婚姻費用とは | 内訳や養育費との違いなど

コラム

まだ離婚に至っていない夫婦の間では、たとえ別居をしていたとしても、生活費をどちらが負担すべきかという問題が生じます。収入の多い方が負担し、低い方へ生活費(婚姻費用)を渡さなければなりません。そこで、以下では、婚姻中に支払われるべき「婚姻費用」について詳しく解説していきます。

婚姻費用とは

婚姻費用とは、夫婦が結婚し離婚に至るまでの間に発生する夫婦が共同で生活する上で必要となるすべての生活費をいいます。

婚姻費用の分担義務(生活保持義務)について

夫婦は互いに協力し、扶養し合う義務があり(民法752条)、夫婦間では、夫婦の一方に自分と同程度の生活を保障する義務すなわち生活保持義務が存在します。

婚姻費用の内訳

  • 食費、光熱費、被服などの生活費
  • 家賃や固定資産税などの居住費
  • 保育園代や学費等の養育費
  • 医療費
  • 交際費や娯楽費

婚姻費用を請求できるケースとできないケース

夫婦間には、生活保持義務が存在し、収入の多い方が低い方へ婚姻費用を負担しなければならず、低い方は婚姻費用を請求できる立場にありますが、婚姻費用を請求できない場合も存在します。

婚姻費用を請求できるケース

別居に至る原因が婚姻費用を負担する側に存在する場合(例えば、相手方の不貞行為やDV等)には、婚姻費用を請求することができます。 

婚姻費用を請求できないケース

自らが別居原因を作った場合(例えば、不貞行為、DV、過度なギャンブルや浪費等)には、婚姻関係を壊しておきながら婚姻費用を請求することは信義則に反するため、婚姻費用の請求が制限されることがあります。

婚姻費用の計算方法

婚姻費用について、夫婦が話し合って自由に決めることができます。すなわち、双方が合意すれば、金額をいくらにしてもかまいませんが、裁判所が公表している「婚姻費用算定表」を基準に、具体的な金額が決まることが多いです。

婚姻費用の請求の流れ

当事者間の話し合いで決まらない場合には、婚姻費用をもらえる側が、相手方の居住地を管轄する家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申立てることになります。

婚姻費用を請求できるのはいつからいつまで?

婚姻費用の支払い期間は、請求したときから離婚成立または別居解消日までです。裁判所では、申立てをした月からの請求を認容するケースがほとんどです。また、調停は時間がかかりますので、婚姻費用を請求する場合には、できるだけ早めに請求しましょう。

一度決めた婚姻費用を増額・減額することは可能?

当事者間で、新たに合意が成立すれば、婚姻費用を増額・減額することが可能です。たとえ合意が成立しない場合であっても、婚姻費用について取り決めをした時から事情変更が生じていれば、婚姻費用を増額・減額できる可能性があります。

あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
離婚問題ご相談受付 24時間予約受付・年中無休・通話無料

取り決めた婚姻費用が支払われなかった場合、どうしたらいい?

給料、預貯金や不動産等を差押えることができます。特に婚姻費用の差押え対象財産が給料等の場合には、毎月給料の2分の1までの差押えが、未払い分だけでなく、将来分についても認められています。

勝手に別居した相手にも婚姻費用を支払わなければならない?

たとえ、別居をしていたとしても法律上の婚姻関係は解消しないことから、生活保持義務が存在し、収入の多い方は少ない方へ婚姻費用を支払う義務があります。ただし、別居を始めた相手方に別居を開始した原因が存在する場合には、婚姻費用の額が大幅に減少する可能性がございます。

婚姻費用と養育費の違いは?

婚姻費用と養育費の違いは、離婚の前か後かということです。婚姻費用は、離婚の前だけ発生します。他方、養育費は離婚後も発生します。婚姻費用が配偶者と子供の生活費を意味するところ、養育費は子供の分の生活費しか含まれていません。

離婚調停と婚姻費用分担請求の関係

婚姻費用が調停で決まった場合には、結婚している限り、一方はその額を支払い続ける義務が発生します。婚姻費用を支払う側としては、離婚を早くした方が支払う額が少なくなると考えることから、条件を譲ってでも早期に離婚をしたいと考えますので、有利な条件で離婚するためにも、早めに同時に申立てましょう。

婚姻費用の様々なご相談は経験豊富な弁護士へお任せください

婚姻費用は同居・別居の有無を問わず、支払われるべき性質のものです。婚姻費用の請求は権利ですから、きちんと請求をしていきましょう。婚姻費用は基本的には算定表にしたがって額が決定するものですが、個別事情により、算定表以上の額を貰えることがあります。経済的な基盤を確保し、離婚するためにも、一度弁護士にご相談ください。

このページをご覧になっているということは、離婚について動き出していることだと思います。そこで、このページにおいては、離婚方法の1つである離婚調停について詳しく説明いたしますので、是非参考にしていただければ幸いです。

離婚調停とは

離婚調停とは、当事者間での話し合いがまとまらない場合やそもそも話し合いができるような状況でない場合に、家庭裁判所の調停手続を利用し、離婚を目指す方法です。正式には、「夫婦関係調整調停(離婚)」といい、家庭裁判所の調停委員会を介した、話し合いの手続です。離婚調停では、離婚そのものだけでなく、慰謝料、親権、面会交流、養育費、財産分与、年金分割等についても話し合いを行うことができます。

離婚調停のメリット・デメリット

離婚調停のメリットとしては、①基本的には調停委員を介して話し合うため、直接相手と向き合って話すことはない点、②財産に関する問題も話すことができるため、離婚後の争いが少なくなる点等があります。

一方、デメリットとしては、①当事者間の話合いより、解決まで時間がかかってしまう点(1年以上かかる場合もあります)、②調停は一般的に平日の10時~17時頃の間で行われますので、仕事をしている場合等、日程調整が大変である点等が挙げられます。

離婚調停の流れ

家庭裁判所に調停を申し立てる

では、どうやって離婚調停を行うかというと、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立をする必要があります。申立書は、裁判所のホームページでダウンロードできますし、記入例もありますので、ご覧になってください。

調停開始

家庭裁判所が申立を受理したら、家庭裁判所から期日の通知書が送られてきます。大体、申立から1~2か月後に開始されることが多いです。裁判所から呼び出されたら、通知書記載の場所(基本的には、待合室になると思います。)に行きます。待合室で待っていると、調停委員が事件番号等を呼びますので、呼ばれたら、調停員と一緒に話し合いをする部屋に行きます。そこで調停委員と離婚条件等について30分ほど話し合います。話し合いが終わったら、待合室に戻って、相手方と調停員の話が終わるまで待ちます。これを2ターンほど1回の調停で行います。この期日が終わったら、次回期日を最後に決めることとなります。次回期日は、1~1か月半後に設定されることになるのが通常です。これを繰り返します。

調停終了

離婚調停は、調停が成立するか、不成立になるか、調停を取り下げすることによって終了します。以下、簡単に説明します。

調停成立

調停での話し合いで夫婦が離婚条件を含め合意し、かつ調停委員がその合意を妥当と認めた場合には、調停調書が作成され、調停が成立し、終了します。調停調書は確定判決と同一の効力を有するため、調停が成立すれば基本的には変更・撤回ができません。そのため、成立させる前は細部を確認したうえで、成立させましょう。

調停不成立

調停が不成立になる場合は、夫婦が離婚に合意する見込みがない場合や合意が相当でない場合、相手方が調停に出席しない場合等があります。この場合は、調停不成立として、離婚調停は終了となります。

調停取り下げ

申立人が離婚調停を取り下げれば、調停は終了します。取り下げは申立人が一方的にできますので、相手方の同意は不要です。なお、取り下げた後、再び調停を申し立てることは可能です。また、場合によっては、離婚訴訟も可能となります。

離婚調停の準備

離婚調停の流れを理解していただいたと思います。では、実際に離婚調停に向けて、どのような準備をするかご説明いたします。

申立書の作成前に確認すること

上記で述べた通り、離婚調停の申し立てを家庭裁判所にすることで離婚調停はスタートします。
申立書の作成前に確認する事項としては、管轄の裁判所、年金分割請求をするか、別居中の場合は離婚調停と同時に婚姻費用分担請求をするか、財産の把握、慰謝料を裏付ける証拠の準備等があります。

