交通事故でむちうちの症状が出たら

交通事故でむちうちの症状が出たら

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕

監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士

誰もが一度は耳にしたことのあるむちうち。交通事故にあって、むちうちになってしまったという人もいると思います。そんなむちうちですが、その内容はどういうものでしょうか。また、交通事故でむちうちになった場合、保険会社とはどのようにかかわるべきであり、どのような賠償を求めることができるのでしょうか。

ここでは、そのような疑問にお答えしながら、むちうちになった場合の対応を解説いたします。

むちうちとは?

むちうちというのは、すり傷や切り傷と違って、実はけがの名前ではありません。くびがムチを打つように激しくしなることによってけがが生じたという、けがの原因や経緯を指した表現です。なので、むちうちによって生じた首の捻挫(頸椎捻挫)などが、具体的なけがの名前になります。ただ、実務上は、単にむちうちと診断されることも多いです。

むちうちの主な症状

むちうちの主な症状としては、頭や首の痛み、めまい、吐き気などがあります。また、むちうちになった場合に影響が出るのは頭や首だけではありません。手足のしびれや痛み、肩こり、腰の痛みなどが生じることもあります。
そのため、追突事故にあった後、頭や首以外でも体に違和感があったときには、早めに整形外科を受診することが大切です。

むちうちの主な治療方法

むちうちの治療方法としては、安静にするほか、薬を服用したり、湿布を貼ったりするという方法があります。もっとも、症状を改善するためにどのような方法が有効かは、けがの内容や状態によって異なります。大事なのは、医師の診断を受けて、適切な治療を受けることです。

むちうちで認定される可能性のある後遺障害等級と認定基準

むちうちの治療を受けても痛みが残った場合、その痛みが後遺障害として認められることがあります。むちうちで認められる可能性があるのは、上の表の12級13号と14級9号の二通りです。レントゲンやCT、MRIの画像といった客観的な資料があり、痛みの存在が医学的に証明できる場合は、12級13号に当たります。一方で、客観的な資料がなくても、痛みが存在していることが医学的に説明できる場合は、14級9号となります。

むちうちで請求できる慰謝料と慰謝料相場

むちうちの場合、加害者に対して、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料が請求できます。

具体的な金額については、同じようなけがを負ったら同じくらいの慰謝料が支払われるように、慰謝料の金額を計算するための基準(算定基準)が作られています。
一般に知られた算定基準として、法令で定められた自賠責保険の基準(自賠責基準)と、弁護士が交渉に関わった場合の基準(弁護士基準)があります。自賠責の目的は最低限の補償なので、自賠責基準よりも弁護士基準の方が慰謝料の金額は高くなることが多いです。

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、むちうちの治療のために入院や通院をさせられたことに対する慰謝料です。

【むちうちで通院期間6ヶ月・実通院日数90日の場合】
自賠責基準弁護士基準
77万円89万円

※令和2年4月1日時点の情報です。
むちうちの場合、長くとも6か月で症状固定と判断され、治療が終了することがほとんどです。そのような場合、自賠責基準と弁護士基準とでは、約12万円の差がつきます。

後遺障害慰謝料

治療しても治らなかったけがのことを、後遺障害(後遺症)といいます。後遺障害が残ったことに対する慰謝料が、後遺障害慰謝料です。
後遺障害慰謝料の額は、後遺障害の程度によって異なり、重いほど高くなります。

後遺障害等級自賠責基準弁護士基準
12級13号94万円290万円
14級9号32万円110万円

後遺障害に関する慰謝料は、自賠責が最低限の補償であることから、自賠責基準と弁護士基準とで差が大きくなっています。

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むちうちで適正な等級認定・慰謝料請求するためのポイント

通院頻度を適切に保つ

通院頻度は,月10回程度が目安となります。それより通院頻度が低いと,事故によるけがが深刻でないと判断されることがあります。反対に,あまりに通院頻度が高かったり,事故から時間が経っているのに通院頻度が下がらなかったりすると,必要以上にけがが重大であるかのように見せていると判断されることがあります。どちらの場合でも,適正な慰謝料を受けとることはできないため,注意が必要です。

必ず整形外科を受診する

むちうちの治療の際は、病院の整形外科に通うだけではなく、整骨院に通っている方も多いです。ただし、整骨院は、あくまで整形外科の補助的な位置づけのため、まずは、整形外科を受診しておきましょう。

また、整骨院を利用する場合は、事前に医師から整骨院を利用するよう指示を受けておくよう注意してください。指示を受けずに整骨院を利用した場合、保険会社は整骨院にかかった費用は治療に必要ではなかったと考え、治療費を負担してくれない場合が多いです。

通院中に保険会社からむちうちの治療費を打ち切られそうになったら

むちうちの場合、レントゲン写真などの客観的な資料がないことも多く、保険会社が治療は不要と判断して、治療費の打ち切りをしやすいのが実情です。

治療費を打ち切られそうになった場合には、治療費の立て替えを延長するよう保険会社と交渉することになります。自身で交渉するのが難しい場合は、弁護士に依頼することも考えられます。

また、仮に治療費を打ち切られてしまった場合でも、通院を続けると後遺障害の認定の際に有利になることがあります。ただし、この場合は、治療費を自身で負担することになることに注意が必要です。

交通事故でむちうちになったら弁護士へご相談下さい

むちうちになると、入通院中の治療費打ち切りについての交渉、症状固定についての意見、後遺障害等級認定の申立て、異議申立て、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の請求など、様々な場面で判断を迫られることになります。

しかし、保険会社の提示する金額が適正なのかの判断は難しいですし、医師から何を聞けばいいのかを自分で判断するのも難しいです。交通事故にあって、治療を受けながら生活を立て直す中では、肉体的・精神的な負担は一層大きくなります。

そんなときに役に立つのが弁護士です。弁護士であれば、交通事故に関する知識を活用し、あなたの事情を踏まえたサポートができます。
交通事故でむちうちになった場合は、ぜひ一度弁護士へご相談下さい。

けがの治療を始めてからしばらくすると、保険会社から「症状固定でいいですか」と言われたり、医師から「症状固定ですね」と言われたりすることがあります。
症状固定とは、いったいどういう意味なのでしょうか。また、保険会社から症状固定を認めるよう求められた場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

このページでは、そんな疑問にお答えすべく、症状固定について解説いたします。

症状固定とは

症状固定とは、治療を続けても、けががこれ以上よくならない状態のことです。

交通事故などでけがを負った場合、治療をしても元通りにはならないこともあります。そのようなときに、治療を続けるのか、それとも止めるのかは、治療がけがの改善に役立つかで決まります。そこで、治療を続ける意味がない状態を症状固定と呼び、治療中止の判断の指標とするわけです。
また、症状固定後も残ったけがは、後遺症(後遺障害)と呼ばれます。

症状固定を決めるのは誰か

症状固定について判断するのは、医療のプロフェッショナルである医師です。被害者は、けがが痛んだり、痕が残っていたりと自分の体のことは分かります。しかし、それが治療してよくなるのかどうかは、医学的知識がないと分かりませんから、症状固定については判断できないのです。なので、保険会社から症状固定を打診された場合でも、被害者が無理に答える必要はありません。

被害者としては、医師が症状固定について正しく判断できるように、けがの状態についての自分の認識をきちんと医師に伝えることが重要です。

症状固定と言われたが痛みがある場合は通院してよいのか

症状固定と言われても、けがが痛んだり、違和感があったりして辛い場合には、通院を続けた方がいいでしょう。けがが後遺障害と認定されなかったことに対し異議申立てをする際に、考慮してもらえることもあります。

ただし、医師が症状固定と判断した場合、保険会社は治療費の支払いを打ち切ります。そのため、症状固定後の治療費は立て替えてもらえず、通院にかかる費用は自分で負担することになる点に注意が必要です。

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症状固定時期は賠償額に大きく影響する

症状固定時期は、賠償額にどう影響するのでしょうか。症状固定の前後で、保険会社による賠償の対象がどう異なるのかを踏まえ、影響を見ていきます。

症状固定の前後で賠償の対象が異なる

・症状固定前
症状固定前は、治療が交通事故の被害から回復するために必要だったといえるので、治療費、入院や通院のために仕事などを休んだことで発生した損害(休業損害)が賠償の対象となります。

また、慰謝料のうち、入院や通院をさせられたことに対する慰謝料(入通院慰謝料、けがを負ったことに対する慰謝料なので傷害慰謝料ともいいます)は、症状固定までの入通院の期間に応じて支払われます。

このような治療費、休業損害、入通院慰謝料は症状固定日までの分しか支払われません。したがって、保険会社に言われるまま、早めに症状固定にすると、賠償額が本来よりも少なくなる可能性があります。

