交通事故の示談でもめる原因と解決方法

交通事故の示談でもめる原因と解決方法

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕

監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士

交通事故は日々多く発生しており、誰もが関わり得る事件の一つです。交通事故の解決には示談交渉が不可欠です。

もっとも、多くの場合、相手方である加害者も感情的になり、こちら側の正当な主張等を受け入れることができないことがあります。

このような相手方との示談交渉でトラブルになった場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。
以下の記事で、示談交渉でよくもめる原因ごとに詳しくご説明していきます。

交通事故の示談でもめる原因

交通事故の示談交渉でよく問題となる原因は以下の内容になります。

  1. 加害者の態度が悪い
  2. 加害者が事故発生当時無保険状態であった
  3. 過失割合で揉めている
  4. 後から症状が出てきた
  5. 保険会社から治療費の対応を打ち切ると言われた
  6. 提示された額に納得できない

以下で順番に解説していきます。

加害者の態度が悪い

交通事故に遭ってしまった被害者としては当然、加害者からの謝罪が欲しいと考える方がほとんどでしょう。

しかし、加害者側は、事故が起きてから、その後の対応を保険会社に依頼をすることが多く、保険会社に任せきりになる人が多くいます。

そうすると、加害者は自身が交通事故を起こしたとの意識が薄くなり被害者に対して謝罪をする態度ではなく、むしろ威圧的な態度を取ることがあります。

また、事故の対応に当たっている加害者側の保険会社が被害者に直接連絡を取ることを控えるように加害者に指示をしていることが多く、加害者側の謝罪の意図が被害者側に伝わりづらいことも多くあります。

そのため、加害者の態度が悪いと被害者が感じ、示談交渉でもめる原因の一つになります。

加害者が無保険

加害者が無保険(任意保険に未加入)の場合、示談交渉は加害者本人と行うことになります。

加害者本人とのやり取りの場合、保険会社とやり取りをする場合に比べて、話し合い自体に応じない、連絡が遅く交渉がスムーズに進まないことが考えられます。

また、賠償金の計算には専門的知識を要する部分も多くあり、加害者本人との交渉の場合にはこの点の理解に齟齬が生まれやすくトラブルに発展する恐れがあります。

加害者が無保険の場合には様々なリスクがあり、示談交渉が困難な場合が多くあります。

以下の記事で無保険の相手との交渉については解説していますのでご覧ください。

相手が無保険だった場合の示談について詳しく見る

過失割合で揉めている

示談交渉の際に、賠償金の額を算定する基礎となるのが「過失割合」です。

交通事故の当事者それぞれが、どのくらいの割合で当該交通事故について責任を負うのかを示したものが「過失割合」になります。

当然、賠償額を減らしたい加害者としては自身の過失割合が低くなるように主張してきます。この割合について合意がされないと示談交渉はまとまりません。

例えば、事故時の状況を示す証拠が明確にない場合にはそれぞれの証言をもとに過失割合を算定することになります。そのため、信号の無視や一時停止等の事故の状況についてもめる恐れがあります。

後から症状が出てきた

交通事故により、骨折をした等目に見える形での怪我が発生している場合には傷害についてもめることは多くありません。

しかし、目に見えない症状が発生しているいわゆるむち打ち症の場合には、事故直後には痛みなどの症状がなかったとしても、事故から時間が経ってから痛み・めまい・吐き気等の症状が出てくることがあります。

そうすると加害者側からこの症状は交通事故によるものではないとして示談に応じないと言われることがあります。

また、治療により完治したと考え示談したところ、後遺障害が発覚した場合には、既に示談が終了しているため新たに後遺障害については賠償できないと言われることがあります。

このように治療内容や終了時期の判断など難しい判断を必要とする部分が多く加害者ともめる原因となります。

治療費を打ち切ると言われた

示談交渉を加害者に代わって行っている保険会社から治療費の支払いを打ち切ると言われることがあります。これは、保険会社としては怪我の治療に必要な期間が経過したため治療費の負担を終了すると判断したためこのような対応をとることがあります。

被害者としては、保険会社からの治療費の支払いを打ち切るとの対応をされたとしても、治療を続けて病院に通うことはできます。

被害者側が適切であると考える治療期間を主張したとしても保険会社は合意しないことも多く、この点でもめることが多くあります。結果として示談に至らないことがあります。

交通事故の治療打ち切りについて詳しく見る

提示された示談金に合意できない

示談交渉が進むと、加害者側から示談金の提示がされます。しかし、この示談金の額が被害者の納得のいく金額とは程遠い金額であることもしばしばあります。

金額の交渉をして納得のいく金額を提示されると合意に至り示談ができることになります。しかし、示談金の交渉にはなかなか応じないことが多く示談交渉が長期化することが考えられます

まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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交通事故の示談交渉で揉めてしまった場合、どうしたら良い?

以上で見てきたような原因やその他の原因により示談交渉が揉めてしまった場合にどうすればよいのでしょうか。

様々な原因でもめた場合には示談交渉が長期化することが考えられます。示談交渉自体に期間の制限があるわけではありません。しかし、加害者側に賠償金を請求できる権利には時効という時間制限があります

物的損害については事故発生から3年、人的損害については傷害部分は事故発生から5年、後遺傷害部分は固定時から5年が経過してしまうと時効が成立するため、加害者に請求したとしても加害者は支払いに応じる必要がなくなります。そのため、交渉が長期化した場合には次の手を打つことが必要です。

それではどのようにすればよいのでしょうか

ADRなどの機関を利用する

引き続きご自身で対応する場合に、直接の交渉を続けていても暗礁に乗り上げている以上、いたずらに時間が経過するだけでしょう。そこで、ADR(裁判外紛争手続)を利用することが考えられます。

ADRとは、裁判外で交通事故のトラブル解決を目的とする機関の総称です。

交通事故では、交通事故紛争処理センターという機関等があります。

ここでは、相談担当弁護士を間に挟んで話し合いを行い、示談のあっせん案を提示してもらい示談交渉を進めることになります。この第三者が介入し、示談のあっせん案を提示してもらうことによって、当事者同士ではまとまらなかったものが、解決に至るケースもあります。

この機関は無料で利用することができるため当事者での解決が難しい場合には利用されるのを検討してみるのが良いと思います。

以下の記事で詳しく解説しておりますのでご参照ください。

弁護士に相談する

最も確実かつ最良と考えられるのは、弁護士に相談し依頼する方法です。このまま示談交渉を続けるのが良いか、ADRを利用するのが良いか、それとも裁判手続きに進むことが適切か、交渉の内容に応じて最善の手法をご案内することができます。

また、ご自身で加入しておられる保険の中で、弁護士費用特約に加入しておられる場合には、多くのケースでご自身が弁護士費用を支払う必要はなく、ご加入の保険会社が弁護士費用を負担してくれます。

弁護士費用特約への加入の有無をご確認ください。

示談でもめてしまったら早めに弁護士にご相談下さい

以上で見てきたように、交通事故の示談交渉は揉める要素が多く、交渉をどのようにしていけばご自身の受けた損害を十分に補償できるかわからない、という方もたくさんいらっしゃるかと思います。

交通事故に詳しい弁護士は法的知識や実務上の知識、交渉のノウハウを有しており、ご依頼いただくことでご依頼者様は交渉の矢面に立つことなく、最善の結果を得ることができると考えられます。

示談交渉で揉めてしまった、揉めそうとお感じの方は少しでも早く弁護士にご相談ください。

勾留の意義・要件等を説明した上で、万が一、逮捕に引き続き勾留されてしまった場合に知っておいてほしいこと及び弁護士ができる弁護活動について、解説します。

勾留とは

勾留とは、被疑者又は被告人の身体を継続的に拘束する手続きのことをいいます。

勾留される要件

被疑者勾留の要件には、「勾留の理由」と「必要性」があります。

「勾留の理由」とは、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(相当の嫌疑)があることに加え、①被疑者が住居不定のとき、②被疑者に罪証隠滅の恐れがあるとき、③被疑者に逃亡のおそれがあるときのいずれかに該当する場合をいいます。

