浮気・不倫の慰謝料請求には時効に注意!時効を止める方法とは?

浮気・不倫の慰謝料請求には時効に注意!時効を止める方法とは?

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕

監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士

配偶者から浮気・不貞をされた際には、その配偶者に対して慰謝料請求をすることが考えられます。
ただし、この慰謝料請求をするにあたっては、いくつか注意すべき点があります。その代表的な例が、「時効」です。

本記事では、浮気・不貞の慰謝料請求の時効について詳しく解説していきます。

浮気(不倫)の慰謝料請求には時効がある!

浮気・不貞の慰謝料請求は、いつまでもできるわけではありません。

浮気・不貞の慰謝料には、一定の期間を超えると請求できなくなるという時間的な限界が存在します。いわゆる「時効」と呼ばれるものです(より正確にいえば、「消滅時効」と呼ばれるものです)。 ただし、時効は、所定の期間が経過すると自動的に請求権が失われるという性質のものではありません。

請求される側(債務者)が、時効の完成を主張することで、はじめて時効の効果が生じ得ます。これを「時効の援用」といいます(民法145条)。

浮気相手への慰謝料請求の時効は?

浮気・不貞の慰謝料請求の法的な性質は、不法行為に基づく損害賠償請求権です。

したがって、慰謝料請求の消滅時効は、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の規定に従って処理されます。

民法724条には、不法行為に基づく消滅時効として、3年と20年という2つのパッケージが用意されています。このように、短期と長期の消滅時効に分けられているのは、時効が進み始める時点、すなわち「時効の起算点」が異なるからです。

以下では、この「時効の起算点」について、詳しくみていきましょう。

慰謝料請求の時効はいつから起算する?

先ほども解説したとおり、慰謝料請求の時効には、3年という短期の消滅時効と、20年という2つのパッケージが存在します。両者が時効完成の期間を異にするのは、「時効の起算点」が異なるからです。

前者の起算点は、「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」です。権利行使が可能であることを知った時点という、債権者側の認識を基準とするため、3年という短期間で消滅時効が完成します。

債権者が、権利行使が可能であることを知っているのであれば、通常はすぐに行動できるはずですから、短期間で時効が完成したとしても、不合理ではないからです。「主観的起算点」などと呼ばれたりします。

これに対して、後者の起算点は「不法行為の時」です。前者の場合と異なり、不法行為時には、かならずしも請求する側が、権利行使可能であることを認識しているとは限りません。

このため、短期間で消滅時効が完成してしまうと請求する側の利益を著しく害してしまうため、このような長期の時効期間が設けられているのです。

なお、後述するように、改正前民法において、後者のパッケージは、時効期間ではなく除斥期間と考えられていました。

浮気の慰謝料請求の時効を止める5つの方法

浮気・不貞の慰謝料請求の時効を止めるには、いくつかの方法があります。

本記事では、①裁判上の請求、②内容証明郵便による催告、③債務の承認、④協議を行う旨の合意、⑤仮処分・仮差押え・差押さえの5つについて解説していきます。

①裁判で請求する

時効の完成を止めるための第1の方法は、「裁判上の請求」です。

民法147条1項は、「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6か月を経過する)までの間は、時効は完成しない」と定めています。

そして、同条1項1号に「裁判上の請求」を挙げています。これは、「時効の完成猶予」と呼ばれるものです。

②内容証明郵便を送付する

内容証明郵便などで相手方に権利行使をすることも、「催告」として時効の完成を止めるための1つの手段です。

民法150条1項には、「催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」と規定されています。この催告も、時効の完成猶予事由として位置づけられています。

③債務を承認させる

相手方(債務者)に債務を承認させることも、時効の完成を遅らせるための1つの手段です。

民法152条1項には、「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」と規定されています。

前述の場合と異なり、債務の承認は、時効完成までの期間をリセットするという意味で、時効の更新事由として位置づけられています。

④協議を行う旨の合意をする

相手方(債務者)と協議を行う旨の合意をすることも、時効の完成を止めるための1つの手段です。

民法151条には、「権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない」と定められています。

⑤仮処分・仮差押え・差押えを行う

仮処分・仮差押えを行うことも、時効の完成を止めるための1つの手段です。

民法149条には、「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」と定められています。

また、差し押さえなどの強制執行を行うことも、時効の完成を止めるための手段です。
民法148条1項1号には、時効の完成猶予事由として、「強制執行」が定められています。

民法改正による慰謝料請求権の時効への影響

前でも少し触れたとおり、改正前まで、724条の20年間との規定は、除斥期間と捉えられており、完成猶予や更新(改正前でいうところの、時効の中断や停止のことを指します)ができない状態でした。

しかし、民法改正で、時効期間と定められたことで、20年間の部分についても、時効の更新や完成猶予が可能となりました。

時効が過ぎた後では慰謝料を請求できない?

時効期間が経過したと思っていても、実は完成猶予や更新事由が生じていたなどして、未だに時効が完成していない場合もあり得ます。

また、そもそも、起算点の捉え方がズレているといったケースもあります。このあたりについて、正確に把握するためにも、まずは専門家である弁護士にご相談ください。

時効で浮気の慰謝料を取り逃がさないためのポイント

時効で慰謝料を取り逃がさないためのポイントは、先ほども挙げたように、時効を完成させないための措置を定期的に講じることです。

上記5つの方法のうちでも、内容証明郵便による催告などは、比較的容易に行えるものですので、時効を完成させないための手段として重要になってきます。

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浮気の慰謝料の時効に関するQ&A

5年前の浮気を最近知ったのですが、浮気相手に慰謝料を請求することは可能ですか?

不貞行為時から20年未満ですので、客観的起算点という意味では、未だに時効は完成していません。

このため、浮気を知ったことという主観的起算点から3年以内であれば、浮気相手に慰謝料を請求すること自体は可能と言えるでしょう。

ただし、15年前の不貞について、きちんとした証拠が残っているのかという、立証上の問題には注意する必要があります。

10年前の浮気が発覚したのですが、既に離婚しています。元夫に慰謝料を請求することはできますか?

仮に、10年前にはいまだ婚姻しており、夫婦関係が破綻していなかったような場合であれば、10年前の浮気についても、消滅時効が完成していない限りという留保付きではありますが、請求することが可能です。

不貞の慰謝料請求権は、あくまでも不貞時に発生しているからです。ただし、10年前の浮気時点で、両者が離婚していたなど、既に夫婦関係が破綻していたような場合には、慰謝料請求をすることはできません。

時効を止めるために裁判を起こしたいのですが、相手の居場所が分かりません。何か対処法はありますか?

裁判を起こすためには、相手の居場所(住所)を知る必要があります。

相手が請求者の親族等であれば、自身で住民票や戸籍を取り寄せることも可能ですが、そういった一部の場合を除くと、自分自身で相手の情報を調査することには限界があります。

従って、このような場合には、弁護士に裁判を依頼すべきでしょう。弁護士は、職務上請求や弁護士会照会などにより、第三者であっても、相手の住民票や戸籍等を取り寄せることができるからです。

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浮気の慰謝料請求は早い段階で行う必要があります。まずは弁護士にご相談下さい。

以上で述べてきたように、時効による権利消滅のおそれがあるため、浮気の慰謝料請求はできる限り早い段階で行う必要があります。

ただし、時効期間の判断や、相手の調査など、自分自身でできることには限界がありますので、まずは、弁護士に相談することを強くおすすめします

令和5年6月16日、「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」が成立し、一部の規定を除いて、同年7月13日から施行されることになりました。性犯罪の規定についての大幅な改正になります。今回はその中でも「不同意性交等罪」について詳しく解説したいと思います。

不同意性交等罪とは

「暴行」、「脅迫」、「障害」、「アルコール」、「薬物」、「フリーズ」、「虐待」、「立場による影響力」などが原因となって、同意しない意思を形成したり、表明したり、全うすることが難しい状態で、性交等をすると「不同意性交等罪」として処罰されます。

上記の状態で、性交等ではなく、わいせつな行為をすると「不同意わいせつ罪」として処罰されることになります。

また、16歳未満の子どもに対して、性交等をすると不同意性交等罪として処罰され、わいせつな行為をすると不同意わいせつ罪として処罰されます。なお、相手が13歳以上16歳未満の場合には行為者が5歳以上年長のときでないと処罰されません。

不同意性交等罪と強制性交罪・強姦罪の違い

性犯罪の本質的な要素は、「自由な意思決定が困難な状態で行われた性的行為」であると理解されています。従来の強制性交等罪では、そのような本質的な要素を満たすかどうかを、「暴行」・「脅迫」といった要件によって判断していました。

しかし、これでは、この要件をどのように解釈するかで強制性交等罪の成否の判断にばらつきが生じ、事案によっては、その成立範囲が限定されてしまうことがあるといった問題点がありました。

そこで、不同意性交等罪では要件を改め、性犯罪の本質的な要素を「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」という表現を用いて統一的な要件を定めました。

また、被害者が上記の状態にあったかどうかの判断を行いやすくするため、その原因となり得る行為や事由についても、具体的にあげています。

その結果、不同意性交等罪は強制性交等罪と比較して、より明確で、判断のばらつきが生じない規定となりました。

不同意性交等罪と準強制性交等罪の違い

従来の準強制性交等罪では、性犯罪の本質的な要素を満たすかどうかを、「心神喪失」・「抗拒不能」といった要件によって判断していました。

しかし、強制性交等罪と同様、その要件の解釈で成立範囲が限定され得るという問題点があったため、「アルコール」「薬物」「睡眠」などといった形で要件を具体化しています。

