監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士
親族が亡くなったとき、「兄弟でいくらずつ分ければいいのか」「再婚相手の連れ子は相続できるのか」など、遺産の分け方をめぐってトラブルが生じるご家庭は少なくありません。
そのような場面で基準となるのが「法定相続分」です。
本記事では、法定相続分の概要・ケース別の計算方法・遺留分との違いなどを弁護士がわかりやすく解説します。
法定相続分とは
法定相続分とは、民法900条に定められた「各相続人が相続できる割合」のことです。
遺言書がない場合や、遺産分割協議で合意が得られない場合に、最終的な判断基準として用いられます。
法定相続分は遺産分割協議で使用される
相続が開始すると、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産をどれだけ取得するかを話し合うのが原則です(民法907条)。
この際の目安となるのが法定相続分です。ただし、相続人全員が合意している限り、法定相続分と異なる割合で遺産を分けることも可能です。
また、協議が調わない場合は、家庭裁判所への遺産分割調停・審判に移行し、審判では法定相続分に従って分割が命じられるのが一般的です。
法定相続人の範囲と相続順位
民法は相続人の範囲と順位を定めています。
配偶者は常に相続人となり、それ以外の相続人には以下の表のとおり順位があります。
前の順位の相続人が一人もいない場合に限り、次の順位の者が相続人となります。
この組み合わせによって法定相続分の割合が変わります。
| 順位 | 法定相続人 |
|---|---|
| 常に相続人 | 配偶者 |
| 第1順位 | 被相続人の子など直系卑属 (親子関係でつながった親族のうち下の世代) |
| 第2順位 | 被相続人の父母など直系尊属 (親子関係でつながった親族のうち上の世代) |
| 第3順位 | 被相続人の兄弟姉妹 |
【ケース別】法定相続分の割合と計算方法
配偶者+子供の場合
配偶者と子がいる場合の法定相続分は、民法900条1号により「配偶者2分の1・子(全員合計)2分の1」です。
子が複数いるときは2分の1を頭数で均等に分けます(民法900条4号)。
なお、配偶者がいない場合は子が全財産を相続します。
例えば、配偶者、子2人の場合には、それぞれの法定相続分は、配偶者が2分の1、子が各自4分の1となります。
配偶者+父母の場合
子がおらず、配偶者と父母などの直系尊属が相続人となる場合は、民法900条2号により「配偶者3分の2・直系尊属全体3分の1」となります。
父母が2人とも健在であれば、3分の1を2人で等分します(民法900条4号)。
配偶者+兄弟姉妹の場合
子も父母もいない場合に、配偶者と兄弟姉妹が相続人となるときは、民法900条3号により「配偶者4分の3・兄弟姉妹全体4分の1」です。
兄弟姉妹が複数いる場合は4分の1を頭数で均等割りします(民法900条4号)。
なお、異母または異父の兄弟姉妹の相続分は全血兄弟姉妹の2分の1となります。
配偶者のみ・子供のみ・親のみ・兄弟姉妹のみの場合
配偶者だけが相続人の場合は民法890条により全財産を相続します。
子のみ・父母のみ・兄弟姉妹のみが相続人の場合は、民法900条4号に基づき、同順位の相続人が人数に応じて均等に分割します。
配偶者+孫の場合(代襲相続)
本来相続人となるべき子が、被相続人の死亡前に死亡・欠格・廃除などにより相続権を失っている場合、その子(被相続人の孫)が民法887条2項に基づき「代襲相続人」として相続人になります。
孫の法定相続分は、亡くなった子が受け取るはずであった割合をそのまま引き継ぎます。
配偶者と孫が相続人の場合、基本的な割合は配偶者2分の1・孫(全員合計)2分の1です。
なお、甥や姪も兄弟姉妹が相続権を失った場合に代襲相続人となりますが、再代襲(甥姪の子)は認められません。
養子がいる場合
養子縁組をして法律上の「子」となった養子は、実子と同じ第1順位の法定相続人となり(民法809条、887条1項)、法定相続分も実子と同等です。
配偶者と子(実子・養子)が相続人となる場合、民法900条1号に従い、配偶者2分の1・残り2分の1を実子と養子を含む全ての子で等分します。
非嫡出子がいる場合
婚姻外で生まれた子(非嫡出子)であっても、被相続人から認知を受けて法律上の親子関係が認められている場合には、「子」として第1順位の相続人となります(民法779条、887条1項)。
現行の民法900条4号は嫡出子と非嫡出子の相続分を同等と定めており、配偶者と子がいる場合には、嫡出子・非嫡出子を問わず全ての子が2分の1を均等に分け合います。
法定相続分が認められない人
離婚した元配偶者
配偶者として相続権を有するのは、相続開始時点で法律上の婚姻関係にある者に限られます(民法890条)。
離婚が成立した元配偶者には、法定相続分も遺留分も一切認められません。
内縁関係や事実婚の状態にある人
婚姻届を出していない内縁関係や事実婚の相手方は、民法上の「配偶者」に当たりません。
そのため、民法890条に基づく法定相続人にはならず、長年同居していても自動的に相続権が認められることはありません。
養子縁組をしていない再婚相手の連れ子
再婚相手の連れ子は、そのままでは被相続人との法的な親子関係がなく、民法887条1項の「子」に当たりません。
養子縁組をしていない連れ子には法定相続分は認められず、相続人にもなりません。
連れ子に遺産を残したい場合は、養子縁組または遺言による遺贈(民法964条)等を検討する必要があります。
代襲相続人でない孫や甥姪
孫は通常、相続人にはなりません。
孫が相続人となるのは、子が死亡・欠格・廃除により相続権を失い、民法887条2項に基づき代襲相続人となる場合に限られます。
同様に、甥や姪も、民法889条2項に定めるとおり、被相続人の兄弟姉妹が相続権を失った場合に限り代襲相続人として相続権を持ちます。
それ以外の場合には孫や甥姪に法定相続分はありません。
相続放棄した人
相続人であっても、家庭裁判所に相続放棄の申述を行い受理されると、民法939条により「初めから相続人でなかったもの」とみなされます。
この場合、その人には法定相続分も遺留分も一切認められません。
また、相続放棄をした者の子には代襲相続も発生しない点に注意が必要です。
なお、相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから原則3か月以内に行わなければなりません(民法915条)。
相続廃除や相続欠格に該当する人
被相続人を殺害した場合など民法891条に定める重大な非行がある場合、本人は相続欠格となり相続権を失います。
また、被相続人への虐待や重大な侮辱がある場合には、被相続人の請求により家庭裁判所が相続人の地位を奪う「相続廃除」(民法892条)が認められることがあります。
いずれの場合も法定相続分は認められません。
ただし、欠格・廃除された者の子は民法887条2項により代襲相続人として相続できます。
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法定相続分と遺留分の違い
法定相続分とは、民法900条に定められた相続人ごとの原則的な取り分の割合です。
一方、遺留分とは、被相続人が遺言や生前贈与で財産を処分しても、配偶者・子・直系尊属など一定の相続人に最低限保証された取り分であり、民法1042条以下に定められています。
兄弟姉妹には遺留分が認められていない点も大きな違いです。
法定相続分は当事者の合意や遺言によって増減が可能ですが、遺留分を侵害した場合には、侵害された相続人が遺留分侵害額請求(民法1046条)を行使して金銭による調整を求めることができます。
これに対し法定相続分は権利ではないため、遺言で法定相続分を下回る取り分を指定されても、遺留分が確保されている限り相続分の増額請求はできません。
遺産分割が法定相続分どおりにならないケース
遺言書がある場合
被相続人が有効な遺言書を残している場合、原則として遺言による指定が法定相続分に優先します(民法902条)。
特定の相続人に全財産を相続させる、相続人以外の第三者に財産を遺贈するといった内容も可能です。
ただし、遺留分を侵害する内容の遺言については、遺留分侵害額請求(民法1046条)によって金銭的な調整が求められる場合があります。
また、相続人全員が合意すれば、遺言の内容と異なる分割を行うことも可能です。
生前贈与があった場合
ある相続人が被相続人から多額の贈与を受けている場合、その贈与が「特別受益」と評価され(民法903条)、他の相続人との不公平を是正するための調整が行われることがあります。
具体的には、特別受益の額をいったん遺産に持ち戻して「みなし相続財産」を計算し、その上で各相続人の相続分を算出したうえで、特別受益を受けた相続人の取り分からその分を控除します。
また、生前贈与によって遺留分が侵害される場合は、遺留分侵害額請求の対象にもなります。
寄与分が認められる場合
他の相続人に比べて、被相続人の事業を長年支えたり、療養看護を行うなどして遺産の維持・増加に特別の貢献をした相続人には「寄与分」が認められることがあります(民法904条の2)。
この場合、相続財産から寄与分相当額を差し引いた残額を基に法定相続分に従って各人の取り分を計算し、その結果に寄与分を有する相続人の寄与分額を加算して具体的な相続分を算出します。
なお、相続人以外の親族(たとえば被相続人の子の配偶者など)が療養看護等に貢献した場合、「特別寄与料」として相続人に対し金銭請求ができます(民法1050条)。
法定相続分に関するよくある質問
法定相続分を超える相続にはどんなものがありますか?
法定相続分を超えて遺産を取得できる主なケースとして、①被相続人が遺言で特定の相続人に多く相続させると指定した場合(民法902条)、②遺産分割協議で他の相続人の同意を得て取り分を増やした場合(民法907条)、③寄与分が認められて法定相続分に上乗せされた場合(民法904条の2)、などがあります。
いずれも法律上適法な方法ですが、遺留分を侵害する場合は遺留分侵害額請求の対象となるため注意が必要です。
法定相続分がない人に遺産を取得させる方法はありますか?
