監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士
亡くなった方が、相続人の一人に全ての財産を相続する旨の遺言を残していた場合、相続人として相続するはずであった方は不満に感じることもあるかと思います。相続するはずであった相続人の方は何も相続できないかというと、そうではありません。遺留分侵害額請求という形で、自身の遺留分を主張できるのです。以下では、遺留分について詳しく解説していきます。
遺留分とは
遺留分とは、一定の相続人(遺留分権利者)について、被相続人(亡くなった方)の財産から法律上取得することが保障されている最低限の取り分のことです。遺留分は、被相続人の生前の贈与又は遺贈によっても奪われることはありません。遺留分の趣旨は、相続人の生活保障を図るものとされています。そして、自身の遺留分を請求することを、遺留分侵害額請求といいます。
遺留分の請求が認められている人
遺留分侵害額の請求が認められているのは、配偶者、直系卑属(子、孫等)、直系尊属(父母、祖父母等)です。後述の通り、代襲相続人も遺留分侵害額請求をすることができます。
相続開始時に胎児であっても、出生すれば遺留分を主張することができます。
遺留分の請求が認められていない人
一方で、遺留分の請求が認められない人はどのような人か、以下で説明します。
兄弟・姉妹
民法では、遺留分を主張できる人を「兄弟姉妹以外の相続人」と規定しています(民法1042条1項柱書)。したがって、兄弟姉妹は遺留分を主張することができません。兄弟姉妹が遺留分を主張できないため、兄弟姉妹の子や孫など、兄弟姉妹の代襲相続人も遺留分を主張できません。兄弟姉妹は被相続人との関係で、経済的に独立していることが多いため、生活保障という遺留分の趣旨が妥当しないと考えられているのです。
相続放棄した人
相続放棄をした人も、遺留分を主張することはできません。そもそも相続放棄をした人は、被相続人の財産の一切を放棄しており、そもそも相続人とはなりませんので、遺留分を請求できる「兄弟姉妹以外の相続人」には当たらないのです。
相続欠格者にあたる人
相続欠格者にあたる人も遺留分を主張することはできません。相続欠格者とは、被相続人に対する殺人、殺人未遂で刑に処せられた人や、詐欺・脅迫によって遺言を書かせた人などです(民法891条各号を参照)。
相続廃除された人
相続排除をされた人も遺留分を主張できません。相続排除をされた人は、相続人として扱われなくなるため、遺留分を請求することもできなくなるのです。
遺留分を放棄した人
家庭裁判所の許可を得て、あらかじめ遺留分の放棄をすることができます。遺留分を主張できるにもかかわらず、遺留分を放棄したのですから、遺留分を主張できなくなります。
遺留分侵害額請求権と代襲相続
例えば、被相続人である祖父が亡くなる前に、すでに父が亡くなっている場合、孫が、祖父を相続することとなります。これを代襲相続といいます。
代襲相続があった場合であっても、代襲相続人も相続人ですから、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分の割合
| 相続人 | 全員の遺留分の合計割合 | 配偶者 | 子供 | 父母 | 兄弟 |
|---|---|---|---|---|---|
| 配偶者のみ | 1/2 | 1/2 | × | × | × |
| 配偶者と子供 | 1/2 | 1/4 | 1/4÷人数 | × | × |
| 配偶者と父母 | 1/2 | 2/6 | × | 1/6÷人数 | × |
| 配偶者と兄弟 | 1/2 | 1/2 | × | × | × |
| 子供のみ | 1/2 | × | 1/2÷人数 | × | × |
| 父母のみ | 1/3 | × | × | 1/3÷人数 | × |
| 兄弟のみ | × | × | × | × | × |
遺留分割合は、直系尊属の場合のみ相続人になる場合には3分の1×法定相続分、それ以外の遺留分権利者の場合は2分の1×法定相続分の計算式で算出されます。
たとえば、父、母、子(姉)、子(妹)の家族で、父が死亡し、子(姉)に全ての遺産を相続させる旨の遺言が残されていた場合、母の遺留分は、2分の1×2分の1(法定相続分)、子(妹)の遺留分は、2分の1×4分の1(法定相続分)で算出されます。したがって、母は、被相続人の相続財産の4分の1、子(妹)は、8分の1の割合で、遺留分侵害額請求をすることができることになります。
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遺留分の計算方法
遺留分の計算方法は、
(被相続人の相続財産+贈与した財産のうち遺留分算定に含まれる財産−相続債務)×遺留分割合
となります。
ない、財産には不動産や有価証券等、評価をすべきものが含まれる場合、その評価をめぐって争いになることもありますので、注意が必要です。
遺留分を貰うには、遺留分侵害額請求を行う
遺留分をもらうには、遺留分侵害額請求を行う必要があります。
遺留分侵害額請求は、上で述べた遺留分算出の計算を行い、金銭的な請求をしていきます。
遺留分侵害額請求にも時効があり、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内に行使しなければなりません。
遺留分を渡したくない場合にできること
遺留分は民法で規定された権利ですから、遺留分を侵害してしまった場合に相続財産を渡さないようにする対処法はほとんどありません。遺留分自体を放棄する旨の合意をすることも考えられますが、遺留分権利者がそれに納得して合意してくれるケースというのは少ないでしょう。
遺留分の権利者が亡くなった場合はどうなる?
遺留分権利者が亡くなった場合、遺留分侵害額請求をする権利自体も相続人に相続されます。そこで、相続人は、亡くなった方の遺留分侵害額請求権を引き継いで行使していくことになります。
遺留分に関するお悩みは弁護士にご相談ください
相談につながるようクロージングをお願いします。
遺留分として相続財産を相続することは、遺言を書いた被相続人の気持ちに反するものと考え、遺留分を主張することに戸惑いを感じる方も少なくないかと思います。また、感情的な対立が見込まれる場合、余計に遺留分侵害額請求をすることを躊躇するでしょう。
しかしながら、遺留分侵害額請求は、民法に規定された権利ですから、主張しても何ら非難されるものではありません。ただ、主張方法や計算方法については、専門的な知識が必要となることもあります。
遺留分について、専門的な判断が可能な弁護士に依頼すれば、スムーズに交渉や調停を進めてくれるでしょう。遺留分侵害額請求について悩んだら、是非弁護士にご相談ください。
ご家族がご逝去された場合、故人(「被相続人」といいます。)が有していた財産をどのように分割するか、相続人間で協議して決める必要があります。
しかし、現実には、相続人同士での感情のもつれや、専門的知見が多分に必要となるため、遺産分割協議が長期化したり、難航したりします。
そこで、相続問題、遺産分割協議の問題に精通した弁護士法人ALGの埼玉法律事務所の弁護士が、遺産分割協議について詳しく解説していきたいと思います。
遺産分割協議とは
遺産分割協議とは、被相続人が遺した財産について、相続人全員でその分割方法を協議する手続きをいいます。
遺産分割協議は、①相続人の範囲と②遺産の範囲を確定し、③遺産の評価(価値)を決め、④分割方法を決めるという手順を踏みます。
遺産分割協議の注意点
遺産分割協議のやり直しは原則不可
遺産分割は、相続人全員が納得したうえで成立するため、一度決まった協議の内容を覆すことは困難です。そのため、納得しない状態で遺産分割協議書に署名押印することは控えてください。
全員の合意がなければ成立しない
遺産分割協議が有効に成立するためには、相続人全員での合意が必要になります。
そのため、まずは相続人全員を特定する必要があります。自分たち以外には相続人がいないと思っていても、被相続人と前配偶者との間に子がいたり、疎遠になっている兄弟姉妹がいたりする場合もあります。
そのため、相続人を確定させるためには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等を取り寄せるなどの調査が必要となります。
相続人に未成年がいる場合
未成年者は、法定代理人の同意や代理がない場合には法律行為を行えません。また、遺産分割協議も例外ではありません。もっとも、未成年者(被相続人の子)の法定相続人が、被相続人の配偶者(未成年者の母)であった場合、母と子の意見が相違する(利益が相反する)可能性があるため、母が子の代理人になることはできません。
この場合、家庭裁判所に対して「特別代理人」の選任の申立て、未成年者の代理人を選任してもらう必要があります。
相続人に認知症の人がいる場合
未成年者と同様に認知症などの意思能力が不十分な場合にも、遺産分割協議に参加することができません。また、他の相続人がその方の成年後見人として遺産分割協議に参加することもできません(利益相反の可能性)。
そのため、家庭裁判所に対して「成年後見人」や「特別代理人」の選任を申立てます。
遺産分割協議でよく揉めるケース
土地や不動産がある場合
遺産分割協議は、①相続人の範囲と②遺産の範囲を確定し、③遺産の評価(価値)を決め、④分割方法を決めるという手順を踏みます。
遺産に不動産がある場合、③当該不動産の評価や④分割方法で紛争化することがあります。
例えば、現金や預金であれば、その価値について争うことはまずありません。しかし、不動産の場合、取得したい人はその価値を低く評価したいですし、代償金を取得したい人はその価値を高く評価したいはずである。
また、不動産そのものを取得したい、不動産を売却して売却益を分割したいなど、不動産の分割方法について、各相続人の意見が分かれてしまう場合、不動産に関する遺産分割協議は難航してしまいます。
家業がある場合
遺産分割協議は、①相続人の範囲と②遺産の範囲を確定し、③遺産の評価(価値)を決め、④分割方法を決めるという手順を踏みます。遺産に家業(例えば、故人が経営していた会社)がある場合、③当該会社の評価や④分割方法で紛争化することがあります。
例えば、株式を公開している(上場している)会社の場合、1株あたりの株価を争うことは多くありません。しかし、非公開会社の場合、会社の株価(価値)を幾らにするか、どのような計算方法で算出するかについて、難航します。
また、1株あたりの株価(価値)が決まったとしても、誰が家業を引継ぐか(誰が会社の株式を引継ぐか)、会社株式を取得しない相続人に対する代償金の支払をどうするかについても難航します。
相続人以外が参加した場合
遺産分割協議は、あくまでも法定相続人全員の合意で成立します。
しかし、例えば、法定相続人の配偶者も遺産分割協議に興味関心があるところです。そのため、法定相続人が納得していても、その方の配偶者が納得しないため、事実上遺産分割協議が難航するということもあります。
遺産の分割方法
遺産分割の方法は、①現物分割、②代償分割、③換価分割、④共有分割という方法があります。このうち、遺産が現金や預金等の現金化しやすい財産であれば分割方法で難航することはありませんが、不動産などの場合には分割方法で協議が難航することがあります。
現物分割
現物分割とは、遺産をあるがままに分割する方法です。この現物分割が原則的な方法です。
遺産をそのまま残すことができたり、手続きが簡便であったりしますが、遺産の価値に争いがあったり、具体的な相続分と一致させての分割が困難であったりするため、現金化しやすい遺産で採用しやすい分割方法です。
代償分割
特定の相続人が遺産を引き継ぐ代わりに、他の相続人に対し相続分に応じた代償金を支払う方法です。
例えば、1500万円の価値の不動産を3兄弟の長男が相続し、弟2人にそれぞれ代償金として、法定相続分(3分の1)にあたる500万円ずつを支払うというような場合です。
換価分割
遺産を処分して、その対価を相続人で分割する方法です。
代償金を支払う原資を捻出することができない場合や相続人のいずれも取得を希望しない不動産がある場合等に用いられます。もっとも、売却時期が不透明であったり、売却方法や売却金額等を事前に協議しておいたりする必要があるため、事前準備が必要となります。
共有分割
遺産を具体的相続分による物権法上の共有取得とする方法です。
例えば、不動産を相続人2人で半分ずつの割合で取得するといったような方法です。確かに、不動産をそのまま残すことができたり、相続人間で平等に分配できたりする等のメリットはあります。しかし、後々、その不動産を取り壊す(売却する)といった場合、共有者全員の合意が必要となったり、新たな相続が発生する度に共有者が増え、権利関係が複雑化になったりというリスクがあります。
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遺産分割協議に期限はある?
