離婚届の証人は必要?見つからない場合の対処法や証人欄の書き方など

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕

監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士

協議離婚で手続きを進める際、避けて通れないのが「離婚届の証人欄への記入」です。

「誰に頼めばいいのか」「家族や知人に頼むと不都合があるのではないか」「頼める人が誰もいない場合はどうすればいいのか」といった疑問や不安をお持ちの方も多いでしょう。

この記事では、弁護士法人ALG&Associates埼玉法律事務所の弁護士が、離婚届の証人が必要な理由やなれる人の条件、保証人との違い、見つからない場合の対処法、代筆や虚偽記入に潜む法的なリスクについて分かりやすく解説します。

離婚届を出す際は証人が必要

夫婦間の話し合いによって離婚を成立させる「協議離婚」を行う場合、市区町村役所に提出する離婚届には、必ず2名の証人による署名が必要となります。

民法765条1項および739条2項により、協議離婚の届出には成人の証人2名以上の署名が必須と定められています。

離婚届を作成する際、夫婦それぞれの署名だけでは正式な公的書類として受理されず、証人欄が未記入のまま提出しても役所の窓口で弾かれてしまうため注意が必要です。

証人になれる人の条件

離婚届の証人になれる人の条件は、「当事者以外の成人(満18歳以上)」であることだけです。

法律上の特別な資格や職権は一切求められず、国籍も問われません。
そのため、夫婦双方の親や兄弟姉妹、親族はもちろんのこと、友人、知人、職場の同僚や上司であっても、18歳以上の成人であれば誰でも証人になることができます。

また、夫婦それぞれが1名ずつ証人を用意する必要はなく、片方の親族や友人2名に依頼しても法律上何ら問題ありません。

証人が不要になるケース

離婚届を提出する際、すべてのケースで証人が必要になるわけではありません。

証人の署名が必要となるのは協議離婚の場合のみです。
裁判所が関与して離婚が成立する「調停離婚」「審判離婚」「裁判離婚」「和解離婚」などのケースでは、離婚届への証人の署名は不要となります。

これらの手続きでは、すでに家庭裁判所で調停委員や裁判官立ち会いのもとで双方の離婚の意思確認や審理が完了しているため、改めて第三者の証人を立てる必要がないからです。

証人は保証人とは違う

離婚届の証人と、借金や賃貸借契約で求められる「保証人(連帯保証人)」はまったく異なる役割を持っています。

保証人は、主債務者が支払わない場合に代わりに金銭を支払う等の法的義務を負いますが、離婚届の証人にそのような責任は生じません。

離婚した夫婦のどちらかが将来養育費や慰謝料を滞納したとしても、証人が代わりに支払いを求められるようなリスクは発生しないため、安心して依頼し、引き受けて問題ありません。

離婚届の証人が必要な理由と役割

協議離婚は裁判所を通さず当事者同士の話し合いのみで成立するため、夫婦双方に本当に離婚する意思があるのかを役所の窓口だけで確認することは容易ではありません。

もし証人が不要であれば、夫婦の一方が相手に無断で勝手に離婚届を作成して提出してしまうといったトラブルが横行するおそれがあります。そのため法律上、当事者以外の成人2名を証人として関与させることが義務付けられています。

第三者の目をとおして「双方に真実の離婚意思が存在すること」を確認し、勝手な届出や後日のトラブルを未然に防ぐ役割を果たしています。

証人が見つからない場合の対処法

周囲に離婚を知られたくない、あるいは身近に頼める親族や知人がいないなどの理由で証人が見つからない場合、主に以下の2つの対処法があります。

1つ目は、行政書士などが提供する「証人代行サービス」を利用する方法です。

手軽に依頼できる半面、弁護士のような厳格な職務上の守秘義務や倫理規定がないケースもあり、本籍や住所といった個人情報の漏洩リスクには注意する必要があります。

2つ目は、「離婚手続きを弁護士に依頼する」方法です。

弁護士に離婚交渉や書類作成を依頼していれば、依頼者の真意を確認したうえで弁護士が証人欄へ対応することが可能です。

弁護士には法律上の厳格な守秘義務があるため外部へ情報が漏れる心配がなく、離婚条件の交渉や離婚協議書の作成も併せて任せられるため、最も安心で確実な選択肢といえます。

証人の欄の書き方と記入時の注意点

離婚届の証人欄には、①署名、②生年月日、③住所、④本籍の4項目を正確に記入する必要があります。

記入にあたっては、必ず証人本人が黒のボールペンやサインペン等を用いて自筆で署名・記入しなければなりません。鉛筆や消えるボールペン(フリクションペンなど)の使用は不可となります。

印鑑の押印は法改正により任意となりましたが、誤記があった際の訂正をスムーズにするため押印しておくのも一案です。なお、書き間違えた場合は修正液を使わず、二重線を引いて近くに正しい内容を記入します。

本籍地を正確に把握していない方も多いため、事前に戸籍謄本等で確認しておくと手続きがスムーズです。

証人欄の不正記入・代筆のリスク

証人が見つからないからといって、当事者が知人の名前を無断で書いたり、友人の承諾を得て代わりに自分で記入(代筆)したりする行為には、法的リスクが伴います。

たとえ相手の了解を得ていたとしても、本人以外の者が証人欄に他人名義の署名を行う行為は、原則として私文書偽造罪(刑法159条1項)や同行使罪(刑法161条1項)という犯罪に該当するおそれがあります。

さらに、役所で不備や虚偽が発覚すると離婚届が受理されないだけでなく、虚偽の記載で戸籍を書き換えたとして公正証書原本不実記載罪(刑法157条1項)に問われたり、後から相手方や第三者から「離婚無効の訴え」を起こされて泥沼のトラブルへ発展する危険性があります。

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離婚届の証人に関するQ&A

離婚届の証人欄に記入してほしいと頼まれました。引き受けたらリスクはありますか?

離婚届の証人を引き受けても、借金の保証人のような金銭的・法的な返済義務や賠償責任を負うリスクは一切ありません。

基本的には夫婦間でのトラブルに巻き込まれる心配もありませんが、念のため「夫婦双方に確かに離婚する意思があること」を事前に直接、あるいは書類等で確認したうえで署名に応じるのが望ましいでしょう。

万が一、夫婦の一方が勝手に作った虚偽の離婚届に安易に署名してしまうと、トラブルに巻き込まれるおそれがあるため注意が必要です。

友人の名前を貸してもらえることになりました。離婚届の証人欄に自分で書いても良いですか?

友人の了承を得ている場合であっても、当事者が友人の代わりに証人欄へ代筆して記入することは法律上認められません。

戸籍法上の例外(手が不自由で自筆できない場合等)を除き、証人欄は署名した本人自身が直接記入しなければならないルールになっています。

友人が承諾している場合でも、本人が記入していないと判明した場合は有印私文書偽造罪などの犯罪に問われたり、離婚届が受理されなかったりするおそれがあります。必ず友人本人に直接記入してもらいましょう。

証人を頼める人がいません。役所の窓口の人に頼むのはアリですか?

役所の職員は届出を受理・審査する立場であり、また証人欄には住所や本籍地といった個人情報を記入する必要があるため、実際に頼んでも引き受けてもらえる可能性は低いです。

証人が見つからずお困りの場合は無理に窓口で頼むのではなく、身近な知人に相談するか、守秘義務のある弁護士等の専門家へ相談することをおすすめします。

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スマートフォンの高性能化や小型カメラの普及により、盗撮は身近な犯罪となりつつあります。軽い気持ちで行った行為でも、発覚すれば逮捕され、長期間の身柄拘束や刑事処分を受けるおそれがあります。

本記事では、盗撮で逮捕された後の流れや想定される刑罰、社会生活への影響、前科を回避するための方法、弁護士に依頼するメリットについて詳しく解説します。

盗撮で逮捕されたらどうなる?その後の流れは?

盗撮で逮捕された場合には、基本的には以下の流れで手続が進んでいきます。

  • ① 逮捕後48時間以内に送致される
  • ② 送致後24時間以内に勾留されるか決まる
  • ③ 勾留が決まると10日間の拘束(最長20日間)
  • ④ 起訴・不起訴などが決まる
  • ⑤ 起訴されたら刑事裁判を受ける

ここでは逮捕後の一般的な流れを順に解説します。

①逮捕後48時間以内に送致される

盗撮で逮捕されると、まずは警察署で取調べを受けます。
取調べでは、被疑者本人の学歴や職歴、家族関係や生い立ちに至るまで詳細に聴き取られます。

警察は事件の内容や証拠を確認しながら捜査を進め、逮捕から48時間以内に被疑者の身柄と事件記録を検察庁へ送致しなければなりません。この期間中は原則として自由に帰宅することはできません。

②送致後24時間以内に勾留されるか決まる

検察官は送致を受けると24時間以内に勾留請求を行うか判断します。つまり、逮捕から合計72時間(48時間+24時間)以内に身柄拘束を継続する必要があるかどうかが決まります。

逮捕直後から勾留請求の判断がされるまでの間、家族であっても面会できないと考えていただいてよいでしょう。

一方、弁護士であれば逮捕直後から面会することができるため、勾留を阻止するために弁護士に依頼し、弁護活動をしてもらうことが重要です。

③勾留が決まると10日間の拘束(最長20日間)

72時間以上の身柄拘束はできませんので、それ以上の拘束が必要であれば勾留請求がされます。

勾留とは、被疑者や被告人を警察署や拘置所の刑事施設に拘禁することをいいます。
逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されると、裁判官によって勾留が認められる場合があります。

勾留は、原則として10日間実施されます。
捜査上必要と認められれば勾留延長が認められ、最長で20日間にわたって拘束される可能性があります。

④起訴・不起訴などが決まる

捜査の結果、裁判所の審理を求める必要があると検察官が判断した場合には、勾留ができる最大20日間までに起訴されます。

一方で、証拠が不十分で犯罪の立証が困難な場合、前科・前歴がなく犯行の悪質性も高くない場合や被害者との示談が成立しており、処罰感情が和らいでいるケースでは、不起訴処分となる可能性もあります。

事件によっては、処分が保留となり、身柄を拘束される身柄事件から、拘束がない在宅事件へ切り替わることもあります。

⑤起訴されたら刑事裁判を受ける

起訴されると、通常はその後およそ1か月程度で刑事裁判が始まります。

起訴には、書面審理によって罰金刑を科す略式起訴(簡易的な起訴)と、公開の法廷で審理を行う正式起訴(通常の起訴)があります。

刑事裁判では、検察と被告人の弁護人が事件についての主張を繰り返し行い、最終的に様々な事情を踏まえて裁判官が被告人に判決を言い渡します。

判決では、被告人の有罪か無罪かが判断され、有罪の場合には拘禁刑や罰金などの量刑が言い渡されます。

盗撮で逮捕されるケース

盗撮事件では、犯行直後に発覚して逮捕されるケースもあれば、一度帰宅した後に捜査が進み後日逮捕されるケースもありますが、最も多いケースは現行犯逮捕です。

以下では、現行犯逮捕と後日逮捕されるケースについて、それぞれ詳しく解説します。

現行犯逮捕

盗撮事件では、犯行現場で発覚し現行犯逮捕されるケースが多く見られます。

例えば、更衣室で盗撮しているところを被害者本人に発見された場合や、電車内や駅のエスカレーターでスマートフォンを不自然に向けているところを周囲の乗客に目撃された場合などです。

現行犯逮捕は警察官によるものだけではなく、被害者や目撃者による私人逮捕が認められる場合もあります。また、私人逮捕だけではなく、被害者や目撃者からの通報で警察官が現場に急行して現行犯逮捕されることもあります。

後日逮捕

後日逮捕とは、犯行当日に逮捕されず、一度帰宅した後などに捜査が進展した結果として逮捕されることをいいます。

防犯カメラ映像やスマートフォン内のデータ解析、被害者や目撃者の供述などから犯人が特定されるケースは少なくありません。

後日逮捕の場合、犯行から数日から1か月程度の間に警察から電話があり、任意出頭を求められることが一般的です。場合によっては突然自宅に警察官がたずねてきて家宅捜索が行われる可能性もあります。

盗撮で逮捕された場合の刑罰

撮影罪(性的姿態等撮影罪)

令和5年7月13日以降の盗撮行為は、撮影罪(性的姿態等撮影罪)に該当する可能性があります。

例えば、衣服に隠れている下着や性的な部位などを、被写体の同意なくひそかに撮影する行為が典型例です。また、わいせつ行為や性行為中の様子を被写体の同意を得ずにひそかに撮影する場合も対象となります。

撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科せられることになります。

盗撮は撮影罪にあたる?

