離婚慰謝料を減額したい!請求された場合にすべき対応とは

離婚問題

離婚慰謝料を減額したい!請求された場合にすべき対応とは

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕

監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士

配偶者や元配偶者から突然、高額な離婚慰謝料を請求された場合、多くの方は驚きと不安で頭が真っ白になってしまうものです。

「自分の不注意や過ちが原因だから、言われた通りの金額を払わなければならないのか」、「到底一括で払える金額ではないが、自己破産するしかないのか」と一人で思い悩む方も少なくありません。

しかし、相手方が提示してきた請求額が、必ずしも法的に「適正な金額」であるとは限りません。

離婚慰謝料には過去の裁判例に基づいた相場があり、個別の事情によっては大幅な減額、あるいは支払いの拒否が認められるケースも多々あります。

そこで、ここでは慰謝料を減額できるケースや具体的な対応策、支払えない場合の対処法について、詳しく解説します。

離婚慰謝料を請求された!減額はできる?

結論から申し上げますと、相手方から請求された離婚慰謝料を減額できる可能性は十分にあります。

そもそも、離婚慰謝料とは、不貞行為(いわゆる不倫)やモラルハラスメント、DVなど、離婚の原因となった有責行為によって生じた「精神的苦痛に対する損害賠償」と、離婚により「配偶者の地位を失ったこと自体から生じる慰謝料」を合わせたものです(民法第709条に基づく不法行為責任)。

相手方は、怒りや悲しみといった感情的な理由から、あるいは今後の交渉(譲歩)を見越して、あえて相場よりもかなり高額な慰謝料を請求してくることが一般的です。

そのため、法的根拠に基づいて適切に交渉を行えば、双方が納得する現実的な金額へと減額できるケースは一定程度あります。

離婚慰謝料を減額できるケース

どのような状況であれば慰謝料の減額が認められやすいのか、代表的な4つのケースを解説します。

相手にも過失がある

離婚に至った原因があなただけにあるのではなく、相手方に何らかの落ち度(過失)がある場合、慰謝料は減額される傾向にあります。

例えば、あなたが不貞行為をしてしまった原因が、相手方からの長年のDVやモラハラ、あるいは過度な浪費や生活費の不払いにあったようなケースです。

このような場合、損害の公平な分担という観点から「過失相殺」に類する考慮がなされ、慰謝料額が減額される可能性があります。

相場以上の慰謝料を請求された

慰謝料には、有責行為の内相や婚姻期間、未成年の子どもの有無などに応じて、過去の裁判例から導き出された一定の相場が存在します。

  • 不貞行為による慰謝料の相場:概ね100万円~300万円程度
  • DVやモラハラによる慰謝料の相場:概ね50万円~200万円程度

もし相手方が「誠意を見せろ」と500万円や1000万円といった相場を大きく逸脱する金額を請求してきた場合、裁判基準に照らし合わせて適正な金額への減額を主張することが可能です。

自分の資産・収入が少ない

法的な支払義務と現実の支払能力は別問題ですが、示談交渉においては「支払う側の経済力」も重要な考慮要素となります。

例えば、請求された側に十分な資産や収入が無く、自己破産をされてしまえば、請求する側は一円も回収できなくリスクを抱えます。

そのため、「一括で支払えるのはこれだけである」と自身の経済状況(収入照明やローンの残高など)を正直に開示し、現実的に支払可能な金額での和解を提案することで、大幅な減額に応じてもらえるケースがあります。

自分のした行為の有責性が低い

同じ有責行為でも、その悪質性の程度によって慰謝料額は変動します。

例えば不貞行為の場合、その関係がごく短期間であったり、肉体関係の回数が1~2回と少なかったりした場合などは、有責性が比較的低いと判断され、減額の理由となります。

また、不貞相手方主導的であった場合なども考慮される事情の一つです。

慰謝料の支払いを拒否できるケースもある

減額交渉以前に、法的に慰謝料を支払う義務そのものが発生せず、請求を異完全に拒否できるケースも存在します。

相手が主張する内容が虚偽である・証拠がない場合

慰謝料を請求する側には、相手方が不法行為を行ったという事実を証明する責任があります。もし、相手の主張が単なる憶測や勘違いであり、事実無根である場合、支払に応じる必要はありません。

また、相手方が「不倫しているはずだ」と主張しても、それを裏付ける客観的な証拠(ラブホテルに出入りする写真や、明確な肉体関係を示すメッセージのやり取りなど)が一切ない場合は、裁判を起こされても相手方の請求は棄却される可能性が高いため、支払いを拒否できます。

時効がすでに成立している場合

不法行為に基づく損害賠償請求権には消滅時効が定められています。
民法第724条は以下のとおり規定しています。

不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

  • 一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
  • 二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

つまり、相手方が不貞行為の事実と加害者を知ってから3年以上が経過している場合、あるいは不貞行為そのものがあった時から20年以上が経過している場合は、あなたが「時効を援用する(時効の利益を受けると主張する)」ことによって、慰謝料の支払義務は消滅します。

