故で弁護士に相談・依頼するタイミングは?

結論から言いますと、交通事故の被害者になった場合、弁護士への相談・依頼は早ければ早いほど良いと言えます。
早いタイミングで相談・依頼することにより、幅広いサポート受けることができるからです。
また、早いタイミングで相談・依頼したからといって、弁護士費用に大きな差はありません。

弁護士に相談するタイミングと受けられるメリット

交通事故発生から解決までは、以下の図のような流れとなっています。

交通事故発生から賠償金受け取りまでの流れ

基本的にどのタイミングからでも、弁護士に相談・依頼することは可能です。
しかしながら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼することが、最終的には被害者にとってメリットにつながるといえるでしょう。
そこで、以下では、タイミング別に受けられるメリットを解説します。

事故直後に相談するメリット

交通事故直後に弁護士に相談・依頼するメリットの第一は、弁護士から今後の見通しについてアドバイスを受けることができ、被害者のストレスが大幅に緩和されるという点にあります。
交通事故直後は、ご自身の怪我の治療などに専念しなければならないため、警察からの聞き取り捜査や実況見分捜査への対応に大きなストレスを抱えます。
そのようなとき、弁護士が面倒な手続きを代理し、適切なアドバイスをすることで、ストレスを緩和することができます。
また、怪我をしているにもかかわらず、物損事故として警察に届出をしていると、治療費や慰謝料などの賠償請求ができない可能性があります。
そのようなときは、弁護士に代理をしてもらい、警察に診断書などを提出することによって、物損事故から人身事故への切り替えがスムーズに進むというメリットもあります。

物損事故とは | 物損で請求できる損害賠償

治療中・入院中に相談するメリット

例えば、通院頻度が低い、医師の指示なく整骨院に通ったなどの場合には、慰謝料が減額するおそれがあります。
そのような治療中・入院中に、弁護士に相談・依頼することによって、慰謝料の減額を防ぐためのアドバイスを受けることができます。
逆に、治療中・入院中に、慰謝料が減額される原因を作ると、後の示談交渉での増額が厳しい場合があるので、注意が必要です。
また、相手方保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合でも、弁護士から治療費対応の延長を相手方保険会社に対し交渉してもらえるなどのメリットもあります。

交通事故の治療打ち切りを迫られたら弁護士に相談してみよう

後遺障害等級認定の際に相談するメリット

治療・入院後、医師から症状固定と診断されて後遺症が残った場合、後遺障害等級認定の申請をすることができます。
症状固定とは、治療を継続しても、怪我の大幅な改善が見込めないと判断されることをいいます。
また、後遺障害等級認定とは、症状固定後に残った後遺症に応じて認定される1級から14級までの等級のことをいい、認定されれば、等級に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益の請求をすることができます。
後遺障害等級に応じて賠償額に大きな差が出るため、後遺障害認定審査時に適切な等級が認定されるよう、弁護士に相談・依頼することが大切です。

症状固定とは | 症状固定までの期間や賠償額への影響 後遺障害等級認定の申請方法

示談交渉時に相談するメリット

示談交渉は、基本的には相手方の保険会社と行うことになります。
しかし、保険会社は交通事故の交渉に関してプロであり、被害者自らが賠償額の増額交渉をするには、交渉力に差があるため、非常に厳しい側面があります。
そこで、交通事故に関する法律の知識、判例に詳しい弁護士に依頼することで、下記の弁護士基準を用いた交渉をすることが可能となります。
その結果、相手方保険会社が主張する過失割合を修正できる可能性も高くなります。

弁護士基準とは|弁護士基準の慰謝料相場
自賠責基準 自賠責保険法で定められた最低限の補償を行うことを目的とした基準
任意保険基準 任意保険会社が用いる基準で、自賠責基準と同程度の基準
弁護士基準 裁判所や弁護士が用いる基準で、判例に基づいた最も妥当かつ高い基準

調停・裁判になったときに相談するメリット

加害者側との示談交渉が決裂すると、調停や裁判に発展することになります。
調停や裁判が始まってから弁護士に相談・依頼したとしても決して手遅れではありません。
もっとも、調停や裁判では、証拠に基づいて自らの主張を展開していかなければ、被害者にとって不利な判決が下される可能性があります。
そのため、調停や裁判のための面倒な手続きや準備を弁護士に行ってもらうことにより、被害者にとって有利な判決が下される可能性が高くなるようにすることが大切です。

死亡事故の場合はいつ相談・依頼すべきか?

交通事故被害者が死亡した場合、加害者側に対し、葬儀関係費、死亡慰謝料、死亡による逸失利益などの賠償請求を行うことになります。 交渉は、葬儀後から49日の法要以降に開始されるケースが多いですが、遺族の方の心情はたった49日では整理がつきません。 そのようなとき、弁護士に相談・依頼することで、加害者側との交渉を一任することができ、精神的な負担を大幅に軽減することができます。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故被害者専用ダイヤル 24時間予約受付・年中無休・通話無料

弁護士への相談・依頼が手遅れになってしまうタイミング

交通事故後に弁護士に相談・依頼をしても、手遅れになるケースがあります。
代表的な例としては、加害者側と示談が成立している場合や、損害賠償請求の時効が成立している場合が挙げられます。

既に示談が成立している

示談書は、当事者(被害者と加害者)双方が示談内容に納得した上で、サインをするものです。
そのため、一度、示談が成立してしまうと、弁護士に相談・依頼したとしても、示談内容の変更を求めることはできません。
ただし、示談後に思わぬ後遺症が発覚したというような場合では、示談内容に含まれていない事柄であるため、例外的に変更を求めることができる場合もあります。

損害賠償請求の時効が成立している

交通事故の損害賠償請求は、原則として3年(令和2年4月1日以降は、人身傷害に関しては5年)という時効が存在します。
時効のカウントが開始されるタイミングは、事故状況によって異なるため注意が必要です。
以下に、代表的な例を紹介します。

事故状況 時効期間
事故発生時から加害者が分かる場合 損害及び加害者を知った日の翌日から3年または5年
後から加害者が分かった場合 損害及び加害者を知った日の翌日から3年または5年
加害者が分からない場合 交通事故発生の翌日から20年
交通事故で後遺症が残った場合 症状固定日の翌日から3年または5年

相談・依頼する前に知っておきたい!弁護士の選び方

交通事故の弁護士選びに失敗すると、示談金が変わらない、弁護士の対応が遅い、弁護士との相性が悪いなどのリスクがあります。
そこで、以下に、弁護士選びのポイントを紹介します。

【弁護士選びのポイント】

  • 交通事故の示談交渉の経験が豊富
  • 後遺障害認定に詳しい
  • 医学的知識を兼ね備えている
  • 説明がわかりやすく理解しやすい

いずれにせよ、インターネットでよく調べた上で、無料相談などを活用し弁護士の雰囲気を知ることで、弁護士選びを失敗するリスクを下げることができます。

弁護士法人ALGが解決した交通事故事例

弁護士に依頼した結果、ご相談日からわずか2週間で約150万円増額できた事例

【事例の概要】
ご依頼者様(40代女性)は、自転車に乗り側道を直進していたところ、左側脇道から一時停止を無視し交差点へ進入してきた車両に衝突されました。
ご依頼者様は、事故により、後遺障害等級14級9号と認定され、相手方保険会社より約200万円の賠償額の提示をされ、この金額が妥当であるか確認し可能であれば賠償額を増額との希望で弊所に来所されました。

【弊所の活動及び解決結果】
ご依頼者様は、主婦業の傍ら、お仕事にも従事されている兼業主婦でした。相手方保険会社からは、休業損害分(お仕事に従事されている分の休業損害)についてのみの賠償額の提示でしたが、弊所介入後、主婦休損(主婦としての休業損害)も認められ、結果的に約90万円の休業損害が認められました。
また、後遺障害等級14級9号の認定に対し、相手方保険会社は、後遺障害慰謝料として40万円を提示していましたが、弊所から裁判所基準110万円が認められるべきと主張したところ、満額が認められる結果となりました。
その結果、当初の200万円の提示に対し、ご相談日からわずか2週間で約350万円まで増額し、示談することができました。

保険会社に何度もアプローチを図った結果、約1ヶ月で賠償金を約350万円増額した事例

【事案の概要】
ご依頼者様(高齢の男性)は、自転車に乗り横断歩道を走行していたところ、相手方が運転する車両に衝突され、大腿骨頸部を骨折し、人工骨頭置換術を受けました。
ご依頼者様は、事故により、後遺障害等級10級11号と認定され、相手方保険会社より約200万円の賠償額の提示をされ、この金額が妥当であるか確認し可能であれば賠償額を増額との希望で弊所に来所されました。

【弊所の活動及び解決結果】
ご依頼者様は、事故当時、高齢で仕事をされていなかったため、休業損害や逸失利益は争点とはならず、相手方保険会社とは、主に慰謝料額についての交渉となりました。
弊所から相手方保険会社に対し、早期解決希望である旨を伝え、何度もアプローチをした結果、ご相談日からわずか1か月で約550万円まで増額し、示談することができました。

よくある質問

早めに弁護士に依頼することで、解決までの期間を短縮することはできますか?