迷惑防止条例違反

令和5年7月12日以前の盗撮行為は、撮影罪施行前ですので撮影罪で罰せられることはありませんが、各都道府県が制定する迷惑防止条例違反として処罰される可能性があります。

迷惑防止条例の内容は都道府県によって具体的な規制内容や罰則は自治体によって異なりますので各都道府県の迷惑防止条例を確認する必要があります。

撮影罪が施行された令和5年7月13日以降でも、犯行態様が比較的軽微な場合などは撮影罪ではなく迷惑防止条例違反として処罰される可能性もあります。

のぞき行為は迷惑防止条例違反になる?

軽犯罪法違反

軽犯罪法は、比較的軽微な犯行行為を取り締まるための法律です。刑罰は拘留または科料となります。
盗撮目的で正当な理由なくのぞき見をしたり、人の住居などをひそかにうかがったりした場合には、軽犯罪法違反が成立する可能性があります。

法定刑は拘留または科料です。
現在はほとんどの盗撮行為が撮影罪として処罰される傾向にありますが、公衆でない浴場やトイレをひそかに撮影またはのぞき見することや公衆でない更衣室をひそかに盗撮またはのぞき見することなど公衆の場所ではないところで起きた盗撮行為が処罰の対象となります。

盗撮・のぞきは軽犯罪法違反?

住居侵入罪・建造物侵入罪

盗撮目的で他人の住んでいる住居や人が管理する建物などに立ち入った場合には、住居侵入罪や建造物侵入罪に問われる可能性があります。法定刑は3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です。

盗撮が未遂であったりそもそも盗撮の目的がなくても、正当な理由なく住居や建物内へ侵入した時点で犯罪が成立し得ます。

盗撮は住居侵入罪・建造物侵入罪に問われる?

児童ポルノ禁止法違反

盗撮の対象が18歳未満の未成年者であり、その内容が児童ポルノに該当する場合には児童ポルノ禁止法違反に問われる可能性があります。

児童ポルノ禁止法は、18歳未満の未成年者のわいせつな写真や動画などの記録媒体(=児童ポルノ)を所持・提供・陳列・製造・運搬・輸出入することを取り締まるための法律です。

児童ポルノを所持していた場合は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処せられます。
児童ポルノを製造していた場合には、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処せられます。

このように撮影行為だけでなく、所持や製造なども処罰対象となるという特徴があります。

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盗撮で逮捕されたことで起こり得る社会的影響

仕事への影響

逮捕されると身柄が拘束されますので、長期間出勤できなくなる可能性があります。

勤務先に大きな迷惑をかけることとなり、欠勤が長引けば社内で事情を説明しなければならず、職場での信用低下につながるおそれがあります。

場合によっては退職勧奨、解雇もしくは懲戒処分を受ける可能性もあります。

盗撮・のぞきで解雇される?

マスコミによる実名報道

盗撮事件で逮捕された場合、事件の内容によっては新聞やインターネットニュースなどで実名報道されることがあります。

一度報道されると記事が長期間残り続けることもあり、社会生活や人間関係に大きな影響を及ぼす可能性があります。

盗撮・のぞきをしたら実名報道される?

家族への影響

盗撮事件の影響は本人だけにとどまりません。

家族が盗撮犯の親族であることを周囲に知られてしまうことで、社会的評価が低下したり、人間関係に支障が生じたりすることがあります。
また、勤務先や近隣住民との関係、友人や親族との付き合いに悪影響が及ぶ場合もあります。

さらに、弁護士費用や示談金などの経済的負担を家族が負担するケースも多く、精神面・金銭面の双方で大きな負担となり得ます。盗撮で逮捕されたことによって起こりうる社会的影響を少しでも抑えるため、適切な対処をとることが重要となります。

盗撮事件で後日逮捕や前科を回避する方法

盗撮事件では、事件発覚後の対応が処分結果を大きく左右します。
早期に適切な行動を取ることで、後日逮捕や起訴を回避できる可能性があります。

以下に述べる自首や示談交渉は重要な対応の一つです。

自首する

自首によって逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断されれば、逮捕を回避できる可能性が高まります。

捜査機関に発覚する前に自首をすると、反省の意思を示す事情として評価されることがあり、有罪判決となった場合でも有利な事情として考慮され、刑罰が減刑される可能性があります。

盗撮で自首する4つのメリットとは?

被害者と示談する

後日逮捕や前科を避けるためには、被害者との示談成立が重要な意味を持ちます。

被害者との示談が成立し、被害者が処罰を望んでいない状況となれば、これによって捜査機関や検察官の判断に良い影響を与え、逮捕や起訴を回避できる可能性が高まります。

盗撮事件で示談しないとどうなる?

盗撮で逮捕された際に弁護士に依頼するメリット

盗撮で逮捕された場合には、早期に適切な対処が行えるよう、できるだけ早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士は刑事手続の各段階で適切なサポートを行い、不利益を最小限に抑えるための活動をします。
早期に弁護士に依頼する具体的なメリットは以下のとおりです。

取調べに対する適切なアドバイスを受けられる

取調べで供述した内容は重要な証拠となるため、慎重な対応が求められます。

供述調書に署名すると後から内容を変更することは容易ではありません。
そのため、不用意な発言によって不利な状況を招かないよう、事前に弁護士から取調べの受け方や注意点について助言を受けることが大切です。

取調べに対する適切なアドバイスを弁護士から受けられるというメリットが第一に挙げられます。

早期保釈が期待できる

弁護士は、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを主張し、勾留回避や保釈請求に向けた活動を行います。弁護士のこの活動によって身柄拘束期間の短縮だけではなく、早期の社会復帰につながる可能性もあります。

事件発生から早期のタイミングで弁護士へ依頼を開始することで、その都度取るべき身柄解放に向けた弁護活動が期待できるというメリットがあります。

被害者と示談できる可能性が高まる

弁護士が被害者と示談交渉を行い、被害者と示談できる可能性を高めるというのは、弁護士に依頼する最大のメリットといえます。

加害者本人やその家族が直接連絡を取ろうとしても、被害者から拒否されるケースは少なくありません。
弁護士が間に入ることで、被害者の心情に配慮しながら円滑に示談交渉を進められる可能性が高まります。

前科がつく事態を避けられる可能性がある

刑事裁判で有罪判決を受けると前科が付きます。また、日本の刑事裁判では起訴後の有罪率が極めて高いため、起訴される前の段階で適切な対応を行うことが重要です。

弁護士が示談成立や有利な事情の主張を行うことで、不起訴処分の獲得につながり、前科を回避できる可能性があります。

弁護士に依頼することで弁護活動を適切にしてもらえ、前科がつく事態を避けられる可能性が高まります。

盗撮・のぞきで逮捕されると前科はつく?

盗撮によって逮捕されたらなるべく早く弁護士法人ALGにご相談ください

盗撮事件では、逮捕直後からの対応がその後の結果を大きく左右します。
取調べへの対応を誤ったり、示談交渉が遅れたりすると、不利な処分につながる可能性があります。

弁護士法人ALGでは、刑事事件に精通した弁護士が迅速に対応し、早期釈放や示談成立、不起訴獲得に向けたサポートを行っています。

ご本人はもちろん、ご家族からのご相談にも対応しておりますので、盗撮事件でお困りの場合は、できるだけ早く弁護士法人ALGまでご相談ください。

盗撮は、相手の同意を得ずに性的な部位や下着などをひそかに撮影する行為であり、れっきとした犯罪です。盗撮をしてしまい、自首を検討されている方もいらっしゃるでしょう。
自首とは、捜査機関に発覚する前に自ら罪を申告することをいい、刑の減軽などにつながる可能性があります。

本記事では、盗撮で自首するメリット・デメリットや自首の流れ、弁護士に相談すべき理由などを解説します。

盗撮で自首する4つのメリット

自首とは、犯罪事実が捜査機関に発覚する前、または犯罪事実は発覚していても犯人が誰であるか判明する前に、犯人が自発的に自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、その処分を求めることをいいます。

刑法第42条1項は、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と定めています。

自首が成立するためには、主に次の要件を満たす必要があります。

  • 捜査機関に発覚する前に申告すること
  • 自発的に自己の犯罪事実を申告すること
  • 自己の処分を求める意思があること
  • 警察や検察などの捜査機関に申告すること

以下、まずは盗撮で自首する4つのメリットをご紹介します。

①逮捕や報道を回避できる可能性がある

逮捕は、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に行われるのが原則です。

自ら警察に出向いて罪を申告することは、自己の犯罪行為の責任と向き合う覚悟があり、捜査に協力する意思があることを示す行動といえます。

そのため、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断され、逮捕を回避できる可能性が高くなります。
逮捕されなければ、一般の方が実名で報道されることも少ないでしょう。

ただし、自首をすれば絶対に逮捕されないというわけではありません。
犯行の悪質性や余罪の有無などによっては、逮捕されることもあります。

②不安から解放される

盗撮をしてしまった後、「いつ警察が来るのだろうか」と怯えながら生活し、仕事が手につかない、夜も眠れないといった状態に陥る方は少なくありません。

自首をすれば逮捕される可能性が低くなるため、こうした先の見えない不安が軽減され、事件と前向きに向き合えるようになるでしょう。

③家族や職場にバレるリスクを減らせる

盗撮で後日逮捕される場合、警察が自宅や職場を訪れることがあるため、逮捕されたことが家族や職場の人に知られてしまうおそれがあります。

一方、自首によって逮捕を回避できれば、周囲に知られるリスクを抑えられます。
さらに、弁護士が同伴して自首し、弁護士が身元引受人となれば、警察から家族や職場へ連絡がいくことを防止できる可能性が高まります。

④不起訴や減刑の可能性が上がる

自首は、自分の罪を認めて反省していることを示す行動であるため、被害者に反省の気持ちを納得してもらいやすく、示談交渉がスムーズに進みやすくなります。

盗撮事件では、被害者との間で示談が成立していると、検察官が起訴・不起訴を判断する際に有利な事情として考慮され、不起訴となる可能性が高くなります。

不起訴になれば刑事裁判は開かれず、前科もつきません。
また、自首が成立すれば、刑法第42条1項により刑が減軽されることがあります。

仮に起訴された場合でも、自首したことは量刑上有利な事情として考慮されるでしょう。

盗撮で自首するデメリットはある?

自首のデメリットとしては、本来であれば捜査機関に知られることのなかった犯罪事実が発覚してしまう点が挙げられます。

自首によって事件が明らかになれば、捜査を受けたうえで刑事処分を科されるおそれがあり、場合によっては逮捕されて身柄を拘束される可能性もあります。

そのため、被害者に気づかれておらず証拠も残っていないなど、事件化するリスクがほとんどないケースでは、弁護士が自首をすすめないこともあります。

まずは刑事事件に詳しい弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。

盗撮が発覚するのはどんなとき?

「バレなければ大丈夫」と考えて自首しないまま過ごしていると、ある日突然、後日逮捕される恐れがあります。

盗撮が発覚する主なケースは、次のとおりです。

  • 被害者や周囲の人が盗撮行為を目撃していた
  • 設置したカメラに指紋が残っているなど、物的証拠があがった
  • 防犯カメラの映像の画像識別によって人物が特定された

近年は防犯カメラの設置が進み、映像の解析によって犯人が特定されるケースも増えています。
証拠がそろえば、事件から数週間~数ヶ月後に逮捕されることもあります。

盗撮の証拠がなくても自首できる?

自首の成立要件に「証拠の提出」は含まれていないため、証拠がなくても自首すること自体は可能です。

しかし、被害届が出ておらず、盗撮データなどの証拠もない状態で出頭した場合、警察としても事件を確認する手段がないため、自首として受理されないことがあります。

一方、被害届が出ている事件であれば、犯人が特定される前に申し出ることで自首が成立する可能性があります。事前に弁護士に相談しておくと安心です。

盗撮事件で自首する流れ

①弁護士に相談する

自首を考えたら、まずは刑事事件に詳しい弁護士に相談しましょう。

弁護士は、事件の内容を踏まえて自首すべきかどうかを判断したうえで、逮捕を回避するための準備や警察との調整を行います。そのため、ご自身だけで自首するよりも、逮捕される可能性を低くすることが期待できます。

相談の際は、いつ・どこで・どのような盗撮をしたのか、撮影データをどうしたのかなど、できるだけ具体的に伝えてください。

事実関係を正確に把握してもらうことで、弁護士から捜査機関へ自首の内容を正しく伝達してもらえます。

②自首の準備をする

自首をすると決めたら、出頭の準備をします。
自首しても逮捕される可能性はあるため、身柄を拘束された場合に備えて、次のような準備をしておくと安心です。

  • 着替えや現金、常備薬などの身の回り品
  • 身分証明書
  • 仕事の引継ぎや、必要に応じた周囲への連絡

また、自首の際は、盗撮に使用したスマートフォンやカメラ、撮影データなど、自分が犯した罪の証拠も持参する必要があります。

証拠を自ら提出することは、証拠隠滅のおそれがないことを示すことにつながるため、逮捕される可能性を低くする効果が期待できます。

③警察署に連絡する

準備が整ったら、犯行場所を管轄する警察署に連絡し、自首する日時を調整します。
弁護士に依頼している場合は、弁護士が警察署への連絡や日程調整を代わりに行うため、ご自身で連絡する必要はありません。

盗撮で自首した後の流れ

自首をすると、警察署で身元の確認や事情聴取が行われ、自首調書などが作成されます。
その後、被害届や証拠の有無に応じて立件するかどうかが判断されます。

立件された場合、盗撮は主に撮影罪(性的姿態撮影等処罰法違反)に問われ、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

盗撮は撮影罪にあたる?