不同意性交等罪の構成要件

不同意性交等罪では、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」の原因となり得る行為・事由として、以下の8つの類型が例示されています。

①暴行又は脅迫

②心身の障害
「心身の障害」とは、身体障害、知的障害、発達障害及び精神障害を意味し、一時的なものも含みます。

③アルコール又は薬物の影響

④睡眠その他の意識不明瞭
「その他の意識不明瞭」とは、例えば、意識がもうろうとしているような、睡眠以外の原因で意識がはっきりしない状態をいいます。

⑤同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまの不存在
いわゆる不意打ちのような場合がこれにあたります。

⑥予想と異なる事態との直面に起因する恐怖又は驚愕
いわゆるフリーズの状態、すなわち、予想外の事態に直面して自身に危害が加わると考え、極度に不安になったり、強く動揺して平静を失った状態がこれにあたります。

⑦虐待に起因する心理的反応
虐待による無力感や恐怖心などがこれにあたります。

⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮
例えば祖父母と孫、上司と部下、教師と生徒などの立場ゆえの影響力によって、不利益が生じることを不安に思うことがこれにあたります。

不同意性交等罪が成立するためには、①から⑧までの行為・事由により、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」になっていることが必要になります。

改正による変更点

「性交等」とは、陰茎の膣への挿入(性交)、陰茎の肛門への挿入(肛門性交)又は陰茎の口への挿入(口腔性交)のことを意味していました。今回の改正により、上記に加えて、膣又は肛門に陰茎以外の身体の一部又は物を挿入する行為についても、「性交等」に含むとされました。

また、改正前においても、行為者と相手方の間に婚姻関係があるかどうかは、性犯罪の成立に影響しないと考える見解が一般的でしたが、今回の改正法では、配偶者間でも不同意性交等罪が成立することを、条文上明確にしています。

不同意性交等罪の法定刑

不同意性交等罪に該当する行為をした者は、5年以上の有期拘禁刑という刑罰が処せられることになります。拘禁刑は懲役受刑者に義務付けられていた刑務作業(木工や洋裁等)が義務でなくなり、立ち直りに向けた指導・教育に多くの時間をかけることを可能にする刑罰になります。

拘禁刑の導入は2025年6月1日が予定されています。

不同意性交等罪の時効

不同意性交等罪(従来の強制性交等罪)の公訴時効は10年から15年に延長されています。
そのため、犯罪が行われた後、15年が経過するまでは不同意性交等罪により犯人を処罰することができるということになります。

また、上記の期間に加えて、被害者が18歳未満の場合には、被害者が18歳に達する日までの期間に相当する期間を加算した期間が公訴時効期間となります。
例えば、12歳の者に対して、不同意性交等罪を犯した場合には、時効完成が21年(15年+6年)後となります。

不同意性交等罪で逮捕された場合の対処法

不同意性交等罪を含めて性犯罪は類型的に捜査機関による厳しい取調べがされる可能性が高いといえます。被害者とされている者との間に適法な同意が存在した等の言い分がある場合には、黙秘権の行使を含めて最初の段階で適切な対応を取らないと、後々取り返しのつかないことになりかねません。逮捕段階から弁護士に相談をし、適切なアドバイスを受ける必要があります。

また、被疑事実に間違いがない場合には、被害者と早期に示談をすることで身柄拘束の有無や起訴不起訴について、被疑者に有利に働くことも多いです。身柄を拘束されている場合には、示談をすることができるのは弁護士であり、この点でも弁護士を入れるメリットが大きいといえます。

改正後の不同意性交等罪の問題点

大きな改正がなされた不同意性交等罪ですが、その課題もいくつか残っているといえます。

不同意性交等罪は婚姻関係にかかわらず成立する犯罪ですので、性行為の相手が配偶者や交際相手、パートナーであっても性行為の後に相手から被害が捜査機関に訴えられることで成立する可能性があるといえます。

後々になって、同意の上で性行為がされたと説明することは必ずしも容易ではなく、冤罪が発生してしまう可能性も十分にあるということができます。
(従来の強制性交等罪においても、婚姻関係にある相手でも成立し得る犯罪であったことは上記のとおりになります)

また、不同意性交等罪は、従前の強制性交等罪よりも要件を条文上、明確にしています。ただ、それでも要件の不明確さはまだ残っているといえます。

強制性交等罪は、8つの例示されている事項が原因となって「同意しない意思を形成したり、表明したり、全うすることが難しい状態」で性交等をすると成立する犯罪とご説明しました。「同意しない意思を形成すること」とはNOと思うこと、「表明すること」とはNOと言うこと、「全うすること」とはNOを貫くことです。

しかし、8つの類型のうち、例えば「アルコールの影響」と一言でいっても、どの程度の飲酒量でNOと思えないのか、NOと言えないのか、NOを貫けないのかといった点が未だ不明確といえます。
そのため、要件を明確化した改正ですが、未だ要件の不明確さが残っているといえます。

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不同意性交等罪で逮捕された場合はできるだけ早く弁護士に相談を!

強制性交等罪は大きな改正が施され、不同意性交等罪として生まれ変わりました。ただ、不同意性交等罪になったことでより不同意性交等罪の成立が認められやすくなる傾向が予測されます。

捜査機関から不同意性交等罪の疑いをかけられると、本当はやっていなかったとしても、なかなか人に相談しにくいといえる上、最初の対応を間違えると後々、取り返しのつかない事態に陥ることもあり得ます。

もし、不同意性交等罪についてお困りの場合には、早期に弁護士へご相談することをおすすめします。

交通事故を経験したことがない方でも、「過失割合」という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。

「過失割合」とは、交通事故の責任が自分と相手にそれぞれどの程度あるのかを示す数値のことで、これは損害賠償の金額に大きく影響します。過失割合が小さければ小さいほど、相手方に請求できる損害賠償額が大きくなり、他方で、過失割合が大きければ大きいほど、相手方に請求できる損害賠償額は小さくなります。

過失割合10対0の事故とは

交通事故が生じた場合、程度や大小はどうあれ、双方に何らかの過失があることが普通です。このため、明らかな被害者であったとしても、その過失割合が0になるということは、実はそれほど多くありません。

しかし、加害者と被害者との過失割合が10対0になる場合も存在します。例えば、有名なのは、後方から走行してきた加害車両が、路上に駐停車している四輪車に追突したようなケースが挙げられるでしょう。

その他にも、被害者側が信号を遵守しているにもかかわらず、加害者側が信号無視をして衝突してきたようなケースや、被害者が歩行者で横断歩道を歩いていたところに加害車両がぶつかってきたようなケースが挙げられるでしょう。

過失割合の修正要素について

交通事故における過失割合がどのように修正させるかについては、四輪車、単車、自転車など属性の組み合わせごとに類型化されています。

例えば、四輪車同士の事故の場合、わき見運転や、無免許運転などが「著しい過失」、「重過失」として過失割合を修正する要素となります。

自動車と歩行者の事故の場合には、歩行者が集団で通行・横断していることや、歩行者が幼児、児童、老人であることなどが、自動車側の過失を加算修正する要素となります。

「動いている車同士で10対0はありえない」は本当?

結論として、絶対にありえないというわけではありません。明らかに被害者側に事故発生の責任がないようなケースでは、過失割合が10対0になる場合があります。例えば、前述したような、加害車両が信号無視して走行中の被害車両(信号遵守)に衝突した事例などでは、被害車両側の過失が0になる可能性があります。

車同士、または車とバイクの事故で過失割合10対0になる例

直進同士

直進同士のケースで、過失割合が10対0になるのは、例えば赤信号無視による追突した場合です。被害車両が青信号で走行中に、加害車両が赤信号を無視し、直進してきてきたために追突事故が生じたような事例では、被害車両と加害車両の過失割合は、10対0となります。

赤信号の直進と青信号の右折

青信号を右折しようとした被害車両に、赤信号を無視して直進してきた加害車両が衝突したようなケースも、同様に過失割合が10対0と判断され得るケースです。

信号機がある交差点での事故には、直進、右折、信号機の色などの組み合わせに応じて、過失割合がある程度類型化されていますが、上記のように、直進車両の信号無視により事故が生じたケースでは、過失割合は10対0と判断されます。

直進とセンターラインオーバー

センターラインを越えて対向車線からの進入事例も、過失割合が10対0と評価され得るケースの一つです。

例えば、対向方向を走行中の加害車両が、センターオーバーをして対向車両と追突したような事例では、センターオーバーをおこなった側の車両の過失割合が10と判断されます。これは、バイクと車の組み合わせにおいても同様です。

駐車・停車車両に追突

駐車車両や停車車両に対する追突事故の場合も、その基本的な過失割合は、追突車両が10、駐停車車両が0となります。

ただし、駐停車車両が、駐車禁止エリアに駐停車していたり、他の交通を妨害するような形で不適切な駐停車を行っていたりするような場合には、過失割合が修正されます。こうしたケースでは、過失割合10対0とは判断されにくくなります。