弁護士への相談・依頼が早いと、解決までの期間を短縮することができます。
早めに相談・依頼することで、幅広いサポートを受けることができるからです。

示談交渉の途中からでも弁護士に依頼することは可能ですか?

示談交渉の途中からでも弁護士に相談・依頼することは可能です。
示談交渉の途中から弁護士が介入した場合、弁護士基準を用いて、示談金の大幅な増額を期待することができます。

弁護士に相談・依頼するデメリットはありますか?

弁護士に相談・依頼した場合、弁護士費用がかかります。
しかし、交通事故の場合、弁護士費用特約が利用できます。
弁護士費用特約とは、交通事故の被害に遭った際に、加害者側へ損害賠償請求を行うために必要な弁護士への相談・依頼の費用を補償する自動車保険特約のことをいいます。
この弁護士費用特約を利用することにより、被害者が持ち出しで費用を支払うということは、ほとんどありません。
なお、交通事故における弁護士費用の相場は以下のとおりとなります。

相談料 5000円/30分~(税別)
着手金 10万円~(税別)
成功報酬 経済的利益の10~30%+数万円(税別)
日当・実費 3万円~5万円程度(税別)

交通事故で後悔しないためにも、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故で後悔しないためにも、交通事故の被害に遭ったら、早い段階で弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼することにより、交通事故全般についてサポートを受けることができます。
また、弁護士基準により、示談金が増額できる可能性もあります。
他方で、弁護士の人柄や相性については、実際に弁護士と話をしてみないと分からない部分も多くあると思います。
そのため、無料相談などを活用し、弁護士の雰囲気を知った上で、早めの依頼をされることをおすすめします。

交通事故に遭った時、示談金を受け取るために示談交渉をすることになります。示談交渉がスムーズに進めばいいのですが、実際にはなかなか進展がないということも珍しくありません。
このコラムでは、示談交渉が進まない場合の原因や対策法について解説しています。示談交渉が進まずお困りの方や、これから示談交渉を進めようとお考えの方は、ぜひこのコラムをご覧ください。

示談交渉が進まない原因

本来的には、示談の交渉は加害者との間で行うものです。しかし、交通事故の場合、加害者が任意保険に加入していれば保険会社との間で交渉を行うことになります。
示談交渉が進まない主な原因は、交渉の対象が加害者本人であるか、保険会社であるかによって異なります。それぞれのケースについて、どのような原因で示談交渉が進まないのかを見ていきましょう。

加害者に資力がない場合

加害者と示談交渉をしている場合、示談交渉が停滞する原因になりやすいのが加害者の資力(示談金を支払う能力)の不足です。
加害者が自賠責保険に加入していれば、被害者は最低限度の補償を受けることができます。しかし、交通事故の賠償額は高額となりやすく、自賠責保険の支払のみでは不足することも多いです。加害者が任意保険に加入していれば、任意保険会社から支払を受けられます。しかし、そうでなければ加害者本人に負担してもらうことになるため、加害者の資力が問題となるわけです。
資力不足が問題になる場合、例えば、分割払いを提案して、少額ずつでも示談金を受領するということが考えられます。
なお、加害者が自賠責保険にも加入していない場合でも、政府保証事業を利用することが可能です。政府保証事業を利用すると、自賠責保険の限度額まで、国から補償を受けることができます。

加害者としての意識に乏しい場合

加害者と示談交渉をしている場合、加害者の側で加害者としての自覚に乏しいと、示談交渉が停滞しやすくなります。
このようなケースだと、加害者の方で賠償の必要性を感じなかったり、賠償額を不当に低く見積もったりすることが多く、示談交渉がなかなか進みません。特に、被害者側に過失があるような事故であったり、小規模な事故であったりすると、その傾向が表れやすいです。
小規模な事故のときには、被害状況を撮影する等記録しておくと、示談交渉で揉めにくくなる場合もあります。また、ドライブレコーダーを設置している場合は、必ず録画データを残しておきましょう。

加害者との示談が進まない場合にできること

加害者本人との示談交渉が進まない場合の対処法として、どのようなものが考えられるのでしょうか。具体的な対応策としては、内容証明郵便の送付、ADRの利用、裁判の提起等が挙げられます。

連絡を無視される場合は内容証明郵便を送る

加害者が連絡を無視するようであれば、内容証明郵便で損害賠償請求をすることが考えられます。内容証明郵便で送付すると、どのような内容の書面をしたか、加害者が書面を受け取ったかを記録に残すことができます。
通常のハガキや手紙での連絡は無視しても、内容証明郵便で連絡があれば内容を確認したり、回答をしたりする人もいるため、内容証明郵便で連絡をすることで、加害者を交渉のテーブルにつかせられる場合もあります。
もっとも、自分にとって不利な内容も記録に残ることになるので、連絡の文面は慎重に考える必要があります。可能な限り、交通事故を多く扱う弁護士等に相談しておくことが望ましいです。

ADRを利用する

ADRとは、Alternative Dispute Resolution(裁判外紛争解決手続)の略であり、裁判所以外の機関を利用して紛争の解決を図る方法です。具体的な種類としては示談あっ旋、調停、仲裁等があります。裁判ほどの厳格さが求められないため、手軽に利用できて早期に決着することが多い点がメリットです。
交通事故の場合のADR機関としては、交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センター等が存在します。
事案によって利用すべき機関や主張すべき内容は異なってくるので、実際にADR機関を利用する前に弁護士等に相談しておくと、効果的にADRを利用しやすくなります。

裁判(訴訟)を起こす

最終手段として考えられるのが、裁判(訴訟)の提起です。裁判は、時間も費用もかかることが多いため、内容証明郵便の送付やADRの利用でも賠償を受けられなかったときに、選択することになります。
裁判は、示談交渉と異なり、裁判所の判断によって金額が決定します。そのため、加害者が資力はあるのに示談を拒んでいるような場合には、裁判の利用が有効です。
また、請求する金額60万円以下の場合、少額訴訟という手続が利用できます。少額訴訟は通常の訴訟よりも手軽に利用でき、基本的に1回の審理で判決が出るので迅速な解決が望めます。
裁判の場合、書面ベースでのやり取りとなり、一度自身に不利な判決がなされると覆すことも難しいため、一度は弁護士の利用を検討しておいた方が望ましいです。

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相手方保険会社と連絡が取れない・担当者の態度が悪い場合

保険会社が交渉を担当している場合でも、交渉が進まない場合もあります。
考えられる原因の一つは、担当者との間で連絡が取れないことです。担当者が多忙でこちらから連絡をしても連絡がとれなかったり、仕事の関係で保険会社からの電話に出られなかったりすると、どうしても担当者と連絡がつかなくなりやすいです。
また、担当者によっては、治療中なのに治療費の立替を終了しようとしてきたり、事故状況に関してこちらの主張を聞いてくれなかったりすることもあります。このような場合には、どうしても保険会社との間での信頼関係が築けず、示談交渉が上手くいかないことが少なくありません。

過失割合や示談金額で揉めて進まない場合

交通事故をめぐる認識についての争いも、示談交渉が停滞する原因になります。
特に争いになりやすいのが、過失割合です。交通事故は、加害者に落ち度(過失)があって発生しますが、被害者にも落ち度がある場合があります。過失割合とは、加害者と被害者の過失が、どの程度交通事故の発生の原因になっているかという割合のことです。特に双方車両が進行中の事故では、基本的に一方の過失が0となることはないため、争いが起きやすいです。
また、示談金額で争いとなることも良くあります。保険会社としては示談金額を抑えたいため、慰謝料や逸失利益等を低く提案することがあるためです。

弁護士への依頼で態度が変わる場合も

加害者本人と保険会社のいずれとの交渉でも、弁護士が介入すると、態度が変わる場合が少なくありません。
加害者本人との交渉の場合、弁護士が介入することで、被害者が真剣に示談を望んでいることが伝わること等が理由です。
また、保険会社も、弁護士が介入すると、示談が成立しなければ紛争処理センターを利用されたり、裁判を提起されたりするとの予想がつくようになります。そのため、いわゆる弁護士基準で算定した慰謝料をベースとして交渉が行えるようになり、示談交渉自体もスムーズに進むようになることがほとんどです。

示談が進まずお困りの方は弁護士にご相談ください

示談交渉が進まない場合、原因がどこにあるのかを見極め、適切な対策を取っていく必要があります。しかし、交通事故を初めて体験した方が、示談交渉の進行について適切な判断をすることは極めて困難です。多数の交通事故を扱っている弁護士であれば、より円滑に示談交渉が行えます。
また、弁護士が介入すれば、相手方との交渉を代わって行い、弁護士基準の利用により慰謝料も増額する可能性が高いです。ご自身で示談交渉を進めようと考えられる場合でも、法律相談を通じて弁護士の知見を得ておくと、示談交渉を円滑に進めやすくなります。
示談交渉が進まずお困りの方は、まずは一度弁護士にご相談ください。

