親権とは | 親権を決める流れと獲得のポイント

親権とは | 親権を決める流れと獲得のポイント

未成年者がいるご家庭では、離婚の際に、親権を決定することは避けて通れません。離婚の際は、親権を決定しなければ、離婚が成立しないのです。
そこで、以下では、離婚の際にいかに親権を獲得するかという親権獲得のポイントや、親権を獲得する際に注意すべき点について解説します。

親権とは

親権とは、親が子供に代わって財産の管理を行い、子供を代理して法律行為をし、子供の監護や教育を行う権利・義務をいいます。民法818条では、「成年に達しない子は、父母の親権に服する」とされ、未成年者が親権に服する旨が記載されています。一般的には、親権は父母が有し、父母が共同で親権を行使します。離婚する場合は、父母のいずれか一方が親権者と定めなければならず、離婚後は、父母の一方が親権者となります。

親権の種類

財産管理権

親権者には、未成年者が有する財産を管理する権限が与えられています。これを財産管理権といいます。親権者は、未成年者名義の預金口座の開設や大学入学手続きなど、未成年者に代わってこれらを行うことができますが、これらが親権者の財産管理権の具体例です。また、親権者は未成年者を代理して法律行為を行うこともできます。

身上監護権

親権者には、未成年者の身の回りの世話や、教育をする権利及び義務があります。これが、親権者の未成年者に対する身上監護権です。親権者は、未成年者に対して監督したり、学校に通わせたり、衣食住をともにしますが、これが身上監護権の具体例です。身上監護権の内容として、身分行為の代理権、居住指定権、懲戒権及び職業許可権という権利があります。

これらは、親権者の権利であるとともに、義務でもあります。したがって、親権者は、未成年者を監督し、教育を受けさせ、衣食住を共にして未成年者を養う義務等を負っているともいえます。

親権と監護権について

親権と監護権は、一見同じように見えますが、違うものです。未成年者と衣食住をともにして、成長を見届けていくのが監護権ですが、親権は、上述のとおり、財産管理権と身上監護権をその内容としています。
したがって、監護権は、原則として子供と衣食住をともにする身上監護権のみを有しているのです。
親権には、身上監護権がありますが、親権者が未成年者を監護できない事情がある場合には、例外的に、親権者とは別に監護者を定めることができます。

親権が有効なのはいつまでか

親権は、未成年者が成人するまで有効です。したがって、現在は、未成年者が20歳になる時点まで、2022年4月1日からは、18歳になる時点まで親権が有効です。
もっとも、未成年者も結婚することによって成人とみなされますので、結婚した場合には、その時点で親権が消滅することになります。
離婚時に、子供の中に未成年者がいない場合には、親権を決める必要はありません。

離婚の際に親権を決める流れ

離婚の際には、まずは、話合いによって親権を決めることになります。もっとも、話合いがうまく進展しない場合には、家庭裁判所で、調停委員が間に入って話合いを行う調停の手続を行うことができます。
調停によっても話合いがまとまらず、調停が不成立となった場合には、審判手続によって、裁判所が親権者を決定します。
この判断に不服がある場合には、訴訟を提起してさらに裁判所の判断を求めていくことになります。

親権獲得のためのポイント

親権を獲得するための重要なポイントとしては、親権者として主体的に子育てを行ってきたという実績があげられます。なぜなら、離婚後も子どもを同様の環境に置いて、可能な限り安定した生活環境を与えてあげようとする裁判所の考え方にその傾向があるためです。したがって、親権を獲得したい場合には、主体的に子育てをしていく必要があります。

子どもを連れて別居することによって、他方の親権者から子どもを離して、自身の下で監護実績を積むことも、親権獲得の一つの方法として考えられます。
しかし、他方の親権者から違法な連れ去りと主張されることもありますので、注意が必要です。

父親が親権を取得することは可能?

