
監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士
「家庭内別居」とは、子共のこと、経済的状況、世間体を保つため等の理由から、すぐに離婚することはせず、同じ家に住んだまま会話もせず顔を合わせることもしない状況のことを指します。
他方で、両親がともに同じ家に住んでいるものの、不仲であったり、会話がなかったりする状況をみながら生活する子供の心情は複雑になっているおそれがあります。
「家庭内別居」には、メリット・デメリットの両方があるものと考えられます。
本記事では、離婚問題、子供の問題、家庭問題に精通した弁護士法人ALGの弁護士が、「家庭内別居」における注意点などについて解説していきます。
家庭内別居で離婚することはできるのか
まず、「家庭内別居」の状態で、離婚することができるのか気にされている方も多いかと思います。
離婚する方法には、以下の方法があります。
- 協議離婚(夫婦での話し合い)
- 調停離婚(家庭裁判所で行う話し合い)
- 裁判離婚(裁判官が夫婦に離婚する理由があるかを判断する手続)
協議離婚と調停離婚は、話し合いによる解決を図る手続きであるため、家庭内別居しているかどうかにかかわらず、夫婦でお互いに離婚の合意に至れば、離婚することができます。
他方で、一方当事者が離婚に応じないとして、「裁判離婚」に発展した場合には、裁判官に夫婦が離婚する理由(法定離婚事由という。)があると判断してもらう必要があります。
「家庭内別居」をしているというだけでは、法定離婚事由に該当するとは認定され難いのが現実です。
そのため、「家庭内別居」で離婚することができるかどうかは、夫婦間の協議次第ということになります。
家庭内別居を選ぶ理由
「家庭内別居」を選ぶ理由としては、夫婦間におけるさまざまな問題、理由があるものと思いますが、代表的なものを取り上げてみたいと思います。
子供への負担が小さい
まず、「家庭内別居」を選ぶ1つ目の理由としては、「家庭内別居」のほうが子供への負担が小さいことが挙げられるかと思います。
離婚するとなると、親権者を夫婦の一方に決め、その親権者が子供を単独で育てていくことになります。親権者が今の家に住み続けるケースは少なく、子共を連れて引っ越しをする可能性が高くなります。そのため子共は親権者との引っ越しに伴って転校せざるを得なくなります。
以上の場合と比較すれば、「家庭内別居」の場合は、住居を変えずに今までの生活をすることができるため、子供が転校する必要がなく、環境の変化による負担は小さくなります
一方で、「家庭内別居」ということで、両親が不仲なまま同じ空間で暮らしていくことになり、当然子供は、夫婦の仲の悪さを間近で感じ取ることになります。
そのため、子供への負担が小さくなると考えて「家庭内別居」を選んだにもかかわらず、かえって子供の心身への負担が大きくなる可能性があるので、注意が必要です。
経済的な負担が少ない
次に、「家庭内別居」を選ぶ2つ目の理由としては、「家庭内別居」のほうが経済的な負担が少ないことが挙げられるかと思います。
離婚するとなると、今住んでいる家を出て行かなければならなくなり、転居先を見つけて、自分で家賃や水道光熱費などの生活費を全てまかなって生計を立てて行かなければなりません。
他方で、「家庭内別居」であれば、家を出て行かなくて済むため、家賃等がかからず、夫婦で生活費を分担するなど経済的な負担が少なくなります。
特に、子供が小さいなどの理由で働いていない方は、すぐに家を出て行き、自分のお金で生活していくには経済的な不安が大きく困難です。そのため、経済的な理由から「家庭内別居」を選ぶ方も多くいらっしゃるかと思います。
世間体を守れる
また、「家庭内別居」を選ぶ3つ目の理由としては、「家庭内別居」のほうが世間体を守れることが挙げられるかと思います。
離婚し、別居するとなると、以上でも触れたとおり、転居・転校をしなければなりません。場合によっては子供の苗字を変える(例えば、母親の旧姓にするなど)ことを選択するケースもあります。
その場合には、職場や子供が通う学校などへの手続きが必要になります。また、近所の人も含めて周囲の人に離婚したことを隠すのは難しいといえます。
これに対して、「家庭内別居」の場合には、同居自体は続いているため、周囲の人からは夫婦生活はうまくいっているように見えている場合(見えるように装っている)も少なくありません。
周囲の人から見える部分は、以前と変わらないため、夫婦の仲が険悪になっていることを気づかれず、世間体を守ることができると考える方もいらっしゃるかと思います。
面倒な手続きをせずに済む
最後に、「家庭内別居」を選ぶ4つ目の理由としては、離婚する際の面倒な手続きをせずに済むことが挙げられるかと思います。
そもそも、離婚をするには、まず配偶者と協議をして、離婚についての同意を得なければなりませんし、財産分与や慰謝料、子供がいれば親権や養育費、面会交流など、様々な離婚の条件を決めていく必要があります。
協議の過程では、それぞれの言い分が食い違い、離婚に至る原因に認識の相違なども見られ、そう簡単に離婚の合意がまとまるわけではありません。
また、協議でまとまらない場合、最終的には裁判を行うことになり、その場合には裁判官を納得させるための客観的な証拠を用意していく必要があるなど、実際に離婚に至るまでに長期間かかってしまうケースも少なくありません。
さらに、離婚した後も、苗字の問題やそれに伴う市役所等の手続きも必要になりますので、このような面倒な手続き等を踏む必要がないということで、「家庭内別居」を選ぶ方も少なくないでしょう。
家庭内別居のデメリット
「家庭内別居」については、以上のようなメリットとも思えるような側面もありますが、逆にデメリットとなるようなことはあるのでしょうか。
以下において、代表的なものを取り上げてみたいと思います。
同じ家にいるだけでストレスを感じる
「家庭内別居」でのデメリットの1つ目としては、同じ家にいるだけでストレスを感じることが挙げられると思います。
「家庭内別居」をしようということで、夫婦間でお互いに干渉せず、会話をしないと決めていても、同じ家に住んでいる以上、どうしてもばったり会ってしまうことや相手の声が耳に入り、場合によっては会話をせざるを得ないことはあるでしょう。
離婚を考えるまでに至った夫婦が同居する以上、相手方の些細な言動でストレスを感じるという方は多いと思います。
家庭内別居を理由に離婚を認めてもらうことは難しい
「家庭内別居」でのデメリットの2つ目としては、家庭内別居だけを理由に離婚が認められることは難しいことが挙げられます。
例えば、数年間は「家庭内別居」を続け、その後すぐに離婚しようと考える場合があります。この場合に、「家庭内別居」から数年後、離婚協議を開始してもすぐにまとまらないことがあります。その場合、当然離婚は成立しません。また、仮に裁判になったとしても裁判官から「家庭内別居」を理由に離婚を認めてもらうのは難しい可能性が高いです。
というのも、「家庭内別居」は、以上で触れたとおり、周囲の人からは夫婦仲が険悪だとわからない場合が多く、第三者から見れば、夫婦関係が破綻していると認定できない状況となります。裁判で離婚が認められるのに必要な「夫婦関係の破綻」という客観的な事情が認められないことになります。
他方で、「家庭内別居」ではなく、実際に別居した場合、別居期間が相当長期間に及ぶと、夫婦関係が破綻しているとして、法定離婚事由(その他婚姻を継続し難い重大な事由)が認定される可能性が出てきます。
実際に別居する場合については、以下解説していきます。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
家庭内別居から完全別居する場合の注意事項
それでは、離婚することを見据えて、「家庭内別居」から実際に別居する場合の注意事項としてはどのようなことが考えられるでしょうか。
まず、夫婦には同居義務(民法752条)があるため、完全に別居する場合には、別居するに足る正当な理由が必要であるとご理解ください。
もちろん、夫婦間の問題を背景に別居することになりますが、きちんと別居するに足る正当な理由や背景が必要であることは意識するようにしましょう。
別居の経緯で揉めて、離婚に時間がかかるケースも少なくありませんので、ここを曖昧にしてしまうとかえって負担が大きくなってしまいます。
また、きちんと配偶者に、別居する理由を伝えておくことも必要です。
もちろん、夫婦間の話し合いで別居する合意に至ることが望ましいですが、夫婦間で揉めだすと、別居することの合意を取ることも容易ではありません。
そのような場合には、やむなくですが、後のトラブルを少しでも抑えるべく、なぜ別居を選択せざるを得なかったのか、その理由や背景を手紙等で伝えるべきでしょう。
他にも、夫婦間の共有財産の確認をしておくことが望ましいです。
離婚時に財産分与の協議を進めるのですが、どのような財産があるか把握できていることが望ましく、何も準備をせずに別居してしまうと、家には戻れませんから相手方の財産を把握することが難しくなってしまいます。
そこで、離婚時の財産分与で損をしないよう、夫婦の共有財産については事前に調べて確認しておく必要があります。
家庭内別居と離婚に関するQ&A
それでは、「家庭内別居」と離婚に関してよくある質問を取り上げたいと思います。
家庭内別居をしていた場合、財産分与の対象になるのはいつまでですか?
「家庭内別居」をしていた場合、財産分与の対象となるのは、実際に離婚する、もしくは、別居した時点での財産である可能性があります。
というのは、財産分与の対象になるのは、婚姻中に夫婦で協力して築いた財産です。同居中は夫婦の財産形成に関する貢献は完全に分離できないのが基本となります(夫が稼いだお金を妻が生活費として一部使ったり、食事を提供したりするなど)、他方で、別居すると家計が分離されるため、その時点で夫婦で協力して財産を形成する関係が解消されると考えられます。そのため、別居した時点の財産を対象とすることが多いです。
もちろん、「家庭内別居」の場合の、家計の管理の方法によるかもしれませんが、一般的には、財産分与の対象となるのは、別居していなければ「離婚時まで」の財産、別居している場合は「別居時まで」の財産です。
夫婦で会話なし、無視が続く状態は「婚姻関係が破綻している」とみなされますか?