内縁の配偶者や養子縁組をしていない連れ子、長年お世話になった第三者など、法定相続人でない方に財産を残したい場合には、①遺言による遺贈(民法964条)、②死因贈与契約(民法554条)、③生前贈与の活用などが考えられます。
また、連れ子については養子縁組を行い法定相続人にする方法や、生命保険の受取人に指定する方法も有効な手段の一つです。
事情に応じた最適な対応策については、弁護士にご相談ください。
法定相続分についてのお悩みは遺産分割問題に強い弁護士にご相談ください
法定相続分は一見シンプルなルールに見えますが、実際には代襲相続・特別受益・寄与分・遺留分侵害額請求・遺言の有無など、複数の要素が絡み合って非常に複雑になることがあります。
また、感情的な対立が深まると、法的には正しい主張であっても話し合い自体が進まなくなることも少なくありません。
相続が発生した後はもちろん、生前の相続対策の段階からでも、遺産分割問題に精通した弁護士に相談することで、紛争を未然に防ぎ、円満かつ適正な解決を図ることができます。
お悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
妊娠中における離婚は、母体への負担及び精神的苦痛が非常に大きいものです。
そのため、妻は、離婚に際して、配偶者に対して、慰謝料を請求したいと考えることが少なくありません。
しかしながら、単に妊娠中の離婚であるという事実のみをもって、直ちに慰謝料の請求が認められるわけではありません。
本記事では、妊娠中の離婚において慰謝料請求が認められるケース、慰謝料の相場、養育費及び財産分与などの金銭的請求、並びに親権や戸籍の扱いについて、詳しく解説いたします。
妊娠中の離婚で慰謝料を請求できるのか?
結論として、妻は、単に妊娠中であることを理由として、配偶者に対して、慰謝料を請求することは原則として認められません。
慰謝料は、配偶者の不法行為によって生じた精神的苦痛に対する損害賠償です。
したがって、配偶者に婚姻関係を破綻させるような有責行為が存在しない場合、単に妊娠中に離婚することになったとしても、慰謝料を請求することは困難となります。価値観の不一致など双方に原因がある場合又は合意による離婚の場合、慰謝料は発生しません。
慰謝料請求が認められるケース
妻が、配偶者に対して、慰謝料を請求できるのは、配偶者が不貞行為(浮気・不倫)を行った場合、配偶者からDV若しくはモラハラを受けた場合、又は悪意の遺棄(正当な理由なく生活費を渡さない等)があったケースなどに限られます。
妊娠中に離婚した場合の慰謝料相場はどれぐらい?
慰謝料の金額は、婚姻年数、離婚原因の悪質性、及び配偶者の年収などの個別の事情によって変動します。
一般的に、不貞行為やDV等による慰謝料の相場は、数十万円から300万円程度とされています。妊娠中の離婚であるという事実は、妻が受ける精神的苦痛が通常よりも大きいと評価される要素となり得ます。
そのため、配偶者の有責行為が存在する場合、妊娠中である事情が考慮され、慰謝料の金額が相場よりも高額になる可能性があります。
ただし、必ずしも増額事由となるわけではないことに注意を要します。
中絶に至った場合の慰謝料は?
配偶者の一方的な責任により、やむを得ず中絶に至った場合、妻は、配偶者に対して、慰謝料及び中絶費用を請求できる可能性があります。
具体的には、配偶者が暴力を振るって中絶を強要した場合、配偶者が避妊していると嘘をついて性交渉を行った結果として妊娠した場合、又は同意のない性交渉を強要された場合などが該当します。
このようなケースでは、夫に不法行為があると考えられるため、慰謝料の請求が認められる傾向にあります。
妊娠中の離婚で慰謝料以外に請求できるもの
養育費
離婚後に出産した子供の親権者は原則として母親となり、母親は、離婚後に、元配偶者に対して、養育費を請求することができます。
養育費の金額は、双方の収入額、子供の人数及び年齢など具体的な事情を加味したうえで算定されます。妻が産休又は育休を取得しており年収が下がっている場合、その事情も考慮されます。
ただし、離婚後300日経過後に出産した場合、元配偶者に養育費を請求するためには、元配偶者による認知の問題をクリアする必要があります。
財産分与
妻は、妊娠中の離婚であっても、元配偶者に対して、婚姻中に形成された夫婦共有財産についての財産分与を求めることが可能です。
もっとも、妊娠中であることや出産することなどを理由に財産分与の分与割合を有利にすることは基本的に認められず、分与の割合は5対5となるのが原則です。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
慰謝料以外に出産費用も請求することはできるのか?
婚姻中の夫婦であれば、婚姻費用を分担する義務があり、その中に医療費(出産費用)も含まれています。
しかし、出産が離婚後となった場合には、元配偶者は、出産費用を負担する法的な義務を負いません。そして、出産費用は生活費の一部として計上されるものであることから、離婚後に出産費用を支払ってもらうことは原則として認められません。
ただし、元配偶者が任意で支払ってくれる可能性も考えられるため、離婚する前に夫婦間で出産費用の負担について話し合っておくことが重要です。
妊娠中の離婚で子供の親権と戸籍はどうなる?
親権はどちらが持つ?
妊娠中に離婚した場合、母親は、原則として産まれてくる子供の親権者となります(民法第819条第3項)。
例外的な事情がない限り、父親が親権を持つことはありません。
ただし、離婚後300日以内に出産した場合において、父母の協議又は家庭裁判所の調停により、父親を親権者と定めることも可能です。
もっとも、子供の年齢が小さい乳幼児期においては、法的に「母性優先の原則」が重視される傾向にあるため、実際には母親が親権者として認められるケースが大部分を占めることになります。
子供の戸籍はどうなる?
子供の戸籍は、出生した時期によって異なります。
離婚後300日以内に生まれた場合、子供は、元配偶者の子供として推定されるため(嫡出推定、民法第772条)、婚姻時の戸籍筆頭者(多くは元配偶者)の戸籍に入籍します。
母親は、この子供を自身の戸籍に移すために、家庭裁判所へ「子の氏の変更許可」の申立てを行う必要があります。
一方、離婚後300日を経過してから出産した場合、嫡出推定が及ばないため、子供は母親の戸籍に入籍します。この場合、子供は非嫡出子となるため、認知されないと法律上の親子関係は生じません。
妊娠中の離婚でお困りなら弁護士に相談してみましょう
妊娠中の離婚は、慰謝料、養育費、及び財産分与などの複雑な金銭的問題に加え、親権若しくは戸籍といった法的な手続きが絡むため、当事者にとって非常に心身の負担がかかります。
配偶者に有責行為がある場合でも、適切な証拠を収集し、的確な主張を行わなければ、適正な慰謝料を獲得することは困難です。
弁護士に相談することにより、妻は、代理人として相手方との交渉を任せることができ、精神的なストレスを大幅に軽減できます。
将来の生活及び子供の権利を守るためにも、妊娠中の離婚問題でお悩みの方は、ぜひ一度、離婚問題に精通した弁護士にご相談ください。
盗撮やのぞき行為に及んで逮捕された際、有罪判決が確定すると、「前科」がつきます。
本記事では、どのような状況で前科がつくのか、あるいは回避できるのか、さらに前科がつくことによる社会的なデメリットや、弁護士へ相談すべき理由について詳しく解説します。
盗撮・のぞきで逮捕されると前科がつく?
盗撮やのぞきの容疑で逮捕されたからといって、直ちに前科がつくわけではありません。
前科とは、検察官によって起訴され、刑事裁判で有罪判決が確定した場合に記録されるものです。
一方で、逮捕されたものの不起訴処分となった場合には、前科はつきません。
ただし、捜査機関に逮捕・捜査されたという履歴である「前歴」は残ることになります。
前科が将来の法的権利に及ぼすのに対し、前歴は警察や検察の内部資料として残るという違いがあります。
盗撮・のぞきで起訴されやすいケース
初犯であっても、犯行の態様が極めて悪質であると判断された場合には、起訴される可能性が高まります。
具体的には、盗撮の道具として高性能なカメラを巧妙に設置していた場合や、学校や職場など社会的責任が問われる場所での犯行などが挙げられます。
また、過去に同様の行為を繰り返している常習犯である場合や、余罪が多数発覚しているケースでは、更生の余地が乏しいとみなされ、起訴による前科がつきやすくなります。
盗撮・のぞきで前科がつかない、不起訴処分になるケース
刑事事件化しても、検察官が「起訴猶予」などの不起訴処分を下せば、前科はつきません。
不起訴を目指す上で重要なポイントを以下で整理します。
早い段階で示談が成立している
被害者との間で示談が早期に成立していることは、前科回避においても非常に強力な要素です。
被害者が宥恕を表明していれば、検察官は処罰の必要性が低いと判断しやすくなります。
また、事案が極めて軽微な場合には、「微罪処分」として処理されることもあります。
これは警察段階で厳重注意を受け、検察へ送致されずに事件が終了する手続きであり、この場合も前科はつきません。
証拠が揃っていない
検察官は、公判(裁判)で有罪を立証できる確実な証拠がない場合、起訴をためらい不起訴処分とすることがあります。
証拠には、現行犯逮捕時の状況、押収されたカメラやスマートフォンの画像データ、防犯カメラの映像などが含まれます。
なお、発覚を恐れてスマートフォン内のデータを消去しても、専門的な解析によって復元される可能性があるため、安易な証拠隠滅はむしろ情状を悪化させるおそれがあります。
盗撮・のぞきは何罪にあたる?
盗撮やのぞき行為は、主に以下の罪に問われる可能性があります。
盗撮・のぞきで前科がつくデメリット
前科がつくことは、その後の人生において多大な制約を伴うことになります。
欠格事由として就職ができない
一定の職業においては、法律で定められた「欠格事由」に該当することとになり、免許の取り消しや就職が出来なくなる場合があります。
特に医師、看護師、教職員、警備員などの専門職や国家資格を要する仕事において顕著です。
解雇・懲戒処分の可能性がある
就業規則に基づき、会社の名誉や信用を著しく損なったとして、懲戒解雇を含む処分を受ける可能性があります。たとえ解雇を免れたとしても、職場内で噂が広まり、実質的にいづらくなって退職を余儀なくされるケースも少なくありません。
盗撮・のぞきで解雇について詳しく見る家族との関係に影響がある
盗撮やのぞきは性犯罪に分類されるため、家族に知られた際の精神的ショックは計りしれません。
これが原因で離婚に至ることもあり、有責配偶者として高額な離婚慰謝料を請求されるリスクも存在します。
盗撮・のぞきで前科をつけないための対処法
前科を回避するためには、早期の法的対応が不可欠です。
被害者と示談する
検察官が起訴を決める前に、被害者との間で示談を成立させることが最優先事項です。
示談が成立すれば、罰金刑すら科されない不起訴処分を得れる可能性が高まり、前科を阻止できます。
示談金の相場は事案によりますが、誠意ある謝罪とともに、適切な賠償を提示をすることが重要です、
早急に弁護士に相談する
性犯罪の示談交渉は、加害者本人が行うことが困難であり、被害者の心情に考慮しても避けるべきです。
刑事事件に精通した弁護士に依頼することで、適切なタイミングでの示談交渉や、有利な証拠の収集が可能となります。
弁護士の介入は、前科を回避するための可能性を最大限にひきあげます。
盗撮・のぞきの前科に関するよくある質問
盗撮・のぞきの冤罪で捕まると前科がつきますか?