遺言書とは、遺言者が、死後に自分の財産をどのように分けるか、誰に自分の財産を受け継がせるかなどの意思を示した書面のことをいいます。遺言書を残すことによって、原則として記載内容に従った財産の処分をすることができます。もっとも、遺言書の書き方によっては、遺言書が無効になってしまう場合もあるので注意しなければなりません。
そこで、今回は、遺言書の効力や遺言書が無効になる場合などについて解説をします。

遺言書の効力で指定できること

遺言書では、様々な効力を指定することができます。
もっとも無制限に指定をすることができるわけではなく、一定のルールに従う必要があります。
そこで、遺言書でどのような効力を指定することができるのか、従わなければならないルールとはどのようなものがあるかについて解説をします。

遺言執行者の指定

遺言書では、遺言執行者を指定することができます。
遺言執行者とは、遺言書の内容どおりに相続が実現されるよう、必要な手続きを行う人をいいます。
具体的には、不動産を相続した場合の登記変更や、預貯金を相続した場合の名義変更などの事務的な手続きを行います。

誰にいくら相続させるか

遺言書では、誰にいくら相続させるかを指定することができます。
これを相続分の指定といいます。
遺言書がない場合、遺産は民法に定められた法定相続分に従って相続されます。 遺言書では、この法定相続分にかかわらず、遺言者が誰にいくら相続させるかを自由に決めることができます。
ただし、遺言書によっても、相続人の一定の相続分(遺留分)を侵害することができませんので、遺言書では、遺留分を侵害しない範囲で相続分の指定をすることが一般的です。

誰に何を相続させるか

遺言書では、誰に何を相続させるかを指定することができます。
これを遺産分割方法の指定といいます。
例えば、相続財産に自宅マンションと別荘と預貯金があった場合、自宅マンションを妻に、別荘を長男に、預貯金を長女にといった指定をすることができます。

遺産分割の禁止

遺言書では、遺産分割の分割を禁止することができます。
これを遺産分割の禁止といいます。
もっとも、民法上、遺産分割禁止の期間は5年以内と定められていますので、5年の期間を超えて遺産分割を禁止することはできません。ただし、5年後(その期間以下であればその期間まで)に相続人が協議をした場合には、再度5年を超えない範囲で遺産分割の禁止期間を更新することができます。
また、遺産分割の禁止期間を定めない遺言書は、5年間の遺産分割を禁止するものとして効力が認められます。

遺産に問題があった時の処理方法

遺産に問題があった場合、民法上、各共同相続人は他の共同相続人に対して相続分に応じて担保責任を負うとされています。
これを共同相続人間の担保責任といいます。
例えば、自分が相続した土地が、実は他人の土地であった場合や50坪だと思っていたら実は40坪であったという場合には、遺産分割のやり直しを行うのではなく、他の相続人に対して損害賠償(損失の賠償)の請求をすることができます。
ただし、遺産に問題があったことを知った時から1年以内に請求をする必要があるので注意が必要です。

生前贈与していた場合の遺産の処理方法

亡くなった方から、生前に高額の生活費、会社の運転資金、結婚資金などを受け取っていた場合(これを「特別受益」といいます。)には、特別受益を相続財産に加えて具体的な相続分を算定しなおします。
これを持ち戻しといいます。
ただし、特別受益にあたるかは、さまざまな事情によって総合的に判断されるため、亡くなった方から生前お金を受け取っていたからといって、直ちに特別受益にあたるとはいえるわけではありません。
また、亡くなる3年前以内の贈与でなければ特別受益にはあたりません。 さらに、特別受益の持ち戻しを行わないと遺言書に記載することも可能です。この場合は、特別受益を相続財産に加えずに具体的な相続分が算定されます。

生命保険の受取人の変更

保険法上、遺言書によって、生命保険の受取人を変更することも可能です。
もっとも、生命保険の受取人の変更を、保険会社に主張するためには、相続発生後に保険会社に対してその旨を通知する必要があります。

非嫡出子の認知

亡くなった方に婚姻関係にない人との間で生まれた子ども(これを「非嫡出子」といいます。)がいる場合、遺言書によって認知(自分の子どもであると認めることをいいます。)をすることも可能です。
非嫡出子を遺言書によって認知することによって、相続人に加えることができます。
そうすると、他の相続人からしてみると、相続財産に対する自分の取り分が減ってしまうため、見なかったことにしたいと思うこともあるかもしれません。
しかし、遺言書があるにもかかわらず、その遺言書を破棄したり、隠したりした場合には、民法上、相続人の欠格事由に該当することになり、相続する権利がなくなります。

相続人の廃除

相続が開始した場合に相続人となるべき人(これを「推定相続人」といいます。)が、亡くなった人に対して虐待や重大な侮辱を加えていた場合や、推定相続人に著しい非行があった場合には、推定相続人の相続権を消失させることができます。
これを相続人の廃除といいます。
相続人の廃除は、遺言書によっても行うことが可能ですが、亡くなった後に、相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならないため注意が必要です。

未成年後見人の指定

亡くなった方に未成年の子どもがいて、亡くなった後に他の親権者がいなくなるような場合には、遺言書において、第三者を後見人として指定することができます。
これを未成年後見人の指定といいます。
未成年後見人を指定しておくことで、その子どもの財産管理など任せることが可能となります。

遺言書が複数ある場合、効力を発揮するのはどれ?

民法上、遺言書は1通でなければならないというルールはないため、遺言書を複数作成することも可能です。
では、複数の遺言書に内容的に矛盾がある場合、どの遺言書の効力が認められるのでしょうか。
そもそも、遺言書は、民法上、法律に定める方式に従わなければならないと規定されています。
その方式の1つとして、遺言書には、遺言書を作成した日付を記載しなければなりません。
そして、遺言書が複数ある場合は、最も新しい日付が記載された遺言書の効力が認められることになります。
そのため、例えば、2通の遺言書のうち1通にのみ日付があって、日付がないほうが確実に最新の遺言書であると分かったとしても、遺言書の効力は日付がある方にのみ及ぶことになります。

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遺言書の効力は絶対か

遺言書は、亡くなった方の最後の意思ともいえるので、尊重されるべきものではあります。
しかし、遺言書の内容に従わなかったとしても、法律上、特に罰則などがあるわけではありません。
したがって、遺言書の内容に絶対に従わなければならないというわけではありません。
また、法律の定める方式に従っていない遺言書は、無効となりますので、従う必要がないことになります。

遺言書の内容に納得できない場合

遺言書の内容に納得できない場合は、相続人や受遺者(遺言によって特定の相続財産を受け取る人のことをいいます。)全員の同意があれば、遺言書と異なる内容の遺産分割をすることも可能です。
ただし、全員の同意が必要なので、相続人や受遺者のうち1人でも反対した場合は、遺言書と異なる内容の遺産分割をすることはできません。
また、遺言書に遺産分割の禁止や遺言執行者が定められている場合には、遺言書と異なる内容の遺産分割をすることができない点にも注意が必要です。

勝手に遺言書を開けると効力がなくなるって本当?

自宅で遺言書を発見し、その遺言書が封書になっていた場合、勝手に遺言書を開けてしまうと、5万円以下の過料に処せられる可能性があります。
民法上、遺言書を発見した場合、家庭裁判所において検認という手続きを経なければならないと規定されているためです。
ただし、勝手にまたはうっかり開封してしまったとしても過料に処せられる可能性があるだけで、相続権が消失したり、遺言書が無効になるわけではありませんのでご安心ください。

効力が発生する期間は?

民法上、遺言書は、遺言者が亡くなった時から効力を生じるとされています。
また、遺言書に有効期限はありません。
そのため、何十年前に書かれた遺言書であっても、形式的に有効であれば、その効力は存続することになります。

認知症の親が作成した遺言書の効力は?

遺言者が遺言書を作成する際には、遺言内容を理解するための能力が必要とされます。
これを遺言能力といいます。
認知症の親が作成した遺言書であっても、遺言書作成時に遺言能力があれば、その遺言書は有効となります。
逆に、遺言能力がないと裁判所が判断した場合には、その遺言書は無効となります。
そのため、遺言書を無効にしないために、遺言作成時の医師の診断書などを残しておくことが大切です。

記載されていた相続人が亡くなっている場合でも効力を発揮するの?