夫婦で会話なし、無視が続く状態だけで、直ちに「婚姻関係が破綻している」とみなされるわけではありません。
同居しているため、会話がない、無視が続くという状態については外部からは分からないですし、同居できている以上、夫婦での生活は可能と判断される可能性も十分にあります。
ただし、会話なし、無視が続く状態ということで、配偶者も離婚に同意する可能性もありますから、夫婦がお互いに離婚に同意しているのであれば離婚は十分可能です。
家庭内別居中の婚姻費用は請求できますか?
「家庭内別居」中であっても、婚姻費用を請求することは可能です。
「家庭内別居」中だけれども、生活費を一切もらっていない場合などのケースが想定されます。
ただし、「家庭内別居」の場合、裁判所が公開している算定表どおりの額をもらえないでしょう。
算定表はあくまでも別居した夫婦を想定して作成されているため、自宅や水道光熱費などの生活費を共通にする「家庭内別居」にそのまま当てはめることはできないためです。
この場合には、同居中ということで、共通でかかっている費用や住居関係費(家賃を免れているといえる分)を夫婦のどちらがどれだけ負担しているのかといった事情を考慮し、算定表の金額を調整して決定することになります。
家庭内別居から離婚をお考えの方は、早めに弁護士にご相談ください。
これまで見てきたとおり、「家庭内別居」をしようとする際のメリット、デメリットについては一長一短であり、すぐに離婚したいのか、それとも経済的な負担を考慮するのかなど個々の夫婦で検討すべき課題は異なるものと思います。
ただし、「家庭内別居」だけを理由に離婚を求めても、裁判所に法定離婚事由を認めてもらうのは難しく、家庭内別居の状況やそのほかの事情が相まって、離婚が認められる可能性はありますが、簡単ではありません。
このように「家庭内別居」のままで良いのか、離婚で良いのか、は今後の人生も考えながら決断しないといけないので、そもそもどのように進めるべきか、専門家の判断を仰ぐべきでしょう。
「家庭内別居」をしようか実際に別居すべきかを迷っているような方は、一度、弁護士法人ALG弁護士にご相談ください。
どんなに円満な関係を継続している夫婦でも、大きな喧嘩等で離婚するケースは少なくありません。その際、当事者間で冷静に話し合い、双方が納得の上離婚をすることができればベストですが、勢いで離婚する等して、後から後悔する可能性もあります。
本記事では、離婚を後悔しないために、離婚すべきかどうか、離婚をするならばどのような準備をしておくべきか、について解説していきます。
男女共通で離婚を後悔する理由
離婚を後悔する理由は個人によって異なり、また男女によっても大きく変わりますが、男女共通で後悔する理由もあります。
世間から厳しい目で見られる
近年は、国内の離婚率が上がっていますが、まだまだ離婚に対する偏見も少なくありません。
離婚をしているから、何か問題(暴力、不貞等)のある人なのではないか、子どものことを考えていないのではないかなど、世間から冷ややかな目で見られることもあることは、離婚の後悔へ繋がりやすくなります。
離婚してから元配偶者の良さに気付いた
離婚後に冷静になった後で元配偶者の良さに気付くことがあります。喧嘩等して離婚を思い立った場合、一度立ち止まり、冷静になって離婚すべきかどうかを考えてみましょう。周囲に相談できる友人や家族がいれば、相談してみて客観的な意見をもらうのも一つの手です。
孤独感・寂しさを感じている
元配偶者と同居していることに慣れていると、離婚後、一人での生活に寂しさや孤独感を感じる方も多くいらっしゃいます。ただ、この後悔は離婚後に他に交際相手等を見つけることで解消できるため、一時的なものといえるでしょう。
勢いで離婚してしまった
離婚には、人それぞれ多くの理由があります。結婚して間もない離婚や熟年離婚など、離婚までの結婚年数もばらばらです。
もっとも、理由や年数にかかわらず、大きな喧嘩をしてしまった結果、勢いで離婚してしまった夫婦もいます。感情的になり、勢いで離婚すると、後々後悔することも多いようです。
子どもに寂しい思いをさせてしまう
離婚し元配偶者と別居する場合、子どもは非監護親と生活することはできません。そのため、本当は寂しさを感じていないか、学校でいじめられたりしていないかなど、非監護親としては心配になります。
特に離婚を機に遠方に引っ越す場合などは物理的に会うことが困難になり、そのような心配で気を揉んだり、子どもが我慢している様子が見えたときなど、離婚を後悔してしまうこともあるようです。
女性が離婚を後悔しやすい理由
以上では、男女共通して離婚を後悔する理由について紹介しましたが、以下では女性特有の離婚を後悔してしまう理由について紹介します。
経済的に苦しくなってしまった
離婚をした女性の後悔の一つに、経済力の低下による後悔があります。特に専業主婦やパート・アルバイトの女性が離婚をした場合、経済的に苦しくなり、否が応にも生活レベルを下げざるを得なくなる可能性が高いです。
離婚後に正社員になり仕事をしようと思っても、なかなか転職活動も厳しく、子どもを抱えていると上手くいかないことも多くなります。仮に、養育費をもらっていたとしても、それだけでは子どもの生活を賄えないことも多いのが現状です。
シングルマザーで育児しなければならない
子どもがまだ幼い場合、保育園に預けて送迎が必要になるなど、仕事をしながら1人で子どもを育てるとなると、結婚していたときよりも、何倍も忙しくなり、体力的にも精神的にも余裕が持てなくなると考えられます。
このように、ワンオペ育児に疲れ切ってしまうことも、離婚を後悔する原因になります。
男性が離婚で後悔しやすい理由
以下では、男性特有の離婚を後悔してしまう理由について紹介します。
子どもと会えないことが辛い
子どもが未成年の場合、離婚後は夫か妻のどちらかが子どもの親権を持つことになりますが、離婚後の居住地や生活状況によっては子どもと会う機会が減ってしまうものです。
子どもを連れて実家に帰ってしまったり、離婚後はほとんど縁が切れてしまい連絡が途絶え、子どもとの面会が実現しないこともあるかもしれません。今まで顔を見ることのできた子どもに会えないことが辛いため、後から離婚を悔やんでしまうのでしょう。
なお、男性であっても他方配偶者である女性よりも育児を積極的に行っていた場合などには、男性が子どもの親権を取得することもありますので、一概には言えません。
仕事と家事を両立するのが大変
結婚していた当時、妻が専業主婦でほとんど家事は妻に任せていた男性の場合、離婚後、一人で慣れない家事をこなさなければならなくなります。
さらに、共働きで家事を一部していたとしても、離婚後は全ての家事を1人でしながら仕事と両立しなければならなくなり、大変な思いをすることも多いです。そうした時に、離婚を悔んだりするのでしょう。
子なし夫婦が離婚で後悔する理由
上で述べましたが、離婚後に子どもと会えなくなったりすると、離婚したことを後悔しがちです。もっとも、子どものいない夫婦であっても、離婚を悔やむことがあるのは言うまでもありません。
冷静な話し合いができずに、売り言葉に買い言葉で喧嘩をしてしまい離婚に至った場合や、離婚後に元配偶者よりも良い人に出会えなかった場合等、取返しのつかないことをしてしまったのかなと思い悩んだりもするでしょう。
悔やんでも仕方ないとしても、やはり後悔が残るのでしょう。
離婚で後悔しないためにすべきこと
まずは、感情的な勢いで離婚に至ったりしないよう、配偶者と冷静な話し合いをすることを心がけましょう。それでも、話し合いが成立しないこともあるので、しっかり離婚するにあたってのメリット、デメリットをあらかじめ調べておくようにしましょう。
離婚に向けてしっかり準備しておく
離婚すると決めたときには、きちんと離婚のために必要な準備をする必要があります。特に、必要な証拠や資料を収集するようにしましょう。
配偶者が不貞をしているようであれば、慰謝料請求のために必要な不貞の証拠を集めなければならず、また、財産分与のことを考えれば、不動産、預貯金、その他株式等、どのような夫婦共有財産があるかも整理しておかなければなりません。
具体的には、同居中に配偶者の預金通帳を確認したり、銀行や証券会社から配偶者宛に郵送される郵便物に気をとどめておくこと等が考えられます。
離婚条件は妥協せず取り決める
離婚を求めている側の場合によくあるのが、早く離婚することを希望する余り、離婚条件を妥協してしまうことです。そのため、離婚することを焦るべきではなく、十分に離婚条件が妥当かを検討してから離婚すべきです。
特に、離婚を急ぐことで配偶者に足元を見られてしまい、離婚条件を吊り上げられてしまう危険があります。早期離婚を求めるよりも、離婚後に後悔しないことを優先する場合、やはり離婚するための「条件」は妥協せずに、配偶者と合意をするか、裁判所の判断を求める方が良いでしょう。
- 親権、養育費
子どもがいる場合、親権を夫と妻で取り合うことは珍しくありません。離婚後の自分の気持ちだけでなく、子どもの人生にも関わってくる重要事項なので、子どもにとって何が最善かという観点から話合いをまずはしましょう。
また、離婚後、子どもの監護をしている一方の親は、もう片方の親から養育費をもらえることが通例です。そのため、養育費の金額についても、おざなりにせず、妥協せずに決めましょう。
- 年金分割
夫婦の一方または両方が厚生年金に加入していた場合、年金分割ができます。合意分割をする場合、相手方の同意で分割割合も決めなければなりません。
年金分割は離婚後に年金事務所で手続きを行う必要があるので、きちんと分割割合について、合意書を残しておきましょう。
- 慰謝料
配偶者が不貞やDVをして被害を受けたといった場合、慰謝料請求ができるので、話し合いをしましょう。
- 財産分与
原則として、婚姻期間に夫婦共同で築いた財産を折半することになります。もっとも、不動産や動産、預貯金や投資信託・株式等、それぞれが取得を欲する財産は異なるかもしれません。
そのため、何をどれだけ分与して欲しいと考えるか、双方の意見を前提に話し合うことが必要です。
合意できた内容は公正証書に残しておく
慰謝料を支払うと合意したにもかかわらず、離婚後も一向に元配偶者から振り込まれない場合、また、養育費の支払いが途中から滞る場合など、元配偶者が離婚後に、取り決めに従わずに金銭を支払わないことが考えられます。
そのような状況に陥った場合、きちんと元配偶者から取り決めた金銭を回収できるよう、強制執行をかけられるようにしておく必要があります。そのため、双方で合意内容を公正証書という形で残しておくようにしましょう。
離婚問題に強い弁護士に相談する
離婚条件が妥当かどうかは、仮に訴訟になった場合にどう判断されるかを見据えなければならず、専門的知識がないと判断が困難です。
そのため、離婚した後に後悔しないためにも、まずは離婚について専門的知識を有する弁護士に相談すべきです。
離婚するかどうかで判断に迷ったときは
配偶者に対し不満があっても、そもそも、離婚自体をすべきかどうか悩んでる方もいらっしゃるかと思います。その場合、まずは冷静に考えを整理してみましょう。
以下では、離婚するかどうかで判断に迷ったときについて解説します。
離婚以外の方法がないかを考える
離婚以外の方法がないかを考えてみてください。例えば、産後うつが原因で離婚したい場合、時間の経過により離婚したい感情が治まることがあります。
どうしても一緒にいるのが耐えられないのであれば、一時的に別居してみるなどの方法も検討してみてください。
離婚後の生活が成り立つかを考える
離婚後、元配偶者から支払われる養育費のみで子どもの生活費も賄えることはそう多くないでしょう。また、想像していたよりも、正社員になるのは簡単ではないかもしれません。
今一度、離婚後の生活が成り立つかどうかを考えてみましょう。離婚したことで後悔する原因は多数ありますが、最も多いのは経済的自立であるように思います。離婚しても生活に困窮すれば生きていくことができません。
離婚した後の自分の姿を想像し、経済的に自立した姿を思い浮かべられるかを確認してください。経済的な部分についてもお悩みについては、弁護士が専門家であるため、是非弁護士にご相談ください。
弁護士に相談する
お伝えしたとおり、離婚するかについて迷っている場合、離婚後の生活が成り立つかを考える必要がありますが、これは養育費や財産分与などの離婚条件とも関わってきます。
そのため、弁護士であれば、財産分与や養育費の取得額等の見通しを立てることが可能です。離婚するかどうかについて悩んでいる場合には、弁護士に相談しましょう。
離婚のための準備には何が必要か、離婚に向けて今後どのような手続きを踏まなければならないか、など初めてのことで知らないことばかりであることが多いでしょう。
法的専門知識のある弁護士に相談すると、必要な手順等について教えてもらえるといったメリットがあります。
すでに離婚して後悔している場合はどうする?