申立書を作成する

ご自身で申立書を作成する場合、希望する離婚条件や離婚を求める理由を詳細に書いたほうがよいです。例えば、離婚原因が相手方の不貞やDV等の場合、その旨を詳細に記載したほうが調停委員に事情を把握してもらえます。また、財産分与についても相手方に●●という不動産、●●という預貯金があるということを最初に記載していれば、調停がスムーズに進みます。

第一回調停期日までの準備

調停員へ話す内容や説明の準備、証拠の準備(源泉徴収票や不貞等の証拠)をします。具体的には、離婚事由、離婚条件等について説明できるようにしてください。相手方と直接話すのではなく、調停委員を介してこちらの希望を伝えてもらうので、わかりやすく、説明できるようにしておくのがベストです。
服装については、特に指定はないですが、印象という意味においては余りに目立ちすぎるのは避けたほうが無難かと思います。

調停期日ごとの準備

調停委員から提出を求められた証拠があれば、それを準備して提出することになります。また、前回期日の争点について、相手方の言い分を踏まえて、再度こちらの主張を検討したうえで再反論等をする必要があります。

争点が何かによって、対策は異なりますが、例えば不動産の分与が問題となる場合は、残ローンがいくら残っていて、現在の不動産の価値より高いか低いかを証拠と共に立証する必要があります。また、親権に争いがある場合は、事前に陳述書という形で子供の監護状況等をまとめておくと良いです。

調停の付属書類について

調停を申し立てる際に、夫婦の戸籍謄本のほかに、事情説明書、進行に関する照会回答書、連絡先等の届出書等が必要となります。事情説明書は、調停で対立する事項についてのチェック項目や同居家族、収入等の経済状況、住居の状況、財産の状況、夫婦が不和となった経緯等を記載することとなりますので、丁寧に記載してください。また、進行に関する照会回答書は、申立前に相手方と話し合ったか、相手方は裁判に応じるか、相手方に暴力等があったか、裁判所に求める配慮等について記載することとなります。事前に情報を共有するという意味で重要ですので、丁寧に記載してください。

離婚調停で聞かれること

  • 結婚した経緯
  • 不和になった原因・経緯
  • 親権(お子さんとの関係性、監護状況等)
  • 面会交流(頻度、方法等)
  • 財産分与(不動産・預貯金・株式・保険等)
  • 慰謝料(請求根拠・金額)
  • 養育費(双方の収入状況)
  • 年金分割(年金分割の情報通知書)

等々

離婚調停にかかる期間や回数

一概には言えないですが、争点が少ない場合は、2~3回程度、争点が多く主張の乖離が大きい場合は、6回以上にわたるケースもあります。調停は1~1か月半に1回程度で行われるので、早くて2~3か月、長くて1年以上かかるケースもあります。

離婚調停で決めておいたほうがいいこと

離婚調停を行う場合は、網羅的、すなわち、慰謝料、財産分与、親権、養育費、面会交流、年金分割等について、全て決めたほうが後の紛争の蒸し返し防止という意味でよいです。

特に養育費については、子供が経済的に自立するまでの間、かかる費用ですので、しっかりと話し合って決める必要があります。具体的には、養育費算定表という家庭裁判所のウェブページで公開されている表を基に話し合うことになりますので、事前にその金額を把握しておいたほうがよいでしょう。

あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
離婚問題ご相談受付 24時間予約受付・年中無休・通話無料

離婚調停に欠席したい場合はどうしたらいい?

事前に期日に出られない場合は、裁判所に連絡するなどして、期日変更が可能であればしてもらいましょう。なお、無断で欠席した場合は、調停委員の心証も悪くなり、有利に調停が進められなくなりますので、気をつけましょう。

離婚調停が成立したら

調停の話し合いで夫婦が離婚に合意し、調停委員会がその合意を相当と認める場合は、離婚調停が成立し、調停は成立します。その際、調停調書が作成されます。

調停調書の確認

調停調書とは、離婚調停の話し合いで合意した内容を裁判官が読み上げ、その合意内容に問題がなければその内容を書面化したものです。

調停調書は確定判決と同様の法的効力を有するので、決めた内容を変更も不服申し立てもできません。一度作成されると変更できないのが原則ですので、調停室で読み上げられた内容が正しいか確認し、誤り・記入漏れがないように、注意深く確認してください。調停調書が交付された後も再度確認してください。なお、内容によっては直後であれば訂正に応じてくれる可能性もあります。

離婚届を提出する

離婚調停成立後10日以内に離婚届を提出してください。提出期限の10日を過ぎても、離婚が無効になることはありませんが、過料発生の可能性がありますので、できる限り、調停調書が届いたら、すぐ離婚届を提出しましょう。

その他、提出すべき書類

離婚した場合、氏をどうするかも問題となります。
婚姻時に妻が夫の姓を名乗っていた場合、離婚した場合は、原則として旧姓にもどり、夫の戸籍から出ていくことになります。仮に、夫の姓を離婚後も名乗る場合は、離婚の日から3か月以内であれば、市区町村役場に離婚の際に称していた氏を称する届(婚氏続称の届出)をしてください。3か月経過後は、家庭裁判所に氏の変更許可の申立を行ってください。

また、年金分割についての条項がある場合は、離婚後(離婚調停成立後)2年以内に最寄りの年金事務所で年金分割請求をしなければなりません。
さらに、児童扶養手当等ひとり親家庭に対する助成制度もありますので、市役所に確認してください。

いきなり離婚裁判をしたくても、まずは調停が必要

日本では、離婚裁判をいきなり起こすことはできず、原則として離婚前に調停を経なければなりません。
そこで、調停前置主義についてご説明いたします。

調停前置主義とは

調停前置主義とは、端的にいうと、離婚裁判の前にまずは調停で話し合いを行わなければならないことをいいます。
これは、親族間の関係性(問題解決後も関係は続く)を考慮し、裁判所が裁判で判断するのではなく、当事者間で話し合いによって解決したほうがよいという考えからきています。

調停前置主義の例外

もっとも、調停前置主義の例外もあります。相手方が調停に出席しない・出席できないことが明らかな場合、行方不明な場合等、事件を調停に付することが相当でない場合は、例外的に訴訟を調停をしないですることができる可能性があります。

調停を取り下げて訴訟できる場合もある

調停期日に、相手方が一度も出席しなかったり、調停で詳細に話し合いをしたが、まとまる見込みがなかった等で調停を取り下げる結果となった場合は、調停を経たものとみなされる可能性があります。この場合は、調停前置主義を満たしたとして、訴訟できる可能性があります。

弁護士に依頼するメリット

離婚調停をご自身で行う場合、調停委員に対し、説得的かつ論理的に話さなければ、調停をスムーズに進行できませんし、不利な流れになる可能性があります。
弁護士に依頼すれば、相手方との争点・争点に対する依頼者の法的見解等を端的にわかりやすく調停委員に説明することができ、調停を有利に進められます。
そのため、離婚調停をする場合は、離婚に関する法的知識が豊富で実務経験を有する弁護士へ依頼したほうが安全です。

離婚調停を希望するなら弁護士にご相談ください

弊所は、離婚事件を数多く扱っており、離婚問題をトータル解決できる弁護士がそろっております。
離婚後の再スタートを気持ちよく切るためにも、是非一度ご相談にいらしてください。
あなたの人生をより豊かにするために最善を尽くさせていただきます。

交通事故では、実際の損害額よりも加害者から支払われる賠償額が低くなることがあります。その理由の一つが損益相殺です。損益相殺について理解することは、支払額が適正かどうかを判断するうえで重要となります。
損益相殺とはどういうもので、どのような給付について損益相殺が認められ、どのような給付について損益相殺が認められないのか、一緒に確認していきましょう。

損益相殺とは

損益相殺とは、交通事故で発生した損害が何らかの形で補てんされた場合に、加害者の支払う賠償額が補てんされた分だけ減額されることをいいます。
例えば、交通事故で生じた損害が、金額にすると300万円であったとします。自分の加入している保険から50万円の保険金の支払いを受けた場合、加害者から受け取れる損害賠償は300万円から50万円を引いた250万円となります。

このような損益相殺は、当事者間の公平を図るために認められています。

受け取っていると損益相殺により減額されるもの

損益相殺の対象となるかどうかは、給付が損害を補てんする性質のものであるか、支払った者が被害者の代わりに加害者に請求をすることができるかなどの基準で判断されます。
以下では、損益相殺の対象となるものについて個別に解説していきます。