「必要性」とは、起訴の可能性、捜査の進展の程度、被疑者の個人的事情などから判断される勾留の相当性のことをいいます。

罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある

「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」とは、通常逮捕を行うよりも高度の嫌疑が必要とされています。

住居不定である

「住居不定である」とは、定まった住所や居所を有しない場合に限らず、住居が明らかでないときやわからないときも含まれます。

証拠隠滅のおそれがある

「証拠隠滅のおそれがある」とは、証拠を隠したり、共犯者と口裏合わせをしたりするおそれがあることが典型的な具体例ですが、捜査や公判に影響を与えるおそれがある場合も含まれることがあります。

逃亡のおそれがある

「逃亡のおそれがある」とは、文字通り、逃げるおそれがあることを意味しますが、捜査機関の出頭要請に応じないおそれが高い場合も、当該要件を満たすと判断されることが多いです。

勾留と拘留の違い

「勾留」は、被疑者又は被告人の身体を継続的に拘束することを意味しますが、「拘留」とは、刑法に定められた刑罰の一種であり、1日以上30日未満の間、刑事施設に収容されることを意味します。

勾留までの流れ

検察官は、警察から被疑者の身柄の送致を受けたときは24時間以内に、勾留請求を行います。

その後、勾留請求を受けた裁判官による勾留決定がなされると、勾留されることになります。

逆に、裁判官によって勾留の要件を満たしていないと判断された場合には、釈放されることになります。

勾留請求

勾留請求とは、検察官が、勾留請求書を裁判官に提出する方法で、被疑者の勾留を求める手続きです。

勾留質問

勾留質問とは、検察官から勾留請求を受けた裁判官が、被疑者を勾留するかどうかを判断するために、被疑者に対し、弁解の機会を与える手続きのことをいいます。

勾留後の処分

勾留状による身体拘束の効力が継続する期間を勾留期間といいますが、被疑者勾留のまま起訴された被告人の勾留期間は、公訴提起があった日から2ヶ月です。

2ヶ月が満了しても、特に継続の必要がある場合には、裁判所は、1回のみ更新ができますが、①被告人が死刑、無期…に当たる罪で起訴されているとき、②被告人が常習として長期3年以上の自由刑に当たる罪で起訴されているとき、③罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき、④被告人の氏名または住所がわからないとき、などの場合には、制限の適用はなく、勾留が続きます。

釈放と保釈

「釈放」とは、逮捕・勾留といった身柄拘束から解放されることをいい、「保釈」とは、被告人のみに認められた一定額の保証金の納付を条件に勾留の執行が停止され、身体拘束が解かれることをいいます。

勾留の期間

起訴前の勾留・勾留延長

被疑者の勾留期間は、原則として勾留の請求をした日から10日間です。

そして、裁判官が、「やむを得ない事情」があると判断した場合に限り、検察官の請求により、通算して10日を超えない範囲で期間の延長が可能です。

起訴後の勾留

起訴後の勾留は、公訴提起があった日から2ヶ月です。

勾留期間が満了しても、特に継続する必要がある場合には、1ヶ月ごとに更新が可能です。

起訴後勾留では、保釈が認められると、身体拘束が解かれます。

勾留の延長

勾留期間は、「やむを得ない事情がある場合」に限り、延長が認められています。

延長を阻止したい場合には、準抗告が認められており、準抗告が認められると、身体の拘束が解かれることになります。

勾留延長の「やむを得ない事由」

「やむを得ない事由」とは、事件の困難性、あるいは、証拠収集の遅延もしくは困難により勾留期間を延長して更に調べるのでなければ起訴もしくは不起訴の決定をすることが困難な場合を意味します。

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勾留中の面会

接見禁止処分、すなわち、弁護士以外の者が被疑者・被告人と接することを禁止する処分がなされていない場合には、家族等による面会や衣類、書籍、雑誌、お金等を差し入れることができますが、なされている場合には、弁護士しか、接見することは叶いません

勾留を回避するためには

法律上、逮捕されてから遅くとも72時間以内に検察官による勾留請求がなされ、次いで、裁判官が勾留決定を出すことが予定されています。

勾留の理由または勾留の必要性がなくなったことを主張することで、身体の拘束を解くことができますので、勾留決定を阻止するために弁護士に早めのご相談をお願いいたします

勾留決定に納得がいかない場合の対応

勾留決定に納得ができない場合には、「準抗告」と「勾留取消請求」ができます。

「準抗告」とは、裁判所に、決定の取消しを請求することを意味し、「勾留取消請求」とは、勾留の理由または必要性がなくなったことを主張して、勾留の取消しを求めることを意味します。

勾留された場合の弁護活動について

勾留されたとしても、不起訴になった場合や在宅取調べに切り替えられた場合には、釈放され、身柄拘束が解かれることになります。

そこで、起訴前には不起訴を目指す示談成立に向けた弁護活動を、起訴後には保釈に向けた弁護活動を弁護士は行うことができます

勾留を回避したい、釈放・保釈してほしい場合は、早急に弁護士へ相談を

万が一逮捕されてしまった場合、勾留を阻止し、身柄解放を目指すには、時間との勝負です。

早期に身柄解放をご希望するのであれば、早急に是非弁護士にご相談ください。

以下の記事では、不同意わいせつ罪について詳しく解説していきます。

不同意わいせつ罪は、従来、強制わいせつ罪と呼ばれていた犯罪で、大幅な改正がされ、令和5年(2023年)7月13日からすでに新しい法律が施行されています。

以下の記事では、改正点についても取り上げていきたいと思います。

不同意わいせつ罪とは

不同意わいせつ罪とは、「暴行」「脅迫」「障害」「アルコール」「薬物」「フリーズ」「虐待」「立場による影響力」などが原因となって、被害者が同意しない意思を形成(NOと思うこと)したり、表明(NOと言うこと)したり、全う(NOを貫くこと)することが難しい状態で、わいせつな行為をすると成立する犯罪です。

不同意わいせつ罪の構成要件

被害者が同意しない意思を形成(NOと思うこと)したり、表明(NOと言うこと)したり、全う(NOを貫くこと)することが困難となり得る行為・事由として、8つの類型が例示されています。

8つの類型(下記①から⑧)の事由により、被害者がわいせつな行為に同意しない意思を形成したり、表明したり、全うすることが困難な状態になっていることが必要です。

  1. 「暴行」「脅迫」
  2. 「心身の障害」
    身体障害、知的障害、発達障害及び精神障害のことであり、一時的なものを含みます。
  3. 「アルコール」「薬物」の影響
  4. 「睡眠その他の意識不明瞭」「その他の意識不明瞭」
    例えば意識がもうろうとしているような、睡眠以外の原因で意識がはっきりしない状態をいいます。
  5. 「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと」
    例えば不意打ちのようなことがこれにあたります。
  6. 「予想と異なる事態との直面に起因する恐怖又は驚愕」
    いわゆるフリーズの状態のことで、予想外の事態に直面し、自分の身に危害が加わると考え、極度に不安になったり、強く動揺して平静を失った状態をいいます。
  7. 「虐待に起因する心理的反応」
    虐待を受け、それを通常の出来事として受け入れたり、抵抗しても無駄だと考える心理状態や、虐待を目の当たりにしたことによる、恐怖心を抱いている状態などをいいます。
  8. 「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮」
    祖父母・孫、上司・部下、教師・生徒などの立場ゆえの影響によって、不利益が生じることを不安に思うことなどがあたります。

改正前「強制わいせつ罪」との違い

従来の強制わいせつ罪では、「暴行」「脅迫」といった要件により、被害者が自由な意思決定をすることが困難な状態であったかといったことを判断していました。

しかし、これに対して、「暴行」「脅迫」といった要件の解釈により犯罪の成否にばらつきが生じ、犯罪の成立範囲が限定的に解釈されるのではないかといった指摘がされていました。

そこで、不同意わいせつ罪では8つの類型を設けて犯罪の成否にばらつきが生じないようにし、犯罪の成立範囲が限定的に解釈されることのないように整備しています。

不同意わいせつ罪の対象となる行為

「わいせつ」という言葉は、法律的には、いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいうとされています。

具体的には、被害者の意思に反して強引にキスをしたり、乳房や陰部を触ったりする行為などがあげられます。また、不意に乳房や陰部を触るような行為もわいせつ行為にあたります。