盗撮事件として立件されないケース

自首をしても、必ずしも盗撮事件として立件されるわけではありません。

たとえば、被害者から被害届が出ておらず、盗撮データなどの確たる証拠もない場合には、本人の供述のみでは犯罪の嫌疑が不十分であるとして、盗撮事件として立件されないことがあります。
このような場合は、自首した当日の事情聴取のみで手続きが終わることもあります。

また、撮影データが残っていても、事案が軽微であれば、警察の指導のもとでデータを削除し、厳重注意を受けて終了するケースもあります。

さらに、ご自身では盗撮だと思っていても、撮影した対象や状況によっては、法律上の盗撮にあたらないこともあります。

在宅捜査として刑事手続きが進むケース

被害者から被害届が出ている場合や、犯行を裏付ける証拠がある場合には、刑事事件として立件され、手続きが進みます。

もっとも、自首をしていれば逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断されやすいため、逮捕されずに在宅事件として刑事手続きが進む傾向にあります。
在宅捜査では、普段どおりの生活を送りながら、事情聴取を受けたり、現場検証に立ち会ったりします。

警察から後日、複数回にわたって呼び出されることもあります。
警察の捜査が終わると、事件は書類送検され、検察官が最終的な処分を決めます。

初犯で悪質性が低い事案であれば、略式起訴により罰金刑となることも少なくありません。

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盗撮で自首する際に弁護士に相談すべき理由

家族や周りに知られずに相談できる

弁護士には法律上の守秘義務があるため、相談内容が外部に漏れることはありません。
「家族には知られたくない」と伝えておけば、弁護士から家族に事件のことを伝えることはありません。

また、弁護士をつけずに自首した場合、家族に身元引受人を依頼できなければ、会社の上司などに依頼することになります。

弁護士に依頼すれば、弁護士が身元引受人となれるため、周囲に知られずに手続きを進められる可能性が高まります。

警察への対応を相談できる

自首をしても、警察への説明の仕方が不十分であったり、必要な証拠を提出できなかったりすると、自首として扱われず、せっかくの自首が無駄になってしまう可能性があります。

弁護士に相談すれば、何をどのように伝えるべきか事前に具体的なアドバイスを受けられるため、自首の効果を十分に得られるでしょう。

自首同行を依頼できる

盗撮事件の弁護を弁護士に依頼すると、警察署へ出頭する際に弁護士に同行してもらえます。
一人で警察署に行くのは心細く、直前になって決心が揺らいでしまう方もいるため、弁護士が付き添うことは大きな支えとなるでしょう。

なお、同行した弁護士は、警察の事情聴取に同席することはできず、基本的には警察署内で待機することになります。

ただし、取調べの最中に「弁護士と相談したい」と伝えれば、取調べを中断して弁護士と打ち合わせをすることができます。

逮捕されても迅速に対応できる

自首は逮捕を確実に回避できる手段ではなく、犯行の内容によっては、弁護士に相談していたとしても逮捕されることはあります。

しかし、事前に弁護士に相談して事件の内容を把握してもらっていれば、万が一逮捕されたとしても、すぐに接見や勾留を阻止するための弁護活動に取りかかることができます。

迅速な対応によって、早期の釈放や不起訴の獲得につながる可能性が高まります。

被害者との示談交渉を任せられる

被害者が判明していても、被害者は加害者に対して強い処罰感情や恐怖心を抱いていることが多く、示談交渉に応じてくれるとは限りません。

そもそも、加害者本人には被害者の連絡先が教えてもらえないケースがほとんどです。
弁護士に依頼すれば、捜査機関を通じて被害者の連絡先を確認し、被害者の心情に配慮しながら交渉を進めることができます。

適正な条件で示談を成立させることができれば、不起訴となる可能性も高まります。

盗撮事件で示談しないとどうなる?

盗撮の自首に関するよくある質問

盗撮には時効がありますか?時効後に自首したらどうなりますか?

盗撮の公訴時効は、問われる罪によって異なりますが、撮影罪や迷惑防止条例違反の場合は、基本的に盗撮した時から3年です。
公訴時効が完成すると検察官は起訴できなくなるため、時効後に自首しても刑事罰を受けることはありません。

ただし、撮影したデータを他人に提供・公開した場合には別の罪が成立し、時効期間が変わることもあるため、ご自身で時効の成否を正確に判断するのは困難です。
誤った判断をしないためにも、弁護士に相談することをおすすめします。

盗撮がバレて逃げてしまいました。自首すれば罪は軽くなりますか?

盗撮がその場で発覚して逃げてしまった場合でも、犯人が誰であるか捜査機関に特定されていなければ、自首が成立する可能性があります。

すでに犯人として特定されている場合は自首にはあたりませんが、自ら出頭したことが反省の表れとして評価され、処分や量刑の判断で有利に考慮されることがあります。

ただし、必ず罪が軽くなるわけではないため、早めに弁護士に相談しましょう。

盗撮事件で自首するかお悩みでしたら弁護士法人ALGにご相談ください!

盗撮をしてしまった場合、自首をすることで、逮捕や報道を回避できる可能性が高まるほか、不起訴や減刑につながるなど、さまざまなメリットがあります。

一方で、自首によって犯罪事実が発覚するというデメリットもあり、自首すべきかどうかは事案によって異なります。

弁護士法人ALGでは、弁護士が、自首すべきかどうかの判断から出頭の準備、警察署への同行、被害者との示談交渉まで、一貫してサポートいたします。
ご家族や職場に知られずに解決したいというご希望にも配慮して対応いたします。

盗撮をしてしまい自首するかお悩みの方は、一人で抱え込まず、お早めに弁護士法人ALGにご相談ください。

被相続人が亡くなり、相続が開始すると、相続人はさまざまな相続手続きを行うことになります。

なるべくお金をかけないために、自分で相続手続きを行おうと考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、相続手続きの難易度には状況によって差があり、自分で行うのが極めて難しい場合もあります。

この記事では、相続手続きの手順や自分で相続手続きができるケース、専門家に依頼した方が良いケース、相続手続きを自分で行うことのリスク等について解説します。

相続手続きは自分でできる?

相続手続きは、専門家による実施が必須とされているものではありませんので、基本的には自分で行うことが可能です。

しかし、相続手続きは、様々な書類を集め、適切に処理していく必要がありますので、相続が開始した直後の忙しい時期に、慣れていない処理を自分で行うことは想像以上に大変です。

また、適切に処理ができていないと、手続きの修正を求められたり、追加で税を徴収されたりなど、一定のリスクを抱えることになってしまいます。

自分で相続手続きができるケース

相続手続きを自分で行える場合として、手続きが比較的単純で、時間をかける余裕のあるケース等が挙げられます。

そのようなケースに該当するための主な条件として、以下のようなものが挙げられます。

  • 相続人が配偶者と子供のみである等、人数が少ない
  • 相続人の関係が良好であり、積極的に協力してくれる
  • 相続財産が現金や預貯金のみである等、手続きの負担が少ない可能性が高い
  • 定年退職した後である等、時間に余裕がある
  • 根気強い性格で、細かな手続きがあまり苦ではない

専門家に相続手続きを依頼した方がよいケース

相続手続きを専門家に依頼した方が良い場合として、手続きが複雑であったり、時間的な余裕がなかったりするケースが挙げられます。

それらのケースに該当する主な状況として、以下のようなものが挙げられます。

  • 相続人が多い
  • 被相続人の兄弟姉妹や甥姪が相続人である
  • 相続人同士が不仲である
  • 相続人の間で主張が対立している
  • 相続財産の種類や数が多く、多数の不動産が含まれている
  • 仕事がある等の理由で、手続きに手間や時間をかけられない
  • 相続登記を放置していた不動産がある
  • 不動産をすぐに売却したい等、相続登記を急ぐ必要がある
  • 偽造された疑いのある遺言書が存在する

相続手続きを自分で行うときの5つのリスク

必要書類を集めるのに時間と労力がかかる

相続人として相続手続きを行う場合、まず自身が相続人であることを証明する資料から作成しなければなりません。

そのためには、戸籍をはじめとして必要資料の収集を行う必要があります。
相続人の人数が多いと、それだけで集める資料が多数に及びますので、多大に時間と労力がかかります。

特に、預金の解約などは、一つの資料が欠けているだけでも手続きが進みませんので、思わぬ壁に阻まれないよう注意が必要です。

預金解約や不動産の名義変更などやるべきことが多い

相続手続きのために、裁判所や銀行、法務局などに何度も出向く必要が生じるケースがあります。

特に、他の相続人と遺産の取り分について意見が合わない場合には、裁判所で調停等の手続きを行って解決しなければなりません。

また、自分で相続手続きを行おうとすれば、書類の不備や不足等の指摘を受けて、改めて書類を取得して出直すことになるリスクもあります。

相続に関する多くの書類を発行している役所や裁判所、銀行、法務局等は、基本的に平日の昼間しか利用できないため、会社に勤めている方は有給休暇を取得しなければならない等の負担が生じてしまいます。

裁判所や銀行に何度も足を運ぶ必要がある

相続手続きについてインターネットや電話で行うことが可能なこともありますが、裁判所や銀行に直接足を運ばなければならないことも少なくありません。

預金している銀行が多いとそれだけでもかなりの銀行を訪問しなくてはならず、そこに資料が足りないという事態が重なると訪問自体が無駄になってしまいます。

手続きの期限に間に合わない可能性がある

相続手続きに関しては、手続ごとに期限が設けられている場合が多く、これを徒過してしまうと大きな不利益を被ります。

期限としては、具体的には、

  • 相続放棄期間(3か月以内)
  • 所得税の準申告期間(4か月以内)
  • 税務申告期間(10か月以内)
  • 遺留分侵害請求期間(1年以内)

などが存在します。

相続人でトラブルになりスムーズに進まないことがある

相続人間の関係が良好であることを前提にしても、一定の期間内に前記のような手続きを経る必要があります。

しかし、相続人間でトラブルがあるなどした場合、資料が揃わない、手続きの同意が得られないなどの理由で、何らの手続きも進まず硬直してしまうことがあります。

相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします

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相続手続きを弁護士に依頼するメリット

必要書類の収集など全ての手続きを任せられる

弁護士はご依頼者様の代わりに、さまざまな手続きに必要な書類を、必要なだけ収集・作成し、管理することができます。

例えば、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍や、相続人全員の戸籍を取得するだけでも、被相続人の転籍の回数や、相続人の人数によっては相当数が必要になります。

そこで、提出書類を返却してくれる機関を事前に確認し、計画的に手続きを行うことで、収集の手間や費用を削減することができます。

また、預貯金の解約や不動産の登記に関する手続き、相続税の申告・納付等、相続に関連して発生する様々な手続きの代行が可能です。

相続トラブルにも適切に対応できる

亡くなった方が多額の資産を有しており相続人間で争いが生じそうである、他の相続人と争いたくない、かかわりたくない場合、疎遠な相続人、協議に応じない相続人がいる場合等には、弁護士がご依頼者様の代わりに、他の相続人への連絡や遺産分割協議を行います。

また、相続人間の協議がうまくいかず、調停や審判等に発展した場合であっても、すぐに対応することができます。

他にも、相続財産の調査の結果から、行うべき手続きを整理し、手続先の各機関とのやり取りを弁護士が代行します。

ご依頼者様が手続先に何度も足を運ぶ負担がなくなるうえに、期限のある手続きもしっかり把握しているため、期限を過ぎることによる不利益が生じる心配もありません。

自分で相続手続きを進めるのが難しいと感じたら、できるだけ早めに弁護士へ相談しましょう

相続手続きには、法的な知識が必要であることに加えて、細かな手続きを行わなければならないので、自分で進めるのは難しいと感じるときがあるでしょう。

特に、他の相続人と意見が合わず、争いに発展してしまったケース等では、その争いを解決しなければ手続きを進めることが難しくなります。

状況によっては、家庭裁判所において調停等による解決が必要な場合もあるため、負担が大きくなります。

相続手続きでお困りでしたら、私たちにご相談いただければ、可能な限りサポートいたします。まずは、皆様が悩んでいることを遠慮なくご相談ください。

交通事故の示談交渉では、相手方の保険会社から「過失割合は80対20です」といった提示を受けることがよくあります。

過失割合は受け取る賠償金の額に直結するため、提示された数字をそのまま受け入れてよいかは慎重に判断する必要があります。

本記事では、過失割合を誰が決めるのか、どのような基準で決まるのか、納得できない場合にどうすればよいのかを解説します。

交通事故の過失割合を決めるのは誰?

