監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士
遺言書を見つけたけれど、どうすればいいか分からないとお悩みではありませんか?
特に「自筆証書遺言」の場合、勝手に開封してしまうと過料の制裁を受ける可能性があるため注意が必要です(民法1005条)。
本記事では、遺言書の検認手続きの重要性や注意点について、分かりやすく解説します。
目次
遺言書の検認とは
遺言書の検認とは、自筆証書遺言を発見した際に義務付けられている手続きです。
遺言書が封筒に入っている場合、勝手に開封すると民法上の過料の制裁を受ける可能性があるため注意が必要です。
ただし、すべての自筆証書遺言に検認が必要なわけではありません。
2020年に施行された自筆証書遺言保管制度を利用し、法務局(遺言書保管所)に保管されている遺言書については、例外として検認手続きは不要とされています。
有効性を判断をされるものではない
遺言書の検認手続きは、あくまで遺言書の存在や発見時の状態を確定し、後から偽造や変造がされるのを防ぐためのものです。
したがって、家庭裁判所で検認を受けたからといって、その遺言書が法的に「有効」であると証明されたわけではありません。
また、検認が不要となる法務局の自筆証書遺言保管制度を利用した場合であっても、法務局が遺言書の有効性を確認する制度ではない点には注意が必要です。
遺言書の検認が必要になるケース
遺言書の検認手続きが必要となるのは、主に「自筆証書遺言」をご自宅や貸金庫などで発見したケースです。
公証役場で作成される公正証書遺言の場合は、偽造や変造のおそれがないため検認の対象外となります。
また、自筆証書遺言であっても、「自筆証書遺言書保管制度」を利用して法務局(遺言書保管所)に保管されている遺言書については、例外として検認が免除されます。
つまり、検認が必要なのは法務局に保管されていない自筆証書遺言に限られます。
検認せずに遺言書を開封してしまったらどうなる?
封印のある自筆証書遺言を、家庭裁判所での検認手続きを経ずに勝手に開封してしまうと、民法上の過料という制裁を受ける可能性があります。
しかし、誤って開封してしまったからといって、遺言書そのものが無効になるわけではありません。ただし、焦って遺言書を意図的に隠匿したりすると「相続欠格」となり、相続権を失う恐れがあるため注意が必要です。
誤って開封してしまった場合は、速やかに弁護士へご相談ください。
遺言書の検認に期限はある?
遺言書の検認には、具体的な日数の期限は法律上定められていません。
しかし、民法では、遺言書の保管者や発見した相続人は、相続の開始を知った後「遅滞なく」家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならないとされています。
もし意図的に検認を避け、遺言書を隠匿したとみなされると「相続欠格」となり、相続権を失う恐れがあります。
発見後はできるだけ速やかに弁護士へ相談し、手続きを進めることが重要です。
遺言書の検認手続きの流れ
遺言書の検認手続きは、主に以下の流れで進められます。
- ① 検認の申立て
遺言書の保管者や発見した相続人が、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。この際、被相続人や相続人の戸籍謄本などの書類が必要です。 - ② 検認期日の通知
家庭裁判所から相続人全員に対し、検認を行う期日の通知書が郵送されます。 - ③ 検認の実施
期日当日、出頭した相続人の立ち会いのもと、裁判官が封印された遺言書を開封し、その状態や内容を確認します。 - ④ 検認済証明書の交付
検認終了後、「検認済証明書」の交付を受けます。
これを遺言書に添付することで、不動産の名義変更や預金の解約といった具体的な相続手続きが可能となります。
手続きをする人(申立人)
遺言書の検認手続きを申し立てることができるのは、主に「遺言書の保管者」または「遺言書を発見した相続人」です。
これらの人が、被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して手続きを行います。
必要書類
遺言書の検認を家庭裁判所に申し立てる際には、いくつかの書類を準備する必要があります。
主な必要書類は、検認申立書のほか、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本、そして相続人全員の戸籍謄本です。
また、相続関係によっては、追加の戸籍謄本などが求められることもあります。