現行法上は、遺言により制限された場合(民法第908条)を除いて、遺産分割協議の制限はありません。もっとも、遺産分割協議を成立させない限り、遺産を処分することができません。また、遺産分割協議が長期化すると、相続人が亡くなり、その親族が相続人になる必要が生じ(これを「数次相続」といいます。)、相続人が増え続け、全員の合意を取り付けることが一層困難になってしまいます。
遺産分割協議をしないで放っておいたらどうなる?
遺産分割協議を放置しておいた場合、①遺産を利用・処分することができなかったり、②不動産などの税金(固定資産税等)の支払いや管理修繕の費用を捻出する必要がある場合には相続人が負担する費用が増えたりする可能性が生じます。
また、遺産分割協議が成立する前に、その相続人が亡くなった場合、最初の相続が済んでいないのに次の相続が発生してしまいます(これを「数次相続」といいます。)。その結果、相続関係が非常に複雑化してしまいます。
遺産分割協議が無効になるケース
遺産分割協議が無効となるケースとしては、①他にも相続人がいた場合や②未成年者や認知症を患っている方が遺産分割協議に参加していた場合などです。また、遺産分割の重要な事項に錯誤があった場合にも、錯誤による無効が認められる可能性もあります。しかし、後になってから気が変わった、単に不公平だからといった理由で遺産分割協議を無効にすることができません。
遺産分割協議のやり直しが必要になるケース
遺産分割協議をやり直す必要があるケースとしては、上記記載のとおり、他にも相続人がいた場合や未成年者などが遺産分割協議に参加していた場合などです。
また、遺産分割協議後に新たな遺産が見つかった場合には、従前の遺産分割協議そのものをやり直す必要まではなく、新たな遺産の分割方法のみを決めれば足ります。もっとも、従前判明していた遺産と新たな遺産との区別が不明瞭な場合や両遺産を別個に処理することが困難な場合には、遺産分割をやり直す必要があります。
遺産分割協議に応じてもらえない場合にできること
他の相続人が遺産分割協議に応じない場合、その理由を明確にする必要があります。例えば、遺産の評価を理由にしているのか、分割方法を理由にしているのかなどです。また、当事者同士で協議をしても、互いに感情的になってしまうため、建設的な協議を行うことができません。そのため、弁護士に交渉を依頼したり、遺産分割調停を申立てたりする必要があります。
そもそも遺産分割協議が必要ない場合
絶対に遺産分割協議が必要となるとは限りません。例えば、以下に掲げる場合には遺産分割協議は必要ありません。
遺言書がある場合
遺産は、被相続人が残した財産ですので、被相続人の意思を尊重する必要があります。この被相続人の意思を尊重させたものが遺言書です。遺言者は、遺言によって、遺産分割の方法を指定したり、法定相続分とは異なった相続分を指定したりすることもできます。また、特定の財産を特定の相続人に承継させたりすることもできます。
この場合には、相続人が協議することなく遺産を分割することができます。
法定相続人が一人しかいない場合
他に協議すべき相続人がいない場合にも、遺産分割協議は不要です。もっとも、他に相続人がいないことを明らかにするため、相続人の調査を行う必要があります。
遺産分割協議のお悩みは弁護士にご相談ください
遺産分割協議は、①相続人の範囲と②遺産の範囲を確定し、③遺産の評価と④分割方法を決め、後の紛争を防止するために遺産分割協議書を作成する必要があります。
このうちいずれの段階においても、専門的な知識や調査が必要となります。また、お互いが感情的になるあまり、建設的な協議ができないことも往々にしてあります。そして、上記の通り一度決めた遺産分割を無効とすることは困難です。
そのため、早期の段階から弁護士に相談・依頼し、適切な遺産分割を行う必要があります。
DVを理由として裁判で離婚をする場合には、DVがあったことを裏付ける証拠が重要となります。また、協議や調停で離婚をする場合でも、証拠があると話し合いを進めやすくなることが多いです。
DVを裏付ける有力な証拠の一つが、医師が作成した診断書です。もっとも、同じ診断書でも、内容や作成時期によって、証拠としての信用度が異なります。
本コラムでは、DVの証拠のうち診断書に焦点を当てて解説しています。DVの証拠として診断書の作成を考えられている方は、ぜひ本コラムをご覧ください。
離婚するときにDVの証拠になるもの
DVの証拠としては、本コラムで詳しく解説する診断書の他に、録音・録画したデータ、写真、日記、警察や相談センターへの相談記録などが考えられます。
録音・録画したデータ
暴行や暴言等のDVを受けている状況を音声や動画があると、DVの存在を強く裏付けます。スマートフォンで直ちに撮影可能な状態にしておくなど、可能であればDV被害の様子を記録に残しておきましょう。
加害者が事後的にDVを認める発言をしている内容の音声や動画も、証拠となり得ます。
写真
DVによってケガを負った場合には、その状況を写真に残しておきましょう。ケガの状態がよく分かる写真に加えて、ケガをした箇所と自身の顔が同時に写っている写真も撮影しておくと、自身のケガであることが明確になります。DVに凶器が使われたり、DVによって物が壊れたりした場合には、それらも撮影しておくとDVの状況をイメージしてもらいやすくなります。
日記
DVの日時、場所、内容などを書き残しておきましょう。DV被害によって日常生活や家事、仕事にどのような影響を受けたかも具体的に記載しておくことがポイントです。
DVを受けた日だけしか記述がないと、後から作成したものと考えられてしまう可能性があります。日常的につけている日記にDVの記載もある方が望ましいです。
警察や相談センターへの相談記録
公的機関の相談記録には、相談日時や内容が記載されるため、証拠となる場合があります。警察や相談センターに相談する場合には、DVの内容や被害について具体的に伝えておくようにしましょう。
診断書の記載内容と重要ポイント
診断書を作成してもらうだけでなく、ポイントを押さえた記載してもらうことで、診断書の証拠としての価値が上がります。
特に重要なポイントは、DVによってケガを負ったという経緯を伝えることです。本来、診断書は、受診時にケガを負っていたり、病気にかかっていたりしたことを証明するものでしかありません。しかし、経緯を医師に伝えて記載してもらえれば、DVとケガや病気とのつながりを示すことができる場合もあります。なお、医師にDVについて説明したとしても、医師が警察に通報をするかはDV被害者の意思が尊重して決めるので、直ちに通報されることは基本的にはありません(DV防止法第6条第2項)。
また、細かな傷はあまり診察されなかったり、診断書に記載されなかったりすることもあるため、注意しましょう。
その他、以下の点をチェックしておきましょう。
- 傷病名
- 受診日
- 治療期間
- 病状の程度
何科の病院でDVの診断書をもらえるのか
DVの被害を受けた時に受診すべき病院は、被害の内容によって異なります。身体的DVによって、あざや打撲をした場合には整形外科を受診しましょう。一方で、精神的DVによって不眠等の症状が現れた場合には、心療内科を受診することになります。
DVの診断書があると離婚のときに有利になること
裁判所外で離婚協議がまとまらない場合、裁判所を利用して調停や裁判で離婚することになります。
裁判では、DVの存在を証明する必要があるため、証拠の存在がとても重要になります。適切に記載された診断書は、DVの存在を証明する有力な証拠の一つです。また、調停では、調停委員を通じて加害者と話し合いをすることになります。診断書等の証拠によって、調停委員にDVの存在を認めてもらえると、話し合いを円滑に進めやすくなります。
このように、離婚自体を実現しやすくなることに加え、以下の点で有利になります。
慰謝料の増額
慰謝料は、精神的苦痛を賠償するために支払われるものです。裁判所が慰謝料について判断する場合、ケガの有無や程度等の客観的事情から、精神的苦痛の大きさを量ります。診断書によってケガの有無や程度等を証明できると、より高額な慰謝料を認めてもらいやすくなります。
子供の親権
親権について争いがある場合、子供の利益を図るためにはどちらを親権者とすべきかという基準で、親権者が判断されます。診断書によってDVの存在が証明できると、一緒にいることが子供にとって不利益であると判断される可能性が高くなります。
もっとも、裁判所が子供の利益を検討するにあたっては、これまでどちらが子供の面倒を見てきたか、今後どのように子供を監護していく予定であるか等も考慮します。そのため、DVの存在を証明できたとしても、直ちに親権者と判断されるわけではありません。特に、DVの対象が自身だけであったり、子供へのDVが極めて少なかったり場合には、影響力は小さくなりやすいです。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