離婚後、離婚したことを後悔し悩んだ場合、まずは、どの点について後悔をしているのか整理をしましょう。離婚後であっても、財産分与が未了であれば、離婚成立から2年以内であれば、財産分与の手続きをすることができます。
また、離婚後の収入に変動があり、養育費について増減を希望する場合には、そのような法的手続きも用意されています。経済面でなく、精神面での負担であれば、心のカウンセリングも必要になるでしょう。
漠然とした後悔で整理が難しい場合であっても、一度、弁護士に相談してみるのも無意味ではないでしょう。
よくある質問
妻のモラハラ、ヒステリーがひどいため離婚を考えています。子どもの親権を獲得できますか?
実務的には、親権の判断の際にモラハラの有無は直接的には考慮されません。妻が、夫に対しヒステリーを起こしたりする場合でも、子どもに対しては、母として、監護・養育の実績があり、子どもとは良好な母子関係を築けている場合には、父親が親権を取得できないケースも多いです。
もっとも、モラハラが子どもの目の前でなされ、その意味を子どもが理解してしまい、子どもの成長に悪影響を及ぼすことが明らかな場合等には、親権の判断の際にモラハラの事実が考慮されることがあります。
セックスレスが原因で離婚すると、後悔する可能性は高いですか?
セックスレスといった、いわゆる夫婦生活に関する不満が原因で離婚をするからといって、必ずしも後悔するとは限りません。もっとも、セックスレスに至った要因や、現在の年齢にもよっても、後悔するかどうかは変わってくるでしょう。
そもそも、喧嘩が多い等、夫婦関係が不仲なことに端を発している場合には、セックスレスになりやすいでしょうし、離婚せざるを得ない状況になることもあるでしょう。
他方、年齢とともに夫婦生活が自然に減っていくことは珍しくないため、離婚後にパートナーができても、元配偶者と同年齢であれば、同じ悩みに直面することもあるかもしれません。
その意味では、後悔しないために、セックスレスの原因を考えてみると良いでしょう。
性格の不一致で離婚を考えています。後悔しないためにしておくべきことはありますか?
夫婦といえども、赤の他人です。これまで過ごしてきた環境も歩んできた道のりも違うのが通常なので、性格の不一致はめずらしくありません。もっとも、今後の結婚生活を送るうえで、その不一致が致命的なものなのかを考え、致命的かつ改善が見込めないようなものならば、離婚を考えてみるべきでしょう。
他方、一時的に、感情的になってしまったり、結婚生活が長いために気になることが増えてきたといったように、冷静に向き合えば、結果が変わりそうなものなのであれば、落ち着いて考え直しましょう。友人や家族に相談して意見を貰うのもよいでしょう。
妊娠中に浮気されたので離婚したいです。妊娠中の離婚で後悔するケースはありますか?
妊娠中の離婚により、後悔するかどうかは、人それぞれです。後悔するケースとして挙げられるのは、まず経済的な理由です。子どもが出産後、間もなくして働きに出なければならないところ、赤ちゃんを抱えながらなのでなかなか相応の給料をもらえないケースがあります。
他には、ワンオペ育児が大変で、心身ともに余裕がなくなるようなケースがあります。しかし、妊娠中に浮気するような夫は、妻に対する愛情に欠ける部分があり、やはり別れておいてよかったと思う人も少なくないでしょう。
産後クライシス・産後うつによる離婚で後悔しないためにはどうしたらいいですか?
離婚したいと考えるに至った原因が、産後の一時的なものが原因なのかをよく考えてみることです。心療内科で診察を受けたり、友人や家族に相談することも有用です。
その上で一時的なものと分かれば離婚を思いとどまることができますし、他方で今後継続するものと分かれば離婚したほうがよいのかもしれません。まずは、産後うつになったときには、夫を頼りましょう。
夫が親身になって話を聞いてくれたり、不安を軽減してくれないような場合、今後も症状が重くなり、子育てに協力が得られない可能性がありますが、寄り添ってくれることもあります。
離婚で後悔しないために、弁護士が法的な観点からアドバイスいたします。
離婚で後悔しないためには、離婚をした方が良いかどうかを冷静に判断し、離婚をすると決めたなら十分な準備をすることが必要です。
離婚をするにあたり、まず財産分与に必要な資料を集めておくべきですが、どのような資料をどれだけ集めたら良いかについても弁護士が助言いたします。
また、子どもの親権や養育費等、子どもがいる場合にはより一層、離婚後の生活に不安が生じると思います。そのような場合に備えて、親権や養育費の取り決めについても後悔しないよう、できるだけ早く弁護士にご相談下さい。
相続財産に不動産が含まれている場合、どのようにして当該不動産を分ければよいのか等、争いになることがよくあります。
不動産が高額となり相続財産に占める割合が他の相続財産に比して大きくなりがちであること、現金等とは異なりその評価額が争点となり得ること及び種々の分割方法が考えられること等、様々な要因があります。
本記事では、このように争いになることがよくある不動産の分配方法や相続登記、相続時に発生する税金等について以下述べていきます。
相続した不動産はどうやって分ければ良いの?
相続した不動産をどのように分ければよいかについて、まずは遺言が存在し、それが有効である場合には、被相続人の意思に従って相続を行う必要があるため、まずは遺言の有無を確認する必要があります。
遺言が存在しなかった場合には、以下に詳述する換価分割、現物分割、代償分割、共有分割のいずれかの方法で不動産を分けていくことになります。
遺言書があるなら内容を確認しましょう
まずは、遺言書の有無を確認し、遺言書があった場合にはその内容を確認することが必要となります。
ただし、被相続人の自宅等で遺言を発見したという場合に、遺言書をすぐに開封してその内容を確認することは避けるべきです。
このような場合には家庭裁判所の遺言書の検認という手続きを行う必要があります。
当該手続きの詳細については本記事では割愛します。
遺言書が有効なものであった場合には、相続人全員で遺産分割協議について合意が成立したとき等を除き、基本的には遺言書の内容に従って遺産が分けられることになります。
遺言の内容によっては、他の相続人の遺留分を侵害しているとして、そのことによって紛争が発生するという事態も考えられるところではあります。
売却・現金化して相続人で分ける(換価分割)
換価分割とは、遺産を売却等で換金した後に、現金で分配する方法です。
代償金を支払う能力がある者がいない場合や取得希望者がいない場合にはその方法を取ることになるでしょう。
相続人の一人がそのまま相続する(現物分割)
現物分割とは、財産の形状や性質を変更することなく分割する分割方法です。
遺産分割の原則的な方法とされています。
相続する人がほかの相続人にお金を払う(代償分割)
代償分割とは、一部の相続人に法定相続分を超える財産を取得させたうえで、当該相続人に他の相続人に対する債務を負担させる分割方法です。
代償分割を行うためには、法定相続分を超えて財産を取得する相続人が他の相続人に対してその分の債務を負担することができるだけの資力があることが必要となります。
複数の相続人で共有する(共有分割)
共有分割とは、遺産を、具体的相続分によって相続人が共有取得するという分割方法です。
上記換価分割、現物分割、代償分割が困難な状況にある場合には、この方法により遺産を分割するということがあります。
しかし、不動産を共有状態にしておくと、不動産の処分に関する手続きが煩雑となりますし、最終的には共有物分割訴訟を行う必要がある事態にはなりかねませんので、安易に共有分割をするべきではないとされています。
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不動産の相続には名義変更が必要
相続登記の申請が令和6年4月1日から義務化されましたので、相続によって不動産を取得した相続人は、相続登記を行わなければなりません。
相続登記の期限、申請に際して必要な書類及び提出先については、いずれも法務省の「相続申告登記について」「相続登記の申請義務化に関するQ&A」が詳しく正確ですから、こちらを確認してください。
不動産の相続時に発生する税金
不動産を相続する際には税金が発生することもあるので注意が必要です。
相続税
基礎控除の価格を相続した不動産が上回った場合には、基礎控除を上回った部分について相続税が発生します。
基礎控除の金額は、3000万円+600万円×法定相続人の数によって算出されます。不動産の価格がこれに満たない場合には、相続税は発生しないことになります。
登録免許税
遺産である不動産の名義を被相続人の名義からこれを取得する相続人の名義に変更する登記を行う際に発生するのが登録免許税です。
登録免許税は不動産の固定資産税評価額×0.4%と定められています。
相続したくない不動産はどうすればいい?
