後遺障害の異議申し立て

後遺障害の異議申し立て

異議申し立てはどこに申請するのか

異議申立手続は、後遺障害等級認定を行う損害保険料率算出機構が用意している内部の手続です。

これは当初行った後遺障害等級認定の申請方法により申請先が異なります。

①事前認定における結果通知への異議申立ての場合には任意保険会社へ、②被害者請求に対する結果通知への異議申立ての場合には自賠責保険担当の保険会社へ、必要書類を提出することで申請します。

提出された書類は損害保険料率算出機構の担当調査事務所へ送付され、再調査されることになります。

認定結果の誤りを指摘、それを裏付ける医学的資料の提出

後遺障害等級認定の結果には、必ず別紙として審査の理由づけが記載された書面が添付されます。この書面には、後遺障害診断書に記載された各症状について、どのような理由から後遺障害に該当する/しないを判断したかについての説明が記載されています。

異議申し立ての検討するにあたっての出発点は、この理由の内容が適切か否か、さらには、判断が誤っている箇所を医学的に証明できるか否かといえます。

異議申し立ての期間について

「審査結果の通知から●ヶ月以内までに申し立てをしなければならない」というような申し立て期間の制限はありません。

異議申し立ての消滅時効

異議申し立てそのものの消滅時効はありません。

ただし、賠償金を求める法律上の根拠としての損害賠償請求権の消滅時効は進行していきますので、適宜、時効の中断への手立てを講じる必要があります。

自賠責保険・共済紛争処理機構に対しては、再度、異議申し立てを行うことはできるのか

財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構は自賠法に基づいて、自賠責保険の支払にかかる紛争の公正かつ適確な解決による被害者の保護を目的として設立された団体です。

財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構に対して、紛争処理(調停)を申請することができる場合があります。この紛争処理は、後遺障害等級の認定やその異議申し立てに納得がいかない場合にも用いることができます。

しかし、この紛争処理(調停)に対する異議申し立ての制度は設けられていません。

紛争処理の結果に納得がいかない場合には、訴訟提起(=裁判を起こすこと)によることになります。

認定結果に不服がある場合に、裁判を起こす

自賠責担当の保険会社への異議申し立てや自賠責保険・共済紛争処理機構での紛争処理によっても結論が変わらない場合、訴訟を起こすという手段が考えられます。

訴訟において、裁判所は、自賠責における後遺障害等級認定の結果に縛られることなく、証拠として提出された医療記録等を見て、後遺障害等級として何級が相当と評価できるかを判断するからです。

ただし、まれに等級が下がる事例もありますので、内容をよく精査して臨む必要があります。

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示談はやり直しができるのか

一旦示談書を取り交わした後に、示談をやり直すことはできません。

最初に示談を締結する際、示談書(合意書)もしくは免責証書と呼ばれる書面を作成して、損害賠償等の内容を確認し合った上で、当事者各々の署名捺印をします。

通常はこれにより、示談の内容を確定したと評価されますので、その後に示談のやり直しをすることはできません。

適正な金額かの判断

どのくらいの金額が、交通事故事件における適正な賠償額といえるのか、という問題は正面から答えようとするとかなり難しい問題かもしれません。

例えば、示談交渉をできるだけ早く終わらせることを重視する場合には、保険会社とのやりとりを少なくしなければならない分、先方から提示内容にある程度譲歩しなければならないかもしれません。

他方で、できるだけ多く保険金の支払いを受けたいと考えるならば、多少時間がかかっても、調査検討の上で粘り強く示談交渉を行い、保険会社からの譲歩を引き出そうとすることになるでしょう。このように、何を重視するかというご依頼者の希望やそれに伴う進め方によって適正な金額の意味づけが変わってきます。

少し視点を変えてみますと、示談交渉では損害額の算定の仕方が中心的な内容となります。算定といっても何もないところから計算するわけではなく、算定基準が存在します。この算定基準については後記でもう少し詳しくご説明しますが、幾つかの基準が存在するため、用いる基準によって算定額に差が生じます。

以上のように、適正な賠償額であるか否かの判断は、それぞれの被害者の方が置かれているケースや用いられる基準等によって異なるため、なかなか難しいものといえるでしょう。

保険会社は、裁判所が認めている金額よりも、はるかに低い金額を提示する場合がほとんど

保険会社が損害賠償額を提示する際に用いる目安は、主に自賠責保険の基準や保険会社社内における任意保険基準です。

交通事故によって生じる損害は、治療費だけではなく、通院交通費、休業損害、傷害慰謝料などが挙げられます。自賠責保険は法律上加入することが強制されているものの、人身傷害に関する損害賠償を最低限保証するための制度でもあることから、治療費は別として、他の各損害の算定基準を見ると、裁判上の水準に比べてかなり低い水準にとどまるものが多くあります。

また、自賠責保険には支払限度額が設けられており、傷害に関する部分が120万円まで、後遺障害に関する部分が14等級に応じて75万円から4000万円までとなっています。

保険会社は、示談交渉の場面でこのような自賠責保険の基準を使って賠償額の提案をしてくることがあります。

保険会社は、認定された等級に基づく賠償金を、各保険会社が定めている自社の支払基準にしたがった低い金額で提示している

例えば、後遺障害等級が付く交通事故事案では、症状が重く、自賠責基準やその限度額に沿って損害賠償額を計算したのでは、被害者の方々の納得が得られないような事案があります。

そのため、保険会社から、一部の損害については、算定根拠に「弊社基準」とか「任意基準」という言葉を載せて、社内で増額を検討したと説明されることがあります。

そもそも、任意保険は自賠責保険の基準で支払われる保険金にさらに上乗せすることが目的とされており、かつては共通の基準があったものの、現在は各保険会社がそれぞれ独自の基準を持っていると言われております。

もっとも、この任意保険会社の基準の詳しい内容が開かされることはあまりなく、裁判上の水準と比べて低い金額であることが多いと言われております。

弁護士は、裁判所が認めている高い支払基準に基づいて示談交渉を行うので、賠償額の増額が期待できる

弁護士が保険会社と損害賠償額について示談交渉する時には、いわゆる「赤い本」(「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」というタイトルの文献を指します。)や「青本」(「交通事故損害額算定基準」というタイトルの文献を指します。)と呼ばれる、交通事故訴訟における賠償額算定基準の目安を参考に交渉いたします。

保険会社は、示談交渉は訴訟手続そのものではないから裁判上の水準よりも減額して欲しいと回答してくることがありますが、だからといって示談交渉では自賠責基準や保険会社の任意基準が合意するのが相当であるという決まりがあるわけでもありません。ですので、弁護士は訴訟を起こした場合にもらえる損害賠償額に少しでも近づけるよう示談交渉を試みます。

このように、損害賠償額の算定の際に用いられる基準に違いがあるため、弁護士が保険会社と交渉した時に支払われる保険金の増額が期待できるのです。

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この記事の監修

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長弁護士 辻 正裕
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。