自賠責保険金・政府保障事業のてん補金

自賠責保険の保険金は、まさしく被害者の損害を補てんするために支払われるものなので、損益相殺の対象となります。したがって、自賠責から保険金を受け取っている場合は、その額だけ賠償額からは控除されます。

政府保障事業のてん補金とは、加害者が不明であったり、自賠責保険に加入していなかったりした場合に、自賠責保険での賠償がないことから、政府が加害者の代わりに損害を補てんするために支払う金銭です。自賠責保険の保険金同様、損益相殺の対象となります。

支給が確定した各種社会保険の給付金

労働者災害補償保険法による労災保険金は、基本的には損害を補てんするために支払われるものであるため、損益相殺の対象となります。ただし、特別支給金などの例外もあります。

国民年金法に基づく遺族基礎年金や障害基礎年金、厚生年金保険法に基づく遺族厚生年金や障害基礎年金の場合、被害者に年金が支払われた場合、政府等が加害者に支払った額だけ請求できるとの法律の規定があります。そのため、公平の観点から、上記の遺族年金や障害年金は損益相殺の対象となります。

所得補償保険金

所得補償保険とは、病気やけがによって働くことができなくなった場合の収入を補うための保険です。この所得補償保険に基づいて支払われる所得補償保険金は、被害者の収入の減少という損害を補てんするための給付ですから、損益相殺の対象となります。

健康保険法に基づく給付金

治療を受ける際に健康保険を利用した場合、治療費のうち自己負担分を超える部分については、健康保険法に基づく給付金によって支払われます。この健康保険法に基づく給付金は、治療費という損害を部分的に補てんするものですから、損益相殺の対象となります。なお、自己負担分については、別途、加害者に対して損害賠償が請求できます。

人身傷害保険

被害者が人身傷害保険に加入している場合、被害者の過失の有無にかかわらず人身傷害保険金が受け取れます。約款の規定により、保険金を支払った保険会社は、被害者に代わって加害者に損害賠償を請求できるようになるため、公平の観点から、人身傷害保険金は損益相殺の対象となります。

人身傷害保険の場合、過失相殺の問題が生じても、損害額のうち被害者の過失割合に相当する部分にまず充てられるため、被害者の保護に手厚いというメリットがあります。

加害者による弁済

加害者による弁済は、まさに損害の補てんとして支払われるものですから、損益相殺の対象になります。一方で、下で述べるように香典や見舞金の場合には、損益相殺の対象とならないので、区別する必要があります。

(亡くなった場合)生活費相当額

被害者の生活費相当額については、被害者が亡くなった場合には支出の必要がなくなります。また、本来生活費相当額を支出するのは被害者で、損害賠償請求権を取得するのも被害者なので、賠償を受ける者と利益を受ける者が一致しています。そのため、当事者間の公平の観点から、損益相殺の対象とされ、賠償額から減額されます。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故被害者専用ダイヤル 24時間予約受付・年中無休・通話無料

損益相殺により減額されないもの

生命保険金

生命保険金は、保険料の対価という性質があり、個別の損害額がいくらであるかにかかわらず、一定額が画一的に支払われます。そのため、損害の補てんとはいえないとされており、損益相殺の対象とはなりません。

加害者の支払った香典・見舞金

一般に、香典や見舞金は、損害の補てんのためではなく、謝意を示すために支払われるものです。そのため、損益相殺の対象にはなりません。
ただし、金額次第では損害の補てんのために支払われていると考えられることもあるため、注意が必要です。

子供が死亡してしまった場合の養育費

被害者である子どもが死亡してしまった場合、損害が生じるのは子ども本人です。一方で、養育費を負担するのは扶養義務を負う被害者の家族ですから、養育費の負担を免れるのも被害者の家族です。
このように損害が生じる者と利益が生じる者とが異なるため、養育費は損益相殺の対象となりません。

持病により治療期間が長くなった場合は損益相殺される

被害者が元々抱えていた疾患の存在によって、交通事故の損害がより重大になった場合には、賠償額が減額されることがあります。これを素因減額と言います。
主に素因減額の対象となるのは疾患ですが、通常想定されないような性格なども素因減額の対象となります。

一方で、現在でも、どのような性質であれば素因にあたり、素因減額が認められるかについて、明確な基準があるわけではありません。そのため、素因減額ができるかどうかをめぐっては、被害者と加害者との間で争いになることが多いです。

損益相殺について不明点があれば弁護士にご相談ください

損益相殺の対象となるかについては、支払われる金銭の性質や法律上の規定を踏まえて判断する必要があります。また、特に被害者側に過失があり、過失相殺の問題が生じる場合には、損益相殺についてどう処理するかの判断が難しいことも多いです。

損益相殺についてわからないことがあってお困りの際は、専門家である弁護士にご相談ください。

交通事故に遭った場合でも、けがなどはせずに物損事故として扱われることがあります。
物損事故にあった場合、被害者としてはどのように対応すればいいのでしょうか。ここでは、物損事故の意味や物損事故と人身事故の違いなど、物損事故の基礎知識をご紹介いたします。

物損事故とは

物損事故とは、交通事故のうち、物の所有権などの財産上の権利に被害がとどまる場合をいいます。被害者の生命や身体に被害が及んだ場合は、人身事故となります。

物損事故の場合、自賠責保険の適用対象となりません。また、人身事故の場合は損害賠償請求権の消滅時効期間が5年間であるのに対し、物損事故の場合は3年間です。さらに、物損事故の損害賠償請求権については相殺が許容されていますが、人身事故の損害賠償請求権についての相殺が禁止されているなど、人身事故と物損事故では様々な点で扱いが異なります。

物損事故で請求できる損害賠償

修理費

自動車を修理し、事故前の状態に戻すための費用は、損害賠償の対象になります。ただし、修理費用よりも同種の自動車に買い替えるための費用が低くなる場合(経済的全損)は、修理することが合理的ではないため、修理費用ではなく買替費用が損害賠償の対象となります。そのため、経済的全損の場合には修理費用が請求できないことに注意が必要です。

格落ち損(評価損)

自動車を修理した場合でも、事故当時より車両価格が下がることがあります。その差額を格落ち損や評価損と言います。
評価損となる原因は、自動車の構造に技術上の問題が生じたり、事故車として取引上の価値が下がったりすることなどです。このうち、性能の低下による評価損は認められやすいですが、取引上の評価損は認められにくい傾向にあります。

代車料

代車料は、代車が必要な場合に限って請求が認められます。バスや電車などの公共交通機関で代替可能な場合には、代車料の請求は認められないので注意が必要です。また、あくまで代車が必要な期間に限られるので、被害車両の修理や新車の準備に必要な1~2週間程度しか認められないことが多いです。
代車として高級車を使用することは一般的には認められませんが、高級車を利用する必要がある場合には認められることもあります。

買替差額

買替差額とは、事故当時の被害車両の時価相当額から、被害車両の売却額を引いたものです。自動車を修理することが物理的に不可能である場合(物理的全損)や、経済的全損の場合には、修理費ではなく買替差額が損害賠償の対象となります。全損した自動車は通常は売却できないので、多くの場合で事故当時の時価相当額がそのまま損害額となります。

登録手続関係費

交通事故によって自動車が全損となった場合、自動車を買い替えざるをえません。そのため、登録手数料、車庫証明手数料、納車手数料、自動車取得税などの自動車の登録手続きに必要な費用は損害賠償の対象となります。ただし、被害車両と同様の自動車が用意できれば損害は回復できると考えられているため、被害車両と同様の車両を購入した場合にかかる登録手続きに必要な費用の限度にとどまります。また、自賠責保険料、新車の自動車税、自動車重量税などは損害にあたりません。

休車損害

被害にあった自動車が営業用車両である場合には、その自動車が使用できれば得られたはずの利益が損害として認められることがあります(休車損害)。休車損害が認められる場合、得られたはずの利益から、その自動車を使用しなかったことで支払わずに済んだ燃料費や有料道路代金を除いた額が賠償額となります。
なお、代車使用料が認められる場合、代車の使用で営業利益が得られているはずですから、休車損害は認められません。

その他

このほかにも、被害にあった自動車の積み荷や被害者の持ち物の修理費や時価額、事故に遭った自動車のレッカー代や保管料、被害額を計算するための査定や見積もりの費用、交通事故証明の交付手数料などが損害賠償の対象になることがあります。

物損の場合は慰謝料が請求できない?