過失割合を最終的に決めるのは裁判所です。
民法722条2項は「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と定めています。

過失相殺をするかどうか、どの程度の割合とするかは、裁判所の判断に委ねられています。
もっとも、多くの事故は訴訟に至らず示談で解決します。

示談の段階では、当事者(実際には保険会社であることが多い)が話し合い、合意によって過失割合が決まります。

なお、警察は実況見分調書などで事故状況を記録しますが、過失割合を決めてくれるわけではありません。

過失割合はどのように決まる?

過失割合は事故ごとの具体的な状況に応じて判断されます。

実務では、過去の裁判例をもとに事故の類型ごとの目安を整理した基準が用いられています。代表的なものが、『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂6版〕』(別冊判例タイムズ39号)です。

保険会社との示談交渉でも裁判でも、この基準をもとに、①基本過失割合を確認し、②修正要素を加味する、という2段階で検討するのが一般的です。

まずは基本過失割合を確認する

基本過失割合とは、事故の類型ごとに定められた、出発点となる過失割合です。
認定基準は、歩行者と車両の事故、四輪車同士の事故、自転車が関係する事故などに大きく分かれています。

さらに、交差点かどうか、信号機の有無と信号の色、道路の幅や優先関係、一時停止の規制の有無などの事情ごとに、図とともに基本過失割合が示されています。

例えば、信号待ちで停車中の車に後続車が追突した事故では、追突された側に落ち度がないのが通常です。そのため、基本過失割合は追突車100:被追突車0とされます。

認定基準に載っていない態様の事故は、道路交通法などの交通ルールに立ち返り、個別の事情に即して判断されます。どの類型に当てはまるかの判断を誤ると、その後の検討がすべてずれてしまうため、最初の確認が重要です。

過失割合の修正要素を考慮する

基本過失割合を確認したら、次に、その事故に特有の事情(修正要素)を考慮して割合を加算・減算します。主な修正要素は次のとおりです。

  • 場所・時間帯:夜間、幹線道路、住宅街・商店街など
  • 被害者の属性:歩行者が児童、高齢者である場合など
  • その他:合図(ウインカー)を出さなかった、理由なく急ブレーキをかけた、など

修正の幅も類型ごとに示されています。
ただし、修正要素に当たる事実があったかどうかは、相手方と主張が食い違いやすい点です。

ドライブレコーダーの映像や実況見分調書など、客観的な資料で事実を裏付けることが重要になります。

まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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過失割合に納得できない!決まった過失割合は修正できないの?

保険会社が提示する過失割合は、その保険会社の見解であり、確定したものではありません。示談書に署名する前であれば、事故状況を裏付ける資料を示して修正を求めることができます。

有力な資料としては、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像、目撃者の証言、実況見分調書などの刑事記録があります。
話合いで折り合いがつかない場合は、訴訟で判断を求めることも可能です。

一方、いったん示談が成立すると、後から過失割合だけを争うことは原則としてできません。署名前に十分に検討する必要があります。

過失割合を修正した事例

【事例】信号の色に争いがあった交差点事故で、過失割合0:100が認められた事例

ご依頼者様と相手方のどちらも、自分の側の信号が青だったと主張していた事故です。
言い分が食い違っていたため、相手方保険会社は過失割合を判断できないとして、治療費の支払にも応じていませんでした。

弁護士は、実況見分の際に相手方が信号の見落としを認めていたことをご依頼者様から聞き取りました。

これを相手方保険会社に伝え、相手方本人への確認を繰り返し求めた結果、ご依頼者様0:相手方100の過失割合が認められました。

まずは弁護士にご相談ください

過失割合が1割違うだけでも、受け取る賠償金の額は大きく変わります。

例えば損害額が1000万円の場合、過失割合が1割変われば、賠償額も100万円変わります。保険会社は示談交渉に慣れていますが、その提示が被害者にとって適切なものとは限りません。

弁護士に依頼すれば、事故状況に関する資料を集めて分析し、認定基準や裁判例に照らして適切な過失割合を主張することができます。
保険会社とのやり取りを弁護士に任せられるため、精神的な負担の軽減にもつながります。

ご加入の自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、費用の負担を抑えて依頼できる場合があります。

過失割合に疑問を感じたら、示談書に署名する前に、まずは弁護士にご相談ください。

配偶者やパートナーからの暴力(DV)に苦しんでいる方の中には、恐怖で身動きが取れず、誰にも相談できないまま孤立してしまうケースが少なくありません。
しかし、法律には被害者の安全を確保するための強力な手段として「保護命令」という制度が用意されています。

本記事では、保護命令の中でも主要な「接近禁止命令」について、その仕組みや効力、申し立てを行うための具体的な手順や費用、注意点について詳しく解説します。

接近禁止命令とは?

接近禁止命令とは、配偶者暴力防止法(DV防止法)に基づき、裁判所が加害者に対して、被害者の身辺につきまとったり、住居や勤務先等の付近を徘徊したりすることを禁止する命令です。

この命令が発令されると、加害者は被害者に近づくことができなくなるため、被害者は物理的な距離を確保し、身の安全を守ることが可能となります。
2024年4月の法改正により、命令の有効期間は従来の6か月から1年間へと伸長されました。

違反した場合

接近禁止命令は、裁判所による強力な命令であり、これに違反した場合には刑事罰が科されます。
具体的には、2年以下の拘禁刑(懲役)又は200万円以下の罰金という重い刑罰が規定されています(DV防止法第29条)。

警察も保護命令の発令事実を把握しているため、加害者が命令に違反して接近してきた場合、被害者が110番通報をすれば、警察は現行犯逮捕を含む迅速な対応をとることができます。

接近禁止命令が出る条件

接近禁止命令が発令されるためには、主に以下の2つの要件を満たす必要があります。

第一に、配偶者(事実婚や生活の本拠を共にする交際相手を含む)から身体に対する暴力を受けたこと、又は生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫されたことです。

第二に、今後も加害者からの暴力等により、被害者の生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと認められることが必要です。

接近禁止命令以外の申し立てておくべき保護命令

電話等禁止命令

加害者が被害者に対して、面会を強要したり、無言電話をかけたりする行為を禁止する命令です。

電話だけでなく、メールやSNS等の連続送信、ファックスの送信、緊急時以外の深夜早朝の連絡も対象となります。
また、法改正により、GPS機器を用いて被害者の位置情報を取得する行為や、その位置情報を監視している旨を告げる行為についても禁止の対象として追加されました。期間は1年間です。

子への接近禁止命令

加害者が、被害者と同居している未成年の子どもを連れ戻すと疑わせる言動を行っている場合など、子どもを利用して被害者に面会を強要することを防ぐための命令です。

加害者に対し、子どもの身辺につきまとったり、学校や住居の付近を徘徊したりすることを禁止します。
期間は1年間ですが、子どもが15歳以上の場合は、その子ども自身の同意が必要となります。

親族等への接近禁止命令

加害者が、被害者の実家の両親や親族等の住居に押し掛け、著しく粗野な言動を行っている場合などに発令されます。

親族等を介して被害者に接触を迫ることを防ぐための命令です。
対象となるのは、被害者の親族や、被害者が社会生活を営む上で密接な関係にある者です。

この命令の発令には、対象となる親族等本人の同意が必要となります。期間は1年間です。

退去命令

被害者と加害者が同居している場合において、被害者が住居から転居する準備期間を確保するために、加害者に対して住居からの退去及び住居付近の徘徊禁止を命じるものです。

接近禁止命令とは異なり、この命令の効力は2か月間と短期間に設定されています。
被害者が安全に別居を開始するための、一時的かつ緊急的な措置として位置づけられています。

接近禁止命令の申立ての流れ

①DVセンターや警察への相談

接近禁止命令を申し立てる前には、原則として配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)や警察署へ相談に行く必要があります。
これは、裁判所への申立ての際に、事前に公的機関へ相談した事実を記載する必要があるためです。

相談時には、暴力の内容や経緯を具体的に伝え、相談証明書を発行してもらうか、相談日時や担当者名、相談番号などを正確に控えておくようにしてください。

相談実績がない場合

DVセンターや警察への相談実績がない場合でも、接近禁止命令の申立て自体は可能です。
しかし、この場合には公証役場で「宣誓供述書」を作成し、申立書に添付しなければなりません。

宣誓供述書とは、被害事実について公証人の前で真実であることを宣誓し、書面化したものです。
作成には別途費用と手間がかかるため、緊急時を除いては、事前に公的機関へ相談しておくことが推奨されます。

②裁判所に申立てを行う

申し立てができるのは本人だけ

保護命令の申立てを行うことができるのは、DVの被害を受けている本人に限られます。

親族や友人が代理で申し立てることはできません。
ただし、弁護士を代理人として選任し、手続きを一任することは可能です。

申立先

申立てを行う裁判所は、地方裁判所です。管轄は、「相手方(加害者)の住所地」、「被害者(申立人)の住所地又は居所地」、あるいは「DV被害が発生した場所」を管轄する地方裁判所のいずれかになります。

被害者がすでに避難しており、避難先の住所を知られたくない場合は、DV被害が発生した場所や相手方の住所地を管轄する裁判所を選択することも一般的です。

必要書類

申立てには、主に以下の書類が必要です。

  • 保護命令申立書:請求の趣旨や原因(暴力の事実等)を記載したもの。
  • 証拠書類:医師の診断書、怪我の写真、暴力の経緯を記した陳述書、脅迫メールの写し等。
  • 戸籍謄本及び住民票:当事者の関係や住所を証明するため。
  • 相談等の事実を証明する資料:DVセンターや警察への相談記録等。これらは正本と副本(相手方送付用)の2部を用意する必要があります。

申立てに必要な費用

申立てにかかる主な費用は以下の通りです。

  • 申立手数料:1,000円(収入印紙で納付)
  • 予納郵便切手:数千円程度(裁判所により異なりますが、概ね2,000円~3,000円程度です)
    これ以外に、戸籍謄本等の取得実費がかかります。弁護士に依頼する場合は、別途弁護士費用が必要です。

③口頭弁論・審尋

申立書が受理されると、裁判官による面接(審尋)が行われます。
通常、迅速性を期すため、申立人(被害者)への審尋が即日または数日中に行われます。

その後、相手方(加害者)への審尋も行われますが、被害者と顔を合わせることがないよう、期日をずらすなどの配慮がなされます。
裁判官は双方の言い分を聞き、証拠を確認した上で、保護命令を発令するかどうかを判断します。

④接近禁止命令の発令

要件が満たされていると判断された場合、裁判所は速やかに接近禁止命令を発令します。

命令書は、申立人と相手方の双方に送達されるとともに、管轄の警察署にも通知されます。
これにより、万が一相手方が命令に違反した場合には、警察が即座に対応できる体制が整います。申立てから発令までの期間は事案によりますが、早ければ1週間から2週間程度です。

接近禁止命令における注意点

発令されるためにはDVの証拠が必要

裁判所が命令を出すためには、客観的な証拠が極めて重要です。
単に「怖い」という主観的な訴えだけでは認められにくいのが実情です。

医師の診断書(受傷日時や原因が明記されたもの)、暴力を受けた患部の写真、暴言や脅迫が録音されたデータ、具体的な被害日時や状況を記録した日記などが有力な証拠となります。
証拠が不十分な場合は、陳述書で詳細かつ具体的に被害状況を説明する必要があります。

相手に離婚後の住所や避難先を知られないよう注意

申立書や添付書類には、申立人の現住所が記載されます。そのまま相手方に副本が送達されると、避難先が知られてしまう危険があります。

これを防ぐためには、申立てと同時に「秘匿決定」の申立てや「閲覧制限」の申立てを行う必要があります。これにより、相手方に送られる書類上の住所を黒塗りする等の措置をとることができ、居場所を隠したまま手続きを進めることが可能です。

モラハラは対象にならない

いわゆる「モラルハラスメント(モラハラ)」については注意が必要です。

無視や人格否定などの言葉の暴力は精神的に辛いものですが、法改正により精神的暴力も対象に含まれたとはいえ、そのハードルは依然として高いものです。

単なる性格の不一致や不仲、軽度の嫌がらせ程度では、保護命令の要件である「生命又は心身に重大な危害を受けるおそれ」とは認められにくい傾向にあります。

モラハラで申立てを行う場合は、それが自由を著しく制限し、恐怖を感じさせるレベルであることを立証する必要があります。

接近禁止命令に違反した場合の対処法

接近禁止命令が発令されているにもかかわらず、相手方がつきまとったり、自宅付近を徘徊したりした場合は、直ちに最寄りの警察署へ通報してください。

保護命令違反は犯罪ですので、警察は加害者を現行犯逮捕することができます。
また、通報の際には「裁判所から接近禁止命令が出ていること」を明確に伝えると、警察も事態の緊急性を把握しやすくなり、迅速な対応が期待できます。

身の安全を最優先に行動してください。

接近禁止命令に関するQ&A

接近禁止命令の期間を延長したい場合はどうしたらいいですか?