冤罪、すなわち事実無根の疑いで逮捕された場合でも、最終的に有罪判決が確定しない限り前科はつきません。捜査段階で身の潔白を証明し、不起訴処分を獲得、あるいは裁判で無罪を勝ち取ることができれば、前科が付くことはありません。
盗撮・のぞきで前科がつかないよう被害者と示談したいです。どのように被害者と連絡を取れば良いですか?
多くの場合、警察や検察は二次被害を防ぐため、加害者本人に被害者の連絡先を教えることはありません。弁護士を介することで、捜査機関から連絡先を確認し、被害者側のプライバシーを守りながら、安全かつ円滑な示談交渉を進めることが可能となります。
盗撮・のぞき事件で前科を回避するためにもなるべく早く弁護士にご相談ください
盗撮やのぞき行為で前科が付くことは、社会生活に甚大な影響を及ぼします。しかし、逮捕直後から適切な弁護活動を開始し、示談や反省の態度を示すことで、前科を回避できる道は残されています。
もし、あなた自身や家族が事件に関わってしまった場合は、取り返しのつかない事態になる前に、一刻も早く弁護士へ相談することをお勧めいたします。
盗撮やのぞき行為によって逮捕された場合、前科をつけないためには「不起訴処分」を得る必要があります。前科を回避するためには、被害者と示談を成立させるなど早期の対応が不可欠であり、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。
この記事では、盗撮・のぞき事件で不起訴処分を獲得するためのポイントや、不起訴になる確率、具体的な対応策について詳しく解説します。
盗撮・のぞきで不起訴になる可能性は?
盗撮やのぞきなどの比較的軽微とされる事件では、適切な対応をとることで不起訴処分が狙えます。
つまり、逮捕されたからといって必ずしも有罪になり、前科がつくわけではありません。
2024年の検察統計データによると、性的姿態等撮影罪(盗撮事件)などの事件における不起訴率は約20.4%となっています。
初犯であり、被害者との示談が成立しているなどの有利な事情があれば、不起訴処分を獲得できる可能性は十分にあります。
そもそも不起訴処分とは
不起訴処分とは、検察官が事件を刑事裁判にかける必要がないと判断して下す処分のことです。
不起訴となれば事件はそこで終了し、前科がつくことはありません。
一方で起訴されると、公開の裁判を受ける「通常起訴」や、書面審理のみで罰金刑が言い渡される「略式起訴」となります。
盗撮・のぞき事件の場合、略式起訴により罰金刑が科されるケースが多く見られますが、罰金であっても有罪には変わりなく、前科がついてしまいます。
盗撮・のぞきで不起訴になるメリット
盗撮・のぞき事件で不起訴処分になる最大のメリットは、逮捕されたとしても「前科がつかない」ことです。
前科がつかなければ、会社からの解雇などの不利益を回避しやすく、以前と変わらない日常生活への早期復帰が期待できます。また、長期間の身柄拘束を避けることにもつながります。
盗撮事件に強い弁護士に相談し、適切な弁護活動や示談交渉を早急に進めてもらうことで、こうした不起訴処分を勝ち取る可能性が大きく高まります。
盗撮・のぞき事件における不起訴処分の種類
不起訴処分には、主に「起訴猶予」「嫌疑不十分」「嫌疑なし」という種類があります。
自分が盗撮・のぞき行為をしたことを認めている場合は、検察官に情状を考慮してもらい「起訴猶予」になるかどうかが重要です。
一方で、盗撮やのぞきが全くの冤罪である場合や、犯罪事実を否認している場合には、犯罪を証明できないとする「嫌疑なし」や「嫌疑不十分」での不起訴処分を目指すことになります。
起訴猶予
起訴猶予とは、犯罪の事実は認められるものの、被疑者の反省の態度や被害者との示談成立の有無、初犯であることなどの情状を総合的に考慮して、検察官が起訴を見送る処分のことです。
実際に盗撮やのぞき行為を認めていて不起訴処分となるケースのほとんどは、この起訴猶予にあたります。
嫌疑不十分
嫌疑不十分とは、検察官が証拠を精査した結果、被疑者が犯罪を行ったと認定するには証拠が足りないと判断された場合に下される不起訴処分です。
刑事裁判を起こしても有罪を立証できる見込みがないため、検察官は起訴を行わず、そのまま事件を終了させます。防犯カメラの映像などの客観的な証拠がなく、被害者の供述と食い違っている場合などに判断されることがあります。
嫌疑なし
嫌疑なしとは、犯罪を裏付ける証拠が全くない、あるいは被疑者に明確なアリバイがあるなど、被疑者が犯人ではないことが明らかな場合に下される不起訴処分です。
盗撮・のぞき事件において「嫌疑なし」と判断されるケースは統計的にも非常に少ないですが、冤罪の場合はこの処分での解決を目指します。
盗撮・のぞきで不起訴を獲得するためにすべき3つのこと
盗撮やのぞき事件において、罪を認めている場合に不起訴処分を得るためには、自らの罪を素直に認め、深く反省する姿勢を見せることが何よりも重要です。
客観的な証拠があるにもかかわらず自らの非を認めない姿勢を貫いていると、反省していないとみなされ、不起訴処分からは遠ざかってしまいます。検察官に良い心証を与え、不起訴を獲得するためには、以下の3つの対応を速やかに進めることが不可欠です。
➀弁護士に相談する
不起訴処分を獲得するためには、一刻も早く刑事事件に強い弁護士に相談することが不可欠です。
弁護士に依頼することで、検察官や警察に対する適切な対応や意見書の提出を任せることができ、不利な供述調書が作成されるのを防げます。
また、被疑者の代わりに会社や家族との連絡役も担ってくれるため、弁護士のサポートがあることで不起訴の可能性を最大限に高めることができます。
②被害者と示談する
盗撮やのぞきを認めている場合、不起訴処分になるためには被害者との示談が成立していることが非常に重要です。
示談によって被害者が処罰を望まない意思を示せば、検察官が起訴猶予とする大きな要因となります。
しかし、加害者本人が直接被害者に接触することは困難であり、ほとんどの被害者は拒否します。
そこで、刑事事件に精通している弁護士が間に立つことで、被害者の感情に配慮した丁寧なやりとりが期待でき、示談成立の可能性が大きく高まります。なお、盗撮・のぞきの示談金の相場は、一般的に10万円~50万円程度とされています。
③贖罪寄付をする
被害者が特定できない場合や、どうしても示談に応じてもらえない場合には「贖罪寄付」をするという方法があります。
贖罪寄付とは、反省や謝罪の気持ちを表すために、弁護士会や公益団体などに一定の金銭を寄付することです。被害者との示談ほどの強い効力はありませんが、反省の態度や再犯防止への意欲を示す行動として評価され、不起訴処分を獲得するための有利な情状の一つとなります。
盗撮・のぞきが初犯の場合は不起訴になる?
盗撮・のぞき事件が初犯であれば、被害者との示談が成立するなどの条件を満たすことで、不起訴処分(起訴猶予)を獲得できる可能性が高まります。
初犯であれば、深く反省しており再犯の可能性が低いと評価されやすいためです。
しかし、初犯だからといって必ず不起訴になるわけではありません。
盗撮・のぞき事件の場合、犯行の常習性や手口の悪質性、被害の規模などが厳しく考慮されるため、油断せずに適切な弁護活動を行うことが重要です。
盗撮・のぞきの余罪や再犯の場合、不起訴になるのは難しい?
盗撮・のぞき事件は再犯率が高く、常習性が疑われやすい犯罪です。
そのため、余罪がある場合や、以前にも同種の犯罪で検挙されたことがある再犯の場合、検察官の心証は厳しくなり、初犯と比べて不起訴処分を獲得するハードルは上がります。
しかし、決して不起訴が不可能というわけではありません。
次項では、余罪や再犯があるケースの対応について詳しく解説します。
盗撮・のぞきの余罪がある場合
盗撮事件では、押収されたスマートフォンやパソコンのデータなどから、捜査が進むにつれて過去の余罪が複数発覚するケースが少なくありません。
余罪があると常習性が疑われるため、不起訴処分を得るのは難しくなる傾向にあります。
さらに、余罪が立件された場合、過去の犯行場所や日時が曖昧で被害者の特定が困難であることが多く、示談交渉そのものができない事態に陥りがちです。
このような場合には、被害弁償の代わりに贖罪寄付を行ったり、専門家による治療やカウンセリングを受けたりするなど、再犯防止に向けた対策を講じて不起訴処分を目指した弁護活動が必要になります。
盗撮・のぞきの再犯で逮捕された場合
過去に盗撮・のぞきで検挙された前歴・前科がある再犯で逮捕された場合、再犯の可能性や常習性が極めて高いと判断されるため、起訴される可能性は大幅に高まります。
また、刑罰が重くなるリスクも十分にあります。
もし今回の事件で被害者が複数いた場合などは「併合罪」として処理されることがあり、その場合は科される刑罰の上限が1.5倍になる可能性があります。
前科を回避し、少しでも有利な処分を目指すためには、被害者との示談を急ぐとともに、専門の医療機関での治療といった再犯防止策を強くアピールしなければなりません。
盗撮・のぞきの不起訴処分に関するよくある質問
盗撮・のぞきをしたとしても自首すると不起訴になりますか?
盗撮やのぞき行為をしてしまった場合でも、自首をすることで不起訴処分になる可能性は高まります。捜査機関に事件や犯人が発覚する前に自ら出頭し、罪を申告する自首は、深く反省していることの表れとして評価されるためです。
この反省の態度は、検察官が起訴・不起訴を判断する際に、有利な情状として考慮されます。
ただし、すでに犯人として特定されているなど、自首の要件を満たさないタイミングでは自首として扱われないため注意が必要です。
盗撮・のぞきで不起訴処分になれば前科がつくことはないですか?