慰謝料は、被害者が受けた精神的苦痛を慰謝するための費用です。物損の場合、被害を受けた物の修理費用や買替費用などが支払われれば、被害を受けた物は被害者の手元に返ってくるか、改めて入手できる状態になるわけですから、精神的苦痛も慰謝されたと考えられています。そのため、物損事故の場合、一般に慰謝料の請求は認められません。

例外的に物損でも慰謝料が認められる場合

一方で、修理費用や買替費用などが支払われても精神的苦痛が慰謝されたとはいえない場合には、例外的に慰謝料の請求が認められることもあります。例えば、事故によって可愛がっていたペットが死んでしまった場合や、住んでいた家が壊れてしまった場合には、裁判で慰謝料の請求が認められたケースがあります。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故被害者専用ダイヤル 24時間予約受付・年中無休・通話無料

物損事故の事故処理の流れ

事故が発生した場合、人身事故ではなくて物損事故の場合でも、警察に連絡しましょう。また、その後の損害賠償請求の際に必要となるので、事故の相手方の氏名や連絡先を確認しておく必要があります。物損事故では実況見分調書が作成されないので、事故現場の状況や、被害を受けた物の状態について確認し、写真などで記録を残しておくとよいでしょう。

少しでも人的損害があった場合は物損事故ではなく人身事故に切り替える

事故が発生した場合、被害者に明らかな外傷がないと物損事故として処理されることがあります。
しかし、物損事故のままにしておくと思いがけない不利益を被ることがあります。けががあったり、体に違和感があったりして病院で診断を受けた場合には、必ず人身事故に切り替えましょう。

人身事故を物損事故にしておくリスク

事故の被害が比較的小規模である場合、加害者側としては、罰金や交通違反による減点、保険料の上昇を避けるために、人身事故ではなく物損事故にしておきたいと考えることがあります。

一方で、交通事故にあった場合、当初は軽いと思っていたけががなかなか治らなかったり、後から痛みが出たり、痛みがひどくなったりすることは珍しくありません。そのような場合、人身事故に切り替えていないことで保険会社に物損事故だと判断されると、十分な賠償が得られない可能性があります。

また、過失相殺が問題となる事件では事故状況が重要となりますが、事故状況についての貴重な資料となる実況見分調書は、人身事故に切り替えないと作成されません。

物損事故から人身事故に切り替える方法

交通事故によってけがを負った場合、まずはすぐに病院の整形外科で受診しましょう。担当医に診断書を作成してもらいます。
物損事故から人身事故に切り替えるかの判断するのは警察なので、作成してもらった診断書は、警察に提供し、人身事故への切り替えを求める必要があります。警察によっては、他に書類の提出を求められることがあるので、警察の指示に従い書類を提出しましょう。

物損事故の弁護士依頼は損?費用倒れにならないケースとは

物損事故は、人身事故に比べて損害賠償の額が少額となりやすいです。そのため、弁護士に依頼しても費用倒れとなる可能性があります。
物損事故でも、弁護士特約が利用できる場合には、弁護士費用の負担を気にせず弁護士を入れることができます。また、弁護士特約が利用できない場合でも、以下のようなケースでは費用倒れにならない可能性があります。

過失割合が少ない

交通事故で、被害者にも過失がある場合、賠償額は被害者の過失割合を考慮して減額されます(過失相殺)。保険会社から賠償額が提示される場合、被害者の過失割合が実際よりも大きく見積もられて過失相殺されることがあります。

このような場合には、弁護士が介入し、妥当な過失割合を前提とした賠償額の交渉をすることが考えられます。大幅に過失割合が変化した場合には、賠償額が大きく上がり、弁護士への依頼が費用倒れにならない可能性があります。

評価損が認められた

評価損の項目にもあるとおり、評価損のうち取引上の評価損については認められにくい傾向があります。保険会社にこのような取引上の評価損を認めてもらうには、専門的な知識を有する弁護士に依頼することが考えられます。

物損でも場合によっては弁護士の介入がプラスになることがあります。まずはご相談ください

物損の場合には、賠償額が妥当かどうかの判断に困ることもあるでしょう。そのような場合には、多数の物損事故を扱っている弁護士への相談が有効です。
また、物損事故の場合に、弁護士特約がなくとも、弁護士の介入がプラスとなるかどうかは、個別の事案によります。その判断のためにも、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

主婦(主夫を含む、以下は単に主婦といいます)が、交通事故によって家事を休んだ場合に、そもそも休業損害が認められるのか?それが認められるとしてもその額はいくらになるのか?パートタイマーで働いている場合はどうか?などと疑問を持たれる方がいらっしゃると思います。
以下では、このような疑問について詳しく説明し、お答えします。

主婦でも休業損害は認められるのか

休業損害とは、交通事故によって受けた傷害の症状が固定するまでの間、仕事を休んだために被った損害をいいます。専業主婦の場合、仕事を休んだわけではなく、休業損害が認めれられないことになりそうです。しかし、専業主婦にも休業損害が認められます。これは、男女が入れ替わっても同じですので、主夫についても同様に休業損害が認められます。

もっとも、専業主婦と共稼ぎやパートタイマーなど、仕事をしながら主婦をしている兼業主婦では、以下で説明するとおり、休業損害の計算方法の考え方が異なりますので注意が必要です。

仕事を休業していない兼業主婦の場合

仕事は休業していないが、家事には支障が出た場合は、裁判官の判断が分かれるところだと考えられます。具体的には、仕事ができたのであるから、家事にも支障は生じないであろうという判断や、仕事はやむなく出勤しているが、家事では体力的な仕事が多いことから家事には支障が出ているだろうという判断があると思われます。したがって、仕事を休業していないが、家事には支障が出ていることを積極的に立証していくことによって、休業損害が認められる可能性があります。

専業主婦の休業損害計算方法

専業主婦の休業損害については、原則として、賃金センサスの女子平均賃金によって損害額が計算されます。これは、主夫においても同様に、女子労働者の賃金センサスにより算定されます。女子の平均賃金は、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女子労働者の全年齢平均の賃金額を基礎として算定することになります。

基礎収入

専業主婦の場合、賃金センサスの女性労働者の学歴計全年齢平均賃金額を基礎収入とします。この賃金センサスの女子平均賃金を365(日)で割り、一日あたりの基礎収入額を算出します。それに休業日数を掛けることによって、休業損害を計算していきます。

休業日数

専業主婦の場合、会社員のように、会社を欠勤するわけではなく、休業日数の算定が難しいところがあります。そこで、専業主婦の休業日数の算定においては、入通院日数を休業日数として計算します。また、入通院はしなかった場合でも、主婦業をすることができずに自宅で床に伏していたり、主婦業ができなかったりする場合には、その日数を休業日数として含めて計算することができる場合もあります。

兼業主婦の休業損害計算方法

兼業主婦の場合の休業損害については、兼業主婦の現実の収入と賃金センサスによる平均賃金を比較し、現実の収入が高い場合には現実の収入を基礎として算定し、平均賃金が高い場合には平均賃金を基礎として算定されます。いずれかの算定によって、一日あたりの実収入を計算し、これに休業日数を掛けることによって休業損害を算定します。

基礎収入

兼業主婦の場合の基礎収入は、現実の収入が賃金センサスによる平均賃金よりも高ければ、現実の収入を基礎収入にし、賃金センサスによる平均賃金の方が現実の収入よりも高ければ、賃金センサスによる平均賃金を基礎収入として損害額の算定の基礎とします。現実の収入と賃金センサスの合算をして請求することは認められていません。

休業日数

兼業主婦の場合の休業日数については、実際に仕事を休んだ日数、もしくは、満足に家事に従事できなかった日数を休業日数とします。実際に仕事を休んだ日数については、職場に問い合わせることなどによって比較的簡単に証明することができます。満足に家事に従事できなかった日数については、客観的な証拠に乏しいところがありますが、実通院日数を参考に計算されることがあります。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故被害者専用ダイヤル 24時間予約受付・年中無休・通話無料