遺産分割方法で解決できるのであれば、他の相続人が当該不動産を取得する現物分割や代償分割ということが考えられます。
他の相続財産を受け取ることができなくなりますが、相続放棄をすれば、相続したくない不動産を受け継がなくともよくなります。
ただし、被相続人の不動産を占有している場合等、当該不動産の管理義務が生じている場合があり、このような場合には相続土地国庫帰属法によって定められた制度により不要な土地を国に引き取ってもらうことを検討するべきケースがあります。
当該制度の概要等については、いずれも法務省の「相続土地国庫帰属制度の概要」「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」を確認してください。
不動産の相続は弁護士へ依頼するのがおすすめ
以上のとおり、相続財産に不動産が含まれていた場合には、登記や納税等、相続人間で紛争が生じていない場合においても、様々な手続きが必要となります。
遺言書の確認や資料の収集、遺産分割協議書の作成、他の相続人とのやり取り等行うことができますから、相続人間で生じていない段階でも弁護士に相談されることをおすすめします。
信用棄損罪という耳慣れない犯罪をご存じでしょうか。こちらの犯罪について、どのような場合に成立して、どのような処罰がされ得るのかを詳しく説明します。
信用毀損罪とは
信用棄損罪は、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損」(刑法233条前段)したものをいいます。この「人の信用」とは、「人の経済的・社会的側面における評価」を指します。
その評価の対象は、個人だけではなく、法人や団体も、「人」に含まれます。人の信用を「毀損」させるには、実際に人の信用を毀損させる場合だけではなく、人の信用を毀損させるおそれを生じさせただけで、犯罪としては成立することになります。
また、この犯罪は、被害者からの被害の申告がなくても、成立する犯罪のため、第三者からの通報でも処罰される可能性があります。
信用毀損罪の罰則
信用毀損罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金と規定されています。
信用毀損罪の構成要件
信用毀損罪が成立する要件、すなわち構成要件は、以下のとおりです。
- 虚偽の風説を流布又は偽計を用いて
- 人の信用を毀損した
ことが必要です。これから詳しく説明します。
虚偽の風説
「虚偽の風説」とは、客観的真実に反する噂や情報のことを指します。単に、人の信用を毀損するような、真実の情報を流した場合にはこの「虚偽の風説」に当たりません。
真実の場合でも成立しうる犯罪である、名誉毀損罪や侮辱罪とは異なり、「虚偽」でなければ犯罪となりません。
流布
「流布」とは、不特定または多数の人に伝播させることを意味します。少人数であっても特定されていない人に対して虚偽の事実を伝えた場合に成立します。
偽計
偽計とは、人を欺罔し、または人の不知、錯誤を利用することを意味します。これは、詐欺罪にいう「詐欺行為」よりも広い概念であり、直接被害者に向けられることも要しないと解されています。
信用を毀損
信用毀損罪にいう「人の信用」は、“経済的側面における人の社会的な評価”という限定があります。したがって、これを毀損するというのは、人の経済的信用を低下させる危険のある行為を行うことを意味します。
また、先ほど述べた通り「毀損」させるというのは、現実的に信用を低下させるだけではなく、させるおそれがあるだけでも成立します。
信用毀損罪にあたる虚偽情報の例
信用毀損罪にあたる虚偽情報の例として、
- あの会社はもうすぐ倒産しそうだ
- あの人は品物の代金を払ってくれない
- あの店で販売している食品や飲料に異物が混入している
①と②のような支払能力・支払意思についての信頼を害する虚偽情報は、イメージしやすいものかと思います。これらに加えて、③のような販売している商品やサービスの品質についての信頼を害する虚偽情報も、信用毀損罪にあたります。
信用毀損罪と関連する犯罪
業務妨害罪
信用毀損罪と同じ条文に規定されている犯罪として、業務妨害罪があります。この犯罪には、威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪の2つがあります。
このうち、偽計業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いることを手段としています。この点は信用毀損罪とよく似ていますし、法定刑も同じです。一方で、信用毀損罪が経済的信用を毀損することを処罰するものであるのに対し、業務妨害罪は、人の業務を妨害することを処罰するという違いがあります。
信用毀損罪と業務妨害罪が両方成立する場合
人の経済的な側面に対する評価を低下させる行為として、先ほど、お店で販売している商品に対する信用等についても含まれると説明しました。つまり、人の経済的な側面には業務の妨害とも評価される場合があります。
そのような場合は信用棄損罪だけではなく、業務妨害罪にも該当することになります。もっとも、この場合には、観念的競合(=重い方の罪のみで処罰)として評価されることになります。
業務妨害罪について詳しく見る名誉毀損罪
信用毀損罪に近い犯罪として名誉毀損罪が挙げられます。両者は行為態様が異なります。後者が虚偽や偽計を手段とするのに対し、前者は事実であっても、公然性の要件を充足する場合、一定の要件に該当しない限り処罰の対象とされる可能性があります。
また、信用毀損罪は「経済的側面における人の評価」を保護の対象としているのに対し、名誉毀損罪は、それ以外の「人に対する積極的な社会的評価」を保護の対象としています。
前者は親告罪として被害者からの被害の申告がなければ処罰されませんが、後者は非親告罪として被害者の申告がなくても処罰される可能性があります。
信用毀損罪と名誉毀損罪が両方成立するケース
「経済的側面における人の評価」は信用毀損罪で保護されることから、名誉毀損罪の「名誉」には、その点が含まれません。
両方の罪が成立するケースとは、例えば経済的側面における人の評価を低下させるような虚偽の記述と、その他外部的・事実的名誉を低下させるような記述が混在する記事を公に掲載し、かつ被害者の被害申告がある場合というように、それぞれの罪の構成要件に該当する場合ということになります。
ネットの書き込みで信用毀損罪に問われた場合
インターネットの普及により、誰でも簡単に書き込みをすることができてしまいます。その書き込みの多くが、匿名のため安心して書き込みをしているものと考えられます。
しかし、虚偽の風説を流布する等、信用毀損罪に該当するような行為に及んでしまうと、警察からの照会や、被害者が損害賠償請求をする前提としての発信者情報開示請求等により特定される可能性があります。
書き込みをしたものが特定されると、刑事責任や民事上の損害賠償責任を追及される可能性は決して低いものではありません。発信者情報開示請求を受けたプロバイダ等は、契約者本人(≒書き込み主)に照会するのが通常です。
特定に要した費用も相当な範囲については、損害賠償として認める裁判例もありますので、言い逃れのしようもないような書き込みをしてしまったという場合も、弁護士に相談するなどの早期対応が望ましいところです。
刑事事件になった場合の対処法
刑事事件として立件され、逮捕された場合、48時間以内に検察官に送致され、そこから24時間以内に勾留請求するかどうかの判断がされ、勾留請求が認められた場合、通常10日間の勾留という流れを辿っていきます。
必要性が認められると、勾留はさらに10日間延長され、その間に起訴不起訴の判断がされます。余罪がある場合は、再逮捕や勾留等がさらに引き続く場合もあります。
逮捕の流れについて詳しく見る信用毀損罪に問われたら、弁護士に相談を
信用毀損罪は被害者のいる犯罪であり、示談の成否や被害弁償の有無は、量刑や起訴不起訴、執行猶予の有無等の判断に大きく影響するものです。
したがって、なるべく早い段階で謝罪や示談の申し入れ等を行うほうが望ましいところですが、加害者が直接被害者に接触するのは、かえって反発を招く場合も多く、示談交渉を試みるには、弁護人の存在はほぼ不可欠です。
早い段階でご相談ください。
逮捕・監禁とは、直接的に身体に働きかけ一定時間以上その自由を奪うことや、一定の場所からの移動を困難にすることをいいます。本記事では、どのような場合に、逮捕・監禁罪が成立するのかについて解説していきます。
逮捕・監禁罪とは
刑法220条には、「不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する」と定められています。これは、直接的に身体に働きかけ一定時間以上その自由を奪うことや、一定の場所からの移動を困難にすることを禁ずることで、個人の自由な行動を保障するための規定です。
逮捕・監禁罪の成立要件
逮捕・監禁罪における「逮捕」はどのような行為か
刑法220条にいう「逮捕」とは、人の身体に対し直接的な働きかけを行い、その人の行動の自由を奪いことをいいます。例えば、手錠で拘束したり、紐で縛って動けなくしたりすることがこれにあたります。
逮捕・監禁罪における「監禁」はどのような行為か
刑法220条にいう「監禁」とは、人が一定の場所から移動する余地を奪ったり、あるいは著しく困難にしたりするなどして行動の自由を奪うことをいいます。例えば、特定の部屋や建物の中に閉じ込めて脱出できなくしたり、見張りを置いて一定区域からの脱出を困難にしたりする場合などがこれにあたります。
「不法」であること
刑法220条にいう「不法」とは、逮捕行為や監禁行為に正当な理由がないことを意味します。警察官が、裁判所からの令状に基づき、適法な手続きに則り逮捕することは、「不法」であることの要件を欠くため、逮捕の罪に該当しません。
継続犯
逮捕・監禁罪が成立するためには、行動の自由の侵害が一定時間以上続いていたと言える必要があります。たとえば、手錠やロープで拘束したりした場合でも、それがほんの数秒の間だけ行われたものについては、逮捕行為や監禁行為に該当しません。同罪は、あくまでも個人の行動の自由を保護法益としているからです。
移動の能力を有する者が客体
では、移動能力を有しない者が客体のケースでは、逮捕・監禁罪は成立し得るのでしょうか。典型的なのが、生まれたての赤子や、泥酔している者、眠っている者が客体となるケースです。
判例や通説では、被害者側が行動の自由を制限されていることの認識までは不要とされていますが、潜在的な意味で行動し得る者である必要があるとされています。
したがって、生まれたての赤子は、潜在的な意味での行動能力を欠き、そもそも逮捕・監禁の客体とはなり得ないと考えられますが、泥酔している者や眠っている者など、一時的に行動能力を失っている者は、逮捕・監禁の客体になり得ると考えられています。