自動車と自転車で過失割合10対0になる事故事例

左折自動車と直進自転車

直進して走行中の自転車を、自動車が後方から左折して追い越そうとした結果、追突事故が発生したようなケースでは、直進する自転車と左折自動車の過失割合が10対0と判断されます。

センターラインオーバーの自動車と自転車

前述したように、センターラインオーバーの事故については、自動車と自転車との組み合わせの場合も同様です。すなわち、はみだし運転や、車線変更等でセンターラインをオーバーした側の車両の過失割合が10と判断されます。

自動車と歩行者で過失割合10対0になる事故事例

路肩を歩く歩行者と自動車

自転車が歩道上を走行し、その際に歩行者と追突してしまったようなケースでは、自転車側の過失割合が10と判断されることがほとんどです。自転車は道路交通法では原則として自動車と同じ扱いを受けるため、歩道での事故の責任は自転車側にあると考えられるからです。

歩車道の区別がない道路の右側を歩く歩行者と自動車

歩車道の区別がない道路であっても、歩行者が右側端を歩行している場合には、歩行者側の基本的な過失割合は0と判断されます。ただし、あくまでも基本的過失割合であり、個々の修正要素の存在によっては、過失割合が10対0とならないケースもあります。

自転車と歩行者の事故

青信号、または信号のない横断歩道を歩く歩行者との衝突

青信号や信号のない横断歩道を歩く歩行者との衝突事例でも、過失割合が10対0と判断される場合があります。例えば、歩行者が、横断歩道を青信号で渡っている際に、赤信号無視の自転車が追突してきたようなケースでは、歩行者と自転車の過失割合は10対0と判断されます。

歩道外・路側帯外から出てきた自転車との衝突

前述したとおり、歩道や路側帯上で自転車が歩行者と衝突した場合、その基本的な過失割合は、自転車側が10とされています。ただし、歩行者側の急な飛び出しなど、個々の修正要素の有無によっては、過失割合が修正される場合があります。

歩車道の区別がない道路の右側を歩く歩行者と自動車

歩車道の区別がない道路において、道路の右側を歩行中の歩行者と自動車とが衝突したようなケースでは、歩行者の基本的過失割合は0と判断されます。ただし、この場合も、歩行者側に急な飛び出しやふらふら歩き等の過失加算要素が存在する場合には、過失割合が修正されることになります。

過失割合10対0の場合、自身の保険会社が交渉してくれない点に注意

過失割合が10対0のケースでは、自身の保険会社に交渉を代行してもらうことはできません。なぜならば、過失割合が10対0の場合、被害者側は相手方から賠償請求を受ける関係になく、弁護士法との関係で、保険会社は示談交渉をなし得ない立場に置かれてしまうからです。

弁護士なら代わりに示談交渉できる

これに対して、弁護士は法律事務として、相手方と示談交渉を行うことができます。特に、被害者に十分な交渉能力が備わっていない場合や、交渉を行う時間的余裕がないような場合には、専門的知見を持った交渉経験豊富な弁護士に依頼することが望ましいと言えます。

保険会社の提案をその場で受け入れないでください

保険会社の提案をその場で受け入れ、示談を成立させてしまうと、本来であれば得られたはずの賠償金を十分に得られない場合があります。保険会社からの提案に対しては、一旦保留したうえで、まずは、専門家である弁護士に相談することが大切です。

過失割合を10対0に修正出来た事例

本事例は、被害車両が交差点内で左折するため停車し待機していたという状況下において、加害車両が道路外にある駐車場から逆向きに後進しながら路上に侵入し衝突されたというものです。加害車両側は、本件事故が生じた原因は、被害車両が回避措置を講じなかったことにあると主張してきました。

本件は、物損事故扱いだったため、実況見分調書等の刑事記録がなく、客観的な資料の収集が困難な事案でした。そこで、担当弁護士は、まず依頼者と相手方双方から丁寧に言い分を聴取し、事実関係の解明に努めました。

しかし、両者の言い分にそれほどの相違点は見られなかったため、担当弁護士は、関連する類似裁判例などを調査したうえで、それらを交渉材料として相手方との交渉を試みました。

それでも相手方が主張を変える様子がなかったため、担当弁護士は、調査会社に事故状況の調査を依頼し、詳細な報告書を作成するとともに、実際に相手方保険会社の担当者に事故現場に立ち会ってもらう機会を設けました。

こうした丁寧かつ執念深い調査の結果、相手方車両の後方窓ガラスがスモークガラスになっており、後方状況の確認が困難であったため、事故当時に後方確認を怠っていたという新事実を発見し、これを相手方に認めさせることに成功しました。

担当弁護士による一連の調査・交渉により、依頼者側の無過失を認めさせ、車両の修理費用等を支払ってもらう内容の示談を取り付けることができました。

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過失0といわれても、一度は弁護士にご相談ください

過失の有無や、その程度が賠償額にどの程度反映されるのか、そもそも本件は過失0の事例なのかなどについて正しく把握するためには、専門的知見を有した弁護士に相談するのが一番の近道です。まずは、交通事故のスペシャリストである弁護士にご相談ください。

亡くなられた方(被相続人)が認知症の場合でも、遺言書に効力は認められるのでしょうか。また、効力が認められる場合があるとすれば、効力の有無はどのように判断するのでしょうか。
本記事では、遺言書の有効性の判断基準や、裁判例をご紹介しています。

これから遺言書を作成しようとされている場合や、生前認知症だった方の遺言書を発見した場合など、認知症の方の遺言書の有効性に関してお悩みの方は、本記事をご覧ください。

認知症の方が書いた遺言書に効力はあるのか

認知症の方が作成した遺言書であっても、遺言書の効力が否定されるとは限りません。
遺言書の効力との関係で、認知症の方の場合に一番問題となるのが、遺言書を作成した時点における「遺言能力」(民法第963条)の有無です。

「遺言能力」とは、遺言の内容と、遺言によって生じる法律効果を理解できる能力のことです。
この遺言能力がなければ、遺言書は被相続人の意思に基づくものといえないため、遺言書は無効となります。

遺言能力の有無は、医師の診断だけはなく、次のような事情を総合的に考慮して判断されます。

①遺言者の年齢
②心身の状況及び健康状態とその推移
③発病時と遺言時の時間的関係
④遺言時及びその前後の言動
⑤日頃の遺言についての意向
⑥遺言者と受贈者との関係、遺言の動機
⑦遺言内容の複雑性

以上のような事情を総合的に考慮した結果、認知症との診断を受けている場合でも遺言能力が認められるケースもあれば、認知症との診断を受けていなくても遺言能力が認められないケースもあります。

遺言の効力について争いがある場合、最終的には、遺言無効の裁判といった手続きを取ることになります。裁判上、裁判官は、①~⑦のような事情を総合的に考慮して、被相続人の遺言能力の有無について判断を下します。

有効と判断される場合

遺言書が有効と認められるのは、遺言能力が認められるケースです。
具体的には、認知症との診断がされていても、遺言の内容が「相続人の一人に全財産を相続させる」という単純なものであるというケースであれば、被相続人が遺言の内容と法律効果を認識していたとして、遺言能力が認められる場合もあります。

また、上記のような遺言の内容で、相続を受ける相続人が、長期間にわたって被相続人と同居して世話しており、被相続人もその相続人に相続させるという意思を以前から表明していたようなケースでも、遺言能力が認められる場合があります。

無効と判断される場合

遺言書が無効と認められるのは、遺言能力が認められないケースです。

具体的には、遺言内容が非常に複雑であったり、自分の名前や生年月日、子どもの名前や人数といった事実を答えられなかったりするケースでは、被相続人が遺言の内容と法律効果を認識していたとはいえず、遺言能力が認められない可能性が高くなります。

もっとも、遺言能力の有無は、あくまで事情を総合的に考慮して判断するため、個別の事情からは遺言能力が疑われるようなケースでも、遺言能力が認められる場合もあります。

公正証書遺言で残されていた場合の効力は?

公正証書遺言は、公証役場に出向き、公証人や証人の立ち会いのもとで作成する遺言を指します。

公正証書遺言の場合、被相続人本人が手書きで自作する自筆証書遺言と異なり、公証人が被相続人の意思を確認するというプロセスを挟みます。そのため、自筆証書遺言と比較すると、遺言書が有効となる可能性は高くなります。

しかし、公正証書遺言であっても、必ずしも遺言書が有効となるとは限りません。

過去の裁判例では、公正証書遺言を作成された方が中等度から高度のアルツハイマーとの診断を受けていたケースで、公証人が遺言内容を読み上げて本人の意思確認をしているものの、遺言内容が複雑であったことから、遺言能力を否定して、遺言書が無効であると判断されたこともあります(横浜地判平成平成18年9月15日)。

認知症の診断が出る少し前に書かれた遺言書がでてきた。有効?無効?

認知症との診断後に遺言書が作成されたケースに比べると、遺言書が有効であると判断される可能性は高くなります。

もっとも、作成時点で認知症と診断されていなかったからといって、遺言書が有効であるとは限りません。
例えば、遺言書の作成から期間を空けずに、認知症の診断がなされている場合、遺言書を作成した時点での遺言能力がなかったのではないかと疑われるため、遺言が無効と判断される可能性はあります。

診断書は無いけど認知症と思しき症状があった…遺言書は有効?無効?