盗撮やのぞきで逮捕されてしまったとしても、最終的に不起訴処分が適当であると判断されたときには前科はつきません。
前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けた経歴を指すため、起訴されずに事件が終了する不起訴処分であれば、有罪判決を受けることはないからです。
警察の捜査対象になったという「前歴」は残りますが、前科のように就職や資格取得、日常生活に不利益をもたらすものではないため、事件前の生活に戻ることができます。
盗撮・のぞき事件で示談しなければ不起訴処分は難しいですか?
盗撮・のぞき事件において、示談が成立していないと不起訴処分を獲得するのは難しくなる傾向があります。被害者がいる犯罪では、示談によって被害者の処罰感情が和らいでいるかどうかが、検察官の処分決定に大きな影響を与えるからです。
ただし、被害者が特定できない場合や示談を拒否された場合でも、絶対に不起訴にならないわけではありません。贖罪寄付を行ったり、再犯防止のためのクリニック受診を行うなどの対応で、不起訴を獲得できるケースもあります。
盗撮・のぞきで不起訴処分を獲得するためも早めに弁護士にご相談ください!
盗撮やのぞき事件で逮捕されても、適切に対応すれば不起訴処分を獲得して前科を回避することは十分に可能です。
しかし、不起訴を獲得するためには、検察官が処分を決定するまでの限られた期間内に、被害者との示談交渉や再犯防止策の提示など、迅速かつ的確な活動が求められます。
ご自身やご家族だけで解決しようとせず、なるべく早い段階で刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士が間に入ることで示談成立の可能性も高まり、最善の結果へと導くサポートが受けられます。
交通事故の被害に遭われた際、最も気になることの一つが「いくら示談金をもらえるのか」という点ではないでしょうか。
本記事では、弁護士の視点から交通事故の示談金相場や、受け取れる金額を増額させるための重要なポイントを詳しく解説します。
適切な補償を受け、適正な再出発を図るための参考にしてください。
交通事故の示談金とは
交通事故における「示談金」とは、加害者側と被害者側が話し合い(示談)によって合意した賠償金の総額を指します。
交通事故が発生すると、被害者は加害者に対して損害賠償を請求する権利を得ますが、裁判をせずに当事者間の合意で解決する際に支払われるのが示談金です。
一度示談書を交わすと、原則として後から追加請求することはできないため、慎重な判断が求められます。
示談金と慰謝料の違い
「示談金」と「慰謝料」を混同される方が多いですが、これらは別物です。
示談金とは、治療費、休業損害、慰謝料など、事故によって生じたあらゆる損害を合計した解決金全体を指します。
一方、慰謝料は示談金を構成する要素の一つであり、事故によって受けた精神的苦痛に対する賠償金のことです。
つまり、示談金という大きな枠組みの中に、慰謝料という項目が含まれているという関係性になります。
示談金はいつ支払われる?
示談金が支払われるのは、原則として「示談が成立した後」です。
怪我をした場合、治療が終わって(または症状固定となって)から損害額が確定するため、示談交渉はその後に始まります。
示談成立後、示談書(免責証書)を保険会社に送付してから、通常1週間~2週間程度で指定の口座に振り込まれるのが一般的です。
ただし、過失割合や損害額で争いがある場合は、解決まで数年を要することもあります。
示談金には請求期限(時効)がある
交通事故の損害賠償請求権には消滅時効があります。
民法第724条および第724条の2に基づき、以下の期限を過ぎると請求できなくなるため注意が必要です。
| 事故の種類 | 起算日 | 時効 |
|---|---|---|
| 物損事故 | 事故日 | 3年 |
| 人身事故(後遺障害なし) | 事故日 | 5年 |
| 人身事故(後遺障害あり) | 症状固定日 | 5年 |
| 死亡事故 | 死亡日 | 5年 |
| 加害者不明の事故 | 加害者が判明した時 | 3年または5年 |
(参考)
民法第724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
民法第724条の2(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。
交通事故の示談金に含まれるもの
| 入通院慰謝料 | 入院や通院を余儀なくされたことによる精神的苦痛に対する賠償金です。通院期間や実際の通院日数に基づいて計算されます。 |
|---|---|
| 後遺障害慰謝料 | 治療を尽くしても完治せず、後遺障害が残った場合に認められる慰謝料です。認定された等級(1級~14級)に応じて金額が決まります。 |
| 死亡慰謝料 | 被害者が亡くなったことに対する慰謝料です。 亡くなった本人への慰謝料と、遺族(配偶者、子、父母など)への慰謝料を合算して請求します。 |
| 治療関係費 | 診察料、手術費、投薬代、リハビリ費などの実費です。 原則として保険会社から直接病院へ支払われますが、立替えた場合は示談金に含まれます。 |
| 後遺障害逸失利益 | 後遺障害によって将来の労働能力が低下し、本来得られたはずの収入が減少することに対する補償です。 年収や労働能力喪失率を用いて算出します。 |
| 死亡逸失利益 | 被害者が死亡しなければ将来得られたはずの利益です。 年収から生活費を控除し、就労可能年数などを考慮して計算されます。 |
| 休業損害 | 怪我の治療のために仕事を休んだことで失った収入の補償です。 会社員だけでなく、主婦(家事従事者)や自営業者も請求可能です。 |
| その他 | 通院のための交通費、入院雑費、診断書作成費用、付き添い看護費、また物損がある場合は車両の修理費などが含まれます。 |
まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故の示談金の相場
| 状況 | 示談金相場 |
|---|---|
| 死傷者のいない物損事故 | 数万~30万円程度 |
| 他覚所見のないむちうちなど、軽症の人身事故 | 数十万~100万円程度 |
| 完治する人身事故 | 数十万~200万円程度 |
| 後遺障害が残る人身事故 | 数百万~数千万円程度 |
| 死亡事故 | 数千万~1億円程度 |
入通院慰謝料
入通院慰謝料の計算には「自賠責基準」と「弁護士基準」の2つがあり、どちらを適用するかで金額に大きな差が出ます。
自賠責基準は最低限の補償であり、弁護士基準は過去の裁判例に基づいた正当な相場です。
| 通院期間 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1ヶ月 | 8万6000円 | 軽傷19万円/重傷28万円 |
| 2ヶ月 | 17万2000円 | 軽傷36万円/重傷52万円 |
| 3ヶ月 | 25万8000円 | 軽傷53万円/重傷73万円 |
| 4ヶ月 | 34万4000円 | 軽傷67万円/重傷90万円 |
| 5ヶ月 | 43万円 | 軽傷79万円/重傷105万円 |
| 6ヶ月 | 51万6000円 | 軽傷89万円/重傷116万円 |
軽い接触事故だった場合の示談金相場は?
「軽い接触だから大したことはない」と加害者側から言われることもありますが、たとえ低速の衝突でも首や腰に衝撃が残り、むちうち症になるケースは多々あります。
軽い事故でも人身事故として処理し、通院が発生すれば、上記の表の通り数十万円単位の示談金が発生するのが一般的です。
物損のみであれば修理代の実費程度ですが、体に違和感があるなら必ず医師の診察を受け、人身事故として対応しましょう。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、自賠責保険で認められた等級に応じて決まります。
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1級 | 1650万円(1600万円) | 2800万円 |
| 2級 | 1203万円(1163万円) | 2370万円 |
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1級 | 1150万円(1100万円) | 2800万円 |
| 2級 | 998万円(958万円) | 2370万円 |
| 3級 | 861万円(829万円) | 1990万円 |
| 4級 | 737万円(712万円) | 1670万円 |
| 5級 | 618万円(599万円) | 1400万円 |
| 6級 | 512万円(498万円) | 1180万円 |
| 7級 | 419万円(409万円) | 1000万円 |
| 8級 | 331万円(324万円) | 830万円 |
| 9級 | 249万円(245万円) | 690万円 |
| 10級 | 190万円(187万円) | 550万円 |
| 11級 | 136万円(135万円) | 420万円 |
| 12級 | 94万円(93万円) | 290万円 |
| 13級 | 57万円 | 180万円 |
| 14級 | 32万円 | 110万円 |
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、亡くなった方の家族構成や家庭内での役割によって金額が左右されます。
【自賠責基準】
自賠責基準では、被害者本人への慰謝料(一律400万円)と、遺族への慰謝料を合算します。
| 請求権者1人 | 550万円 |
|---|---|
| 請求権者2人 | 650万円 |
| 請求権者3人以上 | 750万円 |
| 被扶養者がいる場合 | 200万円 |
【弁護士基準】
弁護士基準では、亡くなった方の立場によって基準額が明確に定められています。
| 一家の支柱 | 2800万円 |
|---|---|
| 母親、配偶者 | 2500万円 |
| その他 | 2000万~2500万円 |
積極損害
積極損害とは、事故に遭ったために実際に支払いを余儀なくされた費用のことです。
代表的なものに治療費(手術費、投薬費、リハビリ費など)、入院雑費(日額1,100円~1,500円程度)、通院交通費(電車・バスの実費やガソリン代)、介護費用、葬儀関係費などが含まれます。
これらの損害は、領収書や診断書などの客観的な証拠に基づいて実費が補償されます。
自己判断で購入したサプリメントや、必要性の低いタクシー代などは認められない場合があるため、医師の指示に基づいた支出であることが重要です。
消極損害
消極損害とは、事故がなければ将来得られたはずなのに、事故によって得られなくなった利益のことです。
これは目に見えない損失であるため、保険会社との交渉で争点になりやすい項目です。
主に「休業損害」と「逸失利益」の2種類に分けられます。
休業損害
休業損害は、怪我の治療のために仕事を休み、収入が減ったことに対する補償です。
計算式は、原則として「1日あたりの基礎収入 × 休業日数」となります。