遺言書で相続分の指定などの記載をされていた相続人が、遺言者より先に亡くなっていた場合には、代襲相続(亡くなった相続人に代わり、その相続人の相続人が遺言者の財産を相続することをいいます。)は生じず、その部分の記載については、遺言の効力が生じません。
そのため、指定された相続分については、他の相続人に帰属し、改めて遺産分割協議をすることになります。

遺留分を侵害している場合は遺言書が効力を発揮しないことも

遺留分とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことをいいます。
そのため、先に述べたとおり、遺言書によっても遺留分の侵害をすることはできません。
ただし、遺留分の侵害が生じていてもその遺言書が無効となったり、自動的に再計算して処理されるわけではありません。
したがって、遺留分を主張する人は、別途、相続人や受遺者に対して遺留分侵害額請求を行う必要があります。

遺言書の効力についての疑問点は弁護士まで

遺言書は、様々な効力を生じさせられる反面、順守すべきルールも多くあります。
また、遺言書の内容は、遺言者によって様々であるため、内容どおりの効力が生じるかなど、判断が難しい場面も多くあります。
そのような場合には、相続の問題に強い弁護士にぜひ一度相談してみましょう。

亡くなられた方の配偶者や子どもであれば、必ず相続人になるのでしょうか。通常は相続人になれる立場の人でも、一定の場合には相続人になれないことがあります。
相続人になれるかが問題となる場合、ポイントになるものの一つが相続廃除です。
本コラムでは、相続廃除の要件、手続方法等について解説しています。相続廃除についてお悩みの方は、ぜひ本コラムをご覧ください。

相続廃除とは

相続廃除とは、相続によって財産を残す人(被相続人)の意思に基づいて、相続人となる予定の人(推定相続人)について、相続ができないようにさせる制度です(民法892条)。
特定の推定相続人に対して、後ほど解説する遺留分の請求も許さず、一切の財産を相続させたくない場合には、相続廃除の手続を取ることが考えられます。

相続廃除が認められる要件

相続廃除をされると相続を受けられないだけではなく、遺留分に関する請求もできなくなるため、相続廃除には厳格な要件が課されています。
具体的には、次の要件に該当する場合に限り、相続廃除が認められます(民法892条)。

  • 推定相続人が、被相続人に対して虐待をした場合
  • 推定相続人が、被相続人に重大な侮辱を加えた場合
  • 推定相続人に著しい非行があった場合

それぞれの場合について、更に詳しく見ていきましょう。

相続廃除の具体的な事例

被相続人に対して虐待をした場合
虐待とは、被相続人に対して暴力を振るったり、耐え難い精神的な苦痛を与えたりすることをいいます。
推定相続人が日常的に被相続人を殴ったり蹴ったりしていたり、「さっさと死ね」等の暴言を吐いていたりした場合には、虐待の事実が認められる可能性が高いでしょう。
ただし、相続廃除が認められるかは、推定相続人の行為が家族的共同生活関係を破壊し、その修復を著しく困難ならしめる程度に重大なものといえるかという基準で判断されます。

被相続人に対して重大な侮辱をした場合
重大な侮辱とは、被相続人の名誉や感情等を著しく害することをいいます。
推定相続人が、被相続人の重大な秘密を暴露したり、被相続人の人格を否定する発言を繰り返したりしていた場合には、重大な侮辱の事実が認められる可能性が高いです。
相続廃除が認められるかの判断にあたって、推定相続人の行為が家族的共同生活関係を破壊し、その修復を著しく困難ならしめる程度に重大なものといえるかが問題となるのは、虐待の場合と同様です。

著しい非行があった場合
著しい非行とは、虐待や重大な侮辱には該当しないものの、それらと類似するような遺留分を否定することが正当といえる程度の行為をいいます。
具体的には、推定相続人が犯罪行為を行っていたり、被相続人の財産の浪費や無断での処分をしたり、配偶者が不貞行為をしていたり、行方が不明であったりするような場合が挙げられます。

相続欠格と相続廃除の違い

相続欠格は、一定の非行をした相続人について、法律上当然に相続資格を認めない制度のことです(民法891条)。
具体的な例としては、被相続人を意図的に死亡させ、又は死亡させようとして刑罰を受けた者(1号)、詐欺又は強迫によって被相続人に遺言をさせた者(4号)、相続に関する被相続人の遺言書を破棄したり隠匿したりした者(5号)には相続欠格が認められます。
相続廃除と相続欠格はいずれも推定相続人の相続資格を失わせる制度ですが、相続廃除では被相続人の意思が必要となるのに対して、相続欠格では欠格事由の有無だけが問題となります。また、相続廃除では家庭裁判所での手続が必要となりますが、相続欠格では必要とされません。

相続廃除の手続き方法

方法1.被相続人が生前に家裁へ申立てる(生前廃除)

相続廃除の方法としては、生前廃除と遺言廃除の2通りがあります。
生前廃除は、被相続人が存命のうちに、自ら家庭裁判所に審判の申立てを行う方法です(民法892条)。
申立てにあたっては、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、以下の必要書類を提出することになります。

【必要書類】

  • 推定相続人廃除の審判申立書
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 廃除を求める推定相続人の戸籍謄本

また、申立てには、手数料として廃除を求める推定相続人1名につき800円の収入印紙が必要となります。その他、郵便切手が必要となるので、事前に裁判所に一度確認しておくと申立てをスムーズに進められます。

方法2.遺言書で相続人廃除をする(遺言廃除)

遺言廃除は、被相続人は遺言書上で相続廃除の意思を表示して、審判申立て等の手続は遺言の内容を実現する人(遺言執行者)に委ねる方法です(民法893条)。
被相続人が自身で審判申立てを行うことができないので、相続廃除する意思、相続廃除を求める具体的理由について遺言書に記載しておくことが必要不可欠です。
また、遺言書で遺言執行者も指定しておく方が望ましいです。遺言執行者が指定されていないと、相続人等が家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをする必要があります。
遺言廃除の場合、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、推定相続人廃除の審判の申立てをする必要があります。必要書類は以下のとおりであり、生前廃除の場合と異なります。

【必要書類】

  • 推定相続人廃除の審判申立書
  • 被相続人の死亡が記載された戸籍謄本
  • 廃除を求める推定相続人の戸籍謄本
  • 遺言書の写し、又は遺言書の検認調書謄本の写し
  • 遺言執行者選任の審判書謄本(家庭裁判所の審判で遺言執行者が選任された場合)

相続廃除が認められたら、戸籍の届出を行う

家庭裁判所が相続廃除を認める旨の審判をした場合でも、相続廃除の手続は終わりではありません。
審判がなされた日の翌日から2週間以内に即時抗告がなければ、審判が確定します。この審判の確定から10日以内に、相続廃除の届出を行う必要があります。
届出は、相続廃除の審判の申立人が、相続廃除される推定相続人の本籍地又は届出を行う者の所在地の市区町村役所に対して行います。また、届出の必要書類は、以下のとおりです。

【必要書類】

  • 推定相続人廃除届書
  • 審判書の謄本及び確定証明書

また、届出先の市区町村役所により、届出人の印鑑や戸籍謄本が必要となる場合があるため、届出にあたっては役所に事前確認をしておくことが望ましいです。
届出が完了すると、廃除された推定相続人の戸籍に相続廃除された旨が記載されます。

相続廃除の取り消しもできる

相続廃除は、あくまで被相続人の意思によって相続資格を失わせる制度です。そのため、一度は相続廃除されていても、被相続人が望めばいつでも廃除の取消しを行えます(民法894条1項)。
廃除を求める手続と同様に、廃除の取消しも、被相続人が自ら手続を行う方法(民法894条1項)と、遺言で取消しの意思を表示して遺言執行者に手続を委ねる方法(民法894条2項)があります。
いずれの場合でも、家庭裁判所に対して審判の申立てを行い、審判の確定後に市区町村役場に対して届出を行うことになります。

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相続廃除の確認方法

推定相続人の廃除の審判の申立てがなされた場合には、家庭裁判所から通知があります。そのため、自身の把握していない間に相続廃除がなされてしまうことは基本的にありません。
また、遺言廃除の場合には、遺言書に相続廃除する旨の記載があります。そのため、審判の申立て以前でも遺言書の内容を確認することで、相続廃除がなされるかどうかを確認することが可能です。

相続廃除は戸籍に記載される

相続廃除の手続の項目でも触れたように、相続廃除の届出がなされると戸籍に相続廃除された旨の記載がなされます。具体的には、身分事項の欄に、推定相続人廃除という項目が追加され、審判の確定日、被相続人、届出日、届出人等が記載されることになります。
相続廃除をされた本人以外の場合は、戸籍を取得することで相続廃除が完了しているかを確認することが考えられます。

相続廃除できるのは被相続人(財産を残す人)だけ

相続廃除は被相続人の意思がなければ行えないため、相続廃除ができるのは被相続人のみです。特定の推定相続人について、相続廃除相続廃除の要件となる虐待や重大な侮辱の事実があり、他の相続人が廃除したいと考えた場合でも、被相続人の意思が被相続人の意思がなければ相続廃除は行えません。
一方で、特定推定相続人の上記行為が相続欠格事由に該当する場合には、相続欠格により相続資格を喪失させることができる可能性はあります。

相続廃除は遺留分もなくなる

遺留分とは、一定の法定相続人に法律上認められた、最低限度の相続財産の取得分のことをいいます。通常は、相続財産の全部を相続人の一人に相続させる遺言がある場合でも、他の相続人は遺留分については自己に支払うよう請求が可能です(遺留分侵害額請求)。
一方で、相続廃除された場合には相続資格自体を喪失しているので、遺留分も失うことになります。そのため、相続廃除されていると遺留分侵害額請求は行えません。

廃除された相続人の子供は相続可能である点に注意(代襲相続)