・症状固定後
症状固定後は、後遺障害についての賠償が中心となります。具体的には、後遺障害がなければ得られるはずだった利益(逸失利益)が賠償の対象となります。この逸失利益とは、例えば、後遺障害がなければ稼ぐことができたお金のことです。

また、慰謝料のうち、後遺障害が残ったことに対する慰謝料(後遺障害慰謝料)は、症状固定し、後遺障害の有無が判断できるようになって初めて支払われます。
保険会社に従って早めに症状固定をすると、後遺障害が認められにくくなることもあるため、注意が必要です。一方で、症状固定をしないと、逸失利益の賠償や後遺障害慰謝料の請求ができないため、やみくもに症状固定を先に伸ばせばいいというわけでもありません。

症状固定後の流れ

症状固定後は、保険会社から後遺障害についての賠償を受けるための手続きが必要となります。まずは、医師に後遺障害診断書を作成してもらいます。そして、後遺障害診断書などを資料として後遺障害等級認定申請を行います。

後遺障害等級認定を得られれば、保険会社から賠償を受けることができます。認定が得られなければ、異議申立てを考えることになります。

症状固定についてのお悩みは弁護士にご相談ください。

保険に関したやりとりをするには、症状固定をはじめとした専門的な知識が必要です。また、保険会社はどうしても会社の利益のために動くので、被害者の利益を守るためにはきちんと交渉する必要があります。しかし、自身で交渉するのはどうしても負担になりますし、意図していない発言でかえって不利になる危険性もあります。保険会社との交渉を弁護士に任せることは、あなたの利益を守ることにもつながります。

症状固定など保険に関するお悩みは、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

不貞とは、一方の配偶者が自由な意思で配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。不貞をされた他方の配偶者は、不貞によって精神的に損害を被ったことを理由として、慰謝料を請求することができます。以下では、不貞慰謝料を請求する側から、不貞慰謝料の請求を誰にすることができるのか、できるとしてその慰謝料の相場はいくらか、請求するにあたっての方法や請求を受けた場合の減額方法、などを説明します。一方、不貞慰謝料を請求された側から、その対処方法や減額方法などについて説明します。

不貞慰謝料とは

不貞とは、配偶者が自由な意思で配偶者以外の者と性的関係を結ぶことによって、配偶者としての貞操義務に違反することをいいます。これは、婚約関係や内縁関係にあると認められる場合には、この場合にも貞操義務違反と判断される場合があります。 不貞をされた配偶者は、精神的苦痛を被ったことを理由として、慰謝料を請求することができます。

そして、不貞をした配偶者には、不貞をされた配偶者に対する不法行為が成立し、不貞をされた配偶者から慰謝料の損害賠償を請求されることがあります(民法709条)。

不貞慰謝料と離婚慰謝料の違い

不貞慰謝料と似ているものとして、離婚慰謝料というものがあります。離婚慰謝料とは、離婚原因があり、離婚をしたことによって被った精神的損害の賠償です。離婚慰謝料では、離婚の事由が不貞に限りません。また、近年の最高裁の判断では、配偶者の一方と不貞行為をした第三者は、これによってその夫婦の婚姻関係が破綻しても、不貞慰謝料の請求を受けることはあっても、特段の事情のない限り、その夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うものではないとしており、離婚慰謝料と不貞慰謝料を明確に区別しています。

不貞行為に対する慰謝料の相場

不貞慰謝料の相場は、個別の事案によって異なります。もっとも、不貞行為が原因となって離婚や別居をしたかどうかによってグループが分かれ、裁判例の集積や多数の交渉の結果などから蓄積された慰謝料のおよその相場があります。不貞行為によって離婚や別居をしたかどうかがグループ分けがされるのは、不貞行為を原因として離婚や別居といった結果を伴った場合には、他方の配偶者の精神的損害が大きいことを意味するのです。

不貞慰謝料の相場
離婚の有無慰謝料の相場
離婚も別居もしなかった場合50万~100万円
離婚しなかったけど別居した場合100万~200万円
離婚した場合200万~300万円

不貞慰謝料額の判断基準

不貞慰謝料の金額を判断するための判断基準としては、不貞開始までの婚姻期間、不貞発覚前から夫婦関係が破綻していたなど不貞発覚前の夫婦関係、不貞をしていた期間、夫婦に子供がいるか否か、浮気発覚後の謝罪の有無、不貞行為の回数や期間、不貞行為の主導者が配偶者か不貞相手か、不貞によって別居や離婚したなどの不貞による婚姻関係に与えた影響などがあります。これらの事情を総合的に考慮して不貞慰謝料の額が決まります。

不貞慰謝料を請求したい方

不貞慰謝料は誰に請求できる?

不貞慰謝料を請求する相手としては、①配偶者、②不貞相手、③配偶者と不貞相手の双方、の3つ場合があります。いずれに請求するかは、不貞をされた配偶者の自由となります。

不貞慰謝料を請求する前に確認すべきこと

不貞慰謝料を請求するにあたって、まずは不貞慰謝料請求の時効が成立していないかを確認する必要があります。すなわち、不貞をされた配偶者が不貞行為及び不貞相手を知った時から3年の経過、又は、不貞行為から20年の経過によって時効が成立し、不貞慰謝料の請求ができなくなります。また、請求するにあたって、不貞の証拠がなければ不貞をした配偶者や不貞相手を説得することはできないでしょうし、裁判になっても相手方当事者が認めなければ、裁判官も認めてはくれないでしょう。したがって、時効の経過の確認とともに、不貞の証拠の有無を確認しなければなりません。

証拠になるもの

不貞の事実は、不貞行為の慰謝料を請求する側が立証しなければなりません。不貞の証拠は、多ければ多いほど不貞行為を立証するうえで有利となります。

【写真・動画】
不貞行為の証拠として、性交渉の動画や写真など不貞行為を直接に証明するような証拠は非常に有効です。また、不倫相手とラブホテルに入っていく写真・動画など、不貞行為を強く推認させるような証拠も同様です。なぜなら、不倫相手とラブホテルに入っていたにもかかわらず、性交渉がなかったとの言い訳がしにくいからです。このことからすれば、ビジネスホテルに不倫相手と入っていく動画や写真の場合には、性交渉はなかったとの言い訳ができないとも言い切れず、決定的な証拠となりえない可能性があります。

【メール・SNS】
メールやSNSでの投稿でも、不倫相手との肉体関係を求め、肉体関係があったことを示すものがあれば、不貞の証拠として有効です。ただし、肉体関係を示す直接的な内容でないと立証として不十分と判断される可能性はあります。

【領収書】
ラブホテルや旅行先の旅館などの領収書やクレジットカードの明細なども、不貞行為を推測させる証拠として有効です。もっとも、このような証拠は単独で有効な証拠となるというよりも、同日時のメールや動画や写真と組み合わせることで、非常に有効な証拠となるケースが多いです。

不貞慰謝料を請求する方法

不貞慰謝料を請求する場合には、書面やメール、口頭という方法から、裁判所を利用した調停や裁判をする方法が考えられます。不貞相手に請求する場合などでは、内容証明郵便を利用することによって請求を無視されることを防ぐことでき、有効です。いずれの方法も弁護士に依頼して交渉や調停、裁判を行うことができますし、弁護士に依頼した方が、感情的にならずスムーズに手続が進むはずです。また、相手方に代理人がついた場合には、不利な条件で和解が成立してしまう可能性があります。

内容証明郵便での請求について

内容証明郵便とは、いつ、いかなる内容の文書だれから誰あてに差し出したかを、郵便局によって証明してもらう制度です。夫婦が別居していたり、不貞相手に不貞慰謝料を請求する場合には、この内容証明郵便を送ることがあります。

内容証明郵便を送ることによって、相手方に心理的なプレッシャーを与える効果があることや、送った文書の内容を記録として残して置けるというメリットがあります。また、時効期間が迫っている場合には、内容証明郵便を出すことによって時効が中断(更新)し、時効の完成を先延ばしにすることもできます。

もっとも、内容証明郵便を差し出すには、内容を考えて作成する手間と内容証明郵便を送る費用がかかるというデメリットがあります。

内容証明郵便に記載する内容

内容証明郵便には、まず、配偶者と不貞相手が不貞を行った事実について記載します。具体的には、①いつ、②どこで、③誰と、④不貞行為をしたか、を記載する必要があります。次に、①から④までの行為が、民法709条の不法行為に該当する旨を記載します。

次に、請求する内容を記載します。例えば、不法行為に基づく損害賠償として慰謝料金300万円を請求する、などと記載します。支払い方法や支払期限まで記載し、銀行振込を希望する場合には振込先口座情報を記載します。最後に、これらの要求に応じてくれない場合の措置について記載します。たとえば、期間内に全額お支払いいただけない場合は、法的措置をとります、などです。

離婚後でも慰謝料請求は可能?