医師が作成する診断書は、認知症などの直截の裏付けとなり、遺言能力の判断にあたって重要な証拠となります。しかし、診断書が存在しないからといって、必ずしも認知症でなかったとは限りません。

遺言能力の判断にあたっては、診断書以外の証拠、例えば、病院のカルテ(診療録)、介護事業者のサービス提供記録、遺言者本人や同居人の日記などから、認知症の症状の有無や、遺言能力が認められるかを判断することになります。

これらの事情を総合して、診断書は存在しないものの認知症の存在が認められる場合は、遺言能力は否定されます。

まだら認知症の方が書いた遺言書は有効?

まだら認知症とは、認知症の症状が偏ってあらわれる場合をいいます。例えば、直前の食事を覚えていないとなど記憶能力に問題があるものの、会話は問題なくできるなど判断能力には問題がないようなケースがあります。

まだら認知症の方が書いた遺言書の有効性が認められるかは、症状の内容や程度、遺言内容の複雑性、遺言書作成時や前後の言動から、総合的に判断することになります。
まだら認知症の方の場合は、特に遺言書作成当時の症状の内容や程度が問題となることが多いため、作成時にはそれらの症状がきちんと記録に残るようにしておくことが重要です。

認知症の方が書いた遺言書に関する裁判例

遺言書が有効と判断された裁判例

認知症の方が作成された遺言書が有効と判断された裁判例として、東京地判平成30年11月20日があります。

この裁判例は、81歳の遺言者Aが、平成22年9月28日に認知症と診断後、平成26年3月20日に公正証書遺言を作成した事案です。遺言の内容は「土地建物はBに相続させる。祭祀承継者もBにする」というものでした。

この裁判例では、遺言自体が平易な内容のものであること、BがAと同居し身の回りの世話をしたという状況から当該内容の遺言をすることが不自然不合理ではあるといえないこと、公正証書作成時に公証人からの質問に受け答えをしていたことから、認知症の診断がされていたものの、遺言能力があったと判断しました。

遺言書が無効と判断された裁判例

認知症の方が作成された遺言書が無効と判断された裁判例として、東京地判平成26年1月30日があります。

この裁判例は、86歳の遺言者Cが、平成17年5月に認知症を発症後、同年6月18日に自筆証書遺言を作成した事案です。遺言の内容は「財産を全てDに相続させる」というものでした。

この裁判例では、判断要素として遺言内容の難易性に着目し、遺言内容自体は全財産を全てDに相続させるという単純なものであり、その内容を理解することは客観的に容易であったとしています。

その一方で、遺言書作成当時のCとDとの人的関係が円満であったと認め難いことや、遺言作成前後の診断書によると認知症の症状が高度に進行していたことを指摘し、遺言能力がなかったと判断しました。

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認知症の方の遺言書については弁護士にご相談ください

認知症の方の作成された遺言書については、医師による診断の有無が重要になる一方、単純に診断の有無によって遺言書の有効性が決まるわけではないという特徴があります。
そのため、生前に遺言書を作成する場合や、死後に遺言書が発覚した場合のいずれでも、他の事情も考慮して、遺言書の有効性が認められるのかを検討することが重要となります。

このような総合的な考慮は、他の事案との比較が必要となりますので、どうしてもご本人では難しい部分があるのではないのでしょうか。せっかくの遺言書が無駄になることがないよう、認知症の方の作成された遺言書の件でお悩みの際は、まずは一度、弁護士にご相談ください。

夫婦は、婚姻生活をするうえで、互いに扶養義務を負っています。この扶養義務の一内容として生活保持義務があります。具体的には、自分の生活を保持するのと同程度の生活を相手方にも保持させる義務のことを言います。

夫婦の一方のみが働き、他方が専業主婦/主夫である場合には、収入を得ている方が生活費を支出することは容易に想定できます。しかし、夫婦共働きの場合にはどのように負担するのでしょうか。

以下では、夫婦が共働きの場合の婚姻費用(生活費)の取り扱いについて解説します。

共働きでも婚姻費用の分担義務はある

共働きの場合には、互いに収入があり生活費をそれぞれが負担しているとも考えられます。そのため、一見すると婚姻費用の分担義務は負わないように思えます。

しかし、婚姻費用の分担義務は、自分の生活を保持するのと同程度の生活を相手方にも保持させる義務です。例えば、夫婦の一方が他方よりも高収入の場合には、相手方にも同程度の生活を保持させるために婚姻費用を支払う義務を負うことになります。

また、夫婦双方の収入が同程度であり、夫婦の間に子供がいて、子を監護している親が生活費をすべて負担している場合では、子供の監護をしていない一方が他方に対して婚姻費用を支払う義務を負うことになります。

そもそも婚姻費用とは?

夫婦が分担義務を負うことになる婚姻費用とはそもそも、どのようなものなのでしょうか。

婚姻費用とは正式には「婚姻から生ずる費用」(民法760条)といいます。具体的には、夫婦の衣食住の費用のほか、子の監護に要する費用、教育費等の婚姻生活を送る上で必要な様々な種類の費用が含まれます。

夫婦は互いに、以上のような費用を双方の収入に応じて分担することになります。

共働きの場合の婚姻費用の相場はどれくらい?

婚姻費用は、夫婦それぞれが得ている収入及びそれぞれが生活するにあたり必要な費用を計算し、これらに基づいて算定する改正標準算定方式を用いて算出されます。この複雑な計算式に基づいて算出される婚姻費用を収入及び子供の数に応じて表にまとめたものが裁判所のホームページ上に公表されています。

個別具体的な事情に応じてこの表を確認することで、婚姻費用の相場を知ることができます。

婚姻費用を払ってくれない場合の対処法

婚姻費用を支払ってくれない場合としては、①婚姻費用の金額等に折り合いがついていない場合と②金額等に合意したけれど支払いがなされない場合が考えられます。

まず、①の場合には相手方に算定表を用いて金額を提示し、任意の支払を求めることが考えられます。しかし、当事者同士の話し合いでは任意の支払いに応じない場合が想定されます。その場合には家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申立てます。

調停では当事者の間に第三者が入り、話し合いで合意を目指すものになります。もっとも、当事者同士の話し合いで合意できない場合には審判に移行します。審判では裁判所が当事者の収入資料等から婚姻費用の金額を判断します。

次に、②の場合には、調停や審判で確定した内容が債務名義となり、裁判所に強制執行の申立てを行い、未払いの婚姻費用を回収することになります。

共働き夫婦の婚姻費用に関するQ&A

共働きの妻が生活費を出さないのですが、払わせることはできますか?

婚姻費用の分担額は、夫婦それぞれの収入や子供の人数、監護状況等を考慮して決まります。そのため、共働きの妻の収入や個別の事情によっては、婚姻費用を請求することが可能です。
婚姻費用を支払わせる方法としては任意の交渉を経て、折り合いがつかない場合に家庭裁判所に調停の申立てをする。調停がまとまらなかった場合は審判に移行することになります。また、まとまった内容どおりの支払がなされない場合には調停等の内容に基づいて強制執行の手続きを用いることになります。

共働きですが、育休中です。婚姻費用は収入0の欄を見ればよいのでしょうか?

収入欄のいずれを見るのかは、就業先等から得ている手当等があるかどうかにより異なります。 育休中であったとしても、それに応じた手当等を就業先から支給されている場合はその金額を基準に判断することになります。
例えば、雇用保険の被保険者は、要件を満たせば育児休業給付金の支給を受けることができます。この給付金の支給を受けている場合には育休中であったとしても収入があるものとして取り扱われます。

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婚姻費用は、改正標準算定方式や算定表が用いられており、一般の方でも容易に婚姻費用の相場を知ることができるようになりました。しかし、これらの算定表等により算出される金額はあくまで目安となります。適切な婚姻費用を請求するには、個別具体的な事情の考慮や実務の運用方法等を理解する必要があります。

弁護士は専門的知識と経験により適切な解決を目指します。婚姻費用でお困りの際は、一度弁護士に相談することをご検討ください。

本記事では、脅迫罪・恐喝罪・強要罪のそれぞれの意義や違いについて解説します。
一般の方々にとっても、比較的身近な犯罪ですので、ぜひ最後までお目通しください。

脅迫・恐喝・強要罪の刑罰

脅迫罪の刑罰

脅迫罪を犯した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(刑法222条)。

恐喝罪の刑罰

恐喝罪を犯した者は、10年以下の懲役に処せられます(刑法249条)。
脅迫罪と比較して重めの処罰を設けられています。

強要罪の刑罰

強要罪を犯した者は、3年以下の懲役に処せられます(刑法223条)。脅迫罪とは異なり、罰金刑が設けられていない点が特徴です。

脅迫・恐喝・強要罪の違い

「脅迫罪」は、人の生命や身体等に害を加える旨の告知をすることで成立する犯罪であり、未遂(実行行為に着手したが、結果が発生しなかったこと。)の場合の処罰はありません。

他方、「恐喝罪」は、人を恐喝して財物を交付させること、「強要罪」は、脅迫や暴行によって、人に義務のないことを行わせる等することで既遂となり、未遂の場合の処罰があります。

このように、脅迫・恐喝・強要罪は、それぞれ行為態様や結果に違いがあります。
以下、犯罪ごとに詳述します。

脅迫罪について

脅迫罪は、意思決定の自由を保護法益(刑法によって保護する利益のこと。)とする罪であり、「生命、身体、自由、名誉又は財産」に対して、「害を加える旨を告知」して「人を脅迫」した場合に成立します。