接近禁止命令の有効期間(1年間)が満了した後も、依然として加害者からの被害を受けるおそれが高い場合には、再度申立てを行うことで命令を得ることができます。
ただし、これは自動的な「延長」ではなく、あくまで「再度の申立て」という扱いになります。

そのため、前回の命令発令後にどのような事情変更があったか、現在もなお生命や身体等に重大な危害を受けるおそれが継続しているかについて、改めて主張・立証する必要があります。

接近禁止命令はどれくらいの距離が指定されるのでしょうか?

接近禁止命令では、「半径〇メートル以内」といった具体的な距離が数値で指定されることは一般的ではありません。

命令の内容は「住居、勤務先その他通常所在する場所の付近を徘徊してはならない」というものであり、この「付近」が具体的にどの範囲を指すかは、現場の状況や社会通念によって判断されます。
一般的には、相手を視認できる距離や、大声を出せば届く距離などが該当すると考えられています。

離婚後でも接近禁止命令を出してもらえますか?つきまとわれて困っています。

はい、離婚後であっても接近禁止命令を申し立てることは可能です。
DV防止法は、婚姻中の暴力だけでなく、離婚後に元配偶者から受ける暴力や脅迫についても保護の対象としています。

過去の婚姻期間中に暴力を受け、離婚後も引き続き生命や身体に危害を受けるおそれがある場合は、元配偶者を相手方として申立てを行うことができます。

DVで接近禁止命令を申し立てる際は弁護士にご相談ください

接近禁止命令は、DV被害者の命と生活を守るための非常に有効な法的手段です。

しかし、申立てには迅速な証拠収集や、裁判所を納得させるための法的な主張構成が求められます。
また、相手方に住所を知られないようにするための配慮も欠かせません。

弁護士に依頼することで、申立書の作成や証拠の整理、裁判所での面談への同行など、全面的にサポートを受けることができます。一人で抱え込まず、まずは弁護士にご相談ください。

遺言書を残すのであれば公正証書遺言がよい、という話を耳にされたことがあるかもしれません。

もっとも、公正証書遺言とはどのようなものなのか、どのようなメリット・デメリットがあるのか、完成までにどのような手順を踏むのかまでご存じの方は、それほど多くないように思われます。

この記事では、公正証書遺言の仕組みから、作成の流れ、費用、注意していただきたい点まで、弁護士が順を追って解説します。遺言書の作成をお考えの方は、ぜひご参考になさってください。

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、遺言の内容を「公正証書」という公文書の形で残す遺言書です。

公証役場において、遺言者本人、2人以上の証人、公証人が立ち会い、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で伝え(口授といいます)、これを受けて公証人が公正証書を作成します(民法969条1項1号・2号)。

ご自身で全文を書く自筆証書遺言とは異なり、文面を作るのは公証人であり、完成した原本は公証役場で保管されます。
なお、令和7年10月1日からは作成手続のデジタル化が図られています。

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言のメリットは、大きく分けて3つあります。

いずれも、遺言書が形式の不備で無効になったり、死後に見つからなかったりする事態を避けるうえで、小さくない意味を持ちます。

紛失、偽造、変造のおそれがない

公正証書遺言は、公証人が公的な証明書等によって本人確認を行ったうえで文面を作成し、その原本を公証役場が保管します。

そのため、ご本人以外の方が勝手に作り上げる偽造や、作成後に第三者が書き換える変造のおそれは、まず考えにくいといえます。

お手元の正本や謄本を紛失してしまっても、原本が残っている以上、遺言の効力に影響はなく、再交付を受けることもできます。

これに対し、自筆証書遺言は、保管の方法によっては紛失や書換えのリスクを避けにくい面があります。

遺言書開封時の検認手続きが不要

自筆証書遺言や秘密証書遺言は、保管者や発見した相続人が家庭裁判所に提出して「検認」を受けなければなりません(民法1004条1項)。

検認とは、遺言書の形状や加除訂正の状態などを確認し、その後の偽造・変造を防ぐための手続です。

これに対して、公正証書遺言にはこの規定が適用されず(同条2項)、相続開始後すみやかに預貯金の解約や不動産の名義変更に進むことができます。

この差は、決して小さくありません。

自筆できない人でも作成できる

自筆証書遺言は、財産目録を除き、全文・日付・氏名を遺言者が自書しなければならず(民法968条1項)、本文の代筆は認められていません。

そのため、ご高齢や病気で手が思うように動かない方にとっては、そもそも作成が難しいことがあります。

公正証書遺言であれば、文面を作成するのは公証人ですので、自書が難しい方でも遺言を残すことが可能です。

署名についても代わりの措置が用意されていますので、署名ができないことだけを理由に諦める必要はありません。

公正証書遺言のデメリット

もっとも、公正証書遺言にも負担となる面はあります。ここでは、実際にご相談をお受けする中で、ご負担に感じられることの多い2点を取り上げます。

いずれも、あらかじめ見込んでおけば慌てずに済むものですので、作成をご検討の段階で確認しておきましょう。

作成に時間や費用がかかる

公正証書遺言は、思い立ってすぐに作れるものではありません。

財産と相続人に関する資料をそろえ、公証人と文案のやり取りを重ね、遺言者・証人・公証人の日程を合わせる必要があるため、完成までに数週間から数か月かかることも珍しくありません。

費用面でも、財産の価額に応じた公証人手数料がかかり、財産の合計額が1億円以下の場合には1万3000円の遺言加算も生じます(公証人手数料令9条、19条)。

金額は事前にご確認ください。

2名以上の証人が必要となる

公正証書遺言の作成には、2人以上の証人の立会いが必要です(民法969条1項1号)。

しかも、誰でも証人になれるわけではなく、①未成年者、②推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者・直系血族、③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人は、証人になることができません(民法974条)。

財産を受け取るご家族やそのご家族は②に当たってしまいますので、実際にはご友人や知人にお願いすることになりますが、遺言の内容を知られることになるため、頼みにくいと感じられる方も少なくありません。

心当たりがない場合には、公証役場に紹介を依頼することもできますが、その場合には別途費用がかかります。

公正証書遺言を作成する流れ

公正証書遺言は、①遺言に残したい内容をメモにまとめる、②必要書類を集める、③2人以上の証人を手配する、④公証人と文案のやり取りをして日程を調整する、⑤当日、証人立会いのもとで内容を確認し、公正証書を完成させる、という順序で作成します。

準備の大半は当日までのやり取りで済み、当日は内容の確認が中心になるとお考えいただくと分かりやすいでしょう。

以下、それぞれの段階で押さえておきたい点を解説します。

遺言書に書きたい内容のメモを作成する

まずは、どの財産を誰に引き継がせたいのかを整理し、メモの形にまとめましょう。

公証人はこのメモをもとに文案を作成しますので、書き漏らした財産があると、その部分には遺言の効力が及ばず、結局は相続人間の話合いが必要になってしまいます。

「自宅の土地建物は長男に相続させる」「預貯金は妻に相続させる」「遺言執行者は○○とする」といった形で、財産ごとに書き出していくのが分かりやすいでしょう。

このメモ自体は遺言書ではありませんので、書式に決まりはありません。

必要書類を集める

次に、遺言に残したい内容に応じた資料を集めます。

代表的なものは下表のとおりですが、必要書類は公証役場や事案によって異なりますので、事前に担当の公証人に確認し、漏れがないようにしてください。

特に戸籍謄本は、遺言者と相続人の続柄をたどるために複数の役所から取り寄せることになる場合があり、思いのほか時間がかかります。

不動産についても、登記事項証明書と固定資産評価証明書(または固定資産税納税通知書)の双方を求められるのが一般的です。

お仕事などの都合で平日の窓口に行きにくい方は、早めに着手されることをおすすめします。

内容 必要書類
遺言者本人を証明するもの 印鑑登録証明書と実印、または運転免許証・マイナンバーカード・パスポート等の顔写真付きの公的証明書と認印
相続人との続柄が分かるもの 遺言者と相続人の続柄が分かる戸籍謄本(相続人以外の方に遺贈する場合は、その方の住民票。法人の場合は登記事項証明書)
不動産がある場合 登記事項証明書(登記簿謄本)と、固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書
預貯金がある場合 通帳の写しなど、金融機関名・支店名・口座番号が分かる資料(有価証券がある場合は取引残高報告書の写し等)
証人・遺言執行者に関するもの 証人および遺言執行者の氏名・住所・生年月日・職業が分かる資料(住民票、運転免許証の写し等)

2人以上の証人を探す

証人は、遺言者が自らの意思で遺言をしたことを見届け、必要があれば後日その状況を証言する立場にあります。

次項の欠格事由に当たらない方であれば、ご友人や知人でも差し支えありませんが、遺言の内容を知られることになりますので、口の堅い、信頼できる方を選ぶことが大切です。

ご自身で見つけられない場合には、公証役場に紹介を依頼することができます。ただし、必要な費用は公証役場によって異なりますので、事前に問い合わせておきましょう。

弁護士に作成をご依頼いただいた場合には、弁護士やその事務所の関係者が証人を務められることも多く、証人探しのご負担を軽くできる場合があります。

誰に頼むかは、遺言の内容を誰に知られてもよいかという観点からもご検討ください。

証人になれない人

民法974条は、①未成年者、②推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族、③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人を、遺言の証人になることができない者と定めています。

①は遺言の内容を的確に理解することが期待しにくいため、②は遺言の結果について利害関係を持つため、③は公証の公正さを保つため、というのがその理由です。

財産を受け取る予定のお子様やその配偶者は②に当たりますので、証人にはなれません。

欠格事由のある方が証人として立ち会った場合には、遺言そのものが無効と判断されるおそれがありますので、人選にあたっては慎重にご検討ください。

判断に迷われる場合には、公証役場や弁護士にご確認いただくのが安全です。

証人と一緒に公証役場に行き、遺言書を作成する

準備が整えば、あとは遺言者と証人2人が公証役場に出向き、公証人の面前で作成するだけです。

当日は、公証人が本人確認を行ったうえで、遺言者が遺言の趣旨を口頭で伝え、公証人が作成した公正証書を読み聞かせるか閲覧させ、内容が正確であることの承認を得たうえで、列席者が署名をします(公証人法40条)。

事前のやり取りが済んでいれば、当日の所要時間は30分から1時間程度であることが一般的です。

遺言書を作成する公証役場はどこ?

公証役場はどこを選んでも構いません。
ただし、ご高齢の方が多いことを考えると、通いやすい場所を選ぶのが無難です。

公証人に出張を依頼する場合には、訪問先と同じ都道府県内の公証役場に依頼する必要があります。

公正証書遺言の作成が困難なケースと対処法

体調や障害の事情から、公正証書遺言を作ることは難しいのではないかとご心配される方がいらっしゃいます。もっとも、法律上は対応する仕組みが用意されています。

代表的な3つの場面をご説明します。

言語機能や聴覚に障害がある場合

口がきけない方であっても、公証人と証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳によって申述するか、自ら書いて示すことにより、口授に代えることができます(民法969条の2第1項)。

また、聴覚や言語機能などの障害のために音声で意思疎通を図ることが難しい場合には、公証人が通訳人に通訳をさせることとされています(公証人法29条)。

もっとも、身振りだけで作成された遺言が無効とされた裁判例もありますので、どのような方法によるかを事前に公証役場と詰めておくことが欠かせません。

署名できない場合

病気やけが、加齢などの理由で署名ができない場合であっても、そのことだけで公正証書遺言を諦める必要はありません。

公正証書の内容を承認した列席者は、署名またはこれに代わる措置を講じることとされており(公証人法40条5項)、従前から、署名ができない事情がある場合には、公証人がその事由を付記して署名に代える運用が行われてきました。

具体的な取扱いは事案によって異なりますので、当日になって慌てることのないよう、あらかじめ公証役場にご相談ください。

公証役場に行けない場合

入院中である、体調が優れないなどの理由で公証役場に行けない場合には、公証人にご自宅や病院、施設まで出張してもらうことができます。

この場合には、病床執務加算として手数料が1.5倍になるほか、日当(1日2万円、4時間までは1万円)と交通費の実費がかかります。また、公証人は他の都道府県には出張できませんので、訪問先と同じ都道府県内の公証役場に依頼する必要があります。

さらに、令和7年10月1日からは、嘱託人の申出があり公証人がこれを相当と認めるときは、映像と音声を送受信するウェブ会議の方法によって手続を行うことも可能となりました(公証人法37条2項、40条3項)。