逮捕・監禁罪の刑罰
刑法220条は逮捕監禁の刑罰について、以下のように定めています。「不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する」
逮捕・監禁罪に問われるケース
逮捕・監禁罪で誤解されがちなのが、相手方に非難すべき点がある時に逮捕・監禁罪が成立しないというものです。しかし、同罪は、借金を返さない者や不倫をした配偶者など、相手に非難すべき点がある場合であっても成立し得るので、注意が必要です。
誘拐
略取や誘拐行為については、通常、略取・誘拐罪(刑法224条~229条)が成立しますが、その過程で逮捕行為や監禁行為が行われた場合には、別途、逮捕・監禁罪が成立し得ます。このような場合には、より重い刑罰を科されることがあります。
いじめ・虐待
いじめや虐待として行われた場合についても、行為の程度によりますが、逮捕・監禁罪が成立し得ます。遊びで行われたことや、教育という名のもとで行われたことなどから、直ちに逮捕・監禁罪が成立しないということにはなりません。
私人逮捕
私人逮捕も、法律上認められた逮捕行為(刑事訴訟法214条)ですので、「不法」要件を欠き、逮捕・監禁罪は成立しないとされています。
ただし、私人逮捕は、逮捕後直ちに検察官や警察官に引き渡さなければならないなどの規定があり、逮捕行為は、こうした要件を満たす形で適法に行われる必要があります。無制限に適法となるわけではありませんので、注意が必要です。
逮捕・監禁によって被害者が怪我や死亡した場合
逮捕行為や監禁行為によって人を死傷させた場合には、逮捕・監禁致死傷罪が成立します(221条)。同罪の法定刑は以下のとおりです。「前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」
逮捕・監禁罪で逮捕された場合の対処法
逮捕・監禁罪で逮捕された場合には、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。特に、刑事事件は、初動の動きや対応が極めて重要であり、後から修正がきかないことが数多くあります。
逮捕・監禁事件を起こしてしまったら、早急に弁護士にご相談ください
刑事事件は、手続き自体に時間的な制限が設けられていますので、スピードが命です。専門家である弁護士へ早急に相談し、適切な助言を受けることが何よりも大事になります。ご自身で悩まれるのではなく、まずは弁護士にご相談ください。
「弁護士特約」という単語はメジャーなものになってきていますから、本記事をお読みの方もお聞きになったことがあるのではないでしょうか。
お客様を代理して裁判手続きを行える存在は原則的に弁護士のみですから、事件や事故によって被害に遭ってしまい、加害者に対して徹底的に責任追及をしたいと思う方は、弁護士に依頼するのが一番です。
しかし、弁護士費用は高額になりがちなものですから、何か被害を被った際に弁護士への依頼を躊躇われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、「弁護士特約」付きの保険に加入していれば、弁護士に依頼するハードルが大きく下がります。本記事では、弁護士費用特約について解説いたします。
弁護士費用特約とは
弁護士費用特約とは、損害保険で設定されることの多い特約の一つです。事件や事故に遭ってしまった際、加害者に対して、損害の賠償を行うよう請求したいですね。
しかし、裁判を自分で起こしたり、膨大な資料を読み込んでご自分で交渉を行うことは、とても労力がかかります。
労力がかかるだけではありません。加害者の中には、相手が素人なのを良いことに、相場よりも自らに有利な条件で合意を得ようとする者もいます。そのような不利な状況を避けるためには、弁護士にご依頼いただくのが一番です。
事件や事故に遭って弁護士にご依頼いただく際に、弁護士費用の一部から全部をお客様の代わりに負担してくれるのが、弁護士費用特約付きの損害保険なのです。この後のご説明では、基本的に、自動車保険に関する弁護士費用特約についてご説明いたします。
法律相談費用は10万円まで補償
弁護士に依頼をする際には、まず弁護士と対面やお電話で面談を行うのが通常です。多くの法律事務所において、相談料は相談時間に応じてかかるようになっています。30分につき数千円から1万円ほどの費用をとる事務所が多いです。
多くの弁護士費用特約では、法律相談費用は10万円まで補償されます。多数の法律事務所を訪れて相談を繰り返さない限り、法律相談費用が10万円を超えてしまうことはないでしょう。自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、初回相談の段階から、安心して弁護士にご相談いただけます。
弁護士費用は最大300万円まで補償
多くの弁護士費用特約では、弁護士費用を最大300万円まで補償しています。弁護士に依頼した後、発生する弁護士費用には以下のようなものがあります。
- 着手金
- 諸経費
- 成功報酬
弁護士に依頼を行う際にまず支払うのが着手金と諸経費、事件が解決した後に支払うのが成功報酬です。
これらを合計した額が300万円を超える場合には、弁護士費用特約を使っても弁護士費用を全て支払うことができないこととなります。しかし、そのようなケースはごくまれです。
300万円を超えるケースってどんな事故?
弁護士費用のうちの成功報酬は、お客様が得た金額の○○%、といったように決められていることが多いです。
そのため、お客様が得る金額が多いような事故、つまり重篤な後遺症が残ってしまったり、被害者が亡くなってしまったような事故では、弁護士費用が高額になることがあります。
一般的に件数の多い、むち打ちによる痛みやしびれのみが残る事故の場合は、弁護士費用が300万円を超えることはほぼないでしょう。
あなたも加入しているかも?弁護士費用特約は加入率が高い
「自動車保険に加入しているかどうか」分からない人はあまりいませんが、「弁護士費用特約付きの自動車保険に加入しているかどうか」についてはあまり意識されていない方が多いと思います。
しかし、意識していなくても、契約の際に弁護士費用特約付きのプランを選んでらっしゃる方は多いのです。
保険の担当者に勧められて何となく選んでいた、親が契約していた保険が手厚いもので自動車保険特約も含まれていた、など、様々な理由で弁護士費用特約に加入している方がいらっしゃいます。
クレジットカードなど、自動車保険以外で加入しているケースもある
また、加入されている自動車保険に弁護士費用特約がついていなくても、クレジットカードなどに弁護士費用特約が附帯していてお客様が使用できるケースがあります。
クレジットカードに附帯している特約については忘れてらっしゃる方が多いのですが、弁護士費用特約に入っているのに使わないのはとても勿体ないです。
事故に遭ってしまった際には、ご自身のクレジットカードなど、自動車保険以外に弁護士費用特約がついていないか、確認してみましょう。
弁護士費用特約の適用範囲
契約者の方はもちろん、その配偶者やお子さんなど、自動車保険の対象となっている人は、弁護士費用特約の適用を受けられる可能性が高いです。もっとも、弁護士費用特約の適用範囲は、保険契約によって異なることがあります。
事故に遭ってしまった後に契約書を探すのは大変ですから、もし現在事故に遭っていない方は今のうちに適用範囲を確認しておきましょう。
既に事故に遭ってしまった方は、保険会社に電話し、「自分や家族が弁護士費用特約の適用対象なのか」お尋ねになってみてください。
まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
弁護士特約を使って弁護士に依頼するメリット
弁護士費用を気にせず依頼できる
弁護士費用をご自分で全て出そうとすると、依頼の時点で少なくとも数十万円はかかってしまいます。
しかし、弁護士費用特約に入っていれば、保険会社が直接弁護士へ支払いを行います。お客様の負担が大きく減りますから、費用を気にせず弁護士に依頼することができます。
弁護士費用特約を使えば、お金がないから弁護士に依頼できないといった、不自由な思いをせずに済むのです。
慰謝料を含む損害賠償金額が大幅にアップする
損害保険会社は、一般の方を相手にする場合には、任意保険基準という低い基準で賠償金の提示を行います。しかし、弁護士や裁判所が判断を行う場合には、弁護士基準という過去の裁判例をもとにした基準を使って賠償額を算出します。
残念ながら、一般の方が直接保険会社に交渉しても、弁護士基準算出した金額の支払いに応じてもらえることはほぼありません。そのため、弁護士に委任を行うことで、お客様の獲得できる損害賠償金額は大幅に増えます。
保険の等級は変わらない
弁護士費用特約のみを使った場合には、保険の等級が下がらない保険会社が多いです。もちろん、人身や物損などで保険を使った場合には保険の等級への影響は否めないでしょう。
しかし、たとえばお客様の過失がない事故で弁護士費用特約のみを使い、加害者から十分な金額を得て車の修理などを行った場合など、保険会社に請求をしなかった場合には、基本的には保険の等級に対する影響はありません。
弁護士費用特約の使い方
交通事故が得意な弁護士を探す
まずは交通事故が得意な弁護士や、法律事務所を探しましょう。交通事故には特有の基準がありますから、交通事故の経験が豊富でノウハウのある事務所に依頼するのが良いでしょう。
Webサイトを見に行くと、その事務所がこれまで解決した事例などが載っているケースもあります。
交通事故を安心して任せられそうな事務所を探してみてください。
保険会社に連絡し、弁護士費用特約利用の同意を得る
ご契約している保険会社に連絡し、弁護士費用特約を使いたいとおっしゃってください。弁護士費用特約を使って弁護士に依頼をする場合、弁護士と保険会社が連携して対応していく必要があります。
保険会社から、弁護士に依頼をする際に伝えて欲しいことなどを教えていただけるかもしれません。まずは保険会社の方にご連絡してみてください。
弁護士に弁護士費用特約を使いたいと伝える
弁護士や法律事務所に電話し、弁護士費用特約を使って依頼したいと伝えてください。弁護士費用特約があるかどうかで、弁護士が行うやりとりが大きく変わってきますので、なるべく早い段階で伝えた方がスムーズに進むでしょう。
その後は初回相談の日程を決め、対面やお電話などで弁護士に事情をお話しいただく流れになります。
弁護士を変更したくなった場合
依頼した弁護士に納得できない場合には、弁護士費用特約を使っている場合でも、弁護士を変更することができます。しかし、弁護士費用特約で補償される金額には上限がありますから、上限に達しないように気を付ける必要はあるかもしれません。
弁護士を変更したいと思ったら、まずは保険会社に相談するのがお勧めです。新しい弁護士にご相談される場合には、また1から状況を説明する必要がありますので、事件の解決まで少し余分に時間がかかってしまう可能性があります。