婚姻関係が破綻していた場合

慰謝料(特に不貞行為)は、平和な婚姻生活を維持する権利を侵害されたことに対する賠償です。

したがって、あなたが不貞行為に及んだ時点で、既に夫婦が長期間別居していたり、離婚に向けて具体的な協議が進んでいたりなど「婚姻関係が客観的に破綻していた」と認められる状態であれば、保護すべき権利が存在しないとみなされます。

この場合、不法行為は成立せず、慰謝料の支払いを拒否することができます。

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離婚慰謝料を請求された場合の対応

突然の慰謝料請求に対して、どのように初動対応を行うかが、その後の交渉結果を大きく左右します。以下の点に注意して行動するとよいです。

慰謝料請求を無視しない

内容証明郵便などで請求書が届いた際、恐怖や面倒くささから無視をして放置してしまう方がいますが、これは最も危険な行為です。

無視を続けると、相手方は「誠意がない」、「話し合いでの解決は不可能だ」と判断し、早期に訴訟(裁判)を提起してくる可能性が高まります。

裁判所からの呼出状すら無視すれば、相手の言い値通りの判決が下され、給与や預貯金を差し押さえられる(強制執行)リスクが生じます。
必ず回答期限内に何らかのリアクションを取ることが大切です。

慰謝料の減額交渉をする

もっとも、相手の言い値(提示額)をそのまま鵜呑みにして支払う必要はありません。

請求内容や事実関係を確認した上で「支払う意思はあるが、金額については相場や自身の経済状況を踏まえて再考してほしい」と減額交渉をスタートさせます。

交渉においては、前述した減額事由(相手方の過失、相場との乖離、支払能力など)を論理的に伝えることが求められます。

相手の気持ちを考えた対応をする

慰謝料音大は、純粋な法律論だけではなく、当事者の感情が強く入り混じる問題です。

「自分には支払能力がない」、「法的な相場はもっと低いはずだ」と最初から開き直った態度をとったり、相手方の神経を逆撫でするような暴言を吐いたりすれば、相手は態度を硬化させ、本来ならまとまるはずの減額交渉も決裂してしまいます。

まずは自身の至らなかった点について真摯に謝罪する姿勢を見せることが、相手の感情を落ち着かせ、結果的に有利な和解を引き出すための重要なステップとなります。

交渉を弁護士に任せる

以上のように、当事者同士での直接の話し合いは、感情的な対立を招きやすく、冷静な交渉が困難です。

交渉を弁護士に依頼することで、弁護士があなたの代理人としてすべての窓口となります。

法的根拠に基づいた冷静かつ説得力のある交渉が可能になるだけでなく、あなたが相手方と直接連絡を取る必要がなくなるため、精神的な負担を劇的に軽減できるという大きなメリットがあります。

離婚慰謝料が支払えない場合の対処法

減額交渉と行い、適正な金額で合意できたとしても、「どうしても手持ちの資金がなく、一括では支払えない」というケースは少なくありません。
そのような場合は、分割払いの交渉を行いましょう。

相手方としても、無理な一括払いを求めて結果的に自己破産されて一円も回収できなくなるよりは、長期間かかっても確実手に支払ってもらう方が、メリットがあると考え、分割払いに応じてくれるケースは多々あります。

しかし、分割払いで合意する場合には、将来の「言った・言わない」のトラブルや未払いを防ぐため、合意内容を強制執行認諾文言付きの公正証書として作成することが一般的です。

当該公正証書を作成することで直ぐに強制執行の手続を踏むことができるようになります。

離婚慰謝料を減額した事例

弁護士が介入し、法的根拠に基づく粘り強い交渉を行ったことで、大幅な減額に成功した事例をご紹介します。

相手方から、不貞行為をして別居したとして高額の請求を受けていました。

しかしながら、弁護士が代理人として介入し、過去の裁判例に照らし合わせると請求額が過大であることを指摘するとともに、早期円満な解決を求めるものとして一括で支払える具体的な金額を提示の上、交渉を重ねました。

交渉の末に請求額の半分程度まで減額した上で合意することができました。

離婚慰謝料を請求されてお困りなら弁護士に相談してみましょう

離婚慰謝料を請求された際、最も避けるべきは一人で抱え込み、焦って相手方の言いなりになってしまうことです。

法的な知識や交渉のノウハウがないまま対応してしまうと、本来であれば支払う必要のない高額な慰謝料で合意書に署名・押印させられてしまったり、不利な条件を背負わされたりする危険性があります。

また、相手方からの強いプレッシャーにより、日常生活や仕事に支障をきたすほど精神的に追い詰められてしまう方も少なくありません。

離婚問題や慰謝料請求に精通した弁護士であれば、現在の状況を法的に正しく分析し、「適正な相場はいくらか」、「拒否や減額の余地はあるか」を的確に判断できます。

また、弁護士が盾となることで、相手方からの直接の追及をシャットアウトし、あなたの平穏な日常を守りながら解決へと導くことが可能です。

「高額な請求が届いてどうすればいいかわからない。」 、「自分のケースで減額できるのか知りたい」と少しでも不安を感じた方は、決して一人で悩まず、まずは一度、専門家である弁護士の法律相談をお気軽にご利用ください。

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埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
監修:弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長
保有資格
弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。