DVの診断書の提出先
離婚調停を申し立てたとき
離婚調停を申し立てたときは、申立書等と一緒に診断書を提出することが考えられます。
DVについて当事者の話に食い違いがある場合、調停委員はどちらが本当のことを話しているのか判断ができません。診断書があると、調停委員にもDVがあったことを納得してもらいやすくなり、調停を有利に進めやすくなります。
警察に行くとき
DV被害に遭った場合には、警察の生活安全課に被害届を出すことが考えられます。被害届を出しておくことで、DVの証拠にでき、親権の獲得で有利になることもあります。
被害届を出す際に、一緒に診断書を提出すると、警察で被害の実態が把握しやすくなります。結果として、被害届をスムーズに受理してもらえる可能性が上がります。
DVの診断書の有効期限
病院に受診した時のケガの有無や状態を証明するものです。時間が経過したからといって、当時のケガの有無や状態が変わることはないので、診断書には特に有効期限はありません。
もっとも、作成時期という観点では、診断書は早めに作成してもらうことが望ましいです。なぜなら、DV被害から時間が経ってしまうと、DV直後のケガの状態を証明することができなくなってしまうためです。また、DV被害以外でケガが負ったのではないかと疑われる可能性もあります。
離婚のときに提出するDVの診断書についてのQ&A
DV加害者の弁護士からDVの診断書の提出を求められたのですがコピーしたものでもいいですか?
加害者の弁護士や第三者に診断書を渡す場合には、基本的にはコピーしたもので構いません。調停や裁判といった手続を取る場合、裁判所からは原本の提示が求められることがあるため、原本は手元に残すようにしましょう。 診断書には、自身の住所や病院名などが記載されています。加害者に現住所を伏せているというような事情があって、加害者に知られたくない情報がある場合には、弁護士に事情を説明した上でマスキングしたコピーを渡しましょう。
DVによって擦り傷ができたときも病院で診断書をもらっておくべきですか?
軽傷の方が後からの立証することが困難になりやすいので、診断書はもらっておく方が望ましいです。裁判離婚をする場合や、慰謝料請求をする場合には、DVの存在を立証する必要があるので、診断書の存在が重要となります。 注意点として、軽度な擦り傷の場合は、診察の内容や、診断書への記載内容が簡潔なものになりやすいです。そのため、痛みの程度や擦り傷の原因がDVであること等をきちんと医師に伝えて、しっかりと診察としてもらい、診断書にもきちんと記載してもらうようにしましょう。
DVの診断書がない場合は離婚が難しいですか?
離婚には、裁判離婚のほかに協議離婚と調停離婚とあり、どちらも相手方と話し合いによって離婚するという方法です。DVの診断書がない場合でも、相手方との間で話し合いがまとまるのであれば、協議離婚や調停離婚によって離婚が可能です。 裁判離婚では、DVの存在を証明する必要があるため、DVを原因として離婚する場合には診断書がある方が有利になります。診断書がない場合でも、録音・録画のデータや写真などがあればDVを証明できる場合もありますが、診断書を作成することが可能なのであれば診断書を作成しておいた方が良いでしょう。
DV加害者と離婚をする際に診断書があると有利になることがあります。詳しくは弁護士にご相談ください
DVを理由にDV加害者と離婚する場合、DVを裏付ける証拠は、離婚協議を有利に進めたり、裁判離婚したりするために重要となります。診断書は、専門家である医師が、DV被害について客観的に診断した内容が記載されるものなので、有力な証拠となります。 DV被害に遭われた場合には、病院の受診をためらわれることもあるかもしれませんが、将来的にきちんと離婚するためにも、きちんと診察を受けて、診断書も作成してもらいましょう。もっとも、作成の時期や方法、記載内容について、自身のケースではどのように対応するべきか、不安になられることもあると思います。法律の専門家である弁護士であれば、診断書が法的にどのように評価されるのかを踏まえて、適切なアドバイスをすることが可能です。 DV被害に関する診断書でお悩みの際には、まずは一度、弁護士にご連絡ください。
養育費を定めないで離婚する夫婦が多く、将来的に養育費をきちんと支払ってもらえない方が多いのが実情です。そこで、以下では、養育費を確実に受け取るためにあらかじめできる方法をご説明します。
養育費を公正証書に残すべき理由とは?
公正証書とは、裁判官や検察官を永年勤めた法律の専門家である公証人が作成する文書のことをいいます。公正証書に養育費を定めておくことで、万が一、支払われなかった場合に、強制的に養育費を確保することが可能になります。
養育費に関することを公正証書に残すことのメリット
公正証書に養育費の定めをしておくことによって、以下のようなメリットがあります。
合意した条件について争いにくくなる
当事者が合意した内容にしたがって、公正証書が作成されるので、お互いが納得した内容が記載されていることから、将来の紛争を未然に防ぐことが可能になります。
養育費の支払が滞ったときに強制執行ができる
本来であれば、養育費の未払いに関して、訴訟を提起し、裁判所の判決を得た上で強制執行手続きを行わなければならないところ、その手続きを省いて、強制執行手続きを行うことが可能となります。
財産開示手続きが利用できる
改正前には、財産開示手続きを利用することができませんでしたが、改正後には、財産開示手続きを利用することができるようになりました。
養育費に関することを公正証書に残すことのデメリット
養育費を公正証書に定めることのデメリットについて、以下でご説明します。
作成費用がかかる
公正証書の作成を公証人に依頼することから、作成手数料という費用がかかります。もし、弁護士に依頼して、公正証書を作成する場合には、別途、弁護士費用がかかります。
| 目的の金額(養育費の合計金額) | 公正証書作成の手数料 |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超、200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超、500万円以下 | 11,000円 |
| 500万円超、1,000万円以下 | 17,000円 |
| 1000万円超、3,000万円以下 | 23,000円 |
| 3000万円超、5000万円以下 | 29,000円 |
| 5000万円超、1億円以下 | 43,000円 |
作成するのに時間がかかる
公正証書を作成する場合、当事者双方の合意に加え、公証人によるその合意内容についてのチェック作業がありますので、完成するまでに、時間がかかります。
作成するのは夫婦で協力しなくてはいけない
当事者双方が揃って公証役場に出頭して作成する必要があります。相手方が出頭に応じてくれない場合には、作成自体が困難です。
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養育費と公正証書の書き方
以下では、養育費を公正証書に記載する場合の書き方に関する注意点をご説明します。
毎月の支払額
養育費は月払いが基本で、1ヶ月の養育費の金額を記載します。
夫の年収が500万円、妻が専業主婦で子供1人(0歳~14歳)の場合の養育費は、夫が一般にお勤めの方であれば、「6万~8万円」程度、自営業者の方であれば、「8万~10万円」程度が相場です。
夫の年収が300万円、妻の年収が200万円で子供が2人(両方が0歳~14歳)の場合の養育費は、夫も妻も一般にお勤めの方であれば、「2万~4万円」程度が相場です。
養育費の支払日
養育費を毎月何日に支払うのか、その具体的な日にちを決める必要がございます。一般的に、養育費を支払う親の給与支払い日から5日以内を選択する方が多いです。
支払開始日
離婚が成立した時点から支払うことになりますが、離婚した日の属する月から支払いを開始する方が多いです。
支払終了日
支払終了日は原則として成人するまでであり、成人になる日の属する月の分までとするのが通常です。ただ、大学を卒業するまでと記載する方もいますが、浪人や留年した場合に終了日をめぐって、トラブルになることがあります。
支払方法
支払い方法は振込が一般的です。振込手数料については、当事者双方で合意ができれば、どちらが負担しても構いませんが、双方負担したくない場合には、民法484条より、支払う側が手数料を負担します。
養育費の変更について
養育費を定めた後に、父母の一方又は双方に事情の変更(再婚し子供を新しい親の養子にした場合、病気や失業して、年収が減った場合等)が生じた場合には、養育費の増額あるいは減額が認められることがあります。
強制執行について
訴訟手続きを経ずに強制執行されても異議を述べない旨の公正証書の記載が必要です。
一度公正証書に養育費のことを残したら、金額は変更できない?