主婦の休業損害請求方法

休業損害を請求する場合、会社員(兼業主婦を含む)であれば、休業損害証明書を提出して、休業損害を請求することになります。専業主婦が、休業損害を請求する場合には、家族構成を把握するために、住民票の提出を求められる場合があります。また、専業主婦の方は、本人の非課税証明書や配偶者の源泉徴収票又は課税証明書の提出を求められることがあります。

必要書類

休業損害の請求に必要な書類は、休業損害証明書、源泉徴収票、給与明細書、確定申告書控え、住民税課税証明書などです。休業損害証明書は、勤務している会社が作成することになります。したがって、会社等に勤務していない専業主婦は、休業損害証明書を提出することができません。その場合は、上述のように、専業主婦本人の非課税証明書や、配偶者の源泉徴収票又は課税証明書を提出していくことになります。

主婦の状況別休業損害

家事が出来ない間家政婦を雇った場合

家事が満足にできず、家政婦を雇った場合でも、家政婦に支払った費用を休業損害として請求することができます。もっとも、家政婦を雇った費用の賠償も、家事を休まざるをえなかった分の賠償も、交通事故によって家事を満足にできなかったことに対する賠償として共通です。したがって、二重取りは認められず、家政婦を雇った費用の賠償が認められれば、家事を休まざるを得なかった分の賠償の請求はできません。

2世帯で暮らしている場合

2世帯で暮らしていると、主婦業を複数人で分担している場合があります。その場合、主として主婦業を行っている「主たる家事従事者」と、それ以外の「従たる家事従事者」に分けられ、「従たる家事従事者」については、家事への支障が少ないことから、休業損害が減額されることがあります。

主婦の休業損害は複雑なことが多いので弁護士に相談することをおすすめします

専業主婦や兼業主婦の場合、そもそも休業損害を請求することができないのではないか、との疑問や、休業損害の算定方法が分からない、などを理由として、休業損害を請求することに戸惑いを覚えるものと思います。上述のように、主婦にも休業損害が認められますので、交通事故によって家事を満足にできない事情があれば、休業損害を請求して、適正な賠償を受けることをお勧めします。

もっとも、休業損害の請求について、弁護士をつけずに保険会社と交渉をしても、思うようにいかないことが多く、適正な賠償を受けることができないことが多々あります。
適正な賠償を獲得するために、休業損害の賠償請求にあたっては弁護士に依頼することをお勧めします。

交通事故によって、後遺障害が残ってしまった場合は、後遺障害等級の申請をしましょう。もっとも、後遺障害等級の認定がされない場合や認定された等級に納得できない場合もありますので、以下では申請結果に納得がいかない場合の対処法についても解説します。

後遺障害等級認定とは

後遺障害は、症状の程度によって、等級が定められています。具体的には、要介護の1級と2級、介護を要しない等級として1級から14級までがあり、合計16種類の等級があります。
後遺障害に対する自賠責保険金を受け取るためには、損害保険料算出機構が行う等級認定を受ける必要があります。

後遺障害等級認定の申請方法

後遺障害等級認定の申請方法には、事前認定(加害者請求)と被害者請求の2種類があります。事前認定(加害者請求)は、被害者が、加害者側の保険会社に対して、後遺障害診断書を提出し、保険会社から申請をしてもらう方法です。被害者請求は、自ら全ての書類を揃えて直接申請する方法です。

事前認定(加害者請求)による申請方法

交通事故後、治療を開始し、治療を継続しても症状が改善する見込みがない状態(症状固定)になった場合、一般的にはこの時点において、後遺障害の認定の申請を行うこととなります。申請にあたっては、事前申請の場合、被害者が、加害者側の保険会社に対して、後遺障害診断書を提出し、保険会社から申請をしてもらいます。その後、後遺障害等級認定がされます。

被害者請求による申請方法

まずは必要書類を集めましょう

後遺障害等級認定の申請に必要な書類は、①保険金・損害賠償額支払請求書、②請求者の印鑑証明書(代理人による請求の場合は実印を押した委任状と印鑑証明書)、③交通事故証明書、④事故発生状況報告書、⑤診断書、⑥診療明細書、⑦後遺障害診断書です。③の交通事故証明書は、事故を管轄する警察署に申請用紙があり、自動車安全運転センターに申請をします。⑤や⑦は、診断を受けた医療機関に作成を依頼します。

後遺障害等級認定までの流れ

必要書類が集まったら、被害者自身で、加害者が契約している自賠責保険の保険会社に必要書類を提出しなければなりません。被害者請求の場合は、後遺障害等級認定がなされると、それが保険会社に通知され、等級に応じた保険金が支払われます。

事前認定と被害者請求のメリット・デメリット

事前認定(加害者請求)

事前認定のメリットは、被害者の手間が省ける点にあります。すなわち、加害者の保険会社が後遺障害等級認定の申請を行うため、被害者側はその間何もしなくてよいのです。
事前認定のデメリットは、被害者の希望する認定がされない可能性がある点です。すなわち、加害者の保険会社が後遺障害等級認定の申請を行うため、被害者が希望する十分な認定がされない可能性があるのです。

被害者請求

被害者請求のメリットは、被害者の希望する認定が受けられる可能性がある点です。すなわち、被害者が弁護士などに依頼して申請を行うため、被害者の希望する認定が受けられる可能性があるのです。
被害者請求のデメリットは、被害者の手間がかかる点にあります。すなわち、後遺障害等級認定の申請には、上述のような多くの書類が必要となり、被害者がそれを集めるための諸手続をするという手間がかかるのです。

後遺障害認定までにかかる期間

後遺障害等級認定の申請から認定までの期間は、事案によって様々ですが、早ければ1か月、遅い場合は2ヶ月から3ヶ月かかる場合もあります。事前認定の場合は、加害者が契約している保険会社が申請を行うため、その手続きのスピードは保険会社によって様々です。

認定されなかった場合・認定された等級に納得いかなかった場合にできること

認定されなかった場合や認定された等級に納得がいかない場合には、異議申立てを行うことができます。この異議申立てによって、認定された等級を修正してもらうことができます。認定された等級の結果には、結論に至った理由(理由書が添付されている)が書かれていますので、認定を覆すためには、内容を分析したうえでさらなる資料を提出するなどが必要になります。異議申立てを行っても、認定された等級よりも下がることはありません。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故被害者専用ダイヤル 24時間予約受付・年中無休・通話無料

異議申し立てをする方法

後遺障害等級認定に対する異議申立ての方法には、①自賠責保険に対する異議申立て、②自賠責保険・共済紛争処理機構への申請、③訴訟提起の3種類があります。通常、①の異議申立てが行われます。

以下では、①の自賠責保険に対する異議申立ての方法について解説します。

必要書類と入手方法

後遺障害等級認定に対する異議申立てに必要な書類は、①異議申立書、②弁護士に依頼した場合は委任状です。 必ずしも提出を要しないが、認定を覆すために必要な資料として、新たな診断書や後遺障害診断書、画像等の検査結果資料、医師の
意見書、カルテなどを必要な範囲で添付するとよいでしょう。

異議申立書の書き方

異議申立書には、異議申立の理由を記載する欄があり、この異議申立ての理由の内容が審査の際に重要視されます。したがって、異議申立て理由の内容を充実させる必要があるのです。具体的には、前回の認定結果が不合理であること、被害者が求める認定要件に足りていること等を主張し、資料を添付しつつ立証していくのです。

このように、異議申立書は、獲得しようとする等級に照らして、どのような主張をし、どのような資料を添付するかを想定して作成する必要があります。

書類に不足や不備があるとやり直しになる

異議申立書の書類に不備があったり、獲得しようとする等級に照らして添付すべき資料が証明するのに足りない場合は、後遺障害等級認定がされない結果となります。異議申立てを行う回数に制限はありませんが、自賠法上、症状固定から3年で時効にかかりますので注意すべきです(もちろん時効中断できますが。)。

また民法上、交通事故の後遺障害に係る損害賠償請求権は症状固定から5年で時効が完成するため、民法上の時効には留意すべきです。

「異議申立て」成功のポイント

後遺障害等級認定に対する異議申立てを成功させるポイントについて説明します。

まず、どのような理由で前回の認定結果になったのかを検討する必要があります。なぜなら、前回と同じ申請(異議申立)理由や同じ資料を添付しても、認定結果を覆すことはできないからです。したがって、書類に不備・不足があったことが原因であるのか、求めた等級が適切でなかったことが原因であるのかなど、前回の認定結果の理由を検討する必要があるのです。