なるべく依頼する段階で、信頼できる弁護士を選ぶことをお勧めします。
まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
弁護士費用特約が特に効果的なケース
被害者に過失がないケース
保険会社は、お客様が保険金を請求されたときにお金を払わなければならない立場にあります。そのため、お客様に過失があるケースでは、保険会社の支払金額を減らすために、保険会社が頑張って交渉してくれることがあります。
しかし、被害者に過失がないケースでは、法律上の定めにより、保険会社は交渉を行えないのです。そのため、被害者に過失がないケースでは、被害に遭ったご本人が自ら行動しなければなりません。
その場合、弁護士に依頼しなければ、被害に遭ったご本人が、保険会社という圧倒的なノウハウを持った専門家と渡り合わなければならなくなってしまいます。そのようなケースでは、弁護士に依頼すべきですから、弁護士費用特約が特に効果的です。
後遺症が残りそうなケース
後遺症が残ってしまった場合にいくら支払われるかは、残ってしまった後遺症が、後遺障害等級のいずれに該当するかによって大きく変わります。加害者の保険会社は、被害者の後遺症はなるべく低い等級にあたることにしたいと考えています。
被害者に残っている症状は後遺障害等級に該当しないのだと主張することもよくあります。そのため、後遺症が残りそうなケースでは、弁護士が後遺障害等級について反論し、弁護士基準での支払いを求めることで、損害賠償金額を大幅に上げられることが多いのです。
後遺症が残りそうなケースは、弁護士に依頼するメリットが大きいですから、弁護士費用特約の効果を感じやすいでしょう。
加害者が無保険のケース
加害者が保険に加入している場合、弁護士が介入せずとも、加害者が加入している保険会社が多少の損害賠償金を支払ってくれるでしょう。しかし、加害者が無保険の場合、一切支払いを行ってくれないことがあります。
そのような場合、弁護士であれば、加害者を訴えて強制執行の手続きまで行うことが出来ます。また、弁護士は法的な交渉の専門家ですから、加害者を説得することに慣れています。
弁護士に依頼することで、交渉をスムーズに進めやすくなります。そのため、加害者が無保険のケースでは、弁護士に依頼する必要性が高いので、弁護士費用特約が特に効果的です。
請求できる損害賠償金額が小さい事故のケース
請求できる損害賠償金額が小さい事故の場合、弁護士費用の方が加害者から得られる金額よりも高くなってしまうことがあります。しかし、弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用は基本的に保険会社が負担しますので、費用倒れしづらいです。
そのため、請求できる損害賠償金額が小さいケースは、弁護士費用特約の効果を感じやすいでしょう。
弁護士費用特約に関するQ&A
保険会社が弁護士特約の利用を嫌がります。諦めるしかないでしょうか?
弁護士費用特約のついた損害保険を契約しているのですから、保険会社に嫌がられたからといって諦める必要はありません。もしどうしても保険会社が弁護士費用特約の使用を認めてくれない場合には、弁護士にご相談ください。保険会社に対し、弁護士費用特約の使用を認めない理由を聞いて対応を行います。
弁護士特約のデメリットはありますか?
弁護士費用特約付きの保険契約は、弁護士費用特約がないものに比べ、保険契約にある程度の金額が上乗せされてしまいますので、日々のお支払いが少し増えてしまうというデメリットがあります。しかし、いざという時にカバーされる金額を考えると、上乗せされる金額はそこまで大きくないものといえるのではないでしょうか。
弁護士特約を使うタイミングはいつがいいですか?
事故の後、急を要する治療などを終えてからなるべく早く弁護士にご相談いただくのが良いです。弁護士特約を早い段階から使うことにデメリットはない一方、早い段階から弁護士のアドバイスを受けて行動していただけるというメリットがあります。事故からある程度の期間が経過した後でも依頼をお引き受けすることはできるのですが、なるべくご依頼者様に後悔がないように、早い段階からご相談いただくことをおすすめします。
事故後に加入しても弁護士費用特約を使えますか?
残念ながら、事故後に弁護士費用特約に加入した場合には、弁護士費用特約をご使用いただくことができません。保険は、日々の支払いがあることを前提に、いざという時に補償がなされるものですので、事故が起きる前から弁護士費用特約付きの損害保険を契約されることをおすすめします。
1事故1名当たりの補償ということは、1事故2名なら補償も2倍になるのですか?
300万円というのは、1事故1名当たりの補償ですから、被害者が2名いらっしゃってどちらも弁護士費用特約の対象である場合には、2倍の600万円の補償が受けられることになります。被害者が複数名いる事故の場合は、初回相談前に保険会社にお電話いただく際、被害者のうち誰が弁護士費用特約の対象なのかお聞きいただくとスムーズです。
まずは弁護士にご相談ください
交通事故に遭ってしまった場合には、弁護士にご依頼いただくことで、より多額の賠償金額を獲得しやすくなります。
もちろん、弁護士費用特約がない場合でも弁護士に依頼する方が得な場合もありますが、弁護士費用特約がある場合には特に、迷わず弁護士にご相談されるのがよろしいでしょう。
弁護士費用特約は、弁護士であっても入るような便利な特約ですから、現在弁護士費用特約付きの保険に加入されていない方は、保険の見直しをおすすめします。
弁護士法人ALGは、弁護士費用特約を使用される方のご依頼を受けた実績が多数あります。お客様のご契約されている保険会社と連携し、加害者に対して、弁護士基準を用いてしっかりと交渉させていただきます。
交通事故に遭ってしまった際には、弁護士法人ALG埼玉法律事務所の弁護士にぜひご相談ください。
この記事では、窃盗罪が成立するための要件、刑罰、逮捕された後の流れ等について詳しく解説していきます。
窃盗罪とは
窃盗罪は、刑法235条で、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定められています。例えば、他人が所持している鞄から財布を盗みとる行為等があげられます。
なお、窃盗罪は、いわゆる未遂の場合でも処罰されることになります。例えば、他人が所持している鞄から財布を盗もうとしたが、盗むことに失敗してしまった場合にも窃盗未遂罪が成立します。
窃盗罪の刑罰
窃盗罪は、「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」という法定刑が定められています。
起訴されるか、それとも不起訴になるか、起訴されたとしてその刑がどういったものになるかは、同種前科の有無、被害者との示談の成否、被害金額の多寡などによって異なります。
親族間の場合の特例
法は家庭に入らずといった格言があるように、窃盗罪が「配偶者、直系血族又は同居の親族」との間でなされた場合には刑が免除されます。また、上記以外の親族を被害者とする窃盗罪は、親告罪となります。
そのため、被害にあった親族が告訴をしなければ、検察官が起訴することができません。
窃盗罪の構成要件
窃盗罪が成立するためには、①他人の占有する財物を、②窃取すること、③①②についての故意が必要となります。また、窃盗罪が財産を対象とした犯罪であることから、④不法領得の意思といったものも必要になります。
他人の占有する財物
窃取する対象は、「財物」である必要があり、財物とは不動産を除く有体物をいいます。
形のない情報は財物には当たりませんが、情報が化体された媒体が存在する場合(USB等)には財物にあたり得ます。
また、財物は「他人の占有する」ものである必要があります。
占有されていない財物には遺失物横領罪という別の犯罪が予定されています。
不法領得の意思
不法領得の意思とは、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い利用し又は処分する意思などと定義されています。
「一時的な無断使用」はこの不法領得の意思が認められないと考えられていますが、それも無断使用する物によっては窃盗罪が成立し得ます。例えば、人の車を勝手に使うような場合です。
また、窃盗罪は財産を対象とする犯罪ですから、財物を壊すつもりだったような場合には、この不法領得の意思が認められないことになります。
窃取
窃取とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して、自己又は第三者の占有に移転させる行為などと定義されます。
他人の占有する財物をこっそり盗む場合も窃取にあたりますが、街中の人の持っている物をひったくるような場合にも、窃取にあたります。
窃盗罪に問われる可能性のある行為
窃盗罪に問われる可能性のある行為として想定できるのは、万引き、ひったくり、置き引き、車上荒らし、空き巣、無断充電等があげられます。
万引きなどの常習犯の刑事処分
窃盗罪により繰り返し処罰されると、常習累犯窃盗罪が成立し、通常の窃盗犯よりも重く処罰されることがあります。
常習累犯窃盗罪の要件は、①常習として窃盗をしたこと、②行為日の10年以前の間、窃盗で3回以上、懲役6か月以上の刑の執行を受けたことです。窃盗には未遂の場合も含まれます。
ただ、常習的に窃盗をしてしまう人の中には、お金を支払わずに物が欲しいとか、お金が欲しいといっただけではなく、精神的な問題(クレプトマニア等)が潜在している可能性がありますので、弁護人に適切な弁護活動をしてもらい、適切な医療を受けることをおすすめします。
窃盗罪の時効
窃盗罪の時効は7年です。しかし、窃盗罪は繰り返し犯罪を行ってしまう人が多いため、時効が改めて進行している場合も多く、民事事件の時効は7年ではない場合も存在しますので注意が必要です。
逮捕後の流れ
窃盗罪では、初犯の場合には勾留されることなく不起訴処分の場合も多く見受けられますが、同種前科がある場合や犯行の態様が悪質な場合には、勾留される可能性が高くなります。
勾留に至ってしまうと、起訴される可能性も高いと考えることもできます。勾留された場合には、早期に被害者と示談手続きを行うなどの必要があり、適切な弁護人を依頼することが望ましいといえます。
逮捕の流れについて詳しく見る窃盗罪に問われた場合の対応について
まず被害者との間で示談が成立すれば、起訴されることなく不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。
もし、被害者との間で示談ができなかった場合でも反省していることを示すために、公益活動をしている団体に寄付するといった方法もあります。チェーン展開しているスーパーの中には示談には一切応じないといったお店もあります。