16歳未満の子どもに対するわいせつ行為

従来の強制わいせつ罪では、13歳未満の人に対してわいせつな行為をした者は被害者の同意に関わらず処罰されていました。

しかしながら、改正された不同意わいせつ罪では、13歳未満の人に対してわいせつな行為をした者に加えて、13歳以上16歳未満の人に対してわいせつな行為をした者が被害者よりも5歳以上年長である場合にも被害者の同意に関わらず処罰されることになります。

配偶者へのわいせつ行為

従来の強制わいせつ罪においても、配偶者間のわいせつ行為であっても成立すると理解されていました。

改正後の不同意わいせつ罪では、「婚姻関係の有無にかかわらず」との文言を加えて、条文上も配偶者間でも成立することを明確化しています。

不同意わいせつ罪の刑罰

不同意わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の拘禁刑となっています。

不同意わいせつ罪には罰金刑の定めがないので、起訴されると略式裁判といった簡易な裁判の形式ではなく、公開法廷で審理されることになります。

拘禁刑とは、懲役刑と禁錮刑を統合する形で創設された新しい刑罰です。

拘禁刑に処せられた者には、改善更生のため、必要な作業を行わせ、必要な指導を行うことができるとされています。

不同意わいせつ罪の時効

改正により不同意わいせつ罪の時効期間は7年間から12年間に5年間延長されています。

また、心身ともに未熟な子どもや若年者は、被害者が18歳未満である場合には、犯罪が終わったときから被害者が18歳になる日までの期間を加えることにより、時効期間が更に延長されています。

例えば、12歳の人が不同意わいせつの被害を受けた場合、時効完成は18年後(12年+6年)になります。

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不同意わいせつ罪とその他の性犯罪の違い

16歳未満の者に対してはわいせつ目的で面会を要求することも犯罪が成立し得ます。

16歳未満の者に対する面会要求等の罪として改正により新設されました。

具体的には、16歳未満の子どもに対して、以下のいずれかの行為をすると処罰されます。

  1. わいせつ目的で、うそをついたり金銭を渡すと言うなどして、会うことを要求すること
  2. ①の要求の結果、わいせつ目的で会う
  3. 性的な画像を撮影して送信することを要求する

不同意性交等罪とは

従来の強制性交等罪が不同意性交等罪に改正されました。

不同意強制性交等罪の要件は、不同意わいせつ罪と共通部分が多く、「暴行」「脅迫」「障害」「アルコール」「薬物」「フリーズ」「虐待」「立場による影響力」などが原因となって、被害者が同意しない意思を形成(NOと思うこと)したり、表明(NOと言うこと)したり、全う(NOを貫くこと)することが難しい状態で性交に及ぶことで成立します。

従来、「性交等」は、陰茎の膣への挿入(性交)、陰茎の肛門への挿入(肛門性交)又は陰茎の口への挿入(口腔性交)と定義されていました。

不同意性交等罪では、これらに加えて、膣又は肛門に陰茎以外の身体の一部又は物を挿入する行為についても、「性交等」に含むこととされました。

不同意わいせつ罪の弁護活動

近年、性犯罪に関する国民の関心は高く、重大犯罪として重罰化の傾向があるといえます。

他方、被害者に与えた被害が重大とはいえない場合、初めて不同意わいせつ罪を行った場合、深く反省している場合などには、不起訴処分になることもあり得るといえます。

不同意わいせつ罪で逮捕されている場合には、弁護士にいち早く相談して、釈放に向けた活動をしていくべきであるといえます。

また、弁護士に相談して依頼することで最終的に下される処分を軽くすることもできるようになります

不同意わいせつ罪でご家族が逮捕された場合や不同意わいせつ罪の嫌疑をかけられているような場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。

被相続人(相続をされる人のことをいいます。)が亡くなり、親族のうち、自らは相続人(相続をうける人のことをいいます。)なのか、その他誰が相続人となるのか、相続財産として何が含まれるのか等疑問に思われる方も少なくないかと思われます。

もちろん、被相続人と一定の親族関係にある人が相続人の対象になりますが、親族全員が法定相続人となって、被相続人の遺産を受け取れるわけではありません。

そこで、本記事では、相続人の範囲について解説をしていきます。

相続人の範囲 (法定相続人)

相続人の範囲を考えるにあたって、相続順位という概念が存在します。

民法上に規定されている法定相続人は、被相続人とどのような関係にあったかによって順位付けがされており、この相続できる順番のことを「相続順位」といいます。

より上位の相続順位に属する人がいる場合、より下位の相続順位に属する人は法定相続人になることができません。

以下で詳しく説明しますが、民法上、配偶者は常に法定相続人になり、それ以降は、①子、②親、③兄弟姉妹の相続順位が民法上規定されています

図表でお示しすると以下のとおりです。

相続順位 相続人 相続人が亡くなっている場合
必ず相続人になる 配偶者【2分の1】 ——
第1順位 子 (直系卑属)
子全員で【2分の1】
第2順位 父母 (直系尊属)
父母全員で【2分の1】
祖父母
第3順位 兄弟姉妹 (傍系血族)
兄弟姉妹全員で【4分の1】
甥姪

配偶者は必ず相続人

被相続人が死亡した時点で、その者の戸籍に「配偶者」がいれば、その戸籍上の「配偶者」は必ず法定相続人となります(民法890条)。

ここでポイントとなるのは「戸籍上、被相続人の配偶者となっているか否か」です。

ここでいう「配偶者」は、相続が発生した時点で戸籍上の配偶者である必要があり、離婚した後に相続が発生した場合は、配偶者は法定相続人となりません。

また、離婚協議の最中や別居中であっても、配偶者は相続人となりますが、内縁関係では相続人となることはできません

第1順位は子

配偶者以外の法定相続人のうち、最も優先して相続できるのは被相続人の子です。

子が既に亡くなっていたとしても、孫⇒ひ孫……と遡っていき、相続人となります。

ちなみに、被相続人と養子縁組を組んでいる「養子」も、ここでいう「子」に該当します。

すなわち、ここでも、「戸籍上、被相続人の子となっているか否か」がポイントとなります。

被相続人との間に戸籍上、親子関係が認められる人全員が「子」にあたります。

なお、被相続人に、「子」として生まれていない「胎児」がいた場合、民法上は既に生まれたものとみなされ、法定相続人となります(民法886条1項)。

但し、その胎児が死産となってしまった場合、既に生まれたものとはみなされなくなります(同条2項)。

そのため、被相続人の死亡時に「胎児」がいるから、そのことを前提に遺産分割協議を行ったものの、その後「胎児」は死産になってしまったという場合、遺産分割協議はやり直しということになってしまいます。

そこで、このようなケースでは、「胎児」が無事生まれるのを待ってから法定相続人を確定させることをお勧めします。

第2順位は親

相続順位は、「子」の後は、「親」が続きます。

そのため、➀被相続人に「子」がいない場合や、②子がいるけれども既に死亡していた場合(ただし、孫がいる場合は別)、③全員が相続放棄をする等して相続人でなくなってしまった場合には、第1順位の「子」がいないとして、第2順位の被相続人の親(両親)が法定相続人になります。

なお、被相続人の「親」のうち一方が、被相続人が死亡するよりも前に死亡している場合は、残りの一方の「親」が法定相続人になります。

また、被相続人の死亡時点でいずれの親も死亡している場合は、被相続人の「親」の親である祖父母になる可能性もあります

第3順位は兄弟姉妹

相続順位は、「子」の後は「親」、「親」の後は「兄弟姉妹」と続きます。

そのため、➀被相続人に子や孫も、両親などの直系尊属もいない場合、また②存命であるがその全員が相続放棄をした場合には、被相続人の「兄弟姉妹」が第3順位の相続人となります。

なお、兄弟姉妹自体は亡くなっているものの、その子が存命している場合、以下で触れる『代襲相続』によりその子(被相続人の甥、姪)が相続人となります。

第4順位以降は存在しない

ちなみに、相続順位は第3順位までで、第4順位以降は存在しません。

そのため、被相続人に「子」もいない、「親」もいない、「兄弟姉妹」も含めて全ていない(もしくは死去した、相続放棄をした等)となれば、それ以降、法定相続人になれる人がいるわけはなく、相続人不存在という状態になります。