本来の相続人が、相続開始前に死亡していたり、相続欠格や相続廃除によって相続権を喪失していたりする場合、その相続人の子などが相続人となる場合があります(代襲相続、民法887条2項、3項、889条2項)。したがって、相続廃除された推定相続人に子や孫がいる場合には、原則的に代襲相続が発生します。
代襲相続がなされないようにするためには、相続廃除された推定相続人の子についても、相続廃除の要件に該当する事実を指摘して、相続廃除の手続を取る必要があります。

相続廃除についてのお悩みは弁護士にご相談ください

相続廃除は、相続権を喪失させるという効果が強力なこともあり、裁判所で認められにくい傾向にあります。そのため、相続廃除にあたっては、事前に法律の専門家である弁護士に相談して見通しを確認しておくことが有効です。
また、目的によっては、相続廃除以外の方法でも対応が可能な場合もあります。例えば、特定の相続人に相続させる財産を限定したい場合には、遺留分を侵害しない限り、遺言書の作成で対応することが可能です。弁護士にご相談いただければ、相続廃除自体の方法や見通しだけでなく、このような他の方策についても幅広くアドバイスすることが可能です。
相続廃除でお悩みの際には、まずは一度、弁護士にご相談ください。

養育費は一度決めたら変えられないということではありません。一度決めた養育費をどのような場合に変更することができるのか、あるいはどのような場合に変更することができないのかなどについて、以下解説していきます。以下の解説では、養育費の支払いを受ける人を「権利者」といい、養育費の支払いをする人を「義務者」と記載しています。

一度決めた養育費を増額してもらうことはできる?

養育費は、子どもが成長するまでの長期間支払われ続けるものです。養育費を決めるのは、その当時の子どもの年齢や経済状況などを基準とすることになります。そうすると、子どもが進学するにあたって必要な費用が生じたり、権利者や義務者の収入が劇的に変わったりすることも想定されます。
このように、養育費を決めた当時と事情が変わった場合には、養育費を増額請求することができます。

養育費の増額請求が認められる要件

養育費は、養育費を取り決めた当時と事情が変わった場合には変更することができるとされています。
具体的には、以下のような場合に養育費を増額することができるとされています。

  • 権利者の収入が取り決めた当時よりも減額した場合
    養育費は、主に当事者双方の年収を基準にして決められます。しかし、それはあくまでも取り決め当時の年収です。取り決め当時から権利者の年収が大きく減額してしまった場合、減額後の年収を基準とすると取り決められた養育費の金額が不相当になります。このような場合には、養育費の増額を請求することができます。
  • 子どもが私立学校や大学などに進学した場合や高額な医療費が生じた場合
    子どもの進学や病気などによって高額な出費が必要となることもあります。このような場合にも、養育費の増額を請求することができます。

養育費算定表を参考に増額額が決まる

養育費の増額が認められる場合、増額後の養育費はいくらになるのでしょうか。
これは、従前取り決め内容や取り決め方法、増額を求める理由などを考慮して、算定表を参考に新たに算定されることになります。
なお、算定表とは、養育費を算定する際に使用される表であり、子どもの人数に応じた表を選択して、当事者の年収を当てはめると簡易・迅速に適正な養育費を算定することができる表です。算定表は、裁判所のホームページで確認することができます。
養育費の増額ついては、様々な要素を考慮して決めますので、必ずしも算定表どおりになるわけではありませんが、算定表が参考にされるのが一般的です。

養育費の増額請求の方法について

養育費増額請求の方法については、特に決まった方法があるわけではありません。しかし、以下のいずれかの方法によって請求することになります。

まずは話し合いを試みる

養育費の増額請求については、まずは義務者と話し合ってみましょう。義務者が増額に応じた場合には、後に争いにならないように、その合意内容を書面化して残しましょう。合意書は、公正証書の形にして残すのが理想的です。
他方、義務者が増額請求に応じない場合には、以下に記載するような方法で対応することになります。

内容証明郵便を送る

義務者が増額に応じない場合や、そもそも話し合いに全く応じない場合などには、内容証明郵便で義務者に増額請求する旨を伝えましょう。内容証明郵便とは、郵便局が文書の記載内容を証明する郵便です。
なぜ、養育費の増額請求で内容証明郵便を使用するかといいますと、権利者が義務者に対して養育費の増額を請求した場合、いつの分から増額されるのかが問題となることがありますが、これは請求した日から増額するとの考えが一般的だからです。つまり、例えば4月1日に養育費増額請求をした場合には、4月分の養育費から増額が認められるのが一般的です。
そして、内容証明郵便を使用すれば、いつ、どのような記載内容の郵便を送ったかについて、郵便局が証明してくれますので、「養育費の増額を請求します。」という内容の郵便を送れば、それを裁判所に証拠として提出することができます。
ですので、義務者が養育費の支払いに応じない場合には、内容証明郵便を使用して増額請求することがおすすめです。

合意を得られなかったら調停・審判へ

調停は、裁判所を利用した話し合いの手続です。話し合いの結果、増額の合意が出来たらその内容をまとめた調停調書という裁判所の合意書が作成されます。
また、話し合いがまとまらなかったら、裁判所が審判という形で養育費の増額請求の当否について判断することになります。裁判所が養育費を増額すべきだと考えた場合には、増額して支払えとの内容の審判(命令)が出されることになります。
調停で話し合うことのメリットとしては、調停調書という裁判所の公的な合意書が作成されること、第三者である裁判所が仲介するため合意がまとまりやすいこと、話し合いが決裂した場合に審判という形で一定の決着がつくことなどがあります。また、裁判所で増額が認められたにもかかわらず義務者が増額分の養育費を支払わない場合には、調停調書を利用して強制執行手続をすることになります。

養育費の増額について決まったら公正証書を作成する

裁判所を使用しない話し合いで養育費の増額を合意した場合には、その合意内容を合意書にまとめる必要があります。
合意書は、必ずしも公正証書である必要はありませんが、できれば公正証書にすることをお勧めします。公正証書にする理由は、養育費の増額が公正証書に記載されている場合、義務者が増額後の養育費の支払いを怠ったときに、改めて裁判をすることなく強制執行をすることができるからです。
他方、公正証書でない合意書で増額の合意をした場合に、義務者が増額後の養育費の支払いを怠ったときは、権利者は裁判をして、その後で強制執行をしなければなりません。このような裁判の手間を省くために、合意書は公正証書にすることをお勧めします。
なお、裁判所の調停によって増額した場合には、調停調書に基づいて強制執行をすることができますので、あえて公正証書を作成する必要はありません。

養育費の増額が認められた裁判例

養育費の増額請求が認められるためには、養育費算定の基礎となる事情の変更があったことが必要と解されています。事情の変更が認められた裁判例を2つ紹介します。
まず1つ目は、子どもの生活費が上がった場合です。これは、子どもの成長と共に子どもにかかる生活費は上昇していくので、それに伴って養育費の金額が増額することになります。具体的には、子どもが15歳以上になり、子どもにかかる生活費が上昇したため、権利者が養育費の増額を求めたところ、裁判所で増額が認められた裁判例があります。
2つ目は、子どもが大学に進学した場合です。大学進学に伴い、高額な授業料がかかるようになりましたので、その授業料を当事者の年収を比較した上で、義務者に学費の一部を分担するように命じた裁判例もあります。
これらの裁判例は一部に過ぎませんが、裁判所では、このような理由で養育費の増額が認められております。

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よくある質問

養育費の増額請求を拒否された場合はどうしたらいいですか?

養育費の増額請求が拒否された場合には、裁判所に養育費増額調停を申し立てましょう。調停で、養育費の増額が必要である旨を説明し、それを裏付ける資料を提出しましょう。そうすると、義務者も増額に応じてくれるかもしれません。
どうしても増額に応じてくれないようであれば、裁判所が審判という形で養育費の増額を義務者に命令することになります。裁判所に養育費の増額を認める審判をしてもらうためには、増額を必要とする理由についてきちんと説明し、理由を裏付ける資料を提出する必要があります。どのような資料が必要となるかについては、個別事情によって異なるため、一度弁護士に相談してみましょう。

相手側が養育費増額調停を欠席した場合は増額が認められますか?

調停は、当事者双方の話し合いによって合意を目指す手続ですので、当事者の相手方(義務者)が欠席を続けた場合には、養育費増額調停を成立させることはできません。
しかし、客観的な資料等から養育費を増額すべきだと裁判所が判断した場合には、審判という形で養育費の増額が認められることになります。義務者は、調停を欠席し続けることによって養育費の増額請求を免れることができるわけではありません。

今月15歳になる子どもがいます。一律と決めた養育費を算定表に合わせて増額するよう請求することは可能ですか?