不貞の慰謝料は、時効にかからない限りは離婚後でも請求することができます。

もっとも、離婚時に、慰謝料請求はしない旨の合意をした場合には原則として慰謝料の請求権を放棄しているため請求できません。ただし、その当時に判明していなかった不貞行為が後になって判明した場合には、取り決めた内容にもよりますが、請求できる場合もあります。
そのような取り決めを行っていたとしても、このような合意は夫婦間のものですから、不貞相手に対しては損害賠償請求をすることができます。

離婚後の不貞慰謝料が、婚姻時よりも低くなることがあります。これは、離婚の成立という目的が達成しているために、慰謝料の交渉について当事者の意思が希薄になっていることが原因の一つです。

相手が慰謝料を支払わないときの対処法

不貞慰謝料を支払うと約束したにもかかわらず、支払わない場合、強制執行によって回収する方法があります。強制執行とは、国の力を借りて相手の給料や不動産、自動車などの財産を差し押さえる手続です。差し押さえられた給与は、会社や銀行から直接支払ってもらえるようになり、差し押さえられた不動産や自動車は売却され、売却された得たお金から支払われます。

もっとも、強制執行をする場合には、その前提として、慰謝料を支払うよう命じた判決や、そのように合意した公正証書や調停調書、和解調書が必要となります。

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不貞慰謝料を請求されている方

慰謝料を請求されたらまず確認すること

不貞慰謝料を請求された場合には、まず、誰から、どんな内容の請求がされているかを確認する必要があります。また、相手方が主張する不貞行為に時効が成立していないかを確認する必要もあります。時効が成立している場合には、時効が成立していることを主張しないかぎり、時効による慰謝料の消滅を主張できません。さらに、不貞相手の場合は、不貞をした夫婦の婚姻関係が破綻していなかったかを確認する必要があります。加えて、前述した不貞慰謝料の相場を超えて高額な請求をされていないかも確認します。

内容証明郵便で請求された場合の対処法

内容証明郵便が届いた場合、慌てずに書かれている内容や、請求者の確認をする必要があります。すぐに支払おうとして書かれた振込口座に入金することは控えた方がよいでしょう。内容によっては、請求者に支払わなくてもよい場合や、減額できる場合、相手方に決定的な証拠がない場合もあります。また、すぐに支払えば、請求者もエスカレートして、過大な請求をしてくることも考えられます。

回答書を送付する

内容証明郵便で不貞慰謝料の請求された場合は、回答書を送付するとよいでしょう。内容としては、請求を認める、認めずに反論する、減額の希望をする、などを書面にまとめます。簡潔でわかりやすいものとし、相手に誤解を生じさせないような内容にしなければなりません。事実を認める場合には、謝罪の意も含めて書くことによって慰謝料が減額されることもあります。

返送方法としては、必ずしも内容証明郵便で返送する必要はありません。

内容証明を無視することは避けるべき

送られてきた内容証明郵便を無視しても、内容証明郵便に法的な拘束力がないことから、書かれた支払期限に支払いをしなくとも法的には問題ありません。
もっとも、内容証明郵便が送られてきた場合に、これを無視することはお勧めできません。なぜなら、送った請求者は、交渉の余地がないと判断して裁判を起こしてくることも考えられるからです。

したがって、前述した回答書を作成して返送する方がよいでしょう。裁判を起こされて判決で命じられる慰謝料よりも、交渉によって減額されるということも考えられます。

代理人を通して請求されたら

不貞慰謝料請求をしてきた弁護士が代理人である場合、すなわち、請求者が交渉に弁護士を利用してくる場合があります。その場合は、相手方の弁護士が高額な慰謝料を求めて交渉をしてくることがありますので、こちらも弁護士に相談し、対応を依頼する方がよいでしょう。弁護士を利用することによって、相手方に譲歩を求めることができるようになります。

これに対して、費用を安く抑えられる行政書士を利用して不貞慰謝料を請求された場合、訴訟ではなく当事者間での話合いで解決を希望している場合が多いでしょう。

請求された慰謝料を減額するには

慰謝料を減額する方法

慰謝料を請求された場合に、まずは話し合いで減額交渉を行っていきます。減額の理由としては、不貞の主導が不貞の相手方ではなかった場合や、不貞の回数が少ないこと、不貞された配偶者に謝罪していることなどです。これらを理由として減額の交渉を行っていきます。

もっとも、これらの交渉がうまく進まなかった場合には、相手方が調停や裁判を起こしてくることが考えられます。その場合には、弁護士を利用して代理人となってもらいましょう。弁護士が代理人となって法的な視点で減額を主張してくれるので、手間が省けて精神的なストレスを軽くすることができるでしょう。

慰謝料が減額されやすいケース

不貞慰謝料が減額されやすいケースとしては、不貞行為の回数が少なく、期間も短期間で会ったこと、反省して謝罪していること、離婚や別居にいたらなかったこと、不貞の主導者が自分にはなかったこと、夫婦関係が破綻していると聞いてそれを信じていたこと、婚姻期間が短いこと、などをあげることができます。

合意後、慰謝料を支払わないとどうなる?

公正証書によって不貞慰謝料を支払うと合意をしたにもかかわらず、慰謝料を支払わない場合、強制執行をされて裁判を経ずに給料や資産を差し押さえられる可能性があります。公正証書によらないで合意をした場合でも、慰謝料請求訴訟を起こされるおそれがあります。

手持ちの資金がないなど経済的に慰謝料を支払えない場合には、分割払いにしてもらうなどの方法を打診して交渉してみるのがよいでしょう。

不貞慰謝料について悩んだら弁護士に相談してみましょう

不貞慰謝料を請求したい方は、その相場がいくらであるか、どのような方法が効果的かなどは、弁護士のような交渉のプロに任せたほうが精神的にも安心して、スムーズに手続を進めることができるでしょう。

不貞慰謝料を請求された方は、不安のあまり、応じるべきか、減額することができるかなど、対応に追われることが予想されます。そのような場合には、弁護士が法的な観点から依頼者に代わって交渉してもらう方が、精神的にもストレスがかからないのではないでしょうか。これは、相手方に弁護士がついている場合にはなおさらです。

不貞慰謝料を請求したい場合や、請求された場合に代わりになって交渉してほしい場合など、弁護士にお気軽にご相談ください。

離婚の手段としては、一般的に、⑴協議離婚、⑵調停離婚、⑶審判離婚、⑷裁判離婚があります。このうち、⑴協議離婚とは、当事者の合意のみによって離婚することができる手段です。もっとも、当事者の合意で(自由に)離婚が成立するため、注意すべき点もあります。

以下では、協議すべき事項や注意すべき事項について、解説していきます。

協議離婚とは

協議離婚とは、当事者の合意のみによって自由に離婚を成立させることができる手段です。他方、一度決めたことを覆すことは困難です。また、自由であるからこそ、注意すべき点もあります。

協議離婚のメリット、デメリット

メリットについて

協議離婚とは、当事者の合意のみによって離婚を成立させることができます。そのため、当事者の状況に合わせて、自由に決めることができます。また、裁判所などの他の機関を使わず、関係者が当事者のみに留まるため、協議の機会や日程等の調整も容易となり、スピーディーに解決することが可能です。

デメリットについて

協議離婚は、当事者の合意によって離婚を成立させる手段です。そのため、当事者で協議できない場合や互譲できない場合には、時間だけが経過するのみで、何も決まらないという可能性もあります。特に、お互い感情的になってしまい建設的な協議が出来ない場合や親権などの子に関する事項が争点になる場合には、協議離婚が成立しない可能性が高いです。

協議離婚の流れや進め方

離婚を切り出し合意を得る

協議離婚とは、当事者の協議を前提にするため、感情的になることは避けるべきです。そして、口頭で離婚を切り出す場合、往々にして感情的になってしまう可能性が高くなります。
そこで、感情を抑えることができる手紙(書面)を使い、離婚の意思を伝える方法がよいと考えます。

離婚条件についての話し合い

離婚する際に協議すべき事項は、大きく分けて2つあります。

1つは、子に関する事項です。もう1つは、金銭に関する事項です。子に関する事項とは、親権、監護権、養育費、面会交流等です。金銭に関する事項とは、財産分与、慰謝料等です。離婚する際に必ず決めなければならない事項は、子の親権です。そのため、他の事項については、離婚後に協議することも可能ではあります。しかし、離婚後、相手方が協議に応じるか不明です。そこで、離婚する際、親権以外も決めておく方がよいと考えます。

話合いをメールで済ませることは可能?