このように、第4順位以降の法定相続人は定められていないので、どれだけ社会生活上密接な関係を有していたとしても、例えば、従兄弟(従姉妹)や伯父(叔父)・伯母(叔母)が被相続人の法定相続人となることはありません

相続人が亡くなっている場合の代襲相続について

上記で少し触れましたが、相続順位の特殊事例として、代襲相続という問題が生じるケースがあります。

「代襲相続」とは、本来、被相続人の法定相続人となるべき子や兄弟姉妹が被相続人の死亡より先に死去する等して、本来法定相続人となるはずであった人がいなくなった場合に、その法定相続人に代わって相続することをいいます。

代襲相続が起きるケースは、被相続人の法定相続人となるべき子や兄弟姉妹が①被相続人の死亡より先に死去していたとき、②相続人の欠格事由に該当していたとき、③廃除によって相続権を失ったときです。

これらの場合には、①~③に該当する被相続人の子または兄弟姉妹に代わり、被相続人の孫、甥、姪等が代襲相続人となります。

なお、上記①~③と異なり、被相続人の法定相続人となるべき子や兄弟姉妹が④相続放棄をした場合、その者に子がいたとしても(被相続人にとっての孫等)、相続放棄は代襲相続の発生原因ではないので、法定相続人にはなりません。

相続人になれない人

以上が、基本的な相続人の範囲についての考え方となります。

他方で、仮に相続人の範囲に含まれているとしても相続人になれないケースもいくつかあります。

具体的には、①相続放棄をした者、②意図的に被相続人や自分以外の相続人を死亡させたり、死亡させようとして刑に処せられた等の相続欠格事由がある者、③推定相続人が被相続人を虐待したり、重大な侮辱をした場合等に、被相続人によって予め家庭裁判所で手続や遺言書等で相続の対象から外された者等が挙げられます。

相続人が誰もいない場合はどうなるのか

仮に、相続人が誰もいない場合で、かつ被相続人が遺言等を残していない場合、被相続人が保有していた財産は国の財産となります

相続財産の範囲

以上、「相続人」の範囲を開設してきました。

次に、「相続財産」の範囲について解説していきます。

まず、相続財産として不動産、預貯金、有価証券や貸付金等の資産が挙げられます。

他方で、資産だけではなく、負債についても相続財産となります。

例えば、被相続人の借入金、ローン、クレジットカードの残債務、公租公課等が挙げられます。

なお、被相続人の財産が全て対象となるわけではなく、そもそも対象とならないものも存在します。

例えば、①家系図、位牌、仏壇、墓地等の祭祀財産、②雇用契約上の地位、生活保護受給の地位等の一審専属権(その人でないと意味がない権利・義務のことをいいます。)等が挙げられます。

相続する割合 (法定相続分)

法定相続分を整理すると以下のとおりになります。

相続人 相続する割合
配偶者のみ 配偶者 【全て】
配偶者と子 配偶者 【2分の1】
子(全員で) 【2分の1】
子のみ 子(全員で) 【全て】
配偶者と親 配偶者 【3分の2】
親(全員で) 【3分の1】
親のみ 親(全員で) 【全て】
配偶者と兄弟姉妹 配偶者 【4分の3】
兄弟姉妹(全員で) 【4分の1】
兄弟姉妹のみ 兄弟姉妹(全員で) 【全て】

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遺言者の内容が優先されることに注意

以上の説明は、あくまでも民法上の定めによる原則論です。

もし被相続人が作成した遺言等がある場合には原則として遺言の内容が優先されますのでご注意ください。

遺産相続でお困りならば弁護士にご相談ください。相続人や相続遺産の確定など豊富な経験と知識でサポートいたします

以上のとおり、相続順位は民法に規定されているものの、そのやや複雑なルールについて広く知られているとはいえず、相続開始後に親族間で相続の話をする際に、誰が相続人にあたるのかについて正確に認識されないまま協議をされようとしているケースがあります。

そもそも、被相続人が死亡したとき、法定相続人を確定させるためには、相続の順位に従って戸籍をたどり、法定相続人になり得る人がいるかどうかを調査しなければなりませんが、法定相続人になり得る子、親、兄弟姉妹がいたとしても、それらの人が相続放棄をしているかどうかもまた調査をしなければならず、こういった手間や労力をかけたがる人が多くないのも事実です。

相続人の確定を適切に確定しておかないと、遺産分割協議も無効になってしまいかねず、適正かつ円滑に遺産分割手続を進められず、無用なトラブルを招いてしまいます

『相続』に関することでご不明点やお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

ある日、自宅に帰ると置手紙があり、そこには、「離婚したい、別居します。」等という内容が書かれています。

驚いて連絡しても返事は返ってきません。数日後、突然連絡がきたと思ったら、「生活費(法律上、婚姻費用といいます。)を支払ってください。」との内容でした。

このような相手方が勝手に出て行った場合にも婚姻費用の支払いをしなければならないのでしょうか。

以下で詳しく解説します。

妻が勝手に別居した!婚姻費用の支払い義務は?

勝手に別居した妻に対して、婚姻費用を払いたくないという気持ちになる方が大半でしょう。

しかし、婚姻費用の分担義務は、自分の生活を保持するのと同程度の生活を相手方にも保持させる義務のことをいいます。

この義務は夫婦が婚姻生活をするうえで、互いに扶養義務を負っていることを基礎にしています。

そのため、婚姻関係にある間は、妻が勝手に別居したとしても直ちに婚姻費用の支払い義務がなくなるわけではありません

正当な理由がない、勝手な別居は「同居義務違反」

「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と民法752条に規定されており、夫婦は一緒に住むことすなわち同居義務 があります。

妻(夫)が正当な理由なく、勝手に家を出ていくことは、この同居義務違反 となります。

もっとも、同居義務違反があったとしても、単に別居したというだけでは依然として婚姻関係は継続しているため、基本的には婚姻費用の支払い義務は発生すると考えられています。

同居義務違反なら慰謝料を請求できるケースも

勝手に別居されたことを理由として慰謝料を請求することはできるのでしょうか。

この点、悪意の遺棄 として慰謝料を請求することになるかと思いますが、勝手に別居をされたという理由のみでは「悪意の遺棄」に該当するのは困難 といえます。

「悪意の遺棄」が認められたケースとしては、裁判例上、暴力や脅迫により、配偶者が家にいられなくようにする場合がありますが、数としては多くはありません。

家出の原因が相手にある場合は婚姻費用が減額される可能性あり

家を出て行った妻(夫)の不貞が原因で別居したとします。例えば、不倫がばれて妻(夫)が家を出て行ったような場合です。

このような、婚姻関係を破綻させ、別居する原因を作った方を有責配偶者 といいます。

この有責配偶者から婚姻費用を請求することは、信義則違反又は権利濫用であるとして、婚姻費用の支払額を大幅に制限する裁判例があります。

ただし、有責配偶者が子供と一緒に同居している場合には、子供に別居の責任はなく、親は子供に対して扶養義務があり、養育費相当額については支払わなければなりません。

家出の原因が自身(払う側)にある場合はどうなる?

上記の場合とは異なり、妻(夫)の不倫が明らかになり、相手方に家を出ていかれた場合に、婚姻費用の金額等に影響があるのでしょうか。

婚姻費用を支払う側が有責配偶者の場合ですので、婚姻費用の支払いが制限されることはありません。

また、裁判例の中には支払う側に原因がない場合に比べて婚姻費用の額が高額になっている場合もありますので、婚姻費用が増額されてしまう可能性も否定できません

勝手に出て行った相手から婚姻費用を請求された場合の対処法

婚姻費用を請求された場合には、今まで見てきたとおり、単に別居しただけでは婚姻費用の支払い義務を免れることはできません。

また、相手方は裁判所が公開している算定表に基づく金額を請求している場合があります。

しかし、婚姻費用の算定には様々なルールがあります。そのため、相手方に提示された金額をそのまま支払うのではなく、適正な婚姻費用の額を検討する必要があります。

その際には、ご自身の収入を示す資料、例えば源泉徴収票や給料明細などを準備して弁護士に相談されるのが良い と思います。

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勝手な別居と婚姻費用に関するQ&A

勝手に家出した妻が実家にいることが分かりました。実家の世話になるなら婚姻費用は払わなくても良いですか?