サラリーマンだけでなく、有給休暇を使用した場合や、家事に従事している主婦(主夫)の方も家事労働という価値があると考えられ、請求が可能です。
逸失利益
逸失利益は、後遺障害が残ったり亡くなったりしたことで、将来の労働能力が失われ、将来の年収が減る損害を指します。
計算式は「基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数(中間利息を控除する係数)」です。若年者ほど就労可能期間が長くなるため、金額が数千万円から1億円を超えることもあります。
交通事故の示談金シミュレーションツール
自分のケースでいくらもらえるのか、具体的な目安を知りたい方は、弊所のシミュレーションツールを活用してください。
入通院期間や後遺障害等級を入力するだけで、弁護士基準での概算がすぐに分かります。
保険会社からの提示額が適正かどうかを確認する第一歩としてご利用ください。
まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故の示談金を増額させる4つのポイント
保険会社の提示額をそのまま受け入れると、本来受け取れるはずの金額よりも大幅に低くなる可能性があります。以下の4点に注意しましょう。
完治または症状固定まで治療を受け続ける
示談金の中で大きな割合を占める入通院慰謝料は、通院期間や日数に比例します。
痛みを我慢して通院をやめてしまったり、仕事が忙しいからと通院頻度を下げたりすると、「その程度の痛みだった」と判断され、慰謝料が減額されます。
医師が完治または症状固定(これ以上治療しても良くならない状態)と判断するまで、定期的に通院を継続することが不可欠です。
適切な後遺障害等級を認定してもらう
後遺障害が残った場合、その等級が1つ違うだけで示談金が数百万円から数千万円変わります。
保険会社任せにする「事前認定」ではなく、被害者側で資料を準備する「被害者請求」を行うことで、より詳細な医学的証拠を提出でき、適切な等級認定を受けられる可能性が高まります。認定には、後遺障害診断書の記載内容が極めて重要になります。
弁護士基準で請求する
これが最も直接的に金額を増やす方法です。
保険会社は自社の利益を守るため、低い「任意保険基準」や「自賠責基準」で提示してきます。しかし、弁護士が介入すると、裁判でも認められる最も高い「弁護士基準」での交渉が可能になります。
慰謝料の項目だけで、保険会社の提示額の2倍~3倍に増額することも珍しくありません。
適切な過失割合で交渉する
過失割合とは、事故に対する責任の割合のことです。
例えば、本来「加害者10:被害者0」の事故なのに、「加害者9:被害者1」とされると、受け取れる示談金が1割減らされてしまいます(過失相殺)。
保険会社が提示する過失割合は必ずしも正しいとは限りません。
事故状況を精査し、ドライブレコーダーや目撃証言をもとに適切な割合を主張することが重要です。
弁護士介入の結果、示談金が増額した事例
【事例:会社員男性・むちうち症】
状況:後方からの追突事故で、頸椎捻挫(むちうち)と診断。6ヶ月通院。
当初の提示額:約80万円(保険会社基準)
弁護士介入後:約180万円(弁護士基準+後遺障害14級認定)
ポイント:
保険会社は通院3ヶ月で治療費の打ち切りを打診してきましたが、弁護士の助言により適切な頻度で6ヶ月通院を継続。
さらに、適切な検査結果をもとに後遺障害14級の認定を受けたことで、慰謝料と逸失利益が大幅に増額されました。
示談金を適切な額で受け取るためにも、示談交渉は弁護士にお任せください
交通事故の被害者は、身体的な痛みだけでなく、保険会社とのやり取りによる精神的ストレスも抱えることになります。
保険会社は交渉のプロであり、被害者個人が対等に渡り合うのは容易ではありません。
弁護士にご依頼いただくことで、煩わしい交渉をすべて代行し、裁判基準に基づいた正当な賠償金を追求します。
多くの保険には弁護士費用特約が付帯されており、これを利用すれば弁護士費用を自己負担なしで依頼できるケースがほとんどです。
「今の提示額は妥当なのか?」「後遺障害が認められるか不安」という方は、まずはご相談ください。あなたが本来受け取るべき権利を、最大限に守ります。
配偶者や元配偶者から突然、高額な離婚慰謝料を請求された場合、多くの方は驚きと不安で頭が真っ白になってしまうものです。
「自分の不注意や過ちが原因だから、言われた通りの金額を払わなければならないのか」、「到底一括で払える金額ではないが、自己破産するしかないのか」と一人で思い悩む方も少なくありません。
しかし、相手方が提示してきた請求額が、必ずしも法的に「適正な金額」であるとは限りません。
離婚慰謝料には過去の裁判例に基づいた相場があり、個別の事情によっては大幅な減額、あるいは支払いの拒否が認められるケースも多々あります。
そこで、ここでは慰謝料を減額できるケースや具体的な対応策、支払えない場合の対処法について、詳しく解説します。
離婚慰謝料を請求された!減額はできる?
結論から申し上げますと、相手方から請求された離婚慰謝料を減額できる可能性は十分にあります。
そもそも、離婚慰謝料とは、不貞行為(いわゆる不倫)やモラルハラスメント、DVなど、離婚の原因となった有責行為によって生じた「精神的苦痛に対する損害賠償」と、離婚により「配偶者の地位を失ったこと自体から生じる慰謝料」を合わせたものです(民法第709条に基づく不法行為責任)。
相手方は、怒りや悲しみといった感情的な理由から、あるいは今後の交渉(譲歩)を見越して、あえて相場よりもかなり高額な慰謝料を請求してくることが一般的です。
そのため、法的根拠に基づいて適切に交渉を行えば、双方が納得する現実的な金額へと減額できるケースは一定程度あります。
離婚慰謝料を減額できるケース
どのような状況であれば慰謝料の減額が認められやすいのか、代表的な4つのケースを解説します。
相手にも過失がある
離婚に至った原因があなただけにあるのではなく、相手方に何らかの落ち度(過失)がある場合、慰謝料は減額される傾向にあります。
例えば、あなたが不貞行為をしてしまった原因が、相手方からの長年のDVやモラハラ、あるいは過度な浪費や生活費の不払いにあったようなケースです。
このような場合、損害の公平な分担という観点から「過失相殺」に類する考慮がなされ、慰謝料額が減額される可能性があります。
相場以上の慰謝料を請求された
慰謝料には、有責行為の内相や婚姻期間、未成年の子どもの有無などに応じて、過去の裁判例から導き出された一定の相場が存在します。
- 不貞行為による慰謝料の相場:概ね100万円~300万円程度
- DVやモラハラによる慰謝料の相場:概ね50万円~200万円程度
もし相手方が「誠意を見せろ」と500万円や1000万円といった相場を大きく逸脱する金額を請求してきた場合、裁判基準に照らし合わせて適正な金額への減額を主張することが可能です。
自分の資産・収入が少ない
法的な支払義務と現実の支払能力は別問題ですが、示談交渉においては「支払う側の経済力」も重要な考慮要素となります。
例えば、請求された側に十分な資産や収入が無く、自己破産をされてしまえば、請求する側は一円も回収できなくリスクを抱えます。
そのため、「一括で支払えるのはこれだけである」と自身の経済状況(収入照明やローンの残高など)を正直に開示し、現実的に支払可能な金額での和解を提案することで、大幅な減額に応じてもらえるケースがあります。
自分のした行為の有責性が低い
同じ有責行為でも、その悪質性の程度によって慰謝料額は変動します。
例えば不貞行為の場合、その関係がごく短期間であったり、肉体関係の回数が1~2回と少なかったりした場合などは、有責性が比較的低いと判断され、減額の理由となります。
また、不貞相手方主導的であった場合なども考慮される事情の一つです。
慰謝料の支払いを拒否できるケースもある
減額交渉以前に、法的に慰謝料を支払う義務そのものが発生せず、請求を異完全に拒否できるケースも存在します。
相手が主張する内容が虚偽である・証拠がない場合
慰謝料を請求する側には、相手方が不法行為を行ったという事実を証明する責任があります。もし、相手の主張が単なる憶測や勘違いであり、事実無根である場合、支払に応じる必要はありません。
また、相手方が「不倫しているはずだ」と主張しても、それを裏付ける客観的な証拠(ラブホテルに出入りする写真や、明確な肉体関係を示すメッセージのやり取りなど)が一切ない場合は、裁判を起こされても相手方の請求は棄却される可能性が高いため、支払いを拒否できます。
時効がすでに成立している場合
不法行為に基づく損害賠償請求権には消滅時効が定められています。
民法第724条は以下のとおり規定しています。
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
- 一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
- 二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
つまり、相手方が不貞行為の事実と加害者を知ってから3年以上が経過している場合、あるいは不貞行為そのものがあった時から20年以上が経過している場合は、あなたが「時効を援用する(時効の利益を受けると主張する)」ことによって、慰謝料の支払義務は消滅します。
婚姻関係が破綻していた場合
慰謝料(特に不貞行為)は、平和な婚姻生活を維持する権利を侵害されたことに対する賠償です。
したがって、あなたが不貞行為に及んだ時点で、既に夫婦が長期間別居していたり、離婚に向けて具体的な協議が進んでいたりなど「婚姻関係が客観的に破綻していた」と認められる状態であれば、保護すべき権利が存在しないとみなされます。
この場合、不法行為は成立せず、慰謝料の支払いを拒否することができます。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
離婚慰謝料を請求された場合の対応
突然の慰謝料請求に対して、どのように初動対応を行うかが、その後の交渉結果を大きく左右します。以下の点に注意して行動するとよいです。
慰謝料請求を無視しない
内容証明郵便などで請求書が届いた際、恐怖や面倒くささから無視をして放置してしまう方がいますが、これは最も危険な行為です。
無視を続けると、相手方は「誠意がない」、「話し合いでの解決は不可能だ」と判断し、早期に訴訟(裁判)を提起してくる可能性が高まります。
裁判所からの呼出状すら無視すれば、相手の言い値通りの判決が下され、給与や預貯金を差し押さえられる(強制執行)リスクが生じます。
必ず回答期限内に何らかのリアクションを取ることが大切です。
慰謝料の減額交渉をする
もっとも、相手の言い値(提示額)をそのまま鵜呑みにして支払う必要はありません。
請求内容や事実関係を確認した上で「支払う意思はあるが、金額については相場や自身の経済状況を踏まえて再考してほしい」と減額交渉をスタートさせます。
交渉においては、前述した減額事由(相手方の過失、相場との乖離、支払能力など)を論理的に伝えることが求められます。