戸籍の収集は時間や手間がかかることが多いため、手続きに不安がある場合は弁護士にご相談ください。
申立先
遺言書の検認の申立ては、遺言者(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
管轄の裁判所が遠方にあってご自身で手続きに赴くのが難しい場合などは、お早めに弁護士へご相談ください。
検認手続きにかかる費用
遺言書の検認手続きを家庭裁判所へ申し立てる際には、費用がかかります。
具体的には、遺言書1通につき800円分の収入印紙と、裁判所からの通知などに使用される連絡用の郵便切手代(裁判所により異なりますが数千円程度)が必要です。
また、戸籍謄本などの必要書類を収集するための交付手数料も発生します。
ご自身での手続きが不安で弁護士に依頼する場合は、別途弁護士費用がかかります。
まずは弁護士へご相談ください。
遺言書の検認が終わった後の流れ
家庭裁判所での検認手続きが無事に終了すると、遺言書に「検認済証明書」が合綴されて申立人に返還されます。
この検認済証明書が付いた遺言書を用いることで、初めて法務局での不動産の相続登記(名義変更)や、金融機関での預貯金の解約・払戻しといった具体的な相続手続きを進めることが可能になります。
相続手続きには期限が設けられているものもあるため、検認後は速やかに各機関での手続きへ移行することが大切です。
相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします
遺言書の検認に関するQ&A
遺言書の検認に行けない場合、何かペナルティはありますか?
家庭裁判所から検認期日の通知が届いたものの、仕事や遠方などの理由でどうしても出席できない場合でも、申立人以外の相続人であれば過料などのペナルティや法的な不利益はありません。
遺言書の検認は、相続人全員が揃っていなくても、申立人が出席していれば手続きを進めることができます。欠席した相続人には、手続き終了後に家庭裁判所から検認が済んだ旨の通知が送付されます。
検認できない遺言書はありますか?
「検認ができない(検認の対象外となる)」遺言書には、公証役場で作成した「公正証書遺言」や、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して保管されている自筆証書遺言が含まれます。
これらは偽造・変造の恐れがないため検認は不要です。
なお、「誤って開封してしまった」遺言書でも検認手続き自体は可能ですが、過料の対象となる場合があるため、発見した状態のまま速やかに家庭裁判所へ提出してください。
遺言書の検認を弁護士に頼んだら、費用はどれくらいになりますか?
遺言書の検認手続きを弁護士に依頼する場合の費用は、事務所によって異なりますが、一般的には手数料として数万円から十数万円程度が相場とされています。
これに加えて、裁判所へ納める収入印紙代や郵便切手代、戸籍謄本などの書類収集にかかる実費が別途必要です。
当事務所では、ご相談者様の状況に合わせた明確な費用のお見積もりを事前にお出ししておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
検認せずに開けてしまった遺言書は無効になりますか?
封印のある自筆証書遺言を家庭裁判所の検認前に勝手に開封してしまっても、遺言書そのものがただちに無効になるわけではありません。
しかし、民法上の規定により過料という制裁を受ける可能性があります。
また、勝手に開封すると他の相続人から「内容を書き換えたのではないか」と偽造や変造を疑われ、無用なトラブルに発展する恐れがあります。
誤って開けてしまった場合でも、速やかに検認手続きを行ってください。
遺言書の検認手続きは専門家にお任せください
遺言書の検認手続きには、お亡くなりになった方の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本を漏れなく収集するなど、多くの手間と時間を要します。
弁護士にご依頼いただければ、煩雑な書類の収集から家庭裁判所への申立てサポートまでスムーズに進めることができます。
遺言書の有効性や内容をめぐって相続人間でトラブルになりそうな場合も迅速に対応可能です。遺言書を見つけたら、まずは当事務所へお任せください。

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- 保有資格
- 弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)