例えば、「殺すぞ。」、「痛い目に遭わせてやる。」等と発言、怒号するような場合が典型的ですが、その他、刑事告訴の意思がないのに畏怖させる目的で「刑事告訴するぞ」と告げるような場合も脅迫罪が成立する場合があります。

脅迫罪の時効

脅迫罪の時効は3年とされています(刑事訴訟法250条)。
刑事事件における時効を過ぎると、検察官が公訴(検察官が犯罪の被疑者に対して有罪の判決を求める訴えのこと。)を提起することができなくなります。

もっとも、刑事事件としての時効が成立した場合でも、民事事件としての時効が完成しておらず損害賠償を請求される場合もあるので注意が必要です。

害悪の告知

脅迫罪における「害悪の告知」は、不快感や漠然とした不安案を感じさせるものでは足りず、他人を畏怖させるに足りる程度のものが必要となります。

「他人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知」があったかどうかは、被害者の年齢、性別、職業などの被害者側の事情や、加害者と被害者との人間関係等具体的な諸事情を考慮して、客観的に判断されます。

例えば、口頭の発言や、SNS、メール、殴る素振り等でも、他人を畏怖させるに足りる程度のものと客観的にいえれば、脅迫罪の構成要件に該当する可能性があります。

脅迫の対象

害を加える旨を告知する対象は、告知された者だけでなく、その親族も含みます。
しかし、恋人や被害者と親しい友人等、親族にあたらない者への害悪の告知がなされた場合には、原則として本罪は成立しません。

恐喝罪について

恐喝罪は、個人の財産を保護法益とする罪で、「人を恐喝して」「財物を交付」させた場合に成立します。

例えば、「金を出せ、出さなかったら殴るぞ。」と脅して、相手が恐怖心から金銭を差し出し、受け取ったような場合が典型例です。なお、恐喝をされた者が財物を交付しなかった場合(未遂)でも処罰されます。

恐喝罪の時効

恐喝罪の時効は、7年とされています(刑事訴訟法250条)。
もっとも、脅迫罪と同様、刑事事件としての時効が成立した場合でも、民事事件としての時効が完成しておらず損害賠償を請求される場合もあるので注意が必要です。

親族間の場合の特例

恐喝罪には、「親族相盗例」という例外が規定されています(刑法251条、244条)。親族相盗例とは、親族間の犯罪については、たとえ犯罪が成立したとしても刑が免除されるという例外です。

親族相盗例は、配偶者、直系血族又は同居の親族の間で恐喝罪を犯した場合に適用されます。なお、ここでいう「親族」とは、六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族のことをいいます(民法725条等)。
「配偶者、直系血族又は同居の親族」以外の親族との間の恐喝罪については、親告罪であるため、被害者が告訴をした場合のみ処罰の対象となります。

権利の行使と恐喝罪

恐喝罪は、自己の権利を実現するために恐喝的手段を用いた場合でも成立する場合があります。例えば、お金を貸している人が、お金を借りている人に対し、「金返せ。痛い目にあいたいのか。」等と伝え、金銭の返還を受けた場合等です。

判例は、権利行使自体が、権利の範囲内であり、かつ、その方法が社会通念上一般に受容すべきものと認められる限度を超えない限りは、違法の問題が生じないが、その範囲程度を逸脱するときには、恐喝罪が成立することがあるとしています。

強要罪について

強要罪は、意思決定の基づく意思活動(行動)の自由を保護法益とする罪であり、「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して」「脅迫」または「暴行を用いて」「人に義務のないことを行わせ」または「権利の行使妨害した」場合に成立します。

例えば、脅迫や暴行によって、理由なく謝罪文を書かせる行為や、大会への出場を辞めさせる行為等がこれに該当し、未遂でも処罰されます。

強要罪の時効

脅迫罪の時効は3年とされています(刑事訴訟法250条)。
もっとも、脅迫罪と同様、刑事事件としての時効が成立した場合でも、民事事件としての時効が完成しておらず損害賠償を請求される場合もあるので注意が必要です。

関連する犯罪

強盗罪

強盗罪は、「暴行または脅迫を用いて」「他人の財物」を「強取した」場合に成立します。恐喝罪との違いは、暴行又は脅迫の程度の大きさにあります。強盗罪における暴行又は脅迫は、「犯行を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使又は害悪の告知」であるのに対し、恐喝罪における暴行又は脅迫は、「犯行を抑圧するに至らない程度の不法な有形力の行使又は害悪の告知」で足ります。

なお、強盗罪が成立しなかった場合に無罪となるのではなく、恐喝罪が成立する可能性はあります。

名誉毀損罪

名誉棄損罪は、「公然と事実を適示」し、「人の名誉を」「毀損した」場合に成立します。
例えば、不倫関係にあることを公衆の面前で、大声で暴露するような場合にあたります。事実の有無にかかわらずに成立しますので、不倫関係が事実であったとしても成立することになります。

威力業務妨害罪

威力業務妨害罪は、「威力を用いて」「人の業務を妨害した」場合に成立します。ここでいう「業務」とは、職業その他の社会生活上の地位に基づいて継続して従事する事務のことをいいます。

例えば、弁護士を困らせる目的で、その弁護士が所持していた訴訟記録等が入った鞄を奪取して持ち帰り、自宅に隠していたような場合があたります。

人質による強要行為罪

人質による強要行為罪は、「人を逮捕し、又は監禁」し、「人質にして」「義務のない行為をすること又は権利を行わないことを要求」した場合に成立します。

例えば、人質をとって、第三者に対して、「1億円もってこい」という場合があたります。これは未遂でも処罰がされます。

脅迫・恐喝・強要罪で逮捕される場合

脅迫や恐喝・強要をしているところを、通報され、その場で逮捕されるような場合には現行犯逮捕となります。
他方、当事者しかいない空間で、脅迫等が行われる場合には、後に被害者が被害届を出すことで発覚し、逮捕に至ることがあります。

脅迫等が、面と向かって、第三者がいる場で行われない限り、現行犯逮捕に至ることは少ないと考えられるため、大半の場合、被害者が被害届を提出し、後日逮捕されることの方が多いといえます。

逮捕後の流れについて詳しく見る

脅迫・恐喝・強要を行ってしまった際の対応

脅迫や恐喝、強要を行ってしまった場合、被害者への謝罪が重要になります。被害者が宥恕し、示談の成立を行うことができれば、不起訴処分となる可能性が高まります。
しかし、被害者に直接接触すると、被害者の感情を害するおそれや、罪証隠滅が疑われる危険もあるため、早期の段階で弁護士へ相談することをお勧めします。

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脅迫・恐喝・強要の罪に問われた場合は弁護士へ相談を

脅迫や恐喝、強要を行ってしまった場合、被害者の宥恕と、示談の成立が、不起訴処分を目指すうえで、重要です。被害者に対して、迅速に謝罪・示談の対応を行うことで、被害者の気持ちも和らぐ可能性もあります。

どのように対応していけばよいのか等、不安に思われている方は、まずはお気軽に弁護士にご相談ください。

日本では制度上、離婚する際に夫婦のどちらか一方を親権者に定めなければいけないことになっています(これを「単独親権制度」といいます)。このため、夫婦の双方が親権者になることを望んでおり、かつ、夫婦のいずれを親権者にするかが決まっていないような場合には、子供の連れ去りという問題に発展するケースが多く見受けられます。

なぜならば、親権を強く望む一方の親が、相手方に黙って勝手に子供を連れ去ってしまうという事態が起こりやすいからです。

本ページでは、子供の連れ去りとは何か、親権獲得との関係でどのような影響があるのか、子供を連れ去られたときの対処法にはどのようなものがあるのかなどについて、解説していきます。

子供の連れ去りとは

子供の連れ去りとは、夫婦の一方が、相手の合意を得ずに、勝手に子供を連れ去ってしまうことをいいます。

前述したように、子供の連れ去りは、夫婦の双方が親権の獲得を強く望んでいるために、なかなか話し合いが進まないような場合に起こり得る問題です。

子供の連れ去りが起こる要因の1つは、親権者を決める際に、子供と長く一緒に暮らし、その面倒みてきた方の親が有利だとされているからです。実際、裁判所は、親権者を決定する際に、監護の継続性を重視する傾向があるため、子供の連れ去り別居が、親権争いにおいて有利になる面があることは否定できません。

しかし、子供を連れ去った際のやり方や経緯などによっては、かえって裁判所に悪い印象を与え、親権者を決める際に、不利になることもあります。

子供の連れ去りは親権獲得に影響する?

子供を連れ去った親は、より長く子供と暮らすことができるため、監護実績という点で有利に働くこともあります。しかし、他方で、子供の連れ去った際のやり方や経緯から、親権獲得に不利になる場合もあります。

例えば、連れ去り方があまりにも強引であったり、子供の意思に反して無理やり連れ去ったりするなど、子供の利益に反するような形で連れ去りが行われた場合には、親権者としての適格性が疑われ、親権争いで不利になる可能性があります。

子供の意思で付いていった場合はどうなる?