離婚協議を電子メールで行うことは可能です。
メールの場合には、感情を抑えることもできますし、内容も保存されることから、後々の紛争防止にもつながります。

離婚協議書の作成

協議結果を口頭のみで済ませておくと、「そのような約束はした覚えはない。」と言われるなど、後日の紛争の種になってしまいます。そのため、協議結果を書面として保存する必要があり、その手段として公正証書があります。特に、協議結果を「強制執行認諾文言付き」の公正証書でまとめていた場合には、裁判手続きを経ることなく、強制執行することができます。

離婚届の提出

離婚をするためには、その届出が必要となります。具体的には、離婚届に必要事項を記載し、市区町村に離婚届を提出します。提出先としては、本籍地または所在地のいずれかです。本籍地以外の場所に離婚届を提出する場合には、戸籍謄本が必要になります。なお、未成年者がいる場合、子の親権者を離婚届に記載しなければなりません。

協議離婚の証人になれる人

協議離婚をする場合、離婚届に証人2名の署名捺印が必要になります。
この証人は、成人であれば誰でもよいとされています。一般的には、当事者の両親や兄弟姉妹といった親族に依頼する場合が多いです。

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協議離婚で決めておいた方が良いこと

協議離婚とは、当事者の合意のみによって自由に離婚を成立させることができる手段です。
協議すべき事項は、大きく分けて2つあります。

1つは、子に関する事項です。もう1つは、金銭に関する事項です。子に関する事項とは、親権、監護権、養育費、面会交流等です。金銭に関する事項とは、財産分与、慰謝料等です。なお、離婚する際に必ず決めなければならない事項は、子の親権です。

財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に形成した財産を分与する制度です。財産分与は、夫婦で築き上げた財産であれば、夫、妻名義の如何を問わず、財産分与の対象になるのが一般的です。

子供がいる場合

親権

親権とは、未成年の子を監護・養育したり、子の代理人となって法律行為をしたりする権利をいいます。未成年の子がいる場合、いずれが子の親権者になるかを決める必要があります。

養育費

養育費とは、未成熟の子が経済的に自立するまでの間、非親権者が親権者に対して、支払う費用をいいます。
養育費の金額は、家庭裁判所ウェブサイトで公開されている「養育費算定表」に、お互いの収入等をあてはめて決めることが通常です。もっとも、算定表にはある程度金額の幅が設定されているため、具体的な金額をどうするかについては、当事者で協議することになります。

面会交流

面会交流とは、非監護親(非親権者)と子とが交流することをいいます。
面会交流の方法は、直接対面での交流が一般的ではあります。また、例えば、テレビ電話や手紙のやり取りといった間接的な交流もあります。交流方法や頻度について、事前に取り決めておく方がよいと考えます。

離婚慰謝料は請求できるのか

慰謝料とは、精神的苦痛という損害に対する賠償金をいいます。 一般的には、「浮気をされた」、「暴力を振るわれた」といった場合に、被害者から加害者に対して、慰謝料を請求します。もっとも、協議離婚を前提にすると、相手方が任意の支払いに応じない限り、慰謝料を獲得することは困難です。

協議離婚にかかる期間

検討すべき事項が多かったり、建設的な協議ができなかったりする場合、協議離婚にかかる期間は、長期に及びます。4~6ヶ月程度を目安に協議がまとまるのが一般的です。また、それ以上の期間を要する場合には、離婚調停等を検討する必要があります。

協議離婚で成立しない場合

そもそも相手方が離婚に応じない、お互いが親権を譲らないといった場合、協議離婚が成立しないケースが多いです。
そのため、協議離婚が成立しない場合には、離婚調停での解決を視野に入れる必要があります。

別居する

相手方が離婚に応じない場合、離婚調停も協議を前提とするため、離婚が成立しない可能性があります。その場合、離婚訴訟を提起します。離婚事由のうち「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として、相当長期の別居も考慮要素の1つとされます。そのため、別居していない場合に比べて、別居をしていた場合の方が、離婚が成立する可能性が高くなります。

離婚調停へ

離婚調停とは、家庭裁判所の調停手続きを利用して、離婚に関する協議を行う方法です。

離婚調停は、あくまでも協議を前提とします。しかし、当事者のみでの協議と異なり、調停委員会(裁判官や調停委員)を介して協議するため、お互い冷静に協議することができます。また、調停手続きは、調停委員会を軸に、当事者から別々に話を聞くため、相手方と直接会わないで、協議できます。

夫婦だけでのやりとりとなる協議離婚は難航する場合が多くあります。不安なことがあれば弁護士に依頼してみましょう

協議離婚は、当事者の合意のみによって自由に離婚を成立させることができる手段です。というのことは、相手方の一方的な主張であっても、離婚が認められてしまう可能性があります。離婚を急ぐあまり、十分な取決めも行わずに離婚してしまうと、離婚後の生活が立ち行かなくなることもあります。特に、養育費や面会交流などは離婚後も長期にわたって継続する必要があるため、事前にしっかりと協議しておく必要があります。また、相手方と直接離婚協議することが精神的負担になってしまう方もいます。

そのため、離婚交渉を弁護士に委任することによって、不利な条件での離婚を回避したり、精神的負担を軽減したりすることができます。

交通事故で慰謝料を請求できるケース

被害者が亡くなったときや、被害者が後遺障害を負った時に請求できます。

また、入院や通院を余儀なくされた場合も、慰謝料を請求できます。

入院慰謝料、通院慰謝料の相場

入院または通院による慰謝料の額は、以下の表に基づいて算定されます。

原則として、別表Ⅰを使用します。入院期間と通院期間が交差するところが、入通院慰謝料の額となります。通院が長期にわたり、かつ不規則である場合、実通院日数の3.5倍程度を通院慰謝料算定のための通院期間とすることがあります。

いわゆるむちうち症状で他覚症状がない場合は、別表Ⅱを使用します。この場合、慰謝料算定のための通院期間は、その期間を限度として、実治療日数の3倍程度を目安にします。

なお、家庭や仕事の都合でやむを得ず入院を早期に切り上げた場合は、別表Ⅰ、Ⅱによる金額よりも増額されることもあります。

通常の怪我の場合【別表Ⅰ】
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 AB 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286
むちうち等他覚所見のない比較的軽傷の場合【別表Ⅱ】
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 A’B’ 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

後遺障害慰謝料の相場

以下のとおり、後遺障害等級に応じて、後遺症慰謝料の額は定まっています。

第1級 2800万円
第2級 2370万円
第3級 1990万円
第3級 2370万円
第4級 1670万円
第5級 1400万円
第6級 1180万円
第7級 1000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

後遺障害慰謝料の近親者分の慰謝料について

例えば、家族が交通事故により重篤な後遺障害が残ってしまったなど、死亡した場合に比肩するほどの精神的苦痛を受けた場合には、近親者も慰謝料請求ができるとされています。

まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料というのは、死亡したことによる被害者自身の精神的苦痛に対する損害賠償です。

死亡慰謝料の金額は、被害者の立場によってある程度定まっています。

一家の支柱 2800万円
母親、配偶者 2400万円
その他(独身男女、子ども、幼児等) 2000万円~2200万円

死亡慰謝料と入院慰謝料も請求可能

交通事故に遭い、すぐに亡くなったのではなくしばらく入院してから亡くなった場合は、死亡慰謝料に加えて入院慰謝料も請求することができます。

近親者の慰謝料

交通事故で被害者が死亡した場合、被害者自身の慰謝料とは別に、近親者の慰謝料というのも概念できます。

しかし、おおよそ定型化している被害者自身の慰謝料の額に近親者の慰謝料も含まれていると考えられています。ただ、被害者の死亡に起因して、近親者が精神疾患にかかったような場合、近親者の慰謝料分が加算されることもあります。

加害者に重過失がある場合は慰謝料が増額される可能性あり

加害者に故意または重過失があるような場合、慰謝料を増額できる場合があります。

例えば、無免許、ひき逃げ、酒酔い、著しいスピード違反、ことさらに赤信号無視した場合などです。また、加害者が事故後、虚偽の供述をしたり、被害者に責任転嫁したり、救助をしなかったりした場合も、増額できる場合があります。

慰謝料が減額されるケース

心因的要因による素因減額

精神的ストレス等、心因的要因により治療が長期化している場合、通院慰謝料が減額されることもあります。

被害者の心因的要因を理由に減額されるかどうかは、例えば以下の視点によって判断されます。

  • ①事故の程度や受傷内容が軽微かどうか
  • ②痛みに対して過大な反応をしているかどうか。
  • ③愁訴に見合う他覚所見があるかどうか
  • ④日常生活や人間関係等のストレスがあるかどうか
  • ⑤交通事故による損害賠償交渉によるノイローゼがあるかどうか