子どもの年齢が14歳以下であるか、15歳以上であるかによって、使用する養育費の算定表が異なります。これは、14歳以下の子どもと15歳以上の子どもとでは、平均的な生活費が異なることが理由とされております。
そして、子どもが15歳になった場合には、平均的な生活費が上昇し、算定表も異なるので、15歳以上の算定表に合わせて養育費を増額することが可能であると考えられております。もちろん、増額を求めた時点を基準にして新たに適正な養育費を算定するわけですから、当初の取り決め時よりも義務者の年収が下がっていたり、あるいは権利者の年収が上がっていたりして、結果的に養育費の増額が認められない可能性もあります。
当初の取り決め時と同じ年収、同じ扶養関係であることを前提とすれば、養育費の増額が認められる可能性が高いと思われます。

養育費の増額請求を行う場合は弁護士にご相談ください

ここまで、どのような場合に養育費の増額を請求することができるのか、養育費の増額はどのようは方法で請求するのかなどについて解説してきました。
しかし、ここまでの解説はあくまでも一般的な内容を説明したに過ぎません。子どもが成長したり、大学に進学した場合であっても必ずしも増額が認められるわけではありませんし、また、これら以外の理由であっても増額が認められる可能性もあります。
ご自身のケースでは、増額が認められるか、認められるとしてどのような手続を踏むべきかなどについては、専門家である弁護士に相談しましょう。弁護士は、相談者の話を聞いて、その相談者にとってベストな選択肢を提示することができますので、ぜひご相談ください。

モラハラとは、「モラルハラスメント」の略称で、夫婦の一方が、言葉や態度で相手に対し攻撃を加え、相手の精神を追い詰めることをいいます。昨今では、DVやモラハラが離婚理由となる場合も増えており、結婚生活上、夫婦間のモラハラは重要な問題となっています。
そこで、今回は、モラハラを理由として離婚することができるのか、モラハラで離婚する場合に注意した方が良いことなどについて解説します。

モラハラを理由に離婚できるのか?

そもそも、離婚には、大きく分けて、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。このうち、協議離婚と調停離婚は、夫婦が互いに合意をすれば、どのような理由であっても離婚をすることができます。他方で、裁判離婚の場合は、民法が定める離婚事由が認められない限り、離婚をすることができません。モラハラの場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当すると認められれば、離婚をすることができます。ただし、「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、様々な事由によって夫婦関係が破綻していると言える場合に認められるものです。そのため、モラハラも程度によっては、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当しないと判断されることもあります。

モラハラをしているのが姑の場合

原則として、姑は夫婦にとっては第三者にあたるため、姑のモラハラを理由として離婚をすることはできません。しかし、例えば、姑が夫婦の一方にモラハラを繰り返していることが明らかであるにもかかわらず、他方がそれを黙認している場合や姑のモラハラに加担している場合には、姑のモラハラに与しているものとして、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると判断される可能性があります。

子供がモラハラされている場合

子どもへのモラハラのみを理由として、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断される可能性は低いです。もっとも、子どもへのモラハラは、子どもの安全や健全な成長に害を及ぼすおそれがあります。そのため、まずは、子どもの安全を守るべく、子どもを連れて別居をすることが大切です。また、別居が難しい場合には、児童相談所へ相談をし、子どもを一時的に保護してもらうという方法もあります。警察などの公的機関への相談をし、相談記録を残すことで、離婚に向けた証拠を残すという方法も有益です。
さらに、子どもへのモラハラを行った夫婦の一方が、離婚後の子どもの親権者になる可能性も低いといえます。裁判所は、子どもの福祉という観点から、親権者の決定を行うためです。また、実務上、子どもが10歳前後になっていれば、親権者の決定にあたって子どもの意向を確認する運用が取られています。

モラハラの慰謝料はもらえる?

夫婦の一方がモラハラを行い、夫婦関係が破綻する主な原因を作ったといえる場合には、モラハラによる慰謝料をもらえる可能性があります。ただし、あくまでも夫婦関係が破綻する程度でなくてはならないため、夫婦喧嘩の際にきつい言い方をされた、普段から多少言い方がきつい程度では、慰謝料を請求することは難しいです。

モラハラを理由に離婚する場合の進め方

先にも述べたとおり、離婚には、大きく分けて、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。

協議離婚は、夫婦(当事者)同士で話し合いをし、離婚の合意をすることです。調停離婚は、調停委員会という第三者を挟んで話し合いをし、離婚の合意をすることです。裁判離婚は、裁判所が離婚事由の有無を判断して、離婚事由がある場合には離婚を認めるとの判断を下すことです。 このうち、モラハラを行う配偶者(以下では「モラハラ配偶者」といいます。)は、自分に非があると認めることが少ないため、協議離婚は難しいといえます。また、調停離婚も、第三者を挟むものの、最終的には夫婦の離婚に対する合意がなければ成立しないため、協議離婚と同様に離婚をすることが難しいといえます。
したがって、多くの場合は、裁判離婚になるのですが、裁判所が離婚事由(モラハラ)の有無を判断するためには、客観的な証拠が必要になります。

モラハラの証拠として有効なもの

モラハラは、精神的暴力であるため、身体的暴行と比べて客観的な証拠が残りにくいという特徴があります。
では、どのようなものがモラハラの証拠として有効といえるでしょうか。
一般的には、

  • モラハラの現場を録音録画したデータ
  • モラハラの内容が記載されたメール
  • モラハラの内容を記載した日記やメモ
  • モラハラを理由に精神科や心療内科に通院した際の通院履歴や医師の診断書
  • モラハラ現場を目撃していた第三者の証言
  • 警察などの公的機関への相談記録

などが挙げられます。

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モラハラ配偶者が離婚してくれない場合の対抗手段

先にも述べたとおり、モラハラ配偶者は、自分に非があると認めることが少ないため、離婚に応じてくれないことも少なくありません。
そこで、モラハラ配偶者が離婚に応じない場合の対抗手段を解説します。

思い切って別居する

モラハラ配偶者は、相手を精神的に支配しようとする傾向があります。また、モラハラ被害を受けた配偶者も、その支配下にあると、知らず知らずのうちに正常な判断をすることができなってしまう場合もあります。
そのため、ひとまず距離を置くためにも、思い切って別居をするという選択肢があります。

別居したいけれどお金がない場合

別居したいけれどお金がない場合には、一時的に実家に戻ることや友人などの家に身を寄せるという方法を検討してみてください。
モラハラ被害を受けた配偶者が、モラハラ配偶者よりも収入が低い場合には、別居後、モラハラ配偶者に対して婚姻費用を請求することができます。
実家や友人などの家に身を寄せている間に、婚姻費用やアルバイトなどで別居費用を貯めるという方法をとることも可能です。

別居にあたっての注意点

別居をする際は、手紙やメールなどで構わないので、モラハラ配偶者に対して別居理由を明確にしておきましょう。
また、家族や共通の友人がいる場合には、モラハラ配偶者に居場所を知られないよう、伝えておくことも大切です。

相手が下手に出ても受け入れない

別居後、モラハラ配偶者が下手に出てきたとしても、簡単に受け入れないように注意しましょう。
モラハラには、大きく分けて、蓄積期、爆発期、ハネムーン期という3つのサイクルがあります。
蓄積期とは、モラハラ配偶者が相手に対してストレスを溜めている時期です。爆発期とは、イライラやストレスが爆発して、一気にモラハラを行ってくる時期です。ハネムーン期とは、爆発期を経てストレスが解消され穏やかになる時期です。そして、この3つは循環すると考えられています。そのため、例えば、ハネムーン期にモラハラ配偶者が下手に出てきて、大丈夫かなと思い、同居を開始したとしても、サイクルによっては、またモラハラ被害を受ける可能性があります。

話し合いは第三者に介入してもらう

モラハラ配偶者は、相手を懐柔して支配する傾向にあります。そのため、モラハラ配偶者と話し合いをするためには、公平な話し合いを期待できる専門家の介入をおすすめします。

モラハラでの離婚について不安なことがあれば弁護士に依頼してみましょう

以上、モラハラについて様々な角度から解説をしてきましたが、

  • 離婚ができるモラハラの程度とはどの程度か
  • モラハラの慰謝料の相場はいくらくらいなのか
  • モラハラを証明するために有効な証拠とは何か
  • モラハラ配偶者と接することが怖い

など、ここでは解説しきれなかったことについて、不安や悩みをかかえている方も多くいると思います。
そのような場合は、夫婦間の問題に強い弁護士にぜひ一度相談してみましょう。

配偶者からDVを受けている様子は、第三者にはわかりにくく、誰にも相談できずに我慢なさっている方が多いと思います。しかし、DVはあなたや子供の命にかかわる危険があり、離婚を考えたのであれば、できるだけ早く別居に踏み切る必要があります。以下では、DVを理由に配偶者との離婚を考えている方向けに、あらかじめ知っておいて欲しいことをお伝えします。

DV加害者と離婚する方法

DV加害者と離婚するためには、別居して身を守ることが一番です。可能であるならば、別居する前にDVの証拠を集めてから、スムーズに離婚に向けて動き始めましょう。

まずは身を守るために別居する

DVは、収まることなく、どんどんエスカレートしていき、しまいには生命の危険すらあります。これ以上DV被害を受けないためにも、できるだけ早く別居に踏み切ってください。