養育費の額を合意した時点から現時点にかけて、判断の基礎となる事情が変更した場合には、金額変更が可能です。
よくある質問
養育費について公正証書を作成したいのですが、相手に拒否された場合はどうしたらいいですか?
相手方が公正証書作成に協力してくれない場合には、公正証書を作成することができません。その場合には、家庭裁判所に調停を申立てることをお勧めします。裁判所で作成される調停調書によって公正証書同様、強制執行が可能になるからです。
養育費の公正証書はどこで作成することができますか?
全国の都道府県に設置されているおよそ300ヶ所の公証役場において、作成が可能です。
離婚の際に公正証書を作成したいのですが、養育費に関して書けないことなどありますか?
養育費を支払わないという合意を記載することはできません。これは、養育費が親の権利ではなく、子供の権利であるため、夫婦の合意があっても無効です。それ以外にも、面会交流を認めないといった内容も同趣旨から記載しても無効です。
公正証書がないと養育費がもらえませんか?
公正証書は公証役場において作成されるもので、原本が公証役場に保管されるので、もし万が一紛失した場合でも再発行が可能です。
養育費の公正証書を作成する際は弁護士にご相談ください
公正証書をご自身で作成する場合、費用面ではコストを大幅に抑えることができますが、作成にかなりの労力を費やします。しかしそのような労力を費やしたとしても、記載もれ等の不備やご自身にとって不利な内容で作成されてしまうなど、後のトラブルの原因になることがあります。
そのため、ご自身で養育費を公正証書に記載する場合には、弁護士に依頼することをお勧めします。
相続をめぐる争いは数多く存在します。今回は、その中でも遺言書を巡るトラブルに焦点を当てて解説したいと思います。そもそも遺言書とはどのようなものなのか、遺言書を巡ったトラブルが生じた場合にどのように対処すればよいのか等を、以下、解説していきます。
遺言書とは
遺言とは、人がした意思表示の効力をその人の死後に生じさせる法律行為をいいます。そして、その意思表示の内容が記載されている書面を、俗に遺言書といいます。具体的には、遺言書には、「私の財産をAに相続させる。」「私はBを認知する。」といったことが書かれることになります。
遺書、エンディングノートとの違い
遺書というのは、人が自らの死後のために遺した手紙や文書一般をいいます。また、その人の意思を記載する書面一般をいうことが多いと思われます。エンディングノートも遺書と同じ意味で使用される言葉です。
遺言書は、遺書やエンディングノートと異なるところが多いです。まず、遺言書の記載内容は法律行為であるのに対し、遺書やエンディングノートは記載内容に限定がありません。また、遺言書には法律に定められた方式に則って作成する必要があるのに対し、遺書やエンディングノートにはそのような決まりは特にありません。
遺言書と遺書やエンディングノートとでは、記載内容や作成方法が異なっております。
遺言の種類
遺言には、特別なものを除けば、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの方式があります。自筆証書遺言は、遺言者が遺言書の全文を自書する方式の遺言です。公正証書遺言は、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で伝え、公証人が作成するという方式の遺言です。秘密証書遺言は、遺言者が遺言書に署名・押印してその遺言書を封じ、遺言書に用いた印章で封印し、遺言書が入った封書を公証人に提出して遺言書の筆者が誰であるか等を申述した後、遺言者・公証人・証人が封書に署名・押印することによって作成される遺言のことをいいます。
遺言書の保管場所
遺言書が保管されている可能性がある場所は、主に3つ考えられます。
1つ目は、遺言者の自宅です。当たり前ではありますが、遺言者が遺言書を書いた後、それを自宅に保管しておくことが考えられます。
2つ目は、公証役場です。公正証書遺言の場合、その遺言書は自宅に保管されているということはなく、必ず公証役場に保管されることになっています。
3つ目は、法務局です。自筆証書遺言を法務局に保管するという制度がありますので、遺言者がこれを利用して法務局に遺言書を保管している可能性があります。
遺言書はその場で開封しないようにしましょう
相続人等は、封印のある遺言書を発見した場合であっても、それをその場で開封してはいけません。遺言書は家庭裁判所で開封しなければならないと法律で定められており(民法1004条3項)、これに違反した場合には、5万円以下の過料に処せられる可能性があります。また、必ずというわけではありませんが、勝手に開封したことが遺言書の偽造・改ざんを疑われるきっかけとなる可能性もあります。
以上から、必ず家庭裁判所に検認手続を申し立て、家庭裁判所において遺言書を開封しましょう。
開封には検認の申立てが必要
相続人等が遺言を発見した場合には、開封する前に遺言の検認という手続を家庭裁判所に申し立てる必要があります。これは、遺言書が封書となっていない場合であっても同様です。検認をせずに遺言の執行をした場合には5万円以下の過料が処せられる可能性があります。
ただし、遺言書が公正証書である場合、遺言書が法務局に保管されている場合は例外で、検認手続をする必要はありません。
「勝手に開封すると効果がなくなる」は本当か?
遺言書の検認手続をせずに、勝手に開けてしまった場合であっても、遺言が無効となるということはありません。ただし、遺言を勝手に開封したことによって、他の相続人から偽造などを疑われてしまう可能性はあります。
ですので、余計な争いを避けるためにも、遺言書は必ず家庭裁判所で開封しましょう。
知らずに開けてしまった場合の対処法
遺言を家庭裁判所外で開封してはならないということを知らずに開封してしまった、あるいは、遺言書だと思わずに開けてみたら実は遺言書だった、ということもあるかもしれません。このような場合には、開封してしまった後でも構いませんので、遺言の検認手続を家庭裁判所に申し立てましょう。実際に過料に処せられる可能性はほとんどありませんし、遺言を執行するには検認手続を経なければならないからです。
遺言書の内容は何よりも優先されるのか
遺言書の内容に相続人らが不満を持っている場合であっても、遺言書の内容に従わなければならないのでしょうか?
以下、ケース別にみていきます。
遺言書の内容に相続人全員が反対している場合
相続人の全員反対している場合には、遺言の内容に従う必要はありません。相続人が協議して、被相続人の財産を自由に分けることができます。
ただし、遺言によって相続人以外が利益を受けるような場合には、その利益を受ける者の同意も必要です。例えば、「遺産を全て(相続人でない)弟に渡す。」という内容の遺言の場合、その弟は遺産を取得する権利がありますので、その弟が遺産を受けとらないと言わない限り、相続人全員の同意があったとしても、遺言と異なる分割をすることはできません。
遺言書に遺産分割協議を禁止すると書かれていたら
この場合には、遺言執行者が存在する場合と存在しない場合とで考え方が分かれます。
まず、遺言執行者がいる場合には、共同相続人全員が遺産分割協議禁止に反対していたとしても、遺産分割協議をすることはできません。仮に、遺言に反して遺産分割協議をしたとしても、その遺産分割協議は無効となります。
他方、遺言執行者がいない場合には、共同相続人全員の同意によって遺産分割協議をすることができるとの考え方とできないという考え方に分かれています。
遺言書の内容に納得できない場合
遺言書の内容が自分にとって不利益なものである場合も考えられます。しかし、相続人全員の同意がある場合でなければ、その遺言に従わざるを得ないことになります。ただし、相続人には、遺留分がありますので、遺留分が侵害された場合には、他の相続人等に対し、侵害された部分に相当する金員の支払を請求することができます。
遺言書の通りに分割したいけれど、反対する相続人がいる場合
遺言書に分割方法が記載されている場合には、遺言書の分割方法に反対する者がいたとしても、遺言書のとおりに分けられることになります。相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします
遺言書で指定された財産を受け取りたくない場合
遺言書で指定された財産を受け取りたくない場合には、受け取る必要はありません。遺言によって遺産の取得を義務付けることはできないからです。この場合には、他の相続人と相談して、指定された財産を誰が取得するかについて相談して決めることになります。
なお、財産が全く不要という場合には、相続放棄をすることも考えられます。
遺言書が2通出てきた場合
遺言書が2通発見された場合には、どのようになるかというと、どちらの遺言書も有効ということになります。ただし、遺言の内容が矛盾する部分については、後に作成された遺言書の記載が優先され、前の遺言の矛盾する部分は撤回したものとみなされます。
例えば、先に作成された遺言書①に「甲不動産をAに相続させる。」と記載されており、後で作成された遺言書②に「甲不動産をBに相続させる。」と記載されている場合には、遺言書②記載のとおり、甲不動産はBが取得することになります。
遺言書にない財産が後から出てきた場合
遺言書に記載がない財産が存在する場合には、その財産について、共同相続人間で遺産分割協議をしてその財産を誰が取得するか決める必要があります。これは、遺言書にない財産が後から出てきた場合に限らず、元々あった財産のうち遺言書に記載されていないものについても同様です。
遺産分割協議の後に遺言書が出てきた場合、どうしたらいい?