ただし、心因的要因について素因減額が認められるのは、その心因的要因が通常人に比較して病的なほどに常軌を逸したものであることが必要です。

身体的要因による素因減額

事故前からの既往症がある場合、被害者の持っている要因によって回復が遅れてしまって通院が長引いているとして、実際の通院期間に応じた通院慰謝料が減額されてしまうこともあります。

被害者の身体的要因を理由に減額されるかどうかは、例えば以下の視点によって判断されます。

  • ①事故の程度や受傷内容が軽微かどうか
  • ②事故による受傷部分について他覚所見がどの程度あるのか
  • ③治療において既往症の治療に重点が置かれているかどうか
  • ④既往症が競合して症状を重大にさせているか
  • ⑤これまでに既往症を放置したりしてきた経緯があるかどうか

ただし、身体的要因について素因減額が認められるのは、その身体的要因が疾患にあたる場合に限られます。例えば平均よりも首が長いので事故の衝撃が大きく障害も重くなった、という場合、首が長いことは疾患とはいえないので、素因減額の対象とはなりません。

交通事故における死亡逸失利益とは

交通事故によって被害者が死亡すると、その被害者は死亡後、それまで得ていた収入を得られなくなります。これが、「死亡による逸失利益」です。

死亡による逸失利益は、加害者に対して請求することができます。

死亡逸失利益の算定方法

死亡による逸失利益の額は、以下の計算式によって算出されます。

基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

生活費控除とは、死亡により、それ以降の被害者本人の生活費の支出がなくなるため、支出を免れた生活費を基礎収入から控除することになります。
生活費控除率は、被害者の立場に応じて原則として以下のようになります。

一家の支柱の場合
①被扶養者1名の場合 40%
②被扶養者2名以上の場合 30%
女性(主婦、独身、幼児等を含む) 30%
男性(独身、幼児等を含む) 50%

※基礎収入については、後遺障害による逸失利益の項をご参照ください。

後遺障害逸失利益の算定方法

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退職金も逸失利益として請求可能

定年時の退職金と死亡による退職金に差額が生じる場合も、死亡による逸失利益として請求できます。

ただし、退職金規定があること、被害者が定年まで勤務した蓋然性、退職時に退職金が支払われる蓋然性が認められなければなりません。

また、定年時の退職金と死亡による退職金の金額の比較の際には、中間利息控除をした定年時の退職金の額を採用することになります。

年金が逸失利益として認められるケース

すべての年金が逸失利益となるわけではありませんが、以下のような年金は、逸失利益として認められると考えられます。

国民年金の老齢年金、老齢厚生年金、農業者年金、国家公務員の退職年金給付、地方公務員の退職年金給付、国民年金の障害基礎年金 等

後遺障害による逸失利益とは

後遺障害が認められた時に請求が可能となる損害項目の1つです。

自賠責もしくは裁判上で後遺障害があると認められた被害者は、労働能力が低下したもの扱われ、事故前の収入額を基礎収入とし、後遺障害の等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間を乗じて算定されます。
ただし、中間利息が控除されたり、後遺障害の内容によっては逸失利益が認められなかったり、労働能力喪失期間が通常より短かったりするものもあるため、注意が必要です。

後遺障害逸失利益の算定方法

後遺障害による逸失利益は、以下の計算式によって求められます。

逸失利益=基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数(中間利息控除)

基礎収入は、原則として事故前年の年収を基礎とします。

労働能力喪失率は、基本的には自賠責保険の後遺障害別等級表・労働能力喪失率の後遺障害の等級に対応した労働能力喪失率が用いられます。例えば14級だと5%、10級だと27%、5級だと79%といったものです。

労働能力喪失期間は、原則として、症状固定時から就労可能年齢とされる67歳までの期間(67歳-症状固定時の年齢)となります。

また、いわゆるむち打ち症の場合の労働能力喪失期間については、通常、14級の場合は5年、12級の場合は10年とされています。

中間利息控除というのは、将来受け取るべき減収分に対する賠償を現在の価格に評価し直す作業のことです。この中間利息控除のための計算要素としてライプニッツ係数というものが用いられます。

67歳以上の場合の労働能力喪失期間

後遺障害の症状固定時、すでに67歳を超えていた場合は「簡易生命表」の平均余命の2分の1の期間が67歳までの労働能力喪失期間よりも長い場合は、平均余命の2分の1の期間を労働能力喪失期間とし、逸失利益を賠償してもらうことができます。

給与所得者(会社員、公務員等)の基礎収入

給与所得者の基礎収入は源泉徴収票を基準として決まります。社会保険料や税金を控除した後のいわゆる手取り額ではなく、控除前のいわゆる額面金額です。

将来昇給の可能性がある場合の基礎収入

若年被害者で傷害を通じて全年齢平均賃金程度または学歴別平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められる場合については、基礎収入を賃金センサスの全年齢平均賃金または学歴別平均賃金により算定することもできます。

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会社役員の基礎収入

役員報酬というのは、労働の対価としての部分と、経営による利益配当的な部分によって構成されています。後遺障害の逸失利益の算定における基礎収入額は、会社役員の役員報酬のうち労働の対価としての部分の金額となります。
ただし、後遺障害により役員を解任された場合、利益配当的な報酬も含めた基礎年収による逸失利益が認められる場合もあります。

事業所得者の基礎収入

事業所得者の場合、原則として、事故前年の確定申告書の売上額から必要経費を控除した額に、被害者本人の寄与分を掛けて、基礎収入を算定します。

事業所得者の基礎収入=(事故前年の売上-必要経費)×寄与分

寄与分は、事業の種類、規模、本人の労務内容、家族、従業員の関与の程度などから判断されます。

収入に変動が大きい場合

毎年収入に変動が大きい場合は、事故前3年の平均収入を基準としたり、賃金センサス(性別、年齢、学歴等の平均的な年収額を算出した統計)を基準としたりして基礎収入が定められることになります。

家事従事者の基礎収入

主婦の逸失利益の算定の際の基礎収入は、賃金センサス(性別、年齢、学歴等の平均的な年収額を算出した統計)の産業計、企業規模計、学歴計、女子労働者の全年齢平均の賃金額を基準として算定されます。なお、男性の主夫についても、同様の基準が用いられます。

学生、生徒、幼児等の基礎収入

学生、生徒、幼児等の場合、症状固定時の賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、男女別労働者、学歴系、全年齢の平均賃金を基礎収入とします。

ただし、中学生くらいまでの女子の場合、通常、女子全年齢の平均賃金ではなく、男女計、学歴系、全年齢の平均賃金を基礎収入とします。

大学生の場合、賃金センサスの大学、大学院卒の全年齢平均賃金を基礎収入とします。

無職者の基礎収入

労働能力と就労意欲があり、就労する確実性がある程度認められる場合は、逸失利益を請求できます。
その場合の基礎収入額は、通常、症状固定時の賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、男女別労働者、学歴計、年齢別の平均賃金を基礎収入となります。また、事故前の実収入なども参考にされます。

お怪我の内容によりますが、残存している症状が「後遺障害」であると自賠責保険から認定される場合には、認定された等級に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が可能となります。

このページでは後遺障害等級認定について解説します。

なぜ等級認定が必要?

交通事故により傷害を負った場合、治療を継続してほぼ完全に治ることもあれば、何らかの障害が残ったまま完治しないこともあります。
このような障害は一般に「後遺症」と呼ばれることが多いかと思います。

交通事故によって後遺症が出てしまうことは十分にあり得ます。ただ、被害者の方々それぞれのご事情があるため、後遺症による損害賠償額を評価しようにも、ケースバイケースとなるため非常に難しいものといえます。

そこで、実務上では、それぞれの障害の内容を、労災補償や自賠責保険制度における後遺障害の基準にあてはめて、その枠組みの中で障害の程度を評価する方法、すなわち、後遺障害等級認定を受けて、その等級に応じた損害額を算定する方法が定着しています。

後遺障害に関する損害賠償を受けられるようにするには、「後遺障害の等級に該当する」と認定されることが必要となるのです。

後遺症と後遺障害は違う

一般にいわれる後遺症と、労災補償や自賠責保険制度の基準の中でいわれている「後遺障害」とは少し意味合いが異なってきます。

自賠責保険制度における「後遺障害」とは「傷害が治つたとき身体に存する障害をいう」とされております(自賠法施行令2条2項2号)。

「傷害が治ったとき」とは、完治した場合だけではなく症状固定の場合、すなわち、これ以上治療を継続しても症状改善の効果が見込まれない状態をも含むといわれています。

言いかえますと、交通事故によって残った傷害のうち、将来も残りそうな精神的、身体的な症状が「後遺障害」に該当する可能性がある、という程度に理解していただければ十分でしょう。