窃盗を繰り返し行ってしまうクレプトマニアのような場合には、自分で自分の行動をコントロールできずに再犯に至ってしまう可能性が高いため、クレプトマニアを専門とする医療機関等で適切な治療を受ける必要もあります。
窃盗罪に問われた場合は、弁護士へ相談を
窃盗罪に問われている場合には、被害者との間で示談を取り付けることができれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。被害者と直接に示談交渉をするためには弁護人に依頼することが必要となります。
また、繰り返し窃盗を行ってしまうような場合には、その原因にさかのぼって再犯防止に向けた活動を行っていく必要もあります。
弊所では、数多くの窃盗事件を取り扱っておりますので、早期のより良い解決に向けて弁護活動を行っていくことができると考えています。
まずはお気軽にご相談ください。
被相続人が、借金を返済しないまま死亡した場合、その借金はどのようになるのでしょうか。
相続人は、借金を引き継がなければならないのか等、相続に関する借金の問題について説明します。
相続財産には借金も含まれる
相続人となる場合、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するため(民法896条)、後述する相続放棄等を行わなかった場合には、借金も含めて被相続人から引き継ぐことになります。
相続放棄すれば借金は相続しなくてもいい
相続の放棄(民法938条)をすれば、この意思表示をした相続人はその相続に関しては最初から相続人にならなかったものとして扱われるため(民法939条)、借金を相続しなくてもよいことになります。
相続放棄する相続人は、家庭裁判所にその旨申述をしなければならず(民法938条)、これには期限があるため(民法915条第1項)、注意する必要があります。
相続放棄するメリット
相続放棄をすれば、借金等マイナスの財産を引き継ぐこともなくなりますから、これは相続放棄のメリットといえます。
また、遺産分割協議に参加する必要もなくなりますから煩わしい紛争に関与することが避けられるということもメリットに1つに挙げられます。
相続放棄するデメリット
相続放棄をすると、マイナスの財産だけではなく、プラスの財産も含めてこれを引き継ぐことができなくなります。メリットの裏返しで、当然のことですが、これが相続放棄のデメリットです。
ほかの相続人とトラブルになる可能性がある
相続放棄をすると、他の相続人または次順位の相続人に相続権が移るということになりますから、例えば自身が被相続人の借金等を把握しているため相続放棄した結果、相続人となった次順位の相続人がこれを引き継ぐというような事態が起こり得ます。
限定承認という方法もある
限定承認とは、相続した財産の範囲内で被相続人の債務を弁済し、余りがあれば相続することができるという制度です(民法922条)。限定承認した者は、相続財産、相続財産を承継することになりますが、債務については、全額承継されることにはなるのですが、相続財産の限度を超えて弁済をする必要はありません。
限定承認ならトラブルを回避しやすい
限定承認を行えば、多額の借金を返済しなければならなくなる等のリスクを抑えることもできますし、上記相続放棄した場合における次順位の相続人等との間のトラブルが起こることもありません。
手続は、煩雑ですが、被相続人の財産が全体としてプラスになるのか、マイナスになるのかわからない場合等、限定承認を行うべきこともあります。
相続放棄・限定承認には期限がある
民法は、相続をするかについて、相続人に選択の自由を認めており、民法915条において、一定の期間を区切ってマイナスの財産を含めて相続財産を全て承継するのか(単純承認)、全ての財産を承継しないのか(相続放棄)または、相続した財産の範囲内で債務を負うのか(限定承認)、いずれかを選択できるように定められています。
上記一定の期間を熟慮期間といいますが、熟慮期間内に選択をしなかったり、一定の態度をとらなかった場合には、てマイナスの財産を含めて相続財産を全て承継することになります(民法921条)。
債権者から取り立てを受けた場合の対応は?
熟慮期間中に債権者から取り立てを受けた場合には、熟慮期間である旨伝え、相続の選択をしてから対処すればよいでしょう。また、相続放棄した後であれば、相続放棄したことを伝え、債務を支払う必要はありません。
単純承認した後であれば、法定相続分に応じて弁済し、負債の負担割合は遺産分割協議において決めることになります。
相続財産から借金を返済してしまうと相続放棄ができなくなる
債権者から取り立てを受けて、相続財産の中から借金を返済してしまうと、単純承認したものとみなされ(民法921条第1号)、相続放棄ができなくなるといった事態にもなり得るため、注意が必要です。
相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします
借金の相続に関するQ&A
法定相続人全員が相続放棄した場合、借金はどうなりますか?
相続人全員が相続放棄し、相続人のあることが明らかにならなかった場合には、最終的には相続財産の清算人がプラスの財産から借金を返済し、残ったプラスの財産を国庫引き継ぐことになります。
相続放棄する前に借金があるか調べる方法はありますか?
信用情報を利用している業者からの借入金については、CIC、JICC、KS等に照会して調査を行うことができます。
借金があることを知らず、相続放棄の期限が過ぎてしまったのですが、相続するしかないのでしょうか?
原則として、相続放棄は、自己のために相続の開始があることを知った時から3か月以内に行わなければなりません。
ただし、相続財産が全く存在しないと信じ、そのことに相当な理由がある場合には、相続放棄が認められることが、例外的にあります。
したがって、相続財産が全く存在しないと信じた事情によっては、相続放棄できる可能性があります。
相続後に借金が発覚したのですが、相続放棄はできますか?
相続財産を処分する等して単純承認をした後、借金が発覚したとしても、基本的には、相続放棄はできません。
ただし、相続財産の処分行為自体に取消事由があり、これを取り消すことによって相続放棄が可能となるという事態も考えられます。
亡くなってから4ヶ月ほどたった頃に債権者から連絡があり、借金していたことを知りました。もう相続放棄できないのでしょうか?
相続財産が全く存在しないと信じ、そのことに相当な理由がある場合には、相続放棄が認められることが、例外的にあります。
借金の相続についてお困りでしたら、弁護士にご相談ください
借金の金額が大きい場合等、適切に対処しないと、大きな不利益を被ることがあります。
借金の相続についてお困りであれば、弁護士に相談されることをおすすめします。
ニュースなどで耳にする「業務妨害罪」。実際にはどのような犯罪なのか、どのような行為が業務妨害罪にあたるのか、よく知らないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、どのような行為が業務妨害罪に該当するのか、業務妨害罪の刑罰はどのようなものかについて解説していきます。
業務妨害罪とは
業務妨害罪は、嘘や脅迫といった行為で、人の仕事など(業務)を妨げる罪をいいます。個人に対してではなく、法人や機械に向けた行為でも業務妨害罪となる可能性があります。
また、業務妨害罪は非親告罪です。そのため、被害者が被害申告をしなくても、刑罰を科される場合があります。
業務妨害罪の刑罰
業務妨害罪には、偽計業務妨害罪(刑法第233条)と威力業務妨害罪(刑法第234条)がありますが、いずれの場合でも刑罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の違い
偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪は、業務を妨害するという点では共通です。両者の差異が表れるのは、妨害に用いられた方法の点です。
大まかにいうと、被害者にとってすぐには分からない方法で妨害されていれば偽計業務妨害罪、被害者にとってすぐに分かる方法で妨害されていれば威力業務妨害罪が問題となります。
偽計業務妨害罪の構成要件
それぞれの犯罪には、その犯罪が成立するかを判断する要件(構成要件)が存在します。
偽計業務妨害罪の構成要件は、①「虚偽の風説を流布」し、または「偽計を用いて」、②人の「業務を妨害」することです。
虚偽の風説
「虚偽の風説」とは、客観的な真実とは異なる情報や噂のことをいいます。また、「流布」とは、不特定または多数の人に広めることをいいます。
あくまで真実と異なる情報を流すことが処罰の対象とされているので、内容が真実である場合には、偽計業務妨害罪は成立しません。
偽計
「偽計を用いて」とは、人を欺いたり、誘惑したりすることを指します。また、積極的に欺いたりしなくとも、人の勘違い(錯誤)や不知を利用する場合も、「偽計を用いて」に該当します。
業務を妨害
業務妨害罪における「業務」とは、具体的には、人や会社が仕事として行っている事務です。より詳しくいうと、事務のうち、一定の社会生活上の地位に基づいて行っており、継続して行われているものが「業務」となります。
また、公務員の職務(公務)も、公務員という社会生活上の地位に基づいて、継続して行われるものであるため、「業務」に含まれます。
公務のうち、強制力を行使する権力的公務(警察官による逮捕など)については「公務執行妨害罪」が問題となるのに対して、それ以外の公務(市職員の事務など)は業務妨害罪の問題となります。
威力業務妨害罪の構成要件
威力業務妨害罪の構成要件は、①「威力を用いて」、②人の「業務を妨害」することです。
威力
威力業務妨害罪における「威力を用いて」とは、人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことをいいます。具体的にいえば、暴力を振るったり、脅迫をしたりすると「威力を用いて」にあたります。
また、社会的地位を利用したり、数の力を利用したりして脅かすような場合も「威力を用いて」に含まれます。
業務を妨害
業務を妨害については、偽計業務妨害罪と同様です。
業務妨害罪にあたる行為の例
偽計業務妨害罪にあたる行為
偽計業務妨害罪にあたる行為の例としては、電話で嘘の出前の注文をする行為や、本当は安売りをしていないのに安売りをしているという情報を流す行為などが挙げられます。
威力業務妨害罪にあたる行為
威力業務妨害罪にあたる行為の例としては、動物の死骸を職場の机に入れて被害者に発見させる行為や、株主総会中に大声で怒鳴る行為などが挙げられます。
業務妨害罪と関連する犯罪
信用毀損罪
信用毀損罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損することに対する罪です(刑法第235条)。