遺産分割協議を終えた後で遺言書が発見された場合には、原則として、遺言書の記載が優先し、遺言書の記載と矛盾する遺産分割協議は無効となります。この場合も、共同相続人が全員の合意で遺産分割協議を優先することはできますが、遺言によって相続人以外が財産を取得する場合などは、その者の了承を得なければなりません。仮に、共同相続人全員の同意が得られない場合や、遺言によって財産を取得する第三者の了承が得られない場合には、遺言のとおりに財産を分ける必要があります。
遺言書が無効になるケース
遺言が無効となるケースには大きく分けて4つあります。
1つ目は、作成日の記載がない、あるいは遺言者の署名がないといった形式不備のケースです。
2つ目は、遺言者が15歳未満である場合、重度の認知症である場合など、遺言者が遺言するために必要な能力を欠いている場合です。
3つ目は、遺言の内容に問題がある場合です。例えば、全ての財産を愛人に贈与するという内容の遺言の場合、社会的相当性を欠いて無効となる可能性があります。
4つ目は、遺言者が詐欺や強迫によって遺言をした場合です。この場合には遺言書の記載内容が遺言者の意思を反映したものでない可能性があるため、相続人は遺言の取消しをすることができます。遺言が取り消された場合、遺言の効力は無効となります。
遺言書に関するトラブルは弁護士にご相談ください
遺言書は、その内容や成立過程をめぐって多くのトラブルが起こります。したがって、遺言を作成する場合は、後に争いが起こらないように法律の専門家が関与して作成することが望ましいといえます。また、遺言書をめぐるトラブルが起こってしまった場合には、どのように対処すればよいか悩ましいことも多いと思います。
そこで、遺言書について悩みがある場合には、迷わず弁護士に相談することをお勧めします。
事前に遺言書を作成しておいたとしても、遺言書に従った分割をする場合には、預金の解約や不動産の名義変更等の手続きが必要です。当該手続きを行う者(遺言執行者)を指定することによって、財産の分割を円滑に遂行することができます。また、遺言書の内容によっては、遺言執行者でなければならないこともあります。
遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言執行の目的を達成するため、遺言者が指定していたり、家庭裁判所に選任されたりした者をいいます。遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な権限が認められています。
なお、遺言執行者が指定されていない場合には、相続人や受遺者(遺贈により財産をもらう人)自身が遺言の内容を実現するための手続きを行いことになります。
遺言執行者がやるべきこと
遺言執行者がやるべきことは、民法に規定があり、それに従って遺言を執行することになります。また、遺言を執行するためには、相続人や相続財産を確定する必要があります。
相続人の確定
遺言執行者は、就任後遅滞なく、自身が遺言執行者に就任したことを相続人等に通知する必要があります。そのため、遺言執行者は、誰に就任通知書を送付すればよいか把握するため、相続人を確定する必要があります。
具体的には、被相続人が出生してから死亡するまでの戸籍謄本を取り寄せ、親族関係を把握していくことになります。
相続財産の調査
遺言執行者は、遺言執行を行うため、相続財産の範囲を確定し、その一覧表を作成する必要があります。そのためには、預貯金や不動産といったプラスの財産のみならず、借入などのマイナスの財産についても調査しなければなりません。また、被相続人の生活状況を把握していた方から話を聞くなどして、遺言書作成後に取得した財産がないかも調査する必要があります。
財産目録の作成
遺言執行者は、上記相続財産の調査を行ったうえで、財産目録を作成する必要があります。財産目録に関する書式に決まりはありませんが、財産の現状を正確に把握できるようにするため、財産の場所などを明確に記載し、対象財産を特定することが重要です。
その他
上記のほか、遺言執行者は以下のような権利・義務を負います。
①:遺言執行者は、就任したときから、直ちにその任務を開始しなければなりません(民法1007条)。
②:遺言執行者は、遺言の執行にあたって、善良な管理者としての注意義務をもって、任務にあたらなければなりません(民法1012条3項、644条)。
③:遺言執行者は、相続人からの要求があったときは、いつでも遺言執行の状況等を報告しなければなりません(民法645条)。
④:遺言執行者は、遺言執行にあたって受け取った金銭等を相続人に渡さなければなりません(民法646条)。
⑤:遺言執行者は、遺言執行をするために必要な支出をした場合、相続人に対し、その費用の償還を求めることができます(民法650条1項)。
⑥:遺言執行者は、遺言執行終了の際、遺言書で定められた額又は家庭裁判所が決定した額の報酬を求めることができます(民法1018条)。
遺言執行者の権限でできること
遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有しており(民法1012条1項)、そのために相当かつ適切と認める行為をすることができます。
具体的には、預貯金の払戻し(=口座の解約手続)・不動産登記の名義変更・貸金庫の開扉・(遺言で権限が与えられている場合には)不動産の売却などを行うことができます。
遺言執行者が必要になるケース
遺言の内容にうち、以下のような事項が存在する場合には、必ず遺言執行者が必要となります。
①:認知(民法781条)
②:推定相続人の廃除、または廃除の取り消し(民法892条~894条)
③:一般財団法人の設立(一般社団に関する法律157条1項)
なお、①~③以外の事項の場合には、遺言執行者を必ず選任しなければならないというわけではありません。もっとも、遺言執行者を選任することによって、各種手続きを遺言執行者に任せることができ、円滑に遺言の内容を実現することができます。
遺言執行者になれるのは誰?
遺言執行者になれる者の資格には制限がなく、原則、自然人・法人問わず、遺言執行者になることができます。ただし、未成年者や破産者は、遺言執行者になることができません。
遺言執行の内容は多岐にわたるため、相続に詳しい第三者の専門家を遺言執行者とすることが望ましいと思われます。
遺言執行者になれない人
未成年者と破産者は、遺言執行者になることができません(1009条)。
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遺言執行者の選任について
遺言執行者の選任方法は、2つあります。
1つ目は、遺言書で遺言執行者を指定しておき、指定された方が遺言執行者に就職することを承諾した場合、その方が遺言執行者に選任されます。
2つ目は、相続人等の利害関係者の申立てによって、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらうことができます。
遺言書に複数の遺言執行者が指名されていた場合
遺言執行者の人数に制限はありませんので、複数人選任される場合もあります。
この場合の任務の遂行は、「過半数で決する」(民法1017条1項)と規定されています。もっとも、遺言書に定めるがある場合には、遺言書にしたがって任務を遂行します。また、保存行為については、遺言執行者が単独で任務を遂行することができます。
家庭裁判所で遺言執行者を選任する方法
まず、利害関係人(相続人等)の申立てが必要です。
送付先(申立てを行う裁判所)は、「遺言者の最後の住所地」を管轄する家庭裁判所です。
また、申立ての際に必要となる書類は、①申立書、②遺言者が死亡したことの資料(戸籍謄本等)、③遺言執行者候補者の住民票等、④遺言書又は遺言書の検認調書謄本の写し、⑤利害関係を証する資料等です。
遺言執行者の仕事の流れ
遺言執行者の仕事は、以下の通り遂行されます。
①遺言者の死亡
②遺言執行者の指定と承諾
③相続人その他の利害関係人に対して遺言執行者に就いた旨の通知書送付
④相続人の調査
⑤相続財産の調査
⑥財産目録の作成
⑦遺言の執行
遺言執行者の辞任
遺言者執行者に就任した後、その地位を辞任するためには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。また、辞任する場合には「正当な理由」(民法1019条2項)が要求されます。なお、「正当な理由」とは、病気や長期出張等のやむを得ない事情と言える場合などがあげられます。
任務を怠る遺言執行者を解任できる?
利害関係人は、遺言執行者が任務を怠った場合やその他正当な事由がある場合には、家庭裁判所に対し、遺言執行者の解任を請求することができます。実際に解任の判断が下されるには、任務懈怠の結果、遺言の公正な実現に期待できないような状況にあることが求められるとされています。
遺言執行者が亡くなってしまった場合、どうしたらいい?