家出をした妻が実家にいるということは、家賃や食費がかからないため、生活費の負担をする必要がないとの考えから、上記のようなご質問になることは理解ができます。

しかし、婚姻費用の支払いは前述したとおり、夫婦が婚姻関係にあることを基礎としており、実家に住んでいるかどうかにより影響を受けるものではありません。

また、妻の生活費は妻側の親族が代わりに支払っているにすぎず、夫の負担を軽減させる要因にはなりません。

そのため、妻が実家に帰った場合でも、婚姻費用は支払う必要があります

浮気相手の家に転がり込んでいるようなのですが、それでも婚姻費用を払わなければならないのですか?

まず、浮気相手との不貞行為が本当にあったのかどうかが問題となります。

不貞行為が真実であれば、有責配偶者として婚姻費用の請求が信義則違反又は権利濫用として大幅に制限されることになります。

次に、不貞行為によって夫婦関係が破壊されたかどうかが問題となります。

もっとも、これはケースバイケースという面があり、判断が難しい場合が多いため、一度弁護士に相談することをお勧めします

勝手に出て行った妻から離婚したいと言われたので離婚届を送ったのですが提出されません。何度か送っても放置されているのですが、それでも婚姻費用は払わなければいけませんか?

婚姻費用は婚姻関係が継続している限り発生し続けます。

妻が離婚届を提出していない以上、婚姻関係は継続していることになり、婚姻費用を支払わなければなりません。

協議で離婚がまとまらない場合には、早期に離婚調停の申立てを行い、離婚の成立を目指すべき であると考えられます。

弁護士が早期解決のお手伝いをいたします

今まで見てきてとおり、勝手に出て行った相手からの婚姻費用の請求でも婚姻費用の支払いを免れることはできず、離婚が成立するまで支払いを続けなければなりません。

また、婚姻費用の額の算定は、様々な要素が考慮されており、容易に算定することができない面があります。

そのため、相手方から提示された金額をそのまま支払ってしまう方が多く見られます。

しかし、一度決まってしまった婚姻費用は減額することは難しく、離婚の交渉が長期化すれば支払う金額が多くなってしまいます。

この点、弁護士は多くの事件を扱い離婚問題、婚姻費用問題について解決した実績があります。

そのため、早期解決を目指すことも可能ですので、ぜひ一度弁護士に相談することをお勧めいたします。

交通事故で受傷した際に多くみられる症状の一つとして、「むちうち」が挙げられます。

本記事では、交通事故によって「むちうち」の症状が生じた場合、まずは、整形外科に通う必要がある理由について解説していきます。

交通事故後は、できるだけ早く整形外科を受診しましょう

交通事故によりむちうちの症状が出た場合、接骨院や整骨院に通われる方が多いかもしれません。

しかし、このような場合には、ひとまず整形外科に通う必要があります。

むちうち治療で整形外科に行くべき理由

「むちうち」治療において、整形外科に通っておくことが必要な理由は、医師による診断が受けれる点にあります。

接骨院や整骨院は、あくまでも整体師などが症状を軽くするような施術を行う場所であり、医師による診断がなされるわけではありません。

交通事故の損害賠償を請求するため

交通事故の損害賠償を請求するためにも、整形外科に通っておくことは必須 になります。

医師による診断を受け、治療が必要であると判断してもらうためです。

こうした医師の診断を受けることにより、事故と「むちうち」等の怪我・傷病との間の因果関係を裏付けることができ、治療費や慰謝料などの賠償請求が認められる可能性を高めることができます。

後遺障害等級認定を申請するため

また、後遺障害等級認定を申請するためにも、整形外科に通い医師の診断を受けることは不可欠です。

後遺障害等級認定の申請をするためには、 後遺障害診断書 等の医師による診察記録が必要になるからです。

接骨院や整骨院だけでは、こうした医師による診察記録を得ることができません。

整形外科と整骨院(接骨院)を併用する際に起きやすいトラブル

もちろん、接骨院や整骨院を利用すること自体は何ら問題ありません。

整形外科に通い、医師から接骨院や整骨院への通院を指示・推奨された場合には、ぜひ通うべきです。

ただし、整形外科と接骨院・整骨院を併用する際には、いくつか気を付けなければならないことがあります。

保険会社に整骨院(接骨院)への通院を連絡しなかった場合

接骨院や整骨院に通院する際には、事前に保険会社に相談・連絡し、「医師の指示」のもとで通院することを伝え、了承を得ておく必要があります。

自己判断による必要のない通院にあたるとして、保険会社から治療費を認めてもらえないおそれがある からです。

整形外科の医師の許可なしに整骨院(接骨院)に通った場合

仮に医師の指示に基づくことなく、自己判断で接骨院や整骨院に通ってしまった場合には、治療費を認めてもらうえなかったり、後遺障害等級認定の申請に必要となる後遺障害診断書を作成してもらえなかったりするなど、様々な弊害が生じ得ます。

整骨院(接骨院)に通院する場合の注意点

また、接骨院や整骨院に併用して通院する際には、整形外科と同じ日に通院することはできる限り避けておくことが望ましいと言えます。

同日に重複して通院した場合、保険会社から、一方の治療費の支払いを拒否される可能性がある からです。

むちうちの治療方法

整形外科のむちうち治療

整形外科では、レントゲンやMRI検査などの精密検査がなされ、受傷部位や受傷内容について、医師による正確な診断を受けることができます。

また、手術、注射などの医療行為や、痛み止め等の処方を受けることもできます。

整骨院(接骨院)のむちうち治療

これに対して、接骨院や整骨院では、柔道整復師や整体師によるマッサージ等の手技、電気治療、運動治療などを受けることができます。

まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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後遺障害等級認定を見据えて検査を受けましょう

前述したように、後遺障害等級認定の申請をするためには、後遺障害診断書等の医師の診察記録が不可欠になります。

このため、後遺障害等級認定の申請を見据えて、レントゲン検査やMRI検査等を受けておく必要 があります。

お困りのことがあったら弁護士にご相談ください

交通事故によって「むちうち」の症状を負った際、どのように行動すれば最善なのかを判断することが難しい場合があります。

お一人で悩まれるのではなく、まずは専門家である弁護士に相談することをおすすめ します。

道路交通法違反による罰則内容、法定刑及び逮捕される場合等について以下解説します。

道路交通法違反とは

道路交通法とは、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする」法律です(道路交通法1条)。

道路交通法に違反すると行政処分、刑事処分が科されることがあります。

道路交通法に違反した場合の処分

交通違反を犯した場合、通常、裁判により罰金刑等に処せられることになります。

しかし、軽微な違反である場合には(交通違反の違反点数が6点以下)、一定期間内に反則金を納めることで刑事罰に処されなくなる制度があり、これを交通反則通告制度といいます。

交通反則通告制度が適用され請求されるものを、反則金といいます。反則金の支払に応じなかった場合には刑事手続きに移行することになります。

他方、交通反則通告制度を適用することができない程度の重大な違反がある場合には、裁判により罰金刑等を科せられることになります。

【一覧】道路交通法違反の行為例

道路交通法において規制されている行為のうち、以下、飲酒運転、ひき逃げ、当て逃げについて解説します。

飲酒運転

飲酒運転は道路交通法65条において禁止されています。
飲酒運転は酒気帯び運転と酒酔い運転に分けられます。

酒気帯び運転とは、血液1ミリリットルにつき0.3mg以上または呼気1リットルにつき0.15mg以上のアルコールが検出された場合に成立し、3年以下の懲役又は50万円の罰金に処せられます。

酒酔い運転とはアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で運転した場合に成立し、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

飲酒運転をした場合には運転者本人だけではなく、運転者本人に車両を提供した者、運転者本人に酒類を提供した者等も刑事罰や行政罰の対象になることがあります。

ひき逃げ

人身事故を起こした運転者等には、救護義務がありますが、これに反して事故現場から逃走した場合には、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。