もっとも、実際の運用は公証役場によって異なりますので、利用できるかどうかは事前にご確認ください。

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公正証書遺言の作成を弁護士に依頼するメリット

公正証書遺言の作成は、行政書士や司法書士にも依頼することができますが、弁護士にご依頼いただく場合には、次のような利点があります。

遺言の中身にまで踏み込んだ検討ができる点が、最も大きな違いといえるでしょう。

遺言内容の相談ができる

公証人は、方式の不備によって遺言が無効になることを防ぐという立場から関与しますので、「どう書けば争いを防げるか」「この分け方で遺留分は大丈夫か」といった中身の相談に応じてくれるわけではありません。

弁護士であれば、ご希望を伺ったうえで、遺留分への配慮や、後日争いの種になりやすい財産の扱いについて助言し、必要な条項を盛り込んだ文案をご提案できます。

もっとも、どのような遺言であっても争いを完全に防げるわけではない点は、あらかじめご理解ください。

書類準備などの手間が省ける

公正証書遺言の作成には、戸籍謄本や不動産の登記事項証明書など、複数の役所から取り寄せる書類が必要になります。

弁護士であれば、これらの取得をまとめて進めることができますので、ご本人のお手間を相当程度省くことができます。

もっとも、預貯金の通帳の写しのように、ご本人でなければご用意いただけない資料もありますので、その部分についてはご協力をお願いすることになります。

遺言執行者として選任できる

遺言者は、遺言によって遺言執行者を指定することができます(民法1006条1項)。

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権利義務を有しますので(民法1012条1項)、相続人の協力が得られない場面でも、名義変更や預貯金の解約を進めることができます。

文案を検討した弁護士をそのまま遺言執行者に指定しておけば、遺言の趣旨を踏まえた手続が期待でき、ご家族のご負担も軽くなります。

指定がない場合には、家庭裁判所に選任を求めることになります。

任意後見契約を結ぶことができる

遺言は亡くなった後のことを定めるものですので、ご存命中に判断能力が低下した場合の備えにはなりません。そこで併せてご検討いただきたいのが任意後見契約です。

これは、判断能力が十分なうちに、将来の財産管理や生活・療養看護に関する事務を任せる方をあらかじめ決めておく契約であり、公正証書によらなければならないとされています(任意後見契約に関する法律3条)。

遺言書と同じ機会に作成しておけば、手続のご負担を抑えることができます。

公正証書遺言に関するQ&A

最後に、公正証書遺言について、ご相談の際によくいただくご質問にお答えします。

いずれも、作成前に押さえておいていただきたい点ですので、ご参考になさってください。

公正証書遺言にすれば確実に効力がありますか?

方式の不備を理由として無効となることは考えにくく、その意味では自筆証書遺言よりも確実といえます。もっとも、「絶対に有効」と言い切ることはできません。

公証人が確認するのはあくまで方式であり、遺言をした時に遺言者に遺言能力があったか(民法963条)、口授が実質的にあったといえるか、内容が公序良俗に反しないかといった点は、別途問題になり得るからです。

実際にも、認知症が疑われる状況で作成された遺言について、後日その効力が争われる例は少なくありません。

ご心配な事情がある場合には、作成時に医師の診断書を残しておくなど、あらかじめ備えておくことをおすすめします。

一度作成した公正証書遺言の内容を変更することはできますか?

変更できます。

遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その全部または一部を撤回することができ(民法1022条)、新しい遺言が前の遺言と抵触する場合には、その部分は後の遺言によって撤回したものとみなされます(民法1023条1項)。

もっとも、公正証書の原本は公証役場にありますので、お手元の正本を破棄しても撤回にはなりません。作り直す際には、最初のときと同様に、書類・証人・手数料が必要になります。

公正証書遺言があることは死亡後通知されますか?

通知されません。

公証役場が遺言者の死亡を把握する仕組みはなく、公証役場から相続人に対して遺言の存在が知らされることはありません。

そのため、せっかく作成しても、気づかれないまま遺産分割の話合いが進んでしまうおそれがあります。

遺言書を作成したことと、正本や謄本の保管場所については、信頼できるご家族や遺言執行者に伝えておくことをおすすめします。

内容までお伝えするかどうかは、ご家族の状況を踏まえてご判断ください。

遺言書を見せてもらえません。公証役場で開示請求はできますか?

遺言者が亡くなった後であれば、相続人など法律上の利害関係のある方は、公証役場に遺言の有無を照会し、謄本の交付を請求することができます。

遺言検索システムは全国どの公証役場からでも利用できますので、どこで作成されたか分からない場合でも確認が可能です。

請求には、遺言者の死亡が分かる除籍謄本、ご自身が相続人であることが分かる戸籍謄本、顔写真付きの本人確認書類などが必要です。

なお、ご存命中は、原則としてご本人と代理人しか照会できません。

公正証書遺言に関する不安、不明点は弁護士にご相談ください

公正証書遺言は、方式の不備による無効を避けられる点で優れた方法ですが、作成すれば必ず争いを防げるというものではなく、内容の検討と事前の準備が欠かせません。

どのような遺言を残すべきかお迷いの段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。

「あなたのモラハラが原因だから離婚してほしい」
――ある日突然そう告げられ、戸惑っている方は少なくありません。

思い当たる節がないのに一方的に責められた、離婚を拒みたいがどうすればよいかわからない、慰謝料や親権はどうなるのか不安だ、というご相談も多く寄せられます。

本記事では、モラハラを理由に離婚を求められた側の立場から、離婚が認められる場合と認められない場合、慰謝料や親権、別居後の婚姻費用まで、対応の要点を解説します。

モラハラを理由に離婚請求されたらどうしたらいい?

配偶者が離婚を求めたというだけで、離婚が成立するわけではありません。

日本の離婚の多くは協議離婚(民法763条)であり、双方が合意して離婚届を提出して初めて成立します。

したがって、離婚を受け入れる場合も拒否する場合も、話し合いは避けて通れません。
感情的な応酬は状況を悪化させるだけです。

相手がいつのどのような言動を問題としているのかを具体的に確認し、事実関係を整理したうえで、離婚の可否・財産分与・親権・養育費といった条件を一つずつ検討していくことが出発点になります。

そもそもモラハラとはどのような行為?

モラハラ(モラルハラスメント)とは、身体的な暴力ではなく、言葉や態度によって相手の人格を否定し、精神的な苦痛を与える行為をいいます。

人格を否定する暴言、長時間の説教、無視、交友関係の制限、生活費を渡さない経済的な締めつけなどが典型例です。

もっとも「モラハラ」という法律上の用語はなく、裁判では、その言動が民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるか、不法行為(民法709条)に当たるかという形で問題になります。

モラハラを理由に離婚できる?

離婚を拒否することは可能だけど、裁判になると…

話し合いの段階であれば、離婚を拒否すること自体は可能です。

相手が離婚調停を申し立てても、調停は話し合いの手続ですから、合意しなければ不成立となります。

しかし、その後に離婚訴訟を提起され、裁判所が法定離婚事由(民法770条1項各号)があると判断すれば、こちらが同意しなくても判決で離婚が成立します。

モラハラの事案で問題となるのは、主に同項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」です。拒否し続ければ必ず婚姻を維持できるわけではない点に注意が必要です。

モラハラで離婚が認められるケースとは

裁判で離婚が認められやすいのは、①言動が社会通念上許される範囲を超えて相手の人格を傷つけるものであり、②長期間にわたり繰り返され、③その結果として夫婦関係が修復不可能な程度に破綻していると評価できる場合です。

録音データ、日記、メールやSNSのやり取り、医師の診断書、第三者への相談記録といった客観的な証拠がそろっているほど、5号該当性は認められやすくなります。

長期間の別居が続いている場合も、破綻を裏づける事情として重視されます。

離婚が認められないケース

逆に、相手の供述以外に裏づけとなる証拠がない場合や、問題とされる言動が一時的で夫婦げんかの範囲を出ないと評価される場合には、5号該当性は否定されやすくなります。

夫婦の間には多少の衝突が当然にあり得るため、口論があったという事実だけで直ちに離婚が認められるわけではありません。

別居期間が短く、関係を修復する余地が残っていると判断される場合も同様です。

なお、専ら自らの責任で婚姻を破綻させた配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として認められにくいとされています(最高裁昭和62年9月2日大法廷判決)。

身に覚えのないモラハラ・冤罪をかけられたときの対処法

「具体例を挙げられても心当たりがない」「そんなことを言った記憶がない」というケースは少なくありません。

まず行うべきは、相手が問題としている言動について、時期や場面をできる限り特定してもらうことです。

そのうえで、当時のスケジュール、メールやSNSのやり取り、家計の記録などを突き合わせ、事実に反する部分を具体的に指摘できるよう準備します。

感情的に否認を繰り返すだけでは、かえって「反省がない」と評価されかねません。

「その日は出張で不在だった」「生活費は毎月この金額を渡していた」というように、資料に基づいて冷静に反論することが重要です。

また、やり取りを一方的に打ち切ることも不利に働きかねません。連絡は記録の残る形で行い、証拠を保全しておきましょう。

モラハラの事実が認められた場合、慰謝料は発生するのか?

モラハラが不法行為(民法709条)に当たると判断されれば、精神的損害に対する慰謝料(民法710条)を支払う義務が生じます。

金額は、行為の内容・頻度・期間、相手の心身に与えた影響、婚姻期間などを総合して判断され、一般的にはおおむね50万円から300万円程度が目安とされています。

もっとも、悪質性が高く長期間に及ぶ事案ではより高額になることもあれば、証拠が乏しい事案では大幅に減額され、請求自体が認められないこともあります。

相手の請求額をそのまま受け入れる必要はありません。

モラハラで離婚したら親権はどちらがとる?

令和8年4月1日に施行された改正民法により、離婚後の親権は、父母の双方を親権者と定めること(共同親権)も、一方のみと定めることもできるようになりました(民法819条1項)。

協議が調わない場合は、家庭裁判所が子の利益の観点から定めます(同条2項)。
ただし、「双方が親権を持つこと」と「どちらが子と暮らすか」は別の問題です。

共同親権となった場合でも、子と同居して世話をする監護者は別に定められ、日常の行為や急迫の事情があるときは親権を単独で行使できます(民法824条の2)。

誰が子と暮らすかは、これまでの監護の実績、子の年齢や意思、生活環境の安定性などから判断されます。

なお、子の心身に害悪を及ぼすおそれがあるときや、一方が他方から暴力等を受けるおそれがあり共同での行使が困難なときは、単独親権としなければなりません(民法819条7項)。

あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います

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相手が別居することを選んだら

離婚の話し合いが続く中で、相手が別居を選ぶことは珍しくありません。
別居後には、生活費や子どもをめぐる問題が新たに生じます。

婚姻費用を請求される可能性がある

夫婦は互いに扶助する義務を負い(民法752条)、婚姻から生ずる費用を分担しなければなりません(民法760条)。

別居しても婚姻関係が続く以上この義務は残るため、収入の多い側は、別居した配偶者から生活費(婚姻費用)を請求される可能性があります。

これは双方の収入差によって決まるものであり、どちらがモラハラをしたかで当然に決まるわけではありません。

したがって、妻のモラハラに耐えかねて夫が家を出た場合でも、妻の方が収入が多ければ、夫の側から請求することができます。金額は裁判所の算定表を基準に定められます。

子供を連れて別居された場合

突然子どもを連れて出て行かれても、実力で連れ戻す行為は避けてください。
かえって不利に評価されるうえ、事案によっては刑事上の問題となるおそれもあります。

とるべき手続は、家庭裁判所に対する子の監護者の指定および子の引渡しを求める調停・審判の申立てです(民法766条参照)。

緊急性が高い場合には、審判前の保全処分を申し立てることもできます。あわせて、これまで自分が子の世話をどのように担ってきたかを示す資料を整理しておきましょう。

現状が既成事実化しやすい分野ですので、早期のご相談をおすすめします。

モラハラによる離婚請求に関するQ&A

私の親族のモラハラが原因で、妻から離婚請求されました。親族のモラハラは、離婚理由になるのでしょうか?

親族の言動それ自体が、直ちにあなたの離婚原因になるわけではありません。

もっとも、配偶者が親族から継続的に人格を否定する言動を受け、その結果として夫婦関係が破綻したといえる場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に当たると判断されることがあります。

特に、事情を知りながら何ら対応せず、配偶者を守らなかったと評価される場合には、あなた自身の問題として不利に扱われかねません。

親族と距離を置く、同居を解消するなど、具体的な改善策を示すことが有効です。

私からのモラハラを訴え別居した夫が不倫したようです。離婚が回避できないならせめて慰謝料をもらいたいのですが可能ですか?