遺言執行者が死亡してしまった場合、遺言執行者の地位は相続人には移転せず、遺言執行者たる地位は喪失します。この場合、利害関係人は家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます(1010条)。
遺言執行者についてお困りのことがあったら弁護士にご相談ください
遺言執行者の業務内容は多岐にわたり、その責任も大きいものです。そのため、一般の方を遺言執行者に指定していた場合、実際の場面でトラブルが発生してしまう可能性があります。
遺言書の作成段階から弁護士に相談しておいたり、実際に弁護士を遺言執行者に指定しておいたりすることで、未然にトラブルを回避することができます。遺言書の作成や遺言執行者の任務に不安や疑問をお持ちの方は、弁護士にご相談ください。
配偶者の浮気が分かった時、誰に対して、どのような請求ができるかなど、不明点が多々あるかと思います。また、そもそも、浮気といえるのか、配偶者が浮気をしたと証明できるのかなど、請求することに躊躇することもあろうかと思います。このページでは、浮気と慰謝料について詳しく説明していきます。
浮気・不倫が原因の慰謝料について
配偶者に不貞行為があった場合は、慰謝料請求をすることができますが、請求が認められるには条件が必要です。すなわち、その条件が満たされてはじめて不貞行為に対する慰謝料請求が認められるのです。なお、その条件の中に、離婚をしたこと、という条件はありませんので、離婚をしなくても慰謝料請求をすることはできます。
浮気の慰謝料が請求できるのはどこからか
不貞があったことを理由として、慰謝料請求をするためには、不貞行為と呼べるものがなければなりません。慰謝料請求ができる浮気の内容としては、肉体関係があるかどうかが重要となります。夫婦が互いに配偶者以外の第三者と性的な関係をもってはならないという貞操義務を負っていますので、配偶者以外の第三者と肉体関係をもつことによって、貞操義務違反となり、それが不貞行為となります。肉体関係だけではなく、それに類する行為も不貞行為と判断されることがあります。
また、慰謝料請求ができる条件の一つとして、浮気相手が、不貞行為をする当時、配偶者が婚姻関係にあることを知っていた事実が必要がありますので、このあたりの検討も必要です。
慰謝料が発生しないケースもある
不貞をしたにもかかわらず、慰謝料が発生しない場合があります。
たとえば、不貞行為をする前に夫婦関係が破綻していた場合や、浮気相手が婚姻関係にあることを知らなかった、または、知らなかったことに落ち度(過失)がなかった場合、相手方が消滅時効を主張した場合などが考えられます。このような場合には、慰謝料請求ができない場合がありますので、注意が必要です。
不貞行為に対する慰謝料の相場
裁判例では50万円から300万円程度が、不貞行為に対する慰謝料の相場となります。このような金額の幅があるのは、不貞行為の回数や期間、配偶者との間に未成年の子がいるかどうか等、様々な事情を裁判所が考慮したうえで判断しているからです。したがって、不貞行為の回数が少なく、期間が短いなど、事情によっては低額になる可能性があります。
浮気の慰謝料が高額になるケース
浮気の慰謝料が高額になるケースとしては以下のような場合が挙げられます。
- 婚姻期間が長い場合
- 浮気の回数が多い場合
- 未成年の子がいる場合
などです。
浮気の慰謝料について争う場合は証拠が重要
相手方が、不貞の事実を争ってくる場合があります。その場合は、不貞行為があったことを証明する必要がありますので、証拠を集めましょう。不貞の有力な証拠は複数あった方が説得力を増しますので、相手方との間で、有利に話を進めることができるでしょう。これは、裁判所に訴えを提起した場合でも同じですので、有力な不貞の証拠を複数裁判所に提出しましょう。
写真・動画
不貞行為をしている最中の写真や動画を集められれば、それに越したことはないですが、そのような証拠が収集できるのはとても稀です。そこで、不貞行為をしていることを推認させる写真や動画を提出することで、不貞行為があったことを証明することができます。たとえば、ラブホテルに不貞相手と出入りしている写真や動画、ラブホテル内での自撮り写真や動画、不貞相手の家に宿泊している写真等です。このような写真が複数あればかなり有力な不貞の証拠となるでしょう。
メール・SNS
不貞行為があったことを推認させる証拠の一つとして、メールやSNSでのやりとりがあります。たとえば、肉体関係があったことを前提するメールや、ホテルや宿泊をする約束をしている内容のメールなどです。ただ、これらの証拠は、上述した写真や動画と比べて、不貞行為を証明する力は弱いことが多いので、他の証拠と組み合わせていくことが必要となるでしょう。
領収書
ラブホテルや旅行先の領収書、クレジットカードの明細なども、不貞の証拠となりうるでしょう。ただし、これらの証拠は、誰と宿泊したかまでを証明できないことがほとんどかと思いますので、他の証拠と組み合わせる必要があるでしょう。
配偶者本人が自白した音声
配偶者本人が、不貞行為をしたことを自白した音声については、非常に有力な証拠といえます。ただし、自白した内容が、単に「浮気した」程度のものであれば、誰と、いつ、などの不貞行為の詳細は不明ですので、有力な証拠とするためには、不貞行為が、誰との間で、いつ、などある程度詳しく話してもらう必要があるでしょう。
SuicaやPASMO、ETCなどの利用履歴
SuicaやPASMO、ETCなどの利用履歴については、浮気相手とホテル等に行ったことを一定程度推認させるものです。しかし、これらは、誰と移動したかまでは分からないことが多く、証明する力は弱いものといえます。そこで、他の証拠と組み合わせて証明していく必要があるでしょう。
GPS
GPSを使用すれば、ラブホテルや不貞相手の自宅に行っていることまで把握でき、有力な証拠となりえるでしょう。しかしながら、GPSを取り付ける行為が、プライバシー侵害などの違法行為にあたるとして、損害賠償を請求されることがありますので、注意が必要です。また、GPSを取り付けた物に傷がつくなどすれば、器物損壊罪として刑事罰を受ける可能性もあります。
浮気の慰謝料は誰に請求できるのか
不貞行為について、浮気をした配偶者と浮気相手は、共同で責任を負っています。そこで、浮気の慰謝料の請求相手は、①浮気をした配偶者のみ、②浮気相手のみ、③浮気をした配偶者と浮気相手の双方に対して、の3パターンが考えられます。金額についても、双方に全額を請求することもできますし、片方に半額ずつなどとすることもできます。浮気をした配偶者と浮気相手は、共同で責任を負っていることから、浮気をした配偶者が、慰謝料を全額支払った場合、浮気相手に対して、本来自身が負担すべき額を超えて支払った分について、負担を求めることができます。これを求償権といいます。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
浮気による不貞慰謝料を決める方法と流れ
浮気による不貞慰謝料を決める方法としては、不貞行為をした配偶者や不貞相手に対して、書面や口頭で交渉する方法が考えられます。交渉の結果、合意ができ、慰謝料を受け取ることができるようになりましたら、後のトラブル防止の観点から、弁護士等に依頼して、合意書を作成してもらい、合意書を交わしておくとよいでしょう。
また、不貞行為をした配偶者や不貞相手に対して、民事調停の申立てや裁判所に訴えを提起して、不貞慰謝料の請求をすることもできます。この場合は、裁判所が間に入って進行することになりますので、不貞の証拠を提出するなどして、自身に有利な結果となるように動いていく必要があります。
浮気に対する慰謝料請求の時効について
浮気に対する慰謝料請求をする権利も、時効にかかります。具体的には、浮気をした事実及び浮気相手を知った時から3年が経過すると、時効によって不貞慰謝料の請求が認められなくなることがあります。また、浮気があった時から20年を経過したときも同様となります(これは除斥期間と呼ばれます)。
よくある質問
結婚前の浮気は慰謝料が発生しますか?
不貞行為は、夫婦における貞操義務違反であることを説明しましたが、結婚前であれば、夫婦ではありませんので、貞操義務がありません。したがって、結婚前の浮気について、慰謝料は発生しないというのが一般的です。ただし、結婚前とはいえ、長年夫婦同然の生活をしていたような内縁関係にある場合や、婚約をしていた場合については、慰謝料が発生する場合もあります。
相手の自白は浮気の証拠になりますか?
前述した不貞行為をした配偶者の自白と同様に、不貞相手の自白についても、浮気の証拠となりえます。このような証拠は非常に有力な証拠となりますが、誰との間で、いつなど、ある程度具体的な自白が要求されることは、不貞行為をした配偶者の自白の場合と同様です。このような証拠を、ボイスレコーダーや動画、書面、メール等で残しておきましょう。
パートナーから浮気の濡れ衣を着せられ、慰謝料請求された場合は支払う必要はありますか?
浮気の濡れ衣を着せられているのであれば、そもそも不貞行為はありませんので、慰謝料を支払う必要がありません。また、パートナーが内縁関係や婚約もしていない恋人であれば、いまだ夫婦関係もしくはそれに準ずる関係にはありませんので、そもそも不貞とは呼べないでしょう。濡れ衣を着せられている場合は、ある程度は自身の潔白を証明したうえで、冷静に話し合いをしてみると良いかもしれません。
不貞(浮気)慰謝料と離婚慰謝料の違いは何ですか?
これまで不貞慰謝料の話をしてきましたが、離婚慰謝料というものがあります。不貞慰謝料は、不貞行為をされたことによる精神的苦痛を理由とするものですが、離婚慰謝料は、不貞行為によって離婚をしなければならなくなったことから受けた精神的苦痛に対する慰謝料となります。両者は、慰謝料の金額の相場や、時効期間の計算方法について異なりますので、区別して考える必要があります。
3年前の浮気に対して慰謝料請求することはできますか?