負傷人がおり、その負傷の原因が運転者の運転にある場合には、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。

当て逃げ

物損事故を起こした運転者等には、警察官に交通事故が発生した日時、場所等を報告する義務がありますが、これに反して事故現場から逃走した場合には、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。

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自動車以外の道路交通法違反について

自動車の運転だけではなく、自転車の運転についても、道路交通法が適用され、自転車の運転につき道路交通法違反が成立し、刑事罰、行政罰が科されることがあります。

重大過失にあたる事故として逮捕されるケース

飲酒運転、ひき逃げ及び当て逃げ等には刑事罰が科されることがあり、身柄拘束の必要には、これらを被疑事実として、逮捕等される可能性があります。

道路交通法違反やそれにより逮捕された場合は弁護士にご相談ください

道路交通法違反により、捜査機関から出頭を要請されている場合等、今後の対応について、弁護士に相談された方がよろしいこともよくあります。

道路交通法違反に関してご不明点やご不安な点がある場合には、弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。

交通事故に遭ったとき、自身が加害者であった場合、被害者であった場合いずれであっても、相手方と交渉をする必要があります。

その交渉の際に、当事者同士の交渉では、落としどころが見つからず、交渉が決裂してしまうことがよくあります。

以下では、交通事故紛争処理センターを利用するメリット・デメリットを紹介し紛争解決の一つの選択肢をご紹介します。

交通事故紛争処理センターとは

交通事故紛争処理センターとは、自動車事故の損害賠償について、弁護士が和解のあっせんを行う公益財団法人です。

交通事故における損害賠償について知識があり、公平中立な弁護士が和解あっせん等を担当してくれることとなります。

また、和解のあっせんによる和解が成立しなかった場合、審査会による審査を受けることもできます。

交通事故紛争処理センター(ADR)でできること

和解あっせん

交通事故では、よく「示談」が成立すると表現されることがあります。この「示談」は、正式には当事者双方が主張を譲り合い合意する「和解」のことをいいます。

交通事故紛争処理センターでは、担当弁護士が当事者双方の意見を聞き、公正中立な立場から和解案を提示して和解(示談)の成立を手助けします。

審査

上記の和解あっせんを行ったとしても、合意に至らない場合(あっ旋不調)も考えられます。この場合に当事者に、あっ旋不調になった旨が通知されます。この通知を受けてから14日以内に限り不服申立てを行うことができます。これを審査の申立てといいます。

審査は、3人の審査員から成る審査会が行います。審査員は法律の専門家が選出され、公正中立な立場から再度事実や主張の聞き取りを行います。

この聞き取りをもとに審査会が裁定を行います。裁定とは、審査会による解決方法についての決定をいいます。

弁護士の無料紹介

交通事故紛争処理センターの利用を申し込むと、和解あっせんの際に、相談担当弁護士を1名紹介されます。この相談担当弁護士は、交通事故紛争処理センターから委嘱された弁護士です。

交通事故紛争処理センターを利用して相談等をするには、弁護士費用等がかかることはありません。

ただし、相談担当弁護士は、和解あっせん終了まで同じ弁護士が担当します。途中で変更をすることはできません。

交通事故の示談交渉についての無料相談

交通事故紛争処理センターは、すべて無料で利用することができます。

相談担当弁護士が、相談内容が和解あっせんに適切な事案かどうかを被害者の方の話を詳しく聞き判断していきます。

ただし、すべての事案を対象に相談を行っているわけではありません。交通事故紛争処理センターでの法律相談の対象は、示談交渉の段階に至っている事案に限られます。

交通事故紛争処理センター利用のメリット・デメリット

交通事故紛争処理センターを利用することのメリット・デメリットは様々存在します。

以下で、詳しくご説明します。

メリット

● 申立費用が無料

交通事故紛争処理センターを利用して、和解あっせん等を行う場合には申立費用等はかかりません。 相談担当弁護士への弁護士費用等もかかりません。

経済的に利用しやすく大きなメリットであるといえます。

● 期間が短い

紛争解決の手段一つとして、訴訟を選択することが考えられます。その場合には解決までに1年近くかかることも考えられます。

交通事故紛争処理センターを利用して、和解あっせん等を行う場合には、多くの場合、3回から5回程度の回数で解決することが多く、期間としても3か月から5か月程で終了することになります。

訴訟による解決を図る場合に比べて短い期間で終了することが多いといえます。

● 公平公正な機関で信頼性が高い

交通事故紛争処理センターは、公益財団法人であり、公平公正な組織です。 相談担当弁護士は、公平中立な立場から和解案を提示して和解あっせん等を行います。

また、審査に移行した場合に、担当となる審査会を構成する審査員は、弁護士に加え、法律に詳しい法学者や裁判官経験者等で構成されています。

● 弁護士基準ベースの高額の賠償額が見込める

相談担当弁護士は、当事者双方の話を聞き、和解案を提示します。この和解案はいわゆる弁護士基準と呼ばれる基準をもとに作成されます。

当事者同士での交渉の和解案よりも、比較的高額な金額での和解案が提示されるため、交通事故紛争処理センターを利用することで賠償額の増額も見込めます。

デメリット

● 依頼できるケースが限られる

交通事故紛争処理センターを利用できるのは、前述のとおり示談交渉に入っている事案に限られます。 また、加害者が自動車以外の場合には、利用することができません。

他にも、交通事故により病院に通院され、怪我の治療中である場合や、加害者が任意保険に加入していない場合には、利用することができない等、センターを利用できるケースが限られている点はデメリットといえます。

● 遅延損害金を請求できない

訴訟で損害賠償を請求した場合、事故日からの遅延損害金を請求することができます。しかし、センターを利用する場合、基本的には遅延損害金が考慮されることはありません。

そのため、訴訟での解決の場合に比べて交通事故紛争処理センターを利用する場合には遅延損害金の分だけ賠償額が低くなります。

● 弁護士を変えることができない

相談担当弁護士は、相談開始から事案の終了まで原則として変更することはできません。

また、あくまで公平中立な立場で和解案の提示等を行うため、必ずしも被害者の方に寄り添った解決方法が提示されるとは限りません。

● 何回も出向く必要がある

交通事故紛争処理センターを利用するには、当事者の方が出向いて相談担当弁護士と話をする必要があります。

交通事故紛争処理センターは全国11か所のみに設置されており、ご自宅の近くにない場合には、利用しづらいことが考えられます。

4交通事故紛争処理センターを利用した解決までの流れ

大まかな流れとしては以下の流れになります。

  1. 利用申し込み
  2. 担当弁護士による法律相談
  3. 和解あっせん案の提示
  4. 合意又は不調
  5. 審査の申立て
  6. 審査会の裁定

➀示談あっせんの申込書提出

まずは、交通事故紛争処理センターに電話で利用申し込みの電話をします。そこで、利用する日時の予約をします。その後送られてくる利用申込書を記入し、初回の相談の際に持参して提出します。

➁初回相談

初回相談では、持参した資料の提出を行い、これらをもとに相談担当弁護士が事情を聞いていきます。 その後、相談担当弁護士が和解あっせんの必要があると判断すると次回期日の設定をします。

次回期日からは加害者側の保険会社等も出席して行われます。

➂相談担当弁護士による和解あっせん

相談担当弁護士は、当事者双方の話をもとに本件事案の争点は何かを整理し、和解案の提案をします。この和解案は過去の裁判所の判例、センターでの裁定例等を参考にして作成されます。

➃あっせん案合意

和解案に合意することができれば和解が成立します。和解が成立するとその内容を記載した書面を当事者双方で取り交わし、合意内容に応じた解決を進めていくことになります。

あっせんが不合意になった場合は審査申立

もっとも、和解は当事者双方の譲歩があって成り立つものになります。そのため、被害者の方の納得のいかない部分が和解案にあるかもしれません。提示された和解案に応じないという選択肢も考えられます。

その場合には、センターを利用しての解決を終了し訴訟等の別の手段を取るか、同センターの審査会による審査を受けるか判断することになります。

審査会による審査

審査を申し立てた場合、審査会による裁定が出されることになります。その上で、被害者である申立人は、この裁定として出された和解案に同意するかどうかを選択することとなります。

相手方である保険会社にはこの裁定について同意するかを選択する権利がなく、被害者の選択が尊重されることになります。

裁定でも決まらない場合は

このような審査会による審査によって出された裁定によっても和解を成立させることができない場合、交通事故紛争処理センターによる手続きは終了し、訴訟等による事件の解決を図ることとなります。

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物損事故の場合にも交通事故紛争処理センター(ADR)は使えるのか?