相手の気持ちを考えた対応をする
慰謝料音大は、純粋な法律論だけではなく、当事者の感情が強く入り混じる問題です。
「自分には支払能力がない」、「法的な相場はもっと低いはずだ」と最初から開き直った態度をとったり、相手方の神経を逆撫でするような暴言を吐いたりすれば、相手は態度を硬化させ、本来ならまとまるはずの減額交渉も決裂してしまいます。
まずは自身の至らなかった点について真摯に謝罪する姿勢を見せることが、相手の感情を落ち着かせ、結果的に有利な和解を引き出すための重要なステップとなります。
交渉を弁護士に任せる
以上のように、当事者同士での直接の話し合いは、感情的な対立を招きやすく、冷静な交渉が困難です。
交渉を弁護士に依頼することで、弁護士があなたの代理人としてすべての窓口となります。
法的根拠に基づいた冷静かつ説得力のある交渉が可能になるだけでなく、あなたが相手方と直接連絡を取る必要がなくなるため、精神的な負担を劇的に軽減できるという大きなメリットがあります。
離婚慰謝料が支払えない場合の対処法
減額交渉と行い、適正な金額で合意できたとしても、「どうしても手持ちの資金がなく、一括では支払えない」というケースは少なくありません。
そのような場合は、分割払いの交渉を行いましょう。
相手方としても、無理な一括払いを求めて結果的に自己破産されて一円も回収できなくなるよりは、長期間かかっても確実手に支払ってもらう方が、メリットがあると考え、分割払いに応じてくれるケースは多々あります。
しかし、分割払いで合意する場合には、将来の「言った・言わない」のトラブルや未払いを防ぐため、合意内容を強制執行認諾文言付きの公正証書として作成することが一般的です。
当該公正証書を作成することで直ぐに強制執行の手続を踏むことができるようになります。
離婚慰謝料を減額した事例
弁護士が介入し、法的根拠に基づく粘り強い交渉を行ったことで、大幅な減額に成功した事例をご紹介します。
相手方から、不貞行為をして別居したとして高額の請求を受けていました。
しかしながら、弁護士が代理人として介入し、過去の裁判例に照らし合わせると請求額が過大であることを指摘するとともに、早期円満な解決を求めるものとして一括で支払える具体的な金額を提示の上、交渉を重ねました。
交渉の末に請求額の半分程度まで減額した上で合意することができました。
離婚慰謝料を請求されてお困りなら弁護士に相談してみましょう
離婚慰謝料を請求された際、最も避けるべきは一人で抱え込み、焦って相手方の言いなりになってしまうことです。
法的な知識や交渉のノウハウがないまま対応してしまうと、本来であれば支払う必要のない高額な慰謝料で合意書に署名・押印させられてしまったり、不利な条件を背負わされたりする危険性があります。
また、相手方からの強いプレッシャーにより、日常生活や仕事に支障をきたすほど精神的に追い詰められてしまう方も少なくありません。
離婚問題や慰謝料請求に精通した弁護士であれば、現在の状況を法的に正しく分析し、「適正な相場はいくらか」、「拒否や減額の余地はあるか」を的確に判断できます。
また、弁護士が盾となることで、相手方からの直接の追及をシャットアウトし、あなたの平穏な日常を守りながら解決へと導くことが可能です。
「高額な請求が届いてどうすればいいかわからない。」 、「自分のケースで減額できるのか知りたい」と少しでも不安を感じた方は、決して一人で悩まず、まずは一度、専門家である弁護士の法律相談をお気軽にご利用ください。
適正な解決斗、あなたの新しい生活への第一歩を全力でサポートいたします。
家族が亡くなった際、相続人は、被相続人の預貯金を相続するために、金融機関での手続きが不可欠です。
預金口座は、金融機関が名義人の死亡を知った時点で凍結され、入出金等の取引が制限されるため、相続人は、速やかに解除の手続きを行う必要があります。
本記事では、口座凍結の理由及び解除方法、預貯金を相続する際の注意点、並びに金融機関での具体的な手続きの流れについて、必要書類の準備から払戻しに至るまで詳しく解説します。
亡くなった人の口座は凍結される
預貯金口座は、被相続人が亡くなり、金融機関がその事実を確認した時点で、直ちに凍結されます。
これは、遺産分割協議が調う前に、特定の相続人が勝手にお金を引き出してしまうなどのトラブルを未然に防ぐための措置です。
口座が凍結されると、現金の入出金及び解約ができなくなるだけでなく、公共料金若しくは通信料等の自動引き落としも停止されます。
そのため、相続人は、口座名義人が亡くなった場合には、引き落とし口座の変更等を事前に手配する必要があります。
凍結を解除するには
相続人は、口座の凍結を解除し、預貯金の払戻し又は名義変更を行うために、各金融機関において預貯金の相続手続きを行う必要があります。
遺言書又は遺産分割協議書によって誰が預貯金を相続するかを明確にし、印鑑証明書等の必要書類を揃えて金融機関へ提出します。
預貯金を放置したらどうなる?
相続人は、預貯金の相続手続きをせずに放置した場合でも、直ちに預金が没収されるわけではありません。
しかし、口座は、最後の取引から10年以上入出金等が行われていない場合、「休眠口座」となります。休眠口座にある預金は、休眠預金等活用法に基づき民間の公益活動に活用されることになります。
相続人は、所定の手続きを行えば、休眠口座から預金を引き出すことが可能ですが、金融機関によっては手数料が発生し、残高が減少するおそれがあります。
さらに、長期間放置することで、相続人の死亡により次世代への数次相続が発生し、相続関係者が増加して遺産分割協議が困難になるリスクも伴います。
そのため、相続人は、相続開始後、速やかに手続きを行うことが推奨されます。
預貯金を相続する場合の注意点
預貯金の相続手続きは、日常的な銀行業務とは異なり、多くの手間及び時間を要します。
特定の相続人は、遺産分割前に預金を引き出す際のリスク、金融機関の窓口の営業時間、並びに手続き書類の書式の違いなど、事前に把握しておくべき重要な注意点が存在します。
遺産分割手続きが完了するまで口座からお金を引き出さない
特定の相続人は、遺産分割協議が完了する前に、被相続人の預貯金を無断で引き出すことを避けるべきです。名義人でない者が無断で引き出す行為は、他の相続人との重大なトラブルの原因となります。
相続人は、葬儀費用等の支払いで早期に資金が必要な場合、民法で定められた「預貯金の払戻し制度」を利用することが可能です。
この制度を利用すれば、相続人は、家庭裁判所の判断を経ずに、各金融機関ごとに最大150万円まで単独で払戻しを受けることができます(民法第909条の2)。
ただし、仮払いを受けた分は、遺産分割の際に自己の相続分から差し引かれるため、引き出した金銭の使途は明確に記録しておく必要があります。
平日の日中しか手続きができない
相続人は、金融機関での相続手続きを、原則として平日の日中に窓口で行う必要があります。銀行の窓口営業時間は、一般的に平日の15時までとなっており、仕事等で時間を確保することが難しい相続人にとっては大きな負担となります。
さらに、昨今では、窓口での相続手続きが完全予約制となっている金融機関も増加しており、相続人は、事前の予約なしに来店しても対応してもらえない場合があります。
銀行ごとに書式が違う
続に用いる「相続手続依頼書」等の書類は、各金融機関によって名称及び書式が異なります。相続人は、ある銀行で受け取った書類を、別の銀行で使い回すことはできません。
そのため、被相続人が複数の金融機関に口座を有していた場合、相続人は、各金融機関の支店又は相続センターに個別に連絡し、それぞれの金融機関が指定する所定の書類を取り寄せる必要があります。
銀行等の金融機関で行う相続手続の流れ
預貯金の相続手続きは、主に口座を解約して現金を受け取る「払戻し」と、名義を変更する「名義変更」の2種類があります。
基本的には以下のステップで進められます。
1. 銀行等、口座のある金融機関に相続手続を申し出る
相続人は、相続が開始した後、まず被相続人が口座を保有していた全ての金融機関に対して、死亡した事実を申し出ます。
連絡の際、口座番号がわかる通帳若しくはキャッシュカードを準備しておくとスムーズです。金融機関はこの申出を受けて口座を凍結し、相続手続用の書類一式を案内します。
また、相続人は、正確な残高を把握するため「残高証明書」の発行も併せて請求しておくことが重要です。
2. 必要書類を準備する
相続人は、金融機関から指定された必要書類を収集します。
必要書類は、遺言書又は遺産分割協議書の有無によって異なります。
なお、法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を取得している場合は、戸籍謄本の提出を省略できることが多く便利です。
遺言書がある場合
必要書類は、金融機関所定の「相続手続依頼書」、遺言書の原本、被相続人の死亡の事実が確認できる戸籍謄本、受遺者の戸籍謄本及び印鑑証明書です。
自筆証書遺言の場合、法務局の保管制度を利用していない限り、家庭裁判所での「検認済証明書」も必要です。
遺言書がない場合
遺言書がない場合、法定相続人全員が金融機関所定の「相続手続依頼書」に実印で署名及び押印をします。
必要書類として、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、法定相続人全員の戸籍謄本、並びに法定相続人全員の印鑑証明書が求められます。
被相続人の通帳及びキャッシュカードも併せて返却します。
遺言書はないが、遺産分割協議書がある場合
金融機関には、所定の「相続手続依頼書」に加え、相続人全員の実印が押印された「遺産分割協議書」の原本を提出します。
その他、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、並びに相続人全員の印鑑証明書が必要です。
遺言書も遺産分割協議書もない場合
遺産分割協議書を作成しない場合、金融機関が用意する「相続手続依頼書」自体に遺産分割の合意内容としての性質を持たせ、法定相続人全員が実印で署名及び押印をします。
提出書類は、戸籍謄本一式及び相続人全員の印鑑証明書です。
3. 払戻し等の手続
相続人は、全ての必要書類を揃え、金融機関の窓口に提出します。
金融機関は書類の審査を行い、不備がなければ通常1週間から2週間程度で手続きを完了し、指定された口座へ払戻し等を実行します。
提出した戸籍謄本及び遺産分割協議書の原本は、返却を依頼することが可能です。
相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします
貯金・預金の相続に関するQ&A
銀行預金の相続に期限はありますか?
預貯金の相続手続きそのものに明確な期限はありませんが、10年経過による休眠口座化のリスクがあります。
また、相続税申告が必要な場合は「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」という厳格な期限があるため、速やかな手続きが推奨されます。
生活保護を受けているのですが、貯金を相続したら保護は打ち切られてしまいますか?
