不倫慰謝料を請求された場合の対処法

離婚問題

不倫慰謝料を請求された場合の対処法

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕

監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士

自身が不倫(以下では「不貞」といいます。)をした場合には、不貞相手の配偶者から不貞慰謝料請求をされることがあります。

電話やメール、内容証明郵便など様々な方法で請求がされますが、突然の要求に困惑されるものと思います。

本記事では、不貞をしてしまい、不貞慰謝料を請求された、という場合にどのように対処すべきかなどについて解説していきます。

不倫慰謝料を請求されたら確認すること

不貞慰謝料を請求された際に確認すべきことは、主に以下の5つです。

  • そもそも不貞行為を行ったか
  • いつ不貞行為をしたか、それがいつ発覚したか
  • 不貞相手が既婚者であることを知っていたか
  • 不貞相手の夫婦関係は破綻していたか、破綻していると思っていたか
  • 自らの意思で肉体関係を持ったか

慰謝料の支払いが必要ないケース

不貞慰謝料の請求をされた場合、上記①~⑤を確認したうえで、そもそも慰謝料を支払うべきかどうかを検討していくことになりますが、そもそも不貞慰謝料の支払いが必要ないケースを以下で解説していきます。

不倫の事実がない

不貞行為とは、婚姻している人と肉体関係を持つことをいいます。そもそも不貞の事実がないのであれば、慰謝料を支払う必要はありません。

ただし、2人だけでデートをしていたり、キスやハグをしていたり、好意を伝えたメールやメッセージを頻繁にしている場合などは、不貞行為を推測させるだけでなく、その行為自体で平穏な夫婦関係を侵害した主張され、慰謝料請求が認められる可能性もありますので注意が必要です。

夫婦関係が破綻していた

次に、不倫相手の夫婦関係が破綻していた場合も慰謝料を支払うべきではありません。

不貞行為によって夫婦関係を破綻させたことゆえに不貞慰謝料が発生するものですから、そもそも夫婦関係が破綻していた場合はあなたの不貞行為によって破綻させたとはいえないからです。

夫婦関係の破綻の判断は一概には言えませんが、例えば、不貞行為の時に既に夫婦が別居して数年経過していた場合や互いに離婚を前提として離婚協議中であった場合などは、不貞行為時に夫婦関係が破綻していたと認められやすいでしょう。一方で、単に夫婦仲が悪い程度では夫婦関係の破綻が認められる可能性は低いため、注意が必要です。

慰謝料請求の時効を過ぎている

不貞慰謝料請求の時効が完成している場合にも慰謝料を支払う必要がありません。

不貞慰謝料の請求権は、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求権ですから、被害者が加害行為と加害者を知ったときから3年を過ぎると加害者が時効を援用することでその権利が消滅します。不倫の事実が被害者に発覚してから3年以上経過した場合には、不貞相手の配偶者から不貞慰謝料請求を受けたとしても、時効を主張して慰謝料請求を拒むことが可能です。

相手が既婚者だと知らなかった

相手が既婚者だと知らなかった場合も慰謝料を支払う必要はありません。先ほど不貞行為の請求の根拠は民法の不法行為(民法709条)と説明しましたが、不法行為が成立する要件として故意または過失が必要になります。

不貞慰謝料請求の場合、不貞相手が既婚者だと知っていた(故意がある。)、または、注意すれば既婚者だと気付けた(過失がある。)ことが必要となります。

あなたが不貞相手が既婚者だと知らなかった場合または注意しても既婚者だと気付けなかった場合は故意または過失がないため、不貞行為の責任を負わないのです。

不倫慰謝料を請求された際にやってはいけないこと

請求を無視する

不貞慰謝料の請求を無視することはやめましょう。あなたが無視し続けた場合、請求した人は、あなたが話し合う気がないと考えて裁判を起こしてくる可能性が高いからです。

裁判を起こされれば解決までさらに時間がかかり心身ともに負担が大きくなります。可能であれば早期に話し合いで解決できるよう、請求を無視せずにあなたの言い分を相手に伝えるようにしましょう。

開き直る・逆切れする

開き直ったり逆切れすることはやめましょう。

請求する側は、あなたの行為が民法上の不法行為に該当するとして主張されるものですので、開き直ったり逆切れをすれば、請求した方と感情的に対立し合う関係になり、話し合いによる解決は難しくなってしまいます。また、解決に向けた話し合いや裁判の際に、開き直りや逆切れをして反省の態度が見られなかったと主張されてしまい、慰謝料の増額理由になる可能性も否定できません。あくまでも冷静に対処しつつ、主張すべき事情があればそれを請求者側に伝えるべきです。

不倫慰謝料が高くなるのはどんな時?