認定結果の原因の獲得すべき等級が適切であるかの検討を終えたら、その等級を獲得するための要件を確認する必要があります。そして、確認した要件に該当するためには、前回は何が不足していたのか、今回は何を追加しなければならないのかを検討します。

最後に、前回不足していた情報について補足をし、その資料を集めます。例えば、前回の後遺障害診断書の記載内容が不適切であったのであれば、改めて担当医に後遺障害診断書を作成することを依頼するなどです。

適切な等級認定を得るために、このような検討を加えることで、求める等級認定の可能性を上げることができるのです。

後遺障害等級認定・異議申し立ては弁護士にお任せください

後遺障害等級認定の申請や異議申立てには、その認定に向けて、効果的な資料の準備が必要となるなど、専門的な知識が必要となります。後遺障害等級認定に詳しい弁護士に依頼すれば、専門的な知識を武器に、後遺障害等級認定の申請から異議申立てまで、被害者に代わって行ってくれることでしょう。

後遺障害等級認定の申請や異議申立てをする際に、少しでも悩んだら弁護士に相談することをお勧めします。

交通事故に遭われた方が、仕事を休まざるを得ず、給料を受け取ることができなくなることがあります。そのような不利益が休業損害です。以下では、そもそも休業損害とは何なのか、休業損害を請求できる人の範囲や計算方法、具体的な受取り方などを解説します。

休業損害とは

休業損害とは、交通事故によって受けた傷害の症状が固定するまでの間、仕事を休んだために被った損害をいいます。例えば、交通事故にあった会社員が、症状が固定するまでの間、治療のために会社を休んで病院に行くことになり、その分の給料がもらえない場合があります。このような場合に、給料がもらえないという不利益を休業損害といいます。

休業補償との違い

これに対して、休業補償とは、労働者が通勤や勤務中に怪我や病気をしたこと、すなわち労働災害が発生した場合に、労働者の生活を保護するために支払われるものをいいます。休業補償は、労働基準法76条に定められています。

休業補償と休業損害は、労働者が働けない場合に、給料に代わるものとしてお金を受け取ることができる点で共通であるといえます。

もっとも、上述のとおり、休業損害は、加害者が被害者の受けた損害の賠償として支払うものであり、労働者の生活を保護するために、使用者が補償する休業補償とは、その性質が全く異なるものなのです。

労働者が、休業補償給付を受けた場合には、その分を休業損害から減額されますので、休業損害と休業補償の二重取りをすることはできません。

休業損害の請求条件

休業損害を請求できる人とは、どのような条件を満たした人を
休業損害は、働いている人が仕事を休んだことによって生じた損害であるため、働いて収入を得ていない人は、休業損害の請求をすることができる。

したがって、働いていない無職者や幼児、学生は、休業損害の請求をすることはできません。
一方、主婦(夫)については、現実に収入を得ているわけではありませんが、家事従事者として休業損害を請求することができます。

休業損害の計算方法と算定に必要な要素

稼働日数とは

休業損害は、1日当たりの基礎収入に休業した日数を掛け合わせることで算出されます(1日当たりの基礎収入×休業日数)。

休業損害の請求をするにあたり、一日あたりの所得金額をいかに計算するかについては、休日を含んだ一定期間の平均賃金とする方法や、稼働日数として休日を含まない実労働日1日辺りの平均額とする方法が考えられます。休日を含んで計算すると、分母が増えるため、一日あたりの所得金額が下がります。したがって、休日を含まない後者の計算の方が、有利であることが多く、自身の休業損害がどのように計算されているかを確認する必要があります。

なお、治療で休んだ日に有休休暇を取得した場合、給料の支払いを受けますが、治療以外で使用しようとした有給休暇が自由に利用できなかったという損害があります。したがって、有休休暇を取得したか否かにかかわらず同様に計算されます。

基礎収入とは

休業損害で計算される基礎収入は、交通事故に遭う前に得ていた所得をもとに算出されます。これによって、経済的には事故前と同様の収入がある生活ができるように計算されます。これらを証明するためには、給与所得者であれば給与明細書や源泉徴収票、事業所得者であれば事故前年の確定申告書などが必要となります。主婦(夫)については、後ほど説明する賃金センサスを用いて基礎収入を算定します。

職業によって休業損害の算定に違いが出る

主婦の場合

主婦(夫)の場合、現実の収入がないため、性別や年齢、学歴等を様々な観点から国土交通省が分析した「賃料構造基本統計調査」(いわゆる賃金センサス)を使用することによって休業損害が算定されます。
パート収入があるなど、主婦(夫)業と兼業している場合は、実際に受け取っている収入額と賃金センサスのいずれか高い方を使用して算定されることになります。

自営業の場合

自営業者の場合は、事故前の申告所得額を基礎収入として計算されます。自営業者は、これ以外にも、事業継続ための家賃の支払いや従業員の給与の支払いといった固定費についても、休業損害として認められることがあります。

アルバイトの場合

アルバイトによって収入を得ていた場合は、給与所得者と同様、得ていた収入を基礎として算定し、休業損害の発生が認められます。これは、学生がアルバイトをしていた場合でも、同じです。

無職の場合

無職者の場合は、交通事故による治療のために、仕事を休むことになったとはいえないため、休業損害の発生は認められません。
もっとも、失業中であり、療養中に再就職する蓋然性が認められる場合や、就職が内定していた場合には、就職したであろう時期以降の休業損害が認められる可能性があります。この場合の基礎収入は、失業前の収入や賃金センサスを参照して基礎収入の金額が算定されることになります。

公務員の場合

公務員も、交通事故によって収入が減少することによって、休業損害が認められます。
もっとも、公務員には、病気休暇制度や休職制度があり、収入が減少しないように補填される福利厚生の制度があります。
このような補填がなされた場合には、前述した休業補償と同様、その分を休業損害から減額されることになります。

会社役員の場合

会社役員の場合は、得ている収入の性質によって休業損害の算定方法が異なります。すなわち、役員の収入には、労務対価部分と利益配当の実質をもつ部分があり、休業損害の対象となるのは、労務対価部分となります。労務対価部分か否かは、会社の規模や営業状態、役員の報酬額などが勘案されて判断されます。

会社員の各種手当は含めて算定可能か

休業損害で計算される基礎収入は、交通事故に遭う前に得ていた所得をもとに計算されます。したがって、残業代については、交通事故に遭う前に得ていた所得の中に含まれており、一日あたりの基礎収入の算定に含まれています。

賞与は、勤務評定や景気動向、業績など様々な要因によって算定され支給されます。したがって、賞与の減額があった場合、交通事故による休業によって賞与が減額されたかを証明する必要があります。具体的には、就業規則や賞与減額規則等を資料として賞与減額証明書を作成して提出し、交通事故による賞与の減額を立証する必要があります。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故被害者専用ダイヤル 24時間予約受付・年中無休・通話無料

休業損害証明書の書き方

基礎収入を算定するための資料として、休業損害証明書があります。休業損害証明書は、被害者本人ではなく、勤務している会社等に作成してもらう必要があります。休業損害証明書自体は、加害者の保険会社の担当者から送られてくることがありますので、受け取り次第、会社等の担当部署を調べ、作成を依頼します。

内容としては、事故により仕事を休んだ期間、その間の有給休暇の取得の有無や遅刻・早退の有無、休んだ日に給与の支払いを受けたか否か、自動車事故による休業がない直近3か月の月例給与、社会保険から休業補償給付や傷病手当金の給付を受けたか否かなどを記載してもらいます。また、前年度の源泉徴収票など所得を証明できる資料を添付する必要があります。

受け取れるのはいつから?

被害者が、源泉徴収票等の資料を添付した休業損害証明書を保険会社に提出し、保険会社がこれを確認したうえで、問題がなければ月末に支払われることが多いです。実際の給与の支払い日と異なることがありますので注意が必要です。

休業損害の請求時効

休業損害は、交通事故という不法行為(民法709条)によって生じた損害ですので、交通事故発生時又は症状固定日から5年で消滅時効が成立し、請求できなくなります。2020年4月1日に民法が改正され、この時点で時効が成立していない場合は、旧民法が適用され、3年で時効が成立し、請求できなくなりますので注意が必要です。

先払いはしてもらえる?