子供の意思は、親権が決定される際の考慮要素の1つです。したがって、子供の意思という観点で、親権獲得に影響する場合があります。

特に、15歳以上の子はその意見を裁判所が聞かなければならないという規定があるので、子供の意思という点は、重要な考慮要素の1つになり得ます。また、15歳未満の子についても、できるかぎり当人の意見をくみ取ろうとする工夫が講じられており、子供の意思に対して様々な配慮がなされています。

このため、年齢的にも成熟している子供が、自らの意思で一方の親と暮らしたいと表明しており、それが他の観点から見ても問題ないようなケースでは、子供の意思に沿った判断が下されることが多いとされています。

子供が連れ去られたときの対処法

自分の子供が連れ去られてしまった場合、慌てて自力で連れ戻そうとする方が多いかもしれません。しかし、この方法には大きなリスクがあります。なぜならば、連れ戻し方や経緯によっては、刑事責任に問われたり、大きなトラブルに発展したりする可能性があるからです。

このため、突然子供を連れ去られたような場合でも、まずは法的手続きに則って対処することが望ましいです。子供を取り戻す法的手続きとしては、以下のようなものが挙げられます。

子の引き渡し調停(審判)

第1に、「子の引き渡し調停」が挙げられます。これは、家庭裁判所の裁判官や調停委員などの第三者に間に入ってもらったうえで、当事者間の話し合いによって解決を目指す手続きです。

ただし、この手続きはあくまでも当事者間の話し合いより解決を図るものであり、実効的な解決という点では不十分な面があります。なぜならば、連れ去りにまで発展している夫婦間において、合意を成立させることはあまり現実的ではないからです。

このため、調停が不成立になることを見越して、はじめから「子の引渡し審判」の申立てを行う場合が多いです。調停と異なり、審判では、裁判所が子供を引き渡すべきかどうか判断することになります。

審判前の保全処分(仮処分)

第2に、審判前の保全処分(仮処分)が挙げられます。これは、子供の引き渡しを仮に認めてもらうよう求める手続きです。

監護親による虐待やネグレクトなど、子供の身に危険が生じている場合で、かつ裁判所の判断を待っている時間的余裕がない場合に、「子の引渡し審判」とセットで申し立てることが多いです。

引き渡しに応じない場合は「強制執行」が可能

子の引き渡し請求等の家事手続きにより引渡しが決定したにも関わらず、任意の引渡しに応じない場合には、「強制執行」という手段により取り戻すことが考えられます。強制執行には大きく分けて、「直接強制」と「間接強制」の2種類があります。

直接強制とは、相手の家や保育園など現に子供がいる場所に執行官が直接赴いて、実際に子供を連れて帰るものであり、家庭裁判所の出す決定に従って行われます。直接強制は、間接強制を行ったにもかかわらず相手方が子供の引き渡しに応じなかったり、子供の生活が脅かされていたりする場合に行われます。

これに対して間接強制とは、子供を引き渡さない相手方に対して、家庭裁判所が一定の金銭の支払い義務を課することにより、相手方に心理的な圧迫を加え、間接的に子供の引渡しを促す方法のことです。

人身保護請求

家事事件手続きによって、子供の引渡しが認められたにも関わらず、相手方が一向に子供を引渡さず、これに対する強制執行も実現しないような場合には、「人身保護請求」をすることが考えられます。

人身保護請求は、子供を取り戻す手続きの最終手段として位置付けられています。というのも、人身保護請求が認められるのは、「顕著な違法性」があるような一定のケースに限られるからです。例えば、正当な理由なく子供を拘束している場合や、子供の心身の健康が阻害されている場合などがこれにあたります。

なお、人身保護請求を行う場合には、原則として弁護士に代理人を頼む必要があります。

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国際離婚における子の連れ去りと「ハーグ条約」

ハーグ条約とは、正式名称を「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」といい、不法に他国に連れ去られた16歳未満の子について、連れ去られる以前の子の常居所地国に迅速に返還することを目的とした非常応急手続です。この条約は、国内でも2013年に5月に承認されました。

これは、国境を越えた子供の不法な連れ去りや留置をめぐっての紛争に対応するために、子供を元の移住国に返還するための手続きや親子の面会交流の機会を確保するために締結国間で協力しようと定めた条約です。

子供が外国から日本に不法に連れ去られたり、日本に留め置かれたりした場合、子供と離れて暮らす親は日本の裁判所に子供の返還を求める手続きや面会交流の申立てをすることができます。ハーグ条約は日本も加盟しており、現在(令和4年10月1日時点)締結国は101ヶ国となっています。

子供の連れ去りを防止するための対策

子供の連れ去りを防止するための対策としては様々なものが考えられますが、離婚前の対策としては「子の監護者の指定調停(審判)」が考えられます。これは離婚前に、裁判官や調停委員に間に入ってもらい当事者間で話合うことで、別居した際の子供の監護者を事前に決めておくものです。

ただし、調停という手続きは、あくまでも当事者間の合意によって監護者を決めるものです。このため、話し合いがうまくいかずに調停不成立となれば、審判に移行することになります。調停と異なり、審判では、裁判所が一方的に監護者を指定することになるため、審判によって監護者として指定されれば適法に子供を連れて別居することが可能になります。

子供の連れ去りに関する裁判例

東京高裁令和元年12月10日決定

事案の概要

この裁判例は、妻が夫の同意なく勝手に未成年(別居開始当時4歳)の男児を連れ去った事案です。
別居するまでは約6年間にわたり同居していましたが、その間、平日は主に妻が子供の監護を担当していました。

その後、妻が夫に対する暴行、傷害を理由に逮捕、勾留され、勾留中に両社の間で「将来離婚する際には、夫を親権者とする」旨の示談が成立したため、妻は釈放されます。

しかし、そうした合意が成立していたにも関わらず、妻は釈放の約1ヶ月後に夫に無断で子供を連れ去り別居を開始しました。このため、夫が審判前の保全処分として未成年者の仮の監護者の指定及び仮の引渡しを求めたというのが、事件の経緯です。

裁判所(東京高裁)の判断

原審のさいたま家裁川越支部は、「親権者指定条項を定めた趣旨に違反し、未成年を違法に連れ去ったと評価するほかな」いとして、夫側の上記申し立てを認容しました。

これに対して、抗告審である東京高裁は、①上記示談の際に決められた親権者に関する合意はあくまでも相互協力に努めることを確認的なものにすぎないこと、②示談書作成の経緯などに鑑みると親権者指定に関する合意はそれほど重視できないこと、③別居前までの子供の監護を主に妻側が担当していたことなどを指摘したうえで、妻の行動は違法な子の連れ去りに当たるとはいえないとして、原審を取り消し、申立てを却下しました。

子供の連れ去りについてのQ&A

子供の連れ去りは違法ですか?

子供の連れ去りは、連れ去りの態様や原因によっては、違法とみなされるケースがあります。
例えば、子供の親権争いが激化する中で子供を連れ去った場合や、子供が嫌がっているにも関わらず無理やり連れ去った場合、面会交流の際に乗じてそのまま無断で連れ去った場合などには、違法と判断され得ます。
他方で、子供を連れ去っても違法と判断されない場合もあります。
例えば、虐待やDVなどが行われていた場合や、子供の心身を害するほど生活環境が阻害された状況にあった場合などです。こうしたケースでは、正当な理由があると判断されることが多いです。

妻が子供を連れ去りました。父親が親権を得るためにできることはありますか?

親権者の決定は、①従前の子供との結びつきや養育状況、②子供の年齢や意思、③親の健康状態、④離婚後の生活環境、⑤離婚後の経済状況などの客観的要素から判断されます。このため、父親側で十分な養育環境を整えておくことは、親権を得るために重要になってきます。
また、子供を連れ去られてしまった場合には、できるだけ速やかに子供の引き渡しの審判や監護者指定の審判を申し立てる必要があります。なぜならば、時間が経過すればするほど、父親側にとって不利な状況になり得るからです。

連れ去られた子供を相手に黙って連れ戻しても良いでしょうか?

連れ去られた子供を自力で無理やり連れ戻すことには、様々なリスクがあります。事実関係によっては、刑事責任を問われたり、トラブルを複雑化させたりするおそれもあります。こうしたトラブルの激化を防ぐためにも、まずは、法的な手続きに則って対処することが大事だといえます。

面会交流時に子供を連れ去られたら親権も奪われてしまいますか?

面会交流時に子供を連れ去られたからといって、直ちに親権を奪われることにはなりません。
前述したように、面会交流時に無断で子供を連れ去ることは違法行為にあたるため、連れ去った親側にとっては親権者を決めるに際して不利な事情と評価され得ます。また、こうした面会交流時の連れ去りは、今後の面会交流を制限できる理由にもなり得ます。

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子供の連れ去りに関するご相談は、経験豊富な弁護士にお任せください

子供が連れ去られた場合、実力行使で取り戻すことには様々なリスクがあります。取り戻しの態様や状況によっては違法とみなされたり、親権者指定において不利に働いたりする可能性があるからです。このため、まずは、家庭裁判所の調停・審判を利用するなど、適法な手続きに則って進めていくことが大事です。

ただし、こうした手続きを、ご自身だけでスムーズかつ適切に進めることは難しい場合もあります。特に、子供が連れ去られたことで感情がかき乱され冷静に対処できないケースも多く見受けられます。心身が不安定な状況で、無理に自力で解決しようとすると、かえって良くない結果を招く可能性さえあります。

そのため、子供の連れ去りが起こった場合には、まずは法的知識や経験が豊富な弁護士に相談することをお勧めします。これは、単に専門的なアドバイスを受けることができるだけでなく、他人に相談することで、自身の状況を客観的に把握し、気持ちを落ち着けることにもつながります。

弁護士法人ALGは、離婚をはじめとする家事事件を数多く取り扱っており、子供の連れ去りをめぐる事案に関する知見やノウハウを多く持っています。
依頼者の方にとって適切な解決の道筋を示せるよう、全力でサポートさせていだきます。

交通事故に遭われた場合、ご自身が信号待ち等で停止していた際に相手方から追突されたというような場合以外は、ご自身にも一定の過失があるとされることがほとんどです。

その場合、ご自身の過失割合については、相手方(加害者)の保険会社から提示されますが、当該過失割合に納得できないという場合もあるでしょう。この過失割合については、そのまま受け入れるしかないのでしょうか。以下、説明していきます。

交通事故で過失割合に納得いかない!修正できる?