別居後の交際であっても、その時点で夫婦関係がまだ破綻していなかったと評価できる場合には、不貞行為として、配偶者および交際相手に慰謝料を請求できます(民法709条)。

他方、すでに破綻した後の交際と判断されれば、請求は認められにくくなります。実務では、別居に至った経緯、別居期間の長さ、別居中の交流状況などから破綻の有無が判断されます。証拠の確保が重要です。

なお、あなた自身のモラハラが認定される場合には、双方の慰謝料が併せて考慮されることもあります。

モラハラを理由に離婚を請求されていますが、嫌なら都度言ってくれればいいのにいきなり離婚なんて納得いきません。離婚を拒否できませんか?

話し合いの段階で離婚を拒否することは可能で、相手が調停を申し立てても、合意しなければ離婚は成立しません。

ただし、訴訟に進み、裁判所が法定離婚事由(民法770条1項5号)を認めれば、拒否していても判決で離婚となります。

「その都度指摘されなかったから改善できなかった」という事情は、破綻の程度を判断するうえで考慮され得ますが、それだけで相手の請求が退けられるとは限りません。

関係の修復を望むのであれば、具体的な改善の姿勢を行動で示していくことが重要です。

モラハラが原因で離婚請求をされたら、弁護士に相談することで解決に繋がる場合があります

モラハラを理由とする離婚請求では、「どの言動が」「どの程度」問題とされているのかを整理し、証拠に基づいて反論できるかどうかが結論を大きく左右します。

弁護士にご依頼いただければ、相手の主張の当否を法的に評価したうえで、離婚の可否、慰謝料、親権、婚姻費用といった条件について、見通しを踏まえた交渉を進めることができます。

相手との直接のやり取りから解放されること自体も、負担の軽減につながります。まずはお早めにご相談ください。

交通ルールを守って安全運転を心がけていても、相手の一方的な過失によって事故に巻き込まれてしまうことがあります。

こうした「もらい事故」では、被害者に過失がないために、自分が加入する保険会社が示談交渉を代行できず、被害者自身が相手方保険会社と直接交渉しなければなりません。

その結果、交渉に不慣れな被害者が本来受け取れるはずの賠償額を得られないまま、泣き寝入りしてしまうことも少なくありません。

本記事では、もらい事故で泣き寝入りしないためのポイントと、弁護士に相談するメリットを解説します。

もらい事故とはどんな事故?

もらい事故とは、被害者に一切の過失がない交通事故のことをいいます。

通常の交通事故では双方に過失が認められることが多く、「8対2」「7対3」といった過失割合が問題になります。

これに対し、もらい事故は、過失割合が被害者0対加害者10となる事故を指します。

具体的には次のようなケースが典型例です。

  • 赤信号で停止中に、後方から追突された
  • センターラインを越えてきた対向車に衝突された
  • 駐車場に停めていた車にぶつけられた

いずれも、交通ルールを守っていた被害者が、加害者の一方的な過失によって巻き込まれた事故です。

落ち度がない一方で、次に述べるとおり、示談交渉を自分で行わなければならないという特有の難しさがあります。

もらい事故は自分で保険会社と示談交渉する必要がある

双方に過失がある通常の事故では、加害者側・被害者側それぞれの保険会社が、当事者に代わって示談交渉を行うことがあります。
しかし、もらい事故では、被害者側の保険会社は示談交渉を代行できません。

被害者に過失がない場合、その保険会社は賠償金を支払う立場にないため、示談交渉の代行は「他人の法律事務」に当たり、弁護士法第72条が禁止する非弁行為に該当する恐れがあるからです。

同条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことなどを業とすることを禁じています。そのため、もらい事故の被害者は、原則として自分で相手方保険会社と交渉しなければなりません。

もらい事故の被害者が泣き寝入りしやすい理由

もらい事故で被害者が泣き寝入りしやすいのは、被害者自身が交渉の矢面に立たざるを得ないからです。

相手方保険会社は日々多数の示談を行うプロであり、交通事故に関する知識量も被害者とは大きく異なります。

専門用語を交えて説明されると、提示額に疑問があっても「そういうものなのか」と受け入れてしまいがちです。

しかし、相手方保険会社も営利企業であり、支払う賠償金はできるだけ抑えようとするため、提示額が必ずしも適正とは限りません。

こうした構造的な不利さが、泣き寝入りに繋がります。

被害者が泣き寝入りしないためのポイント

もらい事故で泣き寝入りをしないためには、事故直後からの対応が重要です。
ここでは、被害者が押さえておきたい4つのポイントを解説します。

警察と保険会社に連絡する

事故が起きたら、まず警察に連絡します。

道路交通法第72条は、交通事故があった場合、運転者に対して負傷者の救護や道路上の危険防止の措置を義務づけるとともに、事故の日時・場所などを警察官に報告することを義務づけています。

警察へ届け出ることで交通事故証明書が発行され、これはのちの賠償請求に欠かせない書類となります。あわせて、自分が加入している保険会社にも必ず連絡しましょう。

もらい事故でも、弁護士費用特約や人身傷害保険など、自分の保険を利用できる場合があるためです。

ドライブレコーダーの映像を確保する

もらい事故であっても、事故状況について被害者と相手方保険会社の主張が食い違うことは少なくありません。

相手方保険会社が専門用語を用いて、本来0であるはずの被害者の過失割合を「1対9」などと主張してくる可能性も否定できません。
こうした場面で強力な証拠となるのが、ドライブレコーダーの映像です。

事故の瞬間が記録されていれば、事故の態様を客観的に示すことができ、不当な過失割合を正しく修正できる可能性が高まります。

映像は上書きで消えることがあるため、事故後はできるだけ早く保存しておきましょう。

事故後は早めに病院を受診する

事故と怪我との因果関係を明らかにするためにも、軽微に思える場合でも、事故後はできるだけ早く医療機関を受診しましょう。

あわせて、警察に人身事故として届け出ておくことも、適切な賠償を受ける上で重要です。

弁護士に相談する

もらい事故では被害者が一人で交渉しなければならないからこそ、早い段階で弁護士に相談することが有効です。

弁護士に相談すれば、請求できる損害の項目や賠償額の相場を踏まえて、相手方保険会社の提示額が適正かどうかを判断してもらえます。

また、適切な治療の受け方や、後遺障害が残った場合の等級認定手続についてもアドバイスを受けられます。

相談を無料で受け付けている法律事務所も多いため、まずは一度、専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。

まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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もらい事故で弁護士に依頼するメリット

実際に弁護士へ依頼すると、主に次の2つの大きなメリットがあります。

賠償金が増額する可能性がある

交通事故の損害賠償額の算定には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの基準があり、金額はおおむね「自賠責基準≦任意保険基準<弁護士基準」の順に高くなります。

自賠責基準は被害者救済のための最低限の補償、任意保険基準は各保険会社が独自に定める非公開の基準です。

これに対し、過去の裁判例をもとにした弁護士基準は、被害者が本来受け取るべき水準といえ、最も高額になります。

もっとも、弁護士基準は弁護士が交渉に介入して初めて用いることができるため、依頼することで賠償金の増額が見込めます。

示談交渉などすべて任せることができる

弁護士に依頼すれば、相手方保険会社との示談交渉をすべて任せることができます。

被害者本人が交渉すると経験や知識の差から不利になりがちですが、弁護士は法的紛争のプロとして、相手方保険会社に臆することなく事実を主張・立証します。

「被害者なのだから、相手方保険会社も親身に助言してくれるはず」と考えられる方もいますが、相手方保険会社はあくまで加害者側の立場であり、親身に助言してくれることはほとんどございません。

交通事故に精通した弁護士に任せることで、精神的な負担から解放され、被害者にとって最適な賠償請求が可能になります。

弁護士費用特約に加入していれば費用の心配なく依頼できる

弁護士への依頼をためらう理由として多いのが費用の心配ですが、「弁護士費用特約」に加入していれば、その多くは解消できます。

自分が加入する保険会社が弁護士費用を負担してくれる特約です。一般的には、法律相談料は10万円まで、弁護士費用は1事故あたり300万円まで補償されます。

もらい事故の賠償額の多くはこの範囲に収まるため、実質的な自己負担なく依頼できるケースがほとんどです。しかも、この特約を利用しても、自動車保険の翌年度の等級(保険料)には影響しないことが一般的です。

仮に特約がない場合でも、もらい事故のように過失がない事案では、増額分が弁護士費用を上回り、費用倒れにならないことも多くあります。

まずは特約の有無を確認したうえで弁護士に相談してみましょう。

もらい事故で泣き寝入りしないためにも早めに弁護士にご相談ください

もらい事故に遭うと、突然のことでショックを受け、何も手につかなくなってしまうかもしれません。

しかし、被害者に過失がないもらい事故だからこそ、対応を誤ると本来受け取れるはずの賠償を得られず、泣き寝入りに終わるおそれがあります。

もらい事故で相手方保険会社と示談交渉できるのは、被害者本人か弁護士だけです。

早めに弁護士に相談すれば、適切な治療や後遺障害の手続についてのアドバイスを受けられるほか、弁護士が交渉に入ることで賠償額の増額も見込めます。

弁護士費用特約がなくても、もらい事故では受け取れる賠償額や増額分が弁護士費用を上回る可能性が高いといえます。

弁護士法人ALG&Associatesは交通事故の被害者救済に注力しております。
もらい事故でお悩みの際には、泣き寝入りをする前に、どうぞお早めにご相談ください。

盗撮事件は、被害者が存在する刑事事件であるため、被害者が非常に重要となります。
示談をしておかないと、検察官に起訴される可能性が高くなります。

このように、「事件の当事者である被害者との和解を意味する示談の成立は、後の刑事処分に大きな影響を与える」、ということは想像できるものの、具体的にどのような影響を与えるのかはわからないという方も多いでしょう。

そこで本記事では、盗撮で示談するメリットや盗撮で示談しないとどうなるのかという点について、詳しく解説していきます。盗撮で示談する場合の流れについても詳しく解説していきますので、ぜひご参考になさってください。

盗撮で示談する3つのメリット

刑事事件における示談とは、事件の当事者である被害者と加害者が話し合いによって和解することを指します。

話し合いだけでは当然和解できないため、被害相当額を金銭で弁償することや深い謝罪を伝えることに加え、再犯防止に向けた取り組みなどを具体的に示すことによって、被害者から赦しを得ることになります。

示談が成立することで、後に判断される刑事処分が軽くなる可能性が高まります。
具体的には、次の3つのメリットを得ることができます。

  • 1 不起訴の可能性が高まる
  • 2 釈放の可能性が高まる
  • 3 民事事件も解決できる

それでは、それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。

①不起訴の可能性が高まる

被害者との示談成立の有無は、検察が被疑者の刑事処分を判断するうえでもっとも重要視するポイントといっても過言ではありません。

不起訴とは、検察が被疑者に対して「刑事裁判にかける必要はない」と判断することをいいます。
刑事裁判にかけられないということは、処罰されないことを意味するため、前科がつくことはありません。

被害者が加害者である被疑者に対して、処罰を求める感情がないことを示す示談の成立は、不起訴の可能性を大きく高めます。

不起訴となれば、直ちに身柄拘束が解かれ、日常の生活に戻ることができます。
そのため、不起訴を獲得したい場合には、できるだけ早く被害者との示談交渉を進めることが重要です。

②釈放の可能性が高まる

被害者との示談成立は、釈放の可能性も大きく高めます。

盗撮で逮捕された場合、逮捕から3日間(72時間)は捜査機関の取り調べを受けることになるため、身柄を拘束されます。

その後、引き続き身柄を拘束する必要があると検察から判断された場合には、裁判所に対して勾留請求がなされ、裁判官による勾留質問を経たうえで、勾留の可否が判断されます。

勾留請求が認められると、はじめに10日間勾留され、必要に応じてさらに10日間勾留されることになります。つまり、逮捕から最大23日間身柄拘束が続く可能性があるため、出来るだけ早く被害者と示談して釈放の可能性を高めることが重要です。

③民事事件も解決できる

被害者との示談成立時に、清算条項を入れた示談書を取り交わすことで、民事事件も解決することができます。

盗撮行為は、刑事上の責任だけでなく、「不法行為に該当する」として民事上の責任にも問われます。
民事上の責任とは、盗撮行為で被害者が被った精神的苦痛に対する損害を賠償する責任のことをいいます。

被害者が民事事件として損害賠償請求した場合には、これに応じ、慰謝料などを支払わなければなりません。しかし、示談書に「この他の請求権は存在しない」などの清算条項を明記することで、民事事件となるのを阻止することができます。

盗撮は撮影罪にあたる?

盗撮で示談をしないとどうなる?