休業損害は、保険会社に休業損害証明書を提出して、保険会社が問題ないと判断した場合には、先払いしてもらうことができます。ただし、示談が成立していない段階では賠償金額が確定していないため、請求した金額全額が認められるとは限りません。また、保険会社が、休業損害について認めないと判断する場合もあります。

休業損害はいつまで貰える?打ち切られることはある?

休業損害の支給期間は症状が固定するまでとなります。また、症状によって休業日数の算定が異なります。保険会社は、医師に対して治療の必要性を確認し、医師から休業の必要性がないとの回答が得られた場合には、症状固定前でも治療を打ち切ることがあります。

交通事故がきっかけで退職することになった場合の休業損害

交通事故が原因で解雇や退職した場合には、これによって減収した分が休業損害として認められます。また、再就職までの期間についても、前職での収入を基礎として算出した基礎収入が、休業損害として認められます。

休業損害について不安なことがあれば弁護士にご相談ください

休業損害は、交通事故による症状や被害者の方の立場や職業等によって認められる損害額や期間が異なります。
交通事故で仕事を休むことになり、収入が減ってお金が必要だと悩んだら、すぐに弁護士にご相談ください。
また、休業損害を請求するにあたって、不安なことや不明なことがありましたら、弁護士に気軽にご相談ください。

交通事故でけがをしてしばらく治療を続けていると、保険会社から、「そろそろ治療は終わりますか」などと言われて、治療の打ち切りを求められることがあります。
どうして保険会社は治療の打ち切りを迫ってくるのでしょうか?治療の打ち切りに対してどのように対応したらいいのでしょうか?

ここでは、治療の打ち切りについての疑問についてお答えしていきます。

治療打ち切りとは

保険会社の説明では治療の打ち切りと言われることも多いですが、正しくは治療費の打ち切りと言います。

加害者が任意保険に入っている場合、被害者のけがの治療費は保険会社が立て替えます。しかし、保険会社も、いつまでも治療費を払ってくれるわけではありません。保険会社が「ここまででいいだろう」と判断して治療費の立て替えを止めるのが、治療費の打ち切りです。

治療費の打ち切りと症状固定の違い

治療費の打ち切りは、保険会社の、治療費の支払いについての判断です。これに対して、症状固定は、医師の、けがの状態や治療の必要性についての判断です。

このように、治療費の打ち切りと症状固定とでは、判断する人、判断の対象が異なります。もっとも、医師が症状固定と判断すると、保険会社としてはそれ以上の治療は必要ないと考え、治療費を打ち切ることがほとんどです。

保険会社が治療費の打ち切りを迫る理由

保険会社は治療費の立て替えをしているため、被害者が治療を受け続けていると、保険会社の負担はどんどん大きくなってしまいます。そこで、保険会社としては、できる限りその負担を減らそうとします。特に、それほど酷いけがでなかったり、同じようなけがの人と比べて治療期間が長かったりすると、保険会社としては、治療はもう必要ないと考えるわけです。そこで、保険会社は、治療費の立て替えを終わらせて保険会社の負担を減らすために、被害者に対して治療費の打ち切りを迫るのです。

まだ痛みがあるのに治療費の打ち切りを迫られた場合の対処法

弁護士に依頼して保険会社と交渉してもらう

そこで考えられるのが、弁護士に依頼して保険会社と交渉してもらうことです。弁護士は保険や交通事故に関する知識があり、また交渉のプロフェッショナルでもあります。治療費立て替えの延長の場面では、医師からどのような情報を得ればいいかの助言を得られるとともに、保険会社との直接の交渉を任せることができ、有利な結論を得やすくなります。また、直接に保険会社と関わらなくてよくなるため、ストレスに苦しむこともありません。

自身で延長交渉を行う

保険会社から治療費の打ち切りを迫られた場合、自身で保険会社と交渉をすることももちろん可能です。しかし、保険会社は、多数の交通事故事件を扱っているうえに、交渉のプロフェッショナルです。自身の生活で忙しい中、自身に有利な結論を得られるように交渉を進めるのは容易ではありません。また、自身にとっての一大事も保険会社にとっては多くある事件の一つですから、保険会社の対応にストレスを溜めてしまうことも珍しくありません。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故被害者専用ダイヤル 24時間予約受付・年中無休・通話無料

治療打ち切りの連絡を無視したらどうなる?

保険会社からの治療打ち切りの連絡を無視すると、そのまま治療費の立て替えを打ち切られる可能性があるため注意が必要です。自身で交渉をするか、弁護士に依頼するかにかかわらず、迅速に対応する必要があります。

打ち切り後も自費で通院を継続すべきか

治療費の打ち切り後も、けがが痛んだり、違和感があったりする場合には、通院を続けることも考えられます。治療の必要性は医学的な判断になりますから、治療をしてくれる医師と相談して決めることが重要です。ただし、治療費の打ち切り後だと、通院にかかる費用を自分で負担することになる可能性がある点に注意が必要です。

通院して治療を継続しているかどうかは、後遺障害等級認定に関わってくることもあります。そのため、けがが辛いのであれば通院を継続することも十分考えられます。

治療費を立て替えるお金がない場合

治療費を立て替えるお金がない場合、自分が加入している保険会社に請求すること、健康保険を利用することが考えられます。

健康保険を利用すれば、3割負担で治療が受けられます。ただし、事故によるけがの治療費は、本来は加害者が全額負担すべきものです。そこで、最終的には健康保険組合が加害者に対して治療費を請求することになります。そのため、健康保険を利用した場合には、「第三者行為による傷病届」を提出する必要があることに注意が必要です。

治療の打ち切りを迫られたら、弁護士に相談してみよう

保険会社から治療費の打ち切りを迫られとき、もちろん自身で交渉をすることも考えられます。一方で、交通事故のプロフェッショナルである保険会社を相手に、自身の日常生活を送りながら交渉をすることは簡単ではありません。
自身で交渉を続けるとしても、弁護士に依頼するとしても、弁護士に相談することは、自身が何をすればいいのかを明確にするのに役立ちます。

治療費の打ち切りを迫られるなど、交通事故をめぐってお困りの際には、ぜひ一度弁護士にご相談下さい。

誰もが一度は耳にしたことのあるむちうち。交通事故にあって、むちうちになってしまったという人もいると思います。そんなむちうちですが、その内容はどういうものでしょうか。また、交通事故でむちうちになった場合、保険会社とはどのようにかかわるべきであり、どのような賠償を求めることができるのでしょうか。

ここでは、そのような疑問にお答えしながら、むちうちになった場合の対応を解説いたします。

むちうちとは?

むちうちというのは、すり傷や切り傷と違って、実はけがの名前ではありません。くびがムチを打つように激しくしなることによってけがが生じたという、けがの原因や経緯を指した表現です。なので、むちうちによって生じた首の捻挫(頸椎捻挫)などが、具体的なけがの名前になります。ただ、実務上は、単にむちうちと診断されることも多いです。

むちうちの主な症状

むちうちの主な症状としては、頭や首の痛み、めまい、吐き気などがあります。また、むちうちになった場合に影響が出るのは頭や首だけではありません。手足のしびれや痛み、肩こり、腰の痛みなどが生じることもあります。
そのため、追突事故にあった後、頭や首以外でも体に違和感があったときには、早めに整形外科を受診することが大切です。

むちうちの主な治療方法

むちうちの治療方法としては、安静にするほか、薬を服用したり、湿布を貼ったりするという方法があります。もっとも、症状を改善するためにどのような方法が有効かは、けがの内容や状態によって異なります。大事なのは、医師の診断を受けて、適切な治療を受けることです。

むちうちで認定される可能性のある後遺障害等級と認定基準

むちうちの治療を受けても痛みが残った場合、その痛みが後遺障害として認められることがあります。むちうちで認められる可能性があるのは、上の表の12級13号と14級9号の二通りです。レントゲンやCT、MRIの画像といった客観的な資料があり、痛みの存在が医学的に証明できる場合は、12級13号に当たります。一方で、客観的な資料がなくても、痛みが存在していることが医学的に説明できる場合は、14級9号となります。