相続した預貯金の額によっては、生活保護が「停止」又は「廃止」となる可能性があります。
相続により最低生活費を上回る資産を得た場合、受給者はまずその資産を生活費に充てる必要があります。
相続人は自分だけです。相続手続きせず口座を使っていても良いですか?
相続人が一人の場合でも、被相続人名義の口座をそのまま使い続けるべきではありません。
名義人以外の利用は契約違反となるおそれがあるため、正式な名義変更又は解約の手続きを行ってください。
相続する貯金がどこの銀行にあるか分からない場合はどうしたらいいですか?
金融機関が不明な場合、自宅で通帳、キャッシュカード、郵便物、又はスマートフォン内のネット銀行の履歴等を調査します。
目星がついた金融機関の窓口にて、戸籍謄本等を提示して口座の有無を照会することが可能です。
貯金の相続手続きをするなら、弁護士への相談・依頼がおすすめです
預貯金の相続手続きは、戸籍の収集や平日の窓口対応など多大な労力を要します。
親族間で意見の対立が生じている場合などは特に困難です。
弁護士に依頼することで、煩雑な手続きを代行できるだけでなく、他の相続人との交渉を法的な観点から代理し、円滑な解決を図ることが可能です。
裁判員裁判は、すべての刑事事件が無条件で対象になるわけではありません。
対象となるのは、法律で定められた一定の重大犯罪についてのみです。
この記事では、裁判員裁判の対象となる具体的な事件や、例外的に対象から除外されるケース、裁判の手続きの流れ、そして弁護士による弁護活動の重要性などについて詳しく解説いたします。
裁判員裁判の対象事件とは?
裁判員裁判とは、国民の関心や社会的影響が大きい重大事件において、一般市民が裁判員として裁判官とともに審理に参加する制度です。
対象となるのは、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条第1項が定める一定の重大犯罪です。
具体的には、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪などの疑いで起訴された事件が該当します。他にも対象となる犯罪は多数存在しますので、犯罪名の一覧については、法務省のリンクをご参照ください。
犯罪名の一覧(法務省HP)裁判員制度は市民の感覚を裁判に反映させることを目的としており、対象事件に該当する場合、原則として地方裁判所における第一審が裁判員裁判によって審理されます。
裁判員裁判の対象事件から除外されるケース
対象事件に該当する重大な犯罪であっても、例外的に裁判員裁判の対象から除外されるケースがあります。
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第3条第1項の規定に基づき、被告人やその関係者の言動等により、裁判員やその家族に危害が加えられるおそれがある場合や、生活の平穏が著しく害される恐れがある場合がこれに該当します。
また、審理が著しく長期化するなど、裁判員の参加が非常に難しいような場合も除外の対象となり得ます。
ただし、裁判員裁判は市民参加を原則としているため、実際に除外されるケースはごく例外的な対応にとどまります。
対象事件と非対象事件の両方で起訴されるケースもある
一人の被告人に対して、裁判員裁判の対象事件と非対象事件が複数同時に起訴されるケースも少なくありません。
このような場合、刑事訴訟法の規定に基づき、本来は非対象事件である軽微な犯罪等についても、対象事件と弁論を併合し、全体を裁判員裁判対象事件として一緒に取り組むことがあります。
併合審理によって証拠調べ等の手続きをまとめて効率的に進めることができる一方、事案が複雑化し裁判員の負担が過大となる場合には、あえて区分審理が行われることもあります。
裁判員裁判の流れ
裁判員裁判の手続きは、厳格な順序に沿って進行します。
第一に、第一回公判期日の前に公判前整理手続が付され、裁判官・検察官・弁護人の三者によって争点や証拠の整理、審理計画の策定が行われます。
第二に、裁判員が選任された後、法廷での公判手続へと移り、冒頭陳述や証拠調べ、最終弁論が実施されます。
第三に、審理を終えた後、裁判官と裁判員による非公開の評議・評決が行われ、有罪・無罪の結論や具体的な量刑が議論されます。
そして最後に、裁判長によって法廷で判決が言い渡され、一連の手続きが終結します。
裁判員裁判の対象事件では弁護士による活動が重要
裁判員裁判の対象事件において、弁護士による適切な活動は極めて重要です。
具体的に期待できるメリットとして、まず、第一に、事実関係に争いがある事案での無罪判決の獲得に向けた緻密な主張立証が挙げられます。
第二に、被害者との示談交渉や情状事実の立証を通じて、刑罰の軽減を目指す活動があります。
さらに、除外事由を的確に主張して裁判員裁判の回避を目指すことや、捜査段階からの迅速な弁護活動によって不起訴処分を獲得することも、弁護士の重要な役割です。
裁判員裁判の対象事件に関するよくある質問
殺人未遂も裁判員裁判の対象事件になりますか?
殺人未遂罪も裁判員裁判の対象事件になります。
対象事件は法律上、「死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に係る事件」等と規定されており、殺人罪の未遂犯の法定刑もこれに該当するためです。
したがって、被害者が死亡に至らなかった場合でも、殺意をもって行為に及んだと判断されれば、原則として対象事件となります。
自分の事件が裁判員裁判の対象だった場合、取調べの様子を録音・録画できますか?
被疑者ご自身が取調べの様子を録音・録画することは認められていません。
裁判員裁判の対象事件では、捜査機関側が刑事訴訟法に基づき、取調べの全過程について録音・録画(可視化)を実施する義務を負っています。
適正な手続きは、後日弁護士が録画媒体等を確認することで担保されます。
裁判員裁判になったら刑事事件に精通した弁護士法人ALGにご相談ください
裁判員裁判は、一般市民が審理に参加するという特性上、通常の刑事裁判とは異なる入念な公判準備や、分かりやすい法廷プレゼンテーションの技術が求められます。
ご自身や大切なご家族が裁判員裁判の対象事件に巻き込まれた際は、決して一人で悩まず、裁判員裁判になったら刑事事件に精通した弁護士法人ALGにご相談ください。
専門的な知見と豊富な経験を持つ弁護士が、最適な弁護方針を立案し全力でサポートいたします。
裁判員裁判とは、特定の重大な刑事事件において、国民から選ばれた裁判員が裁判官と共に審理及び判決に関与する制度を指します。
一般市民が有罪若しくは無罪の判断、並びに量刑の決定に加わるため、被告人の弁護方針や表現方法には通常の裁判とは異なる専門的な工夫が求められます。
この記事では、裁判員裁判の対象事件や当日の流れ、被告人が伝えるべきポイント、及び弁護士に依頼する利点について詳しく解説します。
裁判員裁判とは?
裁判員裁判とは、地方裁判所で行われる刑事裁判のうち、国民が裁判員として参加し、裁判官と共に被告人の有罪若しくは無罪、及び有罪の場合の刑罰の内容を決定する制度です。
裁判員は、原則として6名が選出され、3名の裁判官と共に合議体を構成します。
裁判員は法律の専門家ではありませんが、事実認定や量刑判断において裁判官と対等の権限を有しており、その判断には市民感覚が色濃く反映される点に特徴があります。
裁判員の選び方
裁判員は、満18歳以上の有権者の中から、以下の手順を経て選ばれます。
- 各市区町村の選挙管理委員会が、くじによって裁判員候補者の予定者名簿を作成します。
- 裁判所が名簿の中から更にくじを引き、特定の事件ごとに候補者を呼び出します。
- 裁判所で行われる選任手続を経て、最終的に6名の裁判員(及び必要に応じて補充裁判員)が選定されます。
原則として国民の義務とされていますが、70歳以上の方、若しくは重い病気や怪我、仕事上の重要な用務、並びに冠婚葬祭などの正当な理由がある場合には、辞退が認められることもあります。
裁判員裁判の対象となる事件
裁判員裁判の対象は、死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる重大な罪を犯したとされる事件、若しくは法定合議事件であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件に限られます。
具体的には、以下の事件が該当します。
- 殺人罪
- 強盗致死傷罪
- 現住建造物等放火罪
- 身代金目的誘拐罪
- 危険運転致死罪
- 保護責任者遺棄致死罪
対象外となる事件
裁判員裁判の対象事件であっても、裁判員やその家族の生命、身体、若しくは財産に危害が加えられるおそれがある場合には、裁判所の判断によって裁判員裁判から除外されることがあります。
例えば、暴力団関係者の事件において「お礼参り」などの報復が行われる危険性が高い場合や、争点が多岐にわたり審判に著しく長い期間を要すると見込まれる事件などがこれに当たります。
裁判員裁判の対象事件について詳しく見る裁判員裁判の流れ
裁判員裁判は、迅速かつ分かりやすく進めるために、事前に「公判前整理手続」が行われます。
当日の流れは概ね以下の通りです。
- 冒頭手続:起訴状の朗読、黙秘権の告知、被告人・弁護人の陳述
- 証拠調手続:検察官及び弁護人による証拠の提出、証人尋問、被告人質問
- 弁論手続:検察官の論告・求刑、弁護人の最終弁論、被告人の最終陳述
- 評議・評決:裁判官と裁判員による非公開の話し合い、及び判決の決定
- 判決宣告:法廷において判決の言い渡し
判決が下されるまでの被告人の権利
刑事裁判においては、判決が確定するまで被告人は「無罪」と推定されるという「無罪推定の原則」が適用されます。
検察官が被告人の有罪を合理的な疑いがない程度に立証できない限り、有罪判決を下すことはできません。
この原則は裁判員裁判においても同様であり、市民である裁判員に対しても、証拠に基づいた慎重な判断が求められます。
裁判にかかる日数
裁判員裁判は、選ばれた市民の負担を軽減するため、連日開廷によって短期間に集中して審理が行われます。
事件の複雑さにもよりますが、多くの場合は3日から5日程度で判決に至ります。
ただし、複雑な事件や否認事件では、1週間以上の期間を要する場合もあります。
裁判員裁判では必ず有罪になってしまうのか?