後遺障害等級を認定してもらうには

後遺障害の認定を申請するには医師が作成した後遺障害診断書が必要となります。傷害の内容をきちんと書いてもらうためにお願いすべき検査等のアドバイスをいたします。

また、既に後遺障害等級認定の申請に対して、非該当の通知を受けた場合でも、異議申立ての手続をすることが可能ですので、まずはご相談ください。

後遺障害診断書

後遺障害等級申請には、後遺障害診断書が必要です。

後遺障害診断書作成にあたり、医師にお願いするポイント

  • 〔自覚症状は具体的に・わかりやすく記載〕
  • 〔他覚的所見として、検査の種類と結果、画像所見、神経学的所見は明確に記載〕
  • 〔障害の今後の見通しとして「回復の見込みなし」、「緩解の可能性は低い」などと記載〕

後遺障害の申請の方法

「事前認定」と「被害者請求」の二つの方法があります。

事前認定:加害者の加入する保険会社を通じて申請する方法。通常、必要資料は加害者側の保険会社が集め、被害者は加害者側の保険会社に後遺障害診断書を提出すればよいです。

被害者請求:被害者が、加害者の加入する自賠責保険に対して直接申請する方法です。

被害者請求のメリット…

  • ①後遺障害等級に該当するという認定がなされると、自賠責保険の範囲で比較的スムーズに後遺障害慰謝料が支払われることになります。
  • ②加害者側保険会社が、こちらが期待するとおりの資料を申請時に提出してくれるとは限りません。申請時に保険会社が提出する資料は、定型的に決まっています。被害者請求なら、加害者側保険会社が提出しないかもしれない被害者に有利な資料も提出できる余地があります。

後遺障害による損害の項目

逸失利益

後遺障害によって被害者の労働能力が喪失されることによって失われる利益のことをいいます。

逸失利益がどの程度あるのかの判断基準…労働能力喪失割合と労働能力喪失期間

  • ・労働能力喪失割合
    =後遺障害によってどの程度労働能力が喪失されたか。後遺障害等級が高くなるほど、喪失割合は高くなる。
  • ・労働能力喪失期間
    =症状固定日を始期として、後遺障害による労働能力喪失がどの程度の期間継続するか。

労働能力喪失期間の始期:症状固定日

労働能力喪失期間の終期:原則として67歳。ただし、むち打ち症の場合だと、後遺障害等級が14級で5年、12級で10年程度になることが多い。

計算方法:事故前の年収×労働能力喪失割合×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

※ライプニッツ係数とは…将来の収入に対する賠償も一括して支払ってもらうことになるため、現在と将来の間の利息(中間利息)を控除しなければなりません。その中間利息控除のための係数のことをいいます。

後遺症慰謝料

後遺障害により生じた精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。

後遺障害等級により、金額が決まっています。

第1級 2800万円
第2級 2370万円
第3級 1990万円
第4級 1670万円
第5級 1400万円
第6級 1180万円
第7級 1000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

将来の介護費用、装具費用等

将来の介護費用や装具費用等を請求できる場合があります。

医師の指示や症状の程度により、必要性に応じて認められます。

将来の介護費用…後遺障害の等級や、具体的にどのような介護が必要かに応じます。

装具費用…症状により必要があれば認められます。相当期間で交換の必要性があるものは、将来の交換にかかる費用も認められます。

例:義歯、義眼、義手、義足、メガネ、コンタクトレンズ、車いす等

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後遺障害について適正な賠償を受けるために

交通事故により負った傷害は、治療により治るのが一番です。
しかし、残念ながら後遺障害が残ってしまった場合は、適正な賠償を受けるべきです。

適正な賠償を受けるためには、後遺障害の等級に該当するとの認定を受ける必要があります。そのために、交通事故以降からどのような対処をすべきか、確認しておきましょう。

警察で人身事故扱いになっていること

後遺障害について賠償を受けるには、原則として、警察で人身事故として扱われていることが必要です。人身事故として扱われているか物損事故として扱われているかは、「交通事故証明書」の記載を見ればわかります。

例えば、軽微な事故だから物損事故扱いでいいや、とのんびりしているうちに、数日後に頸や腰が痛くなってきた、というケースがあります。他にも、相手方に遠慮して、多少痛みがあっても人身事故扱いにせず物損事故扱いにする方もいらっしゃいます。

前者のケースでそもそもの症状の発見が遅れたという止むを得ない事情があるものの、すぐに人身事故扱い切り替えるよう動きましょう。後者のケースはそもそも物損事故扱いにとどめるべきではありませんでした。
人身事故の届け出、切り替えをするには、警察署に行き、医師作成の診断書や必要書類の提出が必要となります。

もっとも、事故からしばらく経ってしまうと、警察署が受け付けてくれない可能性が出てきます。
しかし、だからといって悲観する必要はなく、善後策として「人身事故証明書入手不能理由書」を作成するという方法がありますので、人身事故扱いへの切り替えが難しい、断られたという場合には、まずはご相談ください。

病院に通院する

交通事故に遭ったら、まずは病院(整形外科等)へ行きましょう。
しかし、人によっては近くに病院がなかったり、時間の都合で病院に通院できなかったりすることがあります。そのため、ほとんど病院へ行かない、近所の整骨院や接骨院への通院のみを続ける、という方がいます。

しかし、整骨院や接骨院への通院のみでは、後遺障害の等級が認定されにくくなります。「後遺障害」の定義からして、傷や疾病が「医学的」に認められることが要素に含まれているところ、医学的な診断及び治療が実施できるのは、あくまで病院(医師)のみであり、整骨院や接骨院は症状の改善のために補助的に使うものであると位置づけられているからです。

もちろん、整骨院や接骨院を病院と併用することは症状の改善に資することがあるので、病院の医師と相談しながら併用することは構いません。

継続的に通院する

通院は時間と労力の負担を伴うものです。そのため、仕事や家事育児の忙しさから、途中で通院を止めてしまう方もいます。

しかしこれでは、症状改善の機会を失ってしまうばかりか、交通事故とそれにより残存する障害との因果関係に疑いの余地を生むことがあります。例えば、通院をしていない間に症状が生じ、通院を止めてから2カ月後に通院再開して新たな(もしくは再び)症状を訴えたとしても、交通事故と関係ない原因で症状が生じたのではないか、と疑われてしまうことがあるのです。

したがって、ご自身のご都合や医師の治療方針にもよるところではありますが、少なくとも月1~2回以上は病院に通院できるとよいでしょう。

症状を医師に具体的に伝える

後遺障害等級の判断は主に書面審査です。後遺障害等級申請の際には、必ず、病院や整骨院・接骨院の診断書を提出します。

したがって、診断書の記載が具体的かつ詳細であれば、後遺障害等級の該当性判断がよりきめ細かなものになり得るといえるでしょう。

病院への通院の際には、例えば、身体のどこが痛いのか、どのように痛いのか、普段の生活や仕事でどのように支障を感じているのかなどを、具体的に医師に伝えましょう。そして、できれば、医師にそれをきちんと診断書や診療録に記載してもらいましょう。

なお、症状を具体的に伝えることは、後遺障害等級認定の側面だけでなく、症状の原因を探ったり、治療方針を立てたりすることにも役立ちますから、遠慮せずに伝えてみてください。

症状が生じたら早期に伝える

後遺障害等級認定の際には、交通事故と症状との因果関係があるか否かが争点となることがあります。

交通事故の直後から傷や症状が生じていれば、交通事故と症状との因果関係があると認められやすくなります。

これに対して、交通事故からしばらく時間が経過して初めて診断書に登場する症状は、交通事故との因果関係が疑われやすくなります。

したがって、身体の違和感や何らかの症状かな?と感じることがありましたら、軽微なものであってもなるべく早期に医師に伝えておくことをお勧めします。

必要な検査を受ける

後遺障害等級認定の審査では、各種検査の結果が考慮されます。

例えば、交通事故直後に受傷の有無を確認するためにレントゲン、MRI等の画像を撮影することがあります。ここで後に残存する障害の原因となるものが表れていれば、後遺障害等級認定の一資料とすることができます。また、治療や時間の経過に伴い症状が変化していきますから、事故直後だけでなく症状固定時にも画像を撮影したほうがよいです。

画像に表れないような症状についても、例えば、痛みの部位や存在を確認する検査(徒手検査、神経生理学的検査など)もあります。

なお、医師によっては、検査は不要(検査しなくても治療できるので)、と言うこともあります。しかし、書面審査である後遺障害等級認定手続では、画像の内容や検査結果が重視されます。