自分から誘った場合

自身が不貞行為をするように誘った場合、慰謝料額が高くなるおそれがあります。なぜなら、不倫相手の夫婦の婚姻関係が破綻するきっかけをあなたが積極的に作ったとされ、その悪質性が評価されるからです。

反省していない場合

反省していない場合も増額理由になると言われます。なぜなら、不倫相手の夫婦の婚姻関係を破綻させて何も反省していないという点に悪質性があると評価されるからです。

それまで夫婦円満だった場合

不倫相手の夫婦が不貞行為がなされる前まで円満だった場合も慰謝料が高額になる可能性があります。

不貞行為によって夫婦関係を破綻させたかどうかという点が着目されるため、既に壊れかけている夫婦関係よりも円満だった夫婦関係を壊した方が、その悪質性がより高く評価されるためです。

妊娠・出産した場合

不貞行為によって不貞相手が妊娠や出産した場合も慰謝料が高額になる可能性があります。不貞行為による妊娠や出産は、夫婦関係を破綻させることと明らかにつながりやすく、その悪質性が評価されるためです。

不倫が原因で離婚した場合

不貞行為が原因で離婚した場合も慰謝料が高額になる可能性があります。不貞行為によって離婚することになった場合、まさに不貞行為によって夫婦関係を破綻させたといえるからです。

請求された金額が払えない場合の対処法

実際に不貞慰謝料を請求された場合に、請求された金額が支払えない場合はどうすべきでしょうか。以下ではその対処法を2点紹介します。

減額交渉する

まずは、請求された金額からの減額を求めて交渉をする方法が考えられます。不貞慰謝料では300万円~500万円程度が請求されることが一般的です。

もっとも、請求額がそのまま支払われるケースは少ないですし、裁判でも請求額がそのまま認められるケースも多くないでしょう。

請求した側としても減額交渉されると思っているケースは多いと思いますから、請求された額を支払えない場合は、減額の交渉をしてみるとよいでしょう。

分割払いの交渉をする

次に、分割払いの交渉をするという方法です。請求額から減額ができたとしても一括で支払うことが難しいケースもあるでしょうから、分割払いの交渉をすることは有効といえます。現実的に支払うことができる金額や分割の回数について交渉するとよいでしょう。

請求された不倫慰謝料の減額事例

弊所では、不貞慰謝料請求をされた方からのご依頼で、減額が実現した実績が多数あります。

例えば、300万円の慰謝料請求をされたケースでも、適切な反論や謝罪文を差し入れるなどをして、50万円まで減額したケースもあります。

減額できるかどうか、どのような反論が可能か、裁判を見越した場合の慰謝料金額など、不貞慰謝料請求事件はケースバイケースですから、いち早く多数の実績がある弊所所属の弁護士までご相談ください。

不倫慰謝料を請求されたら弁護士にご相談ください

これまで不貞慰謝料を請求された場合の対処法などを解説してきました。

突然不倫の事実を突きつけられて多額の慰謝料を請求された場合、有効な反論もできないままご自身に不利な条件で示談を迫られるなど、冷静な判断ができないことが多いと思います。

どのような反論ができるか、請求された金額が不当ではないかなど、不安に思ったことはすぐに弁護士に相談するようにしましょう。

埼玉法律事務所では、相談を担当した弁護士が親身になって相談に乗り、あなたの利益を第一に考えて今後の見通しをたててくれるでしょう。弊所所属の弁護士は、これまで多数の男女問題や離婚問題を解決してきた実績と経験がありますので、不貞慰謝料を請求された場合は是非弊所にご相談ください。

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
監修:弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長
保有資格
弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。