接近禁止命令の発令を検討する

DV加害者から身を守る手段の一つに、裁判所が発令する接近禁止命令があります。これは、DV防止法で定められている保護命令の一つで、配偶者の接近を禁止することのできるものです。DV被害者が裁判所に申立てを行い、裁判所が禁止命令を発令するための要件を満たしていると判断したときに発令されるものですので、発令されるためには客観的な証拠が必要となります。

DVシェルターは一時的にしか使えない

DVシェルターは、DV加害者から殴る・蹴る等の暴力を日常的に受けている方が入ることが可能な施設です。そのため、生命・身体への危険(緊急性)がないと入るための要件を満たしません。また、この施設はあくまでも一時的な施設であり、緊急避難先としては有用といえますが、DV問題を根本的に解決するためには、別居状態を継続させるためにシェルターを出た後の住居探しをする必要があります。

DVの証拠を集める

DVを理由に離婚を考えた場合、協議離婚できずに、調停や裁判で離婚することになる場合に備え、DVの証拠はきちんと集めておきましょう。具体的にどのようなものが証拠となり得るのか、以下で確認しましょう。

診断書

診断書や診療報酬明細書、レントゲン、CT、MRI画像等が証拠となります。診断書には単なる傷病名だけではなく、症状の程度、治療期間、診断時の証言など、できるだけ細かく記載してもらうようにしましょう。

怪我の写真

あざや傷などの怪我を負った場合には、その部分の写真を撮影することをお勧めします。体のどこの部分かわかるように、近くから大きく写したり、遠くから写したり、複数枚撮影しましょう。日付を入れることも忘れないようにしましょう。なお、スマートフォンなどの撮影では、加工を疑われる可能性もございますので、使い捨てカメラを利用して撮影しておく等の工夫が必要です。

音声・動画

暴力を受けている様子が録音・録画できれば強固な証拠となることは間違いありませんが、暴行を受けている際中に録音・録画を開始することは難しいので、無理に危険を冒してまでそのような証拠を集める必要はございません。

DVを受けたことが記載してある日記

日々の暴力について詳細に記録した日記があれば、証拠となり得ます。日記には、暴力を受けた日時、暴力を受けた身体の部位、どの程度の暴力であったか等具体的に記載してください。

警察や配偶者暴力相談支援センター等への相談記録

警察や配偶者暴力支援センター等の公的機関に相談した際の相談記録も、証拠となりますので、後日開示請求をして、相談記録を入手しましょう。

経済的DVを受けている場合

経済的DVを受けている方は、生活に困窮していることがわかる家計簿、生活費が振り込まれなくなったことがわかる預金通帳、配偶者の浪費がわかるクレジットカードの利用明細、配偶者の借金の内容がわかる明細書等が証拠となります。

離婚の手続きを進める

証拠が揃ったら、離婚に向けた手続きを進めましょう。
離婚の方法には、主に、協議離婚、調停離婚、裁判離婚がありますが、相手方がDV加害者の場合には、被害者から離婚を切り出すとキレて再び暴力を振るわれ、離婚に向けた話し合い自体が難しくなるので、そのような場合には、家庭裁判所に離婚調停を申立てましょう。

相手が離婚してくれない場合

話し合いができずに離婚ができない場合であれば、離婚調停を申立てることをお勧めしますという話を先の項目でさせていただきましたが、DV被害者が一人で調停を戦っていくことは難しいです。それはDV加害者が外面が良く、調停委員さんがDVを信じてくれない可能性があるからです。そこで、調停手続きでは弁護士に依頼し、弁護士と一緒に調停期日に出廷することをお勧めします。

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DVで離婚するときは慰謝請求ができる

DVを受けた証拠があり、DVの立証ができるのであれば、それについて慰謝料を請求することも可能です。一般的に慰謝料の相場は50万円~300万円といわれますが、このように幅があるのは、DVの程度や期間、後遺症の有無等被害者の受けるDVにはいろいろなものがあるからです。

親権をDV加害者にとられる可能性はある?

子供の親権(監護権)を決定するにあたって重要なことは「主たる監護者」は誰かということです。そのため、DV加害者であっても、「主たる監護者」であれば、親権者になることは可能です。しかし、DVが子供に対しても行われており、子供の成長に支障を来しているのであれば、親権をご自身が取得できる可能性があるといえるでしょう。

DVで離婚した場合でも面会交流はしなければいけない?

面会交流は、子供の福祉のために非監護親と子供の交流の機会を保障する制度です。そのため、面会交流が子供にとって悪影響となるといった事情を除き、原則として面会交流は実施しなければなりません。ただ、合意書の内容に必ず、面会交流の条項を設けなければならないわけではございません。

DV加害者と離婚したい場合は弁護士にご相談ください

DV加害者は、自らのDVを認めないことが多く、被害者からお一人で離婚や慰謝料の話を切り出すことは難しく、交渉も進まず難航するのが通常です。そこで、DV加害者と離婚を考えた場合には、弁護士に早めに相談してください。

親戚の方が亡くなられたとき、自分は相続人となるのでしょうか?
亡くなられた方(被相続人)がいた場合、その親族全員が遺産を相続できるわけではありません。法律が相続人として認めているのは、被相続人と一定の関係に立つ者に限られるため。
相続人にあたるかの判断で重要となるのが、「相続順位」です。
本コラムでは、相続順位について解説しています。親族の相続に関して、自分が相続人にあたるかでお悩みの方は、ぜひ本コラムをご覧ください。

相続順位とは

相続順位とは、相続人となる順序のことです。相続順位がより上位の者がいる限り、下位の者は相続人とはなりません。相続順位には、後に述べるように第1順位から第3順位まで存在します。なお、被相続人の配偶者は原則的に相続人となり、第1順位から第3順位のいずれにもあたりません。

配偶者は原則的に法定相続人(順位無し)

被相続人の配偶者は、相続順位が問題となる他の相続人と異なり、原則として必ず相続人となります(民法890条)。
ただし、配偶者というためには、法的に婚姻していることが必要であり、事実婚や内縁関係の場合には相続人となりません。これは、法律が、法的関係(婚姻関係や親族関係)がある場合についてのみ規定しており、事実婚や内縁関係を前提に遺産を分けることを想定していないためです。

第1順位は子供

第1順位は、被相続人の子供です(民法887条1項)。
被相続人に配偶者と子供がいる場合、両者が相続人となり、1:1の割合で遺産を相続することになります(民法900条1号)。
また、子供が複数いる場合には、全員が第1順位となり、相続できる遺産の割合も平等になります(民法900条4号)。
そのため、被相続人に配偶者と子供2人がいる場合、配偶者の相続分が2分の1、子供の相続分は各4分の1となります。

胎児も相続人として認められる

民法は、原則的に出生して初めて人として扱っています。しかし、相続の場面では、例外的に胎児であっても生まれたものとみなされるため(民法886条1項)、相続人となります。一方で、仮に死産となった場合には、原則に立ち返り相続人とはなりません(同条2項)。
出産前に遺産分割を行うと、死産の場合に遺産分割を再度行う必要が生じます。トラブル防止の点からは、出産後に遺産分割を行う方が望ましいです。

養子の相続順位

養子の場合でも、法的には実子と扱いは異なりません(民法809条)。そのため、養子縁組をしている場合には、養子も第1順位で相続をすることができます。
一方で、養子縁組をしていない場合には、法的な親子関係は存在しません。そのため、例えば配偶者の連れ子で家族同然に生活をしていたような場合でも、相続人とはなりません。

隠し子や未婚の子がいた場合

被相続人が男性で、隠し子や未婚の子がいた場合でも、第1順位で相続をすることができます。ただし、隠し子や未婚の子の場合には、認知を受けていないと法的な親子関係が認められないため、認知を受けていることが必要です。被相続人から任意に認知を受けられなかった場合には、被相続人が存命の間、又は亡くなってから3年以内に認知の訴え(民法787条)を提起する必要があります。

第2順位は親

第2順位は、被相続人の直系尊属です(民法889条1項1号)。直系尊属とは、被相続人の親や、祖父母、曾祖父母のことです。親等が近い順に相続人となるので、まずは親が相続人となります。
被相続人の子供が相続をする場合と同様、父母が相続できる財産の割合は平等です。他方、配偶者と子供が相続をする場合と異なり、配偶者と親が相続をする場合には、配偶者と親の相続の割合は2:1となります(民法900条2号)。
そのため、相続人に配偶者がおり、両親が存命の場合、配偶者の相続分が3分の2、両親の相続分は各6分の1となります。

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第3順位は兄弟姉妹

第3順位は、被相続人の兄弟姉妹です(民法889条1項2号)。被相続人に子供がおらず、親等の直系尊属も存命でない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹が相続できる財産の割合が平等ですが、配偶者と兄弟姉妹との相続の割合は3:1です(民法900条3号)。
そのため、相続人に配偶者と兄弟姉妹3人がいる場合、配偶者の相続分が4分の3、兄弟姉妹の相続分は各12分の1となります。