浮気があった事実と浮気相手を知った時から3年を経過した場合には、時効が成立しますので、不貞行為をした配偶者や不貞相手が時効を主張すれば、時効によって慰謝料請求が認められなくなる可能性があります。ただし、浮気があった事実と浮気相手を知った時から3年を経過する前に、民事調停の申立てや訴訟提起をすることによって、時効の完成を先延ばし(猶予)にすることができます。また、不貞行為をした配偶者や不貞相手が慰謝料の支払い義務を承認した場合についても同様に、時効の完成が先延ばし(更新)にされます。 なお、浮気があった時から20年を経過すると、慰謝料請求ができなくなりますが、これは除斥期間とよばれます。
浮気による慰謝料について悩んだら弁護士に相談してみましょう。
配偶者の浮気が発覚した場合、動揺して、誰に対して、どのような請求ができるかについて、冷静な判断できなくなることがあるかと思います。また、焦って不貞の証拠が乏しいにもかかわらず、安易に慰謝料請求をして、逆に名誉棄損として損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。
弁護士に相談すれば、これまでの裁判例等を踏まえ、どの程度の証拠があれば、相手方と交渉でき、民事訴訟を提起できるかについて、的確なアドバイスをくれるでしょう。また、これらの交渉や民事訴訟の提起を代理人となって行ってくれることもあるでしょう。
不貞慰謝料について悩んだら、是非、弁護士にご相談ください。
モラハラは、殴られたり蹴られたりして怪我を負わされ、傷痕が残ったりするなどの身体的暴力と違って、言葉を浴びせられ、心が傷つけられる精神的暴力です。モラハラに耐えられなくなって、離婚を決意する方はたくさんいらっしゃいますが、モラハラをしている加害者側は無意識・無自覚であることが多く、モラハラ被害者からの離婚請求に応じてくれない傾向があります。そこで、離婚するために、モラハラをされている証拠を集める必要がありますが、何がモラハラの証拠になるのか、証拠収集の際のポイントを以下で、ご説明します。
モラハラが原因で離婚する場合は証拠が重要
離婚の種類には、協議離婚、調停離婚、審判離婚及び裁判離婚の4つがあります。基本的には、当事者の離婚意思が合致すれば離婚できますが、モラハラ加害者である配偶者が離婚に応じない場合には、モラハラが離婚原因に該当しない場合には離婚することはできません。そのため、モラハラがなされていたことを証明するための証拠が必要となります。
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モラハラの証拠になるもの
以下では、モラハラがなされていた証拠となるものを説明します。
モラハラの内容を記載した日記やメモ
相手方から受けたモラハラの内容を記録した日記やメモがモラハラの証拠となります。記録にあたり、手書きでもスマホやパソコン等データで残しておくのでもどちらでも構いませんが、相手方に見つからないように、保管には十分気を付けてください。
書き方に気を付けるべきことはある?
記載する場合には、相手方からモラハラを受けたときの状況とりわけ日時、場所、相手方の言動等を具体的に詳細に記載するように心がけてください。後から書き加えたと相手方から反論されないためにも、間を空けずに、消えないペンで記載しておくと良いでしょう。
モラハラの現場を録音・録画したデータ
モラハラを受けている現場の様子を録音・録画したデータもモラハラを受けていた証拠になります。途中から録音・録画されたデータの場合、編集を疑われることがありますので、可能であれば最初から録音・録画しておくことをお勧めします。相手方に秘密でなされた録音・録画でも、プライバシーの侵害にあたりません。
モラハラ夫(妻)から届いたメールやSNS
メール、LINEやSNS等で、相手を非難したり、侮辱したりしている内容があれば、モラハラの証拠となり得ます。友人などを馬鹿にするような内容でも、普段から他人を見下す人物で、恒常的にモラハラをしていることをうかがわせることができますので、夫婦間でもモラハラがなされていたことを推認できる可能性があります。
精神科への通院履歴や医師の診断書
配偶者からモラハラを受けていたことがわかるものとして、医師の診断書や精神科や心療内科への通院記録があります。モラハラによって体調を崩した場合に、精神科や心療内科以外を受診した場合でも、日記や録音・録画等と併せてそれらの診断書を裁判所に提出することで、モラハラによって身体に変調を来したことが証明できる可能性があります。
子供や友人などによるモラハラの証言
モラハラを受けた際に、親族や友人などに相談をしたことがあるかと思います。親族や友人などの証言もモラハラがなされた証拠になり得ますが、人間の記憶に誤りがあること、どちらかに有利な証言であることから、内容の信用性という意味では、他の証拠に比べて劣るといえます。
警察・公的機関への相談履歴
モラハラ被害者が警察や公的機関へ相談に訪れた場合には、その際、受付記録や聞き取り記録が作成され、警察や公的機関では、そのような記録が保管されます。このような記録も、モラハラがなされていたことを証明する証拠となり、相談した本人からの開示請求に応じてくれます。そこで、本人から開示請求をするよう弁護士がアドバイスをしています。
モラハラの証拠が集めにくい理由
モラハラの証拠は一般的に集めることが難しいと言われています。それは、家庭内という密室の空間で、特に前触れもなく突発的になされるものであることから、録音・録画などの準備が被害者の方にできていないからです。加えて、モラハラの被害者自身、自分がモラハラを受けているといった自覚がないことから、証拠の収集がなされないからです。
証拠を集める上での注意点
モラハラの証拠として、録音・録画をしておくことは重要ですが、相手方に録音・録画をしていることがバレた場合に削除される恐れがあることや、自身で機械の操作を誤まり、データが消失する危険性があること等からも、バックアップを取っておくことが必要です。
モラハラの証拠がない場合の対処法
モラハラの証拠を無理に集めようとした場合、相手方に証拠を集めている動きを察知されて、既に取得したモラハラの証拠を削除すを強要されたり、今まで以上に、モラハラを受ける可能性があります。そこで、どうしてもモラハラの証拠が集められない場合には、弁護士に相談したり、探偵に依頼したりして証拠を押さえたりする方法等がございますので、一度、ご相談ください。
モラハラの証拠があれば、慰謝料も請求できるのか
モラハラの証拠があれば、不貞行為や暴力行為等と同様に慰謝料請求ができる可能性があります。しかしながら、モラハラ行為があった事実やその具体的な内容を客観的な証拠をもって十分に証明できない場合には、低い金額の慰謝料しか認められなかったり、慰謝料自体認められない場合があります。
モラハラ離婚の証拠に関するQ&A
子供が配偶者からモラハラを受けていた場合、離婚するには証拠が必要ですか?
モラハラ加害者は、配偶者だけでなく、子供に対してもモラハラをしていることが多いです。モラハラ加害者が離婚に応じないことから、モラハラの証拠を集めることは必要ですが、モラハラ被害に遭っている子供を守ることを優先させてください。別居が長期間になれば、離婚は可能ですので、子供を連れてモラハラ加害者と別居することを一番に考えてください。
配偶者とのLINEの内容が削除されていても、友人などにモラハラの内容が書かれたLINEを転送していた場合はモラハラの証拠になりますか?
モラハラ加害者である配偶者から受信したLINEを友人等に転送しておくこともモラハラの証拠を確保するという意味では十分意味があります。被害者が証拠を保存し確保していることを察知した加害者によってデータを消去するよう求められたとしても、友人等に転送しておくことにより、証拠として残すことができるからです。
日記や録音データなどの証拠は、長期間集めるべきですか?
可能であるならば、長期間にわたる日記や録音データを集めるべきです。それは、数えられる程度の回数のモラハラでは、単なる夫婦喧嘩の一環として、たまたま、侮辱的言葉が発せられたにすぎないと判断される可能性が高いからです。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
離婚の際に必要なモラハラの証拠について、経験豊富な弁護士がアドバイスさせていただきます。
モラハラ被害に遭われている方が離婚を考えている場合、是非一度、弁護士にご相談ください。何がモラハラの証拠になるのか、どのように取得すれば良いのか等、他の離婚原因と違って、留意する点が多いですし、モラハラ加害者が、普段から口が達者でモラハラ被害者との間で夫婦間の力関係が出来上がっていてなかなか離婚を切り出すが難しいこと等から、お一人で対応するには限界があります。
離婚問題に詳しい弁護士であれば、モラハラ加害者への対応の仕方や証拠収集のアドバイスができますので、是非、ご相談してください。
相続では、単純承認、相続放棄、限定承認の方法を選択することができます。その内、相続財産の全てを相続する単純承認について、そのメリットとデメリット、単純承認となるかどうかなど、単純承認について、以下、詳しく説明していきます。
単純承認とは
単純承認とは、被相続人の相続財産を全て相続することをいいます。被相続人のプラスの財産はもちろん、借金等のマイナスの財産も含め、全て相続することとなります。単純承認では、単純承認をするという意思表示をする場合と、一定の事由によって単純承認とみなされる場合があります。単純承認のメリット
単純承認をする場合のメリットとしては、相続放棄や限定承認と違い、家庭裁判所に申述をする必要がなく、手続が複雑ではない点が挙げられます。
単純承認のデメリット
一方で、単純承認のデメリットは、特別な手続きを経ることなく、被相続人の債務など含めて全て相続することとなりますので、想定外の債務を負担する可能性があることです。生前の被相続人との関係が希薄であればあるほど、被相続人がどのような生活をして、どのような債務や義務を負担していたかが不明となりますので、このような可能性が高くなります。
単純承認と見なされるケース(法定単純承認)
法定単純承認とは、一定の事由が発生したことによって、単純承認をしたものとみなされることをいいます。自覚がないうちに単純承認をしてしまう可能性もありますので、一定の事由がどのようなものであるかを知っておく必要があります。法定単純承認となる一定の事由について、以下で説明していきます。
相続財産の全部または一部を処分した場合
被相続人の財産の全部又は一部を処分した場合、法定単純承認となります。たとえば、被相続人の財産の売却、質入れ、遺産分割協議等がこれにあたります。
不動産の名義変更を行った場合
被相続人の不動産について、相続人名義に名義変更をした場合も法定単純承認となります。
熟慮期間内に何も行わなかった場合
相続人が、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内の期間を熟慮期間といいます。この熟慮期間の間に、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選択できますが、この期間が経過するまでの間に、相続人が何もしない場合は、法定単純承認となります。
相続放棄や限定承認後に財産の隠匿・消費などがあった場合
相続人が、相続放棄や限定承認をした後に、相続財産を隠匿したり、消費したりした場合、法定単純承認があったものとされます。相続放棄や限定承認をした後に、このようなことをしてしまい、相続放棄や限定承認をした意味がなくなってしまうことのないように注意しましょう。
単純承認にならないケース
相続財産を処分した場合に、法定単純承認になることを説明しましたが、単純承認とならないケースについて、以下、説明していきます。
葬儀費用を相続財産から出した場合
葬儀費用を相続財産から出した場合に、法定単純承認とはならないとされた裁判例があります。葬儀費用の金額として、社会通念上相当な範囲内であれば法定単純承認とならないとされていますが、明確な基準はありません。したがって、相続財産の中から葬儀費用を捻出するかどうかについては慎重に検討する必要があります。
生前の入院費を相続財産から支払った場合
被相続人の生前の入院費を相続財産から支払った場合は、法定単純承認となる可能性があります。被相続人の生前の入院費を、相続財産から支払うかについては慎重に検討しなければなりません。また、遺産調査や熟慮期間の間、入院費の支払を猶予してもらえるよう、医療機関に話してみるのも良いかもしれません。
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形見分けは単純承認となるかどうか判断が分かれる
遺品を近親者等に渡すいわゆる形見分けについては、その遺品の経済的な価値の高低によって、法定単純承認となるかどうか判断が分かれます。したがって、相続放棄や限定承認をしようとしていたにもかかわらず、不用意に形見分けを受け取ってしまい、法定単純承認となってしまうことのないよう注意が必要です。
単純承認するかどうかはどうやって決める?