母親は、子どもを妊娠して出産するなど、子どもの誕生直後から、子どもと深い関係にあります。また、一般的には、父親が働いている間、母親は、子どもと過ごす時間が長いことが多いことも挙げられます。そこで、裁判所は、母親を親権者として定める傾向があり、これを、母性優先の原則といいます。

もっとも、父親が親権を取れないわけではなく、母親が子どもの世話をあまりせず、父親が母親以上に主体的に子どもの世話を行っている実態がある場合には、父親が親権を獲得できる可能性はあります。したがって、父親として主体的に子育てをしてきた実績を示す証拠を収集することは後々の争いになった際に有用です。

無職でも親権を獲得したい場合

専業主婦など、離婚後に無職になる場合がありますが、その場合でも親権を獲得できる可能性はあります。前述のとおり、裁判所は、主体的に子育てをしてきた親を親権者とする傾向にありますので、主体的に監護をしてきた親が無職であるからといって、機械的に他方の親を親権者と定めるような運用はしていないと思われるからです。

もっとも、親権者が、離婚後、経済的に自立することができることは、子どもの監護にとって重要ですので、離婚後の就職予定や、親族の協力を得られる予定など、安定した子育てができる環境を確保する意向を裁判所に示す必要があるでしょう。

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親権を決める際に注意すべきこと

安易に決めると後々の変更は困難です

一度決めた親権は、簡単に変更することはできません。したがって、離婚の際、夫婦間で子どもの親権を安易に決めた場合、後悔して親権を変更したいと思っても、簡単にはできないのです。
親権を変更したい場合、家庭裁判所に調停や審判を申立てる必要があります。その手続のなかで、親権を他方の親権者に変更した方が子どものために必要であることを明らかにする必要があります。
したがって、離婚時の親権については、一時的な感情等で安易に決定してはならないのです。

親権獲得後の養育環境で、親権停止・喪失する場合も

離婚後、親権者が子どもの養育にあたり、無責任な態度を続けていると、親権を喪失又は停止することがあります。例えば、子どもに食事を与えない、教育を受けさせない、病院に連れていかないなどです。このような場合、他方の親や子ども本人は、審判を申立てることで親権の停止や喪失の審判がされることがあります。もっとも、親権者の喪失については、無期限に認められ、親子関係に重大な影響を与えるため、裁判所はこれを慎重に判断する傾向があります。

子を連れた勝手な別居は不利になる場合も

子どもを連れて別居する場合、事前に話合いなどをすることもなく一方的に別居をすると、相手方は理由もなく一方的に子を連れ去られたと感じ、その違法性を主張され、親権決定に不利になることがあります。

この場合、子を連れ去られた相手方は、子の引渡し請求の審判を行い、子どもを連れ戻す審判を求めていくことになります。もっとも、別居に至った経緯の中に、相手のDVやモラハラなどから身を守るためのものがあれば、その正当性が認められ、親権の争いで不利になることはないものと思われます。したがって、別居した親権者は、自身の正当性を主張するためにも、相手のDVやモラハラなどの証拠を残しておくことが重要になります。

親権を獲得できなかった場合の養育費について

養育費とは、子どもが自立するまでの生活費や学費をいいます。父母は、協力して子どもを扶養する義務があり、この義務は離婚しても変わりはありません。したがって、親権を獲得できなかった親権者は、離婚後、子どもの養育費を支払う必要があります。

親権が取れなかった側の面会交流について

親権が取れなかった親は、離婚後、子どもと会えなくなるわけではなく、面会交流を通じて、子どもとつながりを持つことができます。
面会交流の方法は、直接会うことはもちろん、電話やビデオ通話、手紙等の間接的な方法によっても可能です。離婚後も子どもと面会交流を行いたい場合は、離婚の際に、面会交流の具体的な取り決めを行い、子どもに会う機会を確保しておきましょう。

親権問題は弁護士に相談して入念な準備をしましょう

親権の問題は、一時的な感情で決定すると、後から後悔することがありますので、離婚の際に、きちんと決めておきましょう。親権を獲得したい場合は、どのようにすれば親権を獲得できるのかなど、離婚をする前に弁護士に相談されることをお勧めします。仮に、親権を取れそうにない場合でも、充実した面会交流の確保など、他の手段で子どもと関わり合いを持つことができますので、専門的な知識を持つ弁護士に相談することをお勧めします。

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この記事の監修

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長弁護士 辻 正裕
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。