物損事故の場合でも、交通事故紛争処理センターの利用は可能です。

物損事故のみの場合、早期解決のため、原則として初回から和解あっせんを行う取扱いがなされるなど物損についての特別なルールがあります

紛争処理センターを利用し、過失割合や賠償額共に有利にすすめられた解決事例・判例

ここで、弁護士法人ALGがご依頼を受け、紛争処理センターを活用して有利な結果へと導くことができた実際の事例をご紹介します。

依頼者は自動車で優先道路を走行していました。そこへ加害者の自動車が一時停止をせずに交差道路から進入し、依頼者の車両に衝突したという事案です。

この事故により依頼者は車両ごと横転し左手首の関節に後遺障害が残ってしまいました。

しかし、過失割合や賠償金額について保険会社との交渉が難航し、担当弁護士は紛争処理センターを利用することにしました。

当初、保険会社は依頼者に不利な過失割合を主張していました。そこで、弊所は現地調査や刑事記録の精査を重ね、各種の証拠を集めました。

これらを交通事故紛争処理センターに提出し、適切な過失割合となるように主張していきました。

結果としては、過失割合は当初「2対8」であったところ、「1対9」に修正することができました。

また、賠償金額についても相手方保険会社は争っていましたが、和解あっせんを利用することで725万円もの増額に成功しました。

交通事故紛争処理センターを利用するという選択とともに、担当弁護士による粘り強い調査や主張がこのような結果をもたらした事例です。

交通事故紛争処理センターを利用するときでも弁護士にご相談ください

これまで見てきたとおり交通事故紛争処理センターを利用する際には、相談担当弁護士が入り被害者の主張を聞き和解案を作成してくれます。

しかし、あくまで公平中立な立場で紛争解決を図る立場にあります。

そこで、交通事故紛争処理センターを利用する場合でも、被害者の立場で活動する代理人の弁護士をつけることが選択しとして考えられます。

代理人の弁護士をつけることによって、弁護士から事案の内容や当方の主張を、より正確にセンターの担当弁護士に伝えることができます。また必要な資料の用意を弁護士に任せることもできます。

これらのことはより有利な和解案を勝ち取ることにもつながるため、交通事故紛争処理センターを利用する場合にも弁護士にご相談ください。

保護観察処分とは

「保護観察処分」とは、犯罪をした人又は非行のある少年が、通常の生活を送る中で保護観察所の指導監督を受けながら更生を図る処分のことをいいます。保護観察は通常の生活(社会)を送る中で行われるものであるため、「社会内処遇」とも呼ばれています。

未成年の犯罪における扱い

成人した者が犯罪をした場合には刑法が適用され、罰則を科せられます。他方で未成年の場合には刑法ではなく、少年法が適用され、原則として罰則は科せらず、その代わりに保護処分を科せられます。
保護処分の種類として、

  • 一般保護観察・・・交通犯罪以外の罪に係る事件により、保護観察に付されること
  • 一般短期保護観察・・・交通事故以外の事件により保護処分に付された少年のうち、家庭裁判所から短期間の保護観察を行う旨の処遇勧告がなされたもの
  • 交通保護観察・・・一定交通犯罪に係る事件により、保護観察に付されること
  • 交通短期保護観察・・・交通事故により保護処分に付された少年のうち、家庭裁判所から短期間の保護観察を行う旨の処遇勧告がなされたもの

が挙げられます。

保護観察処分の対象者と対象期間

保護観察処分の対象者は、

  • 家庭裁判所から保護観察の処分を受けた少年(更生保護法48条1号)
  • 家庭裁判所から少年院送致の処分を受け、その少年院から仮退院となった少年(更生保護法48条2号)
  • 懲役又は禁固の刑に処せられていたものの、仮釈放を許され更生保護法40条の規定により保護槓子に付せられている者(更生保護法48条3項)
  • 刑の執行猶予と合わせて保護観察付の言い渡しを受けた者(更生保護法48条4号)

が挙げられます。

成人に関する保護観察の機関は、裁判官が言い渡した期間です。

他方で、少年に関する保護観察の期間は、原則として少年が20歳に達するときまでと規定されています(更生保護法66条)。

なお、少年の改善更生に資すると認められるときは、期間を定めた上で、保護観察を一時的に解除することができます(更生保護法70条)。

また、保護観察を継続する必要がなくなったと認められるときには、保護観察は解除されることになります(同法69条)。

保護観察中の遵守事項

保護観察中は全員に共通して遵守事項が定められます。これを「一般遵守事項」と言います(更生保護法第50条)。

具体的には、①再犯・再非行をしないよう健全な生活態度を保持すること、②保護観察官や保護司による指導監督を誠実にうけること、③住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長に届け出をすること、④③に届け出た住居に居住すること、⑤転居又は7日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を受けることです。

他方で、それぞれの者の犯罪傾向に応じて定められた遵守事項を「特別遵守事項」といいます。

特別遵守事項は、保護観察所長が、保護観察決定をした家庭裁判所の意見を聴いた上で定めます。

以上の事項を遵守した場合には「良好措置」、違反した場合には「不良措置」を取られることがあります。

保護観察中の生活について

保護司の面接

保護観察中は、月に数回程度、保護司との面接があります。その内容は、保護観察対象者の生活状況確認、遵守事項を守っているかの確認、その他相談や指導等が行われます。

保護観察は、社会生活の中で指導等を行うものですので、保護観察となった生徒でも、他の生徒と同様に学校へ通うことができます。また、保護観察中であっても、就業や、結婚もできます。

もっとも、前述のとおり保護観察中は、保護観察官や保護司に「生活状況を報告する義務」があるので、逐一保護観察官や保護司に報告しなければなりません。

住居

保護観察中であっても、旅行をすることができます。もっとも、7日以上の旅行をする場合には、あらかじめ保護観察所の長に許可を受けなければなりません(更生保護法50条)。

また、海外旅行については、パスポートを申請する際に、「保護観察中か否か」というチェック項目があるため、当該項目にチェックをした場合、パスポートが交付されない可能性があります。

再犯・逮捕

保護観察中に再犯を犯してしまった場合、不良措置や再処分等が行われることになります。

不良措置は具体的に、仮釈放者に対する仮釈放の取り消し、保護観察付執行猶予者に対する計の執行猶予の言渡しの取り消し等が挙げられます。

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子どもが逮捕された場合や厳しすぎる処分の回避は弁護士にご相談ください

少年は心身ともに未熟ということもあり、成人の刑事事件とも手続が大きく異なります。そのため、より専門的な知識や経験が必要になります。

弊所ではどのような事件に対しても迅速に行動するとともに、事件の問題点を適切に把握し、最善の弁護活動を行います。お気軽にご相談ください。

親交の深かった人から「自分が死んだら自分の財産をあげるよ」などと言われていたとします。その人が亡くなった場合にどのようにしたらその人の財産をもらうことができるのか、そもそも血のつながりのない自分が亡くなった人の財産(遺産)をもらってもいいのか、などと疑問に思うことがあると思います。

以下では、このような疑問を解消すべく、特別縁故者に対する相続財産の分与について解説していきます。

特別縁故者とは

相続人の不存在が確定した場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に清算後に残存する相続財産の全部または一部を与えることができると定められています。

なお、相続人がおらず、特別縁故者もいない場合や特別縁故者が相続財産の分与を求めなかったような場合には、被相続人の遺産は国庫に帰属することになります。

特別縁故者になるための要件は民法で定められている

特別縁故者は、上述のとおり

  1. 被相続人と生計を同じくしていた者
  2. 被相続人の療養看護に努めた者
  3. その他被相続人と特別の縁故があった者

です。

①や②は例示と理解されており、特別縁故者に該当するか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されます。