単純承認の場合は、マイナスの相続財産も相続することになるため、単純承認をするかどうかは、相続財産にどのようなものがあるかを把握する必要があります。プラスの財産よりもマイナスの財産が多いのであれば、相続放棄や限定承認を検討する必要もあるでしょう。仮に、プラスの財産が多すぎる場合には、相続税が発生する場合もありますので、その負担も考慮して単純承認をするかどうかを検討しなければなりません。単純承認をするかどうかは、3ヵ月の熟慮期間の間に決定しなければなりませんので、その間に遺産の調査をする必要もあります。
単純承認したくない場合
単純承認をしない場合は、相続放棄や限定承認をする方法があります。相続放棄は、相続財産を相続しないことです。限定承認は、被相続人が残したマイナスの財産をプラスの財産の限度で弁済するものです。いずれも、3ヵ月の熟慮期間内に、家庭裁判所に対して申述をしなければなりませんので、注意が必要です。なお、限定承認については、相続人全員でしなければなりません。
単純承認についてお悩みの方は弁護士へご相談下さい
単純承認をすべきかどうかは、どのような遺産があるかわからなければ判断できないかと思います。また、単純承認をすべきかどうかの判断には、熟慮期間の3ヵ月という期間制限もありますので放置しておくこともできません。相続が発生した場合は、遺産の調査や単純承認をすべきかどうかの判断にお困りになることもあるかと思いますので、可能な限り早期に弁護士に相談されることをお勧めします。
相続においては、相続するという選択(単純承認)と相続しないという選択(相続放棄)の他に、被相続人が残したマイナスの財産をプラスの財産の限度で弁済する限定承認という方法があります。このページでは、限定承認とは何か、そのメリットやデメリット、手続き方法について解説していきます。
限定承認とは
限定承認とは、被相続人が残したマイナスの財産をプラスの財産の限度で弁済するという条件付きの相続方法です。例えば、被相続人が、預金など100万円のプラスの財産と、借金200万円を残して死亡した場合を考えてみましょう。単純承認だと、相続人は借金200万円を負うことになります。しかし、限定承認であれば、相続人はプラスの財産である100万円を弁済すれば足り、借金200万円を全て負うことにはなりません。
限定承認のメリット
限定承認のメリットとしては、プラスの財産の限度で弁済するため、負債を負うことがないことや、特定の財産を残すことができるというメリットがあります。以下で詳しく解説します。
負債を負うことがない
限定承認は、被相続人が残したマイナスの財産をプラスの財産の限度で弁済することで足りるため、相続人が負担するマイナスの財産には、プラスの財産の財産額という上限があります。そのため、マイナスの財産がプラスの財産より多くても、プラスの財産でまかないきれないマイナスの財産について、相続人は負担する責任を負いません。単純承認の場合はマイナスの財産に上限がないため、この点で限定承認は単純承認より優れています。
連帯保証人の地位は受け継ぐことに注意が必要
連帯保証人とは、主たる債務者の負った債務を連帯して弁済する責任のある保証人をいいます。連帯保証人の場合、基本的には主たる債務者と同様に責任を負うことになります。限定承認の場合でも、相続人は連帯保証人としての地位自体は相続します。もっとも、限定承認であれば、被相続人のプラスの財産の範囲内で弁済をすれば足ります。
特定の財産を残せる
限定承認のもう1つのメリットとしては、特定の財産を残せることにあります。すなわち、限定承認をした場合、相続財産を売却して被相続人の債務を返済するために、原則的には競売の手続を経なければなりません。しかし、例外的に、家庭裁判所が選任した鑑定人が評価した金額を弁済して、優先的に買い取ることができます(先買権)。被相続人の残した財産の中にどうしても残したい物があれば、このような制度を利用して残すことができるのです。
相続放棄の場合、マイナスの財産の相続は防げますが、特定の財産を残すことはできないので、この点で限定承認は相続放棄より優れています。
限定承認のデメリット
限定承認は、負債を負わないというメリットがある一方で、以下のようなデメリットがあることを把握しておきましょう。
相続人全員が限定承認する必要がある
相続人が複数人いる場合、相続人全員で限定承認をする必要があります。単純承認をする相続人と限定承認をする相続人がいると、相続財産に整合性が取れなくなってしまうためです。また、単純承認後に単純承認を撤回して限定承認に切り替えるということもできないので、既に一人でも単純承認をした相続人がいると、限定承認はできなくなってしまいます。
単純承認や相続放棄は一人でも可能であるため、この点は限定承認のデメリットと言えます。
相続放棄した人がいる場合
単純承認した相続人がいる場合と異なり、相続放棄をした人がいる場合でも、それ以外の相続人全員で限定承認をすることは可能です。相続放棄の場合、相続放棄をした人は、初めから相続人とはならなかったものとみなされるためです(民法939条)。
相続財産に手を付けることができない
相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合、単純承認をしたものとして扱われます(民法921条)。なので、限定承認をする場合には、手続きが完了するまで相続財産に手を付けることができません。
限定承認は手続きが浮く雑である関係で、手続きの完了までかなりの時間を必要としますが、その期間は相続財産を活用することはできません。
税金がかかってしまう場合がある
限定承認の場合、相続税と譲渡所得税の2つの税金が課せられます。まず、マイナスの財産を支払って残ったプラスの財産に対して、相続税がかかります。加えて、限定承認では、被相続人から相続人へ財産を売却したとみなされて、譲渡取得税が課せられます。また、譲渡取得税との関係で、相続人は、被相続人に代わって確定申告を行わなければなりません(準確定申告)。準確定申告の期限は、原則として相続開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
申請までに手間や時間が掛かる
限定承認は全ての相続人で行わなければならないことから、早期に相続人を確定する必要が生じます。そのうえで、相続人全員と連絡を取り、限定承認への手続きに協力してもらうことになるため、手間と時間がかかります。
受理された後も、更に手続きがある
限定承認の申述が受理された後、マイナスの財産の債権者等に対して、限定承認をしたこと及び一定の期間内に請求をするべきことを告知します(公告、民法927条1項)。一定の期間の経過後、必要があれば相続財産を競売によって金銭化したうえで、債権者に対して債権の金額の割合に応じて弁済がされます(民法929条)。このように、申述が受理された後も、更に手続きが続きます。
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限定承認の手続き方法
限定承認は、申述によって開始し、公告手続きを経て、財産の換価処分・弁済等によって終了します。以下では、個々の手続きについて詳しく見ていきます。
限定承認に必要な書類
限定承認をする場合、必要となる書類は以下のとおりです。
- 限定承認の申述書
- 財産目録
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍や除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
- 財産目録記載の財産に関する証拠書類
- その他、家庭裁判所に提出を求められる書類
限定承認の手続きの流れ
まずは、限定承認の申述書、相続財産の目録を作成します。相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、申述書、財産目録、必要な書類を提出することで、限定承認する旨の申述をします。
申述が受理された後は、既に述べたとおり、公告、換価、弁済の手続きがとられることになります。
費用
限定承認を場合、裁判所での手続きのためには以下の費用が必要となります。
また、裁判所関係以外でも、戸籍の取得費用等もかかります。
- 裁判所に納める手数料(相続人1人につき800円)
- 予納郵券
- 公告費用
- 財産の換価の際の鑑定人費用や各種手数料
限定承認の期限は3ヶ月
原則的に、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内でなければ、限定承認は行えません(民法915条)。3ヶ月を経過した場合には、単純承認をしたものとして扱われることになります(民法921条2号)。期限を過ぎてしまいそうな場合には、予め期間を延長するための手続きを取る必要があります。
限定承認についてご不明な点はぜひご相談下さい
限定承認は、単純承認や相続放棄と比べてシステムが複雑です。一人で手続きを進めようとすると、思わぬ失敗をしてしまう可能性もあります。
発生した相続について限定承認をしたいと思ったときや、今後の相続に備えて限定承認について詳しく知りたいときは、まずは一度弁護士にご相談ください。

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- 保有資格
- 弁護士(埼玉弁護士会所属・登録番号:51059)