相手方保険会社から提示された過失割合については、あくまで相手方保険会社が主張しているものです。これは絶対的なものではなく、納得できない場合は、相手方保険会社との交渉や裁判において異なる過失割合とすべきことを主張して修正することは可能です。

具体的な修正方法については、以下のとおりです。

納得いかない過失割合を修正してもらう方法

自分で示談交渉する

相手方保険会社との交渉自体は、被害に遭われた方がご自身で行うことも可能です。

ただ、相手方保険会社も相手方本人から事故の状況を聞き取るなどした上で、過去の類似の事故における過失割合に関する裁判例等を根拠として、こちらの過失割合を主張してくることが多いです。

この主張に対しては、①こちらの過失割合が小さくなる事情があった、又は、②相手方の過失割合が大きくなる事情があったことを主張するなどして、過失割合を修正する交渉を進めます。

弁護士に依頼する

相手方保険会社との交渉において主張すべき(過失割合を修正するための)事情は、事故態様により異なります。

そのため、実際にご自身が交通事故に遭われた場合に、相手方保険会社との交渉において、どのような事情をどのように主張すれば過失割合を修正できるのかは専門的な知識を必要となり、容易に判断することができません。

このような交渉について豊富な知識と経験を有する弁護士であれば、適切な主張を行い、過失割合をご自身の有利に修正できる可能性が高まります。そのため、弁護士に依頼することも選択肢の一つです。

過失割合で相手がゴネる…ゴネ得させないための方法は?

被害者にも過失がある場合、当該過失割合の分だけ、加害者が支払う賠償額が少なくなります。加害者が、自己の賠償額を少なくすることを狙って、実際の事故態様とは異なる事実を主張するなどしてゴネることにより、自己の過失割合をより小さくしようとすることがあります。

このような場合に、加害者の主張どおりの過失割合を認めてゴネ得をさせないためには、まず、相手方が主張する過失割合の根拠となる事実等を提示するよう求めます。これらの事実を検討し、相手方への反論の基礎とすることが必要です。

また、これに加え、(もし入手でできるのであれば、)事故の状況を録画したドライブレコーダーや、防犯カメラの映像等、客観的に事故の状況を示す証拠を提出するなどして、相手方の主張が客観的事実と異なることを主張することも必要です。

交通事故の過失割合の修正を弁護士に依頼するメリット

過失割合の修正方法は、既に説明しました。

しかし、具体的な事故において、①相手方の保険会社から過失割合の根拠となる事実等の提示を求め、②どのような事実が自己の過失割合を有利に修正するための事実となるかを判断し、③当該事実を証明するための証拠を収集して提出した上で、④相手方の保険会社と過失割合を修正する交渉を行うことは、交通事故やその示談交渉の経験のない一般の方にとって容易なことではありません。

このような交渉について豊富な知識と経験を有する弁護士に依頼すれば、これらの過程を適切に行うことができ、過失割合を有利に修正できる可能性が高まります。

よくある質問

もらい事故なのになぜ過失がつくのか納得できません。過失0にできませんか?

もらい事故とは、被害者側に全く過失のない場合をいいます。被害者側が交通ルールを守って運転しているにもかかわらず、加害者により事故に巻き込まれたというような場合がこれにあたりやすいといえます。
もっとも、一見もらい事故に見えても、加害者側が被害者側の過失を主張する可能性があります。当該過失割合に応じて支払うべき賠償額を減額するためです。この場合も、当該過失割合は相手方の主張するもので、絶対のものではないため、ゼロにすることは可能です。
その方法として、既述のような当事者間の直接交渉の方法もありますが、その方法では話がまとまらない可能性もあります。その場合は、交通事故紛争処理センター等を介した話し合い、裁判所における調停や裁判の方法をとることが考えられます。

まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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交通事故の経験豊富な弁護士にお任せください

交通事故の過失割合に納得できない場合は弁護士にお任せください

ここまで説明してきたように、交通事故の被害に遭われた場合でも、加害者側(の保険会社)からこちらの過失を主張されることも多く、これに納得できない場合、交渉等を行うことにより、過失割合をこちらに有利に修正することは可能です。

もっとも、相手方(の保険会社)と適切に交渉して、過失割合を自己に有利に修正することは、交通事故の示談交渉の知識や経験のない一般の方々にとって、非常に困難です。

そのため、加害者の主張する過失割合に納得できない場合は、自己に有利な過失割合となる可能性を高めるべく、弁護士へのご依頼をご検討ください。

遺産分割に関する協議が成立しても、その後、遺産分割協議に瑕疵があったことが判明することがあります。このような場合に当初の遺産分割協議が無効となる場合があるのは当然として、どのような場合に遺産分割協議が無効となり、逆にどのような場合に瑕疵があったとしても遺産分割協議自体は有効(または、遺産分割協議の一部は有効)とされるのでしょうか。

わずかな瑕疵があった場合も含めて全て遺産分割協議を無効としてしまえば。遺産分割協議の安定性を著しく害することになります。一方で、遺産分割協議の安定性を重視するがあまり、そのような瑕疵がなかったとすれば遺産分割協議の内容が大きく変わっていたであろう場合も含めて、これを有効とし、他の共同相続人に対する価格賠償等のみ認め救済を図るというのも妥当ではありません。

当事者の意思の尊重と取引の安全等様々な要素の考慮を要する問題であるといえます。

はじめに

遺産分割協議の瑕疵とその効力をいかに解するべきかについて述べる前に、これに関連して、前提とするべき事項について確認します。

遺産分割協議について、これに意思表示の瑕疵等が存在し、これが無効となり得るような場合はもちろん、瑕疵が存在しないような場合でも、当事者全員が既になされた遺産分割協議の内容にとらわれずに遺産分割協議を行うことに合意すれば、当然に、改めて遺産分割協議を行うことができます。

当初の遺産分割協議に真に瑕疵が存在するのかが争いになり、円滑に再分割の協議がなされない場合には、まず再分割協議の前提として、これと並行して、遺産分割協議無効確認の訴えを提起する等の手続を行う必要があるでしょう。

遺産分割協議の瑕疵とその効力

遺産分割協議の瑕疵には、以下に述べるものの他、遺産分割協議の時期、方法、遺産自体の瑕疵(実は遺産に属せず他人のものであった等)、遺産評価の誤り等様々な原因が考えられるところですが、本記事では比較的よく問題になる原因ついて言及し、その場合の遺産分割協議の効力をいかに解するべきかについて述べていきます。

相続人の一部を除外して遺産分割協議がなされた場合

遺産分割協議は本来、共同相続人全員の自由な意思表示によりなされるものですから、戸籍上判明している相続人を除外してなされた遺産分割協議は無効です。

たとえ共同相続人の一人が所在不明であった場合でも、不在者財産管理人を選任して、遺産分割協議を行うことができますから、所在不明であることを理由に当該共同相続人を遺産分割協議から除外することはできません。

遺産分割協議後に相続人であることが判明又は確定する場合があります。例えば死後認知判決が確定した場合、相続人である胎児が出生した場合、離婚無効又は離縁無効判決が確定した場合などが考えられるところです。

民法上明文の規定が存在するのは、相続の開始後認知によって相続人となった者を除外して遺産分割協議がなされた場合です(民法910条)。
この場合には、当該相続人は、遺産分割協議の無効を主張することはできず、他の共同相続人に対して価格賠償請求をすることができるにとどまります。

他の遺産分割協議後に相続人であることが判明又は確定する場合に、遺産分割協議が無効となるかは、結局のところ、どこまで遺産分割協議の安定性を重視するかということに関わります。

遺産分割協議の安定性を重視すれば、上記民法910条を類推適用し、遺産分割協議自体は有効とした上で、価格賠償により当該相続人の保護を図ることになります。
判例は、母子関係存在確認で勝訴した子が存する場合につき、民法910条を類推適用することはできないと判断しました(最二小昭和54年3月23日民集33巻2号294頁)。

このように判例は、民法910条が類推適用を限定的に解しており、上記例示した相続人である胎児が出生した場合、離婚無効又は離縁無効判決が確定した場合には、これらの共同相続人を除外してなされた遺産分割協議は無効となる可能性があります。

遺産の一部の脱漏

遺産分割協議をした後に、未分割の遺産が存在することが判明した場合に、これを除いてなされた遺産分割協議を無効として、未分割の遺産を加えて遺産分割協議をするべきなのか、それとも、遺産分割を無効とはせずに新たに判明した未分割の遺産のみを分割すればよいのでしょうか。