手段は偽計業務妨害罪と同一ですが、業務の妨害ではなく「信用の毀損」、つまり人の支払能力や商品の品質などについての信用を損なう行為を罰しています。
刑罰は、業務妨害罪と同様に、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
名誉毀損罪
名誉毀損罪は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損することに対する罪です(刑法第230条第1項)。
偽計業務妨害罪では、流布された事実が真実と異なることが必要となるのに対して、名誉毀損罪の場合には、摘示された事実が虚偽であることは必要とされていません。そのため、真実を広めた場合でも、名誉毀損罪は成立する可能性があります。
刑罰は、3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金です。
脅迫罪
脅迫罪は、人の生命などに危害を加える旨を告知し、脅迫することに対する罪です(刑法第222条)。
威力業務妨害罪の手段の一つである脅迫行為自体を罰しており、業務の妨害は要求されません。
その代わりに、刑罰は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金と、威力業務妨害罪より軽くなっています。
脅迫・恐喝・強要罪について詳しく見る不退去罪
不退去罪は、人の住居などから出て行ってほしいと求められたにもかかわらず、退去しないことに対する罪です(刑法第130条)。
会社の店舗などに居座って業務を妨害した場合には、業務妨害罪とともに、不退去罪が成立することがあります。
刑罰は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金
ネットの書き込みで業務妨害罪に問われた場合
インターネット上で、真実と異なる書き込み(例えば、実際にはそのような事実はないのに、ある飲食店で食事に害虫の混入があったというような書き込み)をした場合には、偽計業務妨害罪が成立する場合があります。
その場合、被害者から警察に刑事告訴されたり、民事上の損害賠償請求をされたりすることもあります。
匿名での投稿の場合、被害者側がプロバイダに対して、投稿者の情報開示手続きをとることになります。その際、プロバイダから投稿者側に対して、「発信者情報開示に関する意見照会書」が送られてきます。
言いかえると、意見照会書を受けとった場合は、被害者側で刑事告訴や損害賠償請求に向けて手続きを進めていることが分かります。そのため、意見照会書を受領した時点で弁護士に相談するなど、解決に向けて早期に対応することが望ましいです。
刑事事件になった場合の対処法
逮捕された場合、その後も勾留という形で身柄を拘束され続ける場合が多いです。身柄拘束が続く間に、警察及び検察で捜査が進められ、検察官が必要と考える時は刑事裁判となります。
身柄の早期解放を実現するためには、勾留決定に対する準抗告などの法的手続きをとる必要があるため、弁護士の活用が必須となります。
また、業務妨害罪の場合に、検察官が、刑事裁判を行うか(起訴)、それとも行わないか(不起訴)を判断する上では、被害者と示談ができているかが大きなポイントとなります。
そこで、弁護士を入れて被害者との間で示談交渉をしたり、弁護士と協力しながら反省文を作成したりすることで、不起訴の獲得に向けて活動することになります。
逮捕の流れについて詳しく見る業務妨害罪に問われたら、弁護士に相談を
業務妨害罪の場合、不起訴を獲得する上では、示談を成立させることがポイントとなります。しかし、本人で交渉しようとしても、そもそも警察や検察から被害者から連絡先を教えてもらえないことも多く、また、被害者の気持ちを逆撫でしてしまって交渉が上手くできないこともめずらしくありません。
経験のある弁護士に早期に相談しておくことが、迅速に示談を実現して、不起訴に一歩近づく結果となります。
警察から連絡を受けるなど、業務妨害罪に問われた際は、まずは一度弁護士にご相談ください。
皆様のご相談お待ちしております。
経済的DVとは
経済的DVとは、日常の生活費を渡さなかったり、金銭の使途を極端に制限したりすることにより、相手の行動や心を支配することをいいます。
本ページでは、経済的DVとは具体的にどのようなものを指し、それが離婚にどのような影響を与えるのかについて解説していきます。
経済的DVの具体例
経済的DVに該当し得る行為としては、以下のものが挙げられます。
生活費を渡さない・足りない金額しかくれない
夫婦によっては、どちらか一方が家庭内の収入を支え、他方が家事を担当するという形である程度の分担がなされている場合があります。
このような状況で、収入を多く得ている夫婦の一方が、他方に対して生活費や日常的に使用できる金銭を全く渡さなかったり、明らかに少ない額しか渡さなかったりすることは、経済的DVに当たり得る可能性があります。
給与や貯金額を教えてくれない
上記のように夫婦間で収入格差がある場合で、一方が他方に給与の額や預貯金の額を教えないことも経済的DVに当たり得る可能性があります。
もっとも、単に給与の額や預貯金の額を隠されるというだけでなく、実際に経済的に困窮した状態である必要があるでしょう。
働けるのに働かない
上記のような例とは少し異なり、働かないことが経済的DVに該当するケースもあります。
たとえば、収入を支えるはずの夫婦の一方が、働ける状態であるにもかかわらず全く働こうとせず、その結果、生活が困窮しているような場合には、経済的DVに該当し得ます。
働かせてくれない・仕事を辞めさせられた
逆に、働くことを制限されるケースもあります。働く意思のある夫婦の他方に対して、それを制限したり辞めさせたりするなどして、収入を得ることを制限することは、経済的DVに当たり得る可能性があります。
もちろん、この場合も、上記行為によって生活が困窮している必要があります。
自由に使えるお金を渡してくれない
夫婦の一方が収入を支え、他方が家庭内の家事を担当している場合、家事を担当する夫婦の一方は、日常生活で自由に使えるお金を一定額渡してもらえるのが普通でしょう。
そうでなければ、人間的な生活を送ることができないからです。夫婦の収入の額や経済状況にもよりますが、こうした自由に使えるお金を一切渡さなかったり、過度に制限されたりすることも、経済的DVに当たり得る可能性があります。
借金を繰り返す・借金を強制される
お金を渡さないのではなく、過度に借金をしたり、借金を強制されたりすることも経済的DVにあたり得る可能性があります。
経済的DVとはいえないケース
以上では、経済的DVに当たり得る例をいくつか挙げてきました。しかし、経済的DVに当たり得るかどうかは、最終的には、個々の家庭の経済事情や、制限の程度、それによる実害の程度等の諸事情に左右されます。
そのため、上記のケースに該当していても、経済的になんら困窮していないような場合には、経済的DV該当性が否定される可能性が高いといえるでしょう。
経済的DVは離婚の原因として認められるのか
民法では、経済的DVに関する直接的な定めはありません。しかし、民法770条5号に定められている離婚事由のうちの、「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるとして、離婚原因を構成する可能性があります。
経済的DVで離婚するときに加害者に請求できるもの
経済的DVを原因として離婚をする際には、以下のようなものを請求できる可能性があります。
婚姻費用
婚姻費用は、別居してから離婚するまでの間、収入の高い者が低い者に対して、同居時と同程度の生活環境を確保するため、支払わなければならない生活費のことです。
経済的DVの場合でも、上記のような場合には、通常と変わらず、婚姻費用を請求することができます。
慰謝料
経済的DVにより被った身体的・精神的苦痛の程度によっては、慰謝料を請求できる可能性があります。
経済的DVの証拠になるもの
ただし、そのためには、経済的DVがあったことや、それによって被害を被ったことを裏付けるだけの証拠が必要になります。
例えば、クレジットカードの利用明細や、通帳の取引履歴、家計簿、借用書や督促履歴、その他日記等が挙げられるでしょう。
財産分与
離婚する際には、婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産を分ける必要があります。これを財産分与と言います。分与の割合は、50:50が原則です。
経済的DVにより離婚する場合にも、こうした財産分与が可能です。
養育費
未成年の子がいる場合には、親権者となった夫婦の一方が、そうではない他方に対して養育費を請求することができます。
経済的DVにより離婚する場合にも、養育費を請求することができます。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
経済的DVと離婚に関するQ&A
勝手に連帯保証人にされてしまった場合は経済的DVに該当しますか?
具体的な事情や被害の程度にもよりますが、前述したように、強制的に借金や債務を背負わされる場合には、経済的DVに当たり得る可能性があります。
専業主婦で経済的DVを受けているため、収入や貯金がありません。それでも子供の親権はとれますか?
親権者は、子の福祉の観点からみてどちらが親権者として適格性を有するかによって決せられますが、これは、経済的な事情のみで決まるものではありません。
このため、家事を担当しており、収入や預貯金が少ない場合でも、親権者としての適格性を有するとして、親権を取得できる可能性は十分あります。
経済的DVの加害者と離婚するために別居を考えていますが、DVシェルターには入れますか?
経済的DVの場合にも、DVシェルターに避難できる可能性は十分にあります。ただし、シェルターの収容人数には限りがあり、緊急性等の一定の要件を満たす必要があります。
まずは、お近くの弁護士等に相談されることをお勧めします。
給料が下がってしまい生活が苦しい状況で、妻に経済的DVだと言われてしまいました。妻は働けるのに働いていません。これでも私が悪いのでしょうか?
単に給料が下がっただけで経済的DVに該当するわけではありません。
経済的DVを理由に離婚を検討しているときは弁護士に相談してみましょう
どのようなケースが経済的DVに当たり得るか、当たり得るとして相手にどのような請求をすることができるかをご自身だけで判断することは難しい場合があります。
まずは、専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。
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- 保有資格
- 弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)