亡くなった人と生計を同じくしていた(内縁関係など)

①被相続人と生計を同じくしていた者には、内縁の夫婦、事実上の養親子、同居の叔父・叔母、被相続人より先に死亡した子の配偶者など、家族共同体としての生活を営みながら、相続権のない者があたるとされています。

ただ、親族関係や血縁関係があったというだけでは足りず、具体的事実を考慮に入れた実質面での判断をする必要があります。

亡くなった人の介護をしていた

例えば、身寄りのない者に対して献身的な世話をした隣人、報酬以上に献身的に療養看護に努めた付添人などが挙げられます。

多くの裁判例は、被相続人を献身的に介護したなどの事情が認められる場合に、②被相続人の療養看護に努めた者として特別縁故者にあたると判断することが多いといえます。

ただし、被相続人の療養看護に努めたとしても、養護老人ホームや障害者支援施設等が療養看護等の福祉サービスに対して報酬その他の金銭的な対価を得ていた場合には、対価以上の療養看護等の福祉サービスを尽くしたと評価できるような場合を除き、原則として特別縁故者にあたらないといわれています。

亡くなった人と特別の縁故があった

③その他被相続人と特別の縁故があった者には、身寄りのない者に対して生活資金・事業資金等を援助してきた者や、事実上の遺産管理をしてきた者が含まれると理解されています

他方で、単に血縁関係があるとか、親族・近親者として通常の交際があったというだけでは足りません。

法人でも認められるケースがある

特別縁故者という名前からは個人のみに限定されているようにも思われますが、団体も特別縁故者として認められることがあります。地方公共団体、学校法人、公益法人、養護老人ホームなどが特別縁故者として認められたことがあります。

取得できる財産の割合は亡くなった人との関係によって変わる

誰が・何を・どれだけ分与されるかは、家庭裁判所の裁量によることになります。

分与すべき財産の種類、金額などを決定するにあたっては、被相続人と特別縁故者との関係性、関係の密接さ、特別縁故者の年齢・職業などのほか、相続財産の種類、数額、状況、所在など一切の事情を考慮して決定すると理解されています。

不動産は取得できる?

特別縁故者に不動産の分与が認められたような裁判例もあります。

被相続人と特別縁故者が、被相続人の生前に同居していたか否かも重要な考慮要素の一つといえますが、被相続人と特別縁故者が同居していたら必ず居住していた不動産の分与が認められるというわけではないので注意が必要です。

遺言は分与の割合に影響する?

被相続人が遺言書を作成し、誰かに財産を与える旨の内容を残していた場合には、遺贈として扱われることになります。遺贈は、特別縁故者に対する財産分与に優先します。

すなわち、被相続人が死亡し、相続人の不存在が確定し、受遺者(遺贈を受ける人のことをいいます。)に対する清算手続が終了しても、なお財産が残っている場合に、当該財産について特別縁故者に対する財産分与が検討されることになります。

特別縁故者になるために必要な手続きは?

相続財産管理人選任の申立てが必要

特別縁故者への財産の分与がなされるには相続財産の清算人が選任される必要があります。

相続人の存在が不明の場合には、利害関係人又は検察官の請求により、家庭裁判所が相続財産清算人を選任することになります。

相続財産選任の申立てがされると、家庭裁判所が相続財産清算人選任の審判を行い、相続財産清算人が選任されたことを知らせるための公告をします。

特別縁故者の申し立てができるようになるまで10ヶ月はかかる

財産清算人選任の公告(公告1)から2か月経過すると、財産清算人は、相続債権者・受遺者を確認するための公告(公告2)を行います。

公告2から2か月が経過すると、家庭裁判所は、財産清算人の申立てにより、相続人を探すために6か月以上の期間を定めて公告(公告3)を行います。期間満了までに相続人が現れないような場合には相続人の不存在が確定します。

公告3の期間が満了してから3か月以内に特別縁故者に対する相続財産分与の申立てがされることになります。

したがって、特別縁故者の申立てができるようになるまでは公告3の期間満了までの10か月が経過する必要があります

特別縁故者の申し立て方法

必要な書類

特別縁故者に対する相続財産の分与を申し立てるには、申立書や添付書類が必要となります。申立書の書式は裁判所のHPでダウンロードすることができます。添付書類は、自治体に問い合わせて取得することができます。

特別縁故者だと証明するために必要なもの

特別縁故者には、上述したとおり、①相続人と生計を同じくしていた者、②被相続人の療養看護に努めた者、③その他被相続人と特別の縁故があった者の3つの類型があるところです。

①から③の類型や具体的な事案によって①~③に該当することを主張するための様々な証拠があり得ます。具体的には、被相続人を経済的に援助していたことを示す証拠として被相続人と生活していた際の領収書を証拠として提出することもあります。

申立先

特別縁故者に対する相続財産分与の申立ては、「被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」に申立書や添付書類を提出して行います。

特別縁故者の申し立て期限は?

特別縁故者の申立てには期間制限があります。

相続財産清算人の選任後、家庭裁判所は、財産清算人の選任及び相続人に権利を主張すべき旨の公告(上記公告3になります)をします。

当該公告期間6か月が満了することにより相続人不在が確定した後、3か月以内に申立をしなければなりません(民法958条の2第2項)

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特別縁故者にかかる税金

特別縁故者への財産分与がされる場合には相続人が0人であることが前提であるため基礎控除が3000万円となります。このため、特別縁故者への財産分与が3000万円を超えるような場合には相続税が発生することになります。

また、特別縁故者は被相続人の一親等の血族でも配偶者でもないため、特別縁故者にかかる相続税は相続税の2割に相当する金額が加算されることになります。

また、特別縁故者は、財産分与を受けることができることを知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告をする必要がありますので、ご注意ください。

特別縁故者に関する裁判例

財産分与が認められた裁判例

①被相続人と生計を同じくしていた者

この類型の特別縁故者として認められた事例としては、

  • 内縁配偶者(山口家審昭和49年12月27日など)
  • 被相続人を養父として慕い、被相続人と30年にもわたり共同生活をしていた事実上の養親子(大阪家審昭和40年3月11日)

などが挙げられます。

②被相続人の療養看護に努めた者

  • 11年間にわたり被相続人を自分の子どものように看護養育し、被相続人が病気になってからも療養看護に努めた叔母(京都家審昭和42年8月18日)
  • 被相続人が経営する小売商店の従業員として住み込みで働き、店の仕事以外にも被相続人の身辺の世話や病気の看護にあたって精神的な支えになった従業員(大阪高決平成4年3月19日)

などが挙げられます。

③その他特別の縁故のあった者

  • 「知的に劣り、通常の生活能力を欠く被相続人に対し、近隣の住民が被相続人との関わりを避け、厄介者扱いをしている中で、自らの発意で被相続人の保護に努め、生活上の援助をし、唯一被相続人の療養看護にも力を貸した者」であるとして、親族関係にある者の申立てを退けて、全くの他人を特別縁故者として認めた例もあります(名古屋高決平成8年7月12日)。

特別縁故者だと認められなかった裁判例

・被相続人と親戚付き合いを含めて交流があったと主張した被相続人の従姉の養子(東京高決平成26年1月15日)

裁判所は、上記被相続人の従姉の養子が被相続人の死後に被相続人の法要をし、被相続人宅の庭木と草木の伐採、掃除等をし、そのために一定の労力と費用をかけ、今後もこれを継続する意思を有していることは認め、被相続人の生前の身分関係及び交流に、被相続人の境遇及び被相続人の死後の貢献を加えて検討しても、上記養子と被相続人との生前の交流の程度に鑑みると、上記養子を被相続人と「特別の縁故があった者」と認めることはできないと判断しています。

特別縁故者の申し立てをお考えの方は弁護士にご相談ください

特別縁故者に当たるか否かは個別具体的な事案に応じて判断が分かれるものですので、専門的な知識を有することなく主張立証を尽くすことは困難といえます。

また、特別縁故者の相続財産分与の申立等の手続自体も非常に煩雑な上、期間制限があるため権利行使のハードルも高いと言わざるを得ません。

特別縁故者に関して迷われた際にはぜひ一度ご相談ください。

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
監修:弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長
保有資格
弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。