この問題は、意思表示の瑕疵の問題に帰着するもので、新たに判明した未分割の遺産の重要性によるものと考えられています。

つまり、当事者が新たに判明した遺産があることを知っていたとすれば、当初の遺産分割協議でそのような意思表示はしなかったであろう場合には、当初の遺産分割協議は錯誤により取り消されるもので、遺産分割協議を無効として、未分割の遺産を加えて遺産分割協議をするべきということになります。

新たに判明した未分割の遺産が重要なものではなく、遺産分割をやり直すまでの必要性がない場合には、当該遺産のみを分割すればよいということになります。

意思表示の瑕疵

前述のとおり、遺産分割協議は共同相続人全員の自由な意思表示によりなされるべきものですから、遺産分割協議の意思表示には、民法総則の規定が適用され、錯誤、詐欺等による意思表示は取り消すことができます。

遺産分割協議後に遺言があることが判明した場合

遺言の内容によってその場合の処理が変わってくるところですから、以下大きく、遺言により相続人資格に変更が生じる場合と遺産の処分に変更が生じる場合に分けて述べていきます。

(1) 相続人資格に変更が生じる場合

まず、認知に関する遺言の場合、これによって相続人となった者がいたとしても、これは前記2.1記載の問題で、民法910条が類推適用され、遺産分割協議が無効とはならないでしょう。

次に廃除の遺言の場合、廃除の審判が確定し、これによって遺産分割協議をした相続人の1人が相続人ではないことになったときには、基本的には、その者が遺産分割協議に加わったことにより、相続順位に変更をきたすか否かによって遺産分割協議の有効性に関する判断が大きく異なることになります。

例えば、当初の被相続人の配偶者とその子によって当初の遺産分割協議がなされた後、被相続人の子について廃除の審判が確定し、第2順位の被相続人の父母が相続人となるような場合には、相続順位に変更をきたすものといえ、当初の遺産分割協議は、前記2.1の共同相続人の一部を除外してなされた遺産分割協議となり、無効となります。

相続順位に変更をきたさない場合の当初の遺産分割協議の効力についてはケースバイケースと言わざるを得ません。

相続人ではないことになった相続人が取得することとされた財産の重要性、その財産の価値が遺産全体に占める割合等諸般の事情が考慮され、その者が遺産分割協議に参加していなかったとすれば、協議の内容が大きく異なるか否かというような場合には遺産分割協議を無効とする判断がされ得るでしょう。

(2) 遺産の処分に変更が生じる場合

ア 遺贈の場合

単独包括遺贈の場合には、遺産分割の対象である遺産が存在しないことになりますから、当初の遺産分割協議は当然に無効となります。

割合的包括遺贈の場合、これが相続人でない者になされた場合には、当初の遺産分割協議は、遺産分割協議の当事者を除いてなされたものといえ、無効なります。前記2.1の問題です。

相続人に対して割合的包括遺贈がなされた場合には、当該相続人がそのような遺言があることを知っていれば当初の遺産分割協議をすることに応じたのかという意思表示の瑕疵の問題になります。

特定遺贈の場合、その対象となった財産についての部分では遺産分割協議は無効ですが、遺産分割協議全体が無効となるかは、その財産が当該遺産分割協議との関係でどれだけ重要なものであったかによることになるでしょう。前記2.2の問題と同じような考え方をすればよいことになります。

イ 相続させる旨の遺言の場合

包括して相続させる旨の遺言がある場合には上記単独包括遺贈と同じような処理になります。
特定の財産を特定の相続人に相続させる旨の遺言がある場合は、特定遺贈の場合と同じように考えます。

このほか相続分の指定等、様々な内容の相続させる旨の遺言が想定されますが、そのようあ遺言があったと知っていれば当初の遺産分割協議がされることになったのかということに帰着し、意思表示の瑕疵の問題として処理していくことになります。

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最後に

以上のとおり、遺産分割協議に瑕疵があったとしても、それによって遺産分割協議が無効となるかの判断は専門知識を必要とするものです。また瑕疵があったか否かは、結局のところ、意思表示の瑕疵に帰着し、事実認定の問題となることが多く、争いになった場合に瑕疵があったと判断されるのかの見通しを立てることも専門知識が必要とされるでしょう。

そうであるとすれば、遺産分割協議の瑕疵及びその効力についての見通しを立てて、それを前提に他の相続人に対して再度の遺産分割協議を求めていくことにも専門知識が必要といえます。したがってこのような問題に直面した場合には弁護士に相談されることをお勧めします。

これから、公然わいせつ罪にあたる行為や、公然わいせつ罪の罰則、逮捕後の流れなどについて解説していきます。

公然わいせつ罪とは

公然わいせつ罪は、不特定または多数の人が認識することのできる状態でわいせつな行為をすることで成立します。具体的には、公道で陰部を露出するなどの行為があたります。公然わいせつ罪は社会の秩序や風紀などを守るという目的を持っています。そのため、その場で目撃した人が被害者とはなりません。

公然わいせつ罪の刑罰

公然わいせつ罪を犯した人は、6か月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処せられます。

拘留とは、1日以上30日未満の期間、刑事施設に収容されるという刑罰です。
科料とは、1000円以上1万円未満の金銭の支払いを命じられるという刑罰です。

公然わいせつ罪の構成要件

公然わいせつ罪における「公然」

公然わいせつ罪における「公然」とは、不特定または多数の人が認識できる状態のことをいいます。「認識できる状態」なので、現実に「不特定または多数の人が認識したこと」までは不要です。

公然わいせつ罪における「わいせつな行為」

公然わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を興奮させたり、刺激させたりする行為であることに加えて、普通の人の正常な性的羞恥心を害するもので、善良な性的道義観念に反するものをいいます。

わかりにくい表現ではありますが、裁判所が個別具体的な事案に応じて判断することになります。陰部の露出や性行為、性的な部分を強調した裸体やこれに近い状態での露出などが「わいせつな行為」にあたると考えられています。

最近では、インターネット上でわいせつな動画を配信するような行為も「わいせつな行為」にあたると考えられています。

故意

公然わいせつ罪が成立するには、公然とわいせつな行為をすることを認識し、認容していること(故意といいます)が必要になります。
例えば、他人に服を無理矢理、脱がされて陰部が露出してしまったような場合には、公然わいせつ罪の故意が認められないということになり、公然わいせつ罪は成立しません。

身体露出の罪との違い

公然わいせつ罪と似ている犯罪として、軽犯罪法で定められている「身体露出の罪」というものがあります。人に嫌悪感を生じさせるような方法で尻や腿(もも)などの身体の一部を露出した場合に成立します。

個別具体的な事案ごとに公然わいせつ罪と身体露出の罪のいずれがあたるのかが判断されています。ただ、陰部を露出している場合には公然わいせつ罪が成立することが多いです。

逮捕後の流れ

公然とわいせつな行為を実際に目撃した者が通報しまたは自ら現行犯逮捕するなどして逮捕される場合もあれば、防犯カメラを精査するなどして、逮捕状が請求され、通常逮捕されるような場合もあります。近年ではドライブレコーダーの映像を端緒として逮捕されるようなこともあります。

逮捕されると引き続き逮捕よりも長い期間身体拘束される勾留をされる可能性があります。

逮捕後の流れについて詳しく見る

公然わいせつ罪で逮捕された場合の弁護活動について

公然わいせつ罪で逮捕された後は、長期の身体拘束である勾留を避けることが重要になります。また、弁護士からの適切な助言を受けずに、捜査機関に言われるがまま話を進めてしまうと、後々の裁判等で大きく不利に扱われてしまうこともあり得ます。

不当な勾留を阻止し、捜査機関に適切に対応するためにも、早期に弁護士からのアドバイスを受けることが必要です。
常習的に公然わいせつ罪にあたる行為をしてしまっている人には専門家の治療に向けた準備をしたり、治療についてのご家族の理解を得る必要があります。

実質的な被害者がいる場合

公然わいせつ罪は、上述したように社会の秩序や風紀などを守るという目的を持っており、公然わいせつ罪にあたる行為を目撃した人が被害者になるわけではありません。

ただ、事実上、わいせつな行為を目撃した人は、わいせつな行為を目撃することで不快さや恐怖を感じることもあり、実質的に被害者となるような立場になる人が存在することもあります。

このような実質的な被害者との示談は、処分を受ける際に被疑者に有利な事情とされ、不起訴などのより軽微な処分を得られる可能性があります。

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公然わいせつ行為をしてしまったら、弁護士へ相談を

公然わいせつ罪は逮捕や勾留をされ、懲役の可能性もある犯罪です。
ただ、弁護士からの助言や弁護活動によって、勾留の回避や不起訴の獲得といった被疑者に有利な処分を得ることができる可能性もあります。

公然わいせつ罪は、日常的なストレスや性的な依存などにより、犯してしまう人が多い犯罪類型の一つです。一人ではなかなか克服できずに、ご家族の協力や専門家の協力を得る必要があるような場合もあります。

いずれにおいても、弁護士の活動が必要不可欠ですので、公然わいせつ行為をしてしまった場合にはぜひ弁護士にご相談ください。

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
監修:弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長
保有資格
弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。