むちうちで請求できる慰謝料と慰謝料相場

むちうちの場合、加害者に対して、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料が請求できます。

具体的な金額については、同じようなけがを負ったら同じくらいの慰謝料が支払われるように、慰謝料の金額を計算するための基準(算定基準)が作られています。
一般に知られた算定基準として、法令で定められた自賠責保険の基準(自賠責基準)と、弁護士が交渉に関わった場合の基準(弁護士基準)があります。自賠責の目的は最低限の補償なので、自賠責基準よりも弁護士基準の方が慰謝料の金額は高くなることが多いです。

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、むちうちの治療のために入院や通院をさせられたことに対する慰謝料です。

【むちうちで通院期間6ヶ月・実通院日数90日の場合】
自賠責基準弁護士基準
77万円89万円

※令和2年4月1日時点の情報です。
むちうちの場合、長くとも6か月で症状固定と判断され、治療が終了することがほとんどです。そのような場合、自賠責基準と弁護士基準とでは、約12万円の差がつきます。

後遺障害慰謝料

治療しても治らなかったけがのことを、後遺障害(後遺症)といいます。後遺障害が残ったことに対する慰謝料が、後遺障害慰謝料です。
後遺障害慰謝料の額は、後遺障害の程度によって異なり、重いほど高くなります。

後遺障害等級自賠責基準弁護士基準
12級13号94万円290万円
14級9号32万円110万円

後遺障害に関する慰謝料は、自賠責が最低限の補償であることから、自賠責基準と弁護士基準とで差が大きくなっています。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故被害者専用ダイヤル 24時間予約受付・年中無休・通話無料

むちうちで適正な等級認定・慰謝料請求するためのポイント

通院頻度を適切に保つ

通院頻度は,月10回程度が目安となります。それより通院頻度が低いと,事故によるけがが深刻でないと判断されることがあります。反対に,あまりに通院頻度が高かったり,事故から時間が経っているのに通院頻度が下がらなかったりすると,必要以上にけがが重大であるかのように見せていると判断されることがあります。どちらの場合でも,適正な慰謝料を受けとることはできないため,注意が必要です。

必ず整形外科を受診する

むちうちの治療の際は、病院の整形外科に通うだけではなく、整骨院に通っている方も多いです。ただし、整骨院は、あくまで整形外科の補助的な位置づけのため、まずは、整形外科を受診しておきましょう。

また、整骨院を利用する場合は、事前に医師から整骨院を利用するよう指示を受けておくよう注意してください。指示を受けずに整骨院を利用した場合、保険会社は整骨院にかかった費用は治療に必要ではなかったと考え、治療費を負担してくれない場合が多いです。

通院中に保険会社からむちうちの治療費を打ち切られそうになったら

むちうちの場合、レントゲン写真などの客観的な資料がないことも多く、保険会社が治療は不要と判断して、治療費の打ち切りをしやすいのが実情です。

治療費を打ち切られそうになった場合には、治療費の立て替えを延長するよう保険会社と交渉することになります。自身で交渉するのが難しい場合は、弁護士に依頼することも考えられます。

また、仮に治療費を打ち切られてしまった場合でも、通院を続けると後遺障害の認定の際に有利になることがあります。ただし、この場合は、治療費を自身で負担することになることに注意が必要です。

交通事故でむちうちになったら弁護士へご相談下さい

むちうちになると、入通院中の治療費打ち切りについての交渉、症状固定についての意見、後遺障害等級認定の申立て、異議申立て、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の請求など、様々な場面で判断を迫られることになります。

しかし、保険会社の提示する金額が適正なのかの判断は難しいですし、医師から何を聞けばいいのかを自分で判断するのも難しいです。交通事故にあって、治療を受けながら生活を立て直す中では、肉体的・精神的な負担は一層大きくなります。

そんなときに役に立つのが弁護士です。弁護士であれば、交通事故に関する知識を活用し、あなたの事情を踏まえたサポートができます。
交通事故でむちうちになった場合は、ぜひ一度弁護士へご相談下さい。

けがの治療を始めてからしばらくすると、保険会社から「症状固定でいいですか」と言われたり、医師から「症状固定ですね」と言われたりすることがあります。
症状固定とは、いったいどういう意味なのでしょうか。また、保険会社から症状固定を認めるよう求められた場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

このページでは、そんな疑問にお答えすべく、症状固定について解説いたします。

症状固定とは

症状固定とは、治療を続けても、けががこれ以上よくならない状態のことです。

交通事故などでけがを負った場合、治療をしても元通りにはならないこともあります。そのようなときに、治療を続けるのか、それとも止めるのかは、治療がけがの改善に役立つかで決まります。そこで、治療を続ける意味がない状態を症状固定と呼び、治療中止の判断の指標とするわけです。
また、症状固定後も残ったけがは、後遺症(後遺障害)と呼ばれます。

症状固定を決めるのは誰か

症状固定について判断するのは、医療のプロフェッショナルである医師です。被害者は、けがが痛んだり、痕が残っていたりと自分の体のことは分かります。しかし、それが治療してよくなるのかどうかは、医学的知識がないと分かりませんから、症状固定については判断できないのです。なので、保険会社から症状固定を打診された場合でも、被害者が無理に答える必要はありません。

被害者としては、医師が症状固定について正しく判断できるように、けがの状態についての自分の認識をきちんと医師に伝えることが重要です。

症状固定と言われたが痛みがある場合は通院してよいのか

症状固定と言われても、けがが痛んだり、違和感があったりして辛い場合には、通院を続けた方がいいでしょう。けがが後遺障害と認定されなかったことに対し異議申立てをする際に、考慮してもらえることもあります。

ただし、医師が症状固定と判断した場合、保険会社は治療費の支払いを打ち切ります。そのため、症状固定後の治療費は立て替えてもらえず、通院にかかる費用は自分で負担することになる点に注意が必要です。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故被害者専用ダイヤル 24時間予約受付・年中無休・通話無料

症状固定時期は賠償額に大きく影響する

症状固定時期は、賠償額にどう影響するのでしょうか。症状固定の前後で、保険会社による賠償の対象がどう異なるのかを踏まえ、影響を見ていきます。

症状固定の前後で賠償の対象が異なる

・症状固定前
症状固定前は、治療が交通事故の被害から回復するために必要だったといえるので、治療費、入院や通院のために仕事などを休んだことで発生した損害(休業損害)が賠償の対象となります。

また、慰謝料のうち、入院や通院をさせられたことに対する慰謝料(入通院慰謝料、けがを負ったことに対する慰謝料なので傷害慰謝料ともいいます)は、症状固定までの入通院の期間に応じて支払われます。

このような治療費、休業損害、入通院慰謝料は症状固定日までの分しか支払われません。したがって、保険会社に言われるまま、早めに症状固定にすると、賠償額が本来よりも少なくなる可能性があります。

・症状固定後
症状固定後は、後遺障害についての賠償が中心となります。具体的には、後遺障害がなければ得られるはずだった利益(逸失利益)が賠償の対象となります。この逸失利益とは、例えば、後遺障害がなければ稼ぐことができたお金のことです。

また、慰謝料のうち、後遺障害が残ったことに対する慰謝料(後遺障害慰謝料)は、症状固定し、後遺障害の有無が判断できるようになって初めて支払われます。
保険会社に従って早めに症状固定をすると、後遺障害が認められにくくなることもあるため、注意が必要です。一方で、症状固定をしないと、逸失利益の賠償や後遺障害慰謝料の請求ができないため、やみくもに症状固定を先に伸ばせばいいというわけでもありません。

症状固定後の流れ

症状固定後は、保険会社から後遺障害についての賠償を受けるための手続きが必要となります。まずは、医師に後遺障害診断書を作成してもらいます。そして、後遺障害診断書などを資料として後遺障害等級認定申請を行います。

後遺障害等級認定を得られれば、保険会社から賠償を受けることができます。認定が得られなければ、異議申立てを考えることになります。

症状固定についてのお悩みは弁護士にご相談ください。

保険に関したやりとりをするには、症状固定をはじめとした専門的な知識が必要です。また、保険会社はどうしても会社の利益のために動くので、被害者の利益を守るためにはきちんと交渉する必要があります。しかし、自身で交渉するのはどうしても負担になりますし、意図していない発言でかえって不利になる危険性もあります。保険会社との交渉を弁護士に任せることは、あなたの利益を守ることにもつながります。

症状固定など保険に関するお悩みは、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

この記事の監修

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長弁護士 辻 正裕
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。