したがって、このことを医師に相談し、後遺障害等級認定に必要な検査をしてもらうようにしましょう。

異議申立て

後遺障害等級「非該当」だった、後遺障害等級が思ったほど高くなかったという場合は、異議申立てをすることができます。

保険会社が事前認定をする場合、定められた必要最小限の資料しか出していないことがあります。定められていない資料の中にも役立つ資料はたくさんありえますので、一度、期待するほどの等級ではない結果となったからといって、あきらめる必要はありません。

ですが、一度判断が出たものを覆すのは容易なことではありません。
弁護士法人ALGなら、診療記録を細かく見て、必要な情報を拾い出します。また、必要な追加検査のアドバイスもします。お気軽にご相談ください。

自賠責保険に後遺障害の等級認定を申請したとしても、自賠責保険における後遺障害に該当しないとか、自分の思っていた等級よりも低い等級で結果が出ることが有ります。
この場合、自賠責保険に対して、異議を申立てることで、その結果が変わる可能性があります。

後遺障害等級の異議申し立ての方法

基本的に、後遺障害等級を争う方法としては、自賠責保険に異議を申立てるか、紛争処理機構を利用して自賠責保険の認定の相当性を争うか、裁判を起こして裁判所に後遺障害等級を認定してもらうかの3通りが考えられます。
自賠責保険に異議を申立てるメリットは、回数制限が無いことです。新しい証拠を探しながら、何度でも異議を出すことができます。デメリットとしては、一度自賠責保険が下した決断は、なかなか変更されがたい実情がある点です。また、新しい証拠が添付されなくなると、基本的に結論が変更されることは無くなります。
紛争処理機構を利用するメリットは、新しい証拠を探すことが困難になった場合に、自賠責保険の判断自体の相当性が争えることです。判断過程や評価の誤りなどを争うことができます。デメリットとしては、1回しか申立てることができないことです。何度も申立てを行うことは出来ません。
裁判を起こすことのメリットは、自賠責保険の認定基準の枠を超え、裁判官の自由な心証に委ねる形で、後遺障害等級を定めてもらえることです。自賠責保険の枠を超えた実情を理解してもらえる可能性があるところが何よりのメリットです。デメリットとしては、そうはいっても、自賠責保険の認定がどうであったかは、裁判所においても尊重されてしまうので、その自賠責保険の判断を覆すことが難しいということや、裁判では後遺障害等級以外も争いとなって長期化する可能性が高いことが考えられます。

自賠責保険会社に異議申立てをする方法

自賠責保険会社に異議を申立てる方法は、通常の後遺障害申請と同じく、被害者請求を行うか、加害者が加入する任意保険会社を通じて事前認定をしてもらうかの2通りになります。
どちらも、審査するのは調査事務所になりますが、通常の後遺障害申請同様、被害者がすべての資料を揃えて請求するか、任意保険会社に任せるかが異なります。

異議申し立て~審査完了までの流れ

例えば、被害者請求で異議を出す場合、まずは自賠責保険会社に必要書類と共に支払指図書を提出します。書類の確認が行われた後、自賠責保険調査事務所に書類が送付されて審査されます。
結果が帰ってくるまでの期間は、医療照会が必要となるか否かなど、事案によって異なりますが、多くの場合は通常の後遺障害申請よりも1~2か月程度長くかかることが多いです。

必要書類と入手方法

必要書類としては、後遺障害申請の時に提出しなければならない資料は、提出しなければなりません。
また、それに追加して、診療録や、車両損害がわかる資料、新たな検査所見や、医師の診断書・意見書などを添付した方が、異議が通りやすい印象があります。
また、異議申立てにあたっては、自賠責保険の認定に対して、どういった点に異議を申立てるのかを詳細に記載した異議申立書を作成したうえで提出した方がよろしいです。

郵送先

郵送先は、事前認定の場合は、加害者加入の任意保険会社になります。
被害者請求の場合には、被害者加入の自賠責保険会社に送ることになります。

審査に時間がかかる理由

審査に時間がかかる理由としては、異議申立ての事案は、自賠責保険(共済)審査会の審議に基づいて回答されることが主な理由です。
また、審査にかかる時間に幅はありますが、これは調査事務所が通院先などに医療照会をしたものの、結果が返って来ず審査が進められないケースや、審査そのものに時間がかかっているケース等、様々なことが考えられます。

自賠責紛争処理機構に申請する方法

以下のいずれかに該当する場合は自賠責紛争処理機構が使えない

以下の事由に該当する場合には、そもそも自賠責紛争処理機構を利用することは出来ません。

  1. 民事調停または民事訴訟に係属中であるとき又は当事者間の紛争が解決しているとき
  2. 他の相談機関または紛争処理機関で解決を申し出ている場合
    ※他の機関での中断・中止・終結の手続きをされた場合には受け付けることができます。
  3. 不当な目的で申請したと認められる場合
  4. 正当な権利のない代理人が申請した場合
  5. 弁護士法第72条に違反する疑いのある場合
  6. 自賠責保険・共済から支払われる保険金・共済金等の支払額に影響がない場合
    ※例えば、既に支払限度額まで支払われている場合
  7. 紛争処理機構によって既に紛争処理を行った事案である場合
  8. 自賠責保険・共済への請求がない場合あるいはいずれの契約もない場合
  9. その他、紛争処理機構で紛争処理を実施することが適当でない場合

異議申し立て~審査完了までの流れ

申請書を提出した後、調停の対象とするかどうかの判断が行われます。
受理された場合には、その後、紛争処理委員会による審査が行われ、その結果が通知されます。
基本的に、異議申立てよりも長期間かかるケースが多いです。2~3か月はかかるとお考えいただいた方がよろしいです。

必要書類と入手方法

自賠責保険に出した資料を提出する必要があります。
紛争処理申請書については、自賠責保険の審査が間違っていることを丁寧に記載して申請する必要があります。
自賠責保険への異議申立てと違い、一回きりの手続きなので、自賠責保険の認定家庭のどこに誤りがあるのかを丁寧に主張していく必要があります。

郵送先

近畿、中・四国、九州、沖縄は大阪支部に郵送し、それ以外の地域は、東京にある本部東京に提出することになります。

まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

交通事故被害者専門ダイヤル

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交通事故の経験豊富な弁護士にお任せください

裁判で異議申し立てをする場合

裁判で後遺障害等級を争う場合には、民事訴訟で、損害賠償請求を提起することになります。
裁判所に、訴状と附属書類、証拠資料を添付して提出することになります。
裁判を自身で遂行するのは、特に交通事故のような専門訴訟では困難といわざるを得ませんので、弁護士にご依頼ください。

自分で後遺障害の異議申し立てをするのは難しい

以上に述べてきたように、後遺障害の申請同様かそれ以上に、自身で後遺障害の異議を申立てることは困難です。
そもそも、自分の症状が、自賠責保険における後遺障害のうち、どういったものに該当するのか、どのような証拠を添付すべきなのかを把握することは、専門家でなければ困難です。自身で悩まれるよりも、弁護士に依頼されることをお勧めいたします。

異議申し立ての書類に不足しているものや不備があるとまたやり直し

後遺障害の申請と同様、書類が不足している場合には、自賠責保険から必要書類を追完するように求められます。
また、提出すべき書類が提出されていなかった場合には、結果が覆されず、異議申立てをやり直さざるを得ない事態にもなりかねません。

異議申し立ての審査には時間がかかる

異議申立ての審査は、通常の後遺障害申請よりも時間がかかるため、出すべき資料があるのに、提出せずに結果が覆らず、異議を出しなおすことになると、長期間がかかってしまい、負担が増えてしまうことになります。
必要書類の取捨選択などは、専門的知識が必要不可欠ですから、後遺障害等級の異議申し立ては弁護士に依頼すべき案件になります。

弁護士に後遺障害の異議申し立てを依頼した場合

弁護士に異議を申立てを依頼した場合には、医療記録の取付や、車両損害資料の取付等の協力や、どの点に異議を申立てるべきなのか、そもそも検査が足りないのかなどの方針についても、弁護士が主導して進めていくことができます。
もちろん、被害者の方の身体のことですから、被害者の方の協力は不可欠ですが、弁護士が主導して進めていった方が、無闇に異議を申立てるよりも、異議が通る可能性は上がります。
費用については、弁護士費用特約に加入されていれば、その対象となりますので、負担を抑えることができます。ただ、異議申立ては難しい事案でもあることから、案件ごとに費用が異なりますので、詳しい費用については、お問い合わせください。