第4順位以降は存在しない

民法では第1順位から第3順位までしか定められていないため、配偶者がいない場合には、相続人が存在しないことになります。
相続人が存在しない場合、まず、法的に有効な遺言があって遺言で遺産を贈られた人がいれば、その人が遺産を承継することになります。法的に有効な遺言がない場合には、被相続人の利害関係人または検察官が申立てをすることで、相続財産管理人の選任がなされます。特別縁故者が現れなければ、遺産は国庫に帰属することになります。

相続順位の特殊例 代襲相続とは

被相続人に子供や兄弟姉妹がいた場合でも、相続の開始までの間に亡くなられてしまうことがあります。このような場合に、相続人の子供などが相続権を得ることを代襲相続といいます(民法887条2項、民法889条2項)。
また、相続人が亡くなっている場合だけでなく、被相続人を死亡させるなどして相続権を失った場合には、同様にその子供が代襲相続をすることになります。

代襲相続ができるのは誰か

代襲相続ができる者については、被相続人の子供の場合と、被相続人の兄弟姉妹の場合とで異なります。
被相続人の子供の代襲相続の場合、子供の子供(被相続人の孫)が相続人となります(民法887条2項)。さらに、被相続人の孫が亡くなっている場合には被相続人のひ孫、被相続人のひ孫が亡くなっている場合には被相続人の玄孫が相続人となります(民法887条3項)。このように、被相続人の子供の場合には、孫やひ孫など被相続人の下の世代(直系卑属)に代襲相続がなされていきます。
一方で、被相続人の兄弟姉妹の場合、その子供(被相続人の甥、姪)は代襲相続人となりますが(民法889条2項)、代襲相続人の代襲(再代襲)は認められていません。そのため、被相続人の甥や姪の子供が相続人となることはありません。

相続順位が繰り上がるケース

上位の相続順位の者が存在しない場合、下位の相続順位の者が繰り上がって相続人となります。
具体的には、被相続人に子供が元々いない場合、親等の直系尊属が亡くなられている場合などです。また、相続放棄をした場合、元々相続人でなかったものとして扱われます。代襲相続は、あくまで相続人の相続権を下の世代が承継する制度ですので、相続放棄の場合には代襲相続は発生しません。これにより、例えば第1順位の被相続人の子供が相続放棄をした場合、その人に子供がいるとしても、第2順位である親等が相続人となります。

相続順位はトラブルも多いので弁護士にご相談ください

相続順位や相続割合には分かりにくいところがあり、意図的に相続順位を無視して協議を進めようとする親族がいることもあります。
相続人や相続割合を早期に判断して、円滑に遺産分割協議を進める上では、専門家である弁護士の活用が有効です。当事者同士で遺産分割協議を進める場合でも、弁護士にご相談いただくことで、法律に従って順調に協議が進んでいるのかを確認することができます。
相続が生じた際には、まずは一度、弁護士にご相談ください。

相続が発生した場合に、亡くなった被相続人が残した財産がどれだけあるのか、相続人は確認する必要があるかと思います。その際、財産目録を作成することで相続財産を把握しやすくなりますので、遺産分割協議がスムーズに進むことが期待できます。このページでは、財産目録とはそもそも何か、そのメリットや作成方法など、財産目録について詳しく解説していきます。

財産目録とは

相続財産を財産の種類ごとに記載して、金額を明示し、一覧にしたものが財産目録です。不動産や預貯金、有価証券等、種類ごとに金額を明示して書き出してみることによって、相続財産を把握しやすくなりますので、遺産分割協議をスムーズに進めることができるでしょう。

財産目録を作成できるのは誰?

財産目録を作成できる者としては、相続人、遺言執行者が考えられますが、生前に被相続人があらかじめ作成しておくと、相続手続きをスムーズに進めることができるでしょう。なお、遺言執行者は、財産目録を作成したら、相続人に交付しなければなりません。

財産目録を作成するメリット

財産目録を作成することによって、具体的にどのようなメリットがあるのか、以下で詳しく解説していきます。

生前贈与等の相続税対策ができる

亡くなる前に財産目録を作成することで、自身の相続財産がどれだけ相続人に相続されるのかを把握することができます。それに伴い、相続税の負担も自ずと明らかになろうかと思います。相続財産が生前に明らかになっていれば、生前贈与をすることによって相続税の負担を減らすことができるなど、税金の負担軽減に向けた具体的な検討をすることが可能となります。これが、生前に財産目録を作ることのメリットです。

相続税申告の際に便利

生前に財産目録を作成することによって、自身の相続財産の範囲がある程度把握できますので、相続税の試算が可能な状態となります。
また、死亡後10か月以内に相続税の申告をしなければなりませんので、早い段階で相続人や遺言執行者が財産目録を作成すれば、同じく相続税の試算が可能な状態となるでしょう。
このように、相続税の申告の際に財産目録があることで、相続税の申告の際に役に立つというメリットがあるのです。

遺産分割協議がスムーズになる

財産目録が作成されていないと、誰がどれだけの財産を取得できるかが把握しづらく、スムーズな遺産分割の話合いが期待できないといえます。財産目録には相続財産が種類ごとにまとめられ、その金額も記載されていますので、誰がどれだけ相続財産を取得するのか、決めやすい状況にあるといってよいでしょう。したがって、財産目録によって相続財産がすべて明らかになっていれば、遺産分割協議がスムーズに進むことが期待できるというメリットがあります。

相続トラブルを防げる

財産目録を作成せずに目の前にある財産から遺産分割協議を始めた場合、協議の途中で相続財産が発見されると、追加された財産を含めて改めて協議をしなければならなくなります。そこで、あらかじめ財産目録を作成して相続財産のすべてが明らかにされれば、このような弊害は生じにくく、遺産の範囲でもめることを防げるでしょう。したがって、財産目録の作成によって、ストレスなく遺産分割協議を進めることができ、相続人間の相続トラブルを未然に防ぐことができるというメリットがあります。

相続放棄の検討材料にもなる

財産目録には、現金や預貯金などのプラスの財産ばかりではなく、被相続人の借入金などのマイナスの財産も記載します。マイナスの財産が多い場合、相続放棄を検討することが可能となります。
財産目録の作成によって、相続放棄を検討することができる、というメリットがあるといえるでしょう。

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財産目録の作成方法

財産目録の書き方

財産目録には決まった書き方がありません。手書きで作成してもパソコンで作成しても問題ありません。
財産目録では、それぞれの財産の特定という視点が重要ですので、財産の種類、費目、金額又は評価額等を記載していくべきでしょう。

記載する内容

預貯金

預貯金を財産目録に記載する場合は、その預貯金の金融機関名、支店名、口座番号、残高(相続開始時点及び現在時点)を記載します。

不動産

不動産については、建物と土地を分けて記載し、複数あればそれぞれについて特定したうえで記載していく必要があります。その際は、それぞれの不動産について、登記(不動産登記全部事項証明書)を取得して、その記載に沿って、土地の所在・地番・地目・地積、建物の所在・家屋番号・家屋の種類・構造、床面積を記載していきます。また、不動産の評価額も記載しなければなりませんので、固定資産税評価額を参考に記載するというのが一つの方法です。

有価証券

株式の場合は、銘柄、株数、証券会社、口座番号、単価、評価額を記載するとよいでしょう。評価額が不明な場合は税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。

自動車等の動産

自動車、絵画、宝石のような動産が相続財産とされる場合があります。これらについても財産目録の中に記載して、遺産分割協議の内容とすることで、トラブルを防ぐことができます。財産目録の中で、各動産を特定しなければなりませんが、自動車であれば登録番号、登録年月日、初年度登録月、車体番号、型式、車種等を記載して特定していくことになります。その他の動産については、その種類によって特定の方法は様々ですので、不安でしたら弁護士に相談してみてもよいでしょう。

借金やローン等の負債

借金やローンについては、住宅や自動車などの種別、借入先の名称、借入年月日、借入金額、借入残高等を記載します。上で説明しましたが、この負債の記載が相続放棄の検討材料となります。

財産目録はいつまでに作成すればいい?

財産目録の作成自体には期限はありません。
ただし、相続放棄は3ヵ月、相続税の申告は10か月など期限がありますので、被相続人が亡くなられたたらすぐに財産目録の作成に取り掛かることを強くお勧めします。相続財産が多い場合は時間がかかることが想定されますので、遺産の調査の段階から弁護士に依頼するのも良いでしょう。

財産目録が信用できない・不安がある場合

作成された財産目録が信用できない場合や不安がある場合は、調査し直すことも検討しなければなりません。相続人の立場で遺産を調査することもできますし、弁護士に依頼して遺産を調査してもらうこともできます。調査しても不安が残る場合や相続人間で話合いがまとまらないことが予想される場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停を申立てる方法も検討する必要があるでしょう。

円滑な相続は財産目録の作成が大切です。弁護士へご相談ください

財産目録を作成するにあたり、資料を収集する必要があります。相続人の立場で収集することも可能ですが、相続財産が多い場合は、収集に苦労することでしょう。上で説明しましたとおり、財産目録は早期に作成することで円滑に相続手続を進められますので、少しでも相続の手続きに不安がありましたら弁護士にご相談ください。

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
監修:弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長
保有資格弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。