裁判員裁判の対象事件は重大なものが多いため、有罪率が高い印象を受けるかもしれませんが、決して必ず有罪になるわけではありません。
裁判官と裁判員が証拠に基づき、対等な立場で評議を行います。
有罪か無罪かの判断、並びに有罪の場合の刑の重さは、裁判官及び裁判員の双方を含む過半数の意見(かつ、裁判官及び裁判員のそれぞれ1人以上の賛成が必要)によって決定されます。
証拠が不十分であれば、重大犯罪であっても無罪判決が下されることは実際にあります。
裁判員裁判で被告人が伝えるべきポイント
裁判員裁判では、法律の知識がない一般市民に訴えかける必要があるため、以下のポイントを明確に伝えることが重要です。
反省していることを主張する
罪を認めている場合、真摯に反省していることを裁判員に伝えることは量刑に大きく影響します。
単に「申し訳ない」と言葉にするだけでなく、被害者への謝罪の意思、被害弁償の状況、若しくは再犯防止のための具体的な更生計画などを具体的に示す必要があります。
裁判員の感情を動かすだけでなく、客観的な事実に基づいた反省の態度を主張することが肝要です。
市民感覚での合理性を主張する
裁判員は「なぜそのような行動に至ったのか」という経緯や動機を重視する傾向があります。
法律用語を多用するよりも、一般市民の感覚からして納得できる事情、例えば「その状況下ではやむを得なかった」と思える背景や事情を丁寧に説明し、合理性を主張することが説得力に繋がります。
裁判員裁判で弁護士に依頼するメリット
裁判員裁判における弁護活動は、通常の裁判以上に高度な技術が求められるため、弁護士に依頼することで以下のメリットが得られます。
- 無罪判決の獲得:証拠を精査し、裁判員に分かりやすい論理で無罪を主張します。
- 刑罰の軽減(執行猶予の獲得):被告人に有利な事情を提示し、量刑を減軽するように求めます。
- 裁判員裁判の回避:事件の内容によっては、裁判員裁判の対象外とするよう裁判所に働きかける活動を行います。
- 不起訴処分の獲得:捜査段階からの弁護活動により、裁判そのものを回避できる可能性があります。
- 視覚的効果を用いた主張:図表や映像を用い、裁判員に直感的に伝わるプレゼンテーションを実施します。
裁判員裁判に関するよくある質問
裁判員裁判で裁判員から直接質問されることはありますか?
はい、あります。
裁判員は、被告人質問や証人尋問において、自ら直接質問を行う権限を持っています。
裁判員からの質問は、一般市民が疑問に感じる核心部分を突いてくることが多いため、誠実に、かつ矛盾のない回答を準備しておく必要があります。
裁判員裁判に被告人として出席する場合、服装は何か決まりがありますか?
法的な決まりはありませんが、清潔感のあるスーツを着用するのが一般的です。
裁判員に与える第一印象は重要であり、だらしない服装は反省のなさと捉えられるリスクがあります。
拘置所に収容されている場合は、弁護士を通じて家族からスーツを差し入れてもらうなどの対応が必要です。
裁判員裁判で黙秘することはできますか?
はい、できます。
被告人には「黙秘権」が保障されており、終始沈黙し、若しくは個々の質問に対して回答を拒むことができます。
ただし、裁判員裁判では裁判員が直接心証を形成するため、一切の説明を拒否することが不利に働く可能性もあり、黙秘するか否かは弁護士と慎重に協議する必要があります。
裁判員裁判の弁護活動は刑事事件に強い弁護士法人ALGにご相談ください
裁判員裁判は、被告人のその後の人生を左右する極めて重要な手続きです。
一般市民を説得するためには、法的な知識だけでなく、分かりやすい説明能力や視覚に訴えるプレゼンテーション能力、並びに裁判員の心情を察する洞察力が不可欠です。
弁護士法人ALGでは、刑事事件の豊富な経験に基づき、最善の結果を得るための緻密な弁護戦略を立案いたします。裁判員裁判の対象事件となり不安を抱えている方は、ぜひ一度弊所へご相談ください。
交通事故でむちうち(外傷性頸部症候群等)になってしまった場合、治療費だけでなく、慰謝料を請求できます。しかし、加害者側の保険会社から提示された金額が本当に妥当なのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、むちうちで請求できる慰謝料の計算方法や相場、増額・減額されるケースについて詳しく解説します。適正な慰謝料を受け取るための参考にしてください。
むちうちで請求できる慰謝料とは
| 入通院慰謝料 | 交通事故が原因で怪我を負い、入院や通院し、治療を受けなければならなくなった精神的苦痛に対する補償 |
|---|---|
| 後遺障害慰謝料 | 交通事故が原因で後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償 |
むちうちによる交通事故で請求できる慰謝料は、主に2種類あります。
1つ目は、交通事故でケガをして、病院へ入院・通院を余儀なくされた精神的苦痛に対する「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」です。
2つ目は、治療を続けても症状が完治せず、後遺症が残ってしまった場合に請求できる「後遺障害慰謝料」です。
むちうちの慰謝料の計算方法と計算ツール
| 自賠責基準 | 被害者の損害のうち基本的な対人賠償の確保を目的とする自賠責保険で適用される基準です。 自賠責基準では、治療費や入通院慰謝料といった、怪我に伴う損害に対して支払われるお金の上限は120万円と決まっています。 そのため、120万円を超えた分は加害者が加入する任意保険会社に請求するか、加害者に直接請求することになります。 |
|---|---|
| 任意保険基準 | 各任意保険会社がそれぞれ独自に設けた基準で、一般に公開されていません。 自賠責基準で算定される金額を少し上回る金額が算定される傾向にあります。 |
| 弁護士基準 | 過去の裁判例をもとに設定された基準です。 裁判のほか、弁護士に示談交渉を依頼した際に使われます。弁護士基準は被害者が本来受け取るべき金額と言え、3つの基準の中で最高額になる基準です。 |
慰謝料の計算には、3つの基準(自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準)が存在します。
「自賠責基準」は法令に基づく最低限の補償額で、「任意保険基準」は各保険会社が独自に定める非公開の基準です。一方、過去の裁判例に基づく「弁護士基準(裁判基準)」は、3つの基準の中で最も高額になります。
保険会社は通常、自賠責基準や任意保険基準で低い金額を提示してくるため注意が必要です。
ご自身の適正な慰謝料額を知りたい場合は、以下の自動計算ツールが便利です。
自動計算ツールはこちら入通院慰謝料の計算方法
入通院慰謝料は、治療にかかった期間(通院期間や実通院日数)をベースに算出されます。
自賠責基準の場合は、「4,300円×対象日数」という明確な計算式があります(対象日数は、治療期間と実通院日数×2を比較して少ない方を採用します)。
一方、弁護士基準の場合は「慰謝料算定表(赤い本など)」を用いて計算します。
むちうちなど他覚所見がない(レントゲン等に異常が映らない)軽傷の場合は、通常のケガよりも少し低めに設定された「軽傷用の算定表(別表Ⅱ)」を使用して慰謝料額を導き出します。
むちうちの入通院慰謝料の相場
| 通院期間 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1ヶ月 | 8万6000円 | 19万円 |
| 2ヶ月 | 17万2000円 | 36万円 |
| 3ヶ月 | 25万8000円 | 53万円 |
| 4ヶ月 | 34万4000円 | 67万円 |
| 5ヶ月 | 43万円 | 79万円 |
| 6ヶ月 | 51万6000円 | 89万円 |
例えば、むちうちで3ヶ月間(週2回程度・計24日)通院した場合の相場を比較してみましょう。
自賠責基準で計算すると、4,300円×(24日×2)=206,400円となります。
一方、弁護士基準(軽傷用の算定表)を適用すると、通院3ヶ月で530,000円となります。
このように、同じ通院期間であっても、どの基準を用いて計算するかによって、2倍以上の大きな金額差が生じるのが一般的です。
後遺障害慰謝料の計算方法
むちうちの治療を半年以上続けても痛みやしびれが消えない場合、「後遺障害等級認定」を受けることで後遺障害慰謝料を請求できます。
むちうちで認定される可能性があるのは、主に「12級13号(画像等で神経症状を証明できる場合)」と「14級9号(自覚症状を医学的に説明できる場合)」の2種類です。
認定された等級と、適用する計算基準によって慰謝料額が機械的に決まります。
むちうちの後遺障害慰謝料の相場
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 12級13号 | 94万円 | 290万円 |
| 14級9号 | 32万円 | 110万円 |
むちうちで認定されることが多い「14級9号」の場合、自賠責基準では32万円ですが、弁護士基準では110万円が相場となります。また、より症状が重い「12級13号」が認定された場合、自賠責基準では94万円ですが、弁護士基準では290万円まで跳ね上がります。
後遺障害慰謝料についても、保険会社の提示額のまま示談するのではなく、弁護士基準で計算し直すことが極めて重要です。
まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
むちうちの慰謝料が減額されてしまうケース
逆に、適正な慰謝料額から減額されてしまうケースもあります。
代表的なのが「過失相殺」です。
被害者側にも事故の責任(過失)がある場合、その割合に応じて慰謝料を含む賠償金全体が減額されます。
また、むちうちは自覚症状が中心であるため、通院頻度が極端に少ない場合や、治療を途中で長期間休んでしまった場合、「すでに治癒している」「慰謝料目的の通院である」と疑われ、慰謝料を大幅に減額されたり、途中で治療費の支払いを打ち切られたりするリスクがあるため注意が必要です。
むちうちの慰謝料を弁護士基準で受け取ることに成功した解決事例
追突事故によりむちうち(頸椎捻挫)を負い、約半年間通院した事例です。
治療終了後、保険会社から提示された示談金(入通院慰謝料)は約40万円(自賠責基準レベル)でした。提示額に納得できず弁護士に依頼した結果、弁護士が「弁護士基準」を基に保険会社と粘り強く交渉を行いました。
その結果、最終的に入通院慰謝料として約40万円を獲得し、当初の提示額から約2倍の増額に成功しました。
自分自身で交渉しても相手にされないケースでも、専門家が介入することで適正額まで引き上げることが可能です。
むちうちの慰謝料の計算方法なのでわからないことがあれば弁護士にご相談ください
むちうちの慰謝料は、計算方法や適用する基準によって受け取れる金額が大幅に変わります。
保険会社はできるだけ支出を抑えるため、低い基準での金額を提示してくるのが通常です。
そのまま示談書にサインしてしまうと、後から「もっともらえたはず」と後悔してもやり直しはできません。
もし、提示された慰謝料額が適正かわからない、保険会社との交渉が精神的に辛いと感じたら、迷わず交通事故に強い弁護士にご相談ください。
弁護士があなたの代わりに交渉し、正当な賠償金(弁護士基準)を獲得するよう全力でサポートいたします。

-
- 保有資格
- 弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)