異議申し立てはいつまでにしなければいけないのか

異議申立ての時効は、症状固定から3年となります(自賠法19条)。時効中断や、異議申立てによって時効中断を行うことも可能です。

異議申し立ては弁護士にお任せください

前記したとおり、異議申立ての手続きは、自賠責保険の認定基準に精通していなければ適切に行うことは出来ません。
必要書類の取得の仕方から、どのように争っていくべきかなどの専門知識がなければ、一度下された決断を覆していくことは出来ません。弁護士法人ALG&Associates埼玉法律事務所には、交通事故に精通した弁護士が在籍しております。
埼玉県内で後遺障害の異議申立てにお悩みの方は、ぜひ一度、弁護士法人ALG&Associates埼玉法律事務所にご相談ください。

後遺障害等級申請手続きの流れ

後遺障害等級申請は下記の流れで行います。

1.申請

〔主な必要書類〕

  • ・支払請求書兼支払指図書
  • ・印鑑登録証明書
  • ・事故発生状況報告書
  • ・交通事故証明書(もしくは人身事故証明書入手不能理由書)
  • ・後遺障害診断書
  • ・診断書
  • ・診療報酬明細書
  • ・画像記録

〔申請手続きの主体と書類提出先〕

事前認定の場合…任意保険会社→損害保険料率算出機構へ書類を提出
被害者請求の場合…被害者→相手方自賠責保険会社へ書類を提出→損害保険料率算出機構へ提出

2.損害保険料率算出機構(実際には各地に設置している損害調査事務所)による調査

※損害保険料率算出機構とは、「損害保険料算出団体に関する法律」に基づいて設立された団体で、自動車保険や自賠責保険の公正な保険料率の算定や、それに関連する調査研究その他付随業務を行っています。

3.後遺障害等級認定結果の通知

事前認定の場合…任意保険会社へ通知→被害者へ通知
被害者請求の場合…自賠責保険会社へ通知→被害者へ通知

4.異議申立て

等級認定結果に不服があれば、異議申立てをすることができます。

後遺障害等級の異議申立てについては下記ページで詳しく解説しています。

後遺障害等級の異議申立て

後遺障害等級申請の方法

事前認定と被害者請求

後遺障害等級申請の方法には、大きくわけて、「事前認定」と「被害者請求」があります。

事前認定:相手方の任意保険会社が申請手続きを行うものです。
被害者請求:被害者自ら、相手方の自賠責保険会社を通して申請手続きを行うものです。

事前認定のメリット・デメリット

事前認定は、事故の相手方が加入している任意保険会社が手続きを全て行ってくれます。そのため、被害者自身の労力がほとんどかからずない点はメリットであるかもしれません。

しかし、あくまで任意保険会社が行うものであるため、被害者の方が見てもらいたいと思う資料を添付してくれることはありません。

また、被害者には任意保険会社がどのような資料を提出したのかを確認する機会はなく、中には保険会社の調査会社が用意した意見書等が添付されることもあるため、損害保険料率算出機構が何を見て検討したのか想像がつかないというデメリットがあります。

被害者請求のメリット・デメリット

こちらの方法では提出資料を自ら用意することになります。

それゆえ、定型の資料だけではなく、例えば、被害者が伝えたい事情等をまとめた書面や医師の意見書等を添付することもできるので、後遺障害等級の審査を行う損害保険料率算出機構に対して伝えたい内容を伝えやすいメリットがあります。

確かに、用意の手間暇がかかる点はデメリットといえるかもしれませんが、この点は弁護士が代理人としてお手伝いすることが可能です。

まずは交通事故事件専属のスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

交通事故被害者専門ダイヤル

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後遺障害診断書作成にあたって注意すること

自覚症状をはっきり伝える

後遺障害診断書には、自覚症状を記載する欄があります。医師が患者である被害者から話をききとって記入します。

自覚症状をきちんと医師に伝えることが後遺障害等級判断の一助となることがあります。後遺障害診断書は、自覚症状と検査結果が対応しているかという観点からも見られることがあるからです。

後遺障害診断書作成の段階になって初めて新たな自覚症状を言っても、交通事故との因果関係が疑われてしまうことがあるため、普段の診察時から自覚症状を医師にきちんと伝えておくことが大切です。自分では事故とは関係がない症状だと思っていても、意外と関連性があることもあります。気になった症状等は医師に伝えておく方がよいでしょう。

検査結果はきちんと記載されているか

検査を受けて、症状に合致する検査結果が出ているのにそれが後遺障害診断書に記載されていないというのはもったいないことです。

後遺障害診断書の他にも、日頃の入通院での治療状況については、随時、診断書が作成されているはずですが、その診断書にも検査結果が書かれていないということもあり得ます。有益な検査結果は後遺障害診断書に記載してもらいましょう。

今後の見通しは必ず記入してもらう

後遺障害診断書の末尾には、障害内容の増悪、緩解の見通しを記載する欄があります。たまに、この欄の記入が漏れていることがあります。

しかし、交通事故における「後遺障害」は「将来においても回復の見込みが困難である」障害について認められるものです。それゆえ「回復が困難(見込みが薄い)」という趣旨の記載がないと、後遺障害診断書に書かれた症状等が後遺障害にあたり得るのかはっきりせず、消極的は方向に評価される恐れがあります。

医師によっては、例えば、「むち打ち症は絶対に治らないものではないんだから」等と考えから、この欄を記入なさらないことがあります。

しかし、このむち打ち症の例でいえば、頚部の痛みや痺れが直ぐには引かない(治らない)のであれば、その旨を書いていただく方がより正確な診断を示すことにもなるので。ここは医師の方々に説明し、ご理解していただく他ないのですが、お困りの時にはご相談ください。

補足説明も記載してもらう

交通事故で受けた痛みや症状は被害者によって千差万別です。例えば、症状の部位、症状が生じる頻度、強度なども、できるだけ明確に記載してもらうことに越したことはありません。

しかしもちろん、詳細であればよいというわけでもありません。詳細であっても交通事故による傷害と因果関係のある症状でなければ、無関係な記載によって焦点がぼやけてしまったり、かえって症状の存在が疑われてしまったりすることもあります。

そのようなことにならないよう、どうしてそのような症状が生じるのか、原因としてかんがえられるのはどのようなことかなども、医師にしっかりききましょう。医師の説明を理解したうえで、必要な事実を補足してもらいましょう。

後遺障害等級認定に必要な検査を受ける

後遺障害等級認定を受けるためには、障害の内容に応じて受けておくべき検査があります。

交通事故における「後遺障害」には、目で見てもわかるような身体的な症状のみならず、被害者にしか感じられない神経症状や精神的な症状もあります。そのため、客観的な検査結果を得ることで、神経症状や精神的な症状を裏付けるようにする必要があるのです。

以下は、簡単な例として、神経症状や関節の可動域制限を主たる症状とする場合に用いられる検査の一部をご紹介します。

画像検査

レントゲン、CT、MRI撮影の検査があります。

徒手検査(理学検査)

症状の発生原因として疑われる部位に手動でストレスを与えて、痛みが生じるかどうかをみる検査です。検査の結果、痛みが生じれば、その部位に障害があるということの一つの裏付けになります。

これは、ストレスを与える体の部位毎に検査方法がいくつかあります。

例えば、頸椎ならジャクソンテストやスパーリングテスト、腰椎ならばSLRテスト、ラセーグテストなどが挙げられます。

どの検査方法をなすべきかについて、医師の判断を仰ぎましょう。

可動域検査

関節の動く範囲(可動域)が制限されている場合の検査です。

対象となる関節の典型例ですが、上肢であれば肩関節、肘関節、手関節、下肢であれば股関節、膝関節、足関節などの三大関節の他、手足の指の関節なども対象になることがあります。

後遺障害等級に該当するかどうかは、患側(障害のある体側)と健側(障害のない体側)の可動域を比較して判断されます。患側の可動域(=角度)が健側の可動域の1/2以下とか3/4以下といった基準で等級の有無が評価されます。

まれに患側の可動域しか書かれていない後遺障害診断書を見ますが、それでは後遺障害の等級に該当するのか判断がつきませんので、注意しましょう。

神経生理学検査

神経生理学検査は、専用の機械を使って痛みの原因を探る検査です。

神経や筋肉に人為的に電気刺激を与え、その刺激に対する反応を測定したりするものです。針筋電図、神経伝導検査、誘発電位検査などの検査があります。

これにより、画像検査では見えないような細かな神経の障害が判ることがあります。

本来、検査は、症状の原因を探り治療に役立てるためのものです。後遺障害等級認定のために検査するというのは、医師からしてみると検査の本来の目的からは外れるのかもしれません。そのため、「痛みの原因は推測できるのだから、検査する必要はない」等という考え方の医師もいらっしゃいます。

しかし、検査結果により症状が医学的に裏付けられている否かは、後遺障害等級認定の結論に影響することがありますので、検査をして欲しいと医師に相談してみてください。医師にどう相談すればよいかお悩みの場合には、弁護士にご相談ください。

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
監修:弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長
保有資格
弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)
埼玉弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。