養育費の減額請求

養育費の減額請求

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕

監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士

離婚当時の仕事を退職したり、新しいパートナーを見つけて再婚したりと、離婚後には、離婚のときには想像していなかったことが起きます。その結果、離婚のときに決めた養育費を支払うのが難しくなることもめずらしくありません。
そんなときに問題となるのが、養育費の減額です。このコラムでは、養育の減額について、減額を請求する側と請求される側の両方の視点から解説していきます。

理由があれば養育費の減額は認められている

経済状態の変化などで養育費の支払いが難しくなった場合でも、親は子どもに対して扶養義務を負っているので、基本的には養育費の支払義務はなくなりません。
もっとも、養育費は当事者双方の経済状況や扶養者の数などを考慮して算定されます。そのため、養育費を定めたときから現在までにそれらの事情に変化があれば、養育費の金額も変化することになります。そして、特に事情に変化が大きい場合(事情の変更があったと考えられる場合)には、養育費の減額が認められます。

養育費の減額が認められる条件

養育費を支払う義務がある親を義務者、養育費を受け取る権利がある親を権利者といいます。義務者または権利者に以下のような事情の変更が生じた場合には、養育費の減額が認められる可能性が高いです。

義務者が再婚した場合

義務者が再婚して、再婚相手の収入が無収入かそれに近い場合、養育費の減額が認められる可能性があります。そのような場合、義務者が再婚相手を扶養することになるため、子どものために支払うことのできるお金が相対的に減るためです。
再婚相手との間で子どもができた場合、義務者はその子どもを扶養する義務があるので、再婚相手の年収と関係なく養育費の減額が認められます。

権利者が再婚した場合

権利者が再婚した場合、再婚だけを理由に養育費の減額が認められるわけではありません。しかし、再婚相手と子どもとの間で養子縁組をした場合、子どもの第一次的な扶養義務は再婚相手が負います(民法818条2項、820条、877条1項)。
したがって、再婚相手が子どもとの間で養子縁組をしたうえで、現実に子どもを扶養できているのであれば、養育費の減額が認められます。

義務者の年収の減少・権利者の年収の増加

調停や審判で養育費を決定する場合、基本的には裁判所の算定表を用います。算定表では、両当事者の年収と子どもの数及び年齢から養育費を算定します。
両当事者の収入に変更があれば、算定の基礎に変更があることになりますから、養育費の具体的な金額は変わります。義務者の年収が減少するか、権利者の年収が増加した場合には、養育費を減額する方向で考慮することになります。
もっとも、年収の増減が小さい場合には、養育費の決定時に想定できたといえますから、養育費の減額は認められにくいです。反対に、やむを得ない転職などにより大幅に収入が減少したり、離職により収入がなくなったりしたような場合などは、比較的養育費の減額が認められやすい傾向にあります。

養育費の減額請求をしたい場合の方法と注意点

養育費を減額すべき事由があったとしても、権利者に対して減額を請求しなければ現実に減額はされません。そこで、一般的には以下のような手順で、権利者に対して養育費の減額を請求することになります。

まずは話し合う

養育費について、両当事者の話し合いによって支払金額を変更することができます。
話し合いの方法は、電話、メール、対面しての会話など、どのような方法でも構いません。メールやメッセージであれば、後から話し合いの流れを振り返ることができるので、ある程度話し合いが進んできたらメールなどに残しておくのもいいでしょう。
以前に養育費について公正証書を作成していたり、調停で養育費について合意していたりする場合には、後のトラブルを防止するためにも合意内容を公正証書化しておいた方がベターです。

話し合いを拒否されたら内容証明郵便を送る

当事者同士での話し合いが上手く行かなかった場合には、弁護士を立てて内容証明郵便で減額請求をすることが考えられます。
電話やメールでの話し合いをせずに突然内容証明郵便を送ったとしても、法的には問題ありません。しかし、権利者の反発を招き、ひいては減額について合意しにくくなる可能性があります。内容証明郵便を送る前に、一度は話し合いをしておいた方が良いでしょう。

決まらなかったら調停へ

当事者間の話し合いで減額ができなかった場合、次のステップとして養育費減額調停をすることになります。
当事者双方の当時/現在の収入、離婚後の再婚の有無、養育費の金額が算定表の金額より高い場合はその理由など、調停上で調停員に説明する必要がある事項については、事前に整理しておくと調停を円滑に進めることができます。
また、関係者が多かったり、事案が複雑だったりする場合には、弁護士を入れて細かな養育費の計算などを任せることで、より迅速に調停を進めることが考えられます。

踏み倒しは絶対にしないこと

養育費は子どもの生活のための費用ですから、支払義務がある範囲で支払いは続ける必要があります。少なくとも、減額後の想定金額分は支払うのが望ましいです。
また、養育費について公正証書を作成していたり、調停で合意していたりする場合、強制執行によって給与などを差し押さえられる可能性があります。そうなると、給料から養育費が差し引かれるとともに、勤務先に養育費を支払っていないことが伝わってしまうことになります。

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養育費の減額請求をされた方の対応

養育費の減額請求をされた側としては、どのように対応すべきなのでしょうか。
減額交渉に臨むうえで注意すべき点などについて、確認していきましょう。

減額請求されたら無視しないこと

養育費の減額を持ち掛けられた場合、一度は話し合いに応じた方が良いでしょう。
話し合いに応じなかった場合、養育費の減額調停を申し立てられる可能性があります。特に養育費を算定表よりも高く設定していた場合には、大きく減額されるおそれがあります。
また、養育費が任意で支払われなくなる可能性もあります。そうなると、公正証書や調停調書などがある場合でも、強制執行の手続きを取る必要があります。また、義務者の勤務先が分からない場合などには、強制執行できないリスクもあります。

養育費をできるだけ減額されないためにできること

養育費の減額を可能な限り防ぐためには、権利者の方で減額すべきでない事情を主張する必要があります。例えば、養育費の合意後に権利者の収入が減少していたり、権利者の扶養者が増加してたりすれば、それらの事情を主張することになります。 養育費が減額された場合にどう困るか(どのような支出があるか)という事情と、法的に減額すべきでない事情とは、必ずしも一致しないという点には注意が必要です。
一方で、生活が維持できるのであれば、減額に応じることも考えられます。減額請求を拒んだ場合、任意の支払いが受けられなくなるリスクもあります。離婚の時期によっては子どもが自立するまでの期間はとても長くなりますから、金額面で譲歩することで円滑な養育費の支払いを確保することも合理的な判断と言えるでしょう。

養育費の減額についてお困りなら弁護士にご相談ください

養育費の減額を請求したり、請求を防いだりするためには、減額事由に関する正確な理解が必要です。また、養育費の減額が妥当であるかの判断には、具体的事情を踏まえた計算が必要となる場合もあります。
あなたのケースの場合に、養育費の減額が認められるのか。認められる場合には、養育費の金額はどうなるのか。あなたの事情を踏まえたアドバイスは、あなたのお話をお聴きした人にしかできません。
自身で減額交渉や調停をする場合でも、まずは一度、弁護士にご相談ください。

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埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
監修:弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長
保有資格弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。