盗撮事件の被害者が誰なのか特定されている場合もあれば、特定されていない場合もあるでしょう。

被害者が盗撮されていることに気付かずその場を去ってしまえば、特定が困難となります。
いずれにしても、盗撮事件の被害者と示談しなければ、起訴される可能性は十分にあります。

しかし、被害者が特定されていない場合は、被害者が誰なのかわからないため、示談しようがありません。
そのような場合には、どのように対応して不起訴の獲得を目指せばよいのでしょうか。

次項では、盗撮事件で被害者が特定されている場合とそうでない場合にすべき対応について、解説いたします。

被害者が特定されている場合

被害者が特定されている場合は、早急に被害者との示談交渉を進めることが重要です。

初犯の場合は、示談しなければ略式起訴され、罰金刑を科せられる可能性があります。
罰金刑が科せられれば、前科がつくため、社会復帰に大きな影響を及ぼすことになります。

既に前科がある場合は、起訴されて懲役刑を科せられる可能性が高いです。
また、執行猶予期間中であるにもかかわらず盗撮事件を起こした場合には、実刑判決を下される可能性が非常に高いため、いずれにしても被害者との示談交渉を早急に進める必要があります。

盗撮・のぞきで逮捕されると前科はつく?

被害者が特定されていない場合

被害者が特定されていない場合でも、起訴されて有罪判決が下される可能性は十分にあります。
例えば、盗撮で現行犯逮捕されたものの、被害者は盗撮に気づかずどこかへ行ってしまった場合などが考えられます。

盗撮行為は、被害者からの被害届がなくても刑事事件として捜査が開始されるおそれのある犯罪行為です。

そのため、被害者が特定されていなくても、贖罪寄付や反省文の作成などで深い反省を示すことや、身柄を釈放された後、再犯防止に向けた家族の監督体制がきちんと整っていることなどを証明することが重要です。

このような活動を行うことで、被害者と示談しなくても、不起訴獲得の可能性を高めることができます。

※贖罪寄付とは?
刑事事件を起こした被疑者・被告人が、贖罪のために弁護士会や被害者支援を行う団体などに寄付をすることをいいます。刑事事件では、贖罪寄付をすることによって刑事処分の判断が有利にはたらく傾向があります。

盗撮事件の示談を成功させるには弁護士に相談・依頼する

被害者との示談を成功させるためには、弁護士に相談・依頼することがもっとも有効的です。

盗撮事件で逮捕された場合は、逮捕から72時間は身柄を拘束され、外部と連絡を取ることも許されません。その間は、たとえ家族であっても面会することはできませんが、弁護士であれば逮捕直後から被疑者と面会することができます。

また、被害者の大半は加害者側である被疑者・被告人との接触を拒み、示談の余地がほとんどない心情であることが多いです。また、示談金額を提示するにしても、適切な示談金額が分からないことも多いでしょう。

この点、弁護士であれば、被害者の心情に応じた丁寧な交渉を進めることができますし、適正な示談金額を提示することもできます。

盗撮の被害者は、「加害者側に自身の個人情報を知られたくない」という思いから、警察や検察に加害者側へ連絡先を教えないように要望することがほとんどでしょう。
しかし、弁護士であれば、そのような場合でも連絡先を教えてもらいやすい傾向にあります。

示談交渉が進めやすく早期解決が期待できる

弁護士に被害者との示談交渉を依頼すると、自分で交渉するよりも格段に早く解決できる可能性があります。

特に、刑事事件を得意とする弁護士に被害者との示談交渉を進めてもらうことで、より早期解決が実現しやすいです。もちろん、弁護士でなくても被害者と示談交渉を行うことは可能です。

しかし、被害者の複雑な心情を考慮した話し合いを進められないことでトラブルが生じやすく、有効な手段とは言い難いです。

弁護士であれば、被害者だけでなく警察や検察とのやり取りについてもスムーズに行いやすいため、被害者との示談成立を目指す場合は、刑事事件に精通した弁護士にご相談されることをおすすめします。

適正な示談金で示談できる

弁護士に被害者との示談交渉を依頼すると、適切な示談金で示談することができます。

盗撮事件における示談金の相場は、約30万円程度であることが多いですが、被害の程度や犯行態様によって相場が変動します。

一般の方では適切な示談金額の判断ができないところ、弁護士であれば、過去の判例やこれまでの経験、豊富な法的知識を活かして適切な示談金額を被害者に提示することができます。

しかし、弁護士であれば誰でも適切な示談金で被害者と示談成立できるわけではありません。
弁護士の力量に左右される部分といえるため、刑事事件に精通した弁護士を選択した方が有益です。

不備のない示談書を作成できる

弁護士に被害者との示談交渉を依頼すると、不備のない示談書を作成することができます。
被害者との間で示談が成立したことを証明するものとして、示談時は必ず示談書の取り交わしを行います。

示談書は、法的な効力、すなわち、裁判で使用することができるものであるため、不備があると法的効力が損なわれてしまいます。

また、基本的に示談書は、一度取り交わしてしまうと不備があっても簡単に書き換えることができません。
そのため、不備のない示談書を作成することが、示談書の効力を最大限に引き出すことにつながります。

なお、示談書で重要となる主なポイントは、刑事処罰を求めないことを意味する宥恕文言と、示談書に記載されている内容以外の責任を負わないことを意味する清算条項を示談書の内容に盛り込むことです。

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盗撮の示談の流れ

盗撮事件の被害者と示談交渉を試みる際は、まず被害者の連絡先を入手するところからはじめます。

盗撮された被害者の多くは、加害者側に自分の個人情報を知られたくないと思っているため、「被害者の連絡先を入手できない・入手できても応じてもらえない」といった状況になりやすいです。
そのため、盗撮の示談を試みる際は、ほとんどの方が弁護士を通じて行っています。

弁護士は、次のような流れで被害者との示談交渉を進めていきます。

  • 1 被害者の連絡先を入手する
  • 2 被害者への連絡・示談交渉の開始
  • 3 示談内容の確定
  • 4 示談書の作成
  • 5 示談書のコピーを提出

では、それぞれのステップについて、詳しく解説していきます。

被害者の連絡先を入手する

被害者との示談交渉のために弁護士が最初に行うことは、被害者の連絡先を入手することです。
示談に向けた話し合いを行うためには、まず被害者とやり取りする必要があります。

そこで弁護士は、最初に担当の警察官または検察官に被害者と示談したい旨を伝え、連絡先を開示するように求めます。その後、警察官・検察官は被害者に連絡し、弁護士に連絡先を教えてもよいかどうかの意思確認を行います。

ここで被害者が連絡先の開示を承諾した場合は、後日警察官・検察官から連絡先を教えてもらえます。
ただし、必ずしも連絡先が入手できるわけではなく、被害者から拒絶され、連絡先が入手できない場合もあります。

被害者の連絡先が入手できない場合

被害者の連絡先が入手できない場合には、弁護士にて上申書を作成し、検察官に提出します。

被害者が担当の警察官や検察官に、「加害者側に連絡先を開示しないでほしい」とお願いしている場合は、被害者の意思が尊重されるため、たとえ弁護士であっても連絡先を教えてもらえない可能性があります。

このような場合には、被害者に伝えたいことを上申書に記載し、被害者へ連絡先の開示を求めます。

たとえば、被害者の多くは、弁護士であっても加害者側に自分の個人情報が知られることを恐れます。
そのため、被害者の個人情報を弁護士以外には知らせないことを記載するなどして、連絡先を開示してもらえるように交渉します。

被害者への連絡・示談交渉の開始

被害者の連絡先を入手した後は、被害者へ連絡し、示談交渉を開始します。

話し合いの方法について、被害者が電話やメールなどの希望がある場合には、被害者の希望に沿うように柔軟に対応していきます。

話し合いが開始されたら、まずは弁護士が加害者の謝罪と反省の意思を被害者に伝えます。
加害者が作成した謝罪文を用意している場合は、ここで渡すことが多いでしょう。

被害者と示談交渉を行う場合は、被害者にきちんと謝罪の意を伝えてから、示談に向けた話し合いを進めることが大切です。あくまで謝罪が先だということを、念頭に置いておきましょう。

示談内容の確定

被害者と示談に向けた話し合いを行い、合意に至った場合は、示談書で示談内容の確定を行います。

両者が話し合いで合意した内容を示談書に記載し、両者が署名・捺印することによって、示談内容を確定させることができます。

一般的な示談内容は、加害者が被害者に対して示談金を支払い、その代わりに被害者が示談書に署名・捺印するというものです。また、被害者が被害届を提出している場合には、被害届の取り下げ書にも署名・捺印してもらうことがあります。

示談書の作成

示談書の作成は弁護士が行い、主に次のような内容を記載します。

<示談書の記載内容>

  • 事件内容の特定
  • 謝罪の文言
  • 示談金額と支払方法の明記
  • 清算条項
  • 接触禁止条項
  • 宥恕条項
  • 守秘義務条項 など

示談書に記載する内容として、特に重要となるのは清算条項と宥恕条項です。

清算条項(せいさんじょうこう)とは、「示談書に記載されている以上の支払いはしません」と約束するもので、示談成立後の追加請求や民事事件への発展を防止するための条項のことをいいます。
清算条項を示談書にきちんと明記することで、金銭的なトラブルを回避することができます。

次に、宥恕条項(ゆうじょじょうこう)とは、「被害者が加害者を許します」ということを意味する条項のことです。宥恕条項が明記されていることで、不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができます。また、起訴されたとしても、刑が減軽される可能性があります。

示談書のコピーを提出

被害者との示談が成立したら、被害者と加害者の署名・捺印の入った示談書のコピーを警察官・検察官または裁判官に提出します。

示談書のコピーを提出することで、被害者が加害者である被疑者・被告人に対して、処罰を求めていないことを主張できます。これにより、被疑者・被告人にとって有利な刑事処分が下されやすくなります。

盗撮の示談金の相場

盗撮事件における示談金の相場は、約10~50万円程度といわれています。
示談金の額は、被害態様によって変動するため、場合によっては相場よりも高額となることもあります。

たとえば、次のような場合には、示談金が高額となる可能性があります。

  • 盗撮したデータをネットで拡散した場合
  • 被写体が18歳未満の未成年者である場合
  • 数ヶ月にも及んで更衣室やトイレで繰り返し盗撮した場合
  • 性行為中に隠し撮りした場合
  • 盗撮したデータを販売した場合 など

このような盗撮行為は、犯行態様に悪質性・常習性が認められるとして、示談金が相場よりも高くなりやすいです。盗撮行為として撮影罪が該当するだけでなく、盗撮データの用途次第では、他の犯罪にも抵触するおそれがあります。

なお、自分が犯した盗撮行為の示談金の相場が知りたいという場合は、刑事事件に精通した弁護士に相談するとよいでしょう。これまでの豊富な経験から、具体的な示談金の相場を教えてもらえます。

示談金の分割払いはできるのか?

被害者に対する示談金の支払いは、基本的に一括払いとなります。

分割払いが認められていないわけではありませんが、支払いの度に被害者の中にある嫌な記憶を呼び起こしてしまうおそれがあります。
何より、被害回復の実現性が乏しいと判断されやすく、刑事処分に不利に働く可能性があります。

ただし、被害者が分割払いを認めており、支払いの見込みが持てる状況(定職に就いている・連帯保証人がついているなど)にあれば、刑事処分に不利に働く可能性を低くすることができるでしょう。

示談金を吊り上げられた場合の対処法

刑事事件の示談は、加害者である被疑者・被告人が被害者に対して許しを乞う行為であることから、被害者が優位となる交渉になってしまいます。
そのため、被害者から示談金を吊り上げられることも少なくありません。

被害者から示談金を吊り上げられた場合の対処法としては、次のようなことが挙げられます。

  • 自分が支払える示談金の上限を明確に決めておくこと
  • 被害者が希望する示談金を支払えず、示談不成立となっても「仕方ない」と覚悟を決めること
  • これらの覚悟を弁護士にきちんと伝えておくこと

自分の中で、「被害者に対して支払える示談金がいくらまでなのか」覚悟をもって明確に決めておかなければ、被害者のペースに巻き込まれ、収拾がつかなくなっていまいます。

盗撮の示談交渉はなるべく早く弁護士法人ALGにご相談ください

被害者との示談交渉は、弁護士に依頼せずとも自分で行うことができます。
しかし、被害者が存在する盗撮事件では、逆に被害者側の感情を逆なでしてしまい、状況が悪化するおそれがあります。

この点、弁護士であれば、被害者側の感情に配慮した示談交渉を行うことができます。
「被害者から連絡先を教えてもらえない」、「示談金を吊り上げられてしまう」といった状況も、弁護士によって断ち切ることができるでしょう。

特に刑事事件を得意とする弁護士に依頼することで、弁護士によって得られるメリットを最大限に引き出すことができます。

また、刑事事件は想像以上に早く手続きが進んでいくため、被害者との示談交渉はなるべく早めに取り掛かるのが好ましいです。

そのため、盗撮の示談交渉を試みる場合は、できるだけ早く弁護士にご相談ください。

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
監修:弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